著者
小林 潤司
出版者
国際基督教大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

トリフェニレンにヘテロールが縮環した化合物であるトリヘテラスマネン合成の別法としてトリフェニレンの湾部が6箇所リチオ化されたヘキサリチオ体経由の合成法を活用してトリヘテラスマネン類の合成を行った。2,3,6,7,10,11-ヘキサブトキシトリフェニレンを出発原料として、TMEDA存在下、過剰量のn-BuLiを作用させ、加熱かくはんを行ったところ、効率よくヘキサリチオ体が発生することを見いだしていたので、このヘキサリチオ体に、各種典型元素試薬を反応させトリヘテラスマネンの合成を検討することとした。ヘキサリチオ体にフェニルジクロロホスフィンを作用させ、引き続いて単体硫黄を作用させることで、トリホスファスマネントリオキシドの合成に成功しており、生成物の構造異性体の分離構造決定を行った。また、別の典型元素源として、ジアルキルジクロロスタンナンを作用させることで、ヘキサスタンナスマネンの合成にも成功した。有機スズ化合物は、その他の典型金属元素と効率よくトランスメタル化が進行することが知られているため、このトリスタンナスマネンを新たな出発原料として、新たなトリヘテラスマネンへと誘導することを検討した。そこで、母体のスマネンと同様な骨格的歪みを持ち、かつ物性材料としても有用性が期待されるトリボラスマネンの合成を目指し、ホウ素原子とのトランスメタル化を検討した。その結果、各種NMRスペクトルより、少なくとも湾部の1箇所がホウ素化されたと思われる化合物の生成が示唆された。
著者
岩間 太 小林 直樹
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.58-64, 2002-03-15

プログラミング言語Javaの仮想機械では,実行前にコードの検証を行い,不正なコードを排除している.しかし,現在の検証器では,並行スレッドによるロックの獲得・解放の整合性に関する検証は行っていない.この問題を解決するため,本研究では,AbadiとStataによるバイトコード検証のため型システムを改良する.新しい型システムでは,各オブジェクトのロックが獲得・解放される順序の情報をオブジェクトの型に付加することにより,ロックの正しい使用を保証する.
著者
三澤 真美恵 貴志 俊彦 佐藤 卓己 孫 安石 川島 真 小林 聡明
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では東アジアの複数の地域(日本、中国、香港、台湾、シンポール、韓国、北朝鮮)および複数の視聴覚メディア(テレビ、映画、レコード、ラジオ)を対象に、地域間・メディア間の相互連関性を検討した。各年度に行われた国際ワークショップや国際シンポジウムを通じ、国内外の研究者が多様なディシプリンを持ち寄ったことで、東アジアに固有の相互連関の具体的様態についても明らかにすることができた。本研究の成果は論文集として公刊される予定である。
著者
小林 直樹
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本年度はまず、すでに我々が提案していた線形論理に基づく並列計算の枠組であるACLを高階に拡張したHACLを提案し、その意味論・型システム等を与え、静的に型づけされた(HACLで書かれた)並列プログラムが実行時に型エラーを起こさない等の基本的な性質を証明した。また、それに基づいたインタプリタの処理系を作成して、HACLの特徴の一つである(多相型をもった)高階プロセスが非常に有効であることをプログラミングを通して確認した。さらに、HACLの上に、インヘリタンスをはじめとする種々の機能を備えた並列オブジェクト指向言語を実現でき、かつそのようにして実現された並列オブジェクト指向言語で書かれたプログラムがHACLの型システムをとおして型推論・型チェックが行なえることを示した。その副産物として、型推論をとおして並列オブジェクトのメソッドのディスパッチが定数コストで行なえるようにコンパイルできることも示した。これらの結果に基づいて実際に、並列オブジェクト指向言語のプログラムからHACLへのトランスレータのプロトタイプも作成した。また、HACLを含めた非同期通信に基づく並列言語の効率のよい実現のために、エフェクト解析の手法を応用した並列プログラムの通信に関する解析を行なう方法を提案し、HACLを通した定式化・基本的な性質の証明・解析システムのプロトタイプの実装を行なった。将来的にはこの静的解析システムをコンパイラに組み込み、並列プログラムの最適化コンパイルに役立てる予定である。上記理論的側面の研究と並行してHACLに基づいた処理系の実装を進めており、現在シングルCPUのワークステーション用のコンパイラのプロトタイプがほぼ完成した状況である。
著者
小林 雄一郎 阿部 真理子
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014-CH-101, no.2, pp.1-8, 2014-01-18

本研究の目的は,多変量アプローチを用いて,ライティング・タスクにおけるトピックと課題文の影響を調査することである。分析データは,International Corpus Network of Asian Learners of English (ICNALE) を用いる。そして,英語学習者のライティングがトピックと課題文の影響を強く受けていることを明らかにする。
著者
小林功介 辻本拓也 安本匡佑 羽田久一 太田高志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.207-209, 2013-03-06

2012年10月の就職内定率が6割を切り、就職難と叫ばれて久しい。多くの就職活動生(以下就活生)は、いくつもの企業の選考を受けてもなお内定を獲得することができず、その代わりに数多の「不採用通知メール(通称 お祈りメール)」を受け取っている。 本研究では、お祈りメールが就活生に与える虚しさに着目し、これを題材にしたインタラクティブコンテンツを開発することで、就職難という昨今の世相の皮肉的な表現を試みている。神社の参拝を模したお祈りのジェスチャーに反応して、映像と音楽に併せて加工したお祈りメールの文面を提示する作品である。 なお、このコンテンツは今年10月30日から1週間に渡って開催された東京デザイナーズウィーク2012に出展され、閲覧者の好意的な反応を多数得た。
著者
市村 政樹 柳本 卓 小林 敬典 正岡 哲治 帰山 雅秀
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.834-844, 2011 (Released:2011-10-11)
参考文献数
29
被引用文献数
2 4

根室海峡周辺ではシロザケ Oncorhynchus keta とカラフトマス O. gorbusha の中間的な外部形態を有する「サケマス」と呼ばれる個体が採集される。「サケマス」を DNA 分析により交雑個体であるか検討した。両種の mtDNA と核 DNA の塩基配列から特定種の増幅産物が得られるようにプライマーを設計し,SSP (species specific primers)-PCR 分析により親種を特定した。分析の結果,「サケマス」11 個体中 6 個体が交雑個体であった。交雑個体の複数の外部形態は両種の混合型を示した。
著者
小林 和美
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 1, 人文科学 (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.1-18, 2013-02

教育熱の高さで知られる韓国では,中・高校生のみならず,初等学生(小学生)までもが外国に留学する「早期留学」と呼ばれる現象が拡大し,社会問題となっている。本稿の目的は,韓国教育開発院による統計資料の分析を通して,韓国における早期留学現象が1990年代半ばから今日までどのように推移してきたのかを概況的に把握することである。大統領の政権期(5年)ごとに4つの時期に分けて考察した結果,早期留学現象は,経済のグローバル化が進むなかで,国内の教育システムの問題だけでなく,世界的な経済状況,各政権の政策,労働市場の動向,マスコミ・世論の動向などの影響を受けつつ推移してきたことが明らかになった。In South Korea, a phenomenon called `Jogi-yuhak (pre-college study abroad, hereafter PSA)', junior/ senior high school students studying abroad, has spread even to elementary school children, and become a social problem. The aim of this paper is to grasp generally how the pre-college study abroad phenomenon in South Korea changed from the mid-1990s to today through the analysis of the statistical data surveyed by Korean Educational Development Institute. I examined the characteristics of the PSA phenomenon in each government period. The results are as follows. In the first period (the Kim Young-sam administration period) when the `Segyehwa (Total Globalization Policy)' became a state policy and PSA boom began, PSA phenomenon expanded from the limited wealth to the middle class. The number of PSA students, however, was still around 3,600 at most a year and most of the PSA students were junior or senior high school students. At the beginning of the second period (the Kim Dae-jung administration period), the number of PSA students greatly decreased under the influence of the currency crisis. But it rapidly increased after 2000, when economic conditions recovered and a full liberalization policy of PSA was shown by the government. Finally in 2002 the number exceeded 10,000. During this period the following were noted: the increase of elementary school children the metropolitan area (around Seoul City) sending out majority of PSA students the target countries focusing on English speaking countries (U.S.A., Canada, New Zealand) the increase of returning students including PSA students (over 8,000 in 2002) and yet about 20,000 departure surplus about 65% of the returnee students coming back to South Korea within two years In the third period (the Roh Moo-hyun administration period) when the economy was prosperous, the number of PSA students increased remarkably and reached about 30,000 in 2006. The PSA was now a choice in the life design for more children. The PSA phenomenon spread to Gyeonggi-do in the suburbs of Seoul and other cities, and the lower age PSA children were still on the increase. China and Southeast Asian countries rose to the second destination countries next to U.S.A. The large departure surplus continued, although the number of returnee students greatly increased, exceeding 20,000 in 2007, their stay abroad getting even shorter. In the fourth period (the Lee Myung-bak current administration period), the number of PSA students largely decreased under the global economic slump in spite of a further surge of the English fever in South Korea. The view that the PSA boom was now over was also shown because of the criticism and the doubt for the effect of the PSA. Tendencies of the lower aging of PSA students and the concentration to the metropolitan area are still seen. Southeast Asian countries are now the second popular destination countries after U.S.A. because one can learn English at relatively small expense. The number of the returnee students reached a highest record with about 24,000 in 2009, three years after the peak of the PSA students, reducing the departure excess to about 6,000. After 2009, the proportion of the returnee students who stayed longer in foreign countries is increasing.
著者
兼高 聖雄 小林 ポオル 槇田 仁
出版者
慶應義塾大学産業研究所
雑誌
組織行動研究
巻号頁・発行日
no.20, pp.3-41, 1991-04

慶應義塾大学産業研究所社会心理学班研究モノグラフ ; No. 29本論では, 筆跡を,表出行動の結果としての側面から捉えている。そこで, この表出行動(ないし, 行動の表出的側面)について, まず述べておきたい。人間の行動には様々なものがあるが, そうした行動には2つの側面があると考えられる。一つは,「どのような行動か」「何をするか」といった, 内容や目的の側面, いわぽwhatにあたるもので,これを「対処的側面」と呼ぶ。他方は, 「どのように行動するか」「どんなふうにするか」といった,様式や仕方の側面,howにあたるもので, 「表出的側面」とよぽれる。
著者
金子 元久 矢野 眞和 小林 雅之 藤村 正司 小方 直幸 山本 清 濱中 淳子 阿曽沼 明裕 矢野 眞和 小林 雅之 濱中 淳子 小方 直幸 濱中 義隆 大多和 直樹 阿曽沼 明裕 両角 亜希子 佐藤 香 島 一則 橋本 鉱市 苑 復傑 藤墳 智一 藤原 正司 伊藤 彰浩 米澤 彰純 浦田 広朗 加藤 毅 吉川 裕美子 中村 高康 山本 清
出版者
東京大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2005

本研究は、1)日本の高等教育についての基礎的なデータを大規模調査によって蓄積し、その分析をおこない、2)それをもとに各国の高等教育との比較分析を行うとともに、3)その基礎にたって、日本の高等教育の課題を明らかにすること、を目的とした。とくに大規模調査については、(1)高校生調査(高校3年生4000人を、その後5年間にわたり追跡)、(2)大学生調査(127大学、約4万8千人の大学生について学習行動を調査)、(3)社会人調査(9千事業所、2万5千人に大学教育の経験、評価を調査)、(4)大学教員調査(回答者数約5千人)、(5)大学職員調査(回答者数、約6千人)、を行い、それをデータベース化した。
著者
小林 章雄
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.4_75-4_81, 2010-04-01 (Released:2010-10-18)
参考文献数
8
被引用文献数
2
著者
佐藤 悦子 梅澤 絹子 小林 茂雄
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.59-68, 1998-01-15
参考文献数
8
被引用文献数
2

The purposes of this study are to investigate how the hemline widths of jeans affect the body movements of healthy persons when putting on and taking off jeans, and how they are related to wearing comfortability. In the experiment, four types of jeans with different hemline widths were used. The types were classified as middle-slim (S1), middle-straight (S2), roomy-straight (S3), and soft-middle-straight (S4). Subjects were 30 healthy female university students. They were classified into three groups by body size: large, medium and small. After videotaping the subjects putting on and taking off each type of jeans, each subject was required to answer a sensory evaluation sheet consisting of 21 items using the SD method. They were also asked which leg they mainly used in their daily activities. The results were as follows: 1) With regard to required time for putting on and taking off each type of jeans, significant differences were found among the types of hemline width. For putting on jeans, the longer the time required, the narrower the hemline width was. This was shown as follows: S1, S2&gtS3, S4. Particularly, the large body size group, showed remarkable differences. For taking off jeans, S1 showed significantly longer time, while the large body size group showed significantly longer time than other groups. 2) Concerning the sense of comfort in wearing, S2 and S3 types showed significant differences. Particularly, the small body size group gave the highest points to S2; the items, such as, "suberigayoi," "hadazawarinoyoi," and so on. 3) Regarding which leg is used to step into and out of jeans, it was confirmed that the different types of hemline widths did not affect which leg was used for the movement.
著者
深見 嘉明 小林 巌生 嘉村 哲郎 加藤 文彦 大向 一輝 武田 英明 高橋 徹 上田 洋
雑誌
研究報告 デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2011-DD-79, no.1, pp.1-8, 2011-01-14

Web of Data というコンセプトのもと,ウェブ上で計算機処理可能なデータを分散的に生成し,それを互いにリンクさせることにより,共有財としてのデータベース資源を確立するという試み,それが Linked Open Data である.その特質を活用し,これまで行政が単独で担ってきた情報収集,分析とそれを生かした政策実現,住民サービス実施を分担するという試みが始まっている.本論文では,住民コミュニティと行政の連携を通じたボトムアップ型オープンガバメントの試みについて紹介し,ウェブ標準技術が共有財の創出と受益者の拡大にどのように貢献できるかについて検討する.
著者
小林 茂雄 中村 芳樹 木津 努 乾 正雄
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.61, no.487, pp.33-41, 1996
参考文献数
12
被引用文献数
7 6

The brightness of a room interior can be roughly determined from its luminance. However, the luminance of a room interior is not even, but rather is an amalgam of high-luminance areas and low-luminance areas. In this research we intended to determine the effect of luminance distribution on brightness. First, we conducted a experiment to estimate the brightness of stimuli that are of the different luminance distribution. Next, a experiment that examined the relationship between the characteristics of luminance variations and brightness in interior environment was conducted. As a result, the brightness in a room interior depended not just on luminance of visual field but also on the distribution of field luminance, and that although luminance distribution that originates in the varying reflectance of walls and floors does not affect brightness to a great extent, the luminance distribution resulting from non-uniform lighting caused an interior to seem darker.
著者
小林 路義 Michiyoshi KOBAYASHI 鈴鹿国際大学 Suzuka International University
出版者
鈴鹿国際大学
雑誌
鈴鹿国際大学紀要 : campana (ISSN:13428802)
巻号頁・発行日
no.18, pp.29-52, 2011

This is a report and simple analysis of a survey concerning Japanese language students' awareness of Japan in a particular area of China. The students expressed highly positive impressions ofJapanese life, culture and people in spite of their anti-Japan ideology, but think Japanese leadership in the world is weak. On the other hand, their impressions of Chinese leadership are strong, while they place low value on South Korea. Also, it is mentioned that Yan Bian University continued Japanese language education during the long period after WW 2, when there was no direct connection with Japan.