著者
臼井 三平 加藤 和也 中山 能力 今野 一宏 森 重文 齋藤 秀司 並河 良典 藤木 明 大野 浩司 佐竹 郁夫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

混合版多変数SL (2)軌道定理を証明した。混合版ボレル・セールコンパクト化、混合版SL (2)-軌道の空間、混合対数的ホッジ構造の分類空間を構成し、これらの成す基本図式を得た。これにより混合版の対数的ホッジ構造の基礎理論がほぼできあがった。以上の結果とホッジ予想や鏡対称性などとの関連も注目されるようになってきた。
著者
井口 聖 奥田 武志 杉本 正宏 浅山 信一郎
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ミリ波帯での高精度モニター観測によって、巨大銀河の中心から周期的に時間変化する強度変動を発見することに成功した。この結果とこれまでの観測結果から、巨大銀河の中心にはバイナリーブラックホールが存在する可能性を示唆できた。ブラックホール同士の合体は宇宙空間において最も壮大な自然現象の内の1つである。さらに、本結果は超巨大ブラックホールへの成長過程の中でブラックホール衝突が深く関わっている可能性を示したと考える。
著者
安井 夏生 高田 信二郎 松井 好人 高橋 光彦 二川 健 谷口 寿章
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

<家兎実験>家兎脛骨を用いて骨延長実験を行い、術直後よりbisphosphonate(minodronate)を腹腔内投与し、延長仮骨における骨吸収を抑制した。また延長終了時に仮骨内にFibroblast Growth Factor(bFGF)などの骨成長因子を局所投与し、骨癒合に及ぼす影響を観察した。それぞれの実験でテトラサイクリン2重標識を行い、骨形態計測にて延長仮骨のリモデリングを観察した。対照群(生理食塩水投与群)では延長仮骨は典型的な3層構造を呈したが、bisphosphonate投与群では骨吸収層(骨改変層)が消失し、延長仮骨は骨透明層とそれをはさむ骨硬化層の2層構造を呈した。FGF投与群では骨癒合が有意に促進された。骨形態計測によるとbisphosphonate投与群では延長仮骨での骨吸収が著明に抑制されているが、骨形成は対照群と比べて差が無かった。FGF投与群では骨形成が著明に充進していた。DEXAおよびp QCTで延長仮骨の骨密度を測定したところ、bisphosphonate投与群もFGF投与群も対照群に比して有意に高い骨密度を示し、結果的に骨癒合期間の短縮が見られた。延長終了後3週間で抜釘し、3点曲げ試験にて延長仮骨の強度測定を行った結果、bisphosphonat投与群の仮骨はコントロール群の仮骨に比して有意に高い骨強度を示した。以上の結果から骨延長における骨吸収の抑制と骨形成の促進は、ともに延長仮骨の骨癒合を促進し、結果的に治療期間を短縮させると結論した(Bone 2006印刷中)。<マウス実験>マウス下腿骨を延長するために小型のリング型創外固定器を独自に開発した。このシステムの確立により遺伝子改変動物の骨延長が可能となった。マウスでも延長仮骨は中央にfibrous interzoneを有する層状構造をとり、延長を停止すると速やかに骨癒合が完成した。またbisphosphonate投与によりマウスでもリモデリングが抑制され、骨癒合が促進される傾向にあった。骨延長に伴う下腿三頭筋の長さや質量の変化を計測したところ、延長量に比例して両者は増加することが分かった。ただし筋肉の断面積は延長中いったん減少し、延長を停止すると元にもど回復する傾向がみられた。Chondromodulineやosteoactivinのノックアウトマウスやトランスジェニックマウスを用いて行った骨延長の実験結果については論文作成中である。
著者
森山 茂栄 小汐 由介 福田 善幸 竹内 康雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

ニュートリノが出ない二重ベータ崩壊を観測することにより、ニュートリノの性質を決定するとともに、ニュートリノの絶対質量を測定することが期待されている。本研究の目的は、そのための基礎原理及び技術を開発することにある。本研究では、キセノンに含まれる136Xeが二重ベータ崩壊可能な原子核であるとともに、液体キセノンが良いシンチレーターであることを利用する。特にバックグラウンドを低減するために、常温高圧の液体キセノンを透明な容器にいれ、特殊な光学系で測定することにより、感度の向上を図るものである。ここに含まれる研究開発は、1耐圧アクリル容器の開発、2波長変換材の開発、3常温液体キセノンの発光量測定、4ダブルフォーカス型検出器の開発、5バックグラウンドの見積もり、6プラスチックシンチレータを用いた容器の開発である。本研究で最も重要であったのが、2の波長変換材および3の常温液体キセノンの発光量である。1については、アクリル容器からの水の放出が問題となるため、(2)で開発する波長変換材等の膜により保護することとなった。2については、興味ある一定の成果が得られた。ポリスチレンの母材に、TPB(テトラフェニルブタジエン)を4%混合させることで、49±4%の変換効率が得られた。この効率とは、液体キセノンの発光である175nmの真空紫外線が入射した場合に、可視光として放出される光子の数の比である。この変換は、液体キセノンの発光よりも早く、発光の信号の時定数は、液体キセノンの発光の時定数との違いは見られなかった。残念ながら、この波長変換材を液体キセノンにいれて測定した場合、波長変換材が液体キセノンにより浸食されることがわかり、効率として20%程度に下がってしまうことがわかった。アクリルの保護の役割や、長期安定性などを含めて、今後研究が必要である。3常温液体キセノンの発光量については、大変面白い結果が得られた。圧力5.57MPaG、摂氏3度における発光量と、圧力0.06MPaG,摂氏-100度における発光量とを比較すると、前者が後者の0.85倍という結果が得られた。両者で光の収集効率が異なる可能性がありその効果を現在見積もり中であるが、常温高圧での液体キセノンの発光量を測定するのはこれまでに無く、重要な進展である。4については、装置を作成したところ、検出器内面の反射率が低いことがわかった。今後測定・改良を続けていく予定である。5、6については、4までの成果の延長上にあるため、今後の課題となった。
著者
草原 和博 棚橋 健治 溝口 和宏 桑原 敏典 鴛原 進 橋本 康弘 山田 秀和 渡部 竜也 藤本 将人 田中 伸 田口 紘子 後藤 賢次郎 小川 正人 川口 広美
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,社会科教育研究の日米比較を通して,それぞれの学界で確立されてきた研究方法論を抽出し,再構成することで,国際的な研究交流にたえうる「研究法ハンドブック」を開発しようとした。米国の研究者を招いたシンポジウムでの討論と聞き取り調査,ならびに文献調査を踏まえて,効果が期待される以下3つの方法論を導出し,論文作成の手続きを定式化することができた。(1)規範的・原理的な提言(2)実験的・実践的な開発(3)実証的・経験的な研究。
著者
長柄 毅一 三船 温尚 清水 康二
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

韓国の慶尚南道出土の高麗時代や朝鮮時代に製作されたとみられる銅鋺、匙等、40点の金相評価ならびに成分分析を行った。なお、出土品は現代の鍮器とほぼ同様の組成であり、錫と銅のみで構成される二元系の熱処理型高錫青銅器であった。現代の鍮器では、銅鋺や匙などは鋳造法で作られることが多いが、出土青銅器はその多くが熱間鍛造で成形されたことが判明した。
著者
大谷 由紀子 藤井 伸生 畑 千鶴乃 趙 王文女正 Kikuchi Koko Chung Ick-Joong
出版者
摂南大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、養育困難な子育て家庭に支援をつなぐ在宅支援の要、地域支援拠点の整備を考察した。結果、自治体規模や福祉に資するリソースの質・量から、都心型「分散ハブモデル」、小規模自治体と中核市による「自治体間ネットワーク+集約ハブモデル」を提示した。先行するカナダ、北欧の地域支援の取組みから、ワンストップで適切なサービスにつながる仕組み、子どもと家族の生活支援を包摂した多様なサービスのコーディネート機能、サービスを効果的に届ける拠点空間デザインの必要が示された。
著者
福井 博一 景山 幸二 松本 省吾 松本 省吾
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

根腐病抵抗性の4倍性Rosa multifloraと根頭がんしゅ病抵抗性をのPEKcougelを交配し、複合抵抗性台木の育成を目指した。得られた種子から胚を摘出して胚培養を行った。遺伝子マーカーを用いて交雑後代の検証を行った結果、3個体のF1個体が得られた。これらのF1は根頭がんしゅ病と根腐病に対して高い複合抵抗性が確認できた。接木親和性検定の結果、' F1 No.1'、' F1 No.5'が台木として有望であった。
著者
井上 奈良彦 蓮見 二郎 山形 伸二 青木 滋之 金子 晃介 是澤 克哉 筧 一彦 上條 純恵 諏訪 昭宏 久保 健治 竹中 野歩 加藤 彰 ZOMPETTI Joseph CARLSON Shanna KIPP Peter
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ジェネリック・スキルやアカデミック・スキルとしての議論教育は、近年ますますその重要性を高めている。本研究は、これまでの研究の不備を埋めるべく、議論教育用eラーニング・コンテンツを作成するための基礎的研究を行った。具体的には、(1)議論教育関係の文献レビュー、(2)議論教育の効果測定テストを作成と検証、(3)議論モデルの開発検証、(4)議論教育支援サイトの作成と検証、(5)議論教育とディベートの教材作成、等を行った。
著者
綿貫 茂喜 大箸 純也 佐藤 陽彦 安河内 朗 小林 宏光 大箸 純也 綿貫 茂喜
出版者
九州芸術工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

生体電気現象を主な対象とした、コンピュータによる信号の監視・記録・分析ソフトウェアを開発した。対象としたコンピュータは、一般的に用いられているNEC PC98,IBM PC-ATの互換機および数社のAD変換器とし、一般的な機器のみで構成できる。また分析ソフトウェアについてはMacintoshでも利用できるようにした。本ソフトウェアによって、生体電気現象の波形観察と長時間の変化傾向の観察が同時に可能となり、また分析のためのマークを含めた記録が長時間可能となった。これらの監視記録装置としての機能以外に、時間制御を主とした簡易プログラムが可能であり、実験スケジュールを組み込むことで実験補助としての機能を持つ。また簡単な刺激発生の制御にも利用できるために、実験機器としての機能も有し、特殊な外部プログラムを利用することで、記録と並行して周波数分布の監視も可能である。またノート型のような小型のコンピュータでも利用可能であり、携帯用の記録機としても利用可能である。記録したデータの分析ソフトウエアとして、記録信号の表示、テキストファイル変換、FFT法による周波数分析、心電図のR棘間隔の検出、連続血圧計出力からの最大、最低血圧の読み取り、積分値の算出、APDFの算出、CNVの算出、較正波形の読み取り、単純分布の算出等を作成した。また2つのみであるが、他のソフトウェアのためのファイル変換も行なえる。グラフィカルインターフェースは有しないが、バッチ処理的な利用で効率の良いデータ処理が可能であり、機能的には多くの研究に有効であると考える。本ソフトウエアは無償で提供する。
著者
山口 三十四 堀内 久太郎 加賀爪 優 福井 清一 鈴木 宣弘 松田 敏信 藤本 高志 衣笠 智子
出版者
尾道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本科研の研究では人口減少下の農業と食料についての研究成果を行っている。具体的には、「世界のWTO・FTAの潮流」と「農業の新たな構図」の展望、FTA交渉から見えてくるASEANとの「東アジア経済統合」への道、人口減少を含む「人口変化が産業構造に与える影響」、文明転換期にある「人口減少と食料や農業のあるべき姿」、「豪州の食料貿易政策」、「中国農業の全要素生産性」等の計測、地域間の「収束性」の分析、「中国や台湾の人的資本とその経済や社会への影響」、「飼料自給・糞尿循環利用・水田保全」に及ぼす影響、「食料消費の理論的実証的研究」等を行っている。この3年間で、8人の論文が74本、著書が12冊、学会発表は52回にも至っている。
著者
斎藤 泰弘 天野 恵 桐生 尚武
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

天野恵は、マンゾーニの初期作品において「イタリア国民」の概念が形をとり始める過程を探究した。明らかになったのは、1820-21年のイタリアの政治状況に刺激を受けつつ執筆が開始された史劇『アデルキ』(1822年出版)の創作過程において、ロンゴバルド時代における《国民》意識の形成という、当初マンゾーニの抱いていた歴史上の誤謬が明らかになったこと。そのために作品の性格が大きく変化したこと。およびその時期がまさに長編小説Fermo e Luciaの創作開始と重なっており、彼の《国民》形成に対する関心が無名の庶民と結びつく契機がまさにここにあったことである。斎藤泰弘は、さらにそれに先立つ18世紀のイタリア演劇へと研究を深め、旧体制下のヴェネツィア社会においてすでに古典主義的なそれまでの演劇の主人公たちとは異なる《庶民》の姿が大きく取り上げられていく過程を、ゴルドーニの諸作品に即して具体的に跡付けた。
著者
尾形 修司 大庭 伸子 田村 友幸 旭 良司 山川 俊輔 小林 亮
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

分割統治型のオーダーN実空間密度汎関数コード(DC-RGDFT)を開発した.DC-RGDFTコードを用いて,Liイオン電池内の固体電解質皮膜ー電解質液界面を通じたLiイオン透過に関する数千原子規模の第一原理分子動力学シミュレーションを行い添加塩がLiイオン通過率に及ぼす増大効果を発見した.DC-RGDFTをハイブリッド量子古典コードに組み込み,Liイオン電池のグファファイト負極内でのLiイオン熱拡散等に関する大規模シミュレーションを外部電場による効果を含めて行った.
著者
杉山 広 熊澤 秀雄
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

南米エクアドルで住民を対象に肝吸虫の調査を実施して、太平洋側の3県にAmphimerus属肝吸虫の流行地を見いだした。淡水魚を20種類以上検査して、Guabinaという魚がメタセルカリアの寄生数が多く、感染源として最も重要であることを明らかにした。メタセルカリアの種同定には、患者由来の成虫を用いて解読した遺伝子配列が、マーカーとして役立った。肺吸虫に関しては、エクアドルでの過去の研究成果を紐解き、総説論文をまとめた。陽性地区の淡水産カニから幼虫を分離し、実験ネコへの感染試験で成虫を回収、本虫(メキシコ肺吸虫)の形態と遺伝子に関する知見も得た。
著者
山口 晴保 山上 徹也 亀ヶ谷 忠彦 勝山 しおり 亀ヶ谷 忠彦
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

認知症をリハの適応疾患とするという研究実施計画に基づき、社会脳に注目した認知症への脳活性化リハの実施を3年間行った。行動・心理症状を減らし、生活力を高めるリハである。認知症が生活障害の主たる要因となっている老健入所者を対象に、まずは脳活性化リハ5原則に基づく認知症短期集中リハの効果を示した。さらに、群分け(ランダム化対照試験)→3か月の介入→評価のリハ介入研究を行った。小グループでのリハ介入とした結果、生活障害の改善とQOL向上が得られ、小グループで社会脳機能を高めるリハの効果を示せた。
著者
佐藤 雅美 島 礼 田沼 延公 野村 美有樹 佐々木 希
出版者
宮城県立がんセンター研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

(1)プロテインホスファターゼによる、mRNAスプライシング、KIF3モーターを介した細胞内輸送、および細胞増殖(ERK)経路におけう制御機構に関して重要な知見を得た。(2)肺癌サンプルにおけるプロテインホスファターゼ遺伝子発現の異常に関して重要な知見を得た。
著者
笠原 克昌 鳥居 祥二 小澤 俊介 清水 雄輝 増田 公明 さこ 隆志
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

LHCf実験はCERN LHC加速器を用いて,超高エネルギー宇宙線(UHECR)に匹敵するエネルギー領域で超前方に発生する粒子(ガンマ線=光子,中性子)のスペクトルを観測する.これにより宇宙線実験で使われているモンテカルロ(MC)シミュレーションで用いられる核相互作用モデルの検証を行い,UHECR の謎の解明に役立てるのが目的である.LHCfは2009年末に450GeV+450GeV衝突,2010年に3.5TeV+3.5TeV衝突の観測に成功した.これらは実験室系換算で4.3・10^<14>eVと2.6・10^<16>eVにそれぞれ相当する.MCのモデルとしてDPMJET(v3.04),PYTHIA(v8.145),QGSJET II(v03),SIBYLL(v2.1)およびEPOS(v1.99)を検証した.この全く未知の領域でのスペクトルは予想から全く外れている訳ではなかったものの,これらのどのモデルも実験結果を満足に再現するレベルには遠いことが判明した.光子のスペクトルは多くのMC モデルよりソフトな様相を呈し,ハドロンはハードな様相を呈している.また,LHCの他の実験(ATLAS,CMSなど)の中心領域での擬ラピディティ(η)分布の結果と合わせると,全てのモデルはLHC 領域で破綻すると言ってよい.DPMJETは低エネルギー領域では非常によいモデルであるが,LHCf での光子スペクトルはデータよりかなりハードである.η分布はLHC領域で突然データからずれる.PYTHIAはLHCのη分布を再現するように調整されたものを用いたが,光子についてはDPMJET と同じ様相を呈する.これらのことは,数年後に期待されるLHCの最高エネルギーでの実験を行い,破綻の傾向を調べ,モデルの検証行うことが重要なこと,新たなモデルの構築が必要なことを示している.
著者
藤原 貞雄 座間 絋一 谷光 太郎 古川 澄明 米谷 雅之 陳 建平 横田 伸子 増田 正勝 藤原 貞雄
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

1 本調査研究は、日・中・韓3国の環黄海地域の大学が協力し、自動車産業、電子産業という基幹産業を研究対象に取り上げ、それぞれの国や地域の産業政策と産業構造、産業組織の展開過程と現状を比較研究することによって、それぞれの国と地域の段階的、類型的特徴を明らかにすると共に、「環黄海経済圏」を構成する3カ国の国や地域の経済協力の現状と問題、将来方向を調査研究することを目的にしている。2 中国自動車産業については、現地の国営企業、日中合弁企業、郷鎮企業等の視察、国、省、市等における自動車産業政策についてのヒヤリングを行い関係資料の収集に努めた。3年間に中国の自動車産業及び自動車産業政策は大きな変貌を遂げたが。それを現地において確認しつつ研究調査できたことは大きな成果であった。3 1995年以前の中国自動車産業においては米国及び日本の自動車メーカーの関与はきわめて薄かったが、以後は米国のビッグ2及び日本のトヨタ、本田技研、ドイツのベンツ・クライスラーが完成車(乗用車)組立に本格算入することによって、様相は様変わりしつつある。つま1995年以後の中国自動車産業は世界自動車産業の一部に包摂されて発展をしている。この変化のプロセスを国内市場の変化、政策の変化とともに観察できた。4 中国の電子産業についても自動車産業と同様に、現地の国営企業、日中合弁企業、郷鎮企業等の視察、ヒヤリングを行い関係資料の収集に努めた。中国の電子産業及び半導体産業の発展はめざましく、現地において確認しつつ研究調査できたことは大きな成果であった。ここでは自動車産業とはちがって当初から外資系企業の導入が積極的に図られ、外資系メーカー主導の発展に特徴があり、全体としては労働力集約工程が集積しているが、研究開発工程の導入と自発的発展が課題となっている。5 韓国については主要非外資系自動車・電子企業及びそれらの研究所、労働組合に関する現地調査を行った。これについては現地研究分担者及び研究協力者と共に行った。6 研究成果の公開と研究交流を目的に中国韓国で計2回、日本で2回の合計4回の公開シンポジュームを開催した。これには3国の若手研究者も参加し、将来の共同研究の基礎を築いた。
著者
堀場 裕紀江 木川 行央 岩本 遠億 深谷 計子 松本 順子 鈴木 秀明 西 菜穂子 李 榮 山方 純子 田所 直子
出版者
神田外語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

第2言語(L2)としての2種類の日本語語彙テスト(語義・語連想)を開発し、中級から超級までの学習者と母語話者を対象にした大規模調査を行った。語彙知識は語の頻度と種類、知識の要素、母語背景などの影響を受け、量的・質的変化を伴って発達することを検証した。語彙知識とL2読解(日本語・英語)の関係についても実証的研究を行った。また、文脈における語彙の形・意味・使用に関する特性について理論的・記述的な言語研究を行った。
著者
今村 都南雄 金井 利之 光本 伸江 佐藤 学 原田 晃樹 嶋田 暁文
出版者
山梨学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

第1に、「自治の器」の縮小を「手段」として住民生活を維持し、地域社会の「看取り」を責任持って行うという、もう一つの「自治」のあり方"を提示することで、既存の「自治」観の問い直しを行った。第2に、複数の自治体を取り上げ、長期的なスパンで分析を行うことにより、「意図せざる結果」に満ちた「自治のダイナミクス」を描き出すことに成功した。第3に、そうした研究の蓄積は、「課題設定の次元」と「課題対応の次元」からなる公共サービス供給編制の多様性への着目を惹起し、新たな研究展開をもたらすことになった。