著者
横谷 謙次 高橋 英之 高村 真広 山本 哲也 阿部 修士
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

行動嗜癖(過度な賭博行動やインターネットゲーム使用)は日本でも人口の約9%が経験しており、適切な治療が求められている。本研究の目的は1.ユーザーの嗜癖行動からの離脱と連動するキャラクター(以下、アバター)とその離脱を賞賛するキャラクター(以下、自律エージェント)によって行動嗜癖を治療し、2.その神経基盤を解明することである。1.の目的を達成するためにロボットとスマートフォンアプリでアバターと自律エージェントを作成し、ギャンブル障害者及びインターネットゲーム障害者に対する治療効果を検証する。また、2の目的を達成するために、fMRIを用いて、1.の治療効果に関与する神経回路を特定する。
著者
國木田 大
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、環日本海地域をとりまく文化集団の年代や食性変遷を土器付着物の炭素・窒素同位体分析、C/N比分析等を用いて解明するものである。研究課題は、(1)土器出現期の様相解明、(2)極東ロシア・北海道の文化集団の食性変異、(3)栽培植物の利用と海洋資源への特化の3つである。大部分の文化集団の土器付着物は、海洋生物や遡上性のサケ・マス類に由来することが分かった。本研究の成果により、先史文化の形成過程や極東ロシアと北海道の交渉関係をより具体的に議論することが可能になった。
著者
井上 尚英 平田 美由紀 田中 昭代 槇田 裕之 大村 実
出版者
九州大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

この研究では、まず、7種類の農薬・同分解産物の雄性生殖毒性の有無をスクリーニングした。そして、雄性生殖毒性が認められた物質について用量作用評価実験によってその最大無作用量を求め、さらに、その物質を含む飲料水を摂取した場合の男性生殖機能への影響についての推定を行った。スクリーニング実験では、7物質(1,3-ジクロロプロペン,フェニトロオキソン,イソプロチオラン,チオベンカルブ,クロロニトロフェン,p,p′-DDE,γ-BHC)のうち、298mg/kgのインプロチオランのラットへの単回経口投与で、精巣重量の減少、精細胞数および精子数の減少、精細管からの精子放出遅延が認められた。次に、100mg/kg〜600mg/kgの投与量でイソプロチオランの雄性生殖毒性についての用量作用評価実験を行った。しかし、この実験ではイソプロチオランの雄性生殖毒性は認められず、その最大無作用量を求めることはできなかった。そこで、飲料水摂取による男性生殖機能への影響の推定では、スクリーニング実験でのイソプロチオランの投与量(298mg/kg)をラットへの単回経口投与での雄性生殖毒性についての最小作用量と仮定した。そして、1回投与量を1日摂取量と考え、1日の摂取では男性生殖機能への影響はないと予測される飲料水中のイソプロチオラン濃度をUSEPAの1日HA値の算定方法に従って求めた。その結果、7.45mg/L〜74.5mg/Lというイソプロチオラン濃度が得られた。この値は、日本の水道水中イソプロチオラン濃度の最高値(2.0μg/L)および環境水中濃度の最高値(69.8μg/L)より100倍から1000倍以上も高い値であり、また、イソプロチオランは塩素滅菌処理で除去されると考えられることから、1日の摂取では、飲料水中のイソプロチオランによる男性生殖機能への影響はないものと考えられた。
著者
堤 研二
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

20世紀のドイツの国土計画・地域計画において重視された「空間秩序」の概念は、戦中期日本の企画院等の国土再編成案に影響を与えたと推測される。また、空間秩序の考えを基本にしつつ、ミュンヘン学派ドイツ社会地理学が創案した「基礎生存諸機能」の概念は、ドイツにおける地域計画や地理教育の中で活かされてきた。これらについては日本における研究が進んでいない。本研究では、①空間秩序と基礎生存諸機能の概念を整理し、②それらが如何に日本の企画院等に影響を与えたのかを明らかにする。また、③ケルン貨物駅跡再開発などを対象として、日本の事例との比較を通じて、国土計画・地域計画に関する思想・手法の日欧での異同を検討する。
著者
宮沢 孝幸 上田 真保子 入江 崇
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

ネコ白血病ウイルス(feline leukemia virus:FeLV)は猫に免疫不全や白血病を引き起こす。猫はFeLV感染後数年でほとんどが死に至るため、FeLV感染症は獣医臨床上大きな問題となっている。FeLVに対するワクチンは90年代から市販されているものの感染防御能は低い。感染防御能の低さは、ワクチンが中和抗体を誘導しにくいことによるが、その原因はFeLVの外被糖タンパク質のグリカン(糖鎖)にある。本研究ではグリカンによって隠されていた中和エピトープを露出させたシュードタイプウイルスを作製することに成功した。本研究により、感染防御能の高いFeLVワクチンの開発に道を拓いた。
著者
星 正治 坂口 綾 川野 徳幸 豊田 新 藤本 成明 井上 顕 七條 和子 遠藤 暁 佐藤 斉
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

放射線の人体への危険度(リスク)は、主に広島・長崎の被ばく者の疫学調査から求められてきた。これは主にガンマ線による外部被曝だけを考慮したものであり、内部被曝は含まれていない。特に放射性微粒子による内部被ばくは、本研究グループによる動物実験で20倍以上の放射線障害があることが分かった。そのため①動物に放射性微粒子を吸入させその影響を調べ、②核実験場内の土壌とその微粒子の飛散状況調査し、人々の被ばくの状況を調査し、③新たに被ばく線量を評価し、現地の35万人のデータベースを用いリスク解析を行う。そして放射性微粒子によるリスクを明らかにする。そのリスクが分かれば、放射線障害防止法に取り入れられる。
著者
高松 薫 石井 直方 田中 喜代次 後藤 一成
出版者
流通経済大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、有酸素運動の途中に休息を挟みながら間欠的に行う「分割法」による運動が、糖・脂質代謝や体組成に及ぼす影響を検討した。その結果、「分割法」による運動は休息を挟まずに行う「連続法」による運動に比較して、脂質代謝の亢進に対する効果が大きいこと、食後における血中グルコース濃度の調節に有効であること、長期のトレーニングに伴う体脂肪量の減少や体力の改善に対する効果の大きいことが明らかになった。
著者
藤瀬 泰司
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は,財政民主主義の担い手を育成する公民教育カリキュラムの開発研究である。研究成果は次の4点である。1点目は,不信社会問題を教材した中等公民学習の授業を開発したことである。2点目は,不信社会問題を教材した初等公民学習の授業開発したことである。3点目は,中等公民学習の授業モデルを実践しその効果を確かめたことである。4点目は,初等公民学習の授業モデルを実践しその効果を確かめたことである。
著者
高橋 大輔
出版者
茨城大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究の目的は、親権停止中の面会交流の可能性について検討することである。そのために、文献調査や学会などへの参加を通して、親権停止や面会交流について調査した。次に、ドイツ法における親の配慮の剥奪(Entzug der elterlichen Sorge)と交流権(Umgangsrecht)について、文献調査とインタビュー調査を行った。そして、ドイツ法との比較法的視点を踏まえて、親権停止中の面会交流について検討した。
著者
中根 俊成 池田 徳典 佐藤 伸一 田村 直人 樋口 理 鈴木 隆二 坪井 洋人 伊原 栄吉 宋 文杰 川上 純 佐藤 和貴郎
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

自己免疫性自律神経節障害は自律神経系が免疫異常の標的となる比較的新しい疾患概念である.本症では抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体は病原性自己抗体として病態の鍵となる役割を果たす.自己免疫性自律神経節障害は自律神経系外の症候や膠原病などの併存,小児症例が存在する.こういった「多様性」が本症の診断しにくさ,難治化につながっている.本研究では1)自己抗体の病原性検証,2)病態モデル開発,3)小児症例,膠原病症例における臨床的特徴の解析,を遂行する.「複雑な病態と臨床像=多様性」への多角的アプローチが自己免疫性自律神経節障害の診断基準作成,治療ストラテジーの確立に貢献すると考えられる.
著者
富岡 優子 北澤 菜月 大橋 有佳
出版者
北九州市立自然史・歴史博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

藕糸織(ぐうしおり)は蓮の繊維から作られた糸(藕糸)を使用した織物である。植物学者大賀一郎は寛文11(1971)年の黄檗宗開祖・隠元隆琦の賛を有す福聚寺(北九州市)の「藕糸織仏画」を日本最古の藕糸織と鑑定した。しかし本品が藕糸という科学的根拠は示されておらず、2018年に赤外分光分析装置と実体顕微鏡を用いた非破壊の分析を改めて行った。結果、当該作品は藕糸と絹糸を撚った糸が使用されている可能性がきわめて高いことが判明したが、当該事例のように科学的根拠を伴わない藕糸織が多々ある。本研究は藕糸織作品について非破壊による再調査を行い、藕糸織がいかなるものか、客観的に提示することを目的とする。
著者
山田 隆 藤江 誠
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

・クロロウイルスCVK2感染初期遺伝子の同定と発現解析ウイルス感染後、5-10minの間にウイルス初期遺伝子が発現する。最初期に発現する遺伝子計23個を同定し、その発現パターンと特異的プロモータ構造を解析した。初期遺伝子には、TFIIB,mRNA capping enzyme,helicase,transcription factors等転写に関係する因子、aa-tRNA synthetases,ribosomal proteins等翻訳関係因子、その他各種代謝系に関係する酵素がコードされていた。これら各々の感染における役割の確定が興味深い問題である。クロロウイルス感染初期転写の特徴は、感染後40minでそのパターンが大きく切り替わる事である。すなわち当初poly(A)付加されるmRNAは感染後40min以降は全くpoly(A)を失う。転写開始、終結が40min以降は極めてルーズになり、readthroughが頻繁に起こる。感染後、早期に生成される宿主細胞表面ヒアルロン酸、キチンは、宿主細胞を一時的に外環境より保護する意義があると思われる(論文発表)。・クロロウイルスCVK2のコードする新奇細胞壁分解リアーゼの解析ウイルスが宿主細胞壁を特異的に分解するには複数の酵素活性が必要であり、これまでに3種の多糖加水分解酵素遺伝子をウイルスゲノム上に同定してある。さらに未知ORFが宿主溶解活性があることを見いだしvAL-1と命名した。GST-融合タンパク質として大腸菌で生成したvAL-1を用いて、宿主細胞壁を分解し生成オリゴ糖をMALDI-TOFF-MASSスペクトロメトリーで解析した。その結果、この酵素はC2位に側鎖を持つグルクロン酸のβ結合を脱離反応で切断するリアーゼ活性を有することが判明した。既知のリアーゼとは諸性質を異にし酵素学的にも興味深い酵素である(論文発表)。また、切断基質となる糖鎖構造もまたユニークであり、このウイルスの宿主特異性を考える上で重要な情報となる。
著者
三浦 靖弘
出版者
大阪府立藤井寺工科高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

ため池や水路のベントス20種から抽出した粗酵素を用い、セルロース・キシラン・マンナンを基質としたプレートアッセイ法で活性を調べた。その結果、ヤゴを除くすべてのベントスから、何らかの基質に対する酵素活性が示された。淡水貝類や水生ミミズ由来酵素は、3基質に対して強い活性を示し、なかでもスクミリンゴガイの活性は群を抜いていた。また、カゲロウやトビケラもセルロースに対する活性を示し、水生昆虫がセルロースの分解・同化を通してため池に蓄積される難分解多糖の系外持ち出しを担っている可能性が考えられる。セルロースを基質とした高感度ザイモグラフィーで、各ベントス粗酵素中のセルラーゼ分子量を測定したところ、固有のバンドパターンを示すことが多かった。この結果は、各生物が独自にセルラーゼを作っている可能性を示唆している。特に同所的に生息する貝類のセルラーゼのバンドパターンが大きく異なっていたことは、貝類のセルラーゼが生息場所からの持込細菌によるものではないことを示す有力な傍証と考えられる。分光光度計の購入が実現しなかったため、酵素活性の温度依存性を7℃、17℃、27℃、37℃におけるプレートアッセイの酵素反応面積比較により調べた。熱帯から進入したスクミリンゴガイは温度に比例して活性が強くなったが、それ以外の生き物は17℃か27℃で活性が最大となった。しかし低温でもさほど活性は落ちず、冬季においても活発にセルロースが分解されていることが予想される。4種の貝、2種の魚類の糞からセルラーゼ活性が確認された。酵素は糞に強く吸着(結合)しているようで、超音波破裁を行わねば活性がでなかった。ザイモグラフィーの結果から、貝はいずれも消化管内酵素と糞内酵素のバンドがほぼ一致したが、魚については異なっていた。今後さらに厳密な結果を得るため、糞から酵素を効率的に分離する方法を検討する必要がある。
著者
木村 草太
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本年度は、採択課題について、諸外国の差別対策法理の研究を進めるとともに、研究業績を雑誌論文の形で公表した。また、秋には、学会にて、国内の問題状況についての研究報告も行った。まず、本年度は、ヨーロッパ人権裁判所、アメリカ連邦裁判所、ドイツ憲法裁判所の諸判例を研究した。分野としては、トランスジェンダーや同性婚に関するもので、諸外国と日本法の比較の上で、ベースラインの設定の仕方が異なる点などについて研究を深めた。公になった研究実績としては、専門雑誌に、平等原則と非差別原則を概観する論文を発表した。同論文では、同性婚などの問題については、いわゆる権利着目アプローチと、平等着目アプローチがあり、アメリカ法の権利着目アプローチには、幾つかの問題があることを分析した。また、日本の最高裁判例においては、平等原則と立法裁量の問題について、時間的視野のないままに、過去の不合理を解消するための立法裁量と、将来の不合理を解消するための立法裁量の区分の重要性を意識しないものがあり、同一の裁判官が、ある判例では過去の不合理解消のための立法裁量を認識しつつ、別の判例ではそれを認識しないという現象が起きている。最高裁判事レベルで、適切な理論の認識ができていない現状の問題も指摘できた。秋には、全国憲法研究会にて、特に沖縄問題について研究発表を行った。差別感情は、合理的配慮や適性手続の不足を招くことが指摘されており、沖縄米軍基地問題の歴史から、その点を研究する報告を行った。差別と構造的な類似性を示す問題として、政教分離問題がある。今年度は、専門雑誌に政教分離問題に関する研究も発表し、別分野の構造を分析し、研究分野の構造を明らかにすると言う手法での研究も実績として示すことができた。また、関連分野としては、権利主体たる子どもの問題にも取り組んだ。新しい研究分野を発見するきっかけとなると思われる。
著者
山崎 剛史
出版者
(財)山階鳥類研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

南部琉球(先島諸島)のハシブトガラスは、「島の規則』によく合致した地理的変異のパターンを示し、隣接する台湾に比べ、著しく体サイズが小型化している。本研究では、南部琉球の4つの島の集団を形態学・生態学・遺伝学的に調査し、祖先集団と仮定される台湾集団との比較を行った。南部琉球の島々は互いに非常に近接しているが、島間には大きな形態学的、生態学的、遺伝学的差異が見られた。これら4集団のうち、体サイズの小型化の程度が最も著しいのは、台湾の祖先集団と同様の生態的特徴を持っ集団であった。
著者
杉山 智江
出版者
埼玉医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

「レイキ=霊気」は、臼井甕男(1865-1926)が開発し、海外に渡りReikiとして世界に広められたエネルギー療法の一つである。「レイキ」のがん患者への活用に関する国内外の文献検討を行った。国内(1996-2016)で「レイキ」のキーワードがあったのは36件であり、医療での活用や効果に関する記述は10件であった。国外(1961-2018)では「Reiki」「Cancer」をキーワードとし、がん患者に関する20件をレビューした。文献検討4件、RCT6件、アメリカ他3か国で研究されていた。医療機関をフィールドとした研究は12件であったが、Reikiの効果は明らかにされていなかった。
著者
河野 裕美 依田 憲
出版者
東海大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

観察が難しい環境下における野生動物の採餌行動や社会的相互作用を記録するため、小型の映像記録装置の開発と海鳥への適用を行った。カツオドリの幼鳥にビデオカメラを装着することによって、社会的な情報を用いて採餌をおこなっていることが明らかになった。また、小型GPS を併用することにより、行動圏の拡大や採餌技術の発達に伴って、他個体との社会的接触が変化することが示された。
著者
伊藤 創 仲 潔 岩男 考哲 藤原 康弘
出版者
関西国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、構文レベルにおける日・英語の事態描写の違いに焦点をあて、日本語を母語とする英語学習者が、母語での事態描写のあり方に即した形で英語表現を構成できるような、より自然で低負担、効率的な英語学習法を提案しようとするものである。そのために、学習者・教科書データ、英語・国語教科書・教材の分析から、1)日本語母語話者の英語に見られる構文的な特徴、2)それらが日本語のどのような事態把握・描写に基づいているか、3)どのような過程でその描写の「型」が形成されるのか、を明らかにする。その上で、4)日本語母語話者の事態把握の型を生かした形で英語表現が産出できるような教材試案を作成、その効果検証を行う。
著者
諫早 庸一 大貫 俊夫 四日市 康博 中塚 武 宇野 伸浩 西村 陽子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、「14世紀の危機」に焦点を当てるものである。「14世紀の危機」とは、「中世温暖期」から「小氷期」への移行期にあたる14世紀に起きたユーラシア規模での、1)気候変動、2)社会動乱、3)疫病流行、これら3つの複合要素から成り、ユーラシア史を不可逆的に転換させた「危機」を意味する。本研究では、気候の変動は人間社会にとって特に対応の難しい20年から70年ほどの周期で「危機」を最大化するという仮説に基づいて議論を進める。100年単位の生態系の長期遷移と、社会や気候の短期のリズムとのあいだにある中間時間を、気候データと文献データとの組み合わせによって危機のサイクルとして析出する。
著者
牧野 利明
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

漢方薬が引き起こす副作用のうち頻度が高いものに偽アルドステロン症がある。 本研究では、 偽アルドステロン症発症の個体差を説明するマーカーとして、甘草含有成分グリチルリチンの代謝物である 3MGA に着目し、 腎尿細管細胞内への移行性から偽アルドステロン症発症には本化合物が深く関わることを示唆する知見を得た。本研究から、 漢方薬を服用する際に血液または尿中 3MGA をモニタすることで、 副作用発症を予防できる可能性がある。