著者
曷川 元 小川 洋二郎 青木 健 柳田 亮 岩崎 賢一
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.508-513, 2012 (Released:2012-10-25)
参考文献数
24
被引用文献数
2

Objectives: Acute hypoxia may impair dynamic cerebral autoregulation. However, previous studies have been controversial. The difference in methods of estimation of dynamic cerebral autoregulation is reported to be responsible for conflicting reports. We, therefore, conducted this study using two representative methods of estimation of dynamic cerebral autoregulation to test our hypothesis that dynamic cerebral autoregulation is impaired during acute exposure to mild hypoxia. Methods: Eleven healthy men were exposed to 15% oxygen concentration for two hours. They were examined under normoxia (21% O2) and hypoxia (15% O2). The mean arterial pressure (MAP) in the radial artery was measured by tonometry, and cerebral blood flow velocity (CBFv) in the middle cerebral artery was measured by transcranial Doppler ultrasonography. Dynamic cerebral autoregulation was assessed by spectral and transfer function analyses of beat-by-beat changes in MAP and CBFv. Moreover, the dynamic rate of regulation and percentage restoration of CBFv were estimated when a temporal decrease in arterial pressure was induced by thigh-cuff deflation. Results: Arterial oxygen saturation decreased significantly during hypoxia (97±0% to 88±1%), whereas respiratory rate was unchanged, as was steady-state CBFv. With 15% O2, the very-low-frequency power of CBFv variability increased significantly. Transfer function coherence (0.40±0.02 to 0.53±0.05) and gain (0.51±0.07 cm/s/mmHg to 0.79±0.11 cm/s/mmHg) in the very-low-frequency range increased significantly. Moreover, the percentage restoration of CBF velocity determined by thigh-cuff deflation decreased significantly during hypoxia (125±25% to 65±8%). Conclusions: Taken together, these results obtained using two representative methods consistently indicate that mild hypoxia impairs dynamic cerebral autoregulation.
著者
盛永 俊太郎 栗山 英雄 青木 政春
出版者
日本遺伝学会
雑誌
遺伝学雑誌 (ISSN:0021504X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.297-304, 1942 (Released:2007-04-04)
参考文献数
1
被引用文献数
1 2

(1) Some clonal individuals of a haploid plant of Dekiyama produced, in 1933, several diploid tillers which were normal in every respects (1). In the self pollination progenies traced back to those diploid tillers, certain lines in 1936 segregated, besides the normal plants, very small and sterile individuals nearly in a monohybrid recessive ratio (Table 1). A majority of the normal plants also segregated the dwarf type next year in the same ratio.(2) At germination, most of the seeds which develop into the dwarf produce hairs very poorly on the epiblast and coleorhiza (Fig. 3). Though the dwarf is discriminated from the normal even in the first foliage stage, the distinction of the two types becomes very clear with the development of the second leaf on account of its short and narrow sheath and short and curved blade.(3) The upper epidermis of the young dwarf leaf is very characteristic for its far larger number of bulliform cells and the shortness of the ripple wall ones (Figs. 7 and 8).(4) The dwarf grows more slowly in length than the normal, though it tillers more quickly. The dwarf in maturity is smaller than the normal in every respects of the plant, and the height of the plant is only about 1/4 of that of the normal (Table 3). The development of the flower organs is poor, and no seeds are produced.(5) Micro- and megasporogenesis is carried through very regularly in the dwarf, but it can not produce any viable pollen-grains or embryo-sacs. Strange to say, a fairly large percent of ovaries contained two ovules (Fig. 16).(6) We can not tell at present whether this sterile and extremely dwarf mutant is caused by a simple factor mutation or by a loss of a small portion of a chromosome.
著者
高畑 文雄 小野里 好邦 嶋本 薫 初田 健 三橋 龍一 青木 由直 棚橋 真 村井 純 佐藤 亨 木村 磐根 藤崎 清孝 大迫 陽二 立居場 光生 都築 伸二 田崎 三郎 岡 育生 藤原 値賀人 越後 宏 康 健 大沼 孝一 佐藤 利三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.435-456, 1997-05-25
被引用文献数
28

衛星の高機能化,無線周波数帯Kuバンドの使用,地球局設備の小型化・低廉化,電気通信事業法の改正に伴う民間企業の衛星通信ビジネスの参入などによって, 衛星通信に関する大学独自の実験・研究が可能になったことをふまえ, 大学を中心とした多数の教育機関と電気通信事業者からなる組織化された研究・実験機関である「ディジタル衛星通信の大学間高度共同利用研究協議会」を設立した. 本報告では, 上記協議会について概説した後, 協議会のもとで衛星を介して実施されている主要な実験・研究として, マルチメディア衛星通信, 北海道統合通信網, 知的通信による手話画像伝送, インターネットアーキテクチャにおける衛星通信の利用などを取り上げて, その内容を紹介する.
著者
阿久津 昌三 青木 澄夫 梅屋 潔 小泉 真理 澤田 昌人 阿部 利洋 ウスビ サコ
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本調査研究の目的は、現代アフリカにおける独裁者の虚像と実像に関する民族学的研究という研究課題のもとに、(1)軍事独裁、2)一党独裁(3)個人独裁という3つの政権の実態があることを探究することである。現代アフリカの7カ国、6独裁者(為政者)について現地調査を実施した。具体的には、ンクルマ(ガーナ)、セク・トゥーレ(ギニア)、ケニヤッタ(ケニア)、ニエレレ(タンザニア)、アミン(ウガンダ)、モブツ(コンゴ)である。本調査研究は、権威主義的政権及び指導者を探究することによって、通時的、共時的な独裁の包括的分析を提示した。
著者
久保 光徳 寺内 文雄 青木 弘行 田内 隆利
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究はまず,1/fゆらぎを持った三次元形状が心地よさ(情動)に与える効果に着目し、このゆらぎを適用した立体格子と規則的に配列された立体格子を制作し,両者を心理的・生理的な観点から評価することで,心地よさ(情動)に及ぼす1/fゆらぎの影響を立体格子形状を通して明らかにすることを試みた。結果として,1/fゆらぎを持った立体格子は,その触り心地や自然な外観が心地よさ(情動)を提供する造形要因となりうることが示唆された。次に,デザインプロセスにおける"発想の飛躍(気づき)"をモデル化するために,一般的なデザインプロセスを表現する平面(デザインプロセス平面)を定義し,それに直交する平面を,プロセスを通してデザイン実践者が持つと想定できる情動やイメージを示す平面としてのイメージ平面を定義し"気づき"を図式化することの可能性を示唆した。最後にこの心地よさと気づきをいずれも情動と理性との複合空間により説明できるとし,基本的な情動モデルの提案を行った。
著者
青木 陽介
巻号頁・発行日
pp.16-19, 2013-09-29

よりみち建築スローランニング(北大ご近所編)しおり
著者
小林 孝次 中島 寛 青木 孝文 川又 政征 樋口 龍雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.41, pp.1-6, 1996-07-16
被引用文献数
35

位相限定相関はフーリエ変換を用いた相関の計算過程において、入力画像の振幅成分を固定値で置き換えるよう修正した新しいパターンマッチング・アルゴリズムである。位相限定の自己相関はデルタ関数となり、相関に比べてきわめて急峻な識別特性を持つ。また、画像の振幅の影響を受けず、像のずれは相関のピークが出現する位置のずれに変換されるといった性質を持つ。位相限定相関は今後様々な分野で普及するものと予想されるが、特に顔画像や指紋画像など、安定した特徴量の抽出が難しい画像のマッチングに適している。
著者
青木 保憲
出版者
同志社大学
雑誌
基督教研究 (ISSN:03873080)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.113-130, 2009-06

1940年代から始まった「新しい福音主義」は、ビリーグラハムの活躍と相俟って発展していく。しかし彼らに分裂をもたらしたのが「聖書理解」の問題であった。「新しい福音主義」を立ち上げたH.オッケンガやH.リンゼルは、「聖書は無謬である」という主張に基づいて、聖書が真実を語っているとする世界を生み出そうとした。しかし次の世代であるD.ハバード、ダニエル・フラー、そしてP.ジェウェットは、聖書の権威を守りつつも、社会に適応する神学を構築するために高等批評を受け入れていくのであった。前者は「新しい福音主義」の第一世代であり、社会に「歩み寄ろう」とした世代である。そして後者は、実際に一歩「歩み寄った」世代ということになる。当時は、この両方が混在していたのである。
著者
畠山 茂久 安野 正之 青木 康展 高村 典子 渡辺 信
出版者
国立公害研究所
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1987

重金属によって高度に汚染された宮田川を通年調査し, 付着藻類と水生昆虫について以下のような知見を得た. また代表的な重金属耐性種である硅藻やコケやコカゲロウの一種についてはその耐性機構の検討を始めた.重金属汚染地区から単離培養した硅藻と緑藻類は, その付近の非汚染河川から培養した藻類に比較し, 銅, カドミウム, 亜鉛に対しすべて高い耐性(50%光合成活性阻害値)を示した. 汚染地区から採取したラン藻は光合成活性試験では低い重金耐耐性を示し, 実際の河川での耐性機構を更に検討する必要がある. 種によっては汚染区と非汚染区の両地区に生育していたが, 同一種でも汚染区から単離培養したものは非汚染地区から採取したものよりも高い重金属耐性を示した. 重金属耐性種である硅藻の一種, Achnanthes minutissmaを銅を高度に添加した培養液中で3週間培養した. その結果, ほとんどの銅は細胞壁や硅藻の殻に分布し, その他は細胞膜や細胞内小器官の分画に存在した. 細胞内可溶性分画に存在する銅は極めて少なく, この種の耐性機構として, 銅の細胞内侵入防止, 有機酸による無毒化, あるいは銅が有機酸に結合後細胞外に排出されるなど機構が実験結果から示された.宮田川における重金属耐性水生昆虫としては, 数種類のユスリカ(幼虫), コカゲロウの一種Baetis thermicus, オドリバエの幼虫などが明らかにされた. 3種のコカゲロウを人工水路で10ppbのカドミウムに10日間暴露した. 3種はすべて同種度のカドミウムを蓄積したが, 暴露5日後から重金属耐性種のみ, 重金属結合蛋白が誘導され, その量は10日後にかけ増加する事が明らかにされた. 一般に重金属結合蛋白, メタロチオネインは有害金属を体内で結合し無毒化する. 誘導された重金属結合蛋白と本種の重金属耐性の関係を更に明らかにする必要がある.
著者
青木 万里
出版者
埼玉純真短期大学
雑誌
埼玉純真短期大学研究論文集 (ISSN:18827454)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-15, 2009-03-31

筆者は今まで青年期の発達支援に取り組む中で、大学生を対象に自己理解を深める働きかけが学生の自己洞察を促し、自己確立の手がかりとなることを事例研究・調査研究の形で報告してきた。今後、より効果的な自己理解の促進方法を検討するために、本稿では自己理解に関する先行研究を概観することを目的とした。日本及び海外の文献を検索したところ91件が抽出されたが、内容を整理し、自己理解に関するプログラム報告、自己理解因子を含む尺度研究、自己理解の発達研究など、今後の研究に有益と想定される文献55件を検討した。結果、自己理解に関するプログラムの実施は、自己理解に留まらず自尊心、自己受容、自己肯定感、他者理解の向上を始め自己の内面に様々な変化をもたらすことがわかった。特に幾つかの研究報告からは、自己把握に関する質問、自己の捉え直しや自己の一貫性を見出す手法、自己の内的傾向に関する自己理解因子の抽出など、今後の自己理解を深めるプログラムの改良や自己理解尺度の作成に有益な示唆が得られた。また大学生のどの時期にどの場面で、どの位の時間を要して自己理解の機会を提供することが最も効果的かは、今後実践の回数を重ねることでより一層の手法の洗練化が必要である。
著者
上田 隆之 中西 逸朗 飛塚 淳三 半沢 卓 遠藤 利光 富田 和男 青木 篤
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.65-69, 1987-02-20

N-(2, 6-ジアルキルフェニル)-4(または3)-カルボキシフタルイミドおよび関連化合物を合成し, アブラナ科野菜根こぶ病防除活性を検討した.フタル酸部の4位にカルボキシ基を導入したN-(2, 6-ジイソプロピルフェニル)-およびN-(2-s-ブチル-6-エチルフェニル)-4-カルボキシフタルイミド類は強い防除活性を示したが, エステル類の活性はアルコール部位の疎水性の違いにより変動した.アミド類は一般に効力が低かったが, 活性はアミン部位の疎水性に支配されていることが示唆された.これらの誘導体はいずれもカルボン酸に加水分解された後効力を発現しているものと推定した.フタル酸部の3位にカルボキシ基を導入した化合物には活性は認められなかった.
著者
青木 真純
巻号頁・発行日
2013

筑波大学博士 (障害科学) 学位論文・平成25年3月25日授与 (甲第6549号)
著者
山口 巧 堀尾 郁夫 青木 亮太 山下 登 田中 守 出石 文男 宮内 芳郎 荒木 博陽
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.133, no.11, pp.1249-1259, 2013 (Released:2013-11-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1 7

In 2009, the Japan Anti-Doping Agency (JADA) established Sports Pharmacist—a system for certified pharmacists. There are many over-the-counter drugs that contain prohibited substances in Japan, and they are easily available. In Japan, most doping violations are committed when athletes unintentionally take prohibited substances. Therefore, the Sports Pharmacist has a vital role in promoting the prevention of doping. In the present study, surveys involving a total of 350 athletes, (including 260 representatives of Ehime Prefecture in the National Athletic Meets and 90 college students who participated in the intercollegiate athletics Shikoku area meets), on awareness regarding doping and medical drugs were conducted. Using correspondence and logistic regression analyses, the results were examined to develop a model for the prediction of athletes' actions to cope with sickness based on changes in their awareness of anti-doping, and the relationship between them was also analyzed. The survey results suggested that attitudes towards doping were strongly influenced by gender, rather than the athletic ability and whether or not a doping test is scheduled. Their behavior and criteria for the selection of drugs to address sickness were strongly correlated with awareness of anti-doping. Therefore, athletes with an increased awareness of anti-doping are expected to consult a pharmacist prior to using medicine. The Sports Pharmacist should further promote environmental development, such as activities to improve awareness of doping among young athletes and the establishment of medical drug consultation services for athletes (female athletes in particular).
著者
津田 尚胤 貝戸 清之 青木 一也 小林 潔司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.801, pp.801_69-801_82, 2005 (Released:2006-05-19)
参考文献数
17
被引用文献数
17 16

本研究では橋梁部材の劣化予測のためのマルコフ推移確率モデルを推定する方法論を提案する. その際, 橋梁部材の劣化状態を複数の健全度で定量化するとともに, 時間の経過により劣化が進展する過程をハザードモデルで表現する. その上で, 一定期間を隔てた時点間における健全度の推移関係を表すマルコフ推移確率を指数ハザード関数を用いて表現できることを示す. さらに, 定期的な目視検査による健全度の判定結果に基づいて, マルコフ推移確率を推定する方法を提案する. ニューヨーク市の橋梁を対象とした実証分析により提案した方法論の有効性を検証するとともに, サンプル数と指数ハザードモデルの推定精度の関係について考察する.
著者
鈴木 守 青木 克己 小島 荘明 多田 功 相川 正道 辻 守康
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

1.本研究の目的現在マラリアをはじめとする寄生虫病は工業先進国を除き世界各地に蔓延している。とくに途上国においては、寄生虫病による慢性的な健康障害が地域経済の遅れの原因として指摘されている。日本の橋本首相は1997年7月のデンヴァーにおける先進国首脳会議において寄生虫病対策の重要性を指摘しG8(先進8か国)は率先して世界の寄生虫病対策を推進すべき旨を提案した。本研究は世界各地域の寄生虫病の問題点を特定し、1998年8月に予定されている第9回国際寄生虫学会の企画を進めることを目的に企画された。2.研究の結果(1)ヒトの感染するマラリアをはじめとする寄生虫病について、さらに重要な獣医寄生虫学、魚類寄生虫学につき、世界各地域の現状と世界的視野でどのような研究がどこで進められているかについて班員全員による調査研究が行われた。その結果第9回国際寄生虫学会の企画が九州大学多田功プログラム委員長により完成した。(2)橋本首相提案を考慮して「世界規模でみた寄生虫病による経済損失」に関する国際研究集会が東京で開催され、スイス(世界保健機関)イギリス(オックスフォード大学、リバプール大学)アメリカ合衆国(世界銀行)フィリピン(フィリピン大学)タイ(チュラロンコーン大学)より招聘された研究者が各課題につき研究結果を報告した。橋本提案推進上有効であったものと判断される。(3)寄生虫病の理解を深めるためには展示技術が極めて重要であるため、ロンドン大学に2名が派遣され研修を受けた。この結果は第9回国際寄生虫学会にご来臨が予定されている天皇、皇后両陛下に世界の寄生虫病の実状の展示をご覧いただくために活用される。
著者
松島 俊也 青木 直哉
出版者
日本認知科学会 = Japanese Cognitive Science Society
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.177-187, 2005-09

孵化後1週間のニワトリのヒヨコは、餌によって強化される色弁別課題を容易に獲得する。連合が成立した後に二つの色手がかりの択一選択を行わせたところ、短期的な採餌効率を正しく予期して選択することが分かった。さらに大脳の腹側線条体・側座複合(基底核)と弓外套腹側部(大脳連合野のひとつ)は、採餌効率の予期値の異なる時間因子に預かることが判明した。基底核を破壊すると、餌までの待ち時間を忌避するように選択がシフトした。他方、連合野を破壊した場合には、採餌局面における処理時間を忌避するように選択がシフトした。以上の結果から、ヒヨコの選択は①待ち時間(報酬遅延)と処理時間(労働コスト)の和を分母とする採餌効率の予期値に基づくこと、②これら二つの時間要素は脳内の別の領域に神経的基盤を持ち、神経生態学的に独立な因子であること、が判明した。Week-old chicks quickly learn to peck colored beads when reinforced by food rewards. In binary choice tests, the trained chicks made choices based on anticipated values of foraging efficiency. Two forebrain regions proved to be involved in the anticipation, i.e., ventral striatum / nucleus accumbens complex (basal ganglia) and arcopallium (an association area of lateral forebrain). Localized lesions of the basal ganglia caused an impulsive choice away from a long waiting time. On the other hand, lesions of the association area caused an impulsive choice away from a long consumption time. These results suggest that 1) chicks make choices based on foraging efficiency, in which sum of the waiting time (or time-to-reward) and the consumption time (or work cost) serve significant denominator, and 2) these two time domains have distinct neural substrates, thus are assumed to be neuro-ecologically distinct factors.
著者
青木 いづみ 進士 五十八
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.120-129, 2002-09-20
被引用文献数
1

本研究は,東京都の建築紛争において特に,高さを問題とする紛争を対象に,紛争建築物の階数をその周辺範囲の建築物の平均階数と比較してどの程度突出すると紛争となるか分析し,住民の建築物の高さに対する許容限界について把握することを目的とした。紛争建築物の影響圏は紛争建築物から半径300mの範囲とした。また用途地域・地域性による許容限界の違いについて考察した。その結果,(1) 許容限界は影響圏の建築物の平均階数と相関関係にあり,(2) 許容限界は住居系地域ではY=1.9422X-1.2376,商業系地域ではY=3.0172X-2.7344,工業系地域ではY=6.3698X-8.7268の近似直線で表すことができた。(3) 許容限界は山の手・川の手のような地域性によって異なること,また(4) 影響圏内建築物の平均階数が3階以下で2階建てが70%以上を占めるような町並みでは,建築紛争を避けるためには,住居系・商業系地域では3階,工業系地域では4階を住民の許容限界と見なす方が安全である。