著者
岡本 光佑 金藤 公人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.7, pp.1365-1372, 2018-07-10 (Released:2019-07-10)
参考文献数
6

45歳,男性.3年前よりエソメプラゾール20 mgを内服中であった.後頸部痛と両手の攣り(つり)を主訴に救急搬送され,著明な電解質異常(K 1.7 mEq/l,Ca 9.1 mg/dl,Mg 1.0 mg/dl)を認めた.各電解質の補正と共に低Mg血症の原因をプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)と疑い,中止した.長期PPI内服で低Mg血症を,二次的に低K血症,低Ca血症も来たし得る.
著者
菊地 章子 金子 聡一郎 高山 真
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.978-983, 2018-12-18 (Released:2019-01-21)
参考文献数
16

嚥下障害に対する鍼灸治療に関して,海外では有効性を示した研究報告が数々報告されている.鍼灸治療は基本的に患者の状態に応じて治療法を選択するオーダーメイド医療であるため治療の標準化は難しい.本邦では主に太渓と足三里という下肢の経穴に刺激を加えることで嚥下反射が改善するという研究が報告されている.一般の医療・介護施設で通常の鍼灸治療を行うことはさまざまな面で困難を伴うが,簡便に用いることのできる円皮鍼が有用となる可能性がある.鍼灸治療の作用機序はいまだ十分に解明されておらず,鍼灸が嚥下障害に対する治療法の選択肢として広く認識されるには,今後さらに研究を進め,臨床経験を蓄積することが必要である.
著者
伊東 和寿 金岡 晃
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2239論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.1547-1553, 2020-06-17

Web サービスやアプリにおいてユーザから入力されたパスワードは重要な機密情報である.そのため外部からの不正侵入などに備えて解読が困難な状態で保管しているのが理想的とされている.代表例として SHA2 アルゴリズムを用いてハッシュ値に変換して保管するというものがある.しかし,すべての Web サービスやアプリが理想的な保管方法を実装しているとは限らない.個人情報が流出してしまう事件は多く発生しているが,その中にはサーバ側でパスワードを適切に保管しておらず平文もしくは可逆な形で暗号化保管されていたため,不正侵入などの被害にあった際にパスワードそのものが流出したケースが存在する.本研究は,どのようなサービスやアプリが利用者のパスワードを平文もしくは可逆な形でサーバ側に保管しているかどうかの実態を外部観測調査により明らかにすることを目的とする.手法としてはサービスやアプリごとに調査対象をリストアップし,1 サービスあるいはアプリごとに調査を行う.調査の結果 Alexa によるランキングでの上位サイト,Google Play ランキングでの上位アプリともに不適切な保管方法を実装していると確認出来たサービスやアプリは存在せず,総じて平文を返すサービスが多くはないことが本調査により明らかになった.
著者
是永 論 浅岡 隆裕 柄本 三代子 金 相美 岡田 章子 清水 真 酒井 信一郎 重吉 知美 池上 賢 加藤 倫子
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本社会および日本人に関して、「劣化」という表現が言説上について頻繁に使用されているという状況を踏まえ、メディア言説上における劣化表現のありようを解明するために、活字メディアを中心に内容分析を行ったほか、一般のメディアの受け手に対する質問紙およびインタビュー調査から得られたデータの分析結果から、言説どうしが形成する関係と、言説が人々に消費される具体的な過程を明らかにした。
著者
古川 邦之 谷 健一郎 金丸 龍夫 星 博幸
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.325-340, 2023-04-14 (Released:2023-04-14)
参考文献数
47
被引用文献数
1

中部地方の下部中新統である,師崎層群日間賀層および山海層下部と瑞浪層群明世層狭間部層における軽石質凝灰岩の対比について検討した.日間賀層および山海層下部の試料からはそれぞれ,狭間部層の年代と調和的な17.87±0.75 Maおよび17.36±0.40 MaのジルコンU-Pb年代が得られた.また日間賀層の古地磁気は山海層下部や狭間部層と同じく逆極性であった.つまりこれら3層はいずれも古地磁気年代のクロンC5Drに相当すると結論できる.EPMA分析から,山海層下部と狭間部層の試料に含まれる火山ガラスは組成変化図において一連のトレンドを示し,3層に含まれる斜長石組成は類似していた.つまりこれら3層の火山砕屑物は同一のマグマ供給系を起源とすると考えられる.以上の結果と古水深から,本研究対象の師崎層群の軽石質凝灰岩は,狭間部層の火山砕屑物が海底を流下して堆積したと考えられる.
著者
小谷 侑輝 齋藤 美松 金 惠璘 小川 昭利 上島 淳史 亀田 達也
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
pp.1914, (Released:2021-06-15)
参考文献数
51

Distributive justice is concerned with how societies should allocate resources. Although vigorously debated, the relationships between normative theories of distributive justice and actual behavior remain unclear. To examine the empirical bases of John Rawls’s moral argument, we tested whether distribution may be psychologically linked to risky personal decisions via voluntary focus on the worst-off position. Extending Kameda et al. (2016), we asked participants to make three types of decisions (social distribution as a third party, risky choices for self, and the Veil of Ignorance [VoI] task in which participants chose social distribution affecting selves without knowing their own positions) and measured physiological arousal during decision making. Participants’ distributive choices were correlated with risky personal decisions such that those who endorsed the Maximin (maximizing the minimum possible payoff) distribution preferred the Maximin gambles. Preferences in the VoI task statistically moderated this correlation. Pupil dilation associated with arousal was also related to these effects. These converging data suggest that social distribution and risky decisions are intertwined in the human mind, as envisioned by Rawls’s normative argument.
著者
平 朝彦 飯島 耕一 五十嵐 智秋 坂井 三郎 阪口 秀 坂口 有人 木川 栄一 金松 敏也 山本 由弦 東 垣 田中 智行 西村 征洋 鈴木 孝弘 木戸 芳樹 渡邊 直人 奥野 稔 井上 武 黛 廣志 小田 友也 濱田 泰治 室山 拓生 伊能 隆男 高階 實雄 勝又 英信 原田 直 西田 文明 南川 浩幸 金高 良尚
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.7, pp.410-418, 2012-07-15 (Released:2012-12-04)
参考文献数
20
被引用文献数
7 5

東北地方太平洋沖地震において関東地方を中心に前例のない広域的な液状化被害が報告されている.都市地盤における液状化現象を理解し,その対策を立てるには,液状化が地下のどこで起ったのかを同定することが極めて重要である.本報告では,千葉県浦安市舞浜3丁目のボーリングコア試料に対して,X線CTスキャン解析を実施し,非常に鮮明な地層のイメージの取得に成功した.この結果,地面下13 mまでの地層を5つのユニットに区分することができ,その中で6.15 mから8.85 mまでの間で地層のオリジナルな構造が破壊されており,液状化した層であると判定した.この手法は,今後の液状化研究に関して,大きな貢献が期待できる.
著者
村田 喜代治 金田 昌司
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.193-205, 1960-04-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
1

新市町村建設促進法により昭和29年4月に発足した富山県黒部市は,積極的な工業誘致政策を推進し,その結果,三日市製錬所,北陸製塩,吉田工業の3工揚の誘致に成功した.ここでは,わが国ファスナー生産高の85~90%を占める吉田工業 (YKK) を研究対象とした. 1) ファスナー生産は本来消費地指向性の産業であるにもかかわらず,黒部市に立地した理由は戦災による東京工場の消失,疎開地魚津における発展に必要な土地獲得の不成功に直面した時,黒部市が希望用地97,200m2を提供した点にある.したがつて,一般に立地論で指摘される輸送費,労働費,集積の基本的立地因子の有利性は発見出来ない. 2) 黒部市立地によつて生じる不利益を克服する手段として,これまでの手工業的技術を廃し,アメリカから輸入したチェーン・マシンを基礎とした,機械化・経営の合理化を遂行した.とくに一貫工程の採用は生産費の低下,対外競争力の強化,大量生産による有効需要の創造を可能ならしめた.結局,この企業のもつextemal diseconomiesをintemal economiesによつて相殺した点に発展の諸力が求められる. 3) 吉田工業が当該地域に与えた直接効果は,生産効果,雇用効果,財政効果に分けられる.
著者
金 洛年
出版者
土地制度史学会(現 政治経済学・経済史学会)
雑誌
土地制度史学 (ISSN:04933567)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.1-16, 1995-01-20 (Released:2017-12-30)

The purpose of this paper is to show how industrialization of Korea in the 1930s was influenced by the preceding agricultural development plans for increasing rice production (1920-34). Until now the rapid industrialization has been explained mainly by Japan's armaments-expanding policy in the 1930s. However this paper emphasizes internal factors created in the process of agricultural transformation in the 1920s. On the one hand, increase in rice production and its export to Japan at relatively high price produced an enormous surplus in the agricultural sector. This, in turn, enabled Korea to increase imports of manufatured goods. Through the agricultural development and trade with Japan, Korean economy could rapidly expand markets for manufactured goods beyond her production capacity. Later this expansion stimulated new rise and growth of many small-scale factories owned by Koreans or Japanese residents in Korea. Also it induced private direct investments from Japan to the manufaturing industry in Korea. This process promoted import substitution for manufactured goods. On the other hand, most of agricultural surplus fell into the pockets of large landlords and merchants who took the lead in rice production and export under landlord-tenant system. In order to examine whether agricultural surplus remained within the agricultural sector or was transferred to other sectors, we made access to the available lists of large landlords and stockholders, and examined the relationship between them. The results of this examination revealed that a lot of landlords not only took actively part in stock investment, but also established their own companies in non-agricultural sectors. In case of the companies owned by Koreans, it is estimated that more than one third of their capital was invested by landlords and one forth of their owners were also landlords. In short, agricultural development in the 1920s provided favorable conditions for the industrialization in Korea in the next decade in terms of domestic market expansion and capital formation.
著者
金子 一史
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.12-22, 1999-09-30 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
1

本研究では,一般青年に見られる被害妄想的心性を検討するため,被害妄想的心性を測定する尺度を新たに作成した.被験者は85名の大学生と176名の専門学校生(男子70名,女子190名,不明1名)であった.被害妄想的心性,他者意識,および自己意識からなる質問紙に回答を求めた.被害妄想的心性尺度の因子分析を行った結果,自己関連づけと猜疑心の2因子が抽出された.重回帰分析の結果では,猜疑心は私的自己意識との関連が示されたのに対し,自己関連づけは他者意識および公的自己意識との関連が示された.これらの結果から,被害妄想的心性は自己関連づけと猜疑心の質的に異なる2側面からとらえられることが示された.また,自己関連づけについては,他者に対する関心のあらわれであることが示唆された.
著者
大澤 稔 菊地 章子 沼田 健裕 金子 聡一郎 高山 真
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

この1年は「化学物質過敏症」患者のリクルーティング・ピックアップ準備の年であった。まずはpilot的に化学物質過敏症診断で高名な病院の「化学物質過敏症・環境アレルギー外来」で診断済みの患者を紹介してもらい評価の方法を探った。化学物質過敏症に伴う症状と治療(漢方薬)効果との関係にある程度の再現性が確認できたため、次に評価基準を設定する作業に入った。当初の実施計画の通りスクリーニングシートの作成を進めているが、内容としてはたいへん高名な診断ツールとして確立しているQuick Environmental Exposure Sensitivity Inventory(QEESI(R) )をベースにする方向で調整に入った。また個々の症状(頭痛・めまい他)もNSR(Numerical Rating Scale)で数値化を図ることとした。幸いこのQEESIの開発者に指導を仰ぐ機会に恵まれ、研究趣旨を汲んでいただけたため、今後連携研究者としての登録をいただく方向で準備をしている。また診断の信憑性を高めるため精神科の連携研究者の協力も今後仰ぐ予定でいる。化学物質過敏症は環境医学の領域でも大きなトピックである。この1年の間に化学、工学、看護学、衛生学を専門とする研究者のメーリングリストにも登録させていただいた。この課題に取り組むにあたり日本臨床環境医学会にも属することとなり、本研究代表者も医学の立場で情報交流をすることになり、治療実績発表の準備中である。この人事交流は本研究の大きな礎になることが予想される。
著者
金森 悟 甲斐 裕子 山口 大輔 辻 大士 渡邉 良太 近藤 克則
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.21-141, (Released:2022-06-30)
参考文献数
23

目的 高齢者の中には運動行動に関心が低くても,健康の保持・増進に必要な歩行時間(1日30分以上)を満たしている者が存在する。しかし,そのような集団の特性は明らかになっていない。そこで,本研究では,運動行動の変容ステージ別に,1日30分以上の歩行を行っている高齢者の特性を明らかにすることとした。方法 本研究は2019年度に日本老年学的評価研究(JAGES)が行った自記式郵送法調査を用いた横断研究である。対象者は24都道府県62市町村在住の要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者45,939人とした。調査項目は1日の歩行時間,運動行動(1回20分以上で週1回以上)の変容ステージ,身体活動の関連要因(人口統計・生物学的要因8項目,心理・認知・情緒的要因3項目,行動要因8項目,社会文化的要因40項目,環境要因3項目)とした。分析は変容ステージで3群に層別し(①前熟考期,②熟考期・準備期,③実行期・維持期),目的変数を1日30分以上の歩行の有無,説明変数を身体活動の関連要因,調整変数を人口統計・生物学的要因全8項目としたポアソン回帰分析とした。結果 調査への回答者24,146人(回収率52.6%)のうち,分析に必要な項目に欠損がある者,介護・介助が必要な者を除いた18,464人を分析対象とした。前熟考期のみ,または前熟考期と熟考期・準備期のみ,1日30分以上の歩行ありと有意な関連が認められた要因は,人口統計・生物学的要因3項目(配偶者あり,負の関連では年齢80歳以上,および手段的日常生活動作非自立),行動要因2項目(外出頻度週1回以上,テレビやインターネットでのスポーツ観戦あり),社会文化的要因6項目(手段的サポートの提供あり,友人と会う頻度が週1回以上,町内会参加,互酬性高い,趣味が読書,負の関連では趣味が囲碁)であった。結論 高齢者において,前熟考期のみ,または前熟考期と熟考期・準備期のみで1日30分以上の歩行と関連が認められたのは,人口統計・生物学的要因,行動要因,社会文化的要因の中の11項目であった。変容ステージの低い層でも1日30分以上の歩行を促すには,身体活動を前面に出さず,人とのつながりなどを促進することが有用である可能性が示された。
著者
落合 博志 神作 研一 恋田 知子 金子 馨
出版者
国文学研究資料館
雑誌
書物で見る 日本古典文学史 = History of classical Japanese literature seen from old rare books
巻号頁・発行日
pp.1-16, 2018-03-16

国文学研究資料館では、上代から近代(明治時代初期)までの文学を書物(古典籍)によってたどる、通常展示「書物で見る日本古典文学史」を毎年開催しています。本冊子はその展示の概要を収録したもので、教科書でなじみの深い作品を中心に据えて、文学史の流れを示しました。ささやかながら、日本古典文学の豊かな世界への手引きとなることを願っています。
著者
水田 馨 三好 潤也 黒田 くみ子 井手上 隆史 田中 義弘 松岡 智史 吉松 かなえ 荒金 太
出版者
日本産科婦人科内視鏡学会
雑誌
日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 (ISSN:18849938)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.123-127, 2018 (Released:2018-07-21)
参考文献数
19

Ectopic pregnancy is considered as a possible diagnosis in cases in which women experience acute abdominal pain and a urinary human chorionic gonadotropin (hCG) test produces a positive result. However, we present a case of ruptured ectopic pregnancy involving a negative urinary pregnancy test result. A 34-year-old nulliparous woman was admitted to the emergency room of our hospital due to the sudden onset of lower abdominal pain. Rebound pain in the lower abdomen was detected during a physical examination. Since transabdominal ultrasonography showed massive ascites, and a urinary pregnancy test produced a negative result, we performed a contrast-enhanced computed tomography scan and found a 5-cm right-sided ovarian cyst and extravasation around the left adnexa. We diagnosed the patient with left ovarian hemorrhaging and a right ovarian hemorrhagic luteal cyst. Two hours later, hemorrhagic shock occurred, and an emergency laparoscopic operation was carried out. We detected a swollen left fallopian tube, which had ruptured and was bleeding. We performed left salpingectomy. After the operation, the patient's preoperative serum sample was re-examined to re-assess her hCG level. As a result, her serum hCG level was found to be 23.3 mIU/ml. Pathological examinations showed a very small number of chorionic villi. The final diagnosis was ectopic pregnancy. The patient's postoperative course was uneventful. This case report illustrates the difficulty of diagnosing ectopic pregnancy. Clinicians should include ectopic pregnancy in the differential diagnoses for cases of acute abdominal pain involving women of reproductive age, regardless of the results of urinary pregnancy tests.
著者
池知 良昭 井上 桂子 小野 健一 金山 祐里 大岸 太一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.61-69, 2022-02-15 (Released:2022-02-15)
参考文献数
29

本研究は終末期がん患者に対する作業療法士の実践自己評価尺度を開発する目的で信頼性,妥当性を検討した.緩和ケア病棟入院料届け出受理施設の作業療法士246名分を分析対象とした.結果,カテゴリカル探索的因子分析より20項目5因子構造が推定された.カテゴリカル確認的因子分析により適合度指標RMSEA=0.067,CFI=0.958,TLI=0.951であり良好な構造的妥当性を有していた.ω係数=0.8~0.92で内的一貫性も確保された.基準関連妥当性は相関を認めたが弱かった.今後,本尺度と作業療法士の作業参加状況との関連性の検討が課題である.
著者
波戸 謙太 金堀 哲也 谷川 聡 梶田 和宏 奈良 隆章 川村 卓
出版者
日本コーチング学会
雑誌
コーチング学研究 (ISSN:21851646)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-17, 2021-10-20 (Released:2021-12-28)
参考文献数
32

This study delineates the common characteristics of pitching motion in professional baseball pitchers by focusing on their lower limbs. Further, to gain an insight into the development of athletic capacity, the pitching motion of the Top group was compared with the Minor group, resulting in the clarification of lower limb issues in the Minor group. Data analysis was performed using a test with the highest score in a 5-point objective evaluation by the observer and the highest ball speed in the tracking data obtained from Trackman, with the following results: (1) The common characteristics in a professional baseball pitcher was that the hip joint was flexed while the stride leg knee joint angle was fixed to MBV (Minimum Ball Velocity), MER (Maximal Shoulder External Rotation), and the stride leg hip joint and knee joint were slightly extended to MER, REL (Ball Release). (2) Regarding the difference between the Top and Minor groups, it is suggested that the Top group accelerates the rotational speed of the lower torso to SFC (Stride Foot Contacts Ground), which increases the angular velocity of adduction of the hip joint of the stride leg, resulting in torsion of the trunk and stable force transmission after MBV. (3) In the Top group after SFC, the angular displacement and angular velocity was such that the hip joints of both legs were fixed. Additionally, the stride leg hip joint was in adduction, which caused the motion to increase the rotation of the lower and upper torsos. Authors suggest considering these key points while coaching baseball.
著者
太田 晴久 橋本 龍一郎 金井 智恵子 山田 浩樹
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ASDと ADHDの存率は高いことが報告されおり、両障害に共通して感覚過敏が認められる。本研究ではDTIを用いて、両障害における白質繊維走行の異同および感覚過敏との関連について調査した。知的障害のない成人のASD、ADHD、健常発達成人合計約200人を対象とした。脳梁において発達障害群で健常成人群と比較して白質繊維走行の異常が認められた。それは両障害で共通した所見であり、両障害間での統計学的に有意な差異はみられなかった。発達障害群で感覚過敏の評価尺度の点数と白質繊維走行に関係する値との相関を示した部位は両障害間で共通しているところが多くみられた。