著者
門脇 敬 阿部 浩明 辻本 直秀
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.183-189, 2018 (Released:2018-06-20)
参考文献数
23

【目的】発症後6 ヵ月経過した時点で歩行が全介助であった重度片麻痺者に対し,長下肢装具を用いて積極的な歩行練習を実施したところ,屋内監視歩行を獲得したため報告する。【対象】脳出血発症から6 ヵ月が経過したものの歩行に全介助を要する重度左片麻痺と高次脳機能障害および視野障害を呈した50 歳代の女性である。【方法】当院転院後,足部に可動性を有す長下肢装具(以下,KAFO)を用いて行う前型歩行練習を中心とした理学療法を実施した。【結果】麻痺側下肢筋力の一部は改善し,380 病日に四脚杖と短下肢装具を使用して屋内監視歩行が可能となった。【結論】重度片麻痺例に対してKAFO を用いた前型歩行練習は,下肢の支持性を向上させ,より高い歩行能力を獲得することに貢献できる可能性がある。発症から長期間経過した症例に対しても,必要に応じて下肢装具を積極的に使用し,機能の改善を図る視点をもつことが重要であると思われた。
著者
星 正治 坂口 綾 山本 政儀 原田 浩徳 大瀧 慈 佐藤 健一 川野 徳幸 豊田 新 藤本 成明 井上 顕 野宗 義博 原田 結花 高辻 俊宏 七條 和子 遠藤 暁 佐藤 斉 大谷 敬子 片山 博昭 チャイジュヌソバ ナイラ ステパネンコ ヴァレリー シンカレフ セルゲイ ズマジーロフ カシム 武市 宣雄
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

放射線による発がんなどのリスクは、ほぼ広島・長崎の被ばく者の調査により評価されてきた。その結果は国際放射線防護委員会(ICRP)での議論を経て、国内法である放射線障害防止法に取り入れられている。しかし原爆は一瞬の被ばくであるが、セミパラチンスクでは長時間かつ微粒子による被ばくである。従ってそのリスクは異なっている可能性がある。本研究は共同研究による被曝線量とリスク評価である。測定や調査は、1.土壌中のセシウムやプルトニウム、2.煉瓦、歯、染色体異常による被曝線量、3.聞き取り調査による心理的影響、4.データベースの整備とリスク、5.微粒子効果の動物実験などであり、被爆の実態を解明した。
著者
七條 和子 中島 正洋 高辻 俊宏
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

原爆被爆者について放射性物質が体内に取り込まれたという証拠はない。放射性物質の経口摂取や吸入は発がんリスクの増加に深く関わっている。1945年死亡した長崎原爆被爆者の保存試料に長崎原子爆弾の原料プルトニウムが存在し、70年経った今もなお被爆者の細胞からアルファ放射線を出し続けている画像を撮影した。原爆被爆者の肺、肝臓、骨等のパラフィン標本からは239、240Pu特有のアルファ飛跡パターンが得られ、内部被曝の放射線量は対照群に比べ高く、被爆時の遮蔽と死亡日に関与していた。我々の結果は原子爆弾による内部被曝の科学的証拠を世界に提示し、被爆者の内部被曝の影響を病理学的に研究するひとつの橋頭保となる。
著者
辻田 眸 塚田 浩二 椎尾 一郎 Hitomi Tsujita Koji Tsukada Itiro Siio お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科 お茶の水女子大学アカデミックプロダクション お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科 Graduate School of Humanities and Sciences Ochanomizu University Academic Production Ochanomizu University Graduate School of Humanities and Sciences Ochanomizu University
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.25-37, 2009-01-27
参考文献数
17
被引用文献数
5

携帯電話やメールなどさまざまな通信手段が普及したにもかかわらず,いまなお遠距離恋愛で悩んでいる人たちは多い.遠距離恋愛中のカップルは,個人差はあるにせよ,相手とつながり感を保ちたいという強いモチベーションをお互いに持っていると考えられる.こうした状況では,従来のアウェアネス共有システムのように弱いつながり感を共有するだけでなく,両者の生活空間での行為自体が相互に影響を与えあうような,比較的強いつながり感を提供する,いわば仮想的に同居しているような感覚を与えるシステムが有効になるのではないかと考えた.そこで,本研究では,プライバシーが守られる形で,遠隔地に設置されたランプ/ゴミ箱などの日用品の状態を相互に同期させることで,こうした仮想的な同居感覚を提供するシステム"SyncDecor"を提案,試作する.そして遠距離恋愛カップル間での遠隔実験の結果を示し,今後の展望を述べる.Despite the fact that various means of communication such as mobile phones, instant messenger and e-mail are now widespread; many romantic couples separated by long distances worry about the health of their relationships. Likewise, these couples have a greater desire to feel a sense of connection, synchronization or "oneness" with their partners than traditional inter-family bonds. This paper concentrates on the use of common, day-to-day items and modifying them to communicate everyday actions while maintaining a sustained and natural usage pattern for strongly paired romantic couples. For this purpose, we propose the "SyncDecor" system, which pairs traditional appliances and allow them to remotely synchronize and provide awareness or cognizance about their partners - thereby creating a virtual "living together" feeling. We present evidence, from a 3-month long field study, where traditional appliances provided a significantly more natural, varied and sustained usage patterns which ultimately enhanced communications between the couples.
著者
辻 慶太 黒尾 恵梨香 佐藤 翔 池内 有為 池内 淳 芳鐘 冬樹 逸村 裕
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.176-189, 2012-09-01

本研究では(1)T大学附属図書館の貸出履歴約5年分を用いた協調フィルタリング, (2)同データを用いたアソシエーションルール, (3)Amazon,の3つによって被験者33名に図書を推薦し,それぞれの有効性を比較検証した。結果, (3)>(2)>(1)の順に推薦パフォーマンスが高いことを確認した。貸出履歴を用いて図書推薦を行うならば,協調フィルタリングよりも,プライバシー漏洩の可能性が低く計算コストも少ないアソシエーションルールを用いた方が有効であること,さらにAmazonの利用・併用も検討に値することが言えた。
著者
奥山 亮 辻本 将晴
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.2_127-2_134, 2017 (Released:2018-01-18)
参考文献数
34

近年,創薬の基礎研究から医薬候補化合物の創出までの全研究段階をアカデミア研究者が行うアカデミア創薬が推進されている.その背景と現状について産学官各々の見地から実証的に検討した.日本のアカデミア創薬プロジェクトは2009年以降急速に増加したが,産からのニーズは小さく,社会貢献を求められる大学の自主的な動きに加え,創薬の国際競争力強化を狙う政府が国策的に主導したことが明らかとなった.しかし,2009年以降アカデミア創薬で創出された医薬候補化合物の多くが,製薬企業が重点入力する低分子化合物と癌領域のプロジェクトだったにも関わらず,企業導出を図れず中止・停滞していた.アカデミア創薬の課題と方向性について産学官の果たすべき役割を中心に議論する.
著者
峯垣 哲也 湯月 翔太 伯井 理恵子 藤井 尚子 濱田 美輝 若林 未稀 辻本 雅之 西口 工司
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.97-103, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Objective: A simple suspension method in our previous study indicated that the amount of amlodipine recovered from a Norvasc®OD tablet was decreased by simultaneous suspension of a Magmitt®tablet containing magnesium oxide, due to the increase in pH.  However, it is still unclear whether this incompatibility arises in both brand name and generic tablets because the tablets may have different additives and mechanical properties.  In this study, we evaluated the degree of incompatibility between Magmitt®tablets and a range of amlodipine besylate tablets, including original and generic versions.Methods: Twenty-four kinds of amlodipine besylate tablets were used.  Magmitt®and amlodipine besylate tablets were suspended in warm water (55°C), and 10 min or 2 h later, the amount of amlodipine in the suspension was measured by HPLC-UV.Results: For almost all tested tablets, the recovery amount of amlodipine was significantly decreased in the presence of Magmitt®, and the amount recovered varied significantly between the types of amlodipine tablets.  However, Magmitt®tablet had little effect on the recovery of amlodipine from two specific brand tablets.Conclusions: An incompatibility between Magmitt®and most types of amlodipine besylate could be observed, although the degree of incompatibility depended on the brand of amlodipine.  These results are useful for the proper use of drugs.
著者
名取 良太 福元 健太郎 岸本 一男 辻 陽 堤 英敬 堀内 勇作
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.105-115, 2014 (Released:2018-02-02)
参考文献数
11
被引用文献数
1

参議院選挙は,戦後日本政治の変動に,何度も重要な役割を果たしてきた。しかし,従来の日本政治研究,特に選挙過程の分析は,そのほとんどが衆議院を対象にしたものであり,日本政治の理解もこの範囲を出なかった。参議院選挙データはほとんど分析されず,参院選が日本政治に与えた影響は解明されてこなかったのである。その状況をもたらした原因の一つは,参院選データが十分に整備されていないことである。そこで我々は,参院選の市区町村別データを収集し,データベースを開発した。参院選研究を活性化させ,日本政治に対する参院選の意義や,二院制の意義そのものの再検討を促したり,選挙研究の理論モデルを発展させたりすることが狙いである。本論文は,その参院選データベースの内容と利用方法を説明するものである。
著者
岡崎 重史 辻野 亮
出版者
奈良教育大学教育学部自然環境教育センター
雑誌
奈良教育大学自然環境教育センター紀要 = Bulletin of Center for Natural Environment Education, Nara University of Education (ISSN:21887187)
巻号頁・発行日
no.18, pp.45-54, 2017-03

奈良市に位置する奈良公園では1,200頭を超えるニホンジカが草地や林、裸地などの植生に生息して、観光客が給餌する鹿せんべいやシバ(Zoysiajaponica)、落葉、どんぐりなどを採食している。本研究では、奈良公園におけるニホンジカの空間分布と行動の季節変化を明らかにするために、2016年3月から2017年2月にかけて毎月ニホンジカのいた地点と性年齢クラス、行動をセンサスした。合計24回の調査(延べ1,452ha)で15,491頭を観察し、センサス面積当たりの生息密度は1,089頭/km2であった。ニホンジカの空間分布と行動は季節的に大きな変化を示した。草地利用は5月と6月で大きな割合を占めていて(43.3%;年平均31.2%)、4月~9月に草の採食行動が多く観察され(14.4%;年平均8.2%)、シバ生産量の季節変動と対応していた。林冠下利用は5月~7月に利用が減少し(24.5%;年平均27.8%)、逆に10月~12月においては林冠下での落葉とドングリを主としたリターの採食行動が多く見られた(9.3%;年平均5.2%)。観光客などから給餌されやすい非生産土地の利用は年間を通して高かったが(24.3%)、草やリターの採食行動と比べると人由来の採食行動(年平均2.1%)は年間を通して低く、季節変動も少なかった。以上から、奈良公園に生息するニホンジカの日中の空間分布と行動は、シバや落葉、どんぐりなどの食物資源の季節変動に大きく依存していることが示された。
著者
白石 愛 吉村 芳弘 鄭 丞媛 辻 友里 嶋津 さゆり 若林 秀隆
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.711-717, 2016 (Released:2016-04-26)
参考文献数
35
被引用文献数
1

【目的】高齢入院患者の口腔機能障害の実態ならびに、口腔機能障害とサルコペニア、低栄養との関連性を明らかにする。【方法】2013年6月より10月までに連続入院した65歳以上の患者108名(男性55名、女性53名、平均年齢80.5±6.8才)を対象とした横断研究。改定口腔アセスメントガイド(ROAG)を用いて口腔機能状態を評価し、サルコペニアや栄養状態との関連性を解析した。【結果】軽度の口腔機能障害を59人(54.6%)、中?重度の口腔機能障害を34人(31.5%)に認めた。ROAGスコアに関連する因子として、年齢、サルコペニアの有無、MNA-SFスコア、経口摂取の有無、FIM運動項目などが抽出された。【結論】多くの高齢入院患者に口腔機能障害を認め、口腔機能障害とサルコペニア、低栄養との関連が示唆された。ROAGは入院時口腔機能スクリーニングとして有用性があると考えられた。
著者
辻原 万規彦 岡本 孝美 今村 仁美
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.195-206, 2007 (Released:2018-01-31)

本研究では,まず,第二次世界大戦の終戦前の約30年間に亘って日本の統治下にあった旧南洋群島で,当時,日本人が建設した官舎と社宅の実態を,日本国内と米国で所蔵されている図面類と現地調査の結果を用いて,明らかにしようとした。次いで,同時代の旧植民地諸地域を含む日本国内の官舎や社宅に関する先行研究を網羅して比較することによって,南洋群島における官舎や社宅の特質を考察し,日本の住宅供給の歴史的な経緯の中での位置付けを行おうとした。その結果,熱帯性の気候に対処するための工夫を中心に,他の旧植民地諸地域を含む日本国内の官舎や社宅では見られない特質を指摘することができた。
著者
辻田 右左男
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.2, pp.49-59, 1973-12

近代日本の黎明である明治維新の出発点は政治的にも社会的にも,19世紀30~40年代の天保期に求められるといわれるが,それと符節を合するように,1845年(弘化2)地理学の上でも,十二分に近代とつながる画期的な名著「坤輿図識』が,弱冠25才の青年箕作省吾によって生み出された.この書物はおおかたの史家の注意の外にあるが,刊行されるやたちまち,幕末社会に大きいセンセーションをまきおこし,武十といわず庶民といわず当時の知識人に対し,国際知識開眼の書となった.しかし世上の歓迎・喝采とはうらはらに,著者省吾はこの書物刊行の翌年,好評に答えて上梓するはずの続編を執筆中,略血して急逝するという悲劇的なアクシデントが起きた.急きょ省吾の養父,当代随一の碩学箕作玩甫が嗣子の後を襲って「坤輿図識補』の完成を目指すが,著者父子の微妙なからみ合い,その刊行年代をめぐって,いくつかの問題が想定される.筆者がこの書物の存在を知ったのは,すでに40年に垂んとする昔のことである.当時,筆者は幕末の学究吉田松陰に傾倒し,とくにかれの地理学研究に興味を感じたが,松陰の著述にあまりにもしばしば坤輿図識という書名の現れるのに奇異の念を抱いた.
著者
辻 慶太 楳原 衣恵 木川田 朱美
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会春季研究集会発表要綱
巻号頁・発行日
vol.2009年度, pp.79-82, 2009-05-23

本研究では近年急速に成長しているQ&Aサイトと公共図書館レファレンスサービスに同じ質問を行い,正答率などを比較した。前者には「教えて!goo」を,後者には首都圏近郊の32館を選び,60個の質問を行った。結果,直接的に完全な正答が与えられる割合は共に32%で,全般に両者の正答率に大きな差は見られなかった。こうした状況を踏まえ公共図書館は今後新たなレファレンスサービスのあり方を検討する必要がある。
著者
石井 裕繁 城田 欣也 井上 義明 清水 孝史 岩崎 洋一郎 辻本 大起 平野 康文
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.223-230, 2022-02-15 (Released:2023-02-19)
参考文献数
14

症例1は90歳代男性.2021年6月X−1日にファイザー社製新型コロナワクチン(BNT162b2)接種.同6月X日に胸痛あり当院受診,下壁誘導のST上昇を伴う胸痛にて急性心筋梗塞の診断で緊急心カテーテル施行,左前下行枝末梢の閉塞を認めた.ガイドワイヤーは容易で小径バルーンの拡張のみで再灌流を得たが,病変位置,造影所見からプラーク破綻ではなく血栓塞栓症を強く疑った.最大CKは590 U/Lと心筋ダメージはわずかであった.心エコー上左房拡大や短絡所見はなく,経過中心房細動は認めなかった. 症例2は70歳代女性.2021年8月X−20日にBNT162b2接種.同8月X日に胸痛あり当院受診.前胸部誘導のST上昇あり急性心筋梗塞の診断で緊急心カテーテル施行,左前下行枝近位部の閉塞を認めた.ガイドワイヤー通過に難渋し,血管内超音波(IVUS)で明らかなプラークを認めた.薬剤溶出ステントを留置し良好な開存を得たが最大CK 7628 U/Lと大きな心筋障害を認めた. 2症例とも経過は良好であったが,2回目のワクチン接種にあたり,1例目は原因不明の血栓塞栓症のため2回目のワクチン接種は中止とし,2例目はワクチンとの関連は否定できなかったが通常発症の心筋梗塞と判断,低心機能となったことから2回目のワクチン接種実施とした.ワクチン接種が進むにつれ同様のケースが増えてくるものと思われ,何らかの判断基準が必要と考えられた.
著者
伊藤 一成 辻 麻衣子 三宅 剛史
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.670-677, 2015 (Released:2018-05-21)
参考文献数
14

現在普及している速醸?や生もと系酒母の原型とされる菩提もとは,速醸もとの技術が全国に普及したのと同時に姿を消したとされている。近年,奈良県において菩提もとの製造メカニズムが解析され,菩提もとを用いた清酒が再現復活している。これと同時期に岡山県内の蔵元において,独自の方法で製造したそやし水を使用するもと造りが確立されていた。本稿では,このそやし水の解析から明らかになったことを解説していただいた。
著者
門脇 敬 阿部 浩明 辻本 直秀
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.38-46, 2019 (Released:2019-02-20)
参考文献数
34
被引用文献数
1

【目的】片麻痺を呈した2 症例に対し,下肢装具を用いて倒立振子モデルの形成をめざした歩行練習を施行し,歩行能力と歩容の改善を認めたため報告する。【対象と方法】麻痺側下肢の支持性が低下し歩行が全介助であった重度片麻痺例に対し,足部に可動性を有す長下肢装具(以下,KAFO)を用いて前型歩行練習を施行した。また,無装具で独歩可能だが歩容異常を呈した生活期片麻痺例に対し,あえて下肢装具を用いて歩行練習を実施した。【結果】重度片麻痺例は下肢の支持性が向上し,倒立振子を形成した歩容での歩行を獲得した。生活期片麻痺例においても歩行能力と歩容が改善した。【結論】重度片麻痺例に対するKAFO を用いた前型歩行練習は,下肢の支持性を向上させ,より高い歩行能力を獲得することに貢献できる可能性がある。また,無装具でも歩行可能な片麻痺例の歩行能力や歩容の改善においても下肢装具を用いて倒立振子を再現する歩行練習を応用できる可能性があると思われた。