著者
大塚 雄一郎 茶薗 英明 鈴木 誉 大熊 雄介 櫻井 利興 花澤 豊行 岡本 美孝
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.11, pp.1200-1207, 2013-11-20 (Released:2014-01-16)
参考文献数
14
被引用文献数
1 5

石灰沈着性頸長筋腱炎の8例を経験した. いずれも頸部痛, 頸部可動制限, 嚥下痛を主訴に来院した. 診断と鑑別にはCT, MRIが有用であり, CTで頸長筋腱の石灰沈着を認めた. また造影CTでは咽後膿瘍においてみられる造影効果 (ring enhance) を認めなかった. MRIでは頸長筋が腫大しT2強調画像で高信号を呈した. これらの画像検査で咽後膿瘍, 化膿性脊椎炎を否定した上で7例を入院加療, 1例を外来加療とした.本疾患は特別な治療は不要とされるが, 症状が強いため咽後膿瘍, 化膿性脊椎炎が否定しきれず抗生剤を投与することが多い. 今回の8例でも全例で抗生剤が投与されていた. 本疾患は周知されておらず, 加療中に本疾患と診断された症例は4例だけであり, 残りの4例は咽頭後間隙炎, 咽後膿瘍の疑いの診断で加療されていた.
著者
岡本 昌子
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.359-372, 2008-04-10 (Released:2020-11-05)
著者
岡本 泰典 福田 宏
出版者
漂着物学会
雑誌
漂着物学会誌 (ISSN:13491555)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.21-26, 2015-12-25 (Released:2022-08-30)
参考文献数
19

Empty shells of a tropical cephalopod Nautilus pompilius Linnaeus, 1758 (Nautilida: Nautilidae) are known to be drifted to the coasts of the Japanese Archipelago, but it has been believed that no record was present on the Pacific coasts of the Tohoku District, northern Honshu, where is distant from the Kuroshio and the Tsushima Current. However, a drifted shell of the species has been handed down since 1812 (Bunka 9 in the Edo Period) in the Suzuki Family, Shichigahama-machi, Miyagi-gun, Miyagi Prefecture. According to a tradition in the Suzukis, the shell appeared as attached to a sea turtle from off Shichigahama, and the history of the drift and preservation was recorded in old literature. Sincethen, the Suzukis have called the shell " Fuketsu-no-kai " and carefully preserved it as their heirloom. The name Fuketsu-no-kai is a probable corruption of " Kuketsu-no-kai " that is one of the Japanese synonyms of the species in the Edo Period. In Niigata Prefecture, the drifted shells of the present species are called Kuketsu-nokai and revered. Therefore, this folklore is assumed to have been introduced into the Pacifi ccoast of Miyagi Prefecture by religious people. The present shell is thought to be a highly important specimen in the contexts of natural history, historiography and folkloristics: the present shell is a very rare case of the drift of the species into the Pacific coast of the Tohoku District; the detailed story of the drift can be documented by old literature; the present shell is a good example showing an old Japanese folklore of worship of the species.
著者
岡本 智周
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.144-158, 2003-09-30 (Released:2010-01-29)
参考文献数
35

本稿は, 第2次世界大戦後のアメリカ社会において人種・民族間の階層性が変化し, 国民概念が変動してきたことを, 大戦中の日系人強制収容に関する補償法の変遷を通じて論じる.具体的には, 1948年の日系人退去補償請求法と1988年の市民自由法の相違点に, 国民統合のために掲げられる理念の変化を跡付ける.また補償法その他の法令資料を精査している点で, 本稿は日系人研究に寄与するものである。分析の枠組みとしてはアントニー・スミスの国民論を参照し, それが想定するエスニー間の関係が大戦後のアメリカ社会でどの程度維持されているのかを検討する.1948年法から1988年法への変遷からは, まず1948年法が, エスニー間の相容れなさと周辺的エスニーの劣位という点において, スミスが想定する国民の階層的構成原理を体現していることを把握することができる.しかし1960~70年代の社会変革を経験した後の1988年法では, 周辺的エスニーの記憶や経験を国民全体のそれへと組み入れるための制度が準備され, さらに周辺的エスニーと国民社会の中心との間の階層的関係の解消も試みられている.この変化は国民概念の根拠が普遍性を高めるプロセスであり, さらに1990年代には補償対象がナショナリティの範囲を越えて設定される点に, 概念の変動の副次的効果を指摘できる.アメリカの国民概念が原初主義的傾向を希薄にしていったとするのが, 本稿の結論である.
著者
石盛 真徳 岡本 卓也 加藤 潤三
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.22-29, 2013 (Released:2013-09-03)
参考文献数
27
被引用文献数
1 9

本研究では27項目で構成されるコミュニティ意識尺度の原版の利便性を高めることを目的として短縮版の開発を行なった。その目的を達成するために392名の調査回答者(平均年齢40. 9歳,男性50. 3%・女性49. 7%)のデータを収集した。短縮版12項目は,原版のコミュニティ意識尺度と同じく連帯・積極性,自己決定,愛着,および他者依頼の4つの下位尺度から構成されている。各下位尺度はいずれも3項目から構成されているが,それらの項目については原版を用いた先行研究において一貫して同一の下位尺度に負荷している項目から選定を行なった。短縮版の探索的因子分析を実施した結果,短縮版が原版と同じ4因子構造を保持していることが示された。次に検証的因子分析を実施した結果,短縮版の4因子構造モデルが十分な適合度を持つことが示された。したがって短縮版は原版の半分以下の項目数でコミュニティ意識という構成概念を測定し得ることが示されたといえる。今後は,利便性の向上した短縮版を積極的に活用し,現実のコミュニティにおける課題の解決に向けた実証的研究を進めていくことが必要である。
著者
岡本 健介 山本 まき恵 谷口 敏代
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.49-57, 2018-03-12

本研究は障害者支援施設における不適切なケアの因子構造を明らかにすることを目的とした。中国地方5県の障害者支援施設217 施設を対象とし、生活支援員577名(有効回答率44.3%)を分析対象とした。不適切なケアを「障害者虐待防止法に定義されている障害者虐待とは言えないが、利用者の尊厳やプライバシーを損なう恐れのある職員による言動」と定義し、先行研究を参考に26項目を選定し、探索的因子分析及び検証的因子分析を行った。その結果、障害者支援施設に従事する生活支援員の不適切なケアは、「不当な言葉遣い」、「施設・職員の都合を優先した行為」、「プライバシーに関わる行為」、「職員の怠慢」、「自己決定侵害」の計17項目からなることが見出された。いずれの因子も利用者の尊厳を支える支援が求められている内容で構成され、不適切なケアの延長線上にある虐待防止に役立つと考えられる。This study attempts to determine the factorial structure of inappropriate care in support facilities for the disabled. [Method] The present study examined 577 residential support care workers working in 217 support facilities for the disabled in the five prefectures of the Chugoku Region. The valid response rate was 44.3%. Inappropriate care was defined as "language and behavior by employees that does not rise to the level of cruelty as specified in the Act on the Prevention of Abuse of Persons with Disabilities, but carries the risk of violating the privacy and dignity of facility users." Based on this definition, 26 items were selected using past studies as references and subjected to exploratory and confirmatory factor analyses. This resulted in the generation of 17 items concerning inappropriate care by residential support care workers working in support facilities for the disabled that could be organized into the following five factors: "use of unjustified language;" "conduct that prioritizes the convenience of facility and staff member;" "conduct related to privacy issues;" "negligence of staff member;" and "violations of the right to self-determination." All factors contain elements that suggest the need for supporting the dignity of facility users, and are believed to be useful for preventing acts of cruelty manifested through the extension of inappropriate care.
著者
馬場 駿吉 高坂 知節 稲村 直樹 佐藤 三吉 鈴木 茂 遠藤 里見 石戸谷 雅子 小野寺 亮 山田 公彦 大久 俊和 荒井 英爾 鈴木 雅明 大山 健二 粟田口 敏一 戸川 清 岡本 美孝 松崎 全成 寺田 修久 喜多村 健 石田 孝 馬場 廣太郎 島田 均 森 朗子 池田 聖 金子 敏郎 今野 昭義 山越 隆行 石井 哲夫 窪田 市世 鍋島 みどり 田口 喜一郎 石山 哲也 中野 雄一 中村 英生 五十嵐 文雄 古川 仭 作本 真 山下 公一 久保田 修 宇佐神 篤 伊藤 博隆 鈴木 元彦 間宮 紳一郎 横田 明 加藤 薫 大屋 靖彦 河合 〓 岩田 重信 横山 尚樹 井畑 克朗 瀧本 勲 稲福 繁 坂倉 康夫 鵜飼 幸太郎 雨皿 亮 山田 弘之 坂倉 健二 平田 圭甫 伊藤 由紀子 村上 泰 竹中 洋 山下 敏夫 久保 伸夫 中井 義明 大橋 淑宏 阪本 浩一 村田 清高 平沢 昌子 原田 康夫 森 直樹 白根 誠 多田 渉 小林 優子 竹林 脩文 河野 嘉彦 夜陣 紘治 平田 思 宮脇 修二 津田 哲也 山下 隆司 二階堂 真史 柿 音高 永澤 容 増田 游 後藤 昭一 西岡 慶子 折田 洋造 東川 康彦 武 浩太郎 進 武幹 前山 忠嗣 百田 統洋 堤 昭一郎 茂木 五郎 川内 秀之 松下 太 吉村 弘之 高田 順子 石川 哮 定永 恭明 大山 勝 松崎 勉 坂本 邦彦 廣田 常治 内薗 明裕 鯵坂 孝二 中島 光好
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.389-405, 1995-03-01
被引用文献数
13 16

The efficacy and safety of Kampo preparation Sho-seiryu-to were studied in a joint double-blind trial in comparison with a placebo. The study was carried out on 220 patients with perennial nasal allergy at 61 hospitals. Granules in a dose of 3 g were administered 3 times daily for 2 weeks. Moderate to high improvement was recorded in 44.6% of the treated patients and in 18.1% of those receiving placebo. The difference is significant (p <0.001). Side effects were noted in 6.5% of the treated patients and in 6.4% of the controls (not a significant deference). The side effects were mild and had no influence on the daily life of the patients.
著者
岡本 百合 三宅 典恵 香川 芙美 吉原 正治
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.423-428, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
12

近年, 受診する成人の背景に自閉症スペクトラム障害 (autism spectrum disorder : ASD) をもつ例が多いことがいわれている. 大学の中にも, 自閉症スペクトラム (autism spectrum : AS) 特性を背景として, 併存症や不適応問題を抱えて来談・受診する学生が増加している. 保健管理センターに来談・受診する学生に, 厳密にASD診断がつく者は一定割合はいるものの, 多くはグレイゾーンの学生たちである. 今回は, 広い意味でAS特性をもつ大学生の臨床像について報告した. 障害学生支援については, 2016年 (平成28年) 4月に障害者差別解消法の合理的配慮規定などが施行され, 修学上の支援は充実されつつある. しかしながら, 修学上の問題以外の不適応問題に取り組む必要がある. また, 大学生活への適応だけでなく, 卒業後の方向性もふまえて支援していくことが重要と思われた.
著者
岡本 晃朋
雑誌
2021年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021-09-10

私は趣味で"ソフトシンセサイザー"を用いた作曲を行っている。本研究ではJUCEライブラリを活用し、既存品の操作性や音作りの難点を改善し、独自のソフトシンセサイザーを開発した。
著者
柳澤 清一 岡本 東三 藤田 尚 百原 新 田邊 由美子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

当該研究は、オホーツク文化・擦文文化・トビニタイ文化の終末期をめぐる通説的な編年体系を見直し、それに代わる新編年体系の妥当性について広域的に証明することを目標としている。2010~2013年にかけて、道北と道東をフィールドとして発掘調査と資料調査を計画通りに実施した。その成果をもとに多くの論文を発表し、またそれらを著書としてまとめ、新編年体系の妥当性を明らかにする大きな成果を挙げた。研究の成果は次のとおりである。(1) 学術雑誌論文(2010~2014:19)(2) 著書(1):六一書房、2011、(3) 発掘調査概報(2010~2014:7)。
著者
岡本 勝弘
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.147-153, 2008-06-15 (Released:2016-10-31)
参考文献数
20
被引用文献数
3

石油系液体燃料は,「燃えやすく」,「発熱量が大きい」というその性質により,火災発生のリスクが高く,ひとたび火災が発生すると,燃焼を制御することが困難となり,重大な火災被害を起こしやすい.また,近年では,自動車ガソリンを可燃物として使用する放火事件が頻発しており,社会的な問題となっている.本稿では,石油系液体燃料のおもに散布・漏洩時における火災危険性評価に役立つ情報として,石油系液体燃料の燃料特性・蒸発特性・拡散特性・燃焼特性について調査した過去の研究例を紹介する.
著者
岡本 真希子 Makiko Okamoto
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.1-28, 2021-08-31

植民地初期(1895~1899年)の台湾における行政官と司法官の制服について,可視化のツールとして制服が制定されるまでの政治過程を検討した。第2章では,主に文官服制調査委員会の議論に焦点をあてながら,策定過程における諸案の変化を台湾社会との相関関係とともに検討した。第3章では,法服の策定過程を本国の法服と台湾人法院通訳の不可視化を視野にいれながら検討した。
著者
有賀 修 岡本 直樹 井上 貴由 久保 元 森山 洋憲
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.142-146, 2012-05-20 (Released:2017-12-24)
参考文献数
21
被引用文献数
1

紅藻類が生産する多糖類の中でアガロースとアガロペクチンを主成分とする寒天はゲル化剤などとして食品に利用されるだけでなく,DNAや生体関連物質の分離に使われる分子生物学には欠くことのできない材料である。アガロースはガラクトースとアンヒドロガラクトースがβ-1,4およびα-1,3結合で交互に結合してできる多糖類である。したがって,アガロースを分解できる寒天分解細菌はβ-アガラーゼとα-アガラーゼを生産しアガロースを唯一の炭素源として増殖できるが,その多くは海洋環境から単離されてきた。さらに,寒天分解酵素の精製や遺伝子のクローニングが行われ,遺伝子の解析も進んできた。筆者らは非海洋性の寒天分解菌を単離し,2つのβ-アガラーゼ遺伝子のクローニングに成功し,ネオアガロオリゴ糖の生産が可能となった。菌体破壊液からのα-アガラーゼの精製を行い,諸特性を調べている。寒天オリゴ糖の研究は少ないが,抗酸化作用,ビフィズス菌の増殖促進効果なども報告されてきた。この総説では寒天分解酵素や寒天オリゴ糖の最近の研究の紹介を行う。
著者
鈴木 祐輔 太田 伸男 倉上 和也 古川 孝俊 千田 邦明 八鍬 修一 新川 智佳子 高橋 裕一 岡本 美孝 欠畑 誠治
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
雑誌
耳鼻咽喉科免疫アレルギー (ISSN:09130691)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.193-200, 2015 (Released:2015-09-25)
参考文献数
21

鼻噴霧用ステロイド薬は,鼻アレルギー診療ガイドラインにおいて花粉症治療の中心的な薬剤として推奨されている。しかし初期療法としての鼻噴霧用ステロイド薬と,抗ヒスタミン薬を中心とした併用療法の効果について比較した報告は少ない。今回我々は,スギ花粉症患者20 例を鼻噴霧用ステロイド薬(デキサメタゾンシペシル酸エステル)群(DX-CP 群)6 例と,第二世代抗ヒスタミン薬(オロパタジン塩酸塩)にモンテルカストを追加併用した抗ヒ+抗LT 薬群14 例に分け,治療効果につき検討を行った。検討項目は鼻症状,JRQLQ No.1 によるアンケートおよび鼻腔洗浄液のeosinophil cationic protein (ECP) と血管内皮細胞増殖因子(VEGF) の濃度とした。DX-CP 群では飛散ピーク期と飛散終期の鼻症状スコアの上昇を抑え,鼻閉症状では有意にスコアを減少させた。抗ヒ+抗LT 薬群では飛散ピーク期に症状スコアが上昇したが抗LT 薬を併用した飛散終期にはスコアが低下した。QOL スコアではDX-CP 群の飛散ピーク期において抗ヒ+抗LT 薬群に比べ有意にスコアを抑えた。鼻腔洗浄液中のECP 値, VEGF 値はDX-CP 群ではシーズンを通じて値の上昇を抑えた。よってDX-CP は抗ヒスタミン薬や抗LT 薬と同様に季節性アレルギー性鼻炎に対する初期療法薬として非常に有用であると考えられた。