著者
吉良 芳恵 井川 克彦 村井 早苗 久保田 文次 斎藤 聖二 櫻井 良樹 久保田 博子
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

1、宇都宮恭三氏から拝借した宇都宮太郎(陸軍大将)の資料(日記15冊と書類約1700点、書簡約4600通、写真約300点等)をもとに、宇都宮太郎関係資料研究会を立ち上げ、平成15年度から1点毎の資料整理を行って、書類と書簡の目録・データベースを作成した。2、全日記の解読・翻刻(入力作業)を行い、書類や書簡と照合しながらその内容の分析を行った。その過程で、中国での情報収集活動をもとに、宇都宮が陸軍のアジア政策を立案し、中国革命への種々の関与・工作を行ったこと、諜報活動資金を陸軍機密費だけでなく岩崎久弥からも得ていたこと、二個師団増設問題で妥協工作を行ったことなど、新しい歴史事実が明らかとなった。中でも、朝鮮軍司令官時代の3・1独立運動時の対応(堤岩里事件等)や、「武断政治」的統治策を批判して「文化政治」的懐柔工作を行ったことなどは、従来知られていなかった事実でもあり、日本の植民地研究に大きく寄与することになるだろう。また陸軍中央の人事についても具体的背景が判明したことは収穫であった。3、書簡の一部(特に上原勇作書簡)の解読・翻刻を行い、「長州閥」と「反長州閥」との闘いの実態を明らかにすることができた。4、日露戦争期における英国公使館付武官としての役目や行動を、英国調査や書類の解読で明らかにすることができた。特に、英国の新聞に英国陸軍軍制改革案を投稿したことや、明石工作などの対露情報工作資金の実態が判明したことは、今後の日露戦争研究に寄与することになるだろう。5、佐賀県での調査により、宇都宮太郎の父の切腹事件が幕末維新期の佐賀藩の藩政改革に関係していることを確認できた。6、書類中の任命関係資料により、人物辞典等の誤りを訂正することができた。7、平成17年2月26日に日本女子大学で国際シンポジウム「宇都宮太郎関係資料から見た近代日本と東アジア」を開催し、招聘した英国や中国の研究者等と共に、宇都宮太郎関係資料の歴史的価値を、そのアジア認識を含めて、広く学会に紹介した。8、岩波書店から2007年4、7、11月に3巻本として宇都宮太郎日記を刊行することになった。
著者
澁谷 博孝 北村 千浪 大橋 一慶 石津 隆 スダルソノ リスワン パルトムアン シマンジュンタク
出版者
福山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本学術調査は、インドネシアのバリ島及びロンボク島に生活するヒンズー教徒が伝承する、薬物治療に関する古文書「ウサダ・ロンタール」の実態調査を行い新しい天然薬物の発掘を指向するとともに、日本・インドネシア両国間の共同研究による学術交流における発展に寄与することを目的としている。バリ島及びロンボク島各地に散在している「ウサダ・ロンタール」の実態状況の把握のため、ヒンズー教徒の集落を訪ねるとともに、バリ島の北部のシンガラジャ市にある「ロンタール博物館」、及びロンボク島のマタラム市にある「西ヌサ・テンガラ州立博物館」のそれぞれの学芸員に協力を依頼し、「ウサダ・ロンタール」の保存状況を含めた実態を詳細に調査した。その結果、各地で重複する「ウサダ・ロンタール」の存在が明らかになるものの、これまで各研究機関が別個に情報収集を行ってきたために判らなかった「ウサダ・ロンタール」の全体像が明らかになり、所在を記した一覧表の作成を行うとともに、数種の復刻判を入手した。また、古代バリ語からインドネシア語への翻訳及び、インドネシア語から英語への翻訳を行い、数種のウサダ・ロンタールに関する翻訳資料を作成した。さらに、翻訳したウサダ・ロンタールに記述された薬用植物名と、現在バリ島に自生する植物との比較を、植物学及び民族学的な見地から同定するとともに、それらの用法について検討を行い、種々の知見を得た。
著者
今村 文彦 後藤 和久 松本 秀明 越村 俊一 都司 喜宣 牧 紀男 高橋 智幸 小岩 直人 菅原 大助 都司 嘉宣
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

千年に一度程度発生する低頻度巨大津波災害であるミレニアム津波ハザードの事例を取り挙げ,災害史学から明らかにされる史実に加え,地質学・堆積学・地形学・地震学など科学的な手法に基づいて補完することで,沖縄および東北地方でのミレニアム津波ハザード評価を検討した.まず,八重山諸島において津波で打ち上がったサンゴ化石(津波石)の分布調査および解析により,1771年明和津波に加え,850,1100 yrBPの2期存在する可能性が示された.さらに,仙台平野でも学際的な調査を行い,869年貞観地震津波に加え,1260や2050yrBPされた.2011年東日本大震災で得られた津波被害関数などの検討も実施した.
著者
内藤 林 森 淳彦 箕浦 旨彦 高木 健 別所 正利 一色 浩
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

次の研究成果を得た。1)船首可動翼の制御について考察を深め、可動翼を制御するための入力信号を明確にすることが必要であることから、船首船底圧力を制御信号に選定することにし、その可能性を調べる実験を行った結果、船首船底圧力と、翼への流入迎角の間には明確な相関関係があることが実験的にも明らかになった。船首船底圧力の計測は容易であり、圧力計測装置は安価なことから、良い制御信号であるとの結論を得た。2)船首船底圧力と、翼への流入迎角の間の周波数応答関数(A)を求めた。更に、その結果を使い時間領域のインパルス応答関数(A)を求めた。それを使い、規則波中で予測した流入迎角と、その実測値を比較し、船首船底圧力を使って船首翼への流入迎角を十分な精度で予測できることを示した。3)船首船底圧力を使って不規則波中における船首翼制御の初歩的な検討を、下記の手順で計算機シュミレーションを行い、検討した。(1)船首翼が最も推力を出す場合の、船首船底圧力と翼への流入迎角の間の周波数応答関数(B)を求める。(2)それの時間領域の表現である、インパルス応答関数(B)を求める。(3)船首船底圧力の実測値とインパルス応答関数(B)から求められた信号をリファレンス信号とし、船首船底圧力の実測値とインパルス応答関数(A)から求められた信号の差を補償する制御回路を設計した。(4)船首固定翼の場合と可動翼の場合について推力を計算比較した所、可動翼にすることで固定翼が発生する推力の1.5倍以上の効果があることがシミュレーション上で確認できた。(5)翼への流入迎角が15度以上になった時、翼は失速するが、その影響は統計的等価線形化手法を使って考慮した。本来、失速しないように制御することが可能であり、今後その制御法を考察する。4)船首翼を制御することで、推力発生だけでなく大幅な横揺れを軽減できることを昨年の研究で示した。更に、コンテナー船等の場合、ラッシングレスコンテナーにすることの可能性について検討を行い、その可能性が大きいことを示した。これはアンチローリングフィンは船体中央に設置することよりは、改良を加えて船首に設置する方が、よりフィンの有効性を拡大することになり、効果的であることを示すものである。5)波エネルギーの有効利用の可能性をより一層広げるために、船首にムーンプールを作り、そこに設置したウェールズタービンでエネルギーを吸収し、それを船内電源に利用する方法に関する基礎的検討を行った。ムーンプールを作るために船内空間を一部使用することになる経済的損失との兼ね合いがあるが、一つの大きな可能性を示すものである。
著者
山内 恭 和田 誠 塩原 匡貴 平沢 尚彦 森本 真司 原 圭一郎 橋田 元 山形 定
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

両極におけるエアロゾルの航空機集中観測を通じ、極域のエアロゾルにとって、南極・北極ともに,大気の長距離輸送過程が支配的であることが明らかになり、気候影響の大きい黒色炭素の問題等も興味ある発展が期待される。1.16年度5〜6月に、ドイツ、アルフレッド・ウェーゲナー極地海洋研究所(AWI)と共同で、同航空機2機を使った「北極対流圏エアロゾル雲放射総合観測(ASTAR 2004)」を実施した。航空機による散乱係数,吸収係数とも汚染の度合いの高かった北極ヘイズの活発な時期であったASTAR 2000の3〜4月の結果に比べいずれも低めの値が示されたほか、黒色炭素粒子が硫酸液滴に取り込まれた内部混合粒子が卓越することが明らかにされた。また、地上では降水に伴うエアロゾルの除去過程が観測され、エアロゾルと雲の相互作用が類推された。2.18年12月から19年1月にかけて、引き続きAWIの航空機による南極域での「日独共同航空機大気観測(ANTSYO-II)」を実施した。大西洋セクターではノイマイヤー基地を中心に内陸のコーネン基地まで、合計22フライトを実施し、インド洋セクターの昭和基地側では大陸上S17拠点をベースに内陸、海洋上水平分布と鉛直分布を取得する観測飛行を合計15フライト実施した。エアロゾルの物理、光学、化学特性の3次元分布を得たと共に、温室効果気体の鉛直分布を得るための大気試料採取も行った。南極大陸沿岸域でも、西経側に位置するノイマイヤー基地周辺では、大気が南極半島側から輸送されることが多く、一方東経側に位置する昭和基地では、南大洋を越え南米大陸からの輸送が多いことが、エアロゾルの性質を特徴づけていること、さらに昭和基地近傍で内陸からの大気の中にも黒色炭素の多いエアロゾルが見られることが明らかになった。そのほか、昭和基地観測、海鷹丸観測と併せ、海洋起源物質の寄与の解明も期待される。
著者
石澤 良昭 VELIATH Cyril 片桐 正大 上野 邦一 菱田 哲郎 後藤 章 青柳 洋治 村井 吉敬 中尾 芳治 荒樋 久雄
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

ミャンマー・マンダレー管区パガン地域およびマンダレー地域の調査研究旅行経路:成田(関空)-バンコック-ヤンゴン-パガン-ヤンゴン-バンコック-成田(関空)<国内における準備活動>(1)ミャンマーに関する水利灌漑関連の文献資料、農業関係資料(特にJETROアジア経済研究所図書館)の調査、収集、(2)パガン遺跡調査、エーヤーワディ川に関するビルマ語文献、英領時代のチャウセー地方の灌漑調査報告書、農機具調査報告書、灌漑水路による乾季作調査などに基づき調査方法の確定、など。<現地における調査・研究活動>1)ミャンマー文化省を表敬訪問、考古局長U Nyun Han氏と打ち合わせ会議:担当官の同行による現地調査地点の確認と調査地の事前通告の再確認。マンダレー・チャウセー灌漑局と打ち合わせ。2)ビルマ語の灌漑地図:地図および報告書の収集と同時に検分。チャウセー農業報告書の主要部分の英訳作成。3)マンダレー、チャウセーおよびパガン調査:(1)乾燥地帯と在地灌漑技術の痕跡調査。(2)シャン高原に源を持つ水量豊かな複数の河川とチャウセーとの複合扇状地調査。(3)古い形の集住社会(カヤイン)単位の検証と灌漑稲作の関係調査。(4)パガン王朝諸王の灌漑施設建設、大人口の集中と寺院建設の検証(5)当時の河川交通による交易とコスモポリタン的パガン文化の調査。(6)寺院仏塔のレンガ材と水利構造物の建築方法調査(建築班、考古班):一部オーガによるボーリング(7)チャウセー地方の河川取水による古水利網調査(灌漑工学班):往時の生産高と村落配置の考察(8)パガン都城と内陸交易物産と村落経済調査(社会経済班)(9)修復中の仏塔・寺院調査(歴史・考古班)4)研究協力者:U Nyun Han(ミャンマー文化省・考古局長)パガン保存修復担当
著者
西嶋 尚彦 長谷川 聖修 尾縣 貢 國土 将平
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究は「子どもの体力低下要因について発育発達および社会生活的側面から体系的,総合的に調査研究し,体カ低下の要因」を究明することを目的とした先行研究プロジェクトを発展的に継承し,子どもの体力向上プログラムの実践的検証と,そのための運動,遊び,生活習慣改善に関する科学的根拠を総合的に解明するものであった.以下の4つのサブプロジェクトを実施した.課題a)走・跳・投などのスポーツに基礎的運動の成就と習熟を決定する主要動作実験協力校を依頼し,関連する単元で疾走向上プログラムを実践し,単元の前後に運動動作の成就と体力を測定した.構造方程式モデリングを適用して,小学生の疾走運動の成就と習熟を決定する主要動作と技能を分析した.課題b)健康のための体力つくり運動の運動特性と体力向上効果実験協力校を依頼し,体力つくりに関連する単元で体力向上プログラムを実践し,新体力テストを用いて体力測定を実施した.小学校と中学校での体力向上プログラムの効果を実践的に検証した.課題c)体力向上に有益な運動遊びの体力・運動特性基本運動の熟練者である体育専攻学生と未熟練者の一般学生男女を対象として,基本的運動遊びである蹴球の体力・動作・運動・戦術特性を検討するために,項目反応理論分析を適用して.蹴球動作・運動・戦術の成就と習熟のための達成度評価基準を分析した.課題d)体力向上のための主体的な生活習慣改善を決定する要因実験協力校を依頼し,体力つくりに関連する単元で体力向上プログラムを実践し,健康習慣,運動習慣,生活時間など健康生活に関する調査と体力測定を実施した.小学生と中学生の体力向上のための主体的な運動生活習慣の改善を決定する要因を分析した.
著者
畑 雅恭 井手口 哲夫 安川 博 内匠 逸 奥田 隆史 北村 正 足立 整治 山口 栄作 田 学軍
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1.大気環境で計測される放射電磁波の一部は、地殻からの放射である事が観測と研究を通じて明らかになった。高感度な観測機器システムを開発し、北海道釧路から九州熊本まで中部日本を中心に約40個所の観測点を配置し、3軸磁界6秒毎の観測を24時間体制で実施し、地震・火山噴火活動に対応した電磁波前兆を検出し、事象との対応の調査と取得データの解析を行った。2.2000年夏の三宅島火山噴火活動、2001年春の静岡県中部地震活動、秋から暮れにかけて富士山低周波地震活動、2002年春より伊勢湾周辺の潜り込むフィリピン海プレート境界での地震の多発、2002年2月中旬より宮城県北部や県沖での地震活動、2003年初めより東海道沖地震活動など多くの地殻活動イベントが発生したが、それらに対応した特異な電磁放射を観測でき、多くのデータを収集した。大規模な平成15年5月の三陸南地震M7.0では、宮城県北部で約1年3ヶ月の長期の電磁波前兆が観測され、事態の推移をフォローした。観測点周辺の地殻異常の判断が正しかったことと、1年程度の事前放射異常の存在が確認された。観測事象のネットワーク公開も平成13年秋より実施し多数の閲覧を得ている。3.電磁波の放射状態から地殻歪の集積状態やその移動・推移状態が推定できれば、事態を予測する上で意義が高い。音響学的解析により、放射特徴量の抽出とパターン化、およびそのデータベース化を行った。地震の前に標準パターンからの偏移異常が発生したことを確認した。また、デジタル信号処理による独立成分解析によって熱帯雷放射雑音の分離除去が可能となった。また主成分解析によって前兆放射の特徴抽出、電磁放射領域の特定について評価し成果を得ることができた。4.活動の予測される地域を垂直電磁放射波の検出範囲である約20kmメッシュ毎に詳細観測すれば、地震・火山噴火の規模と活動域のほか事態の推移について多くの情報が得られることがわかった。今後、関東南部、東南海等の活動の予測される地域において、電磁波前兆観測の性能と限界を評価する必要がある。
著者
堀口 郁夫 松岡 延浩 松村 伸二 谷 宏 町村 尚 内藤 成規 今 久
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1994

誰にでも使用できることを目標に、衛星赤外データ解析のシステム化の研究を行って一応の完成をみた。解析ソフトは、気象衛星ノア(NOAA)のAVHRRデータと気象衛星ひまわり(GMS)データについてである。これらはMicrosoft Windows 95のパソコン上で作動するようになっている。CPUはPentium 90MHz以上、メモリ16MB以上、ディスク50MB以上のハードウエアが必要である。また、光磁気ディスクなどの補助記憶装置を備える必要があり、表示装置としては256色以上のディスプレイが必要である。これらは最近価格が安くなっており、誰でも容易に備えることが出来る。気象衛星ノア(NOAA)のAVHRRデータについては、タンジェント補正、幾何補正、プロファイルの表示、植生指数の計算、表面温度の計算、これらの印刷、ファイル保存などの処理をするソフトで構成されている。また、気象衛星ひまわり(GMS)については、画像の切り出し、地図投影、海岸線や緯度経度の表示、ピくセルの情報、拡大縮小表示、大気補正、画像出力、などのソフトが組み込まれている。試作段階のソフトとデータをインターネット上で配布するため、千葉大学にfitサイトを設置した。同時に12名のモニターを選び、配布方法とソフトも使用感に関するアンケート調査をした。1997年1月30日からデータ配布用サーバの運用を開始した。試験配布の結果から、基本的にはfitソフトとデータの配信を行うこととした。なお、申請などはネットワーク上で行うこととし、WWWサーバを利用した。
著者
吉本 敦 庄司 功 尾張 敏章 加茂 憲一 二宮 嘉行 木島 真志 庄司 功 加茂 憲一 尾張 敏章 柳原 宏和 二宮 嘉行 佐々木 ノピア 木島 真志
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

1992年の生物多様性条約採択以降、生態系保全政策のグローバルな影響への関心が高まっている。このような保全政策はある地域の政策が他の地域の生産活動に及ぼす影響を考慮しながら、地域レベルの生態系サービス(多次元的な財)の生産調整を行う必要がある。その結果、地域的あるいは国際的に効果的・効率的かつ実行可能な保全政策を展開することが可能となる。本研究では、トルコ、韓国、日本を中心に、森林資源から供与される多次元的な財の中で、特に生息地供与機能、侵略的外来種防止機能、美的景観供与機能を特定するモデルを開発し、森林資源・生態系管理に対する時空間最適化モデルの構築により、それら機能を定量的に明らかにした。
著者
首藤 もと子 小嶋 華津子 キンポ ネイサン サーベドラ ネアントロ フォーシェ キャロル ルイ ジャン=オーグスタン ALICE Sindzingre ANGELA Uforo Shanyo BRAHIMA Songore CLAUDE Sumata EDSON Kenji Kondo 江 時学 MBATIA Hiram Mwangi SAAVEDRA Neantro SEIFUDEIN Adem SHERLON Chi-yin Ip ZHANG Wei Wei
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、中国の開発援助がどのような分野で供与され実施されているか、それは受入側の社会でどのように評価され、どのような経済的、社会的変化をもたらしているかについて、主として受入国での現地調査を基に分析した。平成20~22年度に現地調査を行った国は、アフリカ(タンザニア、ケニア、エチオピア、コンゴ、マリ)、東南アジア(インドネシア、フィリピン、ベトナム、メコン流域諸国)および中南米諸国(ブラジル、ペルー、コスタリカ、キューバ)である。現地調査とは別に、中国の対外援助の政策決定過程についての研究も行った。本研究の成果は2011年中に編集作業を進めて英文で出版する計画である。
著者
村上 正隆 折笠 成宏 斎藤 篤思 田尻 拓也 橋本 明弘 財前 裕二 牧 輝弥 荒木 健太郎 松木 篤 久芳 奈遠美
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

つくばサイトに於いて、各種エアロゾル測定・採取装置、雲核計、氷晶核計を用いて通年観測を継続実施した。エアロゾルの物理化学生物特性および雲核・氷晶核活性化スペクトルの季節変化について明らかにした。大気エアロゾルの主要構成要素である、黄砂粒子・バイオエアロゾル・種々の人為起源エアロゾル(標準粒子)を対象とした雲生成チェンバー実験や雲核計・氷晶核計を用いた測定結果と詳細雲微物理モデルの結果に基づき、その雲核能・氷晶核能を種々の気象条件下で調べ定式化した。その結果を用いて非静力学モデルなどに用いるエアロゾル(雲核・氷晶核)・雲・降水を統一的に取扱う新機軸のパラメタリゼーションを開発した。
著者
堀池 寛 福田 武司 鈴木 幸子 山岡 信夫 近藤 浩夫 峰原 英介 宮本 斉児 峰原 英介 宮本 斉児 近藤 浩夫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、ピコ秒パルスを持った高輝度の自由電子レーザーを利用して、原子炉や燃料集合体等の大型構造体の非熱解体技術への適用性を実験的に調べた。軽水炉用燃料被覆管材料であるジルカロイ4等を用いて、市販最新鋭レーザーと切削形状を比較した結果、これら原子炉材料の効率的(狭切削幅)非熱プロセスが実現可能であることを示した。また、ナノ秒パルスレーザーを用い、加工切削形状へ与える基礎的な条件を確認し、厚肉構造材を加工するために必要なレーザー光および導光のための光学系が備えるべき条件を実験的に確認した。
著者
木下 博雄 渡邊 健夫 格内 敏 YASHIRODA Yoko YOSHIDA Yukiko KAMEMURA Kazuo 新部 正人
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、次世代リソグラフィ技術である極端紫外線露光法を2009年までに実用化するために、その課題の一つであるマスク基板の無欠陥化を目標とする。このため、多層膜が形成されたガラス基板上の欠陥を露光光と同一のEUV光で直接観察し、さらにミラウ型の位相差干渉顕微鏡の構築により、サブナノメートル(0,03nm)の微細な表面界面の3次元像の形成を実現させる。当該研究機関において、1)EUV顕微鏡の製作、2)ビームスプリッタの製作技術、3)プログラム欠陥をもつ位相欠陥マスクの製作と評価、を進めた。1)については、形状精度、表面粗さともに、0.3nm以下を満足させるNA0.3、30倍のシュバルツシュルト光学系を入手し、ニュースバルビームライン3に設置した。2)については、厚さ100nm以下のメンブレン構造とせねばならないことから、膜応力の低減、均一化など、さまざまな改良を進めているが、未だに干渉実験に供するものが出来上がっていない。3)のプログラム欠陥に対しては、HOYAの協力を求め、高さ5nm、幅90nm〜500nmの凹凸欠陥をもつガラス基板に多層膜を形成したマスクにて評価を進めた。この結果、凹、凸とも5nmの高さで90nmの幅をもつ立相欠陥の観察に世界で初めて実現できた。本研究課題の位相差型顕微鏡の開発は、ビームスプリッタの製作の困難さから、現時点では実現できなかった。しかしながら、極端紫外線領域での顕微鏡により位相欠陥の観察が可能となり、ほぼ初期目標を満足させることが出来たと考えている。この種の位相欠陥の観察として、ゾーンプレートを用いる方式も米国Berkeley研究所で行われているが、本方式が解像度、観察領域ともに優れている。今後、この成果は、極端紫外線リソグラフィ用のマスク評価として、HOYA、旭硝子、Seleteの国内機関の他、Samsung電子等に解放し、利用研究が進められる。
著者
渡辺 浩一 岡崎 敦 高橋 実 大友 一雄 臼井 佐知子 蔵持 重裕 林 佳世子 三浦 徹 丑木 幸男 須川 英徳
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

平成16年度は、11月に二日間にわたり、韓国国史編纂委員会の協力を得て、同委員会にて「近世東アジアにおける組織と文書」という国際研究会を開催した。日本側報告4本・韓国側報告4本・中国の報告1本を中央政府・地方行政組織・村落と家・商人の4つのセッションに編成した。参加者は約30名。平成17年度は、8月に二日間にわたり、復旦大学歴史地理研究所の協力を得て、上海において「東アジアにおける文書資料と家族・商業および社会」という国際研究会を開催した。日本側報告4本・中国側報告5本が行われたほか、韓国・トルコからのコメントも寄せられた。参加者は約30名。平成18年度は、9月に一日間で、アンカラ大学歴史地理言語学部の協力を得て、同大学において「オスマン朝と中近世日本における国家文書と社会動態」という国際研究会を開催した。日本側報告2本・トルコ側報告3本のほか、中国・韓国からのコメントも寄せられた。参加者は38名。平成19年度は、まず6月に、フランス国立古文書学校の協力のもとフランス国立文書館(パリ)において「アーカイヴズ、社会、権力(中世・近世の西欧と東アジア)文書管理働くさまざまな力」という国際研究会を行った。日本側報告4本・欧州側報告3本のほか世界各地からの多彩な比較コメント20本を、国家・都市・商人の3つのセッションと総合討論に配した。参加者は約40名。ついで、12月には本研究の総括として、立教大学において「近世アーカイブズの多国間比較」という国際シンポジウムを二日間にわたり開催した。日本側報告2本のほか、トルコ・西欧・中国・韓国から報告者を招聘し、「統治と社会」「実践」の二つのセッションに編成した。参加者は約100名。各研究会・シンポジウムの前後には国際共同史料調査を実施した。
著者
中嶋 信生 唐沢 好男 本城 和彦 山尾 泰 藤井 威生
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

自動車事故防止を目的として,高信頼な車車間情報通信,高精度測位,危険の表示方法等の研究開発を行った.具体的にはMIMO+アダプティブ複号化,路側無線機中継,車の置かれた状況に応じたルーティング手法等の適用により,車車間通信の高信頼化を図ると共に,電波干渉の強い車車間通信に耐える低歪・高能率な無線回路を開発した.衝突防止に向けた車対人の相対測位ならびに歩行者の高精度電波測位では, 2. 4 GHzの周波数で推定誤差1m以下を達成した.ウェアラブル型の常時即時認識可能なドライバー用情報表示機器を実現した.
著者
河口 公夫 塚田 全彦
出版者
国立西洋美術館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

1.美術品が曝される温湿度変化の実データ収集国立西洋美術館からの作品貸出の際に、輸送・展示期間の温湿度の連続計測を行い、実際に作品が曝される温湿度変化に関する知見を得た。貸与先での温湿度管理は必ずしも貸す側が求める範囲内で適正に管理されるとは言えないことが明らかとなった。2.温湿度変化に伴い絵画作品におこる変化の計測輸送・展示中に起こる温湿度変化に作品(特に紙を支持体とするもの)が曝された場合に生じる、作品の形状、水分量の変化について、基礎実験データの収集を行った。その結果、一般的な傾向として相対湿度の変化に合わせて速やかに紙試料の形状、'水分量は変化し、相対湿度が高くなると試料の変形、含水率は大きくなり、相対湿度の変化幅が大きい方が変形、水分量の変化幅も大きいことがわかった。また、これらの変化の傾向に高い規則性が見られるもの、場所によるバラツキが大きいもの、等、相対湿度変化の影響が紙の種類によって異なることがわかった。3.マイクロクライメイトボックスの素材と構造の検討ボックスの素材と構造についていくつかのパターンを製作して性能の評価実験を行った。その結果、マイクロクライメイトボックスの特徴として、熱伝導率が低い素材を用いても、薄い材料を使う限り、外部の温度変化が内部に伝わるのを緩衝する効果はあまり期待できないが、相対湿度変化についてはボックス外部の変化が比較的早い場合には内部の環境を十分安定化できることがわかった。その度合いは素材により多少の差はあるものの、密閉を確保すれば大きな違いはないことがわかった。しかし長期間では外部と平衡に向かう変化が緩やかに生じるため、注意を要することがわかった。4.マイクロクライメイトボックスの基本構造の決定と評価上記よりボックスの基本構造を決定するとともに、作品の寸法・状態により個々に仕様を検討する必要があることを確認した。
著者
舟山 裕士 増田 高行 中村 正孝 佐々木 巌
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

1.移植腸管浸潤リンパ球サブセットおよび接着分子発現の部位的検討【方法】経時的に屠殺し摘出したgraftをPLP固定後凍結切片上で免疫組織学的に各種リンパ球サブセットおよびICAM-1、LFA-1につき発現部位の相違につき検討した。【結果】MHCclassII抗原(Ia)は拒絶群で早期に粘膜固有層および陰窩上皮に発現した.ICAM-1は対照群と異なり血管内皮および間質細胞に強く反応し拒絶後期にはむしろ反応性は低下した.LFA-1は元来白血球の表面抗原であるが拒絶群の血管内皮にも一部反応性がみられた.特に、拒絶時には血管に接着し凝集像を示す白血球に強い陽性像がみられた.2.小腸保存と粘膜バリア【方法】移植前に1,4,8次間のEuro-Collins液または生食液にて冷保存したgraftで移植後のbacterial translocationを血中エンドトキシン濃度で検討した.【結果】Euro-Collins液で保存したgraftでは血中エンドトキシン濃度の上昇はみられなかったが、生食液で保存した群では8次間保存群で血中エンドトキシンは高値を示した.したがって、短時間の保存であれば生理食塩水で十分と考えられたが、保存時間は4時間を超えるべきではないと考えられた.3.移植におけるPCO-OH(過酸化リン脂質)の白血球刺激作用について【方法】30分阻血、最灌流30分後の小腸においてLTB4拮抗剤、allopurinolを前投与し粘着障害について検討した.【結果】LTB4拮抗剤、allopurinolの両者において粘膜障害を抑制したが、PCOOHの産生はallopurinolの前投与群でのみ抑制された.PCO-OHの過酸化に関わるラディカルは白血球に由来すると従来いわれていたが、むしろキサンチンオキシダーゼ系でありPCOOHは粘膜障害産物由来というよりは白血球活性化因子の一つであることがこの実験から明らかとなった.【研究のまとめと今後の展望】小腸移植における拒絶では早期にClassII抗原の発現とともに血管内皮上にICAM-1の発現があり、第1相とともに白血球の活性化が起こることが明らかにされたが、それとともにPCCOHが白血球の強い活性化因子であることが判明した.PCOOHは拒絶モニタリングに有用てあるばかりでなく、PCOOH産生を抑制することにより拒絶による粘膜障害を軽減する効果があることが期待される.
著者
宮城 光信 松浦 祐司 石 芸尉 佐藤 俊一 岩井 克全
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

高強度・超短パルスのレーザ光の照射に生体組織のアブレーションは,生体に対して,安全・無痛など,従来に無い効果が期待される.そこで本研究では,誘電体内装金属中空ファイバを用いることにより,近赤外波長帯でのフェムト秒レーザ,及び高出力Nd : YAGレーザ用のフレキシブル伝送システムを構築することを目的として次の研究を行った.1.超鏡面・高強度を有する銀中空ファイバの製作法:従来の銀鏡反応の見直しを行った結果,塩化スズ水溶液を用いて前処理を行うことにより,銀薄膜の表面粗さが低減されることが明らかになった.また,ポリマー保護層を付加した高強度ファイバについても検討を行った.2.誘電体ポリマー膜の成膜機構の研究と一様成膜の実現さまざまな成膜条件を実験的に検討することにより,その成膜機構を明らかにし,より高い一様性を持つ,ポリマー薄膜の生成を実現した.3.銀中空ファイバ内面の超平滑化の検討銀鏡反応の際に,塩化スズ水溶液や,ポリシラザン溶液などを用いた各種の前処理を行い,母材ガラスチューブ内面の活性化を図ることにより,生成した銀薄膜の表面粗さが従来の1/3以下となる,5nm以下を実現した.4.GWクラスNd : YAGレーザ用中空ファイバの製作と評価内面を平滑化した中空ファイバを用いて,尖頭出力がMWからGWクラスのNd : YAGレーザパルス伝送を試みた.5.ポリマー内装中空ファイバの超低損失化の検討ポリマー内装中空ファイバのポリマー薄膜形成時に,有機溶剤雰囲気中での成膜を行うことにより,ポリマー薄膜の均一化,および表面の超平滑化をはかった.6.QスイッチNd : YAGレーザ用中空ファイバの評価とパワー耐久性の改善低損失化した中空ファイバを用いて,尖頭出力がMWからGWクラスのNd : YAGレーザパルス伝送を試みた.
著者
脇田 晴子 水野 章二 村井 康彦 西川 幸治 武田 佐知子 京楽 真帆子
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本研究は(1)巨大都市における居住形態・衛生・身体的状況の歴史的研究、(2)都市における信仰・宗教・祭礼・芸能の歴史的研究としているが、平成10年度に(2)を、11年度に(1)を中心として研究交流・共同調査を行った。フランス側からは、クラビッシュ・ズベール、P.スイリ-、M.コラルテル、A.ブッシイの諸氏を招き、国立歴史民族博物館、東京日仏会館、京都大学会館において、研究報告と討論を行い、続いて都市としての東京・鎌倉の考古学発掘と都市研究成果、続いて京都、奈良、今井町、日本のコミューンともいうべき郡中惣の現地である甲賀・伊賀・小倭地方、近江の堅田、安土城、彦根城などの現地調査を共同で行って討論した。パリで行ったシンポジュウムは、10年度は11月に日本文化会館で「都市における表象と社会」をテーマとして、P.ペルトン、鈴木正崇、武田佐知子、松岡心平、脇田晴子、P.スイリーの6人が報告した。11年度は9月に、パリ国立民族博物館において、シンポジュウム「都市における文化的環境の比較史研究」を開いた。考古学・平安京・中近世・近代の巨大都市にわかって討論し、佐原真、田中琢、M.コラルテル、長志珠絵、P.ローゼンタール、西川幸治、水野章二、橋本裕之、が報告した。司会者・ディスカッサントには西洋史・東洋史の専攻のフランス人を主として頼み、日本人のフランス研究者にも協力を仰いだので、広い問題の視野のなかで討論ができ、新たな視角をお互いに開拓し、日本史学の成果を提示できたと思う。コラルデル氏が20余年間発掘されたパラドリュ湖、コルチェル遺跡などの都市的集落・城砦の発掘現場、個人所有の城砦、原子力研究センターで原子力方法による修復研究所を訪問、研究の視角、方法、文化財の保存のあり方等について討論を行う事が出来た。申請したとおりの研究日程をこなし、予期以上の効果を挙げる事ができた。これらは成果報告書として提出するが、出版の予定も立っている。