著者
下田 慎治
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

原発生胆汁性肝硬変(PBC)は慢性非化膿性破壊性胆管炎を病理学的特徴とする臓器特異的自己免疫疾患である。今回胆管上皮細胞破壊におけるToll様受容体(TLR)リガンドとNK細胞の役割を明らかにした。TLR3リガンド刺激で単球から産生されるIFN-aの存在下で、TLR4リガンドで刺激されたNK細胞が、自己の胆管上皮細胞を破壊する事が明らかになった。実際に肝臓由来の単球からのIFN-a産生はPBCにおいてその他の疾患対照群と比較して亢進していた。また免疫染色の結果から破壊された胆管周囲にCD56陽性のNK細胞がPBCでより多く散在している事が明らかとなった。次にマウスモデルを用いて、病初期の免疫誘導にNK細胞のような自然免疫攻撃細胞の果たす役割を明らかにした。NK細胞を除去すると抗ミトコンドリア抗体の産生や自己抗原反応性T細胞からのサイトカイン産生が抑制された。しかし門脈域の炎症は対照群と比較して大きな差は認め得なかった。これらの結果は、PBCの病因病態は多段階あり、NK細胞は免疫寛容の破綻に関与している事が示唆された。
著者
藤原 隆広 熊倉 裕史 大田 智美 吉田 祐子 亀野 貞
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.347-352, 2005-09-15
被引用文献数
12 20

1. 京都府綾部市において, 2003年6月〜2004年5月までの1年間に毎月2〜3回の間隔で購入した市販のホウレンソウ(合計127サンプル)に含まれるL-アスコルビン酸(AsA)と硝酸塩の周年変動を調査した.2. AsA含量は, 夏期(7月〜8月)に低く冬期から春先(1月〜3月)にかけて高い傾向が認められた.また, この傾向は可食部上部(葉身側)で特に高かった.3. 硝酸塩含量は, 7月〜9月に高く, 1月〜3月に低い傾向が認められた.また, この傾向は可食部下部(葉柄側)で顕著であった.4. 生体重および葉色(SPAD値)と2つの品質成分(AsA含量と硝酸塩含量)との間に有意な相関が認められたが, これらの相関関係は外観形質から品質成分の多寡を推定するには十分ではないと判断された.
著者
粥川 一成 中保 仁 岡 信恵 亀淵 興紀 谷川 忍 矢口 少子 長 和彦 古川 宇一
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.113-120, 1999-02-10

6年生の自閉的傾向を持ったA君は思春期を迎え,これまでに見られなかったような様々な行動が目につくようになった。A君とかかわりをもった粥川は,まず彼にふさわしい指示理解の方法を探った。その結果,絵または文字によるカード等を用いて視覚的に見通しを持たせる支援をすると,指示理解ができやすくなり,意欲的に行動できることがわかった。また,青年前期に求められるものとして「家事の分担」があげられるが,この取り組みとして家庭での「おつかい」ができることををめざした。この場合にも,視覚的に見通しの持てる絵または文字カードを提示するなど,一定の条件があれば取り組めると実感した。その実践を報告する。
著者
松井 豊 望月 聡 山田 一夫 福井 俊哉
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

惨事ストレスへの耐性に関するプロアクティブな予測を行うために、消防署に配属された新人消防職員を対象にして、1年の間隔をおいて、心理検査・神経心理学的検査・脳科学的な検査を継時的に行った。2回の検査を受けたのは、消防職員7名と対照群として男子大学生2名であった。各神経心理検査得点について,大学生と消防職員を比較するために,Mann-Whitney検定を行った結果,各神経心理学検査得点には有意な差はみられなかった。職場配属から検査実施までの間で,衝撃をうけた災害へ出動経験があった消防職員が存在したので,被災体験があった消防職員(N=4)と被災体験がなかった消防職員(N=3)の神経心理学的検査得点を比較するために,Mann-Whitney検定を行った。その結果,Tapping Span(逆)に有意差傾向がみられ(p=.057),被災体験があった消防職員は,被災体験がなかった消防職員よりも得点が低かった。Tapping Span(逆)以外の神経心理学的検査得点には,被災体験による有無により,有意な差はみられなかった。また、効率的な検査実施のために、タブレット方パソコンを使って、検査過程を自動化するソフトの開発も行った。なお、研究協力者のスケジュールの調整がつかず、平成23年5月に検査が延びたため、研究終了が延期された。
著者
藤井 拓人
出版者
富山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

様々な癌細胞に異常発現するナトリウムポンプα3アイソフォーム(α3NaK)は、通常ナトリウムポンプが存在する原形質膜ではなく、rab10の存在する小胞に局在していた。ヒトおよびマウス癌細胞を用いたin vitro実験およびin vivo実験の結果、細胞内小胞に分布するα3NaKは、癌細胞の生存および成長に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
著者
石橋 寛二
出版者
岩手医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

口腔インプラント治療は、急速に適応が高まってきており、長寿社会へ貢献しつつある。近年、インプラント治療は中高齢者のQOLの向上とともにアンチエイジングにも貢献している。このようにインプラント適用患者が急速に高まっている現在においては、インプラント周囲に悪性腫瘍が発生して放射線療法が適用される場合が予測される。しかし、インプラント治療後の口腔領域に悪性腫瘍が生じ、腫瘍切除術に際して放射線療法が適用された場合におけるインプラント/骨界面に関する報告はなされていない。本研究では、インプラント埋入後に放射線療法が行われた場合における骨組織反応を明らかにすることを目的として、インプラント周囲骨組織の創傷治癒過程を想定した培養モデルを作成して解析した。平成21、22年度において、純チタン、表面処理チタン上で培養した骨芽細胞へ放射線照射を行い、細胞付着率、骨芽細胞分化マーカーを指標とした遺伝子発現について分析した結果、40,400mGy放射線量に比較して4000mGy放射線照射された骨芽細胞は、純チタン上と表面処理チタン上では共に細胞増殖速度の低下と細胞外基質生成、初期石灰化形成における細胞分化パターンの著しい低下を認めた。一方、40,400mGy放射線照射された骨芽細胞の分化は影響を受けず、純チタン上に比較して表面処理チタン上での骨芽細胞の分化は促進されることが認められた。本研究は、in vitro環境での一定条件下で骨芽細胞へ放射線照射を施したものではある。しかし、骨組織へ表面処理を施し骨伝導能を備えた純チタンインプラントを埋入後に放射線治療を余儀なくされた場合においては、表面処理を施さない純チタンインプラントに比較して骨のリモデリング時における骨基質生成と石灰化能の低下をある程度防ぎ、オッセオインテグレーションを恒常的に維持していくことができる可能性が細胞レベルで明かとなった。
著者
石川 永子
出版者
公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,事前復興の概念と参加型まちづくり技術を用いて,地域に暮らす災害時要援護者(特に障がい者)の避難・避難生活・復興という各フェーズの支援計画を事前に立案・策定するための,市民参画のプロセス・デザイン手法の開発を目ざした.そのなかでも,第一段階として,災害発生から避難所等の避難生活の期間について,神戸市兵庫区での実践研究を行った.災害時に住民による避難所の運営に関して,障がい者と地域コミュニティ・専門家・行政等が協働するイマジネーションスキルを向上させるためのトレーニングプログラムを企画・実践し,そのプログラムの効果と課題をCBRの戦略の考え方を用いた訓練のプログラムの試行と参加者の評価に関する調査を行い,それらをCBRの戦略のなかで重要とされる事項を参考にしながら分析した.
著者
周 金枝 (2007) 周 金枚 (2006)
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本研究では、防火服着用時の生体負担軽減の方策を探求するため、異なる防火服等着衣時の生体負担の相違について検討することを目的に、消防隊員及び学生を対象に、暑熱ストレス軽減及び活動性の向上をめざした改良試作防火服、試作冷却装置および半ズボンなど異なる着衣条件下で、高温に設定された人工気候室内でトレッドミルによる運動を行った際の温熱負担について、生理・心理的指標の両面から検討した。さらに、改良した防火服、冷却装置及び半ズボンなど異なる着衣条件における着脱衣感、快適性、動作性について質問紙等を用い検討した。トレッドミルによる運動負荷実験では、試作防火服及び試作PCMの着用により、平均皮膚温の上昇がやや抑制されるこが示されたが、直腸温、心拍数及び体重減少量においては着衣条件間に有意な差は見られなかった。一方、心理反応においては、現防火服は、試作防火服及び試作冷却装置の着用よりも、主観申告は、「暑い側」、「不快側」、「湿っている側」になった。さらに、試作防火服、試作冷却装置及び半ズボンにおける活動性について評価したところ、消防訓練活動を行った際に、足の上げやすさの項目で、試作防火服、試作PCM、半ズボン着用条件の方が評価が高かった。しかし、運動負荷テストまたは消防訓練活動を行った際の動作性は、現防火服着用時に比べ、試作防火服、試作冷却装置、半ズボン着用時は、上半身の動きにおいて評価が悪く、脱衣感のアンケートにおいても現防火服の方が軽いという評価であった。これらのことから試作防火服及び試作冷却装置の使用が運動時の身体的温熱負担軽減に大きく関与することはなかったが、心理的な暑さ、不快感の軽減には効果があることが示された。
著者
永西 修 四十万谷 吉郎 仮屋 喜弘 池田 健児 村井 勝
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.146-149, 1996-07-30
参考文献数
17
被引用文献数
2

セスバニアロストラータ(Sesbania rostraata)に濃厚飼料および青刈りトウモロコシ(Zea mays L.)を混合し,サイレージの化学成分および発酵品質に及ぼす影響について検討した。セスバニアロストラータへ玄米,ビートパルプ,フスマおよび圧片トウモロコシを混合することで,サイレージのin vitro乾物消化率(IVDMD)は高くなり,発酵品質ではpHが低下するとともに,酢酸含量の減少と乳酸含量が増加する傾向が認められ,フスマを添加した場合にその改善効果は顕著であった。セスバニアロストラータと青刈りトウモロコシの混合サイレージでは,青刈りトウモロコシの混合割合が高くなるにつれて,粗蛋白質含量,細胞壁の有機物部分および酸性デタージェント繊維含量が低下し,逆にIVDMDは高くなった。また,サイレージの発酵品質では青刈りトウモロコシの割合が高くなるにつれて,pHが低下するとともに総窒素に占める揮発性塩基態窒素の割合が減少し,乳酸含量が増加した。以上のことから,セスバニアロストラータへの濃厚飼料や青刈りトウモロコシの混合は,消化率の向上や発酵品質の改善の面から有効なサイレージ調製法であることが明らかとなった。
著者
浅尾 俊樹 北澤 裕明 伴 琢也 Pramanik M. H. R. 松井 佳久 細木 高志
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.247-249, 2004-05-15
参考文献数
9
被引用文献数
1 21

8種の葉菜類の自家中毒物質を探索するために水耕葉菜類に用いた活性炭に吸着された物質をGC-MS法で分析した.その物質は乳酸,安息香酸,m-ヒドロキシ安息香酸,p-ヒドロキシ安息香酸,バニリン酸,アジピン酸およびコハク酸であった.同定された物質の中で,顕著に生育抑制を引き起こす物質を探るため各葉菜類の苗を使ったバイオアッセイを行った.その結果,パセリではアジピン酸,セロリでは乳酸,ミツバでは安息香酸. p-ヒドロキシ安息香酸およびコハク酸,レタスではバニリン酸,葉ゴボウではコハク酸,シュンギクでは安息香酸,m-ヒドロキシ安息香酸およびコハク酸,チンゲンサイでは安息香酸およびp-ヒドロキシ安息香酸,ケールでは安息香酸,p-ヒドロキシ安息香酸およびアジピン酸が生育抑制を顕著に引き起こす物質として認められた.
著者
二宮 啓子 内 正子 辻 佐恵子 丸山 浩枝 庄司 靖枝
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

家族参加を強化した学童の生活習慣改善のための一年間の介入プログラムを行い、その効果を明らかにした。参加者は22組の親子であった。介入直後の変化としては、22名中17名の子どもに改善した生活習慣があり、自己管理能力が高まっていた。7家族では、子どもと親の生活習慣の管理に対する意識が高まり、行動変容が見られた。また、介入前、直後、1年後の3時点の調査結果が得られた10組中4組の子どもは介入直後に生活習慣や肥満度が改善し1年後もそれを維持できていた。5組は介入直後に改善したが、介入1年後にはそれを維持できていなかった。1組は改善しなかった。
著者
有馬 拓也 福元 俊 鹿嶋 雅之 佐藤 公則 渡邊 睦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.470, pp.1-6, 2010-03-08
参考文献数
5
被引用文献数
2

現在の家電製品等のシステムは,利用者が意識的・意図的に動かすものである.その結果,一部の利用者の意思のみが反映される場合がある.複数の利用者の内部状態を推定し,これらの総意によってシステムを制御すれば最大多数の最大幸福が実現できると考えられる.そこで,非拘束状態で撮影した映像から明度ヒストグラムとオプティカルフローを抽出し,部分空間法を用いた各個人の挙動認識を行うことにより各々の内部状態を推定し,それらを統計処理することでシステムの制御を行う手法を考案した.今回は,内部状態が挙動として表出しやすくかつ動作の個人差が少ない「暑い」「寒い」という状態を推定対象とし,多数決により制御目標を決定する方式を採用した.屋内環境における複数人での評価実験を行い,有効性を確認した.
著者
内田 雄造
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本年度の研究成果は次の通りである。1.なぜ仮設市街地が必要とされたか-阪神淡路大震災後の仮設住宅計画の失敗(1)住民がコミュニティから引き離され、孤立し、無気力になったり孤独死が続出(2)住民がバラバラとなり復興まちづくりに際してコミュニティとしての意見が集約できなかった2.中越震災被災者・山古志住民のための陽光台仮設市街地の実態把握を行った(1)住戸タイプと住戸割当て計画の実態(2)仮設市街地の配置計画3.陽光台仮設市街地における菜園計画と仮設住宅団地内の空地における野菜や花卉の栽培の実態(1)生きがい健康農園の計画と利用実態(2)仮設住宅団地内空地における野菜や花卉の栽培の実態4.陽光台仮設市街地におけるボランティアなどのより住民への生活支援活動の実態把握(1)ボランティアセンターの活動報告書にみる生活行事(2)ボランティアセンターの活動報告書にみる住民への生活支援活動の実態(3)ボランティアによる住民への生活支援に活動の延長としてのLIMOの復興支援員活動5.関東大震災時の(財)同潤会による仮設市街地の建設事例調査(1)仮設市街地建設の経緯(2)仮設市街地の住宅計画と施設計画(3)仮設市街地の「処分計画」と実態
著者
高橋 智子 川野 亜紀 飯田 文子 鈴木 美紀 和田 佳子 大越 ひろ
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.357-364, 2003-05-15
参考文献数
11
被引用文献数
13

本研究では,高齢者が食べ易い食肉開発を目的とし,豚肉の重曹未処理肉、重曹溶液浸漬肉(0.2mol/lおよび0.4mol/l重曹溶液浸漬)および豚挽肉に小麦粉を混合した再構成肉の力学的特性,食べ易さおよび咀嚼運動について検討を行った。(1)再構成肉の加熱処理後の重量減少率は,重曹未処理肉や重曹溶液浸漬肉に比べ顕著に小さく、再構成肉の保水性が大きいことが認められた。(2)重曹未処理肉および重曹溶液浸漬肉の応力-ひずみ曲線において,ひずみ0.8(m/m)までの圧縮では明確な破断点は認められなかったが,再構成肉には,ひずみ約0.3(m/m)で破断点が認められた。また,重曹未処理肉および重曹溶液浸漬肉のひずみ0.8(m/m)におけるみかけの応力の圧縮速度依存性は,異なる傾向を示した。(3)ひずみ0.8(m/m)におけるみかけの応力と咀嚼時のかたさおよび口中の残留物の多さの間には,高い正の相関関係が認められた。一方,咀嚼後に形成される肉食魂の飲み易さでは,重曹未処理肉と重曹溶液浸漬肉については,ひずみ0.8(m/m)におけるみかけの応力が小さくなるに従い飲み易くなることが示された。しかし,最もみかけの応力が小さく,咀嚼時にやわらかいと評価された再構成肉の飲み易さは,0.4mol/l試料肉と同程度であった。再構成肉は4種の試料肉の中で最もおいしくないと評価された。このおいしさの評価が,再構成肉と0.4mol/l試料肉の肉食魂の飲み込み易さの評価結果に影響を与えているものと推測される。(4)重曹未処理肉と重曹溶液浸漬肉の嚥下終了までの咀嚼回数は,ひずみ0.8(m/m)におけるみかけの応力が最も小さい再構成肉に比べ有意に少ないことが認められた。また,最もひずみ0.8(m/m)におけるみかけの応力が大きい重曹未処理肉の閉口相時間は,他の試料肉に比べ有意に長く、最大閉口速度も遅いものとなった。このことより、重曹未処理肉は,重曹溶液浸漬肉や再構成肉のような食肉加工品に比べ,健康有歯顎者にとって,咀嚼しにくい食肉であることが示された。本研究の結果から,食肉は重曹溶液により軟化処理を施したり,挽肉を主な原料として再構成肉のように加工することで,高齢者の義歯装着者にとっても,咀嚼し易く,食べ易い,良質なたんぱく質給源のための食品になることが推測される。
著者
岡田 博美 和田 友孝 六浦 光一 大月 一弘 榎原 博之 棟安 実治
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は,情報通信機器の未搭載車両を考慮した上で、衝突回避支援システム(VCASS)搭載車両が走行中の周辺状況の認識とその情報広報を自動的に行うことにより,安全な道路交通を可能とする次世代型システムの開発を行った。研究結果をまとめると以下のようになる。1)非情報化車両の搭乗者のもつ携帯端末に、VCASS機能を代行するシステムを装備し、車両間衝突回避を実現するS-VCASSを開発し、その有効性を実験で確認した。2)歩行者の動きを追尾し、位置予測を行うことにより車両との事故回避支援を行うP-VCASSを新たに開発した。3)関連要素技術として、RFIDシステムを用いた迅速で高精度の測距・位置情報獲得方式として新たにCRR方式、S-CRR方式を開発した。
著者
池田 俊也
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.353-358, 2003-05-01
参考文献数
6

複数の医療技術について,その費用と効果の比較を行う医療経済評価では,モデル分析が必要となる場合が多い.なぜなら,対象としている医療技術が健康結果や資源消費に影響を及ぼす期間が長期にわたる場合には,期間全体でかかる費用とその効果を実際に測定することが困難であり,シミュレーションなどによる分析が必要とされるからである.本稿では,医療経済評価におけるモデル分析の必要性とその種類について概説し,さらに糖尿病を例に医療経済評価のためのリスクシミュレーションモデルを取り上げる.