著者
木村 優里 小川 正賢
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.324-334, 2018 (Released:2019-02-02)
参考文献数
7

The current study is one of the hypothesis verification studies of previous work (Kimura, 2017), in which a hypothetical model, explaining why amateur scientists could continue their scientific practices, was generated through a qualitative research method, the Modified Grounded Theory Approach (M-GTA). The present study examined common elements enabling Japanese amateur entomological scientists to continue their scientific practices in the hypothetical model, by using a quantitative research method. A total of 70 amateur entomological scientists voluntarily participated in a questionnaire survey, consisting of 3 attribute questions and 19 main questions, which identified a total of 21 essential elements (‘categories,’ ‘concepts,’ and ‘processes’) of the model. The data obtained was analyzed quantitatively. The findings revealed that the 21 elements could be divided into three groups: Thirteen elements were shared among the Japanese amateur entomological scientists, whereas 5 elements were not, while the remaining 3 elements were in-between.
著者
小川 佳宏
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.447-456, 2013 (Released:2013-11-25)
参考文献数
28
被引用文献数
3 1

要約:リンパ浮腫は,発症すると完治させることは困難である.しかし発症早期から適切な診断をうけ,患肢にあった適切な保存的治療を行い,症状を安定させることは可能である.保存的治療には,日常生活指導,患肢のスキンケア,リンパドレナージ,圧迫療法,運動療法などが含まれるが,それぞれの治療効果を検討したエビデンスレベルの高い文献は少ない.圧迫療法の効果を示す文献は多いが,不適切な圧迫方法で症状が悪化した症例もある.リンパドレナージ単独での治療効果は不十分とされるが,発症早期の上肢リンパ浮腫では,リンパドレナージ単独で改善する症例もある.スキンケアや運動療法は,効果の検討が難しいが,患肢に繰り返す炎症や肥満が,症状の悪化要因となるリンパ浮腫では,日常生活指導で炎症や体重をコントロールすることが,悪化を防ぐ可能性がある.患肢の状態は症例ごとに異なるため,どの治療内容を選択して行うかは臨床での経験が重要である.
著者
小川 一仁 川村 哲也 小山 友介 本西 泰三 森 知晴
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.47-52, 2019

<p>スマートフォンの普及によって、児童や生徒がオンラインゲームでのさまざまな課金サービスに容易にアクセスできるようになった。本稿では近畿地方の小中高校生がオンラインゲームにおいてどの程度課金をしているかに関するアンケート調査の結果概要を報告する。かれらの課金経験率は約24%で、大学生を対象にした盛本(2018)と同程度である一方、社会人を対象にした新井(2013)よりは低かった。また、小中生では男子生徒の方が課金経験率が高い傾向にあった。</p>
著者
小川 和孝
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.135-154, 2016-05-31 (Released:2017-06-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

本論文では,高校生の持つ時間割引選好とリスク回避傾向が,教育期待へと与える影響について分析する。これによって,合理的選択理論における行為の前提となっている信念を,より明確化することを目的としている。 日本全国の高校2年生とその母親に対する調査をデータとして使用し,時間割引選好とリスク回避傾向が,高校卒業後の教育期待に与える影響を検証した。時間割引選好は,入職時点とその後の上昇度合いが異なっている賃金プロファイルのどれを好むかという選択から,またリスク回避傾向は仮想的な宝くじへの支払い意思額から尺度が構成される。 分析の結果から,これまで教育選択のモデルに明示的に取り込まれてこなかった信念は,既存の社会階層変数とは独立した効果を有していることが示された。時間割引選好は教育期待に対して有意に正の影響を有していた。これは将来の大きな利益をより重視する生徒ほど,より長い教育を望む傾向あることを示している。また,リスク回避傾向は教育期待に対して有意に負の影響を有していた。これはより損失に敏感な生徒ほど,より長い教育を望みにくいことを意味する。ただしリスク回避傾向については,モデルの選択によって頑健な結果とは言えなかった。これらの結果が教育選択におけるリスク回避仮説に対して持つ意義や,信念の役割を明らかにすることと機会の不平等における規範理論への発展との関連について議論した。
著者
石黒 浩 中村 泰 西尾 修一 宮下 敬宏 吉川 雄一郎 神田 崇行 板倉 昭二 平田 オリザ 開 一夫 石井 カルロス寿憲 小川 浩平
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

人と関わるロボットの自律動作と遠隔操作の機能を統合することで,人間やロボットが存在する社会的で現実的な場面において, 発話やジェスチャーなどの社会的振る舞いを行い, 社会に参加できるロボットシステムの実現を目指すとともに, 社会的な対話の認知心理学的な理解とモデリングに取り組んだ.今年度は, 以上の取り組みを開始したところであったが, 本提案をさらに発展させた, 人間に酷似したロボットであるアンドロイドの機構の改良や BMI の導入を含む基盤研究 S "人のような存在感を持つ半自律遠隔操作型アンドロイドの研究" が採択されたため,5月31日をもって,本研究課題を廃止し, 基盤研究 S の一部として研究を推進している.本研究課題実施時の具体的な研究内容としては, 1. 対人状況における注意制御機能と遠隔操作機能の統合の一部として, 学習アルゴリズムに基づくロボットの自律制御に関する研究, 及び, 2. 社会的状況における対話の認知科学的モデル化の研究の一部として, ロボット演劇中のロボットが人にアプローチするシーンの演出データからの社会的振る舞いの抽出に取り組んだ.現在, 基盤研究 S として, 物理的なインタラクションをも自然にするための電磁リニアアクチュエータを用いたアンドロイドの開発,複数人による雑談などの具体的な社会的状況における対話とそれに伴う行動の記録と分析に基づく対話モデルの構築や, 遠隔操作の記録を基にしたアンドロイドの自律化に取り組んでおり, 今後,行う予定のブレインマシンインターフェースによる遠隔制御の導入などとともに, 人との多様な相互作用を行うアンドロイドの開発, 社会的存在としての機能の実現, 現実社会におけるアンドロイドの社会参加の実現に取り組む.
著者
小川 圭一
出版者
一般社団法人 交通科学研究会
雑誌
交通科学 (ISSN:02881985)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.33-38, 2020

「飛び出し坊や」とは,子供の飛び出しに対する注意喚起をドライバーに促すために設置された,子供などの絵が描かれた看板である.滋賀県内では多数の飛び出し坊やが設置されている.これらは地域住民が中心となって地域内の危険な箇所に設置をしているものであるため,地域住民がどのような箇所を危険と感じているかを把握することができると考えられる.本報告では,滋賀県草津市の玉川小学校区,矢倉小学校区内に設置されている飛び出し坊やについて実態調査をおこない,設置箇所の特徴に関する分析と,設置方法に関する課題点の抽出をおこなったものを紹介する.
著者
小川 功
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.115-131, 2008-03

筆者は近年は主に大正期に取付・破綻した銀行・企業群とその実権者のリスク選好の分析を進めつつあるが,今回はこれまであまり紹介されてこなかった佐賀貯蓄銀行が対象である.本稿は明治29年「佐賀財閥」の共同経営の庶民貯蓄機関として設立され,「葉隠武士」で名高い旧佐賀藩主・鍋島家元重臣の旧士族人脈で構成された佐賀貯蓄銀行のビジネス・モデルの変容を取り上げる.当初の「所謂士魂商才と云った様な型」の堅実なビジネス・モデルが,大正初期から次第に破綻に繋がるようなハイリスク・モデルに変容する契機を,主に田中猪作というハイリスク選好者としての「虚業家」との抜き難い因縁によって仮説的に説明しようという試論である.田中は政治家を志し,代議士に立候補する一方で,数多くの新設企業の創業に関わる職業的発起人であり,同行とは別に中央生命保険(別稿を予定)を自己の機関金融機関として収奪しようと乗取りを敢行した「山師」的人物と評されている.旧士族としての教養もあり,「佐賀財閥」の名流に連なる銀行幹部連が揃ってアウトサイダーに取り込まれ,虚偽の預金証書多数を乱発し同行を破綻に陥れる犯罪行為に何故に走ったのかが筆者の主たる関心事である.同時期の地方銀行の不祥事件として大相場師・石井定七に巨額の架空預金証書を提供した高知商業銀行が著名であるが,石井は過去に何度も同行を救済した大株主で重役は石井の無理な要求にも従わざるを得ない因縁にあった.しかし田中は佐賀貯蓄大株主でもなく,とりたてて深い義理も感じられない.「予審決定理由書」など参照し得た資料の限界から十分に実証するには至らないが,銀行幹部が大戦景気・大正バブルの中で「虚業家」の言葉巧みな甘言に煽られ,投機的利益を獲得すべく,新設企業群(結果として泡沫企業)への創業金融という一種の投資銀行的なハイリスク・モデルに自ら転換し,株式担保金融の占率を異常に高めていったのではないかとの現段階での仮説を紹介する.
著者
船越 和也 上杉 大輔 江口 真由美 小川 恒一 水山 高久 黒川 興及 酒井 敦章
出版者
公益社団法人 砂防学会
雑誌
砂防学会誌 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.43-49, 2002-09-15 (Released:2010-04-30)
参考文献数
9

The influence of cement in concrete on water quality and fish was studied experimentally. In the summer of 2001, an accident occurred where fish died in a torrent. It was said that the accident was caused by fresh concrete used for sabo structures partly running out into the torrent. That kind of accident has, however, not been reported to date in the field of sabo works. Mortar test pieces were used to study the influence of cement on water and fish in the experiments. The mortar test pieces raised the pH of water up to 11.54 at maximum. When cement was mixed into water directly, the pH of the water went up rapidly even if the quantity of the mixed cement was little, resulting in damage to the Japanese goldfish used in the test. A number of Japanese goldfish died when the pH of water exceeded 10.80. Air entraining agents do not affect the pH of water. Since there is a fear of cement greatly affecting the quality of water and the lives of fish, when concreting sabo structures, it is necessary to take great care to avoid fresh concrete running into the water and increasing its pH to the point of killing fish.
著者
小泉 亜希子 山中 寿城 岡本 匡史 平井 信行 黒瀬 直孝 小川 慶治 川北 貞夫 垂水 彰二 高橋 康次郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.2, pp.125-131, 2003-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5

清酒を光照射下で保存した場合に増加する成分について, 溶存酸素濃度がそれらの成分の変化に与える影響について検討し, 以下の結果を得た。(1) トリプトファン類縁化合物6成分が清酒の光照射により生成することを確認した。6成分は, 前報で報告したハルマンのほか, ノルハルマン, 1-エチル-β-カルボリン, 3-インドールカルボキシアルデヒド, 9H-カルバゾールおよび3-メチルー1H-インドールであり, これらは何れも苦味を呈する成分であった。(2) ハルマン, ノルハルマン, 3-インドールカルボキシアルデヒドの3成分は, 溶存酸素低減により増加が抑制され, 9H-カルバゾール, 3-メチルー1H-インドールのの2成分は溶存酸素低減により増加が促進された。1-エチルーβ-カルボリンについては, 溶存酸素低減による影響は明らかでなかった。(3) 16%エタノール含有のマックルベイン緩衝液へのトリプトファン添加試験の結果, 上記6成分が光照射下の保存で生成したことから, これらはトリプトファンから生成することを確認した。また, トリプトファンを添加した清酒の保存試験の結果, トリプトファン濃度の増加により6成分全ての生成量が増加した。(4) 上述の6成分以外にもトリプトファン類縁化合物とGC/MSライブラリー検索の一致率が72%以上である4成分が清酒の光照射により増加することが認められた。
著者
山腰 貴大 小川 泰弘 駒水 孝裕 外山 勝彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.H-J53_1-14, 2020-01-01 (Released:2020-01-01)
参考文献数
20
被引用文献数
3

We propose a method that assists legislation drafters in finding inappropriate use of Japanese legal terms and their corrections from Japanese statutory sentences. In particular, we focus on sets of similar legal terms whose usages are strictly defined in legislation drafting rules that have been established over the years. In this paper, we first define input and output of legal term correction task. We regard it as a special case of sentence completion test with multiple choices. Next, we describe a legal term correction method for Japanese statutory sentences. Our method predicts suitable legal terms using Random Forest classifiers. The classifiers in our method use adjacent words to a target legal term as input features, and are optimized in various parameters including the number of adjacent words to be used for each legal term set. We conduct an experiment using actual statutory sentences from 3,983 existing acts and cabinet orders that consist of approximately 47M words in total. As for legal term sets, we pick 27 sets from legislation drafting manuals. The experimental result shows that our method outperformed existing modern word prediction methods using neural language models and that each Random Forest classifier utilizes characteristics of its corresponding legal term set.
著者
細田 真道 坂本 寛 村上 友規 花籠 靖 梅内 誠 毛利 忠 塩原 寿子 小川 智明 宮本 勝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.3-15, 2020-01-15

活き活きとしたスマートシティを実現するためには,MaaS,イベント,施設などの運営者が多数の人の流れ(以下,人流)を把握することで,より最適な移動手段選択,混雑緩和,事故防止につなげることが重要である.本論文はこうした運営者が人流を把握することを目的とし利用者などの端末を測位する方法を提案,評価し有効性を示す.まず,従来測位方式および技術的課題を述べる.広く普及している人工衛星による測位方式は屋内測位が困難である.また,屋内測位できる方式であっても,端末が自身の測位をして結果をサーバなどに通知する必要があり,アプリケーションのインストールを要する.そこで,これらの課題を解決する新方式を提案する.提案方式は,通常の無線LAN端末が対象,端末にアプリケーション不要,端末が分散アンテナを用いたアクセスポイントに帰属するとアクセスポイントが端末を測位可能,歩行者動線取得可能という特徴を持つ.提案方式の1次元測位実験の結果,通常の無線LAN端末で,アプリケーション不要,歩行者動線取得,高精度測位(精度1m~5m)を実現した.最後に,フィールド実証としてこの提案システムを来場者が多数集まる展示会で動作させ,実フィールドでの有効性を明らかにした.展示会では来場者で混雑しても,提案方式のうちRTT(Round Trip Time)測位には大きな影響がなく,来場者から高い評価を得た.
著者
松本 明日香 小川 一美
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.28-41, 2018-03-30 (Released:2018-04-18)
参考文献数
36
被引用文献数
4 5

本研究の目的は,大学で専攻する学問に対して,どのような価値を求めるのか,どのような価値評定をしているのかという専攻学問に対する価値と,大学教育を通じて培うべき力である批判的思考力との関連を探索的に検討することであった。批判的思考力として,質問力,質問態度,クリティカルシンキング志向性を測定した。専攻学問に対する価値を第1群,批判的思考力を第2群として正準相関分析を行った結果,以下の2点が示された。1点目は,専攻学問に対する4つの価値全てが高いと,質問態度やクリティカルシンキング志向性が高くなり,事実を問う質問数も多くなるという結果であった。2点目は,専攻学問の学びは他者から見て望ましいと思われているという価値である公的獲得価値は高いが,専攻学問は充実感や満足感を喚起する学問であると思うという興味価値が低いと,事実を問う質問数は多くなるが,クリティカルシンキング志向性および思考を刺激する質問数に負の影響を与えるという結果であった。専攻学問に対して価値を見出すことは,批判的思考力の獲得に有効な要素であることや,複数の価値を組み合わせて効果を検討することの意義などが考察された。
著者
西野 真佐美 中森 正博 今村 栄次 小川 加菜美 黒瀬 雅子 平田 明子 三森 康世 若林 伸一
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.424-429, 2019-07-25 (Released:2019-07-27)
参考文献数
12

時計描画テスト(Clock Drawing Test; CDT)は,検査に対する抵抗が少ないため認知症スクリーニングとして頻用されている。今回,CDTのスコアリングを行いその有用性を検討した。2016年10月~2017年4月に当院外来にてCDT,ミニメンタルステート検査(Mini-Mental State Examination; MMSE)ともに実施した,連続156名で検討した。スコアリングはFreedman法(15点満点)を用い2名で判定した。年齢78.2 ± 8.7歳,女性87名,診断はアルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease; AD)54名,レビー小体型認知症(dementia with Lewy body; DLB)6名,血管性認知症12名,混合型認知症15名,その他の認知症16名,軽度認知障害16名,認知機能正常者37名であった。CDT総得点とMMSEは有意な相関がみられた(r = 0.58, p < 0.001)。ROC解析では,CDT総得点に関して認知症とのカットオフ値11/10(感度50.5%,特異度96.2%,AUC 0.78,p < 0.001)であった。CDT下位項目で検討すると,ADでは針の記入で,DLBでは数字の記入で失点する傾向がみられた。CDTのスコアリングはMMSEを併用して行うことで感度を上げることができ,MMSEと有意な相関がみられ評価の妥当性が示された。また,疾患によって失点パターンに差異がみられることから診断の一助になりうる可能性が示唆された。
著者
倉本 圭 川勝 康弘 藤本 正樹 玄田 英典 平田 成 今村 剛 亀田 真吾 松本 晃治 宮本 英昭 諸田 智克 長岡 央 中川 広務 中村 智樹 小川 和律 大嶽 久志 尾崎 正伸 佐々木 晶 千秋 博紀 橘 省吾 寺田 直樹 臼井 寛裕 和田 浩二 渡邊 誠一郎 MMX study team
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.207-215, 2018-09-25 (Released:2018-12-21)

火星衛星Phobosからのサンプルリターンに挑む火星衛星探査計画 (Martian Moons eXploration: MMX) は,現在,宇宙航空研究開発機構 (JAXA) プリプロジェクトとして,2024年の打ち上げと5年の往還期間を設定し,精力的な検討・初期開発が進められている.MMXは,サンプル分析,Deimosを加えた火星衛星の近接観測,そして火星大気および火星圏のモニタリング観測を組み合わせることにより,惑星に寄りそう衛星という切り口と視座から,太陽系における大気と水を湛えたハビタブル惑星の形成と進化の解明に迫ろうとしている.
著者
有賀 久哲 山田 章吾 高井 良尋 根本 建二 小川 芳弘 角藤 芳久 メヒア マルコ 西平 哲郎
出版者
Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.347-355, 1996

目的: 食道癌に対する術後照射の有用性を検討する目的で, 術後照射例の治療成績を非照射例と比較してretrospectiveに解析した.対象と方法: 1981年から1990年までに当施設にて治療した根治切除食道癌278例を対象とした.術後照射併用183例 (RT (+) 群), 非併用95例 (RT (-) 群) であり, IV期症例, 術死症例は予め解析から除外した・術後照射は, 両鎖骨上窩と全縦隔を含めたT字形照射野を原則とし, 総線量30-60Gy (平均41.9Gy) であった.90例にpeplomycinまたはcisplatin, vindesine (CDDP併用療法) を用いた同時化学療法が併用された.RT (-) 群に対しても, 42例に強力化学療法が併用された.鎧塁: 各治療群の5年, 10年生存率は, RT (+) 群が47.2%, 30.4%, RT (-) 群が43.0%, 23.7%であったが, 統計学的肴意差はなかった.化学療法併用例に限ると5年生存率はRT (+) 群47.7%, RT (-) 群23.7%(P=0.684) であった.有意予後因子は, N因子 (p<0.0001), T因子 (p=0.0013), 年齢 (p=0.0091), CDDP併用療法 (p=0.0123) であった.再発様式では, T字形照射域の再発率がRT (+) 群18.6%, RT (-) 群37.6%であり, 前者が有意に低かった (p=0.0068).結語: 根治切除食道癌に対する術後照射は, 照射野内再発を有意に減少するが, 生存率の改善は得られなかった.化学療法の同時併用により, 生存率を改善する可能性が示唆された.