著者
金森 一紀 魚谷 浩平 高倉 文嗣 西岡 真二 越野 健 藤村 政樹 中積 泰人 岡藤 和博 松田 保 上尾 友美恵 柴山 正美 川井 清
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.970-976, 1986-09-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
24

健常者および非発作期の気管支喘息患者を対象に深吸気の影響を検討した. Maximum expiratory flow-volume curve のV25をMEF25, これと同一肺気量における partial expiratory flow-volume curve のVをPEF25とし, Deep Inspimtion (DI) Index=(PEF25-MEF25)/PEF25を求めた. 健常者では若年者の DI Index は負となり深呼吸による気道拡張効果が認められたが, この効果は加齢とともに減弱し, 50歳以上では DI Index は正の値になった. 抗コリン剤吸入後には DI Index は有意に増加して正の値となり年齢差は認められなくなったことから, 若年者では迷走神経の緊張が強く気道の resting tone が収縮性に保たれていることが推測された. 気管支喘息のうち40歳未満で%FEV1.0≧70%の患者では DI Index は負となり, 抗コリン剤吸入後には有意に増加して年の値となったことから, 気管支喘息でも深呼吸の気道拡張効果は存在し迷走神経が関与していると考えられた.
著者
原 信子 越智 寿美江 柴山 卓夫 多田 敦彦
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.166-170, 2009

<p>肺容量減少術を行って7年が経過する慢性閉塞性肺疾患患者に対し,在宅における運動状況の聞き取り調査を行った.内容は歩行,買い物,下肢筋力トレーニング等であり7年間変化がなかったが,歩行数は当初1日に2万歩程度であったものが,術後3年目から1万歩程度に,7年目には7500歩程度と減少していた.運動の継続には公園での歩行,屋外での趣味,友人との外出,時間的余裕などの要因が有利に働いていたことがうかがわれた.</p>
著者
黒川 公平 今井 強一 柴山 勝太郎 山中 英寿 篠崎 忠利 登丸 行雄 北浦 宏一 高橋 溥朋
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.659-666, 1986
被引用文献数
7

上部尿路外溢流の5例を報告し診断治療について論じた.5例のうち3例が原因不明であり,うち2例は数日の安静で治癒し,他1例も約2週の安静で治癒した.残り2例は尿管結石,子宮癌術後の尿管狭窄の症例であり,前者は持続した疼痛,微熱のため切石術を行ない,後者は溢流尿による麻痺性イレウスを伴なったため狭窄部の手術を行なった.1968年〜1984年までの上部尿路外溢流の報告のうち記載の不十分な症例を除き,自験例を含む104例を検討した.腎盂自然破裂,自然腎盂外尿溢流,あるいは尿管自然破裂は鑑別することが非常に困難であるため,経皮的腎手術の経験をもとに,それらの新しい臨床的診断基準を提唱し,104例を再集計し診断治療にも言及した.
著者
柴山 翔二郎 中本 千尋 清水 剛 高柳 浩 西田 眞
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.257-258, 2018-08-29

働き方改革を具現化するため,ビジネスパーソンの生産性を向上させるアプリケーション構築に取り組んでいる.メール種別を自動分類し,その種別に応じたタスク支援機能を提供することを目指している.本研究では,実際のメールを用いて分散表現空間を構築し,一部のメールに教師ラベルを付与した.教師データを学習することで,メールのタスク種類を分類する分類器を構築した.
著者
山本 晃士 西脇 公俊 加藤 千秋 花井 慶子 菊地 良介 柴山 修司 梛野 正人 木内 哲也 上田 裕一 高松 純樹
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.36-42, 2010 (Released:2010-03-15)
参考文献数
10
被引用文献数
14 17

<背景・目的>手術関連死亡の最大原因は術中の大量出血であるが,その背景には外科的手技による止血が不可能な希釈性凝固障害という病態が存在する.したがって術中の大量出血を未然に防ぐには止血のための輸血治療が必要であり,その治療指針の確立が急務である.<方法・結果>術中の大量出血・大量輸血症例を後方視的に調査した結果,その60%強を胸部大動脈瘤手術,肝臓移植術,肝臓癌・肝門部癌切除術が占めていた.術中大量出血の背景にある止血不全の主要因は,出血量の増加にともなう凝固因子(特にフィブリノゲン)の喪失,枯渇であると考えられた.そこで上記症例の手術中に起こった低フィブリノゲン血症に対し,クリオプレシピテートおよびフィブリノゲン濃縮製剤の投与を行ったところ,速やかなフィブリノゲン値の上昇と止血の改善,および術中出血量・輸血量の顕著な減少(平均で30~40%減)を認めた.<結論>術中の出血量増加時には,フィブリノゲン値を確認した上で速やかにフィブリノゲン濃縮製剤を投与することが,大量出血・大量輸血を未然に防ぎ,手術患者の予後改善に大きく貢献するとともに,血液製剤の使用削減・有効利用につながると考えられた.
著者
大矢 淳 柴山 知也 中村 亮太 岩本 匠夢
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_880-I_885, 2016
被引用文献数
2

2011年台風15号を例として気象-海洋結合モデルを用いて再現計算を行う.次に,疑似温暖化手法を用いて作成した気象場を構築しこの統合モデルを適用し台風・高潮の将来予測計算を行う.さらに,高潮計算と先行研究で行われた津波計算とからそれぞれ浸水面積を算出し,治水経済調査マニュアルの方法に従って直接被害額と間接被害額を求める.本研究では,温暖化ガスの排出が多く,高潮の再現について比較的危険側に設定した場合における例を検討した.水害対策は防潮堤や内部護岸のかさ上げ,水門の新設,既存構造物の耐震強化,維持管理費用を含めた対策費用(以下:構造物費用)と家屋のピロティ化(以下:高床化)の費用の2つを検討した.台風と地震の発生確率を基に50年間の予想被害額は高潮で5.76兆円,津波で13.99兆円となった.構造物費用は,50年間で2.12兆円となり,高床化にかかる費用は51.3兆円となった.海岸構造物強化の対策を行った場合の費用便益比は9.32,高床化の場合には津波の浸水域で1.32となり,高潮の浸水域で0.38となった.
著者
神前 英明 柴山 将之 大脇 成広 清水 猛史
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6Supplement2, pp.S162-S166, 2007-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
14

頸椎原発の悪性リンパ腫に対し、プレート併用前方固定術後、遅発性の咽頭穿孔と嚥下性肺炎が生じた1例を経験した。症例は72歳、男性。2002年6月に頸椎原発の悪性リンパ腫に対し、C4-6までプレート併用の前方固定術、放射線治療、化学療法を行い寛解に至っている。2006年3月に嚥下性肺炎にて入院。咽頭後壁より金属プレートが露出、右梨状部に唾液貯留がみられた。VF所見では、右食道入口部開大不全とそれに伴う嚥下運動後誤嚥がみられた。頸椎プレート抜釘、咽頭縫縮を施行した後、瘢痕狭窄と思われる食道入口部開大不全によるバリウム誤嚥が認められた。バルーンカテーテル訓練法を行い、常食摂取可能となった。本例のような瘢痕狭窄による嚥下障害に対してもこの方法は有用であると考えられた。
著者
柴山 雄一
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科学会雑誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.18, no.12, pp.1435-1444, 1966-12

正常分娩の子宮収縮を知るため, Balloon法により, Planimeter値, 振巾, 及び収縮回数の分娩経過による変化を計測し, これ等を統計的に観察して, それぞれの基準曲線を得た. また, 子宮収縮剤であるOxytocinの分割注射並びに点滴静脈内注射の効果について研究し, 次の成績を得た. I. 分娩時子宮収縮の時間的経過(i) (a)Planimeter値: 平均値及び分散ともに時間経過に従つてバラツキに大小があつた. 平均値は, 分娩前50分まではほゞ安定し, 140~100mmHg分であつて, 分娩前40分になると148mmHg分とやゝ増加し, 分娩前30分値167, 20分値173, 10分値191mmHg分と上昇する. (b)振巾: 時間的経過につれて平均値及び分散が均一でない. 振巾はあまり一定の傾向の変化は認められないが, 分娩前6時間の収縮が平均47.2mmHgと比較的高く, 5~4時間値37.8mmHgと低くなり, その後, 2時間半までは40~45mmHgである. その後, 再び38mmHgに低下し, 38~40mmHgが分娩前40分まで続く. 分娩前30分になると, 49mmHgと上昇する. 振出の異常に高いのは96mmHgであつた. (c)収縮回数: 分娩前6時間までは10分間3回であるが, 2時間から4回以上となり, 分娩前50分では4.7回, 20分値4.9, 10分値5.5回と増加した. 回数の少い場合は1.1回以下, 多すぎるのは7~8回以上である, (ii)過強陣痛として, Planimeter値300mmHg分, 振巾80mmHg, 収縮回数7回以上が該当し, 微弱陣痛は, Planimeter値50mmHg分, 振巾10mmHg, 回数1回以下である. (iii)初産と経産とでは, Planimeter値収縮回数は殆んど差がないが, 振巾のみが, 分娩前2時間から50分までの間で経産婦が大きくなつている. (iv)分娩に要する子宮収縮のPlanimeter値は, 初産婦5956, 経産婦2775mmHg分. 振巾の合計は, 初産婦10586, 経産婦5221mmHg, 収縮回数は, 初産婦254回であり経産婦では119回であつた. II. 分娩時Oxytocin分割注射並びに点滴静脈内注射による子宮収縮増強(i) 0.5単位及び1.0単位の効果は顕著であるが, 1.5単位以上の使用は, 単に前回注射の効力の維持に過ぎない. (ii)分割注射は0.5~2.0単位を30分おきに皮下注射したが, 0.5単位皮下注射により10分間で, 収縮回数1.6回, Planimeter値54.8mmHg分の上昇を見, 20分後には振巾が増加したが回数は増加せず, 振出は30分後には最高の12.9mmHg増加となつている. 即ち, Oxytocin皮下注射によりまず収縮回数が増加し, 少し遅れて振巾が増加する. Oxytocinを増量追加すると, 振巾は増加するが, 回数は殆んど変化しない, Planimeter値は回数とほゞ同じ傾向を示す. (iii) Oxytocin点滴静脈内注射による子宮収縮は, 10分後には平均73.9mmHg分と著明に増加し, 0.5単位皮下注射のときの値に近い. 20分後79.7, 30分後77.2, 40分後69.9とやゝ下降し, 50分86.8, 60分99.0mmHg分と再び上昇する. 10mU/分の速度によるOxytocin点滴静脈内注射は, 自然分娩に近い収縮を示している. 即ち, 分娩時間を基準にしてみると, 分娩前40分値がやゝ高いが, その他は分娩1時間前はOxytocin点滴静脈内注射による子宮収縮は自然分娩に近い収縮である.
著者
松岡 美樹子 原島 沙季 米田 良 柴山 修 大谷 真 堀江 武 山家 典子 榧野 真美 瀧本 禎之 吉内 一浩
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.52-57, 2016 (Released:2016-02-26)
参考文献数
10

近年, 摂食障害と発達障害との関連が指摘されている. 今回, 発達障害の合併が疑われ, 知能検査の施行が治療方針変更の良いきっかけとなった1例を経験したので報告する. 症例は32歳女性. X−21年に過食を開始し, 過食, 自己誘発性嘔吐や食事制限, 下剤の乱用により, 体重は大きく変動した. X−6年に神経性過食症と診断され, 入退院を繰り返した. X年に2型糖尿病に伴う血糖コントロールの悪化をきっかけに食事量が著明に低下し, 1日数十回の嘔吐を認め, 当科第11回入院となった. 生育歴やこれまでの経過から, 何らかの発達障害の合併が疑われたため, ウェクスラー成人知能検査を施行した. その結果, 動作性IQが言語性IQに比して有意に低値であり, 注意欠陥多動性障害を疑う所見も認められた. 退院後atomoxetineを開始したところ, 過食・嘔吐の頻度が週に1, 2回程度に減少し, その後も安定した状態を維持している.
著者
富田 浩章 柴山 守 荒木 義彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.42, pp.7-12, 1996-05-17
参考文献数
5
被引用文献数
4

ワークステーション()上での古文書のビデオ静止画像における画像処理による文字のセグメンテーションとパターン字書作成の手法を提案する。古文書では続け字が多く、文字毎のパターン字書は作成することが困難である。そこで画像処理、特に2値化処理により文字の特徴、ならびに文字の分割を明確にし、文字毎のパターン字書を得る。また、2値化レベルの変動にともなうセグメンテーションの変化についても検討、考察する。We propose a method of character segmentation and pattern dictionary using image processing in a static video image of "Komonjo" on the workstation. In the "Komonjo" there are many characters connecting with others, so it is difficult to construct a pattern dictionary of every character. So using binary level control, characteristics of character and character segmentation become clear and we get the pattern dictionary of every character. We examine segment variation by a change in binary level.