著者
有賀 早苗 有賀 寛芳
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

1)DJ-1の機能解析-ドパミン生合成におけるDJ-1の機能DJ-1はTH, DDCに直接結合し、活性を正に制御することを明らかにした。パーキンソン病患者で見られるDJ-1変異体にはその活性がない。また、ヘテロ変異体は野生型DJ-1に対し、dominant negative効果を示し、ヘテロ変異も発症の一因となることが示唆された。H_2O_2,6-OHDAなどで細胞に酸化ストレスを与えると、DJ-1の106番目のシステイン(C106)が、-SOH, SO_2H, SO_3Hと酸化される。軽度のC106酸化はTH, DDC活性を上昇させ、過度の酸化は逆に活性抑制を示したことにより、弧発性パーキンソン病発症におけるDJ-1機能が類推された。2)DJ-1とDJ-1結合化合物による神経変性疾患治療薬への応用虚血性脳梗塞モデルラット脳へのDJ-1注入により顕著に症状が抑制された。DJ-1結合化合物は、DJ-1のC106への過度の酸化を抑制することで、DJ-1活性を維持することを明らかとした。更に、DJ-1結合化合物の更なる活性上昇を狙って、in silicoで構造改変した。また、250万化合物ライブラリーを使ったin silico大規模スクリーニングで、DJ-1結合化合物を複数単離した。
著者
田谷 修一郎
出版者
大正大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

観察者の両眼間距離(右眼と左眼の水平方向の離れ具合)が立体視(網膜像差に基づく奥行きの知覚)に及ぼす影響について検討した。約50名の観察者について,ランダムドットステレオグラムの観察時に知覚される奥行き量を測定した。刺激はPCディスプレイ上に呈示され,アナグリフを通して観察された。観察者の両眼間距離は瞳孔間距離計を用いて計測された。実験の結果,知覚奥行き量の平均値と両眼間距離,および知覚奥行き量のばらつきと両眼間距離の間に負の相関関係が認められた。この結果は,視覚系が網膜像差に基づいて奥行き量を復元する際に両眼間距離情報を利用していることを強く示唆する。
著者
有賀 寛芳 有賀 早苗
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

1)DJ-1の機能解析-ドパミン生合成におけるDJ-1の機能DJ-1はTH, DDCに直接結合し、活性を正に制御することを明らかにした。パーキンソン病患者で見られるDJ-1変異体にはその活性がない。また、ヘテロ変異体は野生型DJ-1に対し、dominant negative効果を示し、ヘテロ変異も発症の一因となることが示唆された。H_2O_2, 6-OHDAなどで細胞に酸化ストレスを与えると、DJ-1の106番月のシステイン(C106)が、-SOH, SO_2H, SO_3Hと酸化される。軽度のC106酸化はTH, DDC活性を上昇させ、過度の酸化は逆に活性抑制を示したことにより、弧発性パーキンソン病発症におけるDJ-1機能が類推された。2)DJ-1とDJ-1結合化合物による神経変性疾患治療薬への応用虚血性脳梗塞モデルラット脳へのDJ-1注入により顕著に症状が抑制された。DJ-1結合化合物は、DJ-1のC106への過度の酸化を抑制することで、DJ-1活性を維持することを明らかとした。更に、DJ-1結合化合物の更なる活性上昇を狙って、in silicoで構造改変した。また、250万化合物ライブラリーを使ったin silico大規模スクリーニングで、DJ-1結合化合物を複数単離した。
著者
平田 オリザ 石黒 浩 橋本 慎吾 吉川 雄一郎 宮下 敬宏
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では,現代口語演劇理論に基づき,人間型ロボットやアンドロイド(人間と同じ見かけを持つロボット)を人間の俳優とともに役者として演劇に登場させる「ロボット演劇」の創作を通じ,特定のシーンにおいてロボットが人と関わる振舞を実現する枠組みを構築した.期間内に国内26件,国外31件(15カ国)の公演を成功させ,聴衆を対象とした大規模かつ文化比較的なアンケート調査により,提案する枠組みにより親和的なロボットの振舞が実現できることを確かめた.また実現された演出事例の分析から,ロボットの振舞のルールが抽出できることを示し,その効果を確かめた.
著者
大栗 行昭
出版者
宇都宮大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究の課題は,明治維新期に小作料がどのような経緯,方法で決定されたのかを考察し,そのような地代を収取する地主的土地所有はどう範疇規定されるべきかを展望することであった.研究代表者は,全国の町村が作成した『大正十年小作慣行調査』のうち,埼玉県と新潟県蒲原地方のものを閲覧・収集し,次のような理解を得るに至った.明治前期の小作料には,幕藩体制下の小作料をそのまま継承したものと,明治8,9年の地租改正実施の際に改定されたものとがある.埼玉では後者が多く,蒲原では両者相半ばした(明治21年の地価改定時に改定した村もあった).蒲原では,旧藩時代の小作料は収穫米の6割ないし2/3(領主1/3,地主1/3)であった.地租改正時に改定された場合についてみると,埼玉県では台帳上の収穫米高から2〜3割を控除して改定されたものが多く,蒲原では台帳上の収穫米高から1割5分〜4割(3割ないし3割3分が多い)を控除して改定された.明治初年の小作料は,幕藩体制下のそれの重みを継承し,「押付反米」と称された反収の6〜8割(中心は7割)に及ぶ高率現物小作料であった.ちなみに,地租改正「地方官心得」の地価検査例第2則における小作料率68%は,当時の慣行的な小作料水準ではないという見解があるが,本研究は「小作料率68%」が当時の実態に近いものであったと認識する.地主的土地所有の性格を規定するに当たっては,このような高率現物小作料が村落共同体的な強制力の存在のもとで決定され,維持されていた(小作料滞納に対しては,村内での小作禁止,戸長の説諭などの手法がとられた)ことに注意を払う必要があろう.
著者
高橋 達也 藤盛 啓成 山下 俊一 齋藤 寛
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

1993年から1997年まで、マーシャル諸島甲状腺研究(The Marshall Islands Nationwide Thyroid DiseaseStudy)によって、現地で医学的・疫学調査が行われた。マーシャル諸島住民では、甲状腺結節性病変の有病率が高かった。甲状腺結節の最も一般的な形態は、腺腫様甲状腺腫(adenomatous goiter)であった。しかしながら、本研究で発見された腺腫様甲状腺腫の患者の多くは、医学的治療を必要としなかった。幾多の他の研究と同じように、女性では、男性と比較して甲状腺結節の有病率が高かった。また、有病率は、年齢とともに高くなり、50歳代の女性で最も高率(約50%)であった。甲状腺結節例の約半数は、触診で診断できたが、残りの半数は、超音波診断によってのみ診断し得た(触診できなかった)。甲状腺機能低下症や甲状腺亢進症(バセドウ病)の様な甲状腺機能の異常は、マーシャル諸島では、比較的まれで、有病率は他国と比較して同程度、もしくは、低かった。太平洋地域(日本を含む)などに多く見られる橋本病(自己免疫性甲状腺炎)は、マーシャル諸島では、まれであった。甲状腺癌の疑いで43人の患者が、現地のマジェロ病院において、マーシャル諸島甲状腺研究の医療チームによってなされた手術を受けた。この43人中、25人については、病理学的に癌が確認された。外科手術で重篤な合併症は、1人も発生しなかった。マーシャル諸島全体での、一般住民の甲状腺結節や甲状腺癌の頻度は、従来報告されているよりもかなり高かった。しかし、我々は、ハミルトン博士(Dr.Hamilton)の仮説、すなわち、「甲状腺結節の頻度は、ブラボー実験の時に住んでいた場所とビキニ環礁からの距離に反比例する(ビキニから遠くなると、結節は減る)」、を確認できなかった。この点に関して、ブラボー実験で被曝した住民における甲状腺癌の頻度に関する予備的な分析では、概算した甲状腺放射線被曝量と甲状腺癌有病率は正の相関(被曝量が増えると甲状腺癌も増える)が有意に示された。
著者
遠藤 哲也 木村 治
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

日本でわれている養殖クロマグロの水銀汚染と有機塩素系化合物汚染を分析し、天然マグロの場合と比較した。養殖クロマグロの水銀濃度は厚生労働省の定めた基準を越えるものが少なく、一般に天然のクロマグロより低かった。一方、脂溶性の高い有機塩素系化合物濃度は天然クロマグロより高く、多食者には健康被害が心配される。地中海で行われている畜養マグロの場合の水銀および有機塩素系化合物濃度は日本国内の養殖マグロに比べて著しく高いものが多く、これは魚体の大きさを反映していると思われる。
著者
北村 紗衣
出版者
武蔵大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

SNSを利用した大規模な受容の調査については倫理的に問題があり、実施できないだろうという結論に達した。一方でSNSを用いてシェイクスピア劇の受容状況を調査する事例研究については、演劇においては上演中にリアルタイムでのツイートができないためツイッターハッシュタグのあり方が他のイベントと異なっていて活用がしづらい一方、うまくマーケティングツールとして利用している演劇祭や上演もあり、またツイッターを用いて活発に意見交換を行っている観客層も存在することがわかった。
著者
高野 陽太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、外国語副作用foreign language side effectが外国語を使用する日常的な場面でも生じるのかどうかを実験的に調べた。外国語副作用とは、母語に比べて習熟度の低い外国語を使用している最中には、一時的に思考力(非言語的情報処理をおこなう能力)が低下するという現象である。この現象は、Takano & Noda (1993,1995)によって初めて実証的に立証され、その生起機序が理論的に説明された。本研究は、外国語を使用する日常的な場面でもこの外国語副作用が生じるかどうかを調べる研究の一環としておこなったものである。外国語を使用する日常的な場面では、思考の材料は言語的に与えられることが多く、その場合には、思考は非言語的情報処理だけでなく、言語処理も含まれる可能性がある。言い換えると、思考に内言が伴う可能性がある。この内言は、処理の容易な母語である可能性が高い。かりに、思考に母語の内言が伴うとすると、外国語副作用は生じなくなる可能性がある。同時に2つ以上の情報処理をおこなう場合、一般に、処理が互いに類似しているほど相互の干渉は大きくなることが知られている。思考に伴う内言が母語の場合、外言として母語を使用しているときの方が外国語を使用しているときよりも干渉が大きくなり、思考成績は低下することになる。これが外国語副作用を打ち消し、外国語副作用が生じなくなるという可能性が考えられるのである。この可能性を検討するため、実験1では、思考課題に定言三段論法の妥当性判断を使用し、実験2では、知能検査の中で言語性知能を測定するために用いられる問題を使用した。被験者(日本人大学生および大学院生)は、これらの思考課題を言語課題と同時に遂行した。いずれの実験においても、思考課題の成績は、言語課題を母語でおこなったときより、外国語(英語)でおこなったときの方が低下していた。すなわち、外国語副作用が生じていた。従って、これらの実験結果から、思考に内言が伴う場合の多い日常的な外国語使用場面においても、外国語副作用は生じ得ることが明らかになった。
著者
ハンリー シャロン 櫻木 範明 伊藤 善也 今野 良 林 由梨 岸 玲子
出版者
日本赤十字北海道看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

子宮頸癌予防HPVワクチンの接種率向上の方策を検討する為、思春期女子を持つ母親を対象とする2つの調査を実施した。ワクチンが無料なら娘に接種させるとした母親が92%だった。接種の障壁は安全性に対する不安と母親の頸がん検診受診歴だった。医師の勧奨は意思決定に前向きな影響を与え、ワクチン効果を納得することもワクチン受容度に関連した。また、頸がん受診率の低い地域では、詳細な情報提供がワクチン受容度を高めることを示した。本研究の結果により、接種率向上の要因が明らかとなった。
著者
西原 克成 森沢 正昭 松田 良一
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

Rouxの言うように、重力など力学が進化の原因とすれば、進化のエポックを代表する動物に、進化で生じたphysicochemical stimuliを異種性に異所性に人為的に与えれば、進化で生じた物質が異種性に、異所性に生ずるはずである。局所の細胞の遺伝子の発現で、間葉系の高次機能細胞が誘導され、この細胞レベルの分化誘導の積み重ねで形態が決まるからである。この手法を研究代表者の西原が開発し、実験進化学手法(Experimental Evolutionary Research Method)と呼ぶ。これにより哺乳類において希望する間葉系高次機能細胞をハイブリッドタイプで、当該動物の細胞遺伝子を使って人為的に誘導することができる。脊椎動物の進化は、形態と機能と分子レベルでそれぞれ異なる。形態の進化は、内臓頭蓋の形態研究を行う以外には究明することが困難である。進化を遡ると、頸部・胸部・腹部・手と足との尾のすべては原索動物に至って、内臓頭蓋の原器、鰓孔のある口の嚢に収斂して、顔の原器のみとなってしまうからである。この動物がムカシホヤであり、脊椎動物の源となる本体であり、同時に顔の源とも言える生き物である。生命の営み(機能)の中心となる細胞レベルの消化・吸収・呼吸・代謝の要は造血巣であるが、この機能の進化は重力対応により腸管から脊髄腔へ移動する。このように形態と機能レベルの進化は、まぎれもなく生命体の生体力学的対応で生じており、Neo-darwinismのいうような進化の様式はどこにも観察されない。実験進化学手法を開発し次の3点につき研究した。(1)顔の源の生物マボヤの幼形進化の人為的誘発(2)人工骨脊髄バイオチャンバーによる軟骨魚類、円口類の筋肉内における造血巣の誘導(3)原始脊椎動物の組織免疫と胎児蛋白の関係の究明実験結果から、世界に先駆けてNeo-darwinismが完全否定され、脊椎動物の進化がLamarckの用不要の法則によることが検証された。本研究で、150年間脊椎動物の生物学を支配したNeo-darwinismの進化論が系統発生学の観察事実によって完全に否定され、力学対応進化学が実験的に検証された。脊椎動物の進化様式はハードのホメオボックスの情報系とソフトの環境因子と呼ばれる情報系の二重支配であったことが検証された。
著者
神野 透人 香川 聡子 大河原 晋
出版者
国立医薬品食品衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

生活環境化学物質が原因あるいは増悪因子と考えられる疾患において重要な役割を果たしていると考えられる侵害刺激受容体TRPA1 チャネルについて、その感受性個体差に影響を及ぼす遺伝的要因並びに環境要因を明らかにすることを目的として、既知のSNPs を導入した異型TRPA1 5種並びに野生型TRPA1をHEK293細胞で強制発現させて機能変化を明らかにした。また、ヒト気道及び肺組織について、TRPA1 mRNA発現量の差をReal Time RT-PCR法により定量的に解析し、ヒト気道組織においてはTRPA1 mRNAレベルで100倍以上の個体差が認められることを明らかにした。
著者
森 英樹 原 正之
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

コラーゲンゲル上に紫外線を照射することによって、コラーゲン分子間に架橋を施し、ゲルの粘弾性を変化させることができた。コラーゲンゲル表面を短冊状にマスキングした状態で紫外線照射を施すことによって、紫外線照射部の短冊状パターンを作製、その上で脳毛細血管内皮細胞株(bEnd.3)を培養した。bEnd.3細胞はコラーゲンゲル上の紫外線照射部に接着し、増殖した。更に、ニューロスフェアを形成したマウス神経幹細胞/前駆細胞を播種し、分化誘導培地で培養することによりbEnd.3細胞と神経幹細胞/前駆細胞からの分化細胞とのパターンを作製することができた。
著者
綿野 泰行 朝川 毅守 須山 佳久
出版者
千葉大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

ハイマツとキタゴヨウの交雑帯では、父性遺伝の葉緑体DNAはキタゴヨウからハイマツへ、そして母性遺伝のミトコンドリアDNAはハイマツからキタゴヨウへと、方向性を持った遺伝子浸透が起こっている。本研究では、両種が混生し、今まさに交雑が進行中と推定されるアポイ岳をフィールドとした。自然下での交雑の実体を、様々な方法で解析し、両者の間にどのような生殖的隔離が存在するのかを明らかにすることで、遺伝子浸透のパターンが形成されるメカニズムを解き明かす事を目的として解析を行った。1)アポイ岳交雑帯の遺伝的構造:アポイ岳では、ハイマツ型mtDNAのキタゴヨウへの遺伝子浸透が顕著であり、全ての個体がハイマツ型mtDNAを持っていた。核遺伝子マーカーによって同定された雑種はほとんどがキタゴヨウ型cpDNAを持ち、標高では、7-8合目に集中していた。2)花粉プールの時期・標高における変化:同標高においては、ハイマツの開花はキタゴヨウに1〜2週間先行するが、異標高では2種の開花時期は重なる。この開花フェノロジーの差異が花粉プールの組成に与える影響を探るため、花粉1粒ごとのPCR解析による葉緑体DNA(cpDNA)のタイピングを行った。その結果、花粉をトラップした2, 5, 6, 7合目全てにおいて、ハイマツ型cpDNAとキタゴヨウ型cpDNAが混在する時期が存在することが明らかとなった。3)種子形成における花粉選択:母樹が純粋なハイマツやキタゴヨウの場合、同種の花粉のみから種子が形成されていることが判明した。花粉プールにおける混在の結果から、選択的受粉機構が存在するものと考えられる。一方、雑種の種子からは、ハイマツ型とキタゴヨウ型の両方のcpDNAが検出される。おそらく、雑種は花粉選択性を失い、雑種を経由して、遺伝子浸透が進行するものと考えられる。
著者
吉田 寛
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

相互作用付リンデンマイヤ・システム上で多細胞の発展モデルを構築した。記号計算を用いて、細胞タイプの多様性とタイプ比の関係式を導出し、それが楕円曲線とフィボナッチ数に関係する曲線で表現されることが分かった。更に、より分子レベルに立脚したDachsous : Fatヘテロダイマーモデルを構築して、素イデアル分解を用いて、細胞鎖が再生する条件を導出した。これらの事から、多細胞の成立する条件:多様性と再生の条件が得られた。
著者
北中 千史
出版者
国立がんセンター
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2000

神経芽腫は自然退縮がしばしば見られる癌としてよく知られているが、そのメカニズムについてはほとんどわかっていない。神経芽腫の自然退縮のプロセスにアポトーシスとは異なったプログラム細胞死の関与が示唆されていること、Rasの発現が神経芽腫の予後良好因子であることなどに加え、最近の我々の研究からRasがヒトがん細胞に細胞特異的に非アポトーシス性プログラム細胞死を誘導することが明らかになってきた。これらの事実から我々は神経芽腫におけるRas蛋白質の高発現がアポトーシスとは異なったプログラム細胞死を誘導し、その結果腫瘍の自然退縮が起きているのではないかと考えた。この点を確認するためにまず神経芽腫の腫瘍サンプルを用いた免疫染色を行ったところ、自然退縮を起こしやすい神経芽腫のサブグループにおいてRasの高発現部位に一致してアポトーシスとは異なる細胞変性が高頻度に起きていることを認めた。また、in vitroにおいても、腫瘍サンプルで認められた所見に一致して、Rasの発現が神経芽腫細胞にアポトーシスとは異なった細胞死を誘導することを確認した。これらの結果はRasにより誘導される非アポトーシス性プログラム細胞死が神経芽腫の自然退縮に寄与している可能性を強く示唆している。
著者
齋藤 馨子 和氣 洋美 厳島 行雄 五十嵐 由夏
出版者
神奈川大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

痴漢被害に関する質問紙調査では、女性の約37%、男性の約5%が痴漢被害を経験しており、痴漢被害部位の多くは臀部であることが示された。痴漢被害遭遇時は目視による犯人確認が困難であることも明らかとなった。また、痴漢と判断される行動が混雑した公共交通機関内で容易に生じることも確認された。身体接触に関する調査では、身体接触を基本的に不快と感じることが示された。触判断に関する実験的検討では、視聴覚情報が遮断された状態で背後の他者の立ち位置を感じることはできず、刺激の動きの有無や連続提示にかかわらず、臀部では触覚情報のみによって対象を正しく判断することは困難であることが明らかとなった。
著者
藤森 馨 夏目 琢史 小倉 慈司 岡野 友彦 岡田 荘司
出版者
国士舘大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

昭和31年村田正志氏が調査された出雲国造北島家の古文書は、429通を精選し、『出雲国造家文書』として昭和47年に刊行されている。その中で、306通の文書が重要文化財に指定され、同時に文化庁の斡旋により表装成巻された。当初、この表装された巻子本を再度調査し、当時の技術では解読しえなかった紙背文書などを明らかにしようとして、本研究を始めた。しかし、原則当主以外立ち入りを禁じられていた蔵を、現当主北島健孝氏と共に、調べてみたところが、未調査の箪笥があることが分かった。平成30年8月23日から3同月26日かけての調査で、新出の鎌倉時代から戦国時代にかけての文書150通が発見された。平成31年3月5日から7日の調査で、更に100通の写しを含む中世文書が発見されたのである。これは想定外の事態で、村田氏が『出雲国造家文書』跋文で429通がほぼその全容である、と記されていたからである。この度発見された古文書は「六波羅下知状」などの鎌倉時代の文書から戦国時代に及ぶ。特に尼子氏の出雲支配や、その支配を継承した毛利氏関係のものが多い。出雲の中世史を一変させるのではないか、と推測されるものが多数である。尼子氏を通じての幕府関係のもの、毛利氏を通じての豊臣政権関係のものなど多岐にわたる。その特徴は、宗教関係文書というより、在地を統括する武家文書を彷彿させるものである。戦国時代後期には本願など大社造営関係の宗教者の動きを示す文書も散見するようになるが、決定的に少ない。聖教や祝詞など寺社文書を特徴づけるものは、皆無とは言えないが、今回の調査では、あまり目に触れなかった。老中奉書などでの祈祷依頼などは、むしろ近世文書に多く視られる。いずれにしても、新出の中世文書が想定外の分量で発見されたことは、今回の研究の大きな業績といえよう。