著者
長久 吉雄 吉田 泰夫 伊藤 雅 小笠原 敬三
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.1054-1058, 2009 (Released:2009-10-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1

Humoral hypercalcemia of malignancy(以下,HHM)をきたしたParathyroid Hormone Related Protein(以下,PTHrP)産生胃癌の1例を経験したので報告する.症例は82歳の女性で,2007年2月に食欲不振を主訴に来院した.精査にて胃噴門部癌と診断されたが,入院時検査で高Ca血症を認めたため,内分泌学的血液検査を追加施行したところintact PTH・高感度PTHがそれぞれ低下し,血清PTHrPは上昇していた.以上から,PTHrP産生胃癌によるHHMと診断した.可及的な高Ca血症の改善を図った後,脾合併胃全摘術,膵体尾部切除術を施行した.術後,血清CaおよびPTHrPは基準範囲内に低下し経口摂取も可能となった.しかし,術後17日目より血清Caは上昇へ転じ,PTHrPは67.8pmol/lにまで増加した.転移病巣が出現・増大し,術後38日目に死亡した.HHMを来した胃癌の予後は極めて厳しく,またPTHrPが胃癌の予後指標因子のひとつとなりうる可能性が推測された.
著者
鈴木 玉美 梅宮 典子 吉田 治典
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.556, pp.91-98, 2002-06-30 (Released:2017-02-04)
参考文献数
17
被引用文献数
5 6

Structure of the causes of window opening and closing behaviour from summer to autumn were analyzed for students in university rooms by means of rating scale method and factor analysis. 1)The primary cause of opening lies in ventilation, the secondary in warm discomfort, and the third in air contaminance. 2)The primary cause correlates with psychological reasons such as desire for outdoors. 3)The primary cause of keeping windows closed is to use air-conditioners and to avoid the invasion of rain, wind, insects and birds. 4)Noise is a cause of keeping closed only for the group of frequently open(IO), while lack of custom of opening is only for the group of not frequently open(NO). 5)The primary cause of closing is to use air-conditioners. 6)Windows are closed on the basis of behaviours such as going home or leaving. 7)Cold discomfort is a cause of closing for NO.
著者
都築 繁幸 神山 忠 吉田 優英 木全 祐子
出版者
愛知教育大学障害児教育講座
雑誌
障害者教育・福祉学研究 (ISSN:18833101)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.109-119, 2016-03

子どもの認知特性に焦点を当てた授業は,どの子にも達成感が得られ,自尊心が高まっていくと考えられているが,定量的あるいは定性的な方法で十分に実証されてはいない。子どもの優位な認知特性を活用した授業づくりを推進していく基礎的研究として,大人の認知特性と支援の方略を定量的に検討し,その知見を特別支援教育支援員が授業に活用し,認知特性から考える授業づくりの在り方に関して検討を加えた。成人の認知特性のタイプと指導方略との関連を調査したところ,視覚優位と言語優位な認知特性と学習方略との間になんらかの関係が認められた。言語優位者は,言語で読んだものをイメージ化でき,視覚的な提示を言語に変えて理解できるために視覚型と言語型の学習方略に分かれたと考えた。この結果を踏まえて,支援員が学習支援を行った事例を示し,個々の子どもの認知特性に配慮した支援の工夫の重要性が述べられた。
著者
吉田 朗 原田 昇
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.542, pp.19-31, 1996-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
17
被引用文献数
6 3

本研究では, 都市圏における自動車と公共交通機関の複合的利用施策を評価するために, 鉄道に結節する交通行動を考慮した, より広範囲な交通手段の選択モデルを提案する. 多次元に及ぶ選択構造を単純化するため、鉄道の路線, 乗車駅, 降車駅, 駅アクセス交通手段, 駅イグレス交通手段がすべて選択可能な状況で, 一般性の高い「鉄道経路」選択肢の生成とラベリングの方法を考案するとともに, 駅アクセス交通手段と駅イグレス交通手段の選択構造の共通性に配慮している. 実証分析の結果, 様々な交通目的のトリップに対して, 代表交通手段から, 鉄道経路, 駅アクセス・イグレス交通手段に至る Nested Logit モデルの有意性が認められた.
著者
渋谷 岳造 上野 雄一郎 小宮 剛 西澤 学 北島 宏輝 山本 伸次 齋藤 拓也 松井 洋平 川口 慎介 高井 研 吉田 尚弘 丸山 茂徳 ラッセル マイケル
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2015年度日本地球化学会第62回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.49, 2015 (Released:2015-09-03)

原生代前期には赤道域まで海洋が凍結したという全球凍結イベントがあったとされている。全球凍結の原因については、様々な仮説が提唱されているが、地質記録に基づく大気CO2分圧の推定からはCO2がそれ自体で地球を温暖に保つために不十分だったのかどうかが明らかになっていない。そこで、本研究では南アフリカ、トランスバール超層群のオンゲレック累層 (全球凍結時に海水中に噴出した玄武岩質安山岩) の地質調査・試料採取を行い、海洋底玄武岩の空隙を埋める熱水性石英に含まれている流体包有物の分析を行った。その結果、初生的流体包有物のCO2濃度は5.5 mmol/kg以下であることが明らかになった。また、計算の結果、大気CO2分圧は現在の約21倍以下であり、海水温を氷点温度以上に維持するのに必要なCO2分圧よりも低いと推定された。したがって、原生代前期全球凍結時の大気CO2分圧はCO2の温室効果だけで地球を温暖に保つには不十分であったことが地質記録から初めて明らかになった。
著者
吉田 和也
出版者
独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

(目的)本研究の目的はインプラント埋入手術の際に使用されるサージカルテンプレートを応用してボツリヌス毒素を外側翼突筋に正確かつ簡単に注入する方法を開発することである。(方法)対象は不随意の開口を生じ、咀嚼障害や構音障害を主訴とする開口ジストニア17例(男性9例、女性8例、平均年齢47.6歳)とした。上顎の石膏模型をスキャンしたデータとCTデータをコンピュータ上で重ね合わせた。サージカルテンプレートを分析するソフトNobelClinician(ノーベル・バイオケア・ジャパン社)を用いて、注射針の先端が外側翼突筋下頭内の最も理想的な位置となるよう、両側2本ずつアンカーピンとして設計し、光造形法で刺入用ガイドを作製した。ガイドを患者の口腔内に確実に装着し、注射針をアンカーピンのスリーブに挿入し、筋電計で針先が筋内にあることを確認し、生理食塩水で希釈したボツリヌス毒素(ボトックス: グラクソ・スミスクライン社)を25-50単位注入した。顎口腔領域のジストニアの客観的評価法3を用いてボトックス注射の治療効果と合併症をガイドの有無で比較した。(結果と考察)ボツリヌス療法をガイドなしで31回、ガイドを装着して30回行った。注射針の刺入はきわめて容易で、偶発症はまったくみられなかった。ガイド使用によって(63.0%)、ガイドなし(54.1%)より有意に(P<0.002)客観的評価法による改善度が上昇した。本法は外側翼突筋へのボツリヌス治療の際に正確かつ安全な注射を行うために有用であると考えられた。
著者
浮山 越史 伊藤 泰雄 韮澤 融司 渡辺 佳子 吉田 史子
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.783-788, 2005-10-20 (Released:2017-01-01)

急性腹症で発症した, 機能性子宮を有する膣欠損症の2症例(15歳, 14歳)を経験した.2症例とも, まれな下部膣欠損症であり, 子宮膣留血腫を認めた.膣前庭部からのドレナージは2症例とも不成功であったため, 再手術にて腹腔側から子宮膣留血腫のドレナージ術を要した.その後, 膣前庭粘膜圧伸法(Frank法)にて膣前庭部の粘膜を4.5cm, 3.7cmの長さに伸展, 延長して, それぞれ9カ月, 5カ月後に膣形成術を行った.術後はプロテーゼ留置による吻合部狭窄の予防が行われた.Frank法は根治術までに時間と本人, 家族の労力を要するが, 自然に近い状態の膣が形成される優れた治療法であり, 本症に対する第一選択と考える.
著者
青野 友哉 西本 豊弘 伊達 元成 渋谷 綾子 上條 信彦 大島 直行 小杉 康 臼杵 勲 坂本 稔 新美 倫子 添田 雄二 百々 幸雄 藤原 秀樹 福田 裕二 角田 隆志 菅野 修広 中村 賢太郎 森 将志 吉田 力 松田 宏介 高橋 毅 大矢 茂之 三谷 智広 渡邉 つづり 宮地 鼓 茅野 嘉雄 永谷 幸人
出版者
伊達市噴火湾文化研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

北海道南部の噴火湾沿岸は日本有数の貝塚密集地帯であり、1950年代から貝塚研究の中心地の一つであった。この60年以上にわたり蓄積された調査成果と、現代的な視点で行った近年の発掘調査による新たな分析は、当該地域の環境変遷と人類活動の実態の復元を可能にした。本研究では、噴火湾沿岸の遺跡データの集成と、伊達市若生貝塚及び室蘭市絵鞆貝塚の小発掘により得た貝層サンプルの分析の成果として、時期ごとの動物種の構成比を明示した。これは縄文海進・海退期を含む気候の変動期における当該地域の環境変遷の詳細なモデルである。
著者
渡邉英伸 西村浩二 合田憲人 吉田浩
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.102-111, 2019-09-17 (Released:2019-09-17)
参考文献数
16

情報システムのクラウド化は学術機関でも求められており,クラウドサービスを導入検討・利活用している学術機関は増えてきている.一方で,情報セキュリティの不安を払拭できずにクラウド化を進めている学術機関も少なくない.本研究では,情報セキュリティガバナンスの現状とクラウドサービスの利用状況を客観的かつ定量的に評価するための評価モデルおよび質問事項を提案し,2016年度から3年間にわたり学術機関における情報セキュリティガバナンスの実態調査を実施してきた.本稿では,実態調査の結果より,学術機関の情報セキュリティガバナンスの現状を定量的に把握することが自組織の情報セキュリティガバナンスの水準の向上・維持に有効であることを示し,情報システムのクラウド化には組織としての情報セキュリティガバナンスの成熟が重要であることを述べる.
著者
吉田 重方
出版者
日本草地学会
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.20-28, 1988 (Released:2011-03-05)
著者
吉田 元
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.763-768, 2000-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
17

奄美諸島は現在は鹿児島県大島郡に属しているが, 中世は琉球王国に属していたこともあり, 独特の風俗習慣が残っている興味深い地域である。島特産の発酵食品はこのような他の地方にない奄美諸島の歴史と伝統から生まれたものである。
著者
円谷 悦造 伊東 一博 川村 吉也 大野 正司 吉田 重方
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.45-50, 1991-11-30 (Released:2010-06-08)
参考文献数
6

(1) 主要芝草病原菌に対する食酢液の抗菌力はP. aphanidermatum>R. solani>F. roseum, Helminthosporium sp.の順に強く示された。(2) 食酢希釈液 (300倍希釈) の葉面散布はペレニアルライグラス (パーマーとプレリュードの2品種混合) の生育を促進し, 主根長の顕著な伸長が認められた。(3) 食酢希釈液 (20倍, 100倍および500倍) をコウライ芝フェアウェイに散布したところ, 病害防除および葉色の保持に効果が認められた。さらに散布の効果は夏期の高温少雨によって生ずる“葉焼け”を軽減させ, 緑色保持に働いていた。散布区の芝は1990年12月18日まで緑色を保持していた。また, 散布区の地下部の根張りは対照区に比べて良好であった。(4) これらの試験結果から, 農薬の使用が制限されるゴルフ場などの芝地における植物病原菌の制御に食酢希釈液の葉面散布が有効な手段の一つとなり得る可能性が示された。
著者
細田 耕 古川 英光 吉田 一也 池本 周平
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では,イオン液体・イオンゲルを媒体としたネットワーク構造を持つ生物模倣ソフトセンサを開発し,多感覚モダリティ間の学習を行うことで,人間と同等の適応性を持つロボットハンドの実現を目的とする.イオン液体・イオンゲルを用いたネットワークは,近年の3次元プリンタ技術を駆使することで実現可能であり,進展に強く壊れにくく,回路が破損した際も,ネットワークに圧力をかけることで自律的に再構成し,治癒する.このような生物型ネットワークセンサを開発し,構造がもたらす多感覚モダリティを学習する方法を提案,人間と同等の適応性を持つロボットハンドを実現する.
著者
金谷 整一 中村 克典 秋庭 満輝 寺川 眞理 池亀 寛治 長野 広美 浦辺 菜穂子 浦辺 誠 大山 末広 小柳 剛 長野 大樹 野口 悦士 手塚 賢至 手塚 田津子 川上 哲也 木下 大然 斉藤 俊浩 吉田 明夫 吉村 充史 吉村 加代子 平山 未来 山口 恵美 稲本 龍生 穴井 隆文 坂本 法博 古市 康廣
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.77-84, 2005-06-30
参考文献数
24
被引用文献数
3

2003年9月に種子島の木成国有林で確認されたヤクタネゴヨウの新群生地において, 2004年1月に調査を行った結果, ヤクタネゴヨウ13個体とクロマツ7個体の枯死が確認された.これらのうち, 材片を採取したヤクタネゴヨウ10個体のうち7個体からと, クロマツ7個体のうち6個体からマツ材線虫病の病原体であるマツノザイセンチュウが検出された.このまま枯死したヤクタネゴヨウとクロマツを放置すると, 今後, マツ材線虫病被害が拡大すると予測されることから, すべての枯死木を伐倒し約50cmの丸太に玉切りし, 直径1cm以上の枝とともに個体群外へ搬出した.搬出した丸太と枝は, 焼物製作のための薪として焼却した.今回の活動を踏まえ, 今後のヤクタネゴヨウ自生地保全にむけたマツ材線虫病被害木のモニタリングから処理の一連の作業手順を提案した.
著者
木下 利喜生 田島 文博 児嶋 大介 橋崎 孝賢 川西 誠 森木 貴司 吉田 知幸 上西 啓裕 西村 行秀 中村 健
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】近年,脳卒中患者における急性期リハビリテーション(リハ)の有効性が明らかになっている。本邦をはじめ,多くの国のガイドラインにおいても医学的に安定した脳卒中患者のリハはできるだけ早期に始めるよう勧められている。先行研究では早期にリハを開始した方がActivity of Daily Living(ADL)障害,抑うつ症状,Quality of Lifeの改善が良好で,早期リハ実施の安全性も示されている。我々の施設においても,以前より急性期からの積極的なリハに取り組んでいる。しかし急性期病院入院期間中だけを調査した短期効果は示されていない。また先行研究における早期リハ開始時間は脳卒中発症24時間以内や48時間以内,長いものでは72時間以内と定義されているものもあり,リハ開始時間は統一されていない。今回,脳卒中発症直後の患者をリハ開始時間により3群にわけ,リハ効果を検討する事で急性期病院における早期リハ介入効果,および適切なリハ開始時間の検討を試みた。【方法】本研究はprospective cohort studyであり,2014年7月から2015年4月までに入院した初発脳卒中片麻痺患者227名を対象とした。除外基準は発症前modified Rankin Scale score<4,神経症状が増悪しているもの,重篤な心不全,下肢骨折などにより運動療法が困難なものとした。発症からリハ開始までを24時間以内(Very Early Mobilization;VEM群),24~48時間まで(Early Mobilization;EM群),48時間以上(Usual care;UC群)の3群に分け,リハ開始時,転帰時のGlasgow Coma Scale(GCS),National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS),Functional Independence Measure(FIM)を測定し,急性期のリハ介入時期による効果を比較した。また死亡者数,脳卒中再発数を比較し安全性の検討も行った。GCS,NIHSS,FIMにおける3群間の比較にはKruskal-Wallis testを行いpost hocはDunn's testを使用した。それ以外の項目はANOVAを行いpost hocはTukey-Kramerを用いた。また死亡者数,再発数の比較はχ2 testを使用した。【結果】対象は24時間以内が47名(内2名[4%]死亡,1名[2%]再発),24~48時間が77名(内4名[5%]死亡,6名[8%]再発,1名[1%]心不全),48時間以上が103名(内7名[7%]死亡,4名[4%]再発,2名[2%]心不全)であり,3群間の死亡者数,再発者数に有意差はなかった。リハ開始時のGCS,NIHSS,FIMに有意差はなく,転帰時のGCSではVEM群が他の2群より有意に高く,NIHSSにおいてもVEM群がUC群よりも有意に良好であった。また転帰時のFIMはtotal score,motor subscale,cognition subscaleともに3群間に有意差はなかったが改善量で比較したところVEM群のtotal score,motor subscaleは他の2群より有意な改善量を示した。【結論】脳卒中患者に対する急性期リハは発症24時間以内に開始する事で高いADL,GCS,NIHSSの改善が得られる事が判明した。さらに発症24時間以内に介入しても危険性が増す事はなかった。すなわち脳卒中患者における急性期リハの効果は1日開始が遅れるだけで影響をうける可能性がある。
著者
吉田 達矢
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 人文・自然科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; HUMANITIES and NATURAL SCIENCES (ISSN:03850056)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.15-29, 2019-07-31

本稿では,明治時代(1868~1912年)に名古屋を訪れた外国人19人の日記・旅行記などの史料から,彼らが当時の名古屋をどのように見ていたのか,どのように滞在し,名古屋の何に注目したのか,などの問題について考察した。まず滞在日数に関しては,個々人によって異なり,特定の傾向は見出せなかった。宿泊場所は,秋琴楼・支那忠・名古屋ホテルがよく利用された。訪問場所としては,名古屋城を見学したあるいは何らかの言及をしたのは19人中14人であったことから,明治時代の名古屋では名古屋城が外国人にとって一番の観光場所であったと推測される。名古屋の特産品として認識されていたのは,陶磁器(七宝焼)や扇(子)などであった。名古屋に対するイメージとしては,明治半ばころから「近代的な産業・工業都市」として徐々に認識されるようになり,名古屋の人たちに対する印象は概ね好意的であったといえる。
著者
遠藤 裕子 斉藤 洋子 新山 泰子 吉田 ふみ子 新井 せつ子 久富 恵子 元村 千佳 西川 久美子 藤倉 良裕 宍戸 洋 吉田 太一 関野 宏 浅木 茂
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
人工透析研究会会誌 (ISSN:02887045)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.115-121, 1984-04-30 (Released:2010-03-16)
参考文献数
3

便秘は精神的, 肉体的に不快なものである. 食生活を制限されている透析患者では, 従来より便秘を訴えることが多く下剤服用者も多い. 私達は当院患者124名 (男70名, 女54名) を対象とし, 排便の状況, 下剤の使用状況などについて調査を行い, 「透析患者と便秘-現状と対策-」について検討した.下剤服用者と排便困難者を併せて便秘群とすると, 便秘群は52名 (男23名, 女29名) で全体の42%を占めた. 透析導入とともに便秘に陥った患者が多く, 水分制限, 除水等の影響が大きいものと思われる. 下剤は刺激性下剤の服用者が多く, 実際効果的であった. 下剤使用が常用量を越す人に対して, 偽薬を処方することにより服薬量の減量が可能であった. また, 便秘解消法のパンフレットを作成し, 社会活動の勧め, 生活指導, 腹部マッサージや指圧, 繊維性食品の食事指導などを行った. その結果, 下剤服薬が必要でなくなった人が13名, 減量できた人が21名みられた. 透析患者の便秘には除水, 水分制限, 消化管運動機能低下, 薬物および精神的要因など複合的成因の関与が考えられる.