著者
谷山 茂人 相良 剛史 西尾 幸郎 黒木 亮一 浅川 学 野口 玉雄 山崎 脩平 高谷 智裕 荒川 修
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.270-277, 2009-10-25 (Released:2009-11-07)
参考文献数
29
被引用文献数
7 16

1990年~2008年に,長崎県,宮崎県,三重県および鹿児島県でハコフグ類の喫食による食中毒が9件発生し,13 名が中毒, うち 1 名が死亡した. このうち 2 件の原因魚種は,中毒検体の形態からハコフグOstracion immaculatus と断定された.患者は共通して横紋筋融解症を呈するなど,本中毒の症状や発症/回復/致死時間はアオブダイ中毒に酷似していた.一方,西日本沿岸で採取したハコフグ129個体とウミスズメLactoria diaphana 18個体につき,マウス試験で毒性を調べたところ,いずれも約4割の個体が急性もしくは遅延性の致死活性(0.5~2.0 MU/g)を示した.有毒個体の出現率は,両種ともに肝臓を除く内臓で最も高く,次いで筋肉,肝臓の順であった.
著者
曽根 文夫(山崎文夫) 岡田 なぎさ
出版者
山口県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は局所冷却時の皮膚血流調節における冷受容体機能の役割と冷え症者の皮膚血流調節の特徴を明らかにすることであった。局所冷却時の皮膚血流量の減少反応は冷受容体刺激剤メントールの局所投与によって影響されなかった。このことは冷受容体機能が局所性皮膚血管収縮に主要な役割を果たしていないことを示唆する。冷え症者の血流量調節システムの特徴として、全身および局所冷却中に下肢末梢部において皮膚血管収縮が顕著に起こること、それには高いアドレナリン感受性が関与していることが示唆された。
著者
山崎 美和恵
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.920-923, 2009-12-05 (Released:2020-01-18)
参考文献数
30

湯浅年子(1909-1980)は,日本初の女性原子核物理学者である.第2次世界大戦中と戦後,フランスの研究所にめって,主に核の放射性崩壊と核反応を研究,多くの成果を挙げた.様々な文化活動を通して日仏の文化交流に大きく貢献し,また日本の若い女性科学者の援助育成にも力を注いでいた.湯浅の著作物,『パリ随想』等々の内容は,科学と人生への考察に溢れている.
著者
山崎 美樹 伊藤 裕久
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.267-273, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
8
被引用文献数
2

現在のJR吉祥寺駅周辺市街地(東京都武蔵野市)は、近世に成立した新田集落のもつ短冊形地割が街区・街路形態に継承されており、近代以降の市街化過程の基盤となった。本稿では近世における短冊形地割の成立過程と、近世から近代へと引き継がれた短冊形地割の空間的特徴を具体的に明らかにすることを目的とする。そこで同時期に開発された旧吉祥寺村・西窪村・下連雀村を対象とする。寛文期の開発された三村は1657年に起きた明暦の大火後の住民移転による新田開発という歴史的経緯から、間口20間×奥行8間の奥行の浅い屋敷設定など、他の武蔵野の新田集落とは異なる共通性が見られる一方で、吉祥寺村では本宿(集落)と野田(耕地)と呼ばれる二種類の短冊形地割など、地域的な特徴があることが、寛文期の地割の復原的考察から明らかになった。また西窪村・下連雀村では、近世の間に人口増加へ対応するために、短冊形地割の間口が二分割され、宅地へと変換されていった。
著者
鈴木 則子 脇田 晴子 平 雅行 梅澤 ふみ子 久保田 優 武藤 武藤 三枝 暁子 成田 龍一 武田 佐知子 小林 丈広 白杉 悦雄 谷口 美樹 福田 眞人 脇田 修 濱千代 早由美 長 志珠絵 尾鍋 智子 菅谷 文則 山崎 明子 加藤 美恵子 栗山 茂久
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本の歴史のなかで女性の周縁化(地位の劣化)が進行していく過程を、女性の身体に対する認識の歴史的変化に着目しつつ、医学・衛生・宗教・地域・出産/月経という主として五つの側面から検討を加えた。伝統的医学と近代医学それぞれの女性身体観、近代衛生政策における女性役割の位置づけ、仏教と神道の女性認識の変遷、血穢などに対する地域社会の対応の形成等について明らかにしえた。
著者
名倉 武雄 山崎 信寿
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.159-162, 2000-08-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
16
被引用文献数
5 2

MR画像より得た大腰筋の3次不幾何学モデルおよび有限要素モデルにより,大腰筋の腰椎・骨盤・股関節に対する作用を検討した.大腰筋は腰椎においては大きな圧縮力と側屈のモーメントを発生し,骨盤に対しては筋方向が変化することで後方圧迫力を生じていた.また股関節では屈曲のモーメントが優位であった.腰椎の有限要素モデルによる解析では,大腰筋によって生じる圧縮力が,腰椎の支持性を増加する作用があることが認められた.以上の結果より,大腰筋は腰椎・骨盤を安定化し,かつ股関節を屈曲する作用を有し,ヒトの直立2足歩行に適した形態・機能をもつと考えられる.
著者
烏谷 竜哉 黒木 俊郎 大谷 勝実 山口 誠一 佐々木 美江 齊藤 志保子 藤田 雅弘 杉山 寛治 中嶋 洋 村上 光一 田栗 利紹 藏元 強 倉 文明 八木田 健司 泉山 信司 前川 純子 山崎 利雄 縣 邦雄 井上 博雄
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.36-44, 2009-01-20 (Released:2016-02-15)
参考文献数
19
被引用文献数
3 6

2005 年6 月~2006 年12 月の期間,全国の循環系を持たない掛け流し式温泉182 施設を対象に,レジオネラ属菌等の病原微生物汚染調査を行い,29.5%(119/403)の試料からレジオネラ属菌を検出した.採取地点別の検出率は浴槽が39.4%と最も高く,貯湯槽23.8%,湯口22.3%,源泉8.3%と続いた.陽性試料の平均菌数(幾何平均値)は66CFU/100mL で,採取地点による有意差は認められなかったが,菌数の最高値は源泉,貯湯槽,湯口でそれぞれ180,670,4,000CFU/100mL と増加し,浴槽では6,800CFU/100mL に達した.陽性試料の84.7%からLegionella pneumophila が分離され,血清群(SG)別ではSG 1,5,6 がそれぞれ22,21,22%と同程度の検出率であった.レジオネラ属菌の汚染に関与する構造設備及び保守管理の特徴を明らかにするため,浴槽と湯口上流側とに分けて,多重ロジスティック回帰分析を行った.浴槽での汚染リスクは,湯口水がレジオネラに汚染されている場合(OR=6.98,95%CI=2.14~22.8)及び浴槽容量が5m3 以上の場合(OR=2.74,95%CI=1.28~5.89)に高く,pH 6.0未満(OR=0.12,95%CI=0.02~0.63)では低下した.同様に,湯口上流ではpH 6.0未満(OR=0.06,95%CI=0.01~0.48)及び55℃以上(OR=0.10,95%CI=0.01~0.77)でレジオネラ汚染を抑制した.レジオネラ属菌以外の病原微生物として抗酸菌,大腸菌,緑膿菌及び黄色ブドウ球菌を検査し,汚染の実態を明らかにした.
著者
山崎 静子 石賀 裕明 道前 香緒里 東 直子 Faruque Ahmed 三瓶 良和 Hamidur Rahman Badrul Islam
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.81-93, 2000-03-25 (Released:2017-07-14)
被引用文献数
3

1999年にバングラデシュのシャムタ村と東となりのデウリ村で18本のボーリングによって採集した堆積物試料(パーカッションリバースサーキュレーション工法による,一本の深さは約15m)をもちいて,地下水ヒ素汚染のメカニズムを解明するために,主元素,微量元素および全有機炭素,窒素,イオウの定量を行った.デウリ村の有機質泥ではAsが50ppmを超えるものがあり,ピート層では262ppmに達する.これらはシャムタ村の一般的な泥質試料(As=20ppm)に比べ高い値を示す.As濃度はVやCuの濃度と良い相関をもち,有機物の濃縮に関係する.P_2O_5も地表の試料で高いものがあり,人間活動に関連するといえる.試料のいくつかからはイオウが検出され,海成や汽水環境で堆積したことを示唆する.しかし,TS/TOC比は一般の海成層の値(0.36)よりも低く,淡水もしくは汽水環境で堆積した可能性がある.TOC/TN=9.2〜14.2(平均値11.1)であり,プランクトンおよび高等植物の両者に起源すると判断される.有機物に関連する高濃度のヒ素は帯水層での還元的環境下で地下水汚染を引き起こすと考えられる.農業や家庭排水の増加に伴って有機物の分解は促進され,堆積物,特にピート層からのヒ素溶出の速度を増していると考えられる.
著者
山崎 茂明 中山 健夫
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.666-672, 2003
被引用文献数
1 1

背景:構造化抄録の重要性は,EBM(エビデンスに基づいた医療)の普及とともに認識されつつある。しかし,英語文献では普及が進んでいるものの,非英語文献では十分浸透していない。方法:PubMedを使用し,1987年から2001年までの,EBM実践のうえで有用となる臨床試験文献群を対象に,非英語文献の構造化抄録採用状況を調査した。結果:各国語別の構造化抄録付与率について,全調査対象期間での平均値と,かっこ内に1999年から2001年の値を示す。ドイツ語は17.3%(48.2%),フランス語は16.1%(45.1%),イタリア語は21.3%(76.3%),スペイン語は44.7%(74.9%),ロシア語は4.9%(17.4%),中国語は21.3%(100%),そして日本語はわずか3.5%(10.4%)であった。さらに,構造化抄録付与率を基に各国語別の雑誌ランクも作成した。考察:構造化抄録は,非英語圏の雑誌において普及が進んでいるが,日本語文献では改善が示されていない。日本におけるEBM実践のために,研究者,臨床家,編集者,情報専門家は構造化抄録の重要性を認識すべきである。
著者
山崎 泰孝
出版者
日本オーストリア文学会
雑誌
オーストリア文学 (ISSN:09123539)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.13-21, 2014-03-31 (Released:2017-03-31)

Die These der vorliegenden Arbeit lautet, dass es sich bei dem letzten Abschnitt, uber den verlorenen Sohn, in Rilkes-Aufzeichnungen um einen praktischen Fall der Poetik der Erinnerung handelt. Die Aufzeichnungen, die aus 71 Abschnitten bestehen, enden mit dem von Malte umgedeuteten Gleichnis des verlorenen Sohns. Da der Abschnitt am Ende steht, wird er oft im Zusammenhang mit dem ganzen Werk betrachtet. E. F. Hoffmann halt das objektive Erzahlen fur Maltes Ziel und die Erzahlung des verlorenen Sohns fur ein diesbezugliches Beispiel. J. Ryan achtet dagegen auf Maltes "Einfuhlung" und betont den hypothetischen Charakter seines Erzahlens. Wie der Beitrag von Ryan, behandelt mein Aufsatz Maltes letzten Aufzeichnungsabschnitt als die Spiegelung seiner eigenen Erfahrungen, wobei die umgeschriebene Geschichte in Bezug zu Maltes Kindheit gesetzt werden soll. Sein Erzahlen und Schreiben der Geschichte entspricht dann der Erinnerung seiner eigenen Kindheit. In der Rilke-Forschung wird der Zusammenhang zwischen Maltes Poetik und seiner Kindheit zwar bereits aufgezeigt, aber es ist die spezifische Sicht der vorliegenden Untersuchung, die Gestik, die der verlorene Sohn seinem Vater beim Heimkehr zeigt, zu beachten und diese als die Wiederholung von Maltes Kindheit zu interpretieren. Der Grund fur die Heimkehr des verlorenen Sohns lautet: "Dies alles [die Erinnerungen der Kindheit] noch einmal und nun wirklich auf sich zu nehmen, war der Grund, weshalb der Entfremdete heimkehrte". Was bedeutet aber dieses "Auf-sich-Nehmen" der Kindheit? Wird dieses nur durch die Heimkehr vollzogen? Der verlorene Sohn erhalt zwar sein Haus, dagegen gibt es aber fur Malte keine Heimat mehr. Bedeutet jedoch Maltes Schreiben einer neuen Geschichte selbst das Hinnehmen seiner eigenen Kindheit? Als Grund dafur wird die Ahnlichkeit zwischen der Flehensgestik des verlorenen Sohns und der Maltes im 32. Abschnitt aufgefuhrt. Hier geht es nicht nur darum, dass die beiden Gestiken sich ahneln, sondern auch darum, dass sich auch die Situation, in der diese Flehensgestik von den anderen nicht verstanden wird, wiederholt. Das Unverstandnis flosste dem jungen Malte grosse Angst ein, wahrend dieses "Nicht-verstanden-Werden" fur den verlorenen Sohn "unbeschreiblich befreiend" war. Der junge Malte und der verlorene Sohn haben die Einsamkeit des Nicht-verstanden-Werdens gemeinsam, aber die Bedeutung dieser Einsamkeit wird vom Negativen ins Positive umgedeutet. So lasst sich in diesem Umschaffen der Kindheit ein konkretes Beispiel fur das Auf-sich-Nehmen der Kindheit und Maltes Poetik der Erinnerung finden.
著者
山崎 正勝
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.58, no.290, pp.162-177, 2019 (Released:2021-01-24)

The "Russell-Einstein Manifesto" issued in 1955, a year after the Bikini incident, called upon the world for the abolition of nuclear weapons and war. It is well known that a similar assertion was made in a journal article in 1946 by Yoshio Nishina, one of Japanʼs prominent nuclear physicists who officially studied the damage of the atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki. This paper shows that there were a wide range of arguments in Japan for the abolition and/or renunciation of war in the immediate aftermath of the atomic bombings. Naruhiko Higashikuni, the first Prime Minister after Japanʼs surrender, suggested the idea of "Peaceful Country Japan [Heiwa kokka Nippon]." Tanzan Ishibashi, an influential journalist and future Prime Minister in the 1950s, witnessed a drastic change in international relations caused by the atomic bomb, calling for Japan to become a "warrior for world peace [Sekai heiwa no senshi]." Kanji Ishihara, a former Army lieutenant general and military philosopher, understood that the emergence of atomic bombs and the pursuit of world peace under the United Nations after World War II as a sign of "world political unity [seijiteki sekai toitsu]" that he had anticipated prior to the war. Realizing that the atomic bomb had changed the way of war, Kijuro Shidehara, Prime Minister after Higashikuni, spoke to Supreme Commander of the Allied Forces Douglas MacArthur of the necessity of abolishing and renouncing war. MacArthur incorporated this idea into his demands concerning Japanʼs constitutional revision. All these individuals foresaw the meaning of Article 9 of the Japanese Constitution in the context of the nuclear age, hoping that Japan would be a pioneer of war abolition and renouncement.
著者
大津 耕陽 福島 史康 高橋 秀和 平原 実留 福田 悠人 小林 貴訓 久野 義徳 山崎 敬一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.2019-2029, 2018-11-15

近年さかんに行われているアイドルのライブにおいては,演者の演技に対し観客が「応援」という形で参加することにより,会場をともに盛り上げていこうとする様子が見られる.本稿では,アイドルのライブにおける演者の演技・それに対する観客の応援を振動・光に変換し,双方向に伝達しあうことで,演者・観客間の双方向インタラクションを拡張するライブ支援システムを提案する.提案手法を実現するために,応援したいメンバの演技をリアルタイムに観客の持つデバイスに振動・光として提示する機能,観客が自身の持つデバイスを振ることで光として応援を可視化して演者側に伝達する機能の2つを持つシステムを開発した.実際のライブ環境下において実験を行い,演者の動きの情報を観客に伝達することで応援したいメンバと観客の間の一体感が高まることを確認した.また,デバイスの振りの情報に基づいて観客の応援の大きさを演者の衣装に提示することによって,応援したい特定のメンバと観客間の一体感に加えて,特定のメンバを応援する観客同士の一体感が高まることを確認した.

3 0 0 0 OA ゴリラテスト

著者
ガンバト ニャムフー 濱田 直希 山崎 大地 下斗米 貴之 高田 敦史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.2P6GS1003, 2022 (Released:2022-07-11)

モバイルゲームは世界中の人々が多種多様な端末でプレイするため、さまざまな条件下での動作テストが必要になる。2週間という短いリリースサイクルのために、ゲーム本体が変更されてもテストコードを変更せずにすむような自動テストツールが望まれている。KLab株式会社では、モバイルゲームのユーザーインターフェース(UI)を画面から検出してゲームを自動的にプレイするブラックボックステストツール『ゴリラテスト』の研究開発を進めている。本発表では、ゴリラテストの機能であるUI検出、UI操作、シーン認識、性能モニタリング、シーン遷移時間計測などについて紹介する。実際のモバイルゲームにてゴリラテストを実行し、UI検出やシーン認識の所要時間とUI操作の成功率を示す。
著者
松田 実樹 杉本 浩章 上山崎 悦代 篠田 道子 原沢 優子
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.167-176, 2015

本研究は、特別養護老人ホームでの終末期ケアにおける専門職間協働の現状と課題を明らかにし、特別養護老人ホームでの看取りのための専門職間協働のあり方を検討することを目的とした。 調査対象は、終末期ケアに携わる看護師、介護福祉士、社会福祉士(2 名)の計4 名とし、グループインタビューを行った。得られたデータは、内容分析を行いカテゴリー化した。 その結果、専門職間の役割を理解した上での支援、看取りケアに対する認識など10 のカテゴリーが生成された。 現状として、連携と協働を意識したチームケアの試みがされていたが、多職種で情報共有するための仕組みについては、専門価値に基づく思いまで共有するに至っていないことが挙げられた。利用者の状態が変化する中、チームで利用者を支える為には、ケアの背景にある専門職の思いをいかにして他職種に伝えていくかが課題となり、それらを共有、理解できるシステムつくりが求められることが示唆された。This study aims to reveal the current situation and issues of Inter Professional work in End-oflife Care at special nursing homes for the aged and consider the roles of inter professional work. The subjects of the study are four people including a nurse, a certified care worker, and social workers engaged in end of care, and a group interview was conducted with them. The data obtained was analyzed and then categorized. As a result, 10 categories including support based on understanding of the roles of the professionals and recognition about nursing care were generated. Although the interviewed professionals are currently attempting to provide teamwork-based care on the basis of partnership and cooperation, when it comes to information-sharing systems among various professionals, they fall short of sharing their thoughts based on their professional values. Therefore, there exists a need to consider how the thoughts of professionals, that form the basis of care to the aged, are conveyed to other professionals to support users as a team when the situations of the users are changing and that systems on Inter Professional work is required to facilitate such information exchange.
著者
大槻 紘子 山崎 友昭 黒崎 尚子 須賀 正伸 柴田 由理 後藤 渉
出版者
医学書院
雑誌
理学療法ジャーナル (ISSN:09150552)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.635-640, 2009-07-15

要旨:労災事故による利き手の手関節部離断後,クルッケンベルグ法による手術を行った症例に対して,理学療法を行う機会を得た.クルッケンベルグ法とは,前腕を橈骨と尺骨の間で2つに分け,ピンセットのように物を挟めるようにする機能再建術で,特異な外観により適応が限定されていたが,機能的に優れているため,近年は片側前腕切断例でも行われている.今回,断端の開閉動作に必要な筋収縮を得ることを目的として筋電図バイオフィードバックを用いた結果,症例の希望する両手の日常生活活動(activities of daily living:以下,ADL)が自立に至った.治療開始時には医療サイドは義手を検討していたが,症例は特異な外観に抵抗がなく,当初から手術を勧めた場合にはより早期にADLの自立が可能だったとも考えられ,目標設定に関して反省点も残った.

3 0 0 0 OA 徒然草

著者
山崎麓 校註
出版者
国民図書
巻号頁・発行日
1929
著者
山崎 将文
出版者
関西法政治学研究会
雑誌
憲法論叢 (ISSN:24330795)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.35-68, 2009-12-22 (Released:2018-01-10)

The purpose of this paper is to consider the relations between the individual and the family in the Japanese Constitution. Article 13 of Japanese Constitution prescribes "the respect as individuals", and Article 24 Paragraph 2 prescribes "the dignity of individual in the family life". Therefore, it is said that the Japanese Constitution expresses a principle of the individualism generally, and besides, adopts the individualism that individuals are always superiority to families, moreover it adopts the radical individualism which breaks up families. However, the author had observed the process of establishment of the Japanese Constitution to interpret the constitutional articles, then arrives at the following conclusion: the Japanese Constitution does not always deny the protection of the family, rather protects the family.