著者
鈴木 圭輔
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001490, (Released:2020-08-08)
参考文献数
59
被引用文献数
4

新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019; COVID-19)の大流行に伴い,その対策や感染拡大防止に加え我々の社会的状況も激変しつつある.近年COVID-19に伴う神経症状は稀ではなく,頭痛は主な神経症状として注目されつつある.COVID-19に伴う頭痛の頻度は21臨床研究,8メタアナリシスにより5.6%~70.3%に認めた.一方COVID-19に罹患していない医療従事者などにおける頭痛は11.1%~81.0%にみられた.頭痛の詳細を記載した報告は少なかったが,本稿ではCOVID-19と頭痛の関連においてその頻度,特徴や病態について議論したい.
著者
西尾 幸一郎 西村 もえぎ 黒光 貴峰
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.266-273, 2019 (Released:2019-05-23)
参考文献数
19

本研究の目的は, 学習場所と家族の存在が子どもの学習動機づけに及ぼす効果を明らかにすることである. 主な結果は以下の通りである. (1) 男女ともに8割以上の児童が子ども部屋を保有しているが, 約半数の児童は家庭での学習場所としてリビングやダイニングを選択している. また, いずれの場所においても, 7割以上の児童が保護者やきょうだいなどの家族の存在を感じながら学習している. (2) リビングやダイニングでの学習については, 子どもが学習している時に家族の存在がいつもあることで自律的な学習動機づけは高くなり, 他律的な学習動機づけは低くなる. また, 女子のリビングやダイニングでの自律的な学習動機づけは男子と比べて低く, 子ども部屋での学習と比べても低い傾向がみられる. (3) 子ども部屋での学習については, 子どもが学習している時に家族の存在がいつもあることで自律的な学習動機づけは低くなり, 他律的な学習動機づけは高くなる傾向がみられる.
著者
中村 登流
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.155-173, 1962-12-31 (Released:2008-11-10)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

1.この研究はエナガ(Aegithalos caudatus trivirgatus)の蕃殖期生活の特殊性を明確にするため野外観察の結果をまとめたものである。2.1951年から1961年までの蕃殖期におけるのべ147回の野外調査により,48番,71巣を観察した。雌雄の区別は行動差,尾羽の曲り方の差,尾羽の破損状態,足環によって判別した。3.蕃殖期は比較的早期性で新葉ののびる時期に育雛期が来るように調整されている。早期営巣者は2月からはじめるが寒波によって影響されやすく,営巣期間が晩期営巣者より長い。4.番形成は営巣場所決定以前に行なわれ,番群は冬期群移行範囲の局部執着により出現する。営巣に入っても寒冷気候が戻った場合再び番群が形成される。5.営巣場所は林縁ならびに林冠部で,常緑性針葉樹に執着し10m以上の枝先にもっとも多い。落葉広葉樹の樹幹には3~10m,小灌木またはブッシュでは3m以下である。6.蕃殖期内で巣が破壊された場合営巣場所を変更する。蕃殖期末に破壊された場合再度営巣はしない。7.営巣は雌雄共同で行なう,営巣活動時間は休息時間とほぼ同じ位で,むしろ休息の方が多い。営巣期間は早期営巣者で2ヶ月もかかる場合があるが晩期営巣者は10日位である。8.塒は営巣初期の外廓ができるまでブッシュの中にとり,外廓ができて以後巣内でとる。9.抱卵活動は,巣外時間に対する巣内時間の比で示すと,前半で1に近く,後半で2に近い。10.夕刻巣へ入る時には雄が先導して雌が先に入り,後から雄が入る儀式的行動がある。11.孵化当時の給餌は抱雛している雌に雄が口うつしにし,雌が雛に与えるが数日にして雌雄が給餌行動をとるようになる。12.1羽当り1分間の給餌回数は0.03であり,初期と晩期でやや少ない。13.雌雄の給餌行動には雄が先導して先に雌が給餌し,その間雄はデスプレイ行ない,次に雄が給餌するという儀式的行動がある。14.主として雄が行なうup-right flight displayは営巣期には特定の場所で大規模に行なわれ,産卵•抱卵•育雛期には巣の周辺の一定空間で行なわれ,その活動が最高に達するのは孵化直後である。15.テリトリーははっきりせず巣の防衛が主であり,デスプレイは持ちながらテリトリーの主張をしない。
著者
岩崎 貴也 阪口 翔太 横山 良太 高見 泰興 大澤 剛士 池田 紘士 陶山 佳久
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.183-199, 2014-11-30 (Released:2017-05-20)
参考文献数
97
被引用文献数
1

生物地理学は、歴史的側面や生態的側面などの観点から、生物の分布パターンや分布形成プロセスの解明を目指す学問であり、進化生態学や群集生態学、保全生物学などの分野とも強い関連をもつ学際的領域である。1990年代以降、遺伝解析技術の恩恵を受けた系統地理学の隆盛によって、生物地理学は大きな発展を遂げてきた。さらに近年では「地理情報システム(GIS)」や、それを利用した「気候シミュレーション」、「生態ニッチモデリング」といった新たな解析ツールが、生物地理学分野に新しい流れを生み出しつつある。その基礎的な活用例として、現在の生物種の分布情報と気候要因から生態ニッチモデルを構築し、気候シミュレーションから得られた異なる時代の気候レイヤに投影するというアプローチが挙げられる。これにより、過去や現在、未来における生物の分布を予測することが可能となり、時間的な分布変化を推定することができる。さらに、GISを活用して、モデル化された生態ニッチや系統地理学的データを複合的に解析することで、近縁種間でのニッチ分化や、分布変遷史を考慮に入れた種分化要因の検証、群集レベルでの分布変遷史の検証なども可能となる。本総説では、最初に基礎的な解析ツールについて解説した後、実際にこれらのツールを活用した生物地理学とその関連分野における研究例を紹介する。最後に、次世代シークエンシングによって得られる膨大な遺伝情報や古DNAデータの有用性について紹介した後、それらの情報を用いた生物地理学や関連分野における今後の展望について議論し、GIS技術がその中で重要な役割を果たしうることを示す。
著者
黒田 清子 伊野 義博 権藤 敦子
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.25-36, 2017 (Released:2018-08-31)
参考文献数
20

本稿では, ブータンの掛け合い歌に見られる双方向性に注目し, フィールドワークによって得られた記述をフィードバックの観点から分析し, 教科内容としての学校教育における「歌うこと」を音楽文化の視点から再考することを目的とする。とくに, 歌唱領域において育むことのできる資質・能力についての考察を行う。ブータンの学校におけるツァンモ大会では, 臨機応変に, メタファーを活用し, 定型に歌詞を整え, 旋律を選択し, 演劇的なパフォーマンスで表現するなかで, 口頭性, 即興性, 応答性を活かした音楽表現が行われている。音楽文化をより広く捉えることによって, 教科内容としての歌う活動はより多様なものとなる。自らの思いを即興的に掛け合う行動や, すでにレパートリーとしてもっている旋律を借りて伝えたいことを表現する行動は, さまざまな文化に広く見られる。そこには, これまで学校教育で重視してきた表現力とは異なる可能性が存在する。
著者
真田 京一 吉村 一朗 金澤 和貴 萩尾 友宣 蓑川 創 内藤 正俊
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.493-496, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
6

【目的】今回Maisonneuve骨折に対し,吸収性螺子を用いて脛腓間固定を行った2症例を経験したので報告する.【症例1】63歳男性.階段を踏み外し転倒して受傷.単純X線でMaisonnueve骨折を認めた.内果骨折に対し骨接合術及び脛腓間を4.5mm吸収性螺子2本で固定した.術後1年で骨癒合良好であり内果の螺子の抜釘,吸収性螺子のヘッドの除去を行った.【症例2】53歳男性.ソフトボール中下腿外側へ他選手が乗り受傷.単純X線でMaisonnueve骨折を認めた.足関節鏡及び脛腓間を4.5mm吸収性螺子2本で固定した.【考察】従来遠位脛腓間固定には金属製螺子を使用されることが多かったが,抜釘の必要性や荷重の時期などが問題となる.吸収性螺子を使用することで,抜釘の必要性がなくなり早期の機能回復が期待できる.今回Maisonneuve骨折の2症例に対し吸収性螺子を用いた脛腓間固定を行い良好な成績を得ることができた.
著者
四方 康行 今井 辰也 鄒 金蘭
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.29-35, 2008-06-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
2
被引用文献数
2 3
著者
西本 章宏 勝又 壮太郎 本橋 永至 石丸 小也香 高橋 一樹
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.29-54, 2016 (Released:2017-01-31)
参考文献数
75
被引用文献数
1

本研究の目的は、コンテクスト効果の一種であるプライミング効果の枠組みを用いて、ある製品に対する支払意向額の判断において、当該製品とは異なるカテゴリーの製品との接触が消費者の支払意向額に与える影響を検証することである。また、プライミング効果の影響を調整する要因として、「製品カテゴリーに対する消費者の事前知識」と「製品カテゴリー間の類似性」を考慮する。さらに、消費者行動研究の視点から、価格競争に巻き込まれないための脱コモディティ化戦略の一施策を提示する。
著者
稲垣 久美子 古澤 亜矢子 村瀬 智子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.41-50, 2016 (Released:2016-09-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

目的:一般病棟で臨床経験を有する看護師が,初めて緩和ケア病棟に配属された後,2年未満に感じる心理的負担と対処の特徴について明らかにする.方法:質的記述的研究方法とし,半構成的インタビュー法を用い,得られたデータを質的帰納的に分析した.結果:7名の緩和ケア病棟看護師の個別分析結果を統合し,4段階の分析過程を経て,心理的負担は8の上位カテゴリーに集約され,心理的負担への対処は9の上位カテゴリーに集約された.結論:1)緩和ケア病棟看護師が配属後2年未満に感じる心理的負担の特徴は,【自分の経験がゼロになったような無力感と戸惑い】が中核となり,三層に構造化され,この中で,心理的負担は看護経験を重ねる過程で変化していたが,その一方で経験を重ねても抱き続ける心理的負担もあることが明らかになった.2)心理的負担に対して,看護経験を重ねる過程で後ろ向きの対処から前向きな対処へと変化しており,これらの変化に影響を与える要因には,緩和ケア病棟看護師のレジリアンスが関係していると考えられた.
著者
高杉 洋平
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.36-60, 2013-01-20 (Released:2017-12-01)

Following the Armistice which concluded the First World War, there occurred a strong international trend toward anti-militarism, and in Japan, as well, public opinion toward military downsizing gained traction. On the other hand, since Japan had not participated significantly in the actual fighting during the War, the Army's equipment was now utterly outdated in comparison with the armies of Europe and the United States, and a call arose for the modernization of the Armed Forces. Given these conditions, in 1925 Minister of War Ugaki Kazushige reduced the Army's strength by four infantry divisions and used the budget funding so released to modernize its equipment, thus accomplishing disarmament and modernization in one stroke. His political position was strengthened through this so-called "Ugaki Drawdown", and he was touted to be a promising candidate for Prime Minister. In 1925, returning to the post of minister of war in Hamaguchi Osachi's cabinet, Ugaki embarked on a second round of military reforms, which like his first arms reduction plan, aimed at disarmament combined with modernization. However, the plan ran aground after meeting fierce opposition from the General Staff, causing Ugaki to resign his position in the Cabinet. As to the question of why Ugaki's reform concept succeeded in the first arms reduction plan, but failed in the second, while the two plans have received considerable time and attention from researchers to date, they have focused mainly on each reform plan separately, and thus have had little success in clarifying the various factors which led to the success of one and the failure of the other. From this perspective, the author of the present paper compares the two reform plans on the basis of a sequential interrelationship, and attempts to clarify the various factors within and without the Army that destined each plan to success or failure, while examining the extent to which Ugaki and the General Staff were aware of those factors.
著者
守屋 誠司 長田 紀美 丹 洋一 詫摩 京未
出版者
一般社団法人 数学教育学会
雑誌
数学教育学会誌 (ISSN:13497332)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1-2, pp.49-60, 2017 (Released:2020-04-21)

教科書に掲載された通りに「数の分解と合成」,ブロック操作を行いながらの1 位数同士による繰り上りや繰り下がりの無い足し算・引き算,20 までの数が指導され,実態として指を使って計算する児童も多く存在するクラスを対象に,「繰り下がりのある引き算」の指導改善を目指して,「繰り上がりのある足し算」から次の方針で連続した指導を試みた。方針Ⅰ:事前調査を丁寧に行い,児童の実態を明らかにする。その上で,指導方略を検討し授業実践する。方針Ⅱ:既習の1位同士の加法と減法の計算技能習得をまず徹底させる。方針Ⅲ:ブロック操作は採り入れず,具体物で導入して,それを図で表現させながら考えさせる。最後に図と具体物を対応させて振り返らせる。これは,具体と抽象との行き来を確実にさせる意味がある。方針Ⅳ:教師が,個人学習での様々な結果をi-Pad で撮り込み,全体解決の一斉授業では児童が電子黒板上でその画像を使って発表・説明し,皆で確認する授業形態を採る。これは,ICT 利用の効果的成果を確認するためである。 ブロック操作を行わず図表現のみで通した場合,集中して思考でき,多様な方法を考えだす機会になっていることが確認できた。ブロック操作は,むしろ思考を中断させてしまう可能性が示唆された。
著者
二尾 健太 山口 太輔 坂田 資尚 下田 良 坂田 祐之 藤本 一眞 岩切 龍一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.8, pp.1939-1941, 2014-08-10 (Released:2015-08-10)
参考文献数
6

反応性amyloidosis(AMY)は慢性炎症により産生された血清amyloid Aの代謝産物が沈着し組織障害を来たす疾患であり,難治性合併症の一つである.症例は53歳,女性.反応性AMYによる急性腎不全を契機にCrohn病と診断された.消化管病変は胃・十二指腸から大腸まで広範に渡っていた.methylprednisolone(mPSL),granulocyte apheresis(GCAP),infliximab(IFX),dimethylsulfoxide(DMSO)等の集学的治療により症状は著明に改善した.通常反応性AMYは罹患期間が長期になるほど発症リスクが高くなるが,本症例の様に罹患範囲が広範な場合は早期より反応性AMYの合併に注意する必要がある.
著者
岡崎 章子 當具 摩弓 冨田 圭子 松井 元子 大谷 貴美子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成21年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.1030, 2009 (Released:2009-08-28)

【目的】食べ物のおいしさは、食物本来の化学的・物理的性質のほかに、食べる側の食体験や社会的・文化的背景の影響を強く受ける。そのおいしさを評価するのに、前者は機器分析によるさまざまな客観的評価法が研究されているが、おいしさを表現することばについてはほとんど研究されていない。本研究の目的は、食べ物のおいしさの表現用語と文化的背景との関係を明らかにすることである。ここでは、まず日本で幅広い世代に知られる料理漫画「美味しんぼ」の中で使用される食べ物のおいしさの表現用語に着目し、分類した結果を報告する。【方法】料理漫画「美味しんぼ」(小学館)1~102巻(1983~2008年)を調査対象とし、その中で使用されている食べ物のおいしさを表現する用語を抜き出し、感覚別、調理法別、食品群別、料理国籍別等にカテゴリーに分類、分析した。【結果】食べ物のおいしさを表現する用語を抽出したところ、11,888語あった。感覚別で最も多かったのは味覚関連用語(4,135)で、それに次いで嗅覚(2,166)、触覚(1,967)、視覚(895)に関連する用語であった。また感覚(五感)には分類されないが、製造法や原産地など食の安心・安全性に関連した用語も抽出され、知識・経験に基づく用語もおいしさを表現する上で重要な役割を果たしていることが示唆された。料理国籍の違いによって表現用語に大きな差は認められなかったが、調理法の違いによる差が認められた。また、「美味しんぼ」では魚介類に関連する用語が多く、そのおいしさを表現するのに、生臭みなどの嗅覚関連用語や、鮮度、主食との相性などに関する用語が用いられた。今後は、例えば異なる文化的背景における魚介類のおいしさを表現する用語について、比較検討を行う予定である。
著者
山家 芳子 斎藤 隆
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.261-264, 1999-12-31 (Released:2010-06-22)
参考文献数
7

R. multiflora var. adenochaeta, R. withuraianaおよびR.hybrida Hort.の数種の園芸種を用い, 組織解離酵素ドリセラーゼの1%液で処理したバラの種子の発芽に対する温度の影響について検討した.1) R.multiflora var.adenochaetaの種子をドリセラーゼ1%液で36時間処理した後, 5, 10, 15, 20および25℃の温度で発芽試験を行った結果, 20℃区で発芽は最も早く, 15℃区では若干遅れたが, 両区の最終発芽率は約75%の高発芽率を示した.10℃区では発芽はさらに遅れたが, 最終発芽率は82%と高かった.5℃区では発芽は著しく遅れたが, 41日目までに78%の発芽率を示した.25℃区では発芽は比較的早かったが, 最終発芽率は36%と低かった.2) R. wichuraiana, R. hybrida Hort. の‘Carolina’, ‘Playboy’およびRamblerの種子をドリセラーゼ1%液で48時間処理した後, 5, 10, 15, 20および25℃の温度で発芽試験を行った結果, いずれの品種でも10~20℃の範囲で発芽がみられたが, 温度による差は少なく, R.wichuraianaで10%前後, ‘Carolina’では15~20%, ‘Playboy’では25%前後, Ramblerでは5~10%の発芽率を示し, 品種によって若干差がみられた.いずれの品種でも5℃および25℃区では発芽はみられなかった.3) バラの種子の発芽に対する最適温度は10~20℃の範囲にあり, 5℃では発芽は遅れるが, 長期間を要すれば十分に発芽可能であり, 25℃では発芽率が低く, 高温過ぎると考えられた.
著者
石塚 陽
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.791-797, 1998-11-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
30
著者
畑 智子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.65, no.532, pp.231-238, 2000-06-30 (Released:2017-02-03)
参考文献数
29

From the study of the Japanese buildings and the exhibits at the Louisiana Purchase Exposition in 1904, St. Louis, it came to clear that Japanese buildings were built in the three areas, Japanese government place, each Japanese section of the exhibition buildings by the U.S.A., and in the 'PIKE' that was an entertainment place. All Japanese buildings were traditional Japanese style, and made by Japanese carpenters like the exhibition at Philadelphia 28 years ago. But we can recognize some element of transformation in the technique and the materials in that buildings. It is one of the transitional time at the fair of St. Louis through the international exhibitions in 19-20th century.
著者
鈴木 たね子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.182-187, 1976-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
50
被引用文献数
3
著者
荒井 龍弥 宇野 忍 工藤 与志文 白井 秀明
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.230-239, 2001-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
13

本研究では, 縮小過剰型の誤概念として小学生の動物概念を取り上げ, この誤概念を科学的な概念に修正するための境界的事例群を用いた教授法の効果を検討した。本研究の中心的仮説は, 境界的事例群を用いた教授により縮小過剰型誤概念が修正されるであろうというものであり, この仮説を検証するために, 3つの実験が行われた。実験はいずれも, 小学校5年生を対象とした理科の授業として行われ, 事前テスト, 自作のビデオ教材の視聴と視聴後の話し合いによる教授, 事後テストという3つのセッションで構成された。境界的事例群として水中のプランクトン事例群及び貝事例群を単独で用い, 食べる, 動く, 排泄するシーンを示すビデオ教材の視聴を行った第1, 第3実験では, 概念の組みかえを示す結果は得られなかった。境界的事例としてプランクトン事例と貝事例群を用いたビデオ教材の視聴を行った第2実験では, すべての課題の正答率が大幅に増加し, 仮説を支持する結果を得た。これらの結果から, 縮小過剰型誤概念の修正には, 2種の境界的事例群の対提示が有効であることが確認された。