著者
沈 益新 伊藤 浩司 石井 康之 田中 重行 田中 典幸
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.19-26, 1995-03-05
被引用文献数
1

オーチャードグラスの品種ナツミドリにおける施肥による生産性の一時的な調節が, その後の生産性に及ぼす影響を圃場実験及びポット実験により検討した. 圃場実験では, N施用量が1.8g/m^2相当の有機質肥料の基肥を施用して10月31日に播種し, 翌年1月5日に化成肥料で窒素, 燐酸, 加里の3要素とも10g/^2 (多肥区), 5g/m^2 (中肥区), Og/m^2 (少肥区)を施用した施肥処理区を設けた. その後, 4月15日に各区とも同量で中肥区相当を追肥し, その際, 刈り取り区として各区の半数を3cmの高さで刈り取り, その他は無刈り区として生長を継続させた. 1月5日から5月25日までにわたり, 乾物生長の変化を調査した. ポット実験の処理及び調査は圃場実験に準じた. 追肥までの期間は, 少肥区ほど葉面積の拡大が強く抑制されて地上部乾物収量 (DMY) が小さかった. しかし, 追肥後では, 刈り取り区及び無刈り区ともに, 追肥前の少肥による生長抑制に対する補償的生長が現れて, DMYの増加は少肥区ほど大きかった. これは, 主として, 追肥前に少肥の区ほど, 追肥後の葉面積指数 (LAI) の増大速度が大きいとともに, LAIの増大に伴う純同化率の低下が小さいことによった. 少肥によるDMYの減少に対する追肥後の補償は完全ではなかったが, 少肥によって生産を一時的に抑制しても, 適切な追肥を行えば,その後の生産が引続き抑制されることにはならないと推察された.
著者
伊藤 谷生 岩崎 貴哉
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.87-96, 2002-12-27

In Japanese islands, there exist two ongoing arc-arc collision zones (Hidaka region in Hokkaido and Izu region in Honshu). This paper presents an overview for recent geophysical and geological researches on the arc-arc collisions. In the Hidaka collision zone, the Kuril forearc has been collided onto the Northeast Japan arc since Miocene. A series of intensive seismic reflection and refraction since 1994 provided clear images on the collision style including the crustal delamination of the Kuril forearc in this region. These results constrain an important process for the formation of continental crust. Namely, delaminated lower (more mafic) crust of the Kuril forearc is descending down, and being transferred into the mantle by the plate subduction. The resultant crust becomes more felsic, which probably will be a core of the continental crust. The deep structure and deformation style of the Izu collision zone, where the Izu-Bonin arc is colliding to Honshu Island, has not been clarified as yet. In this paper, some of the recent geological and geophysical studies in these regions are introduced.
著者
松平 浩 井上 基浩 粕谷 大智 伊藤 和憲 三浦 洋
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.2-16, 2013 (Released:2013-06-17)
参考文献数
47

腰痛症に対する鍼灸の効果と現状を総合テーマとして、 当該領域のレビューを行った。 はじめに西洋医学的な立場から特異的腰痛や非特異的腰痛の鑑別や治療効果を中心に紹介した。 次に、 鍼灸治療の治効機序に関して、 基礎研究の成果を文献に基づき紹介した。 最後に、 腰痛に対する鍼灸治療の臨床効果を文献に基づき解説し、 様々な腰痛に効果が示されていることを紹介した。 以上の結果から、 鍼灸治療は様々な腰痛に対して臨床効果が報告されているが、 特に非特異的な腰痛に対して有効である可能性が示唆された。
著者
辻内 伸好 井上 喜雄 伊藤 彰人
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

歩行訓練に関してはトレッドミルが用いられるが,運動解析に基づく歩行評価指標の欠如から,運動学習効率を定量的に評価することができない.そこで,速度制御による負荷変化が可能な左右分離型トレッドミルを開発し,有効な歩行評価指標を用いて,指標と実際の歩行との相違点を視覚的に提示することによって,歩行障害者のバイオフィードバックを促進し,リハビリテーション効率を向上した.
著者
松村 和則 伊藤 恵造 佐藤 利明 山本 大策 山本 由美子 村田 周祐 植田 俊
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

(1) 松村和則「人々の『創造力』とは何か-レジャー開発と環境保全への社会学的接近-」(2) 伊藤恵造「スポーツをめぐる住民組織の変容とその論理-郊外化する手賀沼周辺を事例として-」(3) 村田周祐「地域スポーツイベントと地域社会をめぐる関係性と象徴性-手賀沼トライアスロン大会を事例として-」(4) 植田俊「スポーツクラブによる地域環境保全活動の展開-手賀沼ヨットクラブを事例に-」(5) 山本大策「開発主義国家における地域格差と地域社会の能力的貧困:経済地理学からのアプローチ」(6) 山本由美子「ゴルフ場開発問題をめぐる紛争と地域的対応-長野県北安曇郡松川村・神戸原扇状地の事例-」
著者
伊藤 三千雄
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.63, pp.653-656, 1959-10-10

中国人の横浜進出は、開港と同時であるが、Japan Directory・for 1885など、在日外国人住所録に附載されている営業案内には中国人で、Carpenter、Painter、House Builder、Contractor、そしてFurniture Makerなど建築技術関係の営業広告を出す例が多くあって、明治中期に至つても、在日外人を相手とする建設活動は、なほ西洋や中国の技術者によつて占められる割合が大きかつたと推定される。西欧建築の手法に熟達した中国人技術者の日本に於る活動は、工部省御雇外国人による技術系統の影にかくれているが、開港直後から居留地の建設作業に参加していたものと考えられる。中国人が西洋の建築様式に接するのは、広東、上海などの東洋貿易やキリスト教伝導布教の拠点においてゞあり、こゝで形成された西洋人と中国人の建築技術者の関係が、そのまゝの態勢で、日本の開港地に移ることは、当然考えられることである。横浜居留地の欧米商社で、日本人を指揮した番頭は、主として中国人であり、建設活動においても、西洋人に信任された中国人技術者の指揮がなければ、新開地に職を求めて集つた日本の職人達が、いきなり当面する、全く異つた作業を、西洋人の意図するまゝに円滑に進めることは、非常に困難なことである。横浜居留地で本格的な西洋手法を採り入れた建物は、主として中国人が請負ひ、或ひは西洋人建築家を助けて主要部分の工事を担当し、日本の大工・職人の西洋技法は、≪中国人の技術的通弁≫によつて理解し、修得されたものであり、この技術が日本各地における欧米様式の官公庁舎、兵営、駅舎、工場などの建築活動を裏付ける技術となつて、広ろまつていつたと考えられる。
著者
三神 彩子 荒木 葉子 笹原 麻希 伊藤 貴英 長尾 慶子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.204-208, 2012-06-05
被引用文献数
1

本研究では,家庭での使用頻度の高い野菜50種を取り上げ,家庭で通常行われている切り方およびエコ・クッキングの切り方での廃棄率を実測し,食材廃棄率の削減効果を明らかとすることを目的とした。野菜50種は旬の時期に栽培された国産のものを試料とした。通常の切り方は,家庭調理を前提とし,大学の調理実習で実施している方法とした。エコ・クッキングでは,可食部分を出来る限り生かし,ヘタや根,種を除き,丸ごと皮ごと使用することとした。これにより,45種の野菜で可食部分が増加し,平均して9.1%の廃棄率削減効果が認められた。中でも,廃棄率の削減効果が高かったものに,カブ(葉つき)33.1%,セロリー32.1%,フキ27.7%,長ネギ26.2%,ブロッコリー23.3%があげられた。ただし,いずれの野菜も料理によっては可食部全てを使うことが望ましいわけではないため,皮や固い部分はみじん切りにしたり,すりおろしたり,もしくは部位ごとに使い分け加熱操作を加える方法などの調理の工夫で上手に活用することが望ましい。
著者
嶺井 明子 関 啓子 遠藤 忠 岩崎 正吾 川野辺 敏 水谷 邦子 森岡 修一 福田 誠治 松永 裕二 澤野 由紀子 大谷 実 高瀬 淳 木之下 健一 タスタンベコワ クアニシ デメジャン アドレット ミソチコ グリゴリー アスカルベック クサイーノフ セリック オミルバエフ 菅野 怜子 サイダ マフカモワ 伊藤 宏典 アブドゥジャボル ラフモノフ ズバイドゥッロ ウバイドゥロエフ
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中央アジア4カ国は独立国家樹立後、国連やユネスコ加盟を果たし、脱・社会主義、民主的法治国家の樹立をめざし教育改革に着手した。国外からの協力と援助(ユネスコ、国際援助機関、ロシアなど)、及び国内事情(多民族国家、イスラム的伝統、都市と農村の格差、経済の人材需要など)の葛藤の中で教育政策が推進されている。初等中等教育の高い就学率、教育の世俗制、多民族への配慮などソ連時代からの正の遺産を多く継承しているが、教育へ市場原理が導入され競争的環境が強化されている。高等教育ではボローニャ・プロセスに対応した改革が進んでおり、無償制は後退している。
著者
伊藤 智子
巻号頁・発行日
2013

Thesis (Ph. D. in Human Care Science)--University of Tsukuba, (A), no. 6567, 2013.3.25
著者
山田 廣成 霜田 光一 高山 猛 伊藤 寛 保坂 将人 浜 広幸 西沢 誠治 三間 國興
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

リングは、97年9月までにほとんどの要素の製作と単体テストを完了し、岡崎分子研の入射器室にて組立を開始して11月までに完成した。1ターンコイルであるパ-タベータの4500A励磁と加速空洞への平均500Wパワー投入に成功し、入射実験を開始した。クリスマスイブには少なくとも100μsの間電子が周回するのを確認した。蓄積電流値はあきらかではないが、遠赤外線モニターはピーク値で300mW以上を示した。パ-タベータによる電子のキャプチャーを確認したわけである。高周波加速は、ランプアップ時の反射の調整はまだ成功していない。パ-タベータは2台設置しおり、1台は外側の電子を外側へ、1台は内側の電子を外側へキックしている。パルス電源は、sin半波を生成し、ピーク電流4500Aのとき30kVの電圧が発生する。幅は4μsである。我々は、これをさらに磁気圧縮してパルス幅を0.4μsにすることに成功した。加速空洞は、特異な形をしているが、基本的にはリエントラント型であり、TM01モードの発生に成功した。加速周波数は、ハ-モニクス8に対して2.45GHzで、ソースとしてCWマグネトロンを使用している。2台の加速空洞へのパワーをT型同軸管で分岐して投入している。2台の加速空洞はカップリングしている状態であるために、2台の固有周波数は、正確に一致していなければならない点と、同軸管のカップリングも正確に等しくしなければならないが、我々はこの調整方法を見いだし、パワーの長時間投入に成功した。ミラーは、SiC焼結体で製作し、その真円度を1ミクロン以下に押さえることができた。ミラーを設置したレーザー発振実験は今後のスケジュールを待っている状態であり、残念ながら期間内に実験を終えることができなかった。一方、ハードX線の発生実験を東大物性研SORで行った結果、電子軌道に細線を挿入しても数秒のビーム寿命があることを確認した。これにより、高輝度小型X線源の道が開けた。
著者
伊藤 陽子
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

これまでTALENをはじめ人工ヌクレアーゼの活性評価としては、培養細胞や受精卵を用いたin vivoアッセイが広く用いられてきた。しかし、in vivoアッセイのみではTALENタンパク質の性質を十分理解するのは困難である。そこでまず、活性のある組換えTALEN・TALEタンパク質を調整し、in vitroでのTALEN活性評価系を確立し、super-active TALENはDNA結合活性が高いことを明らかにした。更に、構造生物学的実験も行い、TALEタンパク質の高活性化機構を詳細に調べた。この様なin vitroでの活性評価は、更なる人工ヌクレアーゼ応用研究に貢献できると思われる。
著者
長野 宣道 松尾 孝美 伊藤 隆志 友成 健一朗 白石 順二
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.1474-1485, 2012-11-20 (Released:2012-11-21)
参考文献数
28

We proposed a method for a computer-aided diagnosis system that distinguishes between benign and malignant lesions in gastrointestinal digital radiography. To begin with, the level set method was applied in order to extract a tumor region from the image which was smoothed by the bilateral filter. Next, we selected four image features with the large SN ratio among various image features obtained from a tumor region using the Mahalanobis-Taguchi method, which has been employed mainly in quality engineering. The selected four image features—circularity, irregularity, size, and perimeter—were used as input data for the artificial neural network, which was employed for distinction between benign and malignant lesions. By using 43 regions of interest cropped from the 43 clinical cases, the area under the ROC curve (AUC) of diagnostic accuracy for the classification obtained with this proposed method was 0.970, whereas the average AUC obtained with 7 human observers (3 radiologists and 4 radiological technologist) was 0.941.
著者
柏崎 直巳 伊藤 潤哉
出版者
麻布大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

哺乳類生殖細胞の超低温保存は,実験動物・家畜における効率的な遺伝資源の保存やヒト生殖補助医療技術として重要である.さらに,未受精卵の状態で効率よく超低温保存することが出来れば,体外受精あるいは卵細胞質内精子注入法に用いる際,雄の遺伝的背景が選択可能になることから,極めて重要な技術になると考えられる.しかし,初期胚と比較して未受精卵の超低温保存は,加温後の卵の発生能は著しく低下してしまうことが知られている.本研究では,新規凍害保護物質であるカルボキシル基導入ポリリジン(COOH-PLL)を用いて,マウス未受精卵の超低温保存の改良を試みた.ガラス化保存した加温後の卵は,生存率においては高い値(90%以上)を示し,体外受精後の前核形成率においては, 20%(v/v) ethylene glycolおよび10%(w/v) COOH-PLL(E20P10区)で高い割合(約70%)を示した. 2細胞期率においてもE20P10区は高い割合(約70%)を示した.以上の結果から,マウス未受精卵の超低温保存においてもCOOH-PLLは凍害保護物質として有効であることが初めて明らかにされた.
著者
奥野 拓 伊藤 恵 大場 みち子
出版者
公立はこだて未来大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ソフトウェア開発においては多くのドキュメントが作成される.しかし,ワードプロセッサ等で作成した場合,トレーサビリティの低下,メンテナンスコストの増大という問題が発生する.この問題を技術文書向けの XML 標準である DITA を導入することにより解決している.ソフトウェアドキュメントを DITA の構成要素であるトピックとして記述するために, 標準的なソフトウェアドキュメントの構造化モデルを作成し, トピック粒度の検討を行った.また,意味的な関連性によりトピックを検索する手法を構築し,DITA に基づいた統合ソフトウェアドキュメンテーション環境を汎用ウェブ CMSを拡張して構築した.