著者
高森 昭光
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

第2種高温超伝導体バルクに生じる「ピン止め効果」を応用して浮上支持した永久磁石を参照振子とした、地震の回転成分を測定する回転地震計の研究開発を行った。実際にプロトタイプ回転地震計を製作し、各種ノイズの評価や実験室内で実際の回転地震波の試験的観測を行った。実験期間の制約から長期にわたる実際の観測所での観測は実施できなかったが、実験室内での試験観測によってほぼ目標の分解能を達成したことを確認できた。
著者
生野 公貴 北別府 慎介 梛野 浩司 森本 茂 松尾 篤 庄本 康治
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.485-491, 2010-12-20
被引用文献数
1

【目的】本研究の目的は,脳卒中患者に対する1時間の末梢神経電気刺激(PSS)と課題指向型練習の組み合わせが上肢機能に与える影響を検討することである。【方法】脳卒中患者3名をベースライン日数を変化させた3種のABデザインプロトコルに無作為に割り付け,ベースライン期として偽刺激(Sham)治療,操作導入期としてPSS治療を実施した。1時間のSham治療およびPSS治療後に課題指向型練習としてBox and Block Test(BBT)を20回行い,練習時の平均BBTスコアの変化を調査した。さらに,PSS治療後24時間後にBBTを再評価した。【結果】全症例Sham治療後と比較して,PSS治療後に平均BBTスコアが改善傾向を示した{症例1: +4.9(p<;0.05), 症例2: +3.1, 症例3: +5.7(p<0.05)}。全症例の24時間後のBBTスコアが維持されていた。また,PSSによる有害事象はなく,PSSの受け入れは良好であった。【結論】1時間のPSSは課題指向型練習の効果を促進させ,24時間後もその効果が維持される可能性がある。
著者
森田 啓
出版者
千葉工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本年度は、1年目からの継続で、実際に運動遊び指向を指導方針に置くクラブ(競技志向が比較的弱い)に所属するジュニア・ラグビー参加者を対象に調査活動を行った。調査の結果については、集計および分析を進め、近く公表する予定である。実際のプログラム作成の過程で、身体接触とともに、普段の日常生活では体験しない浮遊感覚を体験できるものとしてスノーボードに着目し、スノーボード体験者にも調査活動を実施した。本研究で着目した「キレ」の状態は、深層心理学では、日常生活とは異なるこころの状態(変性意識状態)のひとつと考え、この状態では無意識領域の働きが活性化し、私たちの日常の合理的な論法が通用しない独特な思考様式が浮かび上がるとする。「無意識の教育」のためには身体が直接感じる「感情」「感覚」を教材化、プログラム化することとなる。身体が直接感じる「感情」「感覚」は「無意識」の領域に属すると考えられるからである。本研究で行ってきた調査においては、これらを言語化し、他者との対話の中で浮かび上がらせることによって、「無意識の力」が存在することを考えるきっかけとなるよう工夫してきた。普段は意識できない、あるいは自分にはどうすることもできない「無意識」の領域があることが認識・理解できれば、次の段階、つまり「無意識」とうまく付き合うこと、それをいかにコントロールするかを考えることが可能となる。本研究において、他者との身体接触やスノーボードなどの体験においては、痛い、怖い、むかつくなどの否定的感情を喚起することが可能であり、経験をつむことによってこれらの感情を抑制したり、コントロールできる可能性が示唆された。今後は、実際にさらにデータを収集し、考察を進めていきたい。
著者
田中 成美 原 暢助 森田 辰男 石川 真也 森口 英男 小林 裕 戸塚 一彦 大場 修司 徳江 章彦 米瀬 泰行
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.75, no.12, pp.1927-1932, 1984-12-20

自治医科大学泌尿器科において,1974年4月15日の開院より9年間に尿路変向術が施行された症例は100例で,男子78例,女子22例,男女比は3.5対1であった.最年少者は4歳,最年長は84歳,平均年齢は60.2歳であった.原因疾患は膀胱腫瘍76例,子宮癌6例,尿道癌4例,前立腺癌3例その他の悪性腫瘍3例で良性疾患は8例であった.施行された尿路変向術は,膀胱瘻造設術8例,腎瘻造設術7例,カテーテル尿管皮膚瘻造設術56例,回腸導管造設術9例,尿管S状結腸吻合例であった.100例全例の5年相対生存率は51.2%で,膀胱移行上皮癌のため膀胱全摘術を施行した53例の5年相対生存率は58.7%であった.膀胱全摘術とともに尿路変向術を行った61例の術後死亡率は4.9%であった.これらの膀胱全摘術の症例の術後早期合併症及び晩期合併症について尿路変向術式別に比較,検討した.
著者
榎森 進 七海 雅人 谷本 晃久 七海 雅人 谷本 晃久
出版者
東北学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

江戸時代に「サンタン人」と呼ばれていたアムール川下流域の人々は、ウリチ民族だけでなくニヴフ民族他の民族で構成されていること。また、彼等は、15~19世紀にサハリンの諸民族と活発に交流していた。
著者
勝田 茂 鰺坂 隆一 大森 一伸 奥本 正 久野 譜也
出版者
東亜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、1999年に1回目の測定を行った超高齢エリートアスリートに対し、2001、2002及び2003年と測定を継続し、身体活動能力はどこまで維持できるかを検証することを目的として実施した。被験者は全国各種マスターズ大会や世界ベテランズ大会等で活躍している80歳以上(一部女性は70代を含む)の超高齢エリートアスリート33名(男性18名、女性15名)及びコントロール31名(男性9名、女性22名)、合計64名であった。測定項目は全身持久力、等速性下肢筋力、筋横断面積、骨密度、文部省新体力テストおよびライフスタイルに関する調査であった。その結果、この5年間で、文部省新体力テスト(高齢者用)においては、男性は筋力・柔軟性敏捷性は10%以内の低下率であったが、歩行能力は-20%以上、バランス能(開眼片足立ち)は-50%以上と最も高い低下率を示した。女性も同様の傾向であったが、低下率は男惟よりも小さく体力がよく保たれていた。等速性筋力では、男女とも高速(180deg/sec)における膝関節屈曲筋力の低下が著明で、これは筋横断面積において大腿四頭筋よりも屈筋であるハムストリングの低下率が大きいことと符合していた。VO2maxは20-25ml/kg/minで、5年間で約-20%を示し,男女とも同様の傾向を示した。骨密度の減少は数%に止まった。また、調査から多くのシニアエリートアスリートは、80歳代でも週2-3回、1回1-2時間の練習またはトレーニングを行い、年間数回の国内・国際大会に出場し、常に積極的に前向きに生きている様子が伺えた。これらの被験者の中には50歳代・60歳代になってからスポーツを始めた者も多く、高齢化社会にあって「スポーツも生きがいに足るものである」こと示す、よい参考例になるものであると考えらる。
著者
近森 淳二 長岡 豊 森 隆 井内 敬二 飯岡 壮吾 南城 悟 沢村 献児 渡辺 幸司 差 健栄 横山 邦彦 瀬良 好澄
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, 1974-12-30

50才男子.石綿の混綿工の職業歴あり.昭和49年4月9日.石綿肺に合併せる左下葉肺癌の診断にて左下葉切除術施行.術後約1ヵ月頃より原因不明の消化管出血を来し,術後75日目に死亡した.剖検により胃体部に2箇,空腸に1箇,後腹膜に小児手拳大の癌腫を認めた.組織学的にはいずれも肺と同様の低分化型腺癌であった.しかし肝転移,胃周囲臓器の所属リンパ節転移および癌性腹膜炎を認めなかった点から,石綿肺に合併せる多発性癌腫(胃,空腸,肺および後腹膜)と考えられる.
著者
森下 はるみ 黒田 善雄 田畑 泉
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

【目的】本研究の目的は(1)勤労中高年女性の食生活を評価すること,(2)近年、社会問題となりつつある骨粗鬆症との関連で、本対象者の腰椎および大腿骨頸部の骨密度の概要を明らかにすること,(3)身体運動トレーニング(スイミング及び水中運動)が勤労中年女性の持久性体力及び血中脂質に与える影響を明らかにすることであった。【結果】各年代とも、エネルギー摂取量はそれぞれの年代の所要量とほぼ同水準であった。栄養素は、それぞれの年代の女性の所要量を上回る摂取量であった。たんぱく質は所要量より30%多く、脂質も所要量より約10%多めであった。カルシウムはの摂取量は所要量より16%多かった。次にアルコール摂取量はビールをコップ1杯程度であったため、アルコールのエネルギー比率はわずか2%であった。腰椎及び大腿骨頸部の骨密度は年齢とともに低下した。骨密度には個人差が大きかったが、平均的には一般人女性よりも、僅かに高い価であった。水泳トレーニングへの平均出席回数が週当たり1.5回以上の群では、持久性体力の指標である乳酸性作業閾値は24.2±2.2ml/kg/minから26.4±2.4ml/kg/minへ1.6±2.8ml/kg/min有意に増加した(p<0.05)。一方、平均出席回数が週当たり1回以上の群では乳酸性作業閾値とも有意な変化は見られなかった。血中脂質濃度の変化をみると、いずれのグループともトレーニング前後で血中トリグリセリド濃度に変化はみられなかった。また、総コレステロール、LDL-コレステロール濃度はいずれのグループとも上昇する傾向が認められたが、とくに水泳トレーニングにほとんど出席しなかったCグループの被検者の上昇が顕著であった。しかし、いずれのグループもHDL-コレステロール濃度には大きな変化がみられなかった。【まとめ】本研究の結果より、週1.5回以上身体トレーニングを行うと、持久性体力が向上し、さらに血中脂質プロフィールが改善されることが明らかになった。
著者
粟生田 佳奈子 河内 満彦 菅原 準二 梅森 美嘉子 三谷 英夫
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:0021454X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.387-396, 1996-10
被引用文献数
7

外科的矯正治療前後における成人骨格性反対咬合症患者の発音機能を評価する目的で, 発音時の舌接触パターン, 顎運動, および発声音の解析を横断的資料を用いて行った.研究対象は初診時に外科的矯正治療を要すると診断された成人骨格性反対咬合症患者38例(非開咬-術前群20例, 開咬-術前群18例)および治療後2年以上経過した患者31例(非開咬-術後群16例, 開咬-術後群15例)である.対照群には正常咬合者13例(正常咬合群)を用いた.結果は以下の通りであった.1. 術前および術後の反対咬合症患者では, 発音時における舌の口蓋への接触部位は正常咬合群より前方位を示していた.顎運動経路は, 非開咬-術前群では後方位を, 開咬-術前群では上方位を示した.一方, 術後では両群とも正常咬合群に類似したパターンを示す傾向が認められた.顎運動距離については, 各群間に有意差はみられなかった.2. 日本語としての"自然らしさ"については, 両術前群は正常咬合群に劣るといえた."自然らしさ"は術後に改善の傾向がみられたが, 依然として正常咬合群より劣っていた.3. スペクトル分析については各群間で差が認められなかった.以上の結果から, 外科的矯正治療は成人骨格性反対咬合症患者の発音機能の向上に寄与する可能性があるものと思われた.しかし, 術後群と正常咬合群とを比較した場合では, 術後群の音質は依然として劣っていた.このことは発音機能に関わる神経筋機構の恒常性は形態改善に速やかに順応するものではないことを示唆しているものと考えられた.
著者
森 稔 澤木 美奈子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.713, pp.25-40, 2002-03-08
被引用文献数
4

本稿では,変形や画質劣化が生じた低品質な文字に対する認識手法及びその応用について紹介する.また,性能評価に用いられるデータベース及び評価手法についても述べる.
著者
金森 正雄
出版者
京都府立大学
雑誌
西京大学学術報告. 農学 (ISSN:03709329)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.86-97, 1953-01-25

甘藷の護國種についてこれを7&acd;17℃に貯藏してゐる間に於ける水分, 糖類, ascorbic acidの消長を定量してその相互関係について考察した。(1) 農林2号種を10月25日, 11月10日, 11月27日收穫のA, B, C区に分つて15°内外で地窩貯藏庫に貯藏し, その間1ケ月毎に可食部の各種成分を定量して, その間に於ける諸成分の消長及び夫々の相関関係について考察した。(2) 1年貯藏した旧甘藷と新甘藷とにつきその成分を比較して貯藏法並に品質について考察した。(3) 農林2号種は護國種に比して耐貯藏性も含有成分も共に優れていることを認めた。(附記, 本実驗Iは1943年10月より1944年5月迄及び実驗IIは1944年10月より1945年9月迄の貯藏実驗結果であつて, 一部は1944年4月6日京都大学及び1946年4月5日果実及蔬菜貯藏の研究290頁に発表記載し1946年5月29日農藝化学会例会にて発表した)里芋5種について, その普通成分を定量比較し, これを12月上旬より約6ケ月室温に貯藏して1ケ月毎にascorbin酸を定量して貯藏中に著しく減少しないことを明にした。本実驗について御指導御鞭韃を賜つた恩師京都大学近藤金助教授に深甚の謝意を表し, 併せて実驗試料の入手に特別の御配慮を願つた京都大学松本熊市教授に深謝する次第である。
著者
安藤 耕平 禹 哲漢 大森 隆広 田尻 道彦 小倉 高志
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.807-811, 2009-09-15 (Released:2009-12-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1

症例は58歳,女性.人間ドックで胸部X線写真を撮影し,右自然気胸を指摘された.左自然気胸の手術歴があり,弟,長男,長女にも自然気胸の既往があった.胸部CT検査では両側に多発する肺嚢胞を認めた.顔面に線維毛包腫(fibrofolliculoma)を疑う病変と,線維性疣贅(acrochordon)を認めた.以上の所見から,Birt-Hogg-Dube症候群(以下,BHD症候群)を疑った.右気胸の根治を目的に手術を施行し,肺底部に今回の気胸の原因と思われる2cm大のブラを認め,これを胸腔鏡下に切除した.術後,BHD遺伝子の核酸配列解析を行い,BHD症候群と確定診断した.BHD症候群は,常染色体優性遺伝の皮膚疾患であり,多発肺嚢胞・自然気胸,腎細胞癌を合併することがある.気胸の家族歴があり,多発肺嚢胞を有する症例は,BHD症候群を疑う必要があると考えられた.
著者
北西 允 清野 惇 倉持 孝司 豊田 博昭 植田 博 大熊 忠之 上谷 均 山田 浩 川内 つとむ 盧 雲 揚 磊 田 平安 廖 俊常 余 久隆 聶 天こん 呉 耀森 劉 澤貴 姚 登魁 魯 国棟 ちゅ 明れん 劉 永誉 胡 澤君 趙 長清 閻 培 つう 明理 吉川 栄一 市川 太一 安井 威興 大賀 祥充 石外 克喜 片岡 直樹 吉川 元 加藤 高 董 しん 杉田 憲治 高 紹先 上野 裕久 YANG Lei RYU Ini TAN Pinan RYU Zukui 楊 磊 聶 天貼
出版者
広島修道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

1 政治・法意識の比較研究 広島修道大学法学部の新入生及び4年次生に対しては1989年4月、西南政法学院の学生に対しては同9月、アンケ-トによる異識調査を行なった。その後中国では意識調査ができなくなってしまったが、修道大学の新入生に対しては、同12月追跡調査を行なった。1991年度に追跡調査を行なうべく中国側と話合いを重ねたが、中国政府が意識調査を禁止しているとの情報もあり、遂に実現できなかったのは残念である。しかし、1度ではあるが中国の学生の政治・法意識の調査が行なえた意義は大きく、その後も中国で意識調査が行われないためかえってこの調査結果は貴重である。調査結果の分析は、修道大学の研究叢書として、来年3月までには発表すべく作業を進めている。2 日中法制度の比較研究 日中両国の研究分担者がそれぞれ個別に或は共同して研究し、各年度双方から5名づつ計30名が相手国を訪れ、裁判所、議会、市役所、大学のほか刑務所、登記所等も視察し、関係者に質疑を行ない、法施行の実態を見、まだ研究会をもった。そのほか、政法学院の楊磊研究員は1988年9月から2年間修道大学客員助教授、その後今月まで非常勤講師として、合計3年半、広島大学の片岡直樹研究員は1990年4月から政法学院に留学生として1年、ともに相手国の研究員と共同研究を行なって来た。3 研究成果の発表 10に記載のとおり、これまでの研究成果の1部は既に杉田憲治が3本、片岡直樹が1本、加藤高(楊磊と共沢)が1本、楊磊が1本、計6本の論文として発表しているが、更に全員の共同研究の成果としては、修道大学総合研究所発行の広島修道大学研究叢書として、1993年3月までに『日中学生の政治・法意識』、1994年3月までは『日中両国法制度の比較法学的・法社会学的研究』の2著を出す予定である。
著者
森田 規之
出版者
京都府立医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

バーグマングリアの分化過程を、S-100β遺伝子プロモーター活性の可視化によって追跡するために以下の検討を行った。分与されたマウスS-100β遺伝子の5′上流領域からプロモーター領域の欠失系列を作製し、これらをプロモーターアッセイのためのレトロウイルスベクタープラスミドであるpIP300plusにサブクローニングした。同種指向性パッケージング細胞Ψ2にトランスフェクトしてウイルス産生細胞株を樹立し、細胞培養上清から組み換えレトロウイルスを調製した。プロモーター活性の可視化のために効率の高いプロモーター領域を、S-100βを常時発現する株化細胞ラットC6グリオーマを標的として検索を試みた。しかしながらプロモーター可視化の効率が極めて低く解析に困難を伴ったことから、プラスミドの再構築、パッケージング細胞への遺伝子導入方法の変更等を行い、最終的に異種指向性のパッケージング細胞PA317を用いて組み換えウイルスを調製して、解析を可能とした。現在、明らかとなったプロモーター領域の活性を初代培養バ-クマングリアおよび小脳培養スライスで解析中である。さらに、マウス成獣の小脳において、バーグマングリアがグルココルチコイド受容体免疫陽性であることを見いだした。用いた抗血清はラットグルココルチコイド受容体cDNAからGST-fusion法によって調製した抗原蛋白質に対するものである。この抗原はグルココルチコイド受容体の転写調節ドメインの一部、マウス配列と92%のホモロジーを有する領域である。イムノブロット解析からマウスにおいても単一のバンドを与え、また、胎生14日の小脳原基において既に発現していることを明らかにした。今後、バーグマングリアの起源、分化との関連性を分子形態学的に追求する。
著者
大谷 雅夫 川合 康三 宇佐美 文理 大槻 信 伊藤 伸江 森 真理子 齋藤 茂 金光 桂子 緑川 英樹 森 真理子 齋藤 茂 大谷 俊太 深沢 眞二 楊 昆鵬 愛甲 弘志 乾 源俊 浅見 洋二 中本 大 神作 研一 長谷川 千尋 中島 貴奈 日下 幸男 原田 直枝 小山 順子 福井 辰彦 稲垣 裕史 伊崎 孝幸 竹島 一希 中村 健史 好川 聡 橋本 正俊 二宮 美那子 檜垣 泰代 川崎 佐知子 有松 遼一 畑中 さやか 山田 理恵 本多 潤子 大山 和哉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

室町時代の和漢聯句作品を広く収集し、それらを研究分担者ほか研究会参加者が分担して翻字し、『室町前期和漢聯句資料集』(2008年3月)、『室町後期和漢聯句資料集』(2010年3月)の二冊の資料集を臨川書店より刊行した。また、その中の二つの和漢聯句百韻を研究会において会読した上で、詳細な注釈を作成してそれを『良基・絶海・義満等一座和漢聯句譯注』(臨川書店、2009年3月)および『看聞日記紙背和漢聯句譯注』(臨川書店、2011年2月)として出版した。
著者
森下 薫
出版者
社団法人日本動物学会
雑誌
動物学雑誌 (ISSN:00445118)
巻号頁・発行日
vol.32, no.384, pp.332-335, 1920-11-30
著者
藤井 俊勝 麦倉 俊司 奥田 次郎 森 悦朗 鈴木 麻希 森 悦朗 鈴木 麻希 麦倉 俊司 奥田 次郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ヒトの記憶については心理学的・神経科学的な研究が数多く行われてきていたが、記憶の間違い-つまり、記憶として想起はできるものの内容が正確ではない場合-のメカニズムについては不明な点が多い。本研究ではヒトの脳活動を間接的に測定することができる脳機能画像法と、脳損傷患者を対象とした神経心理学的研究によって、ヒトの脳でどのように誤った記憶情報が表象されるのかを検討した。記憶を司る内側側頭葉に対して、記憶を制御する前頭前野が影響を与えていることや、内側側頭葉と感覚情報を処理する感覚皮質の関連が明らかとなった。
著者
三澤 浩昭 森岡 昭 岡野 章一 土屋 史紀
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.外圏大気観測用2次元分光イメージング装置の開発先ず、惑星・衛星外圏大気観測用の2次元分光イメージング装置の開発を行った。本装置は、1)2次元入射光を分光用の1次元出射光に変換するバンドルファイバー製の次元変換光学系と、2)既存の入射/出射光学系と接続するための開口値変換光学系から成る。バンドルファイバーは入射系12×12、出射系144の配列からなる。装置は光学ベンチに組上げ、東北大の60cm望遠鏡(入射系)と高分散分光計(出射系)に接続した。分光データは液体窒素冷却CCDカメラで取得し、PC上でイメージに変換する構成とした。2.水星とイオ衛星の外圏大気の観測1の装置を用いて、イオと水星の大気観測を実施した(継続中)。イオについては、従来、大気放出量にイオの木星に対する視位置依存性が示唆されてきた。その存在の確認と放出様相の確認を目標として観測を行い、様々な視位置について有意なデータを得た。一方、水星については、水星が太陽から大きく離れる観測適期に集中観測を実施したが、天候に恵まれず現時点では大気放出過程導出に重要なデータが十分には得られていない。このため、次の観測適期となる平成18年6月に再観測を行う予定である。3.数値計算による外圏大気放出過程の究明当ループが開発した希薄大気の生成・消失に関するモンテカルロコードを用い、大気放出過程の数値実験を進めた。結果として、水星については、太陽風による水星表面粒子の叩出しが、従来の想定以上に効果的に働いている可能性が示された。一方、イオについては、磁気圏イオンによる大気粒子の叩出し/引剥がしと太陽光による脱離が相作用して放出量を制御している可能性が示された。