著者
日合 弘 賀本 敏行 豊國 伸哉 福本 学 石本 秋稔 鶴山 竜昭 阿不江 ぱ塔爾
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本助成金を受けて、計画の大部分を達成するとともに、著明な進展がみられた。(1)リンパ腫好発系 SL/Khマウスの骨髄Pre-B細胞の一過性増殖は第3染色体上のQTLであるBomb1(Lef1)によることが示された。(2)リンパ腫DNAへのウイルス組込みホットスポットの多くがクローニングされ、Bomb1によるリンパ球分化異常とリンパ腫発生機構の関連に大きな手がかりが得られた。(3)4NQO誘発ラット舌癌については感受性に関与する5つの宿主遺伝子座をマップし遺伝様式を解明した。(4)化学発癌剤抵抗性DRHラットの肝発癌モデルで前癌病変であるGST-P陽性フォーカスの遺伝支配を研究し第1、第4染色体に高度に有意な座位をマップした。(5)遺伝的カタラクトRLCについては責任遺伝子マップ位置からPYK2が候補遺伝子で、RLCレンズで正常マウスを免疫するとPYK2のN端異常ペプチドに対する抗体が作られた。cDNA、genomicDNAについて、遺伝子構造を解析中。(6)NCTカタラクトはNa/K pumpに対する内因性抑制ペプチドの形成により発生する。1000頭の戻し交配系を解析し、マップ位置からBAC contigを作製中である。カタラクトのタイプ(pin head or diffuse)を決めるmodifier geneを第10染色体にマップした。この位置にNa/K pumpの一部がマップされていた。(7)PNUによるラット白血病の病型決定機構を解析するためF344とLE/Stmの間で育成されたRI系について、白血病を誘発して遺伝解析を行い、数個のQTLが関与している可能性を示した。これら一連の研究から内在性レトロウイルス、化学発癌剤、遺伝的変異による疾患も多くは多因子の宿主修飾遺伝子の影響を受け、発病の有無、重篤度、病型などが決定されることを示した。一部のものについては分子生物学的な理解に肉迫している。
著者
沢田 正昭 巽 淳一郎 西村 康 町田 章 村上 隆 二宮 修治
出版者
独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

陶磁器研究は肉眼観察が基本であるが、さまざまな自然科学的手法を駆使して得られた新しい知見が、産地や年代、さらには製作技法に関する理解を深める可能性を秘めている。本研究は、陶磁器の流通の実態を解明するために、自然科学的な方法論とその具体的な検証法の確立をめざすことを目的とし、米国スミソニアン研究機構と、奈良文化財研究所をはじめとする文化庁関係機関との間で1990年から実施している日米国際共同研究の一環として行なった。まず、陶磁器の産地推定に対する分析手法の確立をめざして、胎土に対する熱中性子放射化分析、蛍光X線分析の比較検討を行なった。分析対象には17世紀中葉の肥前産磁器を選び、生産地資料として現地窯跡出土資料、消費地資料として、東大構内遺跡やベトナムなど海外での出土資料も含めて検討した結果、双方の分析結果は良い一致を示すことがわかった。また、同じ資料に対して大型放射光施設SPring-8において高エネルギー蛍光X線分析を行い、新しい分析手法としての可能性を検証した。釉薬に関しては、瀬戸美濃産陶磁器資料を研究対象とし、蛍光X線分析による成分分析、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)による釉薬層の微細構造解析を行い、不均一な元素分布状態に対する新しい知見を得た。また、スミソニアン研究機構フリーア美術館所蔵の漢代緑釉に対する鉛同位体比測定から、産地推定の可能性を示唆することができた。さらにカンボジアにおける窯跡群の探査を実施し、窯構造の調査を行なうとともに、出土陶器片に対して熱ルミネッセンス法による年代測定も試みた。関係者の相互理解を深めるために研究会に加えて、日米の研究者が一堂に会する国際シンポジウムを開催し、本研究の成果を公開すると共に、陶磁器資料研究に対するさまざまな問題点を議論する機会を設けた。
著者
池田 良穂 片山 徹 正岡 孝治 馬場 信弘 岡田 博雄 大塚 耕司 奥野 武俊
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本報告書は,平成10年度および平成12年度文部省科学研究補助金を受けて実施された「無人高速電車を用いた滑走型高速船の操縦性能試験法の開発」に関する研究成果をまとめたものである.高速船においては,高速航走時に操縦性能が悪くなることが知られており,時としては操縦不能などに陥ることもある.しかしながら,高速滑走艇は,姿勢ならびに速度を大きく変化させながら旋回もしくは針路変更を行うために,その操縦特性は非常に複雑であり,ほとんど解明されていないのが実状である.本研究では,高速船に働く流体力(操縦性微係数)を計測するシステムを無人高速電車用に開発し,その実験結果の有用性を確かめること,さらには滑走型高速船特有の操縦性能を評価できる新たな試験法を提案することである.平成10年度は,本学既存の実験装置を用いて操縦性微係数の一部である斜航流体力係数の計測を行い,その流体力学的特性について明らかにするとともに,無人高速電車用のPMM試験機の設計・開発を行い操縦性微係数の計測を行った.平成11年度には,平成10年度に作製したPMM試験装置を用いて,滑走艇模型の操縦流体力の計測実験を実施し,同システムによって同流体力が実用上満足できる制度で計測できることを確認すると共に,パソコンを用いた解析プログラムを作成し,計測した流体力から微係数を即座に算出できるシステムを構築した.平成12年度は,上下揺れ,縦揺れおよび横揺れを自由にした状態で模型船に左右揺れと船首揺れを強制的に与える,新しいタイプのPMM試験法を開発し,運動の計測を実施した.その結果,横揺れが大きくなるときに,縦運動が横揺れ周期の半分の周期で大きくなる運動が計測された.この運動は,コークスクリューと呼ばれているスラロームなどの周期的操縦運動や微小な船首揺れに伴う上下揺れと縦揺れの大振幅動揺であり,この大振幅動揺発生メカニズムは,横揺れによって生じる上下揺れおよび縦揺れへの連成流体力が引き金となってポーポイジングが発生したものであることをシミュレーションによって確かめた.上記のように高速滑走艇に特有な操縦性能を評価できる新しい一評価手法を提案できた.本研究で開発された実験システムは,今後の高速滑走艇の操縦性能評価において有用な多くの情報を得るための重要な道具となるものと思われる.
著者
六鹿 茂夫 廣瀬 陽子 黛 秋津 佐藤 真千子 小窪 千早 梅本 哲也 吉川 元 上垣 彰 大西 富士夫 西山 克典 小久保 康之 吉村 貴之 中島 崇文 末澤 恵美 服部 倫卓 木村 真
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

黒海地域の国際関係を歴史、経済、域内国際関係、域外国際関係の4次元から分析し、国際会議をボアジチ大学(イスタンブール)と静岡県立大学にて開催して学際的総合化に努めた。その結果、1.黒海としての地域性、2.地政学的重要性、3.黒海地域の特殊性と地域特有のイシュー(エネルギー、民主化、凍結された紛争)、4.黒海地域の構造とその変動、5.黒海地域と広域ヨーロッパおよび世界政治との相互連関性が明らかにされた。
著者
岡本 峰雄 野島 哲 古澤 昌彦
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

1.有性生殖を利用したサンゴ再生技術の研究開発セラミック製の着床具を開発して海域着生実験を行った。海域の水温と月齢の関係を調べつつ、石西礁湖各所でサンゴの成熟度調査を行って一斉産卵の予測を試みた。着床具は4月と5月の2回の満月前に海域に設置したが、前者で適切な着生結果が得られ、後者は少し遅すぎた。また、架台に密に配置した着床具の配置についても重要な知見が得られた。各着床具に光と流れが十分にあたるよう配置することの重要性が明らかになった。2.白化が頻発するなかでのサンゴ群集構造の変化についての研究石西礁湖のサンゴの健康度評価のため、92種のサンゴを対象に、クロロフィル蛍光を利用した光合成収率と光-ETR曲線を得た。この結果、健康なサンゴは暗順応状態で収率が0.66と、また100PAR時は27.8と共通であることを見出した。これを基準に白化状態のサンゴの健康度評価を行ったところ、熟練者が目視で判断した白化段階とほぼ一致する値を簡便に計測できるようになった。3.サンゴの受精卵・幼生の定量化のための基礎研究プランクトンなどの微細な海洋生物の定量的把握は海洋生物資源管理のうえで重要な課題である。現在実用化されている計量式魚群探知機の周波数の上限は400kHz程度であり、やや大型の動物プランクトン計測に用いられている。より微細な1mm程度以下の生物の計測を目的として、1.1MHzのスプリットビーム方式のTS測定システムを試作し、水槽実験で直径2mmの較正球を用いて探知範囲と計測精度の検討を行った。その結果小型動物プランクトンの計測が可能であるとの見通しが得られた。
著者
金子 隆之 安田 敦 青木 陽介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

東アジアにおける噴火監視と噴火研究の基礎となる活動データの大規模収集を行うために,MODISとMTSATデータを利用した「複数の衛星を利用した準リアルタイム東アジア火山観測システム」の構築を行い,主要147活火山の常時監視を行った.これらのデータの解析結果に関して,ウェッブサイトを通じて広く公開すると共に,より詳しい噴火状況を知るため,高分解能衛星データや地上観測データを組合せて,統合的解析を試みた.
著者
坂東 尚周 奥田 喜一 北沢 宏一 鯉沼 秀臣 井口 家成 庄野 安彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究は、工業的に応用可能な優れた超伝導材料あるいは超伝導デバイスを創製するため、(1)異方性の化学的制御と新物質探索、(2)異方性とボルテックス状態の解明、(3)原子層制御と電子機能設計を目的として組織されたものである。成果は以下の通りである。(1)異方性の化学的制御と新物質探索高圧合成によりRe添加水銀超伝導体HR_<1-x>Re_xCa_<n-1>Cu_nO_yの単相化に成功し、ポストアニールによりピニング特性が改善された。中性子回折によりReとHgが規則配列し、異方性が低減することによると考えられる。高濃度Pb置換Bi2212単結晶で不可逆磁場の大幅な上昇が見出され、有効なピニングセンターの存在を示した。高分解能電子顕微鏡により、高濃度鉛相と低濃度鉛相が交互に帯状に析出し、この界面が磁束に対する有効なピンとして働いているとしている。この他低次元スピンギャップ系の梯子格子をもつ化合物やY247の構造に関し、新しい知見が得られた。(2)異方性とボルテックス状態の解明La系、Y系、Bi系の単結晶を用いて唯一の一次相転移とみられる磁束格子融解転移がSQUID、局所磁化測定、超音波測定、複素帯磁率、磁気トルク測定によって研究された。また、磁束融解転移が理論的に検討された。一方、27テスラまでの高磁場中での無双晶YBCOの磁束融解転移が明らかにされ、その他STMによる磁束に直線観察の試みがなされた。(3)原子層制御と電子機能設計STM、同軸イオン散乱分光法、RHEEDなど表面解析技術を駆使して表面原子層の制御や成長メカニズムの解明が行われ、薄膜作製における原子層制御技術は着実に進歩した。積層型SIS接合として、a軸配向した高T_cのY123酸化物薄膜の間にSrTiO_3を挟んだデバイスの作製に成功した。この他局在準位制御による接合の特性、Y123薄膜の準粒子注入効果、La系単結晶の固有ジョセフソン効果を用いたスイッチ素子の検討、Y123/強誘電体による電界効果などの研究が行われた。
著者
三原 建弘 杉崎 睦 磯部 直樹 牧島 一夫 根来 均 林田 清 宮田 恵美 上野 史郎 松岡 勝 吉田 篤正
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

全天X線監視装置MAXIは2009 年8 月15 日から観測を開始した。本科研費により地上解析計算機と地上ソフトウエアの整備を行い、2009 年12 月から観測データの自動世界公開を行っている。MAXI は3 年9 か月を経た現在でも順調に観測を続けている。3 年間の観測で|b|>10°の高銀緯領域において0.6mCrab 以上の502 個のX線源を検出した。14 個のセイファート銀河からも有意なパワースペクトルを得たが、検出器数が予定より半減、観測時間が半減したため統計負けし、精度の良いブラックホールの質量推定には至っていない。
著者
大槻 和夫 山元 隆春 牧戸 章 植山 俊宏 位藤 紀美子 吉田 裕久
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本科研の最終年度である平成8年度は,本プロジェクトの集約をめざして、本調査およびその分析に取り組んだ。また,新たに国語能力全体の発達に関わる総合モデルが提出され,プロジェクト全体の研究仮説とするための理論的整備が進められた。これまで取り組んできた説明的文章班,文学作品班,文章表現班,音声表現班の4領域による本調査の計画・実施・分析を行った。その際,予備調査の結果を分析・考察した結果得られた研究仮説を整備し,本調査の調査仮説とした。それをもとに大規模・広域の本調査を計画し,実施した。本調査は,おおむね平成8年末から9年初頭という年度末に行われたため,現時点で集計・分析は継続中である。本年度の研究成果を大きくまとめると次の2点に集約される。1.前年度までの調査研究によって明らかになった各領域における国語能力の発達の諸特徴を,より多くのデータをもとに確かめることができた。2.予備調査・本調査を通じて,各領域班ごとに取り組んできた研究の成果を,「統合モデル」というというかたちで,仮説の域を出ないながらもまとめることができた。本調査についての精細な考察は今後を待たねばならないが,本調査設計時に設定した研究仮説との照合を中心に得られた研究成果を研究成果報告書にまとめている。また,一部の領域班では,集計・分析の所要時間の都合上,収集したデータ全体のうち一部分を取り上げて集計・分析し,その後全体に広げていく方法を採っている。
著者
リム ボン 東 自由里 大津留 智恵子 出口 剛司 吉田 友彦 轟 博志 デイビッド ウィリス 坂本 利子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究プロジェクトの成果は、主として、次の5つの点である。(1)NYのロワーイースト・サイド・マンハッタンで開花した文化力と地域再生力の本質を追跡した。とりわけ、歴史的建造物の保全と再生、さらにはこれらを活用した市民教育支援事業に熱心に取り組んでいるテネメント・ミュージアムやエルドリッジ・ストリート・ミュージアムの取材を重ね、それらの組織的基盤となっているNPOの役割を明らかにした。テネメント・ミュージアムは、近年新たな移民として渡米してきた人々に対する積極的な人権啓発と生活支援に関する教育事業を実施しているのであるが、同時に、地域の歴史的形成過程等の教育プログラムも実践している。(2)ミネソタ州における、アメリカで最も大きなモン系コミュニティの現状と政策の先進性を明らかにした。マジョリティとマイノリティの軋轢の原因をなすはずの「差異」を、むしろ積極的な社会資源として積極的に受け入れ、マジョリティによる一方的な押し付けではない多文化的市民像の構築を行った。(3)フランクフルトにおけるユダヤ文化の再生過程を分析し、その積極的な可能性を明らかにした。とりわけ、フランクフルトのヴェストエンド地区を舞台に展開しているユダヤ文化再生過程を分析することによって、多文化主義時代におけるマイノリティの可能性を明らかにしている。(4)大阪市生野区の御幸通り商店街(旧猪飼野地区)と東京都新宿大久保地区のコリアタウンをフィールドに、日本社会におけるコリアン・コミュニティの浸透状況と存在意義を考察し、さらには今後の可能性をも提唱した。(5)同和地区において過去40年の間に、隣保館、診療所、体育館、学習センター、公衆浴場、歴史資料館などの社会資本ストックが既に形成され、これら施設郡を有機的に活用するシステムを開発し、都市の魅力アップに貢献する拠点地区となり得ることを解明した。
著者
曽根 良昭 廣田 直子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

日本・大阪、ポーランド・ポズナンに観られた糖質の消化・吸収効率の季節変化は熱帯タイ・チェンマイでは観られなかった。夜間絶食後・朝空腹時に於ける糖質と脂質の代謝バランスを示すRQ値(呼吸商)は日本において有意な季節変化を示し、秋~冬季に上昇し(糖質代謝が優位)、夏季において低下(脂肪代謝が優位)することが分かった。ポーランドに於いては有意な季節変化は観られなかったが、日本と同様な傾向が観られた。タイでは季節変化は観られなかった。また食事摂取調査の結果、糖質と脂質の摂取比率には3カ国とも季節変化は観られなかった。
著者
弘末 雅士 鈴木 信昭 唐沢 達之 貴堂 嘉之 高橋 秀樹 荷見 守義 石川 禎浩 清水 和裕 土田 映子 大石 高志 疇谷 憲洋 佐々木 洋子 遠藤 正之 久礼 克季
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

地中海世界・イスラーム世界・欧米・中南米・南アジア・東南アジア・東アジアにおける奴隷の歴史を比較検討することができ、地域相互間の奴隷取引や奴隷をめぐる観念の展開を広域的に解明できた。また移住者の広域ネットワークの形成に果たす役割とともに、移住先の社会の秩序構築に積極的に関わったことが明らかとなった。そうした移住者を迎えた現地人妻妾のアジアにおける事例が比較検討され、彼女らやその子孫が、前近代において商業活動や港市の社会統合に重要な役割を担ったことが解明された。さらに近現代社会における新たな仲介者や媒体の存在に注目する必要性を認識した。
著者
山口 庸子 片山 倫子 生野 晴美 尾畑 納子 後藤 景子 大矢 勝 板垣 昌子 多賀谷 久子
出版者
共立女子短期大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

環境負荷の少ない家庭洗濯の提案(環境調和型家庭洗濯)に向けて、洗剤、洗浄用水、汚れ、機械力、機械乾燥、洗濯行動の見直しを行った。その結果、毒性を抑えた界面活性剤の組合せ、酵素配合による界面活性剤使用量の削減、汎用的な洗浄力および機械力の評価方法の提案、地域特有の衣類乾燥の現状と環境負荷を抑えた乾燥法を言及した。更に、教員向け情報支援として、身近な体験的ツールに加えてWeb情報等ペーパーレスを望む意向を明らかにした。
著者
佐々木 えりか 富岡 郁夫 高橋 司 井上 貴史 前田 卓志 岡原 純子
出版者
公益財団法人実験動物中央研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

コモンマーモセットは霊長類で唯一導入遺伝子が次世代へ伝達する遺伝子改変個体の作出が可能であるが、より多くの疾患モデル作製のためには機能欠損型の遺伝子改変マーモセットの作出が求められる。本研究は、機能欠損型の遺伝子改変マーモセットの作出技術基盤を構築した。
著者
橋本 祐一 石川 稔 青山 洋史 杉田 和幸 小林 久芳 谷内出 友美 松本 洋太郎 三澤 隆史
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

タンパク質の機能や存在状態(細胞内での局在・分布や安定性・寿命)はその3次構造に依存している。したがって、特定のタンパク質の3次構造の制御は、その機能や存在状態の制御に直結する。また、特定のタンパク質の3次構造の異常に基づく多くの難治性疾患が存在する。本研究では、(1)タンパク質の3次構造を制御することによって作用を発揮する各種核内受容体リガンドの創製、(2)タンパク質の異常な3次構造に基づく細胞内局在異常を修正する化合物群の創製、ならびに(3)特定のタンパク質の生細胞内での分解を誘導する化合物群の創製、に成功するとともに、(4)関わる分子設計として共通骨格を利用する手法を提案した。
著者
黒田 俊一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

我々は B 型肝炎ウイルス(HBV)表面抗原 L タンパク質粒子が中空ナノ粒子であり、ヒト肝臓特異的に感染できる性質を有することを利用して、非ウイルス性DDS ナノキャリア「バイオナノカプセル(BNC)」を開発した。マウス静脈内に投与されたBNC は細網内皮系(RES)に富む臓器を避けつつ、標的組織まで効率よく到達することができた。本研究では、ナノ医薬品の表面をアルブミンでコートすることにより血中半減期を延長することができることから、我々は BNC 表層にある重合血清アルブミンレセプター(PAR)がマウス肝臓の RES を回避するのに有効であることを証明した。その結果は、BNC のみならず HBV が、本来 RES回避機構を有することを強く示唆していた。そこで、PAR ペプチドの表面修飾は、次世代ナノ医薬品の薬物動態および薬物力学の改善に貢献する新しい方法であるのかもしれない。
著者
佐藤 衆介 瀬尾 哲也 植竹 勝治 安部 直重 深沢 充 石崎 宏 藤田 正範 小迫 孝実 假屋 喜弘
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

1.行動変化を指標とした家畜福祉飼育総合評価法の開発:ドイツ語文化圏で使用されている家畜福祉総合評価法であるANI(Animal Needs Index)法を我が国の酪農及び肉牛生産に適用した。そして本法は、放飼・放牧期間に偏重していることを明らかにした。さらに、(1)改良ANI(Animal Needs Index)法並びに家畜福祉の基本原則である5フリーダムスに基づいた飼育基準を作成した。(2)評価法改良のため、身繕い行動並びに人との関係の指標である逃走距離に関する基本的知見を収集した。(3)福祉評価においては、動物の情動評価も重要であることから、ウマを使い、快・不快に関する行動的指標を明らかにし、それは飼育方式評価に有効であった。2.生理変化を指標とした家畜福祉飼育総合評価法の開発:ニワトリの脳内生理活性物質のうちエンドルフィン(ED)が快情動の変化を捉えるのに適していること、またEDがMu受容体を介してストレス反応の調節にも関与することを明らかとした。また、輸送時の福祉レベルを反映する免疫指標を検索し、末梢血のNK細胞数やConA刺激全血培養上清中のIFN-γ産生量が有用であった。3.家畜福祉輸送総合評価法の開発:RSPCAの福祉標準に基づき、我が国の家畜市場に来場する家畜運搬車輌を対象に、福祉性評価を実施した。また、国内における子牛の長距離輸送および肥育牛の屠畜場への輸送について、行動・生理・生産指標に基づくストレス評価を行った。RSPCAの標準に基づく評価では、国内の運搬車輌は概ね福祉的要件を満たしていたが、一部、積込路の傾斜角度とそこからの落下防止策に改善の余地のあることが明らかになった。国内輸送時のストレス評価では、明確な四季を有する我が国では、季節により牛に対して負荷されるストレス要因が異なることが確認され、季節に応じた福祉的配慮が必要であることが示された。
著者
藤井 讓治 杣田 善雄 中野 等 早島 大祐 福田 千鶴 堀 新 松澤 克行 横田 冬彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、織豊期の主要人物、織田信長・豊臣秀吉・豊臣秀次・徳川家康・足利義昭・柴田勝家・丹羽長秀・明智光秀・細川藤孝・前田利家・毛利輝元・上杉景勝・伊達政宗・石田三成・浅野長政・福島正則・片桐且元・近衛前久・近衛信尹・西笑承兌・大政所・浅井茶茶・孝蔵主について、その居所と行動を、当時の日記と厖大に残されている多くは無年紀の書状をもちいて確定したものである。その成果は、この期の政治史・文化史研究の基礎研究として大きな意味をもつ
著者
野中 泰二郎 高畠 秀雄 谷村 真治 梅田 康弘 河西 良幸 井元 勝慶 坪田 張二 中山 昭夫
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1.最近発生した地震の現地調査と地震波形記録にもとづく破壊過程の検討から、キンデイオ地震では小さな破壊開始の約1秒後に大きな破壊があったこと、第2の大きな破壊がアルメニア市を直撃し、1000人を超える死者が生じた大きな被害を引き起こしたこと、30,000人が犠牲になったコジャエリ地震では100kmを超える断層が現れ、断層の近くでは最大加速度は水平方向で407Gal、上下方向で260Galに達したこと、鳥取県西部地震ではふたつの異なったフェイズが観測され、この地震の破壊は連続的に進展したのではなく、別途の破壊が新たに進行したと考えられ、大破壊によってせん断応力が開放されところに「地震のブライトスポット」が形成されたことなどがわかった。2.記録地震波と実構造に近い三次元連続体モデルの有限要素による弾塑性動的数値解析を遂行した結果、激しい直下地震の場合などでは初期の過渡応答過程がその後の動的挙動に支配的な影響を及ぼすこと、またそれは、構造物の大きさや形、支持・境界条件と初期地震動のプロファイルによって著しく異なる事がわかった。これらの現象は構造物中を伝わる応力波の影響を考慮することで把握できる。3.兵庫県南部地震で構造物に発生した顕著な被害箇所は急激なエネルギーの変化と密接に関係している。特に、高層鋼骨組の極厚断面主柱の破断が特定の階の段落し部分での溶接部に多発した原因が明らかにされた。4.この地震で高層骨組のブレースと柱の接合部が一体となって破断した原因は、剛接ブレースに作用している軸方向力と剪断力とから生じる鉛直成分の力によって、ブレースが上向きに引っ張られて破断し、次に、柱の破断を誘発した。5.骨組構造において、塑性ヒンジが初期に集中して発生する階では構造物の損傷を受けやすく、塑性ヒンジが発生していない階では被害は顕著でない。塑性ヒンジが集中的に作用する事を避ける必要がある。6.既存木造家屋を外部から耐震補強する工法を開発し、外部補強の支持部の水平載荷実験と3次元弾塑性解析によってその効果を評価確証した。7.衝撃速度を変えたシャルピー衝撃試験の結果、衝撃速度が大きいほど吸収エネルギーが大きくなる、すなわち、破壊靭性が増加することがわかった。8.塑性歪履歴を受けた鋼材を用いたシャルピー衝撃試験から、塑性歪が鋼材の脆性破壊発生に大きな影響を及ぼすこと、予ひずみが大きいほどエネルギー吸収能力が低くなり、予ひずみ材は衝撃荷重を受けると破壊し易いことなどを明らかにした。
著者
上田 多門 後藤 康明 長谷川 拓哉 濱 幸雄 田口 史雄 遠藤 裕丈 林田 宏 桂 修 加藤 莉奈 佐藤 靖彦 王 立成
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

寒冷地のコンクリート構造物は,コンクリート内部の水分が凍結融解を繰り返すことにより,凍害といわれる劣化が生じる.超音波を用いた実構造物における凍害の程度を測定する方法を提示し,凍害の程度と材料特性の劣化程度との関係を示した.乾湿繰返しや塩害と凍害との複合劣化のメカニズムを明らかにし,劣化をシミュレーションするための数値モデルを提示した.凍害を受けた構造物を増厚工法で補修補強した後の,構造物の挙動を数値解析するためのモデルを提示した.