著者
海老根 直之 北條 達也 中江 悟司 田中 宏暁 檜垣 靖樹 田中 歌 荒井 翔子 濱田 安重 石川 昂志 森川 綾子 鈴木 睦子 渡口 槙子
出版者
同志社大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,共に摂取した飲料と食物が互いの水分の吸収速度に与える影響と,体位の変換が水分の吸収速度に与える影響を検討することを目的とした.その結果,水分を速やかに補給するためには,飲料を固形食と同時に摂取するよりも10分先行して摂る方が有効であること,飲料の量と温度は飲料水分だけでなく共に摂取した固形食の水分の吸収にも影響しうること,加えて,体位を工夫することで水分の吸収を促進できる可能性が示された.これらの知見は,効果的な水分の補給法の確立には,従来行われてきた飲料単体に焦点を当てた検討だけでなく,食事や体位といった実用時に生じる要因も含めた検討の必要性を示唆するものである.
著者
中島 伸 田中 暁子 初田 香成
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.181-192, 2015 (Released:2017-08-10)

本研究は,城南住宅組合を対象に組合活動を通時的に分析し,住環境を下支えしてきた土地所有の状況など明らかにすることで,住環境の形成・維持へとつながる住民主体のまちづくりへの知見を得ることである。組合の活動記録の一次史料と土地所有形態の変遷を調べることで,理想的田園生活を目指した城南住宅組合は当初こそ別荘利用の形態で住宅地化が進まなかったものの,戦中,戦後より住宅地として居住実態が伴ってくると,当初より定めた規約による各住宅地での環境整備が進んだ。共同借地経営の住宅組合という組織ではあるが,土地所有など前提となる経営基盤が大きく変化する中で,住環境維持を目標にしつつも,居住者のコミュニティ活動を相互補完的に行う中で,組織活動を継続してきていることがわかった。
著者
齊藤 愼一 海老根 直之 島田 美恵子 吉武 裕 田中 宏暁
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.317-332, 1999-12-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
54
被引用文献数
2 2

エネルギー所要量は栄養所要量の基礎とされている。幼児期から高齢期まで生涯にわたり健康で活力のある生活を送るには, どれだけ食べればよいかを考えることに加えて適切な運動を生活に取り入れることが重要である。一方, 激しいトレーニングを行うスポーツ選手では, 不適切なエネルギー摂取は競技成績の低下につながりやすい。このような点から, 我が国に限らず世界各国で1日のエネルギー消費量の適正な測定法に関心が集まっている。二重標識水 (Doubly Labeled Water; DLW) 法は, エネルギー消費量測定法の比較的新しい方法であり, 実験室内でも実験室外でも幅広く使用できる。日常生活状態のエネルギー消費量を測定できるゴールドスタンダードであり, 得られた値はより実際に近い状況でのエネルギー消費量の基準となると考えられている。しかし, 使用する安定同位体の酸素-18 (18O) の価格及び分析機器が高額なので, 多数の被験者を用いる実験や疫学的調査あるいは教育プログラムへの応用には制限がある。ここでは, この原理と実際の測定について解説し, 加えて健康づくりの運動やスポーツへの応用についても述べた。
著者
楊 暁芃 高村 秀紀 真鍋 空 青山 純也
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成29年度大会(高知)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.261-264, 2017 (Released:2018-10-20)

断熱・気密性能は、断熱・気密部材の経年劣化により初期性能が保たれていないことが想定される。しかし、竣工10年以上経過した高断熱・高気密住宅の現状把握に関する報告事例は少ないため、竣工10年以上の高断熱・高気密の実態を把握する必要がある。本研究では、これまで事例の少ない竣工10年以上の高断熱・高気密住宅において室内温熱環境、換気風量および気密性能を計測し、高断熱・高気密住宅の経年変化による実態把握を目的としている。
著者
御堂 直樹 仰 暁清 池田 浩二
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.182, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】温かいスープはそのエネルギー量から予測される以上の満腹感をもたらすことが報告されている。その要因としては、品温、風味、粘度、油脂量等が複合的に関与していると考えられるが、明確になっていない。本研究では要因の1つと推測される品温に着目し、満腹感との関連を評価した。品温から受ける感覚は、夏と冬では異なると考えられることから、季節の違いについても併せて検討した。【方法】健常な成人16名(男性7名、女性9名、28.6±5.8歳)を対象とし、異なるサンプルは別の日に評価するクロスオーバー法にて評価を実施した。サンプルは、市販の粉末キノコスープ1食を150 mlの熱湯に溶かし、65℃(温スープ)または10℃(冷スープ)まで冷却したものとした。対象者にはスープを朝食の代わりに摂取してもらい、Visual Analog Scale (VAS)により、官能、満腹感、食欲および満足感の評価を行った。同様の評価を、夏(室温28.0±0.0℃、外気温28.8±2.6℃)と冬(室温17.3±1.3℃、外気温0.4±0.7℃)に実施した。【結果】夏の評価では、温スープと冷スープによる満腹感は摂取直後に上昇し、徐々に低下するという同様の推移を示し、双方の間で有意差は認められなかった(直前9.4±3.3 vs. 8.1±2.5 mm、直後53.5±7.2 vs. 56.3±7.2 mm、30分後32.6±6.0 vs. 37.4±6.1 mm、60分後15.5±4.8 vs. 14.9±4.0 mm)。一方、冬の評価では、温スープは冷スープに比べ、摂取直後および30分後の満腹感が有意に高かった(直前10.0±3.4 vs. 7.1±1.7 mm、直後61.5±7.4 vs. 50.3±6.6 mm、30分後40.3±6.7 vs. 29.0±5.1 mm、60分後15.5±4.7 vs. 15.2±4.6 mm)。満足感についても同様の傾向が認められており、満腹感または満足感を目的変数、官能評価各項目を説明変数とした重回帰分析の結果、摂取30分後の満腹感や満足感はおいしさと相関した。従って、季節に合った品温のスープのおいしさが、満腹感や満足感をもたらす要因の少なくとも1つであると考えられた。
著者
田部 大樹 宮島 功 塚田 暁
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.118-126, 2023-08-15 (Released:2023-09-15)
参考文献数
20

【背景】胃切除術後の体重減少は重要な課題であり栄養量の確保が必要であるが, 高齢患者が増加している. そこで75歳以上の胃切除術後患者において術後入院中の摂取エネルギー量と長期的な体重減少の関連を検討した. 【方法】胃がんに対して胃切除を行った88名を75歳未満と75歳以上の患者で比較した. その後75歳以上の46名を平均摂取エネルギー量が基礎代謝量の50%以上を確保群, 50%未満を不足群に分け, 術後6カ月の時点までの体重変化率を比較した. 【結果】確保群において, 術後3・6カ月の時点の体重変化率が抑えられ, 術後の補助化学療法を施行していた患者が少なかった. 重回帰分析を行ったところ, 術後3カ月の時点の体重変化は (Basal Energy Expenditure : BEE) に対する充足率, 術後6カ月の時点の体重減少は術後補助化学療法の有無がそれぞれの予測因子となった. 【結語】75歳以上の胃切除術後患者では基礎代謝量に対する術後入院中の摂取エネルギー量の充足率が術後3カ月の時点での体重変化を予測しうる.
著者
鈴木 則子 脇田 晴子 平 雅行 梅澤 ふみ子 久保田 優 武藤 武藤 三枝 暁子 成田 龍一 武田 佐知子 小林 丈広 白杉 悦雄 谷口 美樹 福田 眞人 脇田 修 濱千代 早由美 長 志珠絵 尾鍋 智子 菅谷 文則 山崎 明子 加藤 美恵子 栗山 茂久
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本の歴史のなかで女性の周縁化(地位の劣化)が進行していく過程を、女性の身体に対する認識の歴史的変化に着目しつつ、医学・衛生・宗教・地域・出産/月経という主として五つの側面から検討を加えた。伝統的医学と近代医学それぞれの女性身体観、近代衛生政策における女性役割の位置づけ、仏教と神道の女性認識の変遷、血穢などに対する地域社会の対応の形成等について明らかにしえた。
著者
伊藤 誠 須藤 哲也 高橋 暁史 原 崇文 岩野 龍一郎
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.143, no.5, pp.398-404, 2023-05-01 (Released:2023-05-01)
参考文献数
22

In this study, a direct drive in-wheel system is proposed as a high power density system for reducing the intermediate parts, such as a speed reducer by increasing the torque. We propose a design strategy to show that multipolarization and the improvement of the gap magnetic flux density can effectively increase the power density. A Halbach array magnet rotor that combines the main electrode magnets and spoke magnets with the core is adopted as a technique for improving the gap magnetic flux density. We compare the Halbach array type rotor to the conventional SPM type rotor by using both of magnetic circuit calculation and FEM analysis. Moreover, the actual sized in-wheel motor prototype with the developed Halbach array magnet rotor is fabricated and measures the no-load induced back EMF. The measured no-load induced back EMF agrees well with the analyzed waveform.
著者
飯岡 由紀子 大場 良子 廣田 千穂 森住 美幸 小菅 由美 真鍋 育子 清崎 浩一 馬場 知子 関谷 大輝 小倉 泰憲 儀賀 理暁 黒澤 永
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-10, 2023 (Released:2023-01-24)
参考文献数
32

【目的】「多職種連携におけるコーディネート力尺度(MCAS)」を開発し,がん医療に携わる医療専門職を対象に信頼性と妥当性を検討することである.【方法】MCAS原案を作成し,医療専門職などを対象に内容妥当性・表面妥当性を検討した.さらに,医療機関に勤務しがん医療に携わる医療専門職者を対象に横断的質問紙調査を行った.探索的因子分析,既知グループ法,α係数算出,併存妥当性を検討した.研究倫理審査の承認を得て行った.【結果】MCASは探索的因子分析により4因子([討議を促進する力][基盤となる関係構築][セルフコントロール][課題解決に向けた取り組み])33項目となった.多職種連携研修会参加有,経験年数が長いほうがMCAS得点は有意に高かった.尺度全体および各因子のα係数は.80以上だった.併存妥当性検討は中程度の相関だった.【結論】MCASは尺度開発段階として信頼性と妥当性が概ね確保された.
著者
道山 晶子 藤井 暁彦 山田 京平 梅田 智樹 高田 順司 内川 純一 細田 誠也 山口 浩 松山 幸彦
出版者
日本プランクトン学会
雑誌
日本プランクトン学会報 (ISSN:03878961)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.83-92, 2022-08-25 (Released:2022-09-17)
参考文献数
34

In Ariake Bay, catches of the manila clam Ruditapes philippinarum have decreased considerably due to the low rate of larval return to adult habitats, shrinkage of larval networks among each local population, and shortening of the occurrence period of larvae. In this study, we examined the seasonal and annual occurrence trends of planktonic clam larvae and the environmental factors related to the quantity of larvae based on surveys conducted in the Ariake Sea between 2015 and 2018. In the Ariake Sea, emergence peaks with population densities of more than 1,000 m−3 individuals occurred during the spring and fall spawning seasons. In spring, the peak onset often occurred between late April and May, but trends also varied from year to year. In autumn, the peak period was observed at approximately the same time every year, from mid-October to November. The peak emergence of plankton larvae was thought to be related to water temperature.