著者
松浦 正憲 齊藤 菜穂子 中村 純二
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 57 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.PosterP11, 2015 (Released:2018-10-01)

1.背景 幾つかの種類のヤドカリは、神奈川県三浦市や三重県志摩市周辺等の一部の地域で刺身や味噌汁として食されている。不思議なことに、ヤドカリの中でもオニヤドカリ(Aniculus miyakei)摂食後、水を飲むと甘味が誘導される現象が知られている。このように水を甘く感じる作用から、オニヤドカリは「あまがに」とも呼ばれている。この現象を引き起こす甘味誘導物質については、水や有機溶媒に可溶な低分子化合物であることが報告されていたが、詳細は未解明であった1)。そこで、この特異な味覚修飾作用に着目し、甘味誘導成分の解明を目的として研究に着手した2)。2.甘味誘導成分の同定 実験材料として三重県伊勢市にて採取したオニヤドカリを用いた。まず、ヤドカリを身と内臓部分に分けて、水飲用時の甘味誘導を検討したところ、内臓部分(中腸腺)に甘味誘導作用があることが確認できた。摂取直後はほとんど味を感じないが、10秒ほどして徐々に弱い甘味を感じるようになり、水を飲用すると甘味が明確に誘導される。そこで、この水飲用時の甘味誘導作用を指標に、関与成分の探索を行った。凍結乾燥した内臓部分をクロロホルム/メタノールで抽出後、ヘキサンと90%メタノールで分配した。続いて、90%メタノール層をブタノールと水にて再分配し、ブタノール層を得た。得られたブタノール層を、逆相クロマトグラフィーによる精製を繰り返すことで、甘味誘導画分を得た。得られた甘味誘導画分は、クロマトグラム上では複数のピークを示すものの、NMRスペクトル上では、ほぼ単一成分であったため、各種NMRスペクトル解析により、この画分の主成分はオクテニル硫酸エステル(1)であると決定した(Figure 1)。そこで別途合成品を調製し(Scheme 1)、スペクトルを比較したところ、良い一致を示し(Figure 2)、さらに官能評価の結果、甘味誘導画分と同様の水飲用による甘味誘導作用が確認できたことから、オニヤドカリ由来の甘味誘導成分は1であると決定した。なお1は新規化合物であった。 続いて、オニヤドカリ中の1の含有量を調べた。オニヤドカリの内臓部分の抽出液をLC-MS/MS MRMモードにて定量分析したところ、乾燥内臓部分1 gあたり(約1個体分)、50mg以上の1を含有していることがわかった。1はおおよそ数mgの摂取で水飲用時に甘味が誘導されるため、オニヤドカリ中には甘味誘導に十分な1が含まれていることがわかった。また、比較対象として甘味誘導作用を示さない別種のヤドカリ(未同定)についても、その含有量を調べたところ、1が若干量含まれているものの、オニヤドカリと比較してその含有量は1/10程度であった(Figure 3)。この結果から、オニヤドカリ特有の甘味誘導現象は、1の含有量の差が原因であると考えられた。 (View PDFfor the rest of the abstract.)
著者
松浦 茂樹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.73-83, 1991-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
17

利根川と荒川で囲まれている埼玉平野は、近世の江戸幕府にとって重要な生産拠点であった。近世、埼玉平野では開発が進められていくが、ここにはまた、出土品である鉄剣から金象嵌銘文が発見され、近年、古代史に大きなインパクトを与えた埼玉古墳群がある。本稿は、河川との関わりが深い水田開発と舟運整備に焦点をあて、埼玉古墳群を支えた生産基盤を考察するとともに、家康入国時までの開発状況を論じたものである。埼玉平野の安定した開発には大河川利根川・荒川の洪水対策が不可欠であるが、古代の技術では防禦することができず、氾濫を前提として開発が進められ、「不安定の中の安定」という状況になっていた。開発は少しづつ進められていくが、利根川防禦に重要な役割を果たしたのが中条堤と、それに続く右岸堤である。この地域の拠点として忍城が整備されたのが1490年である。また綾瀬川筋から元荒川筋へという荒川付替が、さらに利根川水系の舟運の整備が、後北条家の時代に既に行われていた。家康は、決して未開の地ではなく、かなり整備が行われていた状況で関東に移封されたのである。
著者
橋本 ゆかり 髙井 舞 中村 衣里 松浦 寿喜
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.113-117, 2016 (Released:2016-12-22)
参考文献数
14
被引用文献数
1

In recent years, many medical institutions have begun using water-soluble dietary fiber (WSDF) as a deglutition aid to improve oral medication compliance. WSDF has been reported to adsorb carbohydrates and lipids, and lower blood levels of glucose and lipids. Thus, dietary fiber could potentially adsorb drugs in a similar manner, thereby decreasing the amount of a drug absorbed and attenuating its efficacy. In the present study, we used the ultrafiltration method to assess the drug adsorption of three types of WSDFs with different physicochemical properties. Each WSDF was incubated with the various drugs in a 37ºC thermostatic bath for 10, 30, 60, 120, 240, and 360 minutes and then subjected to ultrafiltration to elute the unadsorbed drug, which was measured by HPLC. Glucomannan showed higher drug adsorption than the other types of WSDF. The adsorption of atorvastatin calcium hydrate to glucomannan and pectin was about 60%, which showed almost no change from 10 to 360 minutes after the start of incubation. On the other hand, the adsorption to xanthan gum was increased from 22% at 10 minutes to 47% at 360 minutes. The present results demonstrate that there are cases of time-dependent increases in drug adsorption depending on the WSDF and drug combination.
著者
塩見 直人 平泉 志保 野澤 正寛 岩田 賢太朗 松浦 潤 越後 整
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.629-636, 2019 (Released:2019-10-25)
参考文献数
32
被引用文献数
1

CT設置数が多い日本において有用な軽症頭部外傷のCT施行基準を検討した. 成人はGCS 14であればCT必要, 次いで年齢が60歳以上, または何らかの症状があればCT必要とする. これらに該当しなかった場合は, 頭部の外傷所見があるか, 危険な受傷機転と判断した場合をCT推奨とする. 小児は①GCS 14, ②精神状態が普段と異なる (いつもと様子が違う), ③頭蓋骨骨折が触知できる, のいずれかに該当した場合をCT推奨とする. それ以外では, 2歳より上と2歳以下で基準を分けて設定し, なるべくCTを施行せずに入院して経過観察を行う. 放射線被曝の影響が危惧される小児では, MRIを活用したプロトコールも検討すべきである.
著者
松浦 友紀子 伊吾田 宏正 岡本 匡代 伊吾田 順平
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.11-20, 2015 (Released:2015-07-04)
参考文献数
17
被引用文献数
3

日本では,食肉として流通するニホンジカ(Cervus nippon)の内臓摘出は解体処理場で行うことが推奨されている.それに対してシカ肉の流通が盛んな欧州連合では,肉の品質保持および衛生的観点から,野外での内臓摘出が認められている.本研究では,野外での内臓摘出の導入について検討するため,野外で内臓摘出した肉の衛生状態を明らかにした.調査は従来の方法である解体処理場で内臓摘出した4個体の枝肉と,野外で内臓摘出した10個体の枝肉を用い,肉表面の一般生菌,大腸菌群,O-157,カンピロバクター,サルモネラ,エルシニアについて比較した.野外の内臓摘出は,北海道北部に位置する西興部村で実施した.従来の方法は,北海道西部にある解体処理場のシカを用いて実施した.ふき取り検査の結果,どちらの肉も一般生菌以外は検出されなかった.また,どちらの肉も一般生菌数は汚染の目安となる基準値より低く,とくに積雪期で顕著だった.これにより,野外でも衛生的な内臓摘出が可能であることが明らかになった.ただし,今回実施した野外での内臓摘出は,衛生的な状態を保つためにできるだけ配慮した手法を取っており,衛生管理の正確な知識と技術が必要である.欧州連合の衛生管理をモデルに野獣肉検査資格制度を導入し,捕獲個体の検査体制を整備した上で,野生動物に特化した一次処理方法として,野外での内臓摘出を検討すべきであると考えられた.
著者
岡 孝和 小宮山 博朗 中川 哲也 松浦 達雄 岡 佳恵
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.439-446, 1993-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
22

六君子湯および補中益気湯の血清コルチゾル値および心電図R-R間隔変動係数 (CVR-R) に及ぼす影響を検討した。両剤をそれぞれ23例の Non-ulcer dyspepsia 患者および18例の不定愁訴患者に, 一日7.5g, 4週投与した。1) 六君子湯投与群では, 午前9時血清コルチゾル値は, 高値だった7例では有意に低下し (p<0.05), 低値の2例では逆に増加したが, 正常範囲内であった14例は不変であった。補中益気湯投与群では, 低値の3例, 正常範囲内の12例では増加した (p<0.05) が, 高値の3例では低下した。2) 副交感神経機能を表わすCVR-Rは六君子湯投与群では不変であったが, 補中益気湯投与群では, 投与前, 年齢に比して低値であったが, 投与後増加した (p<0.05)。以上の結果は, これらの漢方薬は副腎皮質および自律神経機能に対して調整的に作用し, この作用はストレス性疾患に対しては有用な作用と考えられた。
著者
中村 大輝 田村 智哉 小林 誠 永田 さくら 大森 一磨 大野 俊一 堀田 晃毅 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.215-233, 2020 (Released:2021-02-05)
参考文献数
65

This study aims to determine the expected effect size of intervention studies in science lessons through meta-analysis. Intervention studies were collected from education-center websites in every Japanese prefecture to calculate the average effect size and examine the moderation effect. The results of the quantitative analysis showed that the mean effect size of multi-valued items was g=0.594 [0.557, 0.630] (k=626, N=9122). The moderator analysis revealed relatively low effect sizes for learning in the geology domain, and differences in effect size for various types of academic indicators. In addition, we provided basic statistics to help determine the sample size needed for future studies.

21 0 0 0 OA 武功雑記

著者
松浦鎮信 著
出版者
青山清吉
巻号頁・発行日
vol.1, 1903
著者
下地 理則 松浦 年男 久保薗 愛 平子 達也 小西 いずみ
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.134-141, 2022-09-30 (Released:2022-10-19)
参考文献数
11

コロナ禍では方言研究に必要不可欠なフィールドワークが制限され,日琉方言研究者は自らの研究のありかたを見直す必要に迫られた.方言研究コミュニティでは,コロナ禍初期からそうした問題意識を共有し,状況に応じた研究方法や研究環境を探ってきた.本稿では,方言研究コミュニティがコロナ禍にどのように反応し,どのような適応を行い,今後どのような展望を描いているかを報告する.まず,研究コミュニティの反応を,情報交換のための自主的な集まり,学術研究団体・グループによる研究支援,有志の個人によるオンライン面接調査の支援という3つに分けて述べる.次に,ビデオ通信調査など現地調査に代わる方言研究の方法をタイプ別に示し,そうした方法論がどのように共有され,議論されてきたかを紹介する.さらに,こうした活動の中で現地調査の実施可能性が話題となったのを受け,筆者の一人はコロナ禍での現地調査実施のガイドラインを提案した.本稿ではその構成や使用方法を紹介する.最後に今後の展望として,コロナ禍が方言研究にもたらした積極的な側面について述べる.
著者
山梨 裕美 徳山 奈帆子 赤見 理恵 乾 真子 土手 結月 石井 愛夏 佐々木 伶奈 松浦 有花 高野 華花 奥村 逞人 池田 義知
出版者
一般社団法人 日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
pp.38.019, (Released:2022-11-18)
参考文献数
30
被引用文献数
1

Live pet trade has become one of the greatest threats to wild primate populations. Many primates were imported to Japan, and the country is considered to be a large pet primates market. Among the primates, slow lorises (Nycticebus spp.) were among the most popular species for live pet trade. However, there is not much awareness in Japan about the problems associated with live pet trade, especially among the young generation. In this study, a comic book about slow lorises was created, and its effectiveness as a teaching material for young people was evaluated. The participants, who answered an online survey, included 596 high school students from two high schools in Osaka, Japan. The participants accessed a comic book, short text, or long text, which served as teaching materials, and answered several questions before and after reading the materials such as their experience with pet primates and awareness of the problems. The results revealed that although the participants’ awareness related to infectious diseases, animal welfare, and conservation increased after reading any of the three teaching materials, the comic book did not increase their awareness more than the texts. Approximately 75 % of the participants found each of the materials interesting. Furthermore, approximately between 32.0 and 40.9% of respondents were willing to share information directly with others and between 14.5 and 16.5% of those with SNS (Social Network Service). No differences were found among the three conditions. In addition, while actual experience with primate pets prevented them from promoting awareness about the problem, their level of interest toward animals and experience with primate pets in SNS did not reveal such an effect. These results suggest the importance of providing information, but effective ways to convey information requires further investigation.
著者
松浦 律子
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-7, 2012-09-28 (Released:2012-10-26)
参考文献数
17
被引用文献数
6

There are several European historical materials on Tensho Earthquake, which occurred on Jan. 18, 1586 in the south-western part of Chubu district. The through research of those materials revealed that all the information of Tensho earthquake was originated from letters written by L. Frois in October 1586 at Shimonoseki Port, Yamaguchi Prefecture as the annual report of missionary in Japan. Since a letter was hand-copied, edited, and translated to Italian or Latin from Portuguese in the late 16th century, there derived some versions of descriptions on damage of the earthquake. The letter in the Portuguese version published in Evora, Portugal in 1589, and the remained copies of the manuscript of "Japanese History" by Frois are only two reliable sources. From those credible European materials, it is apparent that there was the common talk in Kyoto after Tensho earthquake of Tsunami damage along the northwestern coast of Japan. However, it is no more than a rumor.
著者
小坂 至 光定 誠 若山 達郎 松浦 篤志 新井 浩士 横山 春子 田中 道雄
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.202-207, 2007-05-15 (Released:2009-02-27)
参考文献数
5

界面活性剤の大量内服後に多発小腸潰瘍・穿孔を来した1症例を経験したので報告する。症例は45歳の男性。自殺企図にて界面活性剤を大量に内服し, 急性薬物中毒にて当院入院となった。経過中に下血及び持続する右下腹部痛が出現した。上下部消化管内視鏡検査・腹部血管造影などにより, 小腸潰瘍からの出血と考えられ, バゾプレシンの持続動注を行い, 一時的な止血が得られた。その後腹膜炎症状及び再下血を認め, 小腸潰瘍による穿孔性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した。約1.6mの空腸を残し回盲部切除術を行った。術後も残存小腸の潰瘍からと思われる下血を繰り返したが, 諸検査にて明らかな出血源は指摘できず, 保存的加療にて改善し, 術後55日目に軽快退院した。界面活性剤による中毒では, 腸管からの排泄と共に, 中毒症状が改善することが多い。しかし, 閉塞機転による腸管内の停滞などを契機に本症例のような重篤な経過をたどることもあり, 慎重な経過観察が必要である。

17 0 0 0 OA 武功雑記

著者
松浦鎮信 著
出版者
青山清吉
巻号頁・発行日
vol.4, 1903
著者
中村 大輝 雲財 寛 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.215-233, 2021 (Released:2021-07-16)
参考文献数
58

The purpose of this study is to redevelop the Need for Cognition Scale in Science Education (NCSE) and provide basic data for its application. We define NCSE as the intrinsic tendency that allows one to engage in and enjoy cognitive activities; these are scientific inquiries through observation and experimentation. This study is divided into four parts. In Study 1, we conducted a questionnaire survey on 1,875 elementary and junior high school students and clarified the structure of the scale based on item response theory (IRT). Several IRT model fits were compared, and finally, we identified the characteristics of each question item based on the graded response model (GRM). In Study 2, we verified the validity and accuracy of NCSE. In addition, we showed that there was no differential item functioning (DIF) of gender. In Study 3, we examined gender and grade differences. We found that NCSE tended to be higher in males than in females and may decrease as the grade progresses. In Study 4, we divided the questionnaire into two groups based on item parameters estimated in Study 1. These two sets, known as the horizontal test, will contribute to future investigations using the pre-post design approach.
著者
小林 宏行 武田 博明 渡辺 秀裕 太田見 宏 酒寄 享 齋藤 玲 中山 一朗 富沢 麿須美 佐藤 清 平賀 洋明 大道 光秀 武部 和夫 村上 誠一 増田 光男 今村 憲市 中畑 久 斉藤 三代子 遅野井 健 田村 昌士 小西 一樹 小原 一雄 千葉 太郎 青山 洋二 斯波 明子 渡辺 彰 新妻 一直 滝沢 茂夫 中井 祐之 本田 芳宏 勝 正孝 大石 明 中村 守男 金子 光太郎 坂内 通宏 青崎 登 島田 馨 後藤 元 後藤 美江子 佐野 靖之 宮本 康文 荒井 康男 菊池 典雄 酒井 紀 柴 孝也 吉田 正樹 堀 誠治 嶋田 甚五郎 斎藤 篤 中田 紘一郎 中谷 龍王 坪井 永保 成井 浩司 中森 祥隆 稲川 裕子 清水 喜八郎 戸塚 恭一 柴田 雄介 菊池 賢 長谷川 裕美 森 健 磯沼 弘 高橋 まゆみ 江部 司 稲垣 正義 国井 乙彦 宮司 厚子 大谷津 功 斧 康雄 宮下 琢 西谷 肇 徳村 保昌 杉山 肇 山口 守道 青木 ますみ 芳賀 敏昭 宮下 英夫 池田 康夫 木崎 昌弘 内田 博 森 茂久 小林 芳夫 工藤 宏一郎 堀内 正 庄司 俊輔 可部 順三郎 宍戸 春美 永井 英明 佐藤 紘二 倉島 篤行 三宅 修司 川上 健司 林 孝二 松本 文夫 今井 健郎 桜井 磐 吉川 晃司 高橋 孝行 森田 雅之 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 宏 高橋 健一 大久保 隆男 池田 大忠 金子 保 荒川 正昭 和田 光一 瀬賀 弘行 吉川 博子 塚田 弘樹 川島 崇 岩田 文英 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 宇野 勝次 八木 元広 武田 元 泉 三郎 佐藤 篤彦 千田 金吾 須田 隆文 田村 亨治 吉富 淳 八木 健 武内 俊彦 山田 保夫 中村 敦 山本 俊信 山本 和英 花木 英和 山本 俊幸 松浦 徹 山腰 雅弘 鈴木 幹三 下方 薫 一山 智 斎藤 英彦 酒井 秀造 野村 史郎 千田 一嘉 岩原 毅 南 博信 山本 雅史 斉藤 博 矢守 貞昭 柴垣 友久 西脇 敬祐 中西 和夫 成田 亘啓 三笠 桂一 澤木 政好 古西 満 前田 光一 浜田 薫 武内 章治 坂本 正洋 辻本 正之 国松 幹和 久世 文幸 川合 満 三木 文雄 生野 善康 村田 哲人 坂元 一夫 蛭間 正人 大谷 眞一郎 原 泰志 中山 浩二 田中 聡彦 花谷 彰久 矢野 三郎 中川 勝 副島 林造 沖本 二郎 守屋 修 二木 芳人 松島 敏春 木村 丹 小橋 吉博 安達 倫文 田辺 潤 田野 吉彦 原 宏起 山木戸 道郎 長谷川 健司 小倉 剛 朝田 完二 並川 修 西岡 真輔 吾妻 雅彦 前田 美規重 白神 実 仁保 喜之 澤江 義郎 岡田 薫 高木 宏治 下野 信行 三角 博康 江口 克彦 大泉 耕太郎 徳永 尚登 市川 洋一郎 矢野 敬文 原 耕平 河野 茂 古賀 宏延 賀来 満夫 朝野 和典 伊藤 直美 渡辺 講一 松本 慶蔵 隆杉 正和 田口 幹雄 大石 和徳 高橋 淳 渡辺 浩 大森 明美 渡辺 貴和雄 永武 毅 田中 宏史 山内 壮一郎 那須 勝 後藤 陽一郎 山崎 透 永井 寛之 生田 真澄 時松 一成 一宮 朋来 平井 一弘 河野 宏 田代 隆良 志摩 清 岳中 耐夫 斎藤 厚 普久原 造 伊良部 勇栄 稲留 潤 草野 展周 古堅 興子 仲宗根 勇 平良 真幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.333-351, 1995-07-31
被引用文献数
2

新規キノロン系経口合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の内科領域感染症に対する臨床的有用性を全国62施設の共同研究により検討した。対象疾患は呼吸器感染症を中心とし, 投与方法は原則として1回100~300mgを1日1~2回投与することとした。<BR>総投与症例525例のうち509例を臨床効果判定の解析対象とした。全症例に対する有効率は443/509 (87.0%) であり, そのうち呼吸器感染症432/496 (87.1%), 尿路感染症11/13 (84.6%) であった。呼吸器感染症における有効率を疾患別にみると, 咽喉頭炎・咽頭炎19/22 (86.4%), 扁桃炎17/18 (94.4%), 急性気管支炎53/58 (91.4%), 肺炎104/119 (87.4%), マイコプラズマ肺炎17/19 (89.5%), 異型肺炎5/5, 慢性気管支炎117/133 (88.0%), 気管支拡張症48/63 (76.2%), びまん性汎細気管支炎17/19 (89.5%) および慢性呼吸器疾患の二次感染35/40 (87.5%) であった。<BR>呼吸器感染症における細菌学的効果は233例で判定され, その消失率は単独菌感染では154/197 (78.2%), 複数菌感染では22/36 (61.1%) であった。また, 単独菌感染における消失率はグラム陽性菌48/53 (90.6%), グラム陰性菌105/142 (73.9%) であり, グラム陽性菌に対する細菌学的効果の方が優れていた。呼吸器感染症の起炎菌のうちMICが測定された115株におけるGPFXのMIC<SUB>80</SUB>は0.39μg/mlで, 一方対照薬 (97株) としたnornoxacin (NFLX), onoxacin (OFLX), enoxacin (ENX) およびcipronoxacin (CPFX) はそれぞれ6.25, 1.56, 6.25および0.78μg/mlであった。<BR>副作用は519例中26例 (5.0%, 発現件数38件) にみられ, その症状の内訳は, 消化器系18件, 精神神経系13件, 過敏症3件, その他4件であった。<BR>臨床検査値異常は, 490例中49例 (10.0%, 発現件数61件) にみられ, その主たる項目は, 好酸球の増多とトランスアミナーゼの上昇であった。いずれの症状, 変動とも重篤なものはなかった。<BR>臨床効果と副作用, 臨床検査値異常の安全性を総合的に勘案した有用性については, 呼吸器感染症での有用率422/497 (84.9%), 尿路感染症で10/13 (76.9%) であり, 全体では432/510 (84.7%) であった。<BR>以上の成績より, GPFXは呼吸器感染症を中心とする内科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。