著者
太田 陽子
出版者
Japanese Society for Active Fault Studies
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.32, pp.57-72, 2010

This paper summarises the results on active fault studies obtained mainly by the author's work during the last 10 years. The 1999 Chichi earthquake makes a turning point for active faults study. Many international and interdisciplinary works have been carried out for active faults studies, in which the author has participated in the field of geomorphological study of active fault. Her main contribution is a discussion on the close relationship between the 1999 surface trace and preexisting active fault, estimation of tilt rate and relation between the main fault and subsidiary fault, the possible segmentation based on trenching data (Chelungpu Fault), finding some new active faults and discussion of their implication for the geomorphic evolution, as well as seismotectonic significance (Tunglo Fault System and Touhuanping Fault, northwest Taiwan). Ongoing works on the reverse faults in southwestern Taiwan, are briefly summarized, including significant effect of rapid denudation, that may cause underestimation of length of active faults.
著者
吉滝 幸世 太田 雅敏 川口 明彦 石原 進 水野 忠則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.24, pp.211-218, 2002-03-08
参考文献数
13

近年、携帯電話上で絵文字を利用したメールや、モバイルカメラで撮影した写真に簡単な加工を施して他人に送信するなどの、画像を利用したコミュニケーションが盛んに行われている。しかし、現在は、携帯電話上でユーザが自由に画像を作成することはできず、利用できる画像は、端末内にあらかじめ用意さらたものや、Web上からダウンロードされたものに限定される。そこで、筆者らは自作の画像による携帯電話でのコミュニケーションを可能にするツールとしてCONTE(Canvas ON mobile TElephone)を提案する。本稿では、CONTEシステムを設計、実装し、比較研究とアンケート調査による評価を行った。評価結果より携帯電話を用いたお絵描きツールの有効性が示された。In recent years, mobile communications with not only texts but also pictures have been widely used. For example, we can send e-mail including face marks and a pictures taken by a mobile camera. However, we cannot use original images in e-mail and draw graffity on a picture. We can use only images downloaded from hosts the Internet or prepared in mobile phones. In this paper, we propose a drawing tool CONTE(Canvas ON mobile TElephone) for mobile phones with Java virtual machine. In this study, we have designd and implemented the CONTE. In addition, we have evaluated the system by comparing images written by mouse with drawn by CONTE and questionnaires about the interface of the CONTE. From the evaluation result, the validity of the draw tool using mobile phone was shown.
著者
村松 康男 太田 秀臣 落合 幸勝 衛藤 義勝 山田 哲 入倉 哲郎 木野 雅夫
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:18847668)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.61-67, 1984

Menkes'kinky hair disease (以下Mellkes病) は, 銅代謝異常, 精神運動発達遅延, 痙攣, 特徴ある毛髪を主症状とする疾患である. 最近, 私達はMenkes病の1症例を経験しCTscanによる経過観察を行い興味ある所見を得たので報告する. 症例は, 生後3ヵ月より痙攣が出現し, 生後8ヵ月にて肺炎に罹患し痙攣の増加をみたため当科に入院した. 入院時, 毛髪は一部粗で短く茶褐色で縮れ毛が密生していた. 血清銅・セルロプラスミンの低値, 硫酸銅経口負荷試験にて反応がみられないことよりMenkes病と診断した. CT所見上, 生後4ヵ月では脳室系の拡大, 大脳半球・脳幹部の萎縮がみられ, 生後9ヵ月では硬膜下に高濃度の貯留液がみられた. 生後10ヵ月で著明な硬膜下血腫が出現したため, 血腫除去術を施行した. 手術時, キサントクロミックな貯留液および隔壁を有する硬膜下血腫が認められた. CT所見および手術所見より, 患児のCT上の変化は, 急速な脳実質の萎縮による橋静脈の断裂, および血管壁の脆弱性により, 慢性に繰り返された微少出血によると考えられた.
著者
太田 裕之 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G (ISSN:18806082)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.159-167, 2007 (Released:2007-06-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

現代社会において,CO2排出削減のための環境配慮行動は多様に存在し,そのような中で人々は優先的にいくつかの行動を選択し取り組んでいると考えられる.その行動の選択の際に影響する要因の一つとして考えられる「有効性知覚」は,様々な認知的バイアスの影響により,実際の有効性と必ずしも一致していない可能性があると考えられる.そこで本研究では,CO2排出削減量効果の情報を提供することで,人々の有効性知覚と客観的有効性との間の乖離が減少し,それに伴い行動の効率化がなされるとの仮説を措定し,アンケート調査形式の実験を行った.データ分析を行った結果,事実情報の提供により認知的ひずみは軽減し得るものの,行動意図は十分には効率化されない可能性があるとの結果が示唆された.
著者
太田 智 遠藤 朋子 島田 武彦 藤井 浩 清水 徳朗 國賀 武 吉岡 照高 根角 博久 吉田 俊雄 大村 三男
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.295-307, 2011
被引用文献数
9

カンキツトリステザウイルス(CTV)は,カンキツに重大な被害を引き起こす重要病害の一つである.カンキツ属との交雑が可能であるカラタチ[<i>Poncirus trifoliata</i>(L.)Raf.]は,広範な CTV の系統に対して抵抗性を示す.これまでに,カラタチの CTV 抵抗性をカンキツ属に導入するために育種計画が実行され,中間母本が育成されたことで,経済品種の作出に道が開かれてきた.本研究では,マーカー選抜により効率的に CTV 抵抗性をカンキツ属に導入できるように,CTV 抵抗性に連鎖した 4 つの DNA 選抜マーカーおよび各連鎖群上のカラタチの対立遺伝子を識別する 46 のマーカーを開発した.CTV 抵抗性連鎖マーカー 4 つのうち,1 つは共優性マーカーである Single Nucleotide Polymorphism マーカーで,3 つは優性マーカーの Sequence Tagged Site マーカーであった.これら全てのマーカーで,2.8%の例外を除き,後代における CTV 抵抗性・感受性とマーカーの有無とが一致した.さらに,これらのマーカーは高度にカラタチ特異的であり,検定したカンキツ属 35 の全品種・系統に対して適応可能であった.カラタチ由来の対立遺伝子を排除するための判別マーカーでは,46 のうち 9 マーカーが CTV 抵抗性の座乗する第 2 連鎖群に位置した.また,他の 31 マーカーを残りの 8 連鎖群におくことができた.これらのマーカーは,カンキツ属 35 品種・系統のうち少なくとも 1 つ以上の品種・系統に対し,カラタチ由来の対立遺伝子を識別することができた.本研究で開発されたプライマーセットは,戻し交雑により CTV 抵抗性を様々なカンキツ属系統に導入するためのマーカー選抜に利用可能と考えられた.<br>
著者
有薗 育生 邵 俊 太田 宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.145-150, 1992-08-15

近年, 古川・太田・加瀬は計数規準型逐次抜取検査の検査履歴が最短格子経路で表される点に着目して, これに基づく計数規準型逐次抜取検査の新しい設計法を提案している.この設計法によれば, 従来の逐次確率比検定に基づくWaldの設計法による計数規準型遂次抜取検査方式の生産者危険と消費者危険が指定値を近似的に満足するものであるのに対して, 両者の危険を確実に指定値以下におさえる検査方式が得られるばかりでなく, 任意の不良率についての検査特性も厳密に算出できるといった特徴がある.本研究では, この最短格子経路に基づく計数規準型逐次抜取検査方式の設計法の特徴を利用して, これまで規定されていなかった計数選別型逐次抜取検査の設計法を新たに提案し, その有効性について考察する.
著者
太田 和子
出版者
岐阜女子大学
雑誌
岐阜女子大学紀要 (ISSN:02868644)
巻号頁・発行日
no.46, pp.51-60, 2017-01-31

ホウレンソウ(Spinacia oleracea L.)の低シュウ酸含量品種の育成を目的に,組織培養で得られた低シュウ酸雌株あるいは高シュウ酸雌株を低シュウ酸雄株と交配し,その後代のシュウ酸含量を調べた。子世代では低シュウ酸雌親株からも高シュウ酸雌親株からも低シュウ酸の子株が多数得られた。しかし,孫世代や第4世代では,中程度のシュウ酸含量個体が多くなり,低シュウ酸遺伝子を持っていると思われる系統は得られなかった。
著者
肥田 登 石川 悦郎 太田 由紀子
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.23-33, 1999
被引用文献数
4

六郷扇状地は.39°25'N.140°34'Eの周辺にある.標高90mの扇頂と標高45mの扇端との問は約4kmである.ここで池を用いた地下水人工涵養の実験を実施した.期間は.1998年4月13日から4月27日までの14日間である.涵養池は扇央に設置した.池底の面積は1,045m<SUP>2</SUP>.深さは3mである.扇状地の帯水層は主に砂礫から成り.透水係数は10°~10<SUP>-2</SUP>cm/secのオーダにあり.比産出率は20%強である.<BR>本実験の結果.つぎの点が明らかにされた.1.涵養期間中の池への平均給水量は.71.2l/秒.この間の池底からの平均浸透速度は.24.5cm/時であった.2.涵養池から480m下流の観測井では.給水を開始後2日めより地下水位は上昇を始め.同11日めに最高水位を記録した.この間の水位の上昇高は.1.40mであった.3.涵養を実施している間.涵養池の下部には地下水堆が形成された.4.地下水堆の形成により.涵養池の西~北西方向の一帯において.地下水面は上昇した.扇端にある琴平観測井の4月の地下水位は.平年的には低下するが.人工涵養を実施することによって一定の高さを推移した.5.人工涵養により地下水位の保全を図れる範囲は.扇端の湧泉帯までである.地下水は.この湧泉帯から流出する.
著者
太田 道男 山海 嘉之 山内 真 鎌田 忠夫 熊谷 頼篤 熊谷 頼明 小路 良 池辺 潤
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
人工透析研究会会誌 (ISSN:02887045)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.181-185, 1984

HF用に開発されたダイアライザーのようなHi-Flux形のダイアライザーを用いて透析を行えばより高分子の物質の除去が期待できる. しかし, これらのダイアライザーは水の透過性が良く, 所定の除水量を得るためには, 従来の透析に比して膜間圧 (TMP) を低く保つ必要がある.<br>そのために限外濾過圧制御装置 (オートクランプ) を開発し, TMPを一定値に保ち所期の除水速度を自動的に保持することを試みた. この装置ではダイアライザー膜にかかる血液側と透析液側の差圧を測定し, この差圧を外部で設定した値に保つように, 血液回路に設けられたチューブ絞り機構を自動的に調節する. 東レB1シリーズのダイアライザーを使用することを想定して, 400500m<i>l</i>/hr程度の除水速度を設定するために, TMPが40-80mmHgの間を5mmHgごとに設定可能とした. 圧調整の精度は±3%, 測定系の精度を保持するために, 1台の差圧変換器のみを使用している. クランプ部は, チューブをベアリング機構を介して, 滑らかな曲面で締めつけ, チューブに余分な歪が加わらないようにし, またクランプの急激な開閉は避け, 回路中の血流量の急激な変化を避けている. In vitroの限外濾過量調節を東レ, B1-100, 200, Lで行った. Hi-Fluxのため, アセテートイントレランスを回避するため, ラクテート透析液を使用し, 模擬血液としてサビオゾールを用いた. 実験結果からは, 500m<i>l</i>/hrのUFRを得るためのTMPは, 45mmHg (B1-L), 65mmHg (B1-200), 80mmHg (B1-100) 等であり, 本方法が十分実現可能であることが確認された.
著者
神谷 信行 星野 謙一 太田 健一郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.2, pp.140-146, 1987-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
19
被引用文献数
2

ヘキサクロロ白金(IV)酸(塩化白金酸)の熱分解過程をTG,DTAを用いて調べ,熱分解法で作製した白金被覆チタン電極の電極性能との関連を検討した。H2PtCl6・6H20,PtCl4・5H20の結晶および水溶液はほぼ同じ温度でPtCl2,Ptへと熱分解し,それぞれの生成する温度は330,530℃ であった。これに対してブチルアルコール(n-BuOH)を溶媒として熱分解を行なうと約400℃ でPtまで還元される。H2PtCl6のn-BuOH溶液をチタン基体に塗布,熱分解する方法により,低温(300℃)でも粗度係数の大きな電極をつくることができるが,高温で焼成するほど粗度係数は小さくなった。白金とチタン基体との接合部の焼結,露出したチタン表面の封孔処理の程度は焼成温度が高いほどよく,高温処理の方が耐久性はよい。n-BuOHのほかにも種々の有機化合物を使い熱分解を調べた結果,Pt(II)に有機物が配位した状態(錯体)を経て酸化還元が進みやすくなり低温でPtoまで分解されるものと思われる。
著者
近藤 史崇 岩井 俊治 三浦 智恵美 坂田 潤弥 太田 史 井戸 篤史 入江 奨 岡松 一樹 角正 浩一 三浦 猛
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.923-933, 2016
被引用文献数
7

<p> 養殖クロマグロに最適な飼料の開発を目指して,EP給餌と生餌給餌の体成長と消化関連因子の比較を行った。EP給餌のクロマグロの体成長は胃のペプシン活性が減少した後に一旦停滞したが,その後,幽門垂の肥大化に伴うプロテアーゼ活性の増加により生餌給餌と同程度に回復した。EPは生餌に比べて難消化であるため胃での滞留時間が長く,消化関連因子(<i>cck</i>, <i>pyy</i>)は生餌より遅れて発現した。成長関連因子(<i>ghrelin</i>)は餌の消化管内での移動に伴って発現が変動し,EP飼料では有意に増加する事が明らかとなった。</p>
著者
島村 知歩 太田 暁子 喜多野 宣子 志垣 瞳 冨岡 典子 三浦 さつき
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

【目的】近年、伝統的な行事食が親から子へ伝承されない傾向にあるといわれる中、奈良県における年中行事の認知と経験、それに関連する行事食の状況について、学生世代、親世代、祖父母世代の三世代間で比較を行い、世代間での伝承状況についての現状を把握することを目的とした。 <br>【方法】平成21~23年度日本調理科学会特別研究で実施した「調理文化の地域性と調理科学:行事食と儀礼食」の全国統一様式の調査票により、大学生およびその家族にアンケート調査を実施した。そのうち、奈良県内で10年以上居住経験のある子世代(10・20歳代)150名と親世代(40・50歳代)114名、祖父母世代(60歳以上)32名について、調査項目17行事の年中行事の認知度、経験、行事食の経験、調理状況について検討を行った。<br> 【結果】17行事中、11行事はいずれの世代も認知度85%以上と高かったが、春分・秋分の日、春・秋祭り、重陽の節句の認知度は低く、世代間で違いがあった。80%以上が経験している行事は、祖父母10行事、親9行事、子は正月、クリスマス、大晦日、節分、上巳の5行事と少なかった。祖父母と親の行事の経験率は似ているが、重陽の節句と春祭りの経験は祖父母(21.9%・37.5%)親(9.6%・14.9%)子(5.3%・15.3%)と親は子に近かった。行事食では3世代共に90%以上が経験している料理は正月の雑煮・黒豆・かまぼこ、クリスマスケーキと年越しそばであった。行事食も祖父母と親の喫食経験は似ているが節分の炒り豆、月見だんご、冬至の南瓜は世代間に差がみられた。春祭り・秋祭りの行事食は祖父母でも約30%と経験は低く、親・子は約10%とさらに低かった。
著者
岡棟 亮二 宮下 浩二 谷 祐輔 太田 憲一郎 小山 太郎 松下 廉
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0502, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】臨床において胸郭へのアプローチが肩関節機能の改善に奏功することは多い。実際,胸郭は肩複合体の構成要素であり,肩挙上に伴い胸郭の前後径,横径拡大が生じることが報告されている(花村ら1977)。しかし,その胸郭拡大が制限された際の肩関節運動の分析は十分になされていない。本研究の目的は,胸郭拡大制限が肩前方挙上運動に与える影響を三次元動作分析で明らかにすることである。【方法】対象は肩関節に疼痛のない男子大学生19名(20.0±1.3歳)とした。体表のランドマーク上に反射マーカを貼付した。その後,胸郭拡大制限の有無の2条件で立位両肩前方挙上運動を動画撮影した。胸郭拡大制限は,最大呼気状態の胸郭の肩甲骨下角直下と第12胸椎レベルに非伸縮性コットンテープを全周性に貼付するという方法で行った。撮影動画から動画解析ソフトにより各反射マーカの三次元座標値を得た後,宮下らの方法(2004)に準じて角度算出を行った。算出角度は肩屈曲角度(肩最大前方挙上時の体幹に対する上腕のなす角度),肩甲骨後傾角度,肩甲上腕関節(GH)屈曲角度とした。胸郭拡大制限の有無の2条件における各角度を,対応のあるt検定を用いて比較した。また,対象ごとに胸郭拡大制限の有無による肩甲骨後傾角度およびGH屈曲角度の増減を検討した。【結果】肩屈曲角度は制限なし148.9±16.3°,制限あり141.0±15.5°で有意差を認めた(p<0.01)。肩甲骨後傾角度は制限なし56.1±11.4°,制限あり53.3±11.6°で有意差を認めた(p<0.01)。GH屈曲角度は制限なし91.2±15.1°,制限あり89.7±14.5°で有意差はなかった(p=0.44)。対象ごとに胸郭拡大制限の有無による肩甲骨後傾角度およびGH屈曲角度の増減を検討すると,制限なしに比べ制限ありで(a)肩甲骨後傾角度が減少し,GH屈曲角度が増加(7例),(b)肩甲骨後傾角度が増加し,GH屈曲角度が減少(4例),(c)肩甲骨後傾角度,GH屈曲角度ともに減少(8例)の3パターンに分類された。【結論】肩甲骨の運動は胸郭の形状に影響を受けるといわれる。肩挙上時,胸郭には拡大運動が生じるため,胸郭の形状も変化すると考えられる。本研究においては,胸郭拡大制限により肩前方挙上に伴う胸郭の形状変化が妨げられたと推察される。その結果,肩甲骨運動が制限され,肩屈曲角度の減少につながったと考えた。しかし,肩甲骨,GHの動態を対象ごとに分析すると,胸郭拡大制限によりいずれかの動きを増加させ代償を行うパターン(a,b)と,いずれの動きも制限されるパターン(c)が存在し,その動態は対象により様々であった。肩関節障害発生の面から考えると,パターンaのような代償方法はGHへの負担を増加させるためリスクが高いことが推察される。不良姿勢,胸郭周囲筋群の作用,加齢による肋軟骨の骨化などにより胸郭拡大は制限されるが,その際の対象ごとの肩甲骨,GHの動態の違いが肩関節障害の発生リスクと関連する可能性がある。
著者
太田 伸広 Ohta Nobuhiro
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
no.27, pp.59-95, 2010

鬼には角や牙、爪があったりするが、 Teufel にはない。馬の足が Teufel の印である。鬼の色は赤が基本で、青、黒、白だが、 Teufel は黒色しかいない。鬼は女の鬼がいるが、 Teufel に女はいない。鬼は大きく力強い大人(鬼女は年寄りも)であるが、 Teufel は大男はおらず、年寄りで小人のイメージが強い。鬼は腕力が強く、頭が弱いが、 Teufel には超人的な知識を持つものも数々いる。鬼は打出の小槌や万里車、飛び蓑、隠れ蓑、生き鞭、死に鞭、宝物など夢ある物を持ち、それらが人間の手に渡り、人々に幸福をもたらすが、 Teufel の持ち物はお金しかない。鬼は人間の生活圏に現れることが多いが、 Teufel が人家に現れることはない。鬼の住処は山、鬼が島、鬼の家、穴、天井、地獄などであるが、 Teufel はほぼすべて地獄に住む。 Teufel は金をちらつかせ、貧しい者に接近し、契約を結び、魂を奪おうとする。こんな鬼は一匹もいない。 Teufel は悪人の魂を奪い、地獄に落とすことで、善人を救い、悪人を罰す神の役割をも果たしている。こんな鬼もいない。鬼は女を浚い、妻にし、子をもうけたりするが、そんな Teufel はいない。鬼は人を食うし、食う場面もあるが、 Teufel は人を食うと想像させるものが一匹いるだけで、原則人を食わない。 Teufel は神の対概念で、神に反対し神と闘うが、鬼が神や仏の対概念であることはない。総じて、鬼は人間的で地上的で非宗教的であるが、 Teufel は超人間的、地下的、来世的、キリスト教的な存在である。
著者
太田 秀也 矢田 尚子
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.13-23, 2016 (Released:2017-08-10)

本研究は,新たな賃貸住宅データベースを構築するとともに,そのデータベース等により,賃貸住宅の供給形態差異にも着目しつつ,賃貸住宅の供給実態について分析するものである。その結果,既存調査・研究では把握されていない,市町村区域単位や駅圏単位の,築年・駅距離別の賃貸住宅の供給実態を把握することが可能となった。また,賃貸住宅の供給形態の差異による違いに関しては,サブリース業者の企画による賃貸住宅は,駅から遠い地域での供給割合が高く,主要デベロッパーによる賃貸住宅は,駅から近い地域での供給割合が高い点等が確認できた。
著者
室屋 大地 正岡 由香 河合 正 小久保 吉裕 太田 勲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.524, pp.13-18, 2002-12-13
参考文献数
14

本論文は,電力合成と発振周波数の安定化を同時に果たすことを目的として,電力合成運転系を構成する発振器のうち1個の発振器のみを注入同期するシステムを取り上げ,2個の発振器系について理論的,実験的検討を加えている.電力合成率の注入信号周波数と被同期発振器周波数差に対する依存性や同期範囲の結合位相依存性などを明らかにした.特に,発振器の整合周波数が注入信号のそれに等しいとき,広い結合位相範囲に亘って完全電力合成が可能であることを示した.なお,本発振器系は従来の電力合成運転系全体を注入同期するシステムに比べて,小電力の注入信号で安定化が可能であるという特長を有している.
著者
有川 秀之 太田 涼 野間 薫 宮崎 拓巳
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13477420)
巻号頁・発行日
no.7, pp.243-251, 2008

これまで、大学には学問の探求である「研究」と人材の育成である「教育j が求められ、さらに近年、社会に聞かれた大学を目指し、「社会(地域)貢献」も推進されている。そのため、産業界、大学、国や地方自治体、いわゆる産学官の連携・協力に積極的な取り組みが生まれている。埼玉大学においても、平成18年4月に制定された産学官連携ポリシーにより、大学に蓄積された知的財産を産学官交流・地域社会との連携を通じて社会に還元することに努めるとしている。また、平成18年10月より「埼玉大学地域貢献室」が設置され、より積極的かつ迅速に地方自治体や地域住民の要望・依頼・相談に応えていくための体制を整備している。本研究は、埼玉大学、さいたま市、大塚製薬(株)の連携による、さいたま市の各スポーツ団体所属の指導者を対象に、平成19年11月3日(土・祝)に行われた「スポーツリーダーズ・クリニック-正しい走り方の指導法について-」事業について報告するものである。
著者
太田 暁子
出版者
東京音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は17世紀後半から現在に至るまで語り継がれ、「音曲の司」と称されてきた浄瑠璃の一派「義太夫節」の実態を、三味線譜の解釈を主たる手段として具現化し、音楽面における歴史的変遷を明らかにすることを目的とした。三味線音楽の中でも特に語りの要素の強い義太夫節の旋律の実態を知るには、浄瑠璃譜に三味線譜が併記されていることが大きな助けとなる。本研究では義太夫三味線の旋律が歴史的にどのように変遷したのかを辿り、現在演奏されている義太夫節の旋律と比較しながら音楽の変遷を辿ることを試みた。復元した旋律は五線譜化し、義太夫三味線古譜の解釈を広く公表するとともに五線譜での現行旋律との比較も行った。