著者
三木 文雄 生野 善康 INOUE Eiji 村田 哲人 谷澤 伸一 坂元 一夫 田原 旭 斎藤 玲 富沢 磨須美 平賀 洋明 菊地 弘毅 山本 朝子 武部 和夫 中村 光男 宮沢 正 田村 豊一 遠藤 勝美 米田 政志 井戸 康夫 上原 修 岡本 勝博 相楽 衛男 滝島 任 井田 士朗 今野 淳 大泉 耕太郎 青沼 清一 渡辺 彰 佐藤 和男 林 泉 勝 正孝 奥井 津二 河合 美枝子 福井 俊夫 荒川 正昭 和田 光一 森本 隆夫 蒲沢 知子 武田 元 関根 理 薄田 芳丸 青木 信樹 宮原 正 斎藤 篤 嶋田 甚五郎 柴 孝也 池本 秀雄 渡辺 一功 小林 宏行 高村 研二 吉田 雅彦 真下 啓明 山根 至二 富 俊明 可部 順三郎 石橋 弘義 工藤 宏一郎 太田 健 谷本 普一 中谷 龍王 吉村 邦彦 中森 祥隆 蝶名林 直彦 中田 紘一郎 渡辺 健太郎 小山 優 飯島 福生 稲松 孝思 浦山 京子 東 冬彦 船津 雄三 藤森 一平 小林 芳夫 安達 正則 深谷 一太 大久保 隆男 伊藤 章 松本 裕 鈴木 淳一 吉池 保博 綿貫 裕司 小田切 繁樹 千場 純 鈴木 周雄 室橋 光宇 福田 勉 木内 充世 芦刈 靖彦 下方 薫 吉井 才司 高納 修 酒井 秀造 西脇 敬祐 竹浦 茂樹 岸本 広次 佐竹 辰夫 高木 健三 山木 健市 笹本 基秀 佐々木 智康 武内 俊彦 加藤 政仁 加藤 錠一 伊藤 剛 山本 俊幸 鈴木 幹三 山本 和英 足立 暁 大山 馨 鈴木 国功 大谷 信夫 早瀬 満 久世 文幸 辻野 弘之 稲葉 宣雄 池田 宣昭 松原 恒雄 牛田 伸一 網谷 良一 中西 通泰 大久保 滉 上田 良弘 成田 亘啓 澤木 政好 三笠 桂一 安永 幸二郎 米津 精文 飯田 夕 榊原 嘉彦 螺良 英郎 濱田 朝夫 福山 興一 福岡 正博 伊藤 正己 平尾 文男 小松 孝 前川 暢夫 西山 秀樹 鈴木 雄二郎 堀川 禎夫 田村 正和 副島 林造 二木 芳人 安達 倫文 中川 義久 角 優 栗村 統 佐々木 英夫 福原 弘文 森本 忠雄 澤江 義郎 岡田 薫 熊谷 幸雄 重松 信昭 相沢 久道 瀧井 昌英 大堂 孝文 品川 知明 原 耕平 斎藤 厚 広田 正毅 山口 恵三 河野 茂 古賀 宏延 渡辺 講一 藤田 紀代 植田 保子 河野 浩太 松本 慶蔵 永武 毅 力富 直人 那須 勝 後藤 純 後藤 陽一郎 重野 秀昭 田代 隆良
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.914-943, 1987
被引用文献数
2

Clavulanic acid (以下CVAと略す) とticarcillin (以下TIPCと略す) の1: 15の配合剤, BRL28500 (以下BRLと略す) の呼吸器感染症に対する有効性と安全性をpiperacillin (以下PIPCと略す) を対照薬剤として, welI-controlled studyひこより比較検討した.<BR>感染症状明確な15歳以上の慢性呼吸器感染症 (慢性気管支炎, びまん性汎細気管支炎, 感染を伴った気管支拡張症・肺気腫・肺線維症・気管支喘息など) およびその急性増悪, 細菌性肺炎, 肺化膿症を対象とし, BRLは1回1.6g (TIPC1.5g+CVA0.1g) 宛, PIPCは1回2.0g宛, いずれも1日2回, 原則として14日間点滴静注により投与し, 臨床効果, 症状改善度, 細菌学的効果, 副作用・臨床検査値異常化の有無, 有用性について両薬剤投与群間で比較を行い, 以下の成績を得た.<BR>1. 薬剤投与314例 (BRL投与161例, PIPC投与153例) 中, 45例を除外した269例 (BRL投与138例, PIPC投与131例) について有効性の解析を行い, 副作用は293例 (BRL投与148例, PIPC投与145例) について, 臨床検査値異常化は286例 (BRL投与141例, PIPC投与145例) について解析を実施した.<BR>2. 小委員会判定による臨床効果は, 全症例ではBRL投与群78.8%, PIPC投与群79.4%, 肺炎・肺化膿症症例ではBRL投与群 (79例) 82.1%, PIPC投与群 (73例) 79.5%, 慢性気道感染症症例ではBRL投与群 (59例) 74.6%, PIPC投与群 (58例) 79.3%の有効率で, いずれも両薬剤投与群間に有意差を認めなかった.<BR>3. 症状改善度は, 肺炎・肺化膿症症例では赤沈値の14日後の改善度に関してPIPC投与群よりBRL投与群がすぐれ, 慢性気道感染症症例では胸部ラ音, 白血球数, CRPの3日後の改善度に関してBRL投与群よりPIPC投与群がすぐれ, それぞれ両薬剤投与群間に有意差が認められた.<BR>4. 細菌学的効果はBRL投与群68例, PIPC投与群57例について検討を実施し, 全体の除菌率はBRL投与群75.0%, PIPC投与群71.9%と両薬剤投与群間に有意差は認められないが, Klebsiella spp. 感染症においては, BRL投与群の除菌率87.5%, PIPC投与群の除菌率16.7%と両薬剤群間に有意差が認められた. また, 起炎菌のPIPCに対する感受性をMIC50μg/ml以上と50μg/ml未満に層別すると, MIC50μg/ml未満の感性菌感染例ではBRL投与群の除菌率69.6%に対してPIPC投与群の除菌率94.7%とPIPCがすぐれる傾向がみられ, 一方, MIC50μg/ml以上の耐性菌感染例ではPIPC投与群の除菌率12.5%に対して, BRL投与群の除菌率は66.7%と高く, 両薬剤間に有意差が認められた.<BR>5. 副作用解析対象293例中, 何らかの自他覚的副作用の出現例はBRL投与群5例, PIPC投与群11例で, 両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>6. 臨床検査値異常化解析対象286例中, 何らかの異常化が認められた症例は, BRL投与141例中45例 (31.9%), PIPC投与145例中28例 (19.3%) で, 両薬剤投与群間に有意差が認められた. 臨床検査項目別にみると, GPT上昇がBRL投与140例中26例 (18.6%), PIPC投与140例中14例 (10.0%), BUN上昇がBRL投与128例中0, PIPC投与127例中4例 (3.1%) と, それぞれ両薬剤投与群間での異常化率の差に有意傾向が認められた.<BR>7. 有効性と安全性を勘案して判定した有用性は, 全症例ではBRL投与群の有用率 (極めて有用+有用) 76.3%, PIPC投与群の有用率の74.8%, 肺炎・肺化膿症症例における有用率はBRL投与群81.0%, PIPC投与群75.3%, 慢性気道感染症症例における有用率はBRL投与群70.0%, PIPC投与群74.1%と, いずれも両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>以上の成績より, BRL1日3.2gの投与はPIPC1日4gの投与と略同等の呼吸器感染症に対する有効性と安全性を示し, とくにβ-lactamase産生菌感染症に対しても有効性を示すことが確認され, BRLが呼吸器感染症の治療上有用性の高い薬剤であると考えられた.
著者
三浦 拓也 山中 正紀 武田 直樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.CbPI2229, 2011

【目的】近年,慢性腰痛症において脊椎に直接付着する体幹深部筋群,特に腹横筋の機能不全が注目されている.また,この腹横筋の機能不全に対して過去に行われた介入研究では疼痛の変化や質問紙でのみ評価しているものが多く,筋厚の変化といった形態学的な視点からみたエクササイズ(ex.)の効果や,より機能的な肢位における腹横筋の活動に与える影響について検討している研究は見当たらない.そこで本研究の目的は,超音波画像を使用して慢性腰痛症例に対する体幹安定化ex.が腹横筋の筋厚や疼痛,機能障害レベルに及ぼす効果を究明することとした.<BR>【方法】3か月以上続く慢性腰痛を有する本学学生19名を対象とし,介入期間中に体幹安定化ex.を行うex.群と,対照としてのcontrol.群の2群に群分けし,被験者をランダムに割りつけた(ex.群:12名,con.群:7名).介入期間は10週間とし,開始前(baseline),中期(5週目;5 wks),終了後(10週目;10 wks)にそれぞれ3回計測を行った.期間中使用する体幹安定化エクササイズはAbdominal Drawing-in Maneuvers(ADIM)とし,10秒保持を10回繰り返すことを目標として1日15分,週3回行った.また,被験者にはエクササイズ実施日などを記入するためのself check sheetを配布し,最終日に回収した.con.群には期間中に体幹安定化ex.を実施しないよう指示した.次に,計測手順として,まず始めに各質問紙表(Oswestry Disability Index 2.0;ODI 2.0,Roland Morris Disability Score;RMD,McGill Pain Questionnaire;MPQ,VAS)に回答してもらい,その後,背臥位,座位,立位,Active Straight Leg Raise(ASLR)といった異なる4姿勢における腹横筋の筋厚(安静時,動作時)を,各々3回ずつ,超音波画像により計測した.ASLRは計測側に対して同側,対側での下肢挙上を行った.計測機器はEsaote社製MyLab25(リニアプローブ,12MHz)を用いた.データ処理は各群,各姿勢,各時点における腹横筋筋厚の3回計測の平均,また各質問紙のスコアを算出した.筋厚,筋厚変化率に関する統計解析は反復測定による一元配置分散分析を用いて行い,post hoc testにはBonferroniを使用した.質問紙スコアに関してはWilcoxonの符号付き順位検定を用いて比較した.有意水準は0.05未満とした.<BR>【説明と同意】本研究の被験者には事前に書面と口頭により研究の目的,実験内容,考えられる危険性等を説明し,理解と同意を得られた者のみ同意書に署名し,実験に参加した.本研究は本学保健科学研究院の倫理委員会の承認を得て行った.<BR>【結果】まず期間中,ex.群の1名が音信不通によりドロップアウトしたため,解析の対象から除外した.ex.群の腹横筋安静時筋厚は5 wks,10 wksにおいて,背臥位に比して座位,立位で有意に増加した(p<0.001).同様に,ex.群の腹横筋動作時筋厚では座位,立位においてBaselineに比して5 wks,10 wksで有意な筋厚増加を認めた(p<0.05).ex.群のASLRに関しては5 wks,10 wks時に同側,対側下肢挙上共に安静時に比して動作時に有意な筋厚の増加を認めた(p<0.001).しかしながら,以上の3結果はcon.群では同様の結果は認められなかった.VAS,ODI,MPQに関して,ex.群でのみBaselineと10 wksの間で有意差が認められた(p<0.01).<BR>【考察】本結果から,ex.群の腹横筋安静時,動作時筋厚は座位,立位で増加し,またASLRは動作時に有意に筋厚が増加するようになった.過去に,健常者で見られる腹横筋の自動的収縮が慢性腰痛症例では見られなかったという報告がある.つまり,本研究から慢性腰痛症例に見られる腹横筋の機能不全がex.により改善したために座位,立位といったより機能的な肢位への姿勢変化に対して腹横筋の自動的収縮を引き出せるようになり,更には腹横筋を活動させやすくなったことが動作時筋厚の増加につながったことを示す.動作時筋厚の増加もex.の効果を示す指標ではあるが,これがより機能的な肢位における腹横筋の自動化された応答活動につながらなければ真に腹横筋の機能が改善したとは言えない.故に,腹横筋の自動化された収縮とはADIMのような意識的な収縮とは異なり,より体幹の安定性に対する腹横筋の本質的な機能を反映すると考えられる.質問紙スコアに関しては,ex.による脊椎安定性の向上が機械的ストレスを減弱させ,これが疼痛や機能不全の改善につながったものと考える.しかしながらcon.群では同様の結果が認められなかったことから,con.群では腹横筋の機能不全が持続していることを示唆する.<BR>【理学療法学研究としての意義】本研究から,体幹安定化ex.の効果を検討する際は,腹横筋の自動化された収縮に着目して評価することが重要であることを示した.
著者
武田 憲昭
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.335-342, 1996 (Released:2009-06-05)
参考文献数
10
被引用文献数
6 9

Neural mechanisms of gaze, vertical and rotatory nystagmus are reviewed. For all eye movements, eye velocity is an oculomotor parameter. Eye velocity signals are transformed by a neural integrator in the brain stem to obtain the eye position signal. A lesion of neural integrator leads to gaze-evoked nystagmus. Vertical nystagmus arises from a lesional or functional tone imbalance, which is due to disruption of the central vestibulo-ocular reflex pathway in the pitch plane. Downbeat nystagmus is caused by lesions between the vestibular nuclei or flocculus. Upbeat nystagmus is caused by lesions in the brachium conjunctivum, the ventral tegmental pathway and the prepositus hypoglossal nucleus. Rotatory nystagmus involves an epicodic ocular tilt reaction, which is a clinical sign of an imbalance of the central vestibulo-ocular reflex in the roll plane. Unilateral infarction of the brain stem leads to rotatory nystagmus.
著者
河野 美江 執行 三佳 武田 美輪子 折橋 洋介 大草 亘孝 川島 渉 布施 泰子
出版者
全国大学メンタルヘルス学会
雑誌
大学のメンタルヘルス (ISSN:24332615)
巻号頁・発行日
no.2, pp.82-89, 2018-10

近年、大学生の性暴力事件が報道されているが、実際は大学相談機関に被害者が相談に来ることは少なく、被害者が安心して支援を求められる体制整備は喫緊の課題である。今回我々は、大学における性暴力被害者に対する支援や性暴力に対する予防教育の必要性を明らかにすることを目的に、大学生における性暴力被害の実態と性暴力に関連する知識を調査し、性暴力被害経験と精神健康度との関連について検討した。 対象と方法:機縁法にて協力の得られた10大学20歳以上の大学生3,357人に無記名・自記式のアンケート調査を実施、有効回答の得られた643部を分析対象とした(回収率19.6%)。結果:レイプ未遂は7.8%(男子3.1%、女子9.7%)、レイプ既遂は2.6%(男子1.6%、女子3.1%)、何らかの性暴力被害経験は42.5%にあった。緊急避妊ピルについての知識は60.0%にあったものの、性暴力救援センターについては13.7%であった。また、性暴力被害経験のある学生のGHQ 得点は4.2±3.2点と被害経験のない学生に比べ有意に高く(p<0.001)、被害強度、被害重複数と弱い相関が認められ(p<0.001)、重度の被害ではメンタルヘルスに深刻な影響をもたらすことがわかった。 以上より、大学生に対して、性暴力に対する予防教育を行うと共に、大学の相談機関における性暴力被害者に対する支援方法の確立が急務と考えられた。
著者
飯野 なみ 西村 拓一 福田 賢一郎 武田 英明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1K3J401, 2019 (Released:2019-06-01)

本稿では,ギター奏法知識におけるオントロジーと手続き的知識の併用による知識の構造化について考察する.我々はこれまで,社会活動一つである楽器演奏に着目し現場の知識を収集・体系化してきた.中でも奏法の種類が多いクラシックギターを取り上げて,ギター奏法オントロジーを構築した.しかし,複雑な記述形式を持っているために分野の専門家にとって理解し難いという課題がある,本研究では,ギター奏法オントロジーと手続き的知識の併用による知識の構造化プロセスを設計し,オントロジー専門家と分野の専門家が取り組むための要件や技術などを明確にした.さらに分野の専門家に対するアンケート調査から,本プロセスの有用性を確認することができた.
著者
竹崎 あかね 前山 薫 朱 成敏 武田 英明 吉田 智一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1F4OS17b01, 2019 (Released:2019-06-01)

作付計画の際に複数作物の経営指標を比較検討する場面を想定し,農作業基本オントロジー(AAO)を共通語彙に利用した作業時間分析を提案した.農業経営指標の作業時間は,データ名を変換しないと野菜栽培体系間で比較ができなかった.AAOに対応付けて作業時間を集計することで,データ名を変更せずに,作業目的や旬別による野菜栽培体系間の比較が可能になること,AAOの下位階層で集計すれば具体的作業の比較も可能になること,AAOに対応づけた他の基準での比較も可能であることを確認し,作業時間の分析が簡便化すると結論づけた.
著者
加藤 沙織 渡部 美穂 武田 輝美 高橋 俊章
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0888, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】リーチングは,発達過程の様々な場面で頻繁に行われ,姿勢制御の能力を向上させ,奥行き知覚の発達などに寄与する。しかし,脳性麻痺痙直型両麻痺児はスムーズな重心移動が困難であり,代償運動や特異的な運動パターンを用いることが多い。本研究の目的は,痙直型両麻痺児者のリーチング動作時の各身体部位の運動角度と移動距離および重心移動を定量化し代償運動を明らかにすること,リーチング促通の介入ポイントを検討することである。【方法】脳性麻痺痙直型両麻痺児者(年齢15.6±6.3歳,両麻痺群)7名,健常成人(対照群)8名を対象に座位前方へ利き手側のリーチングを行った。両麻痺群は自力,他動的骨盤前傾操作,体幹伸展操作の3条件,対照群は自力の1条件で行った。ハイブリッド高速度カメラを使用して,頭部,C7,Th7,S1,ASIS,大転子,外側裂隙,肩峰,尺骨茎状突起の移動距離・速度,頸部・体幹・股関節の運動角度を算出した。また,重心動揺計を用いて軌跡長・単位軌跡長を計測した。統計処理は,3条件のパラメータの比較には一元配置分散分析及びTuker法,両麻痺群と対照群の比較は対応のないt検定,尺骨茎状突起と各身体部位の移動距離との関係をPearsonの相関係数を用いて検討した。統計ソフトはSPSSver.22を用い,有意水準は5%とした。【結果】自力リーチングにおいて,両麻痺群は対照群より,移動距離は頭部,C7及び尺骨茎状突起が有意に長く,ASISは有意に短かい(p<0.05)。また,股関節屈曲角度は有意に小さく,上・下部体幹屈曲角度は有意に大きかった(p<0.05)。また対照群は尺骨茎状突起と外側裂隙,頭部,Th7,C7の移動距離に高い相関(それぞれr=.51,r=.64,r=.69,r=.76,p<0.01)があり,両麻痺群は頭部にのみ高い相関があった(r=.78,p<0.05)。骨盤操作の場合,体幹操作より各部位の速度の増加,軌跡長や単位軌跡長が増加し,体幹伸展は小さい傾向があった。また,尺骨茎状突起と頭部,Th7,C7の移動距離に高い相関(それぞれr=.76,r=.84,r=.87,p<0.05)があった。体幹操作の場合,骨盤操作より頸部伸展角度及び上部体幹屈曲角度は減少し,軌跡長は有意に小さかった(p<0.05)。尺骨茎状突起とASIS,頭部,S1,Th7,C7の移動距離に高い相関(それぞれr=.84,r=.84,r=.85,p<0.05。r=.91,r=.94,p<0.01)があった。【結論】下部体幹や骨盤周囲の筋緊張が低下している両麻痺児のリーチングの代償運動は,骨盤の運動性低下のため,肩甲帯や上肢を過剰に前方に移動し,目標物を目視するために頸部は過剰に伸展する傾向がある。よりスムーズな重心移動や遠い場所へのリーチングを促通するための理学療法ポイントは,リーチングと骨盤運動を連動させるための体幹操作が有効であり,少ない重心移動でリーチングが可能になることがわかった。
著者
山戸 美智子 浅見 佳世 武田 義明
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-13, 2004
参考文献数
50

沖縄諸島以南の琉球列島において,半自然草原の群落分類を再検討した結果,ススキクラスの3群団に,4群集と4下位単位が認められた.オーダーについては未決定とされた.琉球列島において,高速道路法面や飛行場といった除草管理下の都市域の造成地に広がるチガヤ型草原は,シロバナセンダングサ,コバナヒメハギ,アメリカホウライセンブリなどの出現によって,新群集のチガヤ-シロバナセンダングサ群集としてまとめられた.本群集は一年生植物,帰化植物,ヨモギクラス,シロザクラスの種の比率が高く,半地中植物やススキクラスの種の比率が低いという特徴をもつ.この特徴は,東北から九州にかけて同様の立地に成立するチガヤ-ヒメジョオン群集と類似しており,本群集は本土のチガヤ-ヒメジョオン群集に対応する琉球列島における除草草原型の群集と考えられた.また,ススキ型の群集として,ススキ-ホシダ群集が認められたが,本群集は2つの下位単位に区分され,この下位単位の分化は管理の有無に対応していた.管理の放棄された立地で認められた典型下位単位は,伝統的な管理地に見られるキキョウラン下位単位とは,種組成や相観の変化に加えて,種多様性も大きく低下していた.このように,琉球列島の半自然草原では,本土と同様に,除草,管理水準の低下といった近年の草原における環境条件の変化が,半自然草原の植物社会に新たな組成群の形成や種組成の単純化などの影響を与えていることが明らかとなった.さらに,旧来の半自然草原は,管理水準の低下だけでなく,草地改良などによっても急速に減少している.今後,生物多様性保全の観点から,琉球列島における半自然草原の詳細な現状把握や保全対策を早急に進める必要性が示唆された.
著者
武田 恒夫
出版者
国華社
雑誌
国華 (ISSN:00232785)
巻号頁・発行日
no.956, pp.9-16,図巻頭4枚, 1973-03
著者
信田 卓男 圓尾 拓也 岩崎 孝子 川村 裕子 武田 晴央 斑目 広郎 茅沼 秀樹 菅沼 常徳
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.57-60, 2009-01-20
参考文献数
22
被引用文献数
1

犬の皮膚肥満細胞腫58例に対して,プレドニゾロンを1日1回投与して1~4週間後に腫瘍の縮小効果を判定した. プレドニゾロン投与量の中央値は21.5mg/m<sup>2</sup>であった. プレドニゾロンによる肥満細胞腫の縮小は35例で認められ,反応率は60.4%であった. また,完全寛解(CR),部分寛解(PR)が得られるまでの期間の中央値はそれぞれ14日,10.5日であった. 反応群35例(CR7例,PR28例)と非反応群23例(無変化(SD)18例,増大(PD) 5例)では初回の腫瘍体積に有意差が認められ(p<0.001),反応群の体積中央値は2.69cm<sup>3</sup>,非反応群は18.85cm<sup>3</sup>であった. プレドニゾロンは犬の皮膚肥満細胞腫の治療に重要であることが再確認され,腫瘍体積の小さいものほど有効であることが明らかとなった.
著者
工藤 由紀子 武田 利明
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.25-34, 2009
被引用文献数
1

本研究では,後頭部への冷罨法の有効性に関する実証データを得ることを目的とし,蒸し暑い条件下で氷枕を使用した健康な成人を対象として研究を行った.対象は50歳代前後の成人男性13名(54.9±5.1歳) であった.冷罨法に対する対象の主観をもとに,属性,POMS,血圧,呼吸,心拍変動を検討した.<br/> その結果,主観的評価では冷罨法の好感度が高い「快適群」は7名,好感度が低下あるいは変化がない「非快適群」が6名であった.POMSではT-A (緊張-不安),D (抑うつ-落ち込み),F (疲労) において冷罨法前後の得点の主効果が有意であり,冷罨法後の得点が低下していた.血圧や呼吸などの循環動態では有意差がなかったが,心拍変動では心拍数において冷罨法前後で交互作用が認められ,「快適群」において冷罨法前後の単純主効果が有意であった (p<0.001).<br/> また「非快適群」の6名について個別に検討した結果,2名がPOMSのT-A (緊張-不安),F (疲労)において冷罨法後に得点が上昇していた.また冷罨法後に呼吸数,心拍数,LF/HFが上昇している対象がおり,それぞれPOMSのネガティブな気分が上昇している対象と同一であった.<br/> 以上の結果から,冷罨法を快適であると感じる対象に関してはPOMS,心拍変動の面から裏づけとなるデータを得ることができた.しかし冷罨法を快適と思わない対象に冷罨法を提供するのは,主観的な面,および生理学的視点から望ましくない影響があることが示唆された.
著者
木田 春代 武田 文 門間 貴史 朴峠 周子 浅沼 徹 藤原 愛子 香田 泰子
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.3-14, 2015
被引用文献数
2

Objective : This study investigates whether the working status of mothers results in an unbalanced diet (no acceptance of disliked foods) of their preschool children, and the relationship of the preschool children's unbalanced diet and its relevant factors.<br>Methods : This cross-sectional study was conducted using the responses of 1,145 mothers at 15 public kindergartens in a suburban city located in the Kanto region. A self-rating questionnaire examined mother's age and working, child's age and gender, the unbalanced diet of mother and their child, and eating education provided to child.<br>Results : The unbalanced diet of children were not associated with the working status of their mothers. Among non-working mothers, the causal factors of the unbalanced diet of their children were classified as the unbalanced diet of the mother, neglecting to instruct child not to waste food, not giving to child's meal child disagreeable foods or weak foods. Among working mothers, not engaging their child to help in the preparation of meals was the most prominent cause of children's diet unbalances.<br>Conclusion : It was suggested that although the working status of mothers has no direct effect on the unbalanced diet of their childrens, differences in the factors relating to the unbalanced diet of their childrens depend on whether the mother is employed or unemployed.
著者
木田 春代 武田 文 荒川 義人
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.20-28, 2016
被引用文献数
1

【目的】幼児の偏食の改善に向け,幼稚園における野菜栽培の有効性を明らかにする。<br>【方法】北海道某市内5幼稚園に通う年少児379人を対象に,野菜栽培活動を実施する3園(241人)を実施群,実施しない2園(138人)を非実施群として,10か月間の縦断調査を実施した。栽培野菜はトマトであり,栽培前,収穫後,収穫後6か月(フォローアップ)の3時点において,母親が無記名自記式質問紙に回答した。主要評価項目として偏食,副次評価項目としてトマトに対する嗜好,食に対する興味・関心を設定し,各群において経時変化を観察するとともに,収穫後およびフォローアップの各時点において,偏食を改善した者の割合の群間比較を行った。<br>【結果】実施群では,偏食しない幼児が栽培前に比べて収穫後,フォローアップにおいて有意に増加した一方,非実施群では有意な変化は見られなかった。また,フォローアップにおいて実施群は非実施群よりも偏食を改善した幼児の割合が有意に高かった。さらに,実施群ではトマトが好きな幼児,「野菜について知っていることを楽しそうに話す」幼児,「食べ物を残すことは『もったいない』という」幼児が栽培前に比べて収穫後やフォローアップにおいて有意に増加した。一方,非実施群ではいずれの項目も有意な変化はみられなかった。<br>【結論】幼稚園におけるトマトを用いた野菜栽培は,幼児の偏食に良い影響をもたらす可能性が示唆された。
著者
木田 春代 武田 文 朴峠 周子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.112-119, 2012-02-15
参考文献数
32

<b>目的</b>&emsp;幼児を持つ母親の偏食の状況について嫌いな食品の摂取行動と食物摂取の関連性を明らかにするとともに,嫌いな食品の摂取行動が自身の幼少期の食生活とどう関連しているかを明らかにする。<br/><b>方法</b>&emsp;A 県 B 市の公立幼稚園15か所の園児1,145人の母親を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った。質問項目は,属性,嫌いな食品の摂取行動,嫌いな食品の数,食物摂取頻度,幼少期の共食者,幼少期に受けた食教育とした。回収した797部(回収率69.6%)のうち,嫌いな食品の摂取行動についての回答があった685人(有効回答率59.8%)を分析対象とした。<br/><b>結果</b>&emsp;嫌いな食品を「食べる&bull;たぶん食べる」者は「食べない&bull;たぶん食べない」者よりも,嫌いな食品の数が少なく食物摂取状況が良好であった。幼少期に受けた食教育16項目との関連をみたところ,下位の 4 項目で有意な関連が認められ,食事づくりを手伝った/おかずは一人分ずつ盛りつけられていた/食事時はテレビを消していた/子ども向けに味付けや切り方が工夫されていた者は,嫌いな食品を食べる傾向にあった。<br/><b>結論</b>&emsp;幼児を持つ母親の嫌いな食品の摂取行動は食物摂取状況と関連しており,幼少期の家庭において子どもが食べやすい食事が出され食事に集中しやすい食生活環境が整っていたかどうかと関連していたことから,これらの食教育を推進する必要性が示唆された。
著者
桐 広樹 端山 昌樹 前田 陽平 識名 崇 増村 千佐子 岡崎 鈴代 奥野 美香 武田 和也 津田 武 猪原 秀典
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.39-44, 2018 (Released:2018-07-31)
参考文献数
12

歯性上顎洞炎は耳鼻咽喉科と歯科の両方で治療が行われており,治療方針も各施設によって異なっている。今回,われわれは歯性上顎洞炎の診断および治療を検証するために,歯性上顎洞炎30例32側を対象に,診断モダリティおよび治療方針について後向きに検討を行った。初期治療として抜歯とESSが行われた9例では再発を認めなかったものの,抜歯だけが行われた12例のうち8例で後にESSが行われた。また歯科用単純X線写真にて原因歯の診断が可能であったのは55%であり,歯性上顎洞炎の診断にはCTでの読影が必要であると考えられた。いずれも後向きの検討であり,今後治療方針を一定にした前向き研究が必要であると考えられた。