著者
秋元 芳明 小野 眞紀子 松本 裕子 藤井 彰 山本 浩嗣 平山 晃康
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成16年〜平成18年12月の期間中の歯性感染症611症例を対象として、膿・滲出液を採取し、細菌培養を行った。22症例からブドウ球菌(staphylococci)を分離した。同定の結果は、黄色ブドウ球菌(Staphulococcus aureu: S. auresu)16株、白色ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis: S.epidermidis)6株であった。S. aureus16株中、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は1株、S.epidermidis6株中、メチシリン耐性白色ブドウ球菌(MRCoNS)は2株検出された。MRSA分離頻度は、MRSA/全歯性感染症:0.002、MRSA/S. aureus:0.063であった。MRCoNS分離頻度は、MRCoNS/全歯性感染症:0.003、MRCoNS/S. epidermidis:0.333であり、MRCoNSの分離頻度が高かった。MRSA, MRCoNSが感受性を示した抗菌薬は、アルベカシン、バンコマイシン、リファンピシンであった。beta-lactamese産性は認めなっかた。全症例で皮下膿瘍形成を認めた。1症例は基礎疾患として糖尿病があったが、コントロールされていた。画像所見では、根尖病巣を認めた。処置法は、切開排膿・ドレナージを行い、膿瘍部を洗浄し治癒を得た。結果を誌上および学会発表した。なお、シンポジストととして5thInternational Symposium on Antimicrobial Agents and Resistance, Seoul, Korea, 4/28,2005にてMethicillin-resistant staphylococcal infections in odontogenicinfectionsを発表した。
著者
岩本 正和 黒田 泰重 尾中 篤 小松 隆之 犬丸 啓 引地 史郎 岡本 昌樹 山本 孝 石谷 暖郎 板谷 篤司 田中 敏弘
出版者
東京工業大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2005

本研究では「ナノ空間でのみ発現する新機能の開拓」を目標に研究を実施した。研究期間中に、規則性ナノ空間物質を触媒とすると、ニッケル担持体上でエチレンやエタノールが選択的にプロピレンに転換できること、銅イオン交換体あるいはチタンイオン交換体上で固体特有の不斉合成反応を実現できること等を明らかにした。また、細孔内へのアゾベンゼンの担持により細孔径を可変化できること等も究明し、未知の機能の発見や新機能の創成を達成した。
著者
大垣 真一郎 松尾 友矩 味埜 俊 山本 和夫 花木 啓祐 滝沢 智 古米 弘明 大垣 眞一郎
出版者
東京大学
雑誌
COE形成基礎研究費
巻号頁・発行日
1996

本研究は6つのサブテーマを設けて進めている。1.各研究課題の成果(1)生物学的栄養塩除去プロセス:有機物として酢酸またはプロピオン酸のみを基質として嫌気好気式活性汚泥プロセスを運転し、微生物相の変化をPCR-DGGE法で追跡した。リン除去の良好な運転期間におけるバンドのうちいくつかはRhodocyclus属のものとして同定された。また、脱窒性脱リン細菌を積極的に用いた水処理プロセスを開発し、脱窒性脱リンの活性を60%程度にまで高めることができた。(2)地球温暖化ガス排出の抑制:実下水を用いた循環プロセスにおいて、前年度観察された脱窒時の突発的な亜酸化窒素の多量発生について、更に検討した。連続的な亜酸化窒素と酸化還元電位の測定結果から、このような発生は、例外なく酸化還元電位が300mV以上の水準にまで高くなっている場合に生じることが明らかになった。これらのことから、酸化還元電位が多量な亜酸化窒素の生成を警告する指標になることがわかった。ただし、酸化還元電位が高い場合に常に亜酸化窒素が生成するわけではなかった。多量の下水を意図的に希釈して流入させる実験を行ったところ比較的多量の亜酸化窒素発生が見られたことから、合流式下水道において降雨時に希薄な下水が流入することが亜酸化窒素の大量発生に繋がる恐れがあることが示唆された。(3)資源回収型水処理プロセスの開発:余剰汚泥を用いたPHA生産では、実下水を用いたパイロットプラントを運転し、プロセスの運転条件やPHA生産の反応条件が活性汚泥によるPHA生産に与える影響について検討した。特に生産反応におけるpHと有機酸の濃度が大きな影響を及ぼすこと、影響の程度は水中の非解離の酢酸の濃度に依存するらしいことがわかった。(4)余剰汚泥排出抑制型水処理システム:活性汚泥法で生じる余剰汚泥を可溶化して曝気槽に戻すことにより、発生汚泥量を削減するシステムの実現可能性について検討した。可溶化法として、熱処理・酸またはアルカリ処理・中温消化を検討し、消化汚泥循環率制御により最大85%の発生汚泥量削減に成功した。また汚泥発生のないプロセスができる可能性も確認できた。メンブレンバイオリアクターでは、SRTを長くすれば余剰汚泥をゼロにできるが、高負荷運転時における膜ファウリングの問題を微生物生態系を利用して制御する方法を実験的に検討し、微小後生動物を安定して維持する運転条件を明らかにした。膜面に棲息する貧毛類は、膜面付着汚泥量を顕著に減少させ、膜ファウリングの進行を抑制することを定量的に明らかにした。(5)新しい浄水技術の評価および健康関連微生物の挙動解明:陰電荷膜を用いたウイルス濃縮法を開発し、海水から高い回収率でウイルスを回収することができた。夏の海水浴場からエンテロウイルス、冬の東京湾からノーウォークウイルスを検出した。紫外線照射によって、藻類の増殖抑制の効果が残存していることを明らかにした。その主要因子として、紫外線強度、有機物、金属イオンの影響を調べた。玉川パイロットプラントにおいて、生物濾過を導入することによって膜の閉塞が抑制できることを実験的に検証した。また、二酸化チタン光触媒を用いた高度酸化処理において、光強度、触媒面積、撹拌強度、pHなどによる反応速度への影響を定量的に解明した。(6)複合微生物系解析技術の開発:複合微生物系解析の基礎技術の開発:活性汚泥中微生物群集のもつ亜硝酸還元酵素をコードするnirSおよびnirKの多様性を解析するために、PCR-DGGE法の適用を試みた。混合プライマーの使用をさけることにより、PCR-DGGE法を機能遺伝子の解析に適用することができることが示された。フローサイトメトリーを用いて貧栄養の付着性微生物を測定する手法を開発した。染色剤の選定、超音波による前処理方法の確立、およびフローサイトにおける蛍光波長のみを計測の対象とした。ウイルスの精製法として、ゲル濾過法を適用し、塩素消費物質を除去してウイルスを80%以上回収する方法を開発した。また、ウイルスを限外濾過膜によって効率的に脱塩する手法を開発した。2.研究拠点の形成本年度は、内外の研究者との学術的交流を深め本研究の成果を発表するために、国際シンポジウム(招聘外国講師5名、招聘国内講師14名、参加者計266名)を行った。
著者
俣野 博 舟木 直久 山本 昌宏 ヴァイス ゲオグ 栄 伸一郎 谷口 雅治
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

俣野は,ベキ型および指数関数型の非線形性をもつ非線形熱方程式の解の爆発後の振る舞いを調べ,爆発の際に生じた特異点が一瞬にして消滅し,解が滑らかになることを証明した(文献1).また,ベキ型の場合の解の爆発のオーダーを調べ,これまで未解明であった中間的な超臨界指数の範囲では,球対称解の爆発のオーダーが必ずタイプ1になることを示した(文献2).山本は,2次元の楕円型方程式における2つの未知の移流項を決定する逆問題を考え,広義解析関数の理論などを用いて,Dirichlet-Neumann写像から2つの移流項の係数が決定できることを示した(文献3).ヴァイスは,二相障害物問題及び燃焼理論に応用が可能な放物型方程式の特異極限問題を研究し,単調性公式と平均振動数の性質を用いることにより,自由境界のハウスドルフ次元の評価の導出に成功した(文献4).栄は,帯状領域上の反応拡散方程式系の解でパルス状プロファイルを持つものの挙動を解析し,速度の十分遅い進行パルス状局在解が存在するとき,それらの相互作用を記述する方程式を導出した.その結果,進行パルス解が互いに反発しあうことを理論的に証明した(文献5).谷口は,反応拡散系における特異摂動問題の定常解の安定性を調べるのに有効な手法である「特異極限固有値問題法」(SLEP法)を,非有界領域上の問題にも適用できるように拡張し,その成果を双安定型反応拡散系の平面状進行波の安定性解析に応用した(文献6).
著者
池田 剛 井上 豊 山本 潔 幸島 明男 山下 倫央 車谷浩一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.18, pp.187-193, 2008-02-27

環境内に設置されたセンサーノードを用いて人や環境の物理的状態を見守るシステムにおいて,無線センサーネットワークの構成手法,すなわち通信方法・通信プロトコルの設計,ハードウェアとソフトウェアの役割分担,省エネルギー設計などは重要な問題である.しかしながら,多くの既存ノードデバイスは汎用的機能を重視しているために,必ずしも実環境に適応した設計がなされていないこともある.そこで本研究では,ComPassと呼ばれる無線センサーネットワークシステムを提案する.ComPassノードデバイスはシンプルな構成の微弱無線通信モジュールであり,たとえば屋内空間での位置推定などのアプリケーションを想定し,実環境において実用に供することを目標に設計されている.すなわち,乾電池駆動も可能な低消費電力であり,かつ,シンプルな構成によって低コスト化も図っている.一般に低コストのハードウェアでは信号ビットレートの自動認識やデータ補正などは困難であるが,ComPassノードではこれらの処理の一部をソフトウェアにて実装することによりハードウェアの単純化とコストの削減を実現した.本稿ではまず無線センサーネットワークと関連研究について述べた後,ComPassノードのハードウェア概要について述べる.そして,次にComPassノード間の通信プロトコル,プロトコルスタック,無線送受信処理などの組み込みソフトウェアのアーキテクチャーを示す.最後にComPass無線センサーネットワークシステムを適用した,スマートフォン上での屋内自律型測位システムについて述べる.In development of the system that watches over humans and physical statuses using numerous wireless sensors, it is important how to design the sensor nodes and how to construct networks of the nodes. Although many studies of wireless sensor networks have been proposed before, most of the studies focus on designs of general-purpose sensor networks. Thus, facilities of the nodes are redundant and not always suitable for an environment where it requires low cost and low power consumption networks. Rethinking practical use of the sensor networks, we propose an extremely low power wireless sensor network system called ComPass. It is designed for practical application services in everyday environments, such as indoor position estimating services. A ComPass node device realizes automatic bit rate detection and data complementation by software so as to achieve simplification and cost reduction of the device. In this paper, first, we describe overview of the wireless sensor network and related works. Second, we descr be ComPass, hardware of the node and software architecture: communication protocol, protocol stack and wireless transmission processing. Last, we describe a practical indoor position estimating system as an application of the ComPass system.
著者
新井 健司 石井 久夫 伊藤 孝 内田 克 遠藤輝 岡部孝次 熊井 久雄 小菅 範昭 近藤 洋一 郷原 保真 酒井 潤一 斎藤 義則 塩野 敏昭 島田 安太郎 下野 正博 隅田 耕治 角谷 邦明 関口 尚志 田中 俊廣 趙 哲済 中西 一裕 中島 豊志 中村 由克 林田 守生 松本 俊幸 三谷 豊 柳沢 文孝 山本 裕之 吉野 博厚
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.14, pp.93-102, 1977-02-21
被引用文献数
11

A wide-spread lake assumed to be larger than the recent Matsumoto Basin had existed in Early Pleistocene, and the Enrei Formation and its equivalent formations had been deposited in the lake. An extensively even erosion surface formed on the sediments in the latest Early Pleistocene is called the Ohmine geomorphologic surface. After the formation of the Ohmine surface, the recent mountainous areas such as the Northern Japan Alps, Mt. Hachibuse, Mt. Utsukushigahara and so on had been upheaved, while the Matsumoto Basin area had been depressed and the Nashinoki Gravel Formation, the upper Middle Pleistocene, had been deposited. The base of the Enrei Formation is 1,800 m above sea level in Mt. Hachibuse, while 700 m above sea level in the southern part of the Basin. The amount of upheaval of the mountainous areas can be estimated to be more than 1,000 m. The Matsumoto Basin area had been depressed again in the middle part of the Upper Pleistocene (about 40,000 years B. P.) and the Hata Gravel Formation had been deposited. The amount of depression may be estimated to be about 150 m in the eastern periphery of the middle part of the Basin.
著者
近藤 勲 木原 俊行 長畑 秀和 山本 秀樹
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本研究は、平成6、7、8年度の3カ年にわたり、情報教育普及をめざし現職教員向け研修プログラムの開発を目的に実施された。開発理念としては、"情報教育=コンピュータ教育または情報処理教育"という図式から脱却して、情報教育を教員の基礎教養と見なした。つまり、市販のコンピュータソフトの利用技術の習得だけでなく、情報の概念・性質などの他、情報教育の必要性が理解できるよう意図した内容と構成とした。以下に3カ年の研究の経過並びに成果を整理する。1)中学校技術・家庭科の「情報基礎」の学習内容をFCAIにより自作CAI教材化し、中学生に試行させ学習効果を見た。つまり、中学2年生と3年生を対象に、自作CAI教材の学習効果を測定し、プリ・ポストテストの得点をもとに学習効果を測定したところ、顕著な学習効果が見られた。この結果をもとに、あわせて教師による自作教材の必要性の可否を検討し、操作技術・制作技術・企画構成技術は、調和を持って習得することが不可欠であるとの結論を得た。2)中学校教員及び中学生を対象にインターネットを含むコンピュータへの関心の程度及び現状の意識を質問紙法によってアンケート調査した。この調査結果を分析した結果から、教師及び生徒のパーソナルコンピュータへの期待や意識の実情を把握し、研修用プログラムパッケージ作成に反映させた3)自作CAIソフト作成のため、市販ソフト、例えば、「ハイパーカード」、「ディレクター」による学習ソフトの自作に必要な解説書とビデオソフトを制作した。4)自作した解説書並びにビデオソフトを学生並びに現職教員を含む大学院生に試用させ、その有用性・改良点について、口頭または記述によって回答を求めた。
著者
山本 博文 佐藤 孝之 宮崎 勝美 松方 冬子 松澤 克行 横山 伊徳 鶴田 啓 保谷 徹 鶴田 啓 保谷 徹 横山 伊徳 小宮 木代良 杉本 史子 杉森 玲子 箱石 大 松井 洋子 松本 良太 山口 和夫 荒木 裕行 及川 亘 岡 美穂子 小野 将 木村 直樹 松澤 裕作
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、江戸時代および明治時代に編纂された史料集を網羅的に蒐集し、その記事をデータベースとして一般公開すること、蒐集した史料の伝存過程および作成された背景について分析・考察すること、を目的としている。本研究は、従来、交流する機会のなかった異なる分野の研究者が、1つの史実を通じて活発な議論を戦わせる土壌を作り、近世史研究の進展に大きく寄与することになった。
著者
中島 路可 柴田 彩 水谷 義 上田 那須雄 山本 二郎
出版者
鳥取大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

沈香の生成に微生物が関与していることに着目し、沈香生成菌と考えられているカビ及びバクテリヤ51種類を選び、デヒドロアビエチン酸、ファルネソ-ル、ネロリド-ル、テトラリン、ヌ-トカトン、カウレンなどを基質として微生物変換を行った。デヒドロアビエチン酸では2ー位、7ー位、16ー位の水酸化がそれぞれ高収率で起こることを見出した。ファルネソ-ルではIFO7706(Fusarium oxysporumf)により3,7,11ートリメチルー2,6,10ードデカトリエン酸が、IFO3521(Pseudomonas aureofaciens)により3,7,11ートリメチル2,10ードデカトリエン1,7ージオ-ルが高い選択性で得られ、合成法としても利用できることを示した。ネロリド-ル、テトラリン、カウレンについては良い結果は得られなかった。テトラリン、カウレンについては基質が水に溶けないことに問題があり、水酸化、リン酸エステル化によって水溶性として変換を行いたいと考えている。ヌ-トカトンについては現在生成物を分離、構造決定を行っている。またデヒドロアビエチン酸の液晶としての利用の可能性を見るためにデヒドロアビエチン酸の化学変換を行い、デヒドロアビエチン酸の13ー位のアミノ基への変換及び各種置換フェノ-ル類とデヒドロアビエチン酸のエステルを合成し、液晶性を検討している。また、資源開発の目的で松柏類の樹脂成分の検索をコウヤマキ、白松について行い、とくにコウヤマキについては日本列島の日本構造線と成分の相関について調査を行っている。
著者
山本 晴康 川谷 義行 尾形 直則
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

褥瘡の発生のメカニズムを検討するため、圧力センサーと血流センサーは重ねて貼付し、踵部の圧と血流の同時測定を行った。健常人での測定では安静仰臥位では踵骨部後面に約350mmHgの圧がかかっておりほとんど阻血状態であった。その後下肢を徐々に挙上していくと120mmHgあたりで血流は再開し始め、10-20mmHgでほぼ正常の半分の血流が得られることが判明した。30mmHgでは無荷重時の74%、10mmHgでは100%の血流が得られた。健常者の除圧時の踵部の血行は27.45±2.64ml/min/100g(n=5)であり、圧力が0になってから血行がmaximumに回復する時間は3秒前後であった。これと比較し、除圧時の踵部の血行は重度の糖尿病をもつ患者では一様に悪く、平均が18.25±6.04ml/min/100g(n=4)であり、健常人の半分以下である患者もいた。50mmHgの圧力でも糖尿病患者では10%以下に血流が低下してしまった。圧力が0になってから血行がmaximumに回復する時間は平均7.14秒であった。一方、片麻痺患者では健常人と比べ、患側でも除圧時の踵部の血行は26.25±12.2ml/min/100g(n=8)と比較的保たれていた。50mmHgの圧力では血流はmaximumの10%に落ち、圧力が0になってから血行がmaximumに回復する時間は平均6.15秒でやはり健常人と比較すると明らかに遅延していた。大腿骨頚部骨折に対して手術を行った患者5例では、踵部の最大血流量の平均は健側30.6ml/min/100g、患側30.2ml/min/100gで、健常者に比較し、低下は見られなかった。しかし、手術した側(患側)はしていない側(健側)に比べ、明らかに少ない圧力での血行障害が生じていた。また、踵部が完全に除圧されてから血流が最大に回復されるまでの時間を調べた結果、健側は平均3.01±134(n=5)秒であるのに対して、患側は平均20秒近くかかっていた(19.44±2.35秒、n=5)。また、5例全ての症例で、患側肢では50mmHgの圧力で、血行がほとんど途絶えてしまっていた。術後安静を余儀なくされている症例では、圧迫により容易に血流障害を生じ、また、圧迫を除去されてからの血流の可塑性も低下していた。
著者
桜井 武 山本 三幸
出版者
金沢大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

3種の新規神経ペプチドについて、扁桃体機能と情動の制御におけるそれぞれの役割を解明すべく研究を遂行した。ニューロペプチドBおよびWに関してはそれらの受容体NPBWR1の欠損マウスとヒトにおける多型の解析から、社会行動やストレス応答に関与していることが明らかになり、オレキシンは情動にともなう自律神経系の応答に強く関わっていることが明らかになった。QRFPに関しては、遺伝子欠損マウスを作成した。
著者
山本 興太朗 綿引 雅昭 田中 歩
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

植物の茎の伸長や屈曲を引き起こすオーキシンの分子機構をシロイヌナズナで研究した。その結果、オーキシンによって発現するMSG2 遺伝子が、伸長や屈曲が起こりすぎないように抑制的に働くことを明らかにした。一方、屈曲に働く新規遺伝子LAZY1を単離した。屈曲では屈曲に特異的に働くオーキシン輸送体が存在することが知られているが、LAZY1 はそれらとは別経路で屈曲を調節していることを明らかにした。
著者
山本 弘
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

特殊法人及び金融機関の経営破綻における倒産処理法上の諸問題につき研究を行い、次のような知見を得た。1 デリバティブ取引は、現行破産法61条により当然清算され、その一括清算条項は、破産法上の相殺権の趣旨に照らし有効であること、会社更生等の再建型倒産処理手続においてもデリバティブ取引は当然清算されるべきこと、したがって、金融機関を当事者とするデリバティブ取引につき、「金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律」のような特別の立法措置は本来不要であること。2 民事再生法が一般先取特権者を拘束しない手続であり、一般先取特権付の債券発行を行う特殊法人の再建手続として不適格であること、したがって、民事再生法の施行は、その根拠法令に破産能力を認める規定が存在しない限り、特殊法人を清算するかその事業をどのような形で存続させるかは立法者の裁量に委ねられてているとの結論に影響しないこと。3 改正会社更生法が導入した代理委員強制の制度と、金融機関の更生特例法が定める預金保険機構、投資家保護基金および契約者保護機構の預金者、投資家、契約者の代理権限とはその趣旨が異なること。
著者
大羽 和子 山本 淳子 舟橋 由美 小原 明子 石井 現相 梅村 芳樹
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.102-108, 1999-05-20
被引用文献数
3

1)キタアカリ(VC高含有品種)および男爵薯の生育に伴って,塊茎の重量,デンプン価,ビタミンC(VC)量が増大し,7月下旬に最大になり以後減少した。2)ジャガイモ(7品種)塊茎を冷却(4℃)貯蔵するとVC量も(GLDHase活性も1ヶ月後に顕著に減少し,1〜2ヶ月の間は変が少なく,2〜3ヶ月後に再び減少した。3ヶ月後のVC量が著しく減少する時期および貯蔵2ヶ月以降のVC含量の低い時期に高くなった。3)収穫直後に塊茎を4℃に移すとその2〜3日後にVC量およびGLDHase活性が増大し,以後減少した。4)ジャガイモ塊茎を15℃に貯蔵した方が,4℃に貯蔵した場合よりもVC量の減少が小さく,GLDHase活性は低く保たれた。
著者
石井 淳蔵 嶋口 充輝 栗木 契 西川 英彦 松井 剛 村下 訓 水越 康介 岸谷 和広 清水 信年 宮内 美穂 金 雲鎬 棚橋 豪 小田部 正明 山本 奈央 吉田 満梨
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、マーケティング競争下におけるデザイン戦略の重要性について、近年注目されつつある「ロバストデザイン」を核概念として、理論的・歴史的・実証的な研究が実施された。その主要な研究成果として、デザイン概念についての再構築が行われるとともに、競争優位性をもつデザイン戦略の現実と意義、そしてその背景としてのマーケティング競争のメカニズムが明らかにされた。
著者
國本 景亀 山本 信也
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年度から平成17年度までの3年間の研究の総括は次のとおりである。(1)全体論的数学教育の数学観、子ども観、学習観、教授観などを明らかにしいくつかの教授原理を解明した。「全体性の原理」、「内容や関係豊かな学習の原理」、「活動的・社会的学習の原理」、「漸進的数学化の原理」、「科学論的見方の原理」、「歴史性(数学史)の原理」などである。これからの数学教育はオープンな精神で行われるべきである。特に、子ども達に本質的な数学的現象に出合わせるべきである。(國本)(2)ワークショップを2回行う。熊本大学教育学部において、2回のワークショップを行った。参加者は2004年は58名で、2005年は43名であった。(山本)(3)ビットマン氏らの著書『算数・数学 授業改善から教育改革へ("Jenseits von PISA : Bildungsreform als Unterrichtsreform")』を翻訳した。(國本、山本)(4)現場との連携(小学校での授業を3年間で約20回行った)高知県南国市の2つの小学校と連携し、学生の教師養成と現場教師の再教育に携わった。連携した学校の1つが高知県の学校表彰(算数科)を受けた(平成17年度)。(國本)(6)『数の本』(1〜4学年)を翻訳し、各都道府県の教育長へ謹呈した。そのため平成17年度の予算の内インク代にかなりの経費がかかった。(國本)(7)イギリスの数学教育雑誌"Mathematics Teaching"に「数の石垣」の実践報告が掲載された。(藤田)