著者
橋本 毅彦 岡本 拓司 廣野 喜幸 鈴木 淳 梶 雅範 鈴木 晃仁 柿原 泰 金 凡性 石原 孝二
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

事故や災害の発生を防止したり緩和したりするために、様々な安全基準や規約が設けられている。本研究では、そのような各種の事故災害への対応と基準規約の制定に関して、航空・電力・防火・治水・保険・化学・医薬・医療などの工業医療分野において取り上げ、その歴史的過程を分析しようとした。産業社会を支えるそのような巨大な技術システムの基準・規約の全体を取り上げることはできないが、その顕著な側面やよく知られていないが重要な事例などを明らかにした。
著者
梶野 瑞王 石塚 正秀 五十嵐 康人 北 和之 吉川 知里 稲津 將
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

はじめに2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い大気中に放出された放射性Csは、東北・関東地方において広範囲に沈着した。事故約1年半後の2012年12月以来、避難指示区域内に位置する福島県浪江町・浪江高校津島分校の校庭において、放射性Csの大気濃度の長期間変動と、陸面に沈着した放射性Csの再飛散を評価するために、連続観測が行われて来た。本研究では、約30年と半減期の長い137Csを対象として、再飛散モジュールを実装した3次元物質輸送モデルと、避難指示区域内(浪江高校)と区域外(茨城県つくば市)の2地点の長期間大気濃度観測結果を用いて、東北・関東地方における再飛散を伴う137Csの収支解析を行った。期間は2012年12月から2013年12月までの約1年間を対象とした。手法モデル:ラグランジュ型移流拡散モデル(梶野ら, 2014)を用いた。気象庁メソ解析データ(GPV-MSM)を用いて、放射性物質の放出、輸送、沈着、反応、放射性壊変を解く。土壌からの再飛散は、浪江高校校庭におけるダストフラックス観測に基づいて開発された再飛散モジュール(Ishizuka et al., 2016)を用いた。植生からの再飛散については、メカニズムが明らかになっていないため、放出率は一定として137Csの航空機モニタリング結果による地表面沈着量(減衰率は放射性壊変のみ考慮)と森林面積および植物活性の指標としてGreen Fraction(Chen and Dudhia, 2001)を掛け合わせたものを用いた。観測:大気濃度は、浪江高校校庭および茨城県つくば市の気象研観測露場(Igarashi et al., 2015)でハイボリウムエアサンプラーを用いて捕集されたエアロゾル中の137Cs濃度の測定値を用いた。サンプリングの時間間隔はそれぞれ、浪江高校は1日間、気象研は1週間である。結果浪江における137Cs濃度は、冬に低く(0.1 – 1 mBq/m3)夏に高い(~1 mBq/m3)傾向が見られ、つくばにおける濃度(0.01-0.1 mBq/m3)に比べて1桁程度高かった。モデルにより計算された2地点間の濃度比は、観測の濃度比と整合的であった。土壌からの再飛散は、逆に冬に高く夏に低くなる傾向があり、絶対値は冬季の浪江の観測値を説明できるレベルであるが、夏季の濃度ピークを1-2桁程度過小評価した。解析期間中の原子炉建屋からの放出量は約106 Bq/hr程度(TEPCO, 2013など)であり、浪江の観測値を説明できるレベルではなかった(2-3桁程度過小評価)。植生からの再飛散計算結果は、浪江の季節変動をよく再現し、10-7 /hrの放出率を仮定すると、観測濃度の絶対値と同レベルとなった。依然、事故から5年が経過した現在でも再飛散のメカニズムは明らかにされておらず、観測・実験に基づいたメカニズムの解明研究の発展が望まれる。参考文献Chen and Dudhia, Monthly Weather Review, 129, 569-585, 2001.Igarashi et al., Progress in Earth and Planetary Science, 2:44, 2015.Ishizuka et al. Journal of Environmental Radioactivity, 2016, in press.梶野ら, 天気, 61, 79-86, 2014.TEPCO, 2014 原子炉建屋からの追加的放出量の評価結果(平成26年3月)
著者
梶田 健史 山守 一徳 長谷川 純一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.1736-1744, 1996-09-15
被引用文献数
32

スペースの限られたポスターやパンフレットなどにしばしば使われるデフォルメ地図(意図的な変形をともなう略地図)は 単に地図情報の伝達だけでなく人間の感性やデザイン感覚を表現するメディアとしても大変興味深い. 本論文では このようなデフォルメ地図を自動生成するシステムについて述べる. 本システムの道路変形手順は認知地図の分野における「交差点の直交化」という心理モデルに基づく. また 道路変形にともなうランドマークの移動・変形にはfield morphingの手法を利用する. 最後に 本システムの有効性を実際の道路地図を用いた実験で示す.Deformed maps used often in posters and leaflets with limited space are very interesting media not only for guidance of particular locations, but also for representation of the designer's sensitivity. This paper presents a prototype system for automated generation of a deformed map from a real map. A road deformation procedure developed here is based on a psychological model called "road orthogonalization at intersections" in the field of cognitive map. Landmarks in the map are rearranged according to the results of road deformation results using the field morphing technique. In the paper, the results of application to practical map data will be shown with promising results.
著者
伊藤 隆 御厨 貴 季武 嘉也 有馬 学 武田 知己 小池 聖一 梶田 明宏
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

近代日本史料情報の収集、整理、公開及び将来期待される史料情報機関への提言作成を目的として以下のような研究成果をあげた。1、史料収集ア)ヒアリング調査。史料所在に詳しい研究者を合計19名招聘し、ヒアリングを実施した。イ)史料所在調査。史料所在情報を収集するため、12回の出張を行った。さらにさまざまな史料目録類を収集した。また、中央官公庁に対し精力的に所蔵史料の問い合わせを行った。2、史料整理多くの研究協力者に手伝ってもらって、収集した史料群約20文書の整理を行った。その一部は既に目録を活字化したが、全体の量は膨大であったので残念ながら作業は完結せず、今後も整理を続行する予定である。3、ホームページの充実以前より開設しているホームページ(http//:kins.grips.ac.jp)に情報を追加するなど、その充実をはかった。また、他機関が行っているインターネット上での史料情報公開に関して考察を加え、その問題点等を探った。5、新機関への提言我々は会合の都度、どのような史料情報集約機関が望ましいのか、情報を交換し話し合ってきた。以上、詳細については研究成果報告書に譲るが、そのほかに本研究の成果を中心として『近代日本人物史料情報辞典』(仮題)という刊行本を出版する予定である。
著者
梶野 洸 鹿島 久嗣
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.133-142, 2012 (Released:2012-03-27)
参考文献数
16
被引用文献数
18 32

It has attracted considerable attention to use crowdsourcing services to collect a large amount of labeled data for machine learning, since crowdsourcing services allow one to ask the general public to label data at very low cost through the Internet. The use of crowdsourcing has introduced a new challenge in machine learning, that is, coping with low quality of crowd-generated data. There have been many recent attempts to address the quality problem of multiple labelers, however, there are two serious drawbacks in the existing approaches, that are, (i) non-convexity and (ii) task homogeneity. Most of the existing methods consider true labels as latent variables, which results in non-convex optimization problems. Also, the existing models assume only single homogeneous tasks, while in realistic situations, clients can offer multiple tasks to crowds and crowd workers can work on different tasks in parallel. In this paper, we propose a convex optimization formulation of learning from crowds by introducing personal models of individual crowds without estimating true labels. We further extend the proposed model to multi-task learning based on the resemblance between the proposed formulation and that for an existing multi-task learning model. We also devise efficient iterative methods for solving the convex optimization problems by exploiting conditional independence structures in multiple classifiers.
著者
横丸 敏彦 泉 知論 高橋 篤司 梶谷 洋司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.72, pp.1-8, 1995-07-20

LUTをベースとしたFPGAのテクノロジーマッピングに登場する,2段部分論理回路を最小数のLUTに割り当てる問題は,共通信号線を考慮しない場合,整数ビンパッキング問題となる.整数ビンパッキング問題ではビンの容量を固定した場合,全探索アルゴリズムにより多項式時間で最適解が求まることがよく知られているが,実用性に欠ける.本文では,整数ビンパッキング問題の高速近似アルゴリズムであるFFD法が容量を6以下に固定した時に最適解を求めることを示す.また,入力を制限することにより,容量を7および8に固定した時にFFD法が最適解を与えることを示し,容量を8以下に固定した場合に高速に最適解を求める多項式時間アルゴリズムを提案する.In technology mapping of Look Up Table (LUT) based FPGA, the problem of mapping a two-level subcircuit into LUTs is formulated as the Integer Bin Packing Problem without taking account of the advantage of input signals connected to more than one gate. It is known that Integer Bin Packig Problem can be solved in polynomial time by exhaustive search when the size of bins is fixed, however, which is not practical. In this paper, we show that First Fit Decreasing (FFD) which is a fast approximation algorithm solves Integer Bin Packing Problem when the size of bins is fixed to less than or equal to 6. We show that FFD gives optimal solutions for some class of instances when the size of bins is fixed to 7 or 8, and suggest a polynomial time algorithm which solves fast when the size of bins is fixed to less than or equal to 8.
著者
山崎 駆 酒井 義史 梶原 拓己 柴田 智広
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.881-884, 2023 (Released:2023-12-21)
参考文献数
19

In Japan, the shortage of caregivers due to the aging of the population is a serious issue and the demand for care robots is increasing. Changing and wiping, which is one of the main care tasks, is still not sufficiently skilled and is often carried out by carers alone. Against this background, we are developing a dressing assistance robot system. However, the task of picking hangers from the hanger rack was a bottleneck in our dressing assistance robot system. Therefore, we developed a hanger recognition method based on active object recognition for implementation in a dressing assistance robot system and improved the recognition accuracy. In this paper, the usefulness of a recognition method using active object recognition in the hanger recognition task is evaluated through experiments and future prospects for integration into a dressing assistance system are described.
著者
中根 俊成 溝口 功一 阿部 康二 熱田 直樹 井口 保之 池田 佳生 梶 龍兒 亀井 聡 北川 一夫 木村 和美 鈴木 正彦 髙嶋 博 寺山 靖夫 西山 和利 古谷 博和 松原 悦朗 村松 慎一 山村 修 武田 篤 伊東 秀文 日本神経学会災害対策委員会
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.643-652, 2020 (Released:2020-10-24)
参考文献数
57

東日本大震災の甚大な被害を踏まえて日本神経学会の災害対策活動はスタートした.2014年,正式に日本神経学会災害対策委員会が発足し,災害支援ネットワーク構築と指揮発動要件設定を行い,模擬訓練を実施した.2016年の熊本地震で我々は平常時の難病患者リスト作成,個別支援計画策定の重要性を認識し,避難所等における難病患者のサポートのあり方を検討した.2017年,我々は災害対策マニュアルを刊行し,難病患者の災害時調整役として各都道府県に神経難病リエゾンを配置することを定めた.神経難病リエゾンの役割は「被災地の情報収集・発信」,「医療支援調整」,「保健活動」であり,平常時と災害時の活動が期待される.
著者
篠崎 純子 藤井 孝吉 久永 真央 梶浦 貴之 岩崎 敬治 津田 孝雄 不藤 亮介
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.296-305, 2014-12-20 (Released:2016-12-20)
参考文献数
13

腋臭は特定の細菌(腋臭菌)によって発生するので,デオドラント剤には各種抗菌剤が配合されている。これらの抗菌剤は多菌種に作用するので,常在菌への影響が大きい上に,腋臭菌が耐性を獲得して効果が減少する可能性もある。また,未知の腋臭菌に対して抗菌剤が効かない可能性もある。以上から,抗菌剤に代わる新規デオドラント素材が求められている。そこでわれわれは,新規腋臭菌の分離と腋臭の主成分である3-hydroxy-3-metyl-hexanoic acid(HMHA)の産生を抑制する素材を探索した。その結果,新規腋臭菌として2 菌株,Anaerococcus sp. 株とCorynebacterium genitalium株を分離し,これら腋臭菌のHMHA産生を抑制する素材としてペンタガロイルグルコース(PGG)を見出した。PGGを用いたヒト試験では,細菌遺伝子解析からPGG塗付によって腋臭菌が減少し,常在菌の菌数変動は少ないことを確認した。一方,新たに開発した腋ガス捕集法により定量したHMHA濃度には今回の試験条件では統計的に有意な減少は認められなかったが,PGG塗布により官能評価で腋臭強度の有意な減少が確認された。以上から,PGGは既存抗菌剤とは異なり,細菌叢に大きな影響を与えずに腋臭菌のみを減少させ,腋臭を低減できることが示された。
著者
坂内 蓮 梶並 知記
出版者
一般社団法人 日本デジタルゲーム学会
雑誌
日本デジタルゲーム学会 夏季研究発表大会 予稿集 2023夏季研究発表大会 (ISSN:27584801)
巻号頁・発行日
pp.99-104, 2023 (Released:2023-10-28)
参考文献数
10

本稿では,対戦型格闘ゲームにおける解釈可能なリアルタイム勝利予測モデルを提案する.e-Sports の勝利予測研究の多くは,MOBA に焦点を当て,ゲーム進行度を時間によって定義する手法を主に採用している.しかし,対戦型格闘ゲームは試合時間にばらつきがあるため,この手法は必ずしも最適ではない.そこで本稿では,ゲームの進行度を時間ではなく体力量に基づいて定義するモデルを提案し,有効性を示す.
著者
岡 英明 本間 義人 恩地 芳子 櫻井 裕子 関本 美月 安藤 翔太 岩本 早紀 岩本 昂樹 近藤 美佳 梶原 浩太郎 牧野 英記 松田 健 近藤 陽一 佐藤 格夫 上村 太朗
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.583-589, 2021 (Released:2021-11-28)
参考文献数
29
被引用文献数
1

症例は73歳,男性.7年前に糖尿病性腎症で血液透析を導入,冠動脈ステント留置後で抗血小板薬を内服中であった.接触者検診で新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)と診断され当院に入院した.肺炎像は軽微であったが,D‒dimerが陽性でありヘパリンの予防投与を開始した.第2病日より38℃台の熱が続くため第4病日にデキサメタゾンを開始した.第6病日に腰痛が出現し,翌日には腹痛に変化した.同日の透析中にショックを呈し,貧血も進行しており透析を中止した.造影CTで左後腹膜出血と造影剤の漏出を認め,輸血を開始し感染対策を行った上で血管造影を行った.腰動脈出血を同定しコイル塞栓術で止血した.以後は貧血の進行を認めず,第60病日に転院した.COVID‒19では血栓性合併症が多くしばしば予防的ヘパリン投与が行われる.一方で抗血小板薬内服例や透析例は出血合併症のリスクが高く,抗血栓療法に関して慎重な判断が求められる.
著者
高木 潤野 梶 正義
出版者
長野大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は「場面緘黙」を対象とした大規模な実証的研究である。場面緘黙は話す力があるにも関わらず学校等で話せなくなってしまう状態である。適切な治療によって症状の改善が可能であるが、学校や医療現場において認知度が低く適切な対応が得られていないケースが多い。本研究では、縦断的調査によって場面緘黙の実態を解明し効果的な介入手法を確立することを目的とする。幼児期から中学生までの場面緘黙児200名を対象に、心理検査及び半構造化面接によって不安症や発達障害の併存、学校への適応状態、発症要因等を評価する。また5年間の縦断研究により心理療法等の介入の効果を比較することで、より効果的な介入方法を明らかにする。