著者
大田尾 浩 八谷 瑞紀 村田 伸 溝上 昭宏 小野 武也 梅井 凡子 大塚 彰 川上 照彦
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.93-99, 2012 (Released:2013-04-02)
参考文献数
38
被引用文献数
3

[目的]脳卒中片麻痺患者の歩行の可否に影響を及ぼす要因とカットオフ値を検討した。[対象]対象に認知機能が低下した患者を含む脳卒中片麻痺患者35名(男性22名,女性13名)とした。[方法]候補となる要因を年齢,Brunnstrom stage,立位バランス,上肢筋力,腹筋力,下肢筋力,足底感覚,および認知機能とし,これらの要因と歩行能力を評価した。歩行能力に影響する要因をロジステック回帰により分析し,ROC 曲線から歩行自立を判別するカットオフ値を検討した。[結果]歩行の可否に影響を及ぼす要因は,麻痺側下肢筋力とHDS-R 得点が選択された。歩行自立を判別するそれぞれのカットオフ値は,麻痺側下肢筋力では体重比24%,HDS-R 得点では25点であった。[結語]脳卒中片麻痺患者の麻痺側下肢筋力とHDS-R 得点によって,歩行自立を判別できる可能性が示唆された。
著者
原田 敬子 平田 純生 奥平 由子 閑田 なるみ 山澤 紀子 山本 員久 東 治人 安田 英煥 小野 秀太
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.213-217, 2005-03-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

H2拮抗薬ラフチジンによると思われる幻覚・幻視, 異常発言などの精神神経症状がみられた血液透析患者2症例を経験した. 症例1は64歳男性, ラフチジン20mg/日を10日間投与した後, 幻覚・幻視を訴えた. 症例2は55歳男性, ラフチジン20mg/日開始後6か月目より幻覚症状が発現し, その際の血漿ラフチジン濃度は918.8ng/mL (透析前) であり, それは腎機能正常者に同量投与した時の平均ピーク濃度の4.5倍であった. 2症例ともラフチジン投与中止後精神症状が速やかに消失したことから本剤の中毒症状であると考えられた. ラフチジン錠は尿中未変化体排泄率は10.9%であるもののバイオアベイラビリティが不明である. そのため腎機能に応じた投与設計は容易ではなく, 透析患者に対しては他の腎排泄型H2拮抗薬と同様に慎重に投与する必要があると思われた.
著者
池知 良昭 石橋 裕 小野 健一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.478-484, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
22

【目的】終末期がん患者に対する作業療法士の実践自己評価尺度(Self-Rating Scale of Occupational Therapists for Terminal Cancer patients;以下,SROT-TC)の基準関連妥当性を検討すること.【方法】終末期がん患者に関わる作業療法士を対象とし,郵送法にてSROT-TCと対象者の作業療法実施状況と作業機能状況について回答を求めた.【結果】有効回答数は106通であり,SROT-TCと作業療法実施状況に中等度以上の有意な相関を認めた(r=0.417~0.523).【結論】SROT-TCは一定以上の基準関連妥当性がある.
著者
小野 弓絵
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2-3, pp.75-80, 2019-06-10 (Released:2019-08-20)
参考文献数
7

Digital signal processing is one of the fundamental technologies utilized in the field of biomedical engineering. Typical purposes of digital signal processing are acquisition and analysis of biological signals, noise reduction and extraction of the required signals, and identification of biological systems. This introductory article provides some basic ideas and techniques of digital signal processing in biomedical engineering:biosignal sampling, spectrum analysis, and filter design.
著者
竹内 智志 大熊 孝 小野 桂 知野 泰明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.89-98, 1999-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
45
被引用文献数
1

Furniguruma is a man-powered waterwheel which was invented in the late seventeenth century and which came into nation-wide use in the middle of the Edo era. For a long time, its main function was to irrigate rice fields until steam pumps and electric pumps were finally introduced.And, appropriately placed, Furniguruma proved its great power for helping drain underground water at engineering works in those days. Therefore, Furniguruma should be credited for technical advances in agricultural and civil engineering in the middle of the Edo era. However, there has not been much attention paid to Furniguruma in historical studies on civil engineering so far.In this paper, we describe the Furniguruma's ability to pump water and suggest its influence on Kisyuryu, a school of civil engineering in the Edo era.
著者
藤川 佳則 阿久津 聡 小野 譲司
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.38-52, 2012-12-20 (Released:2013-10-01)
参考文献数
48
被引用文献数
6

本論文は,サービス研究における「サービス・ドミナント・ロジック」の視点から,企業と顧客が共に価値創造に加わる「価値共創」プロセスについて論考する.既存研究の「単純,リニア,事前計画的」なプロセスと,我々の定性調査の初期知見が示唆する「複雑,ダイナミック,事後創発的」なプロセスを対比し,「アフォーダンス」,「コンテクスト」,「カルチャー」をキーワードとしたダイナミックモデルの構築への試論を展開する.
著者
白井 康大 中村 知史 鈴木 麻美 大坂 友美子 大西 健太郎 栗原 顕 小野 裕一 澤田 三紀 清水 茂雄 大友 建一郎 坂本 保己 磯部 光章 内藤 滋人
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.SUPPL.3, pp.S3_61-S3_64, 2009 (Released:2015-01-23)
参考文献数
5

症例は32歳, 男性. 感冒様症状後の下腿浮腫を主訴に前医を受診し, 胸部X線上心拡大と肺うっ血を認め心エコーにてEF 18%と著明な低心機能を認めた. 冠動脈に有意狭窄は認めず, 生検の結果心筋炎の診断にてアンジオテンシンII受容体遮断薬 (ARB), β遮断薬, 利尿薬を投与され, 心不全は改善し退院後当院を紹介受診した. 初診時EFは25%, ホルター心電図にて非持続性心室類拍 (NSVT) を認めたが, β遮断薬増量にて1年後の心エコーではEF 71%まで改善を認めた. ホルター心電図にて不整脈は認めず, 加算平均心電図, T波オルタナンス検査はともに正常であった. ARB, β遮断薬のみ継続し外来フォローしていた. 心筋炎発症から2年後, 出張先の米国にて妻と電話中突然倒れ心肺停止となり救急隊の蘇生にても心拍再開せず永眠された. 急性心筋炎に伴う低心機能, 不整脈に関して著明な改善を認めるも, 遠隔期に心臓性と考えられる突然死をきたした1例を経験したので報告する.
著者
小野 真
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.1-24, 2011-06-30 (Released:2017-07-14)

近年、「宗教とは何か」という宗教学の根幹をなす問いが揺らいでいる。タラル・アサドによれば、この問いを発する我々の学的立脚点が、そもそも一定の時代的制約の中から生じた、世俗化した西洋近代という立場に依拠している。それゆえ、この問いに答えても宗教の普遍的定義は得られないことになる。それならば、「宗教とは何か」という問いは、空虚な問いになってしまったのであろうか。この点、「宗教」の定義を理論的に求めるのではなく、真の実在をリアルに求め、その途上で「空の立場」への実存的主体の転換を生ぜしめる、西谷啓治の立場は、アサドの立場と相互補完しうる可能性をもっており、現代でも独自の存在意義を持っている。アサドの権力理論は、近代国家に生きる者が宗教的実存へ転換することの困難さの再検討を西谷に提示する。他方、西谷の「空の立場」に基づく、仏教的修行関係における権力関係は、一神教的神観を背景とするアサドの権力理論をより深いところから補完し、アサドの立場と矛盾しない宗教の普遍的な概念を提示する可能性を持っている。
著者
近藤 高史 小野 武年 西条 寿夫
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.112, no.12, pp.812-821, 2017 (Released:2018-04-20)
著者
小野 昭
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.119, no.1, pp.1-8, 2011 (Released:2011-06-21)
参考文献数
35
被引用文献数
1

日本における旧石器時代研究の枠組みには多様な局面がある。しかし,2000年11月5日に暴露された前期・中期旧石器時代遺跡の捏造事件以降,日本列島における最初の確実な人類の居住が関心の焦点となってきた。まず日本の旧石器時代研究の現状を規定している歴史的経緯を示し,次にヨーロッパで立てられた旧石器時代の2分法,3分法にふれ,最後にその日本での展開に言及した。日本列島への最初の人類の居住時期については様々な説があるので,実際的には「酸素同位体ステージ3の考古学」として多様な議論を保証する必要がある。ただ筆者は,日本列島への人類の確実な居住はca. 40 ka以降であるとする立場から枠組み問題の論点を整理した。後期旧石器時代を遡る石器群の存在の証明のためには,諏訪間(2010)が提起したように,1)石器に残された明確な加工痕,2)偽石器の含まれる可能性のない安定した遺跡立地,3)層位的な出土,4)石器の複数出土,のすべての条件を満たす必要がある。しかし現在これを満足させる資料は無い。日本の立川ローム層最下部X層の段階を日本列島における最初の居住と位置づけることを骨太の仮説として提出し,この仮説は,追証よりも,今後反証条件を整えることで仮説をテストすることが有効であることを示した。
著者
木本 義明 港 洋平 稲本 林 紅林 真理絵 高柳 駿也 鈴木 雄一郎 石井 鈴人 根岸 良充 小野 公平 瀧田 麻衣子 村元 喬 大圃 研
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.42-44, 2021-06-25 (Released:2021-07-10)
参考文献数
2

In this study, we investigated Clear-Through® (Kewpie, Tokyo) with increased volume type.50 patients each were enrolled in group A (Clear-Through® with increased volume type), group B (Clear-Through® with normal type) and group C (no test diet). Quality of colon cleansing in each colon was higher in both groups A and B than in group C. The quality was significantly higher (p<0.05), but there was no difference between the A/B groups. On the other hand, in the A/B group, 70/62% of patients reported that each diet tasted "good" and 76/46% of patients reported that the amount of each diet was "moderate".Clear-Through® with increased volume type could have higher patient acceptance while maintaining colon cleansing.
著者
小野 弾
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.2_209-2_233, 2021 (Released:2022-12-15)
参考文献数
40

本稿では時事通信社の世論調査データの分析から、マクロレベルでの内閣支持の形成と変動の要因を検討する。内閣支持のサブクエスチョンである内閣支持理由にStimsonの再帰的二項モデルを適用し、「政権能力支持」、「漠然支持」 という内閣支持に関する2つのムードを析出した。数値の推移をみると、55年体制期は漠然支持、93年以降は政権能力支持ムードの値が高く、政権交代・制度改革を経て政権支持がより政権能力の評価に基づくものになっている。また、両ムードの組み合わせにより内閣支持率の93%が説明される。ベクトル自己回帰モデル (VAR) によって経済変数とそれぞれの支持ムードの関係を分析すると、日経平均株価は政権能力支持ムード、GDP成長率は漠然支持ムードに影響することがわかった。有権者は経済状況を判断材料として内閣支持を決定してきたが、55年体制期に比率が高かった漠然とした支持が経済成長に基づいたものであったのに対して、55年体制崩壊後に主となった政権の能力評価に基づく支持は日経平均株価からの影響を受けている。
著者
金山 佐喜子 小野 昌彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.157-169, 2007-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究では、保健室登校をしていた12歳女児への教室登校支援について検討した。彼女の保健室登校は教室での困難な課題からの回避の機能をもち、そして彼女の回避行動は養護教諭のかかわりによって維持されてきたと分析された。個別支援計画のおもな内容は、困難な課題を克服するための目標設定行動や支援依頼行動の指導、教室登校計画と授業準備の支援、学校や家庭との連携(母親指導含む)であった。1か月にわたる支援の結果、彼女は教室に復帰した。追跡調査の結果、支援終了後も教室登校は継続していた。
著者
小野田 亮介
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.158-174, 2021-06-30 (Released:2021-07-21)
参考文献数
16
被引用文献数
1 4

本研究の目的は,文章産出において書き手が想定する仮想の読み手に着目し,(1)読み手に合わせた文章産出が困難化する原因を解明し,(2)読み手に合わせた文章産出を促す方法について考案することである。研究1では,中学校2年生の1学級に対して,教示した読み手を説得するための文章産出課題を実施し,文章産出時に想定した仮想の読み手の特徴を報告するように求めた。その結果,読み手を教示したにもかかわらず,読み手を漠然と想定していたり,教示と異なる読み手を想定したりする生徒が認められ,具体的に読み手を想定したと報告する生徒であっても,読み手に合わせた文章を産出しない事例が認められた。そこで研究2では,中学校1年生の2学級を対象とし,読み手の想定を求める「対照条件」と,読み手を記述して固定する「可視化条件」との間で,仮想の読み手の特徴や文章の比較を行った。その結果,対照条件に比べ,可視化条件ではより具体的に読み手が想定されており,文章内の情報量や文章の説得力も増加していた。一方,読み手を可視化していても,文章産出前後で読み手の情報が精緻化されたり,質的に変化したりする読み手情報の変動性も認められた。
著者
馬場 駿吉 高坂 知節 稲村 直樹 佐藤 三吉 鈴木 茂 遠藤 里見 石戸谷 雅子 小野寺 亮 山田 公彦 大久 俊和 荒井 英爾 鈴木 雅明 大山 健二 粟田口 敏一 戸川 清 岡本 美孝 松崎 全成 寺田 修久 喜多村 健 石田 孝 馬場 廣太郎 島田 均 森 朗子 池田 聖 金子 敏郎 今野 昭義 山越 隆行 石井 哲夫 窪田 市世 鍋島 みどり 田口 喜一郎 石山 哲也 中野 雄一 中村 英生 五十嵐 文雄 古川 仭 作本 真 山下 公一 久保田 修 宇佐神 篤 伊藤 博隆 鈴木 元彦 間宮 紳一郎 横田 明 加藤 薫 大屋 靖彦 河合 〓 岩田 重信 横山 尚樹 井畑 克朗 瀧本 勲 稲福 繁 坂倉 康夫 鵜飼 幸太郎 雨皿 亮 山田 弘之 坂倉 健二 平田 圭甫 伊藤 由紀子 村上 泰 竹中 洋 山下 敏夫 久保 伸夫 中井 義明 大橋 淑宏 阪本 浩一 村田 清高 平沢 昌子 原田 康夫 森 直樹 白根 誠 多田 渉 小林 優子 竹林 脩文 河野 嘉彦 夜陣 紘治 平田 思 宮脇 修二 津田 哲也 山下 隆司 二階堂 真史 柿 音高 永澤 容 増田 游 後藤 昭一 西岡 慶子 折田 洋造 東川 康彦 武 浩太郎 進 武幹 前山 忠嗣 百田 統洋 堤 昭一郎 茂木 五郎 川内 秀之 松下 太 吉村 弘之 高田 順子 石川 哮 定永 恭明 大山 勝 松崎 勉 坂本 邦彦 廣田 常治 内薗 明裕 鯵坂 孝二 中島 光好
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.389-405, 1995-03-01
被引用文献数
13 16

The efficacy and safety of Kampo preparation Sho-seiryu-to were studied in a joint double-blind trial in comparison with a placebo. The study was carried out on 220 patients with perennial nasal allergy at 61 hospitals. Granules in a dose of 3 g were administered 3 times daily for 2 weeks. Moderate to high improvement was recorded in 44.6% of the treated patients and in 18.1% of those receiving placebo. The difference is significant (p <0.001). Side effects were noted in 6.5% of the treated patients and in 6.4% of the controls (not a significant deference). The side effects were mild and had no influence on the daily life of the patients.