著者
上田 貴雪 村上 浩介 筑木 一郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.236-244, 2006

国立国会図書館はこれまで,図書館および図書館情報学に関する情報誌「カレントアウェアネス」「カレントアウェアネス-E」を刊行してきたが,インターネットを通じた情報提供が図書館界においても一般的に行われるようになってきた昨今,速報性・情報量・効率性の観点から,両誌の課題が浮き彫りになってきた。両誌の編集を担当する調査情報係は,これらの課題を解消するため,CMSを用いてWebサイト「Current Awareness Portal」を構築し,新しい情報提供スタイルを試みた。本稿ではその取り組みと,試行の結果判明した課題を紹介する。
著者
釘本 健司 村上 健一郎 天海 良治 岡 敦子
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.171-172, 1995-03-15

我々は、東京大学医科学研究所と京都大学化学研究所の間を結ぶ、ヒトゲノム解析計画のためのインターネットであるGenomeNetのバックボーンを、両大学の協力を得て高速化した。このバックボーンでは、155Mbit/secのSTM(Synchronous Transfer Mode)-1による総延長880kmのSDII(Synchronous Digital Hierarchy)長距離専用線を用いている。現在、このバックボーン上でコンピュータ間の通信の様々な特性の計測を行ない、理論値との比較を行なっている。TCP/IPを用いた長距離高速ネットワーク(LFP,Long Fat Pipe)での通信では、高速な計算機を用いただけでは高いパフォーマンスの通信を実現できない。既存のTCPで用いられるアルゴリズムやパラメータが、伝送路が長距離になることによって起こる大きな伝送遅延を考慮したものとなっていないためである。本論文では、LFPにおけるボトルネックついてに説明した後、応答時間およびスループットの理論値を示す。
著者
村上 ひとみ 瀧本 浩一
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

地震時においては家屋の倒壊に至らない場合でも、住宅室内の家具什器による転倒・散乱被害が甚だしく、居住者が死傷したり、室内で出火延焼したり、避難ルートを失う危険性が高まる。室内被災の背景には、居住空間内の家財が増加・大型化していること、収納空間の不足と不適切な配置、内壁や家具の設計に固定への配慮が欠けていることなどの問題点が考えられる。このような実態を改善するには、居住者自身が室内空間被害の可能性と人的被害の危険度を客観的に認識し、家具の配置、住まい方を変えることによる危険度低減効果をシュミレーションにより視覚的かつ、定量的に認識できるような自己診断システムが望まれる。本研究では、1995年阪神・淡路大震災における震度と建物被害・室内被害に関するアンケート資料を分析して、震度を横軸とする家具の被害関数を導出した。具体的には住宅内で一般的な5種類の家具の4つの被害レベル(物が落ちる、転倒など)について正規分布関数を仮定し、数量化I類を用いて関数系のパラメータを求めた。上記の関数を基に室内危険度評価手法を提案した。さらにパソコン用CADのベースとプログラム環境を組み合わせ、居住空間の間取りを作成し、柱状体としての家具什器を入力・配置し、上記家具被害関数を用いてその環境における地震時被災危険度を推定するソフトウェアを開発した。1993年釧路沖地震で得られている室内被害調査結果を利用して、本ソフトウェアで推定される危険度と実被害を比較、推定の精度を検証した。ソフトウェアは推定結果を具体的かつ視覚的にわかりやすく表示し、震度の上昇に伴って増大する危険性を表示するなどの機能を有する診断用ソフトウェアとなっている。これによりインターアクティブなCAD環境を利用した住宅室内環境の地震危険度自己診断手法を提案するに至った。
著者
浅野 晃 篠原 進 村上 征勝 西島 孜哉 谷脇 理史 冨士 昭雄
出版者
共立女子大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

17世紀後半の作家井原西鶴の文学の魅力は、千変万化する語彙を縦横に操った新しい文体にあると言うことができる。処女作『好色一代男』(1682年刊)の冒頭部分「桜も散るに歎き、月は限りありて入佐山、友に但馬の国、かねほる里の辺りに‥‥」は、西鶴の個性的な文体の創造をみごとに示した好例である。ところが、現在、われわれは、西鶴語彙の索引を共有してはいない。本研究は、西鶴研究者が共同して、西鶴作品の語彙について、その統計分析のための基礎作業にとりくもうとしたものである。本年度の研究業績は、以下の2点にまとめることができる。(1)第1は、語彙をコンピュータ化するための実験、つまり、語彙を機械化するに当って、その可能な範囲を探る作業を開始したことである。まず、西鶴の代表作『好色一代男』『好色五人女』『日本永代蔵』をとり上げた。作品をデータ・ベース化し、研究会活動を通して、語彙の統計処理について、基本的な問題点を討議した。異体字や漢字の字体、仮名処理などの基本方針の方向を定め、コンピュータのいわゆる字書作りの作業に入ったのである。こうした作業と平行して、西鶴の全作品のデータ・ベース化の仕事も続行している。(2)第2の研究業績は、正確な西鶴作品を提供するための基礎作業に取りかかったことである。これは、最終的には、新しい『西鶴全集』の刊行に連なるものである。『定本西鶴全集』第1巻が世に出たのは、昭和26年8月のことであるから、それからすでに40数年の歳月が流れたことになる。現在の西鶴研究は、この全集を手懸りにして展開しているが、作品のテキスト研究も進歩を見せているので、現段階において、望みうる最高の西鶴全集と、西鶴語彙の総合索引を共有することになれば、西鶴研究はさらに大きな前進を見せることになろう。本研究は、以上の2つの分野において、基礎的な研究業績を築きはじめたものである。
著者
日野 実 村上 浩二 水戸岡 豊 平松 実 西山 俊一 細川 和幸 金谷 輝人
出版者
The Surface Finishing Society of Japan
雑誌
表面技術 = The Journal of the Surface Finishing Society of Japan (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.476-481, 2007-08-01
被引用文献数
1 3

This study examined the effects of alloying elements on zincate treatment and adhesion of electroless Ni-P coating onto various aluminum alloy substrate. Surface morphology of zinc deposition from the single zincate treatment and its adhesion were changed, depending on the alloying element. The zinc deposition from the double zincate treatment became thinly uniform, and the adhesion between aluminum alloy substrate and Ni-P coating was improved irrespective of the alloying element. However, the adhesion of A7075P aluminum alloy was inferior to that of other alloys.
著者
中牧 弘允 村上 興匡 石井 研士 安達 義弘 山田 慎也
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

平成11年度は、入社式、新入社員研修と社葬に焦点を置いて調査をおこなった。入社式と新入社員研修については大阪のダスキンで、一燈園とのつながりを明らかにした。社葬については、ソニーの社葬を調査し、国際色豊かな演出の中にソニーの企業としての特色と盛田会長のカリスマ的創業者としての性格を明らかにした。また、大成祭典、一柳葬具総本店といった葬儀社においても調査をおこない、社葬と社員特約の歴史的変遷を跡づけた。平成12年度は、前年度に引き続いて入社式、新入社員研修、社葬を追跡調査したほか、社内結婚についての調査もおこない、公と私の場が入り交じった日本独特の会社文化を明かにした。社葬と会社特約については、大阪の大手葬儀社である公益社を新たに調査した。平成11・12年度を通じて、九州の酒造関係の地場産業における儀礼調査、京都の伏見稲荷神社における会社儀礼の調査をおこない、伝統産業と宗教の関わり、会社ならびにサラリーマンの強化儀礼について研究をおこなった。それぞれの調査を総合して、報告書として「サラリーマンの通過儀礼に関する宗教学的研究」を作成した。
著者
三浦 秀一 中嶋 隆藏 熊本 崇 山田 勝芳 安田 二郎 花登 正宏 中嶋 隆蔵 寺田 隆信 村上 哲見 三浦 秀一
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

中世から近世にいたる旧中国の知識人が営んでいた知的活動の諸相を、文献実証額的手法に基づきつつ分析することにより、中国知識人の精神構造が歴史的にどう展開したかについて、総括的な理解と具体的な知見とを獲得することができた。成果の概略は、以下のとおりである。中国中世の仏教界を俯瞰すれば、有に執らわれず、無に陥らず、空有相即を旨とする理行二入の立場が、それに相対立する旧学の側からの、教学を軽んじ戒律を無みするものだとの激しい攻撃と、無なる心をつかみさえすれば形ある修道などどうでもよいとの甘い誘惑とを受けつつも、それらいずれにも屹然とした態度を堅持しつつ困難な歩みを踏み出した、といった構図にまとめることができる。そして、この対立の構図は、その後、一般知識人の精神生活に決定的な影響を与えたと考えられ、中国近世における知識人の精神構造の基本的な枠組みは、この構図を重層的に内面化することで形成されたと判断できる。例えば、北宋の士大夫は、みずからが如何に史に記録されるかについて並々ならぬ関心を抱き、その子孫をも巻き込んで、自身の「事迹」選述をめぐる自己保全運動を執拗につづけている。また、明末清初期の或る一族は、確証が竺少なるにもかかわらず北宋以来の名族との同宗を主張し、族譜の接合・系譜の行為を敢えておこなう。このほか、「封建」と「郡県」との是非をめぐる議論や、六経と史書とを表裏一体の関係で捉える主張が、時代をこえ飽くことなく蒸し返されるように、かれら知識人は、慥かに「有」としての命名・史書・祖法に固執する精神を把持してはいる。しかしながら、同時に、如上の議論が個々の時代社会に対する疑義ないし対案の提示としてなされている事実は、かかる「有」を越えつつそれを包み込む理論的装置をも、かれらがその精神構造の内部に確保していた証左であるとなせるのではないだろうか。
著者
村上 正秀 ZHANG P
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

実験は、ステンレス薄膜(10ミクロン厚)に細いスリットを入れてジグザグに整形して作った。これは、事実上平面ヒータと見なすことが出来ることが確かめられた。沸騰中のヒーターの平均表面温度はその電気抵抗変化から求めることが出来、これより、周囲のHe IIの温度や圧力等のいろいろな熱力学条件下において、沸騰状態における熱伝達係数を求めることが出来る様になった。同時にヒーターのすぐ上方で、沸騰に誘起されて起こる温度と圧力の変動も測定された。測定データから、上記の温度と圧力の変動は高度な相関をもっており、さらにその変動は可視化画像に見られるほぼ周期的な蒸気泡変形、急激な膨張と収縮の繰り返し、等とも同期していることが確かめられた。その内、大振幅変動については、カオス解析の観点からも解析され、各測定値の相互関係が詳しく調べられた。膜沸騰状態下での熱伝達係数は、ヒーター上方で計られた温度と圧力の変動にも強く依存することが分かった。3種類の膜沸騰状態、ノイジー、遷移状態、サイレントの各膜沸騰、における熱伝達係数の測定からは、沸騰状態はヒータ位置の静圧(液面からの深さに比例)に依存してそのモードが明らかに変わるが、熱伝達係数はそのモードに余り依存せずに大体同一であり、殊にλ点に近い温度では修正されたBreen-Westwater相関式で統一的に良く記述されることが確認された。さらに、これら沸騰モード間の分布マップも、温度-静圧-熱流束からなる、3次元表現として求められた。これら沸騰モードの差異は、その状態、特に蒸気-液界面の安定/不安定性に起因することも分かった。
著者
沢田 正昭 巽 淳一郎 西村 康 町田 章 村上 隆 二宮 修治
出版者
独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

陶磁器研究は肉眼観察が基本であるが、さまざまな自然科学的手法を駆使して得られた新しい知見が、産地や年代、さらには製作技法に関する理解を深める可能性を秘めている。本研究は、陶磁器の流通の実態を解明するために、自然科学的な方法論とその具体的な検証法の確立をめざすことを目的とし、米国スミソニアン研究機構と、奈良文化財研究所をはじめとする文化庁関係機関との間で1990年から実施している日米国際共同研究の一環として行なった。まず、陶磁器の産地推定に対する分析手法の確立をめざして、胎土に対する熱中性子放射化分析、蛍光X線分析の比較検討を行なった。分析対象には17世紀中葉の肥前産磁器を選び、生産地資料として現地窯跡出土資料、消費地資料として、東大構内遺跡やベトナムなど海外での出土資料も含めて検討した結果、双方の分析結果は良い一致を示すことがわかった。また、同じ資料に対して大型放射光施設SPring-8において高エネルギー蛍光X線分析を行い、新しい分析手法としての可能性を検証した。釉薬に関しては、瀬戸美濃産陶磁器資料を研究対象とし、蛍光X線分析による成分分析、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)による釉薬層の微細構造解析を行い、不均一な元素分布状態に対する新しい知見を得た。また、スミソニアン研究機構フリーア美術館所蔵の漢代緑釉に対する鉛同位体比測定から、産地推定の可能性を示唆することができた。さらにカンボジアにおける窯跡群の探査を実施し、窯構造の調査を行なうとともに、出土陶器片に対して熱ルミネッセンス法による年代測定も試みた。関係者の相互理解を深めるために研究会に加えて、日米の研究者が一堂に会する国際シンポジウムを開催し、本研究の成果を公開すると共に、陶磁器資料研究に対するさまざまな問題点を議論する機会を設けた。
著者
入江 功 滝川 清 小島 治幸 吉田 明徳 浅野 敏之 渡辺 訓甫 富樫 宏由 後藤 智明 村上 啓介 佐藤 道郎
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本調査は、平成10年から12年の3年間をかけて、九州各県にある九州大学,佐賀大学,長崎大学,熊本大学,鹿児島大学,宮崎大学,大分日本文理大学,九州共立大学,東海大学(静岡),東和大学などの大学が協力体制をつくり、(1)各大学が所在する県の海岸を対象に、海岸の景観・利用・防災に関する共通のアンケート用紙でサーベイし、(2)既往最大級の津波・高潮による浸水域を求め、これをとりまとめるものである。本調査が計画検討されていた平成10年頃には、既に次年度発足へ向けての海岸法の改正が検討中であり、学識経験者の海岸の開発保全に対する意見が要請される趨勢にあった。このため、少なくとも各大学の所在する地域の海岸については、十分な知識と理解を持っておくことが重要であると認識され、まず海岸の「防災」「環境」「利用」について、九州全域の海岸のサーベイを行うことになった。同時に九州沿岸は、南西域の津波、内湾および北部域の高潮に脆弱な海岸が多いため、津波計算、高潮計算をベースに沿岸の自然力に対する危険度をハザードマップで認知する手法を検討した。まず、海岸環境のサーベイにおいては、多くの評価項目から厳選した55項目を用い、各大学所属県の海岸を現地踏査した。その際撮影した海岸の写真画像を用い、別途写真画像のみで同じ55項目の評価項目で評点をつけ、現地踏査と写真画像とで評価結果がどの程度異なるかを主成分分析により調べた。その結果、両者の違いはほとんどないことが分かったので、今度は九州全海岸127地点について、写真画像のみを用い、17名程度の学生・職員により海岸環境の相対評価を行った。また、ハザードマップの在り方に付いては、3年間を通して議論の対象となった。まず、防災担当部局(者)は人間宣言すべきであること、すなわち、その危険度に至る前提、不確定さを明示すること、危険度としては、可能最大の自然力を対象とすること、宮崎海岸のように津波警報等の住民伝達が間に合わない場合の避難システムをマップ表示すること等の意見が出された。結局数値計算結果に、これらの考え方をどう生かして行くかの議論が締めくくりにもなった。
著者
斉藤 和雄 田宮 久一郎 青梨 和正 瀬古 弘 小司 禎教 川畑 拓矢 大関 誠 原 昌弘 柳野 健 中澤 哲夫 國井 勝 田中 博 古本 淳一 永戸 久喜 村上 正隆 田中 博 津田 敏隆 古本 淳一 若月 泰孝 林 修吾 露木 義 小泉 耕 西嶋 信 石川 宜広 本田 有機 三好 建正 経田 正幸 山口 宗彦 澤田 謙 酒井 亮太 米原 仁 小野 耕介 津口 裕茂 藤田 匡 三上 彩 近藤 圭一 劉 國勝
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

集中豪雨を数値モデルで予測するため、大気の3次元的な状態を観測データを用いて精度良く解析する研究、および予測の信頼性を定量的に見積もる手法の研究を行った。非定時の観測データを同化する高解像度4次元変分法の開発、GPSデータ、マイクロ波放射計データ等の同化実験を行い、豪雨の予測が改善できることを示した。アンサンブル予報の手法をメソ現象の短時間予測に適用し、予報誤差を定量的に見積もる手法を示した。
著者
村上 處直 佐土原 聡 岡西 靖
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.7, pp.390-393, 1997-11

In earthquake, we must rescue person buried alive form collapse buildings as soon as posible. Rescuing person buried alive quikly connects high suvival rate. But firemen were very short of hands in great HANSIN earthquake. It is necessary to adjust the pan between neighborhoods and firemen for rescuring person buried alive quickly. Rescue instrument must be developed to assume the environment in colapse buildings.
著者
斗内 政吉 村上 博成 川山 巌
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

システム開発においては、固浸レンズやガルバノスキャナーを用いた新規なレーザーテラルツエミッション顕微鏡を構築し、空間分解能1μm以下でかつスキャン時間が数秒であといった高分解能かつ高速性能を持つことを確認した。また、このシステムを用が、半導体集積回路の欠陥検査等に有効であることを示した。一方、強誘電体からのテラヘルツ放射を、結晶構造および配向制御した薄膜を用いて系統的に観測し、そのメカニズムを明らかにした。
著者
石川 烈 吉江 弘正 村上 伸也 栗原 英見 和泉 雄一 西原 達次 岡野 光夫
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

現在行われている歯周治療では歯周炎の進行を阻止することにとどまり、歯周炎により破壊された組織を健常な状態に戻す再生治療には至っていない。歯周組織の再生研究は3段階の過程として示すことができる。第1段階は組織再生誘導法と呼ばれる処置で、破壊された歯周組織への上皮の侵入を阻止し、周囲の組織からのその部位への細胞増殖を待ち、定着させる方法である。これに対して第2段階の進歩は単に待つのみではなく、成長因子等を加えることにより積極的に再生を導き出そうとするものである。本研究班では川浪らはBMP-2を、和泉らはGDF-5を、村上らはβ-FGFを用いて研究を進め、それぞれの成果を示しているが、いずれも期待させる成果を得ている。第3段階の進歩は再生を導く歯周組織細胞を欠損部に直接用い、更に確実に再生を導こうとする研究である。即ち自己細胞移植を軸とした組織工学を応用した新しい歯周組織再生治療法を世界に発信することである。栗原らは骨髄からの間葉系細胞を用いて、吉江らは骨膜間葉細胞を用い、五味らは歯髄細胞を用い、大石らはヘルトビッヒ上皮鞘細胞を用い、太田らは自己増殖細胞歯根膜組織を用いてその再生機構を追求した。石川らは岡野の開発した温度応答性培養皿を用い、ヒト歯根膜細胞のシートを用いた歯周組織の再生を試みた。この結果、自己歯根膜シートを歯周組織欠損部に移植することにより、ほぼ完全なセメント質とシャーピー線維を伴う歯周組織の再生が得られることを見出した。渡辺はその臨床応用を可能にするCPCを構築した。基礎研究として小方らは石灰化機構に重要な役割を果す骨シアロタンパク質の転写促進機構を明らかにし、西原らはムコ多糖類のコンドロイチン硫酸の破骨細胞分化抑制機構を明らかにした。これらの研究は2回にわたって研究成果報告会として発表され、公開された場で充分な討議を行い、真の再生治療への可能性が高まった。
著者
床谷 文雄 村上 正直 伊達 規子 栗栖 薫子 高阪 章 大槻 恒裕 村上 正直 大久保 規子 長田 真里 内記 香子 栗栖 薫子 高阪 章 大槻 恒裕
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

EU(欧州連合)による経済的、政治的統合の過程が深化し、EU加盟国内の国家法、司法制度の運用に強い影響を及ぼしている。専門家を招聘し、研究会で検討を進めたところ、EU主導による統一的な私法制度の形成に向けた動きが、契約法のみならず、家族法、国際私法においても具体化しつつあることが明らかとなった。EUによる規範形成の効果は、スイス、ノルウェーといった非加盟欧州国へも実質的に及ぶうえ、豪州、ニュージーランドといったアジア・太平洋諸国にも影響し、東アジアでも共通経済圏、共通法形成への胎動がみられる。
著者
奥谷 昌之 村上 健司
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

近年、製膜技術は様々な方式が開発・実用化されているが、その多くは高温加熱や真空を要する。最近は低融点材料基板上への製膜の需要が多く、本研究グループでは沿面放電技術に着目した。沿面放電は誘電体バリア放電に分類され、常温・大気圧下で高エネルギープラズマが平面上に発生することが特徴である。本研究では、この技術を酸化亜鉛の製膜へ応用するとともに、ダイレクトパターニングへの利用を試みた。
著者
山崎 秀夫 吉川 周作 南 武志 長岡 信治 國分 陽子 井上 淳 藤木 利之 辻本 彰 村上 晶子
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

研究成果の概要:明治維新以降のわが国の産業近代化と環境汚染の歴史的変遷を,古くから造船業などの重工業が盛んで,原爆にも被災した長崎市をフィールドにして検討した.人為的に環境に排出された汚染物質は海洋や湖沼などの底質に蓄積されるので,本研究では水圏底質コアに記録された汚染の歴史トレンドを時系列解析した.わが国の代表的な工業地域である京阪神や首都圏と長崎市の環境汚染の歴史トレンドは大きく異なり,また長崎市では原爆による汚染物質の飛散の影響も残存していることが明らかになった.