著者
北原 恵 香川 檀 小勝 禮子 金 惠信 平田 由美 ジェニスン レベッカ 児島 薫 坂上 香 水野 僚子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

このプロジェクトでは周縁化されてきた女性アーティストに焦点を絞り、ジェンダーの視点から、戦時中の女性画家の移動や、移民として国外に出た女性美術家について、包括的な調査研究を行った。研究は次の3本の柱から成る。①戦争・植民地体験と女性アーティストの実証的調査(長谷川春子、赤松俊子、谷口富美枝ら)、②東アジア圏の美術をめぐるネットワーク的移動の解明(朝鮮美術展・台湾美術展・満州国美術展など)、③現代美術における女性美術家の調査。これらの研究の成果は、「アジアをつなぐ 境界を生きる女たち 1984-2012」展や「官展に見る近代美術」展などにも生かされた。
著者
永嶋 哲也
出版者
福岡歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

(1) 恋愛が12世紀の発明だと言われる場合に、それは「恋愛感情の発明」のことを意味せず、恋愛観の文化的転換のことを意味していることを論じ論文として公開した。つまり恋愛に対して神聖視するという受け取り方が生じたということ意味である。(2) アミキティア(amicitia)に関する古代哲学思想を中世の人びとがどのように受け入れたか調べるために、アベラールとエロイーズの往復書簡を検討し、成果を学会発表の形で公開した。(3) ダンテ『神曲』とペトラルカ『わが秘密』を題材に、恋愛信仰とキリスト教信仰とが両立し、また同時に対立もしていたということを明らかにし、論文という形で公開した。
著者
三宅 紹宣
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

幕末期における諸藩及び幕府の軍制改革の比較史的研究を行い、西洋式軍事技術の導入が最も進展していたのは、幕府陸軍であり、海軍においても諸藩を圧倒していたことを明らかにした。長州藩は、軍事技術導入では幕府に及ばなかったが、諸隊と家臣団隊の西洋式軍事組織への編制替えを徹底して進め、散兵戦術を駆使することにより、幕長戦争において、武器装備で勝る征長軍に勝利することが出来たことを解明した。
著者
遠原 智文 三島 重顕 前田 卓雄 浦川 邦夫 本間 利通
出版者
大阪経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,労働市場における需給バランスの逆転が,高度専門職の組織に対する関わり方,及び企業の経営管理手法に与える影響を実証的に明らかにすることを目的としており,特に「供給過剰⇒供給不足(一級建築士)」と「供給不足⇒供給過剰(薬剤師)」のプロセスにある2業界に着目している。平成29年度は,文献調査,アンケート調査の準備(インタビュー調査の実施),研究成果の発表を行った。一昨年度より,高度専門職の組織に対する関わり方や職務満足の構造に関するデータを幅広く収集して,本研究を発展させるために,薬剤師や一級建築士に加えて,中小企業診断士(とくに中小企業診断士の多数を占める企業内診断士)を研究対象に含めている。文献調査では,中小企業診断士に対するアンケート調査で使用する質問用紙の作成のために,職務満足および幸福(感)に関する先行研究を渉猟した。またアンケート調査は,(一社)兵庫県中小企業診断士協会HRM(Human Resource Management)研究会と連携して実施することとなっており,その本格的な実施のために討議を行った結果として,仮説をより明確にするためにインタビュー調査を重ねることが重要という結論に達したため,本年度はインタビュー調査の実施とこれまでの研究成果の発信に注力した。これまでの研究成果の発表については,学会報告や論文の公刊が積極的に行われている。薬剤師に関しては,本間によって論文の公刊および海外での学会発表が行われている。また中小企業診断士においては,遠原および前田によって論文の公刊が行われている。
著者
大場 淳 芦沢 真五 小貫 有紀子 田中 岳 前田 一之
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本の大学改革では意思決定における上意下達的側面や制度改革が重視され、一定方向のガバナンス改革が一律の全大学に適用される傾向がある中において、本研究は、国内外の調査に基づいて、個々の大学が有する諸条件によって望ましいガバナンスの在り方は異なっていることを明確にした。そのことは、大学運営に関する改革の在り方は、例えば学長の権限拡大や教授会の権限縮小といった一律の制度改革を行うことではなく、個々の大学が適切なガバナンスの在り方を構想することを支援することにあるべきことを示唆するものである。研究成果については、学会等での発表、雑誌論文の掲載、書籍への執筆等を通じて、日本語及び外国語で行った。
著者
井上 勝生
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

研究実績の概要は、次のようである。1)朝鮮に派遣され、農民軍を鎮圧した守備隊史料を、多数収集した。守備隊の史料を所蔵する防衛研究所図書館史料、守備隊が編成された四国四県の新聞史料など、総指揮官の出身地である山口県文書館の史料など、多くの新しい史料を発見した。朝鮮農民の死者、三万人以上の大被害が発生した。朝鮮守備隊は、広島大本営が直轄しており、日朝間の交信記録を分析し、最強硬の弾圧命令が大本営指導部から出たことを明らかにできた(成果報告書)。抗日農民戦争は、大規模になり、ソウルに向かっていた。大本営は、日清戦争を中国領へ拡げるなかで、欧米が、農民蜂起を名目に、朝鮮へ介入してくることを恐れており、朝鮮農民軍の殲滅作戦が着手されたのであった。現地の部隊ではなく、大本営の首相や外相も含んだ戦争指導部が、最強硬の弾圧作戦を指導したことが、後の日本近代史に影響を与えたことも指摘した。守備隊編成地、四国では、農民軍討伐作戦中の、戦死者の個別事例を、新聞史料から掘り起こした。地元部隊が、農民軍大討伐作戦に朝鮮に投入されたことは、今日、知られていない。参謀部日清戦史でも、記述がない。戦死者個別事例を靖国神社の殉難記録でみると、中国軍との、別の戦場での、別の日の戦死に、変えられていることが判明した。記録と記憶の抹殺である。なお史料を探索し、発表する予定である。守備隊の総指揮官は、幕末の長州藩の元志士であった。駐韓公使井上馨と、同じ有志隊に入っていたことも発見した。井上公使は、最強硬な農民軍鎮圧作戦を主導していた。この関係を発見したので、さらに、事実関係を調べて、発表する予定である。
著者
結城 匡啓
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,スピードスケート競技の陸上トレーニングにおける動作と氷上での滑走パフォーマンスを分析し,これまでに究明されている滑走動作の力学的メカニズムや優れた選手に内在する技術的要因とを総合的に関連づけて検討した.その結果,スピードスケートの陸上トレーニング手段の運動負荷は,氷上滑走時のそれに比して低い可能性があることや,氷上パフォーマンスの高い選手は,陸上トレーニングにおける運動負荷よりも氷上滑走動作における負荷が大きい傾向にあることがわかった.
著者
森永 紀
出版者
長崎国際大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

生薬成分の配糖体に対するモノクローナル抗体(MAb)とイースタンブロット法(低分子化合物である配糖体の免疫染色法)を利用して、漢方薬の網羅的解析法の開発を行った。その結果、イースタンブロット法を基盤として、dot blot法と化学発光法を組み合わせることで、甘草のグリチルリチン(GC)と黄〓のバイカリン(BI)を迅速、簡便、高感度且つ特異的に検出できることに成功した。本法を漢方薬中のGCとBIの分析に応用したところ、HPLC法やELISA法と同様に定量分析することが可能であり、漢方薬中の有効成分の網羅的定量分析が可能な有用な手法であることを確認した。
著者
丹羽 仁史 山中 伸弥 升井 伸治 中尾 和貴
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

これまでに本研究において同定と機能解析を進めてきた遺伝子群について、マウス胎児性ならびに成体性線維芽細胞における多能性誘導能を網羅的に解析した。この結果、Oct3/4,Sox2,Klf4,cMycの4因子の組み合わせにより、これらの線維芽細胞に多能性を誘導することが可能であることを明らかにし、報告した(Takahashi, K. and Yamanaka, S., Cell, 2006)。さらに、これら4因子のうち、マウスES細胞における機能が明らかでなかったSox2とKlf4について、その解析を進めた。まず、Klf4については、これがES細胞に於けるLefty1プロモーターの活性化においてOct3/4およびSox2と協調的に働くことを明らかにした(Nakatake, Y. et al., Mol.Cell.Biol., 2006)。また、Klf4の強制発現が、マウスES細胞のLIF非依存性自己複製を維持しうることも見出している。一方、Sox2については、その機能がマウスES細胞の自己複製に必須であり、Sox2機能喪失は栄養外胚葉への分化を誘導すること、そしてSox2のマウスES細胞における主たる機能はOct3/4の転写活性維持にあることを明らかにした(Masui, S. et al., Nat.Cell.Biol., in revision)。さらに、マイクロアレイ法を用いた解析により、Oct3/4の標的遺伝子候補を網羅的に同定し(Matoba, R et al., PLoS One, 2006)、Klf4ならびにSox2の標的遺伝子についても同様の解析を進めることにより、マウスES細胞に於ける遺伝子発現制御の全体像を明らかにすることを現在試みている。
著者
吉葉 繁雄
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1.山蛭生息密度の定点調査の継続により,活動期間が寒季側に延長し,12月1月にも採集され,それらが2月に産卵したのは寒冷に対する馴化と見られ,大繁殖終息の兆しはなく,生見域は拡大しつつある。2.大繁殖の要因として(1)シカを主とする野獣の人里出現(源樓地からの伝搬と供血),(2)山蛭の天敵は不在に等しいこと,(3)1984年頃の天候が山蛭の定着繁殖に適したこと;(1)の原因として(a)山林事情(薪炭の需要減でマテバシイ葉繁茂→日射遮断→地表食草不生育),(b)保護獣指定による頭数過密,(c)食性変化,(d)野犬の追撃から逃亡,等が判明。3.水樓昆虫コオイムシの山蛭捕食能力を確認,天敵は4種となったが,双方の生息密度比,遭遇頻度から,駆除には実質上は役立たない。4.ヒトの吸血被害時の最著症状は吸血痕からの出血時間の延長と凝固性喪失による1時間に及ぶ出血で,その後創囲皮内出血,〓痒,人により硬結が生ずるが,1%タンニン酸綿清拭,抗ヒスタミン軟膏塗布,カット絆貼付が有効な簡易必要処置となる。5.山蛭に吸血された人獣の血中には抗山蛭抗体ができ,吸血回数と共に増量,出血を緩和,吸血した山蛭に致死作用を発揮する。外国産別亜種による抗体も共通で,17年前の被害でも抗体価は維持されていた。6.山蛭生息域のシカの第3・4趾間には有穴性炎性腫瘤が形成されてその穴腔内には山蛭が潜居するほか,四肢遠位部全体で数十匹の吸血とは無関数に付着し,シカの恰も山蛭の固有宿主にような関係にある。7.山蛭生息密度は抗体による免疫学的間引きで制御されてもいる。8.鳥類は山蛭に好まれ,吸血による抗体はでき難いので,地上歩行種はヤマビルにとって安全な供血および伝搬宿主となりうる。9.山蛭の野外駆除には煙草葉熱湯浸漬液や硫酸ニコチン液,皮膚面からの除去には食塩末や各種の灰が有効で,全て殺蛭作用を示した。
著者
土野 瑞穂
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

三年目である平成29年度は、前年度に続いてフェミニスト国際関係論に関する文献を用いた理論研究と、紛争下における女性への性暴力の問題として日本が問われている問題である「慰安婦」問題に関するフィールドワークを韓国と台湾で実施した。理論研究に関しては、安全保障政策の意思決定や平和構築に女性の参加を促すことを目的とした「女性・平和・安全保障」に関する国連安全保障理事会決議1325号に着目し、とりわけ紛争下の戦時性暴力に関する文献収集を行った。そして「ジェンダー視点を取り入れた安全保障のグローバル・ガバナンス」である同決議にもとづく日本版国別行動計画(National Action Plan。2015年9月に外務省が発表)の策定過程において、紛争下における女性への性暴力として「慰安婦」がどのように論じられ、結果として行動計画から抜け落ちたかについて、外務省と市民社会との会合の議事録を主な分析資料として用いながら考察したものを論文として発表した。フィールドワークでは韓国と台湾において「慰安婦」問題と上述の国連安全保障理事会決議1325号に関する文献調査を行った。本年度中に調査結果の考察が終わらなかったため、次年度の課題にしたい。
著者
山水 康平
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

1.ヒトiPS細胞由来血管内皮細胞の誘導 これまで申請者らは、血管系列の分化発生過程を段階的にかつ単一細胞でも解析を可能とするマウスES細胞・マウスiPS細胞の新しい分化誘導法を確立した。また、この分化誘導系を用いて、セカンドメッセンジャーであるcAMPの分化発生過程における様々な役割を解明してきた。そこで我々は、これまでのマウスES細胞・マウスiPS細胞からの血管内皮細胞の誘導のノウハウを生かし、ヒトiPS細胞からの血管内皮細胞の誘導を試みた。様々な条件検討の結果、まず血管内皮細胞の前駆細胞を効率的に誘導することに成功した。血管内皮細胞の前駆細胞のマーカーであるVEGFⅡ型受容体(KDR)陽性の細胞を80%以上誘導できる系を構築した。このKDR陽性細胞をFACSまたはMACSで純化し、cAMPやVEGFといった血管内皮細胞を誘導する因子を処置することにより、100%に近い血管内皮細胞の誘導に成功した。2.ヒトiPS細胞由来ペリサイトの誘導 上記の血管内皮細胞の誘導法を応用し、ペリサイトの誘導を試みた。KDR陽性細胞を血清条件(血管内皮誘導因子なし)で培養することによりペリサイトを約100%誘導することに成功した。3.ヒトiPS細胞由来神経細胞の誘導 ヒトiPS細胞より神経細胞を効率的に誘導する分化誘導系の構築を試みた。笹井先生らが開発した神経細胞誘導を参考にしてヒトiPS細胞からの神経細胞誘導を行い、効率的な神経細胞の誘導に成功した。4.ヒトiPS細胞由来アストロサイトの誘導 ヒトiPS細胞よりアストロサイトを効率的に誘導する分化誘導系の構築を試みた。笹井先生らが開発した神経細胞誘導を参考にしてより長期培養およびPassageを繰り返すことでヒトiPS細胞からのアストロサイト誘導を行い、効率的なアストロサイトの誘導に成功した。
著者
伊賀 淳一
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

うつ病患者の白血球におけるセロトニントランスポーターの発現は上昇しており、プロモーターのDNAメチル化率は低下していることを確認した。幼少期のストレスの影響を今後検討する必要がある。このほか老年期においてうつ病との鑑別が重要となるアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症において血液から得られる診断バイオマーカーの検討を行い、TREM2、SNCA、INPP5、TOMM40、APOE、PINK1、ABCA7、MEF2C、DRD2の遺伝子発現やDNAメチル化率の変化について英語論文で報告することができた。今後も老年期うつ病と認知症の鑑別に役立つバイオマーカーの検索を行う予定である。
著者
川崎 真弘
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

発達障害児に見られる「逆さバイバイ」のように、視点と身体表象の重ね合わせはコミュニケーション時の発達障害の一つとして重要な未解決問題である。本研究では、視点と身体表象の重ね合わせを健常者と発達障害者で比較し、発達障害の方略の違いを調べた。PCディスプレイ上に呈示された人の両手のうち一方がタッピング動作をし、被験者はその動作と同じ手でタッピングをすることが要求する運動模倣課題を用いた。方略の聞き取り調査より、定型発達者の多くが視点取得の方略を取るのに対して、発達障害群の多くは逆に心的回転の方略をとった。反応時間によるパフォーマンス結果から、心的回転を報告した被験者だけで回転角度依存性が観測されたため、この聞き取り調査が正しかったことを確認した。また、その方略の違いは発達障害のスケールの中でも「こだわり」や「コミュニケーション」のスコアと有意に相関した。さらに発達障害者は定型発達者とは異なり、自分がとった方略と異なる方略を強制されると有意にパフォーマンスが悪化した。この課題遂行時の脳波と光トポグラフィの結果を解析した結果、発達障害者は自分がとった方略と異なる方略を強制されると有意に前頭連合野の活動が増加することが分かった。前頭連合野の活動は従来研究で認知負荷と相関することが示されている。つまり、発達障害者は視点取得の戦略を使うと心的負荷がかかることが示唆された。以上の結果より発達障害者は他社視点を使う視点取得の方法より自己視点を使う心的回転を用いて運動模倣を行っていることが示された。今後はこのような戦略の違いがどのようにコミュニケーション困難と関係するかを分析する必要がある。
著者
大形 徹
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

研究の概要、中国では戦国から秦漢にかけて、太陽・ロータス・鳥の図像が多く描かれるようになる。そのもとはエジプトにある。エジプトでは太陽信仰にもとづく再生復活観念が、太陽・ロータス・ハヤブサなどの図像を通して表現された。それらの図像は中国にも流入し、不死の仙薬や仙人という神仙思想を生み出す契機となった。当初の仙人は死者が復活する尸解仙と呼ばれるもので、エジプトのミイラの復活によく似ている。
著者
家島 明彦 玉田 圭作 金澤 宏明 柊 和佑 秦 美香子 池上 賢 西原 麻里 石川 優 岡部 拓哉 雑賀 忠宏 足立 加勇 想田 充 ALISON Brent YANAGIDA Takuya TOGNONI Nubia SARPA Bernard POON Man Wai Carol SOWON Kim BARAGLIA Jimmy
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

人文・社会科学の主要な学会誌等55誌4698冊分を調査し,従来の論文検索では見つけられなかったマンガに関する研究を399本「発掘」した。また,マンガに関する人文・社会科学研究の国際的・学際的データベースを構築した。結果,①各学問領域に散在するマンガに関する研究知見の集約と体系的整理,②国や学問領域を超えた人的交流や情報交換,③当該分野における日本の主導権確立,という成果が得られた。
著者
中山 信弘 田中 辰雄 藤本 由香里 白田 秀彰 大野 幸夫 今村 哲也 金子 敏哉 蘆立 順美 潮海 久雄 横山 久芳 前田 健 上野 達弘 島並 良 寺本 振透 小島 立 福井 健策 野口 裕子 三村 量一 桶田 大介
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

創作・流通・利用をめぐる環境の変化に対して現行著作権法の規定は、著作物に関わる多種多様な利害を適切に調整するためには硬直的に過ぎるとの視点にたち、著作権・著作者人格権の内容と制限に係る解釈論・立法論上の提言と、制度設計の基礎となるべき実証的・理論的な分析手法を提示した(これらの成果を論文集『しなやかな著作権制度に向けて」として刊行する予定である)。また出版者の権利のあり方に関する政策提言、著作権と刑事罰の運用に関する共同声明、シンポジウムの開催等、社会に対する情報発信・提言を積極的に行った。
著者
宮宅 潔 佐川 英治 丸橋 充拓 佐藤 達郎 鷹取 祐司 藤井 律之 陳 偉 金 秉駿 ギーレ エノ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究はまず(1)中国古代史における民族の問題-「漢民族」はいかにして形成されたのか、中国王朝はさまざまな帰属意識を持つ人間集団をいかにして統合したのか、新たな民族集団の流入が王朝にいかなる影響を与えたのか、など-について共同研究者間で討議したうえで、それら民族問題と軍事の相関関係について各自の研究課題を設定し、定期的に研究発表を行った。その過程で(2)中間年度に韓国・ソウル大学で国際シンポジウムを共催した。そこでの討議をふまえてさらに議論を重ね、(3)参加者全員の寄稿を得て成果報告書『多民族社会の軍事統治 出土史料が語る中国古代』を京都大学学術出版会から刊行するに至った。
著者
田村 美由紀
出版者
人間総合科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,睡眠不足時の社会認知機能への影響について,機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて検討を行った.社会認知機能の1つであるミラーニューロンシステム(MNS)と共感が関連する,脳の機能領域に着目し,痛みを伴う行動認知や表情認知刺激を用いた実験を実施した.その結果,睡眠不足時には情動に重要な役割を持つ島皮質において,痛みや恐怖の表情といったネガティブな刺激に対して強く賦活する事が明らかとなった.
著者
千々和 到 矢部 健太郎 大河内 千恵 窪田 涼子 角田 朋彦 長又 高夫 堀越 祐一 山崎 布美
出版者
國學院大學
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

中近世の日本の誓約の文書は「起請文」と呼ばれた。それは、まず約束の内容を書き、そのあとに「もしウソをついたら、神仏の罰をうける」と書く。これまでその最初の史料とされていたのは、1148年の奈良・東大寺に残る文書だったが、2007年に琵琶湖北岸の塩津港遺跡から出土した木簡は1137年の年号があり、千々和が以前に「勧請型起請文」と名付け、中世初期からの存在を指摘した形式のものだった。これは、まず神仏をこの場に招き(これを勧請という)、そのあとに約束をし、それから「もしウソをついたら、神仏の罰をうける」というものである。本研究は、この新資料を起請文の歴史に位置づけ、その歴史を書き直すものとなった。