著者
新田 博衛
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.61-65, 1974-06-30
著者
新田 滋 ニッタ シゲル NITTA Shigeru
出版者
茨城大学人文学部
雑誌
茨城大学人文学部紀要 社会科学論集 (ISSN:13440160)
巻号頁・発行日
no.50, pp.27-45, 2010-09

本稿は、「価値」なるものが、形而上学的あるいは物神崇拝的に存立する商品物神、貨幣物神の機構を解明することを主な課題とする。資本主義的な富は、資本循環における諸形態として貸借対照表に表される。そこに資産価値なるものが現れる。このような抽象段階になってはじめて、商品からも貨幣からも分離された価値なる対象性が社会的抽象の産物として実体化されるに至る。資産価値の現象形態である商品の価値形態、貨幣形態、資本形式は、廣松渉がいうように「抽象的人間労働-商品価値」という"物象化的に倒錯" された共同主観的な関係構造として存立している。しかし、交換関係は非対称的なものであり商品は貨幣への「命がけの飛躍」につきまとわれている。貨幣物神を括弧に入れられると考えるところに、古典派・新古典派理論、ひいてはロック的な「自己労働の自己所有」というアングロサクソン的な私的所有観のイデオロギー的倒像が成立するのである。
著者
藏田 伸雄 石原 孝二 新田 孝彦 杉山 滋郎 調 麻佐志 黒田 光太郎 柏葉 武秀
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究ではまず、科学技術に関するリスク-便益分析の方法について批判的に検討し、リスク論に社会的公平性を組み込む可能性について検討した。第二に、ナノテクノロジー、遺伝子組換え農作物等の科学技術倫理の諸問題をリスク評価とリスクコミュニケーションの観点から分析した。第三に、リスク論に関して理論的な研究を行った。さらにリスク論と民主主義的意思決定について検討した。第四に、技術者倫理教育の中にリスク評価の方法を導入することを試みた。まず費用便益分析に基づくリスク論は、懸念を伴う科学技術を正当化するための手段として用いられることがあることを、内分泌攪乱物質等を例として確認した。また研究分担者の黒田はナノテクノロジーの社会的意味に関する海外の資料の調査を行い、アスベスト被害との類似性等について検討した。また藏田は遺伝子組換え農作物に関わる倫理問題について検討し、科学外の要因が遺伝子組換え農作物に関する議論の中で重要な役割を果たすことを確認した。そしてリスク論に関する理論的研究として、まず予防原則の哲学的・倫理学的・社会的・政治的意味について検討し、その多面性を明らかにした。他に企業におけるリスク管理(内部統制)に関する調査も行った。リスク論に関する哲学的研究としては、確率論とベイズ主義の哲学的含意に関する研究と、リスク論の科学哲学的含意の検討、リスク下における合理的な意思決定に関する研究を行った。またリスク評価と民主主義的な意思決定に際して、参加型テクノロジーアセスメントや、双方向型のコミュニケーションによって、リスクに関する民主主義的決定モデルが可能となることを確認した。また技術者倫理教育に関して、研究分担者の間で情報交換を行い、上記の成果を技術者倫理教育に導入することを試みた。
著者
新里 貴之 中村 直子 竹中 正巳 高宮 広土 篠田 謙一 米田 穣 黒住 耐二 樋泉 岳二 宮島 宏 田村 朋美 庄田 慎矢 加藤 久佳 藤木 利之 角南 聡一郎 槇林 啓介 竹森 友子 小畑 弘己 中村 友昭 山野 ケン陽次郎 新田 栄治 寒川 朋枝 大屋 匡史 三辻 利一 大西 智和 鐘ヶ江 賢二 上村 俊雄 堂込 秀人 新東 晃一 池畑 耕一 横手 浩二郎 西園 勝彦 中山 清美 町 健次郎 鼎 丈太郎 榊原 えりこ 四本 延弘 伊藤 勝徳 新里 亮人 内山 五織 元田 順子 具志堅 亮 相美 伊久雄 鎌田 浩平 上原 静 三澤 佑太 折田 智美 土肥 直美 池田 榮史 後藤 雅彦 宮城 光平 岸本 義彦 片桐 千亜紀 山本 正昭 徳嶺 理江 小橋川 剛 福原 りお 名嘉 政修 中村 愿 西銘 章 島袋 綾野 安座間 充 宮城 弘樹 黒沢 健明 登 真知子 宮城 幸也 藤田 祐樹 山崎 真治
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2007

徳之島トマチン遺跡の発掘調査をもとに、南西諸島の先史時代葬墓制の精査・解明を行なった。その結果、サンゴ石灰岩を棺材として用い、仰臥伸展葬で埋葬し、同一墓坑内に重層的に埋葬することや、装身具や葬具にサンゴ礁環境で得られる貝製品を多用することが特徴と結論づけた。ただし、これは島という閉ざされた環境ではなく、遠隔地交易を通した情報の流れに連動して、葬墓制情報がアレンジされつつ営まれていると理解される。
著者
熊埜御堂 毅 福永 昌夫 鎌田 正信 今川 浩 安藤 泰正 和田 隆一 新田 仁彦 秋山 綽
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.1191-1197, 1986-12-15

西日本地域の馬飼養地2箇所において, 1980年5月11日〜11月18日の期間, 隔週に採集した雌成虫蚊33,604匹から, Vero及びHmLu-1細胞培養によって計13株のウイルスが分離された。これら13株中4株はゲタウイルス, 9株は日本脳炎ウイルスと同定された。ゲタウイルス4株中3株は宮崎競馬場から採集されたコガタアカイエカ200プール19,465匹から分離され, 感染率は1:6,488であった。残りの1株は栗東トレーニング・センターで採集された5,897匹のコガタアカイカから分離された。宮崎競馬場及び栗東トレーニング・センターにおけるコガタアカイエカは全採取蚊種のそれぞれ85.1%及び54.5%を占め, 両調査地において捕獲されたキンイロヤブカは2%以下であった。以上の成績から西日本地域の散発的ゲタウイルス感染症においては, コガタアカイエカが主要ベクターであることが示唆された。
著者
本田 靖 中井 里史 小野 雅司 田村 憲治 新田 裕史 上田 佳代
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,東アジアにおけるエアロゾルの健康影響,特に死亡への影響を,疫学的手法を用いて明らかにしようとした.日本,韓国,台湾の主要都市における粒子状物質濃度,日別死亡数などのデータを収集した.福岡市など九州地域では粒子状物質濃度に越境汚染の影響が示唆されたが,東京などでは大きな影響は見られなかった.死亡への影響ははっきりしなかったが,福岡で大きいという可能性が示唆された.
著者
渡辺 和子 細野 喜美子 嶋田 智明 吉田 正樹 佐藤 英一 新田 麗子 細野 喜美子 渡辺 和子
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

看護における移動技術の巧拙は看護者の体のテコのバランスの用い方と密接に関連しているが, 患者及び看護者の重心移動に関するより詳細なバイオメカニクス的研究は未だない. 重量負担の大きい患者の移動動作の効率的な介助方式の開発は, 老人人口が増加する今日の重要な課題である. 従って, 我々は日常用いられている看護者の移動技術を取り上げ熟達者と未熟者達の技術の差及び患者の受ける負担を力学的・生理学的に解明することを目的とした. 全介助の必要な患者を仰臥位から起坐位にする場合の技術の効率性を検討するために次のような実験を行った.1.熟練者の技術の特長から指導ポイントを取り出し, これを用いて未熟練者の指導前後の関節角度の変化を分析し, 指導ポイントの要因について考察し知見を引き出した.2.熟練者の移動動作における筋活動の発生順序の分析の結果, 動作初期の腓腹筋と大腿四頭筋・左上腕三頭筋・左上腕二頭筋の活動の様相に特徴が見られた.3.未熟練者の左右の腰背筋の筋電図と関節角度の変化を指導前後に測定した. 指導前に腰背筋は最大収縮力を使っているが, 指導後は低い筋活動で患者の移動を成功している. これにより指導ポイントがより明らかになった.4.熟練者から取り出した指導ポイントを用いて, 未熟練者14名の指導前後の筋電図の比較検討を行った. その結果, 指導によって動作はリズミカルになり, 筋活動も効率的となることが明らかになった.5.全介助の必要な患者をベッド上で仰臥位から坐位にする際, ベッドの高さに対して介助者の身体的負担への影響を検討した. その結果介助者の身体疲労・疼痛の程度は身長の50%のベッドの高さで最も少なかった.
著者
小林 偉昭 高橋 修 新田 哲二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.779-780, 1988-09-12

INTAP(財団法人情報処理相互運用技術協会)の試験検証センターは,通産省の指導のもとに1987年9月に設立され,多くの会社の協力を得て次のような活動を行なっている。(1)情報処理システムのOSI(Open Systems Interconnection)規約準拠性を確認する。(2)情報処理システムの相互接続性を促進する。ここでは,その活動の一つであるコンフォーマンス試験方法の検討状況及びODA/ODIFに対する考察を紹介する。
著者
覧具 博義 合田 正毅 新田 英雄 三沢 和彦 箕田 弘喜 平島 由美子
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

初中等から大学にわたる20名ほどの教員からなる研究グループで,「物理教育の研究」についての調査と検討を進めた。調査研究を進める上での主要なリファレンスとしてE. F. Redishの著書"Physics Education with the Physics Suite"を選択した。特に注目したのは,認知科学などの急速に発展している関連領域の成果も取り入れながら,「物理教育」を科学的な研究の対象としてとらえるそのアプローチで,教育の改善や改革の方向をカンや信念からではなく,科学的な裏付けをもとに導き出すものである。この「物理教育の研究」は初中等から大学にわたる様々な段階の物理教育に関わる教員達が交流し議論する上で共通の視点と言語を提供し,この研究課題が目的とした教員連携の形成に非常に有効であった。特に,active-learningや,学習者自身の活動をうながす実習教材,CADAA(computer-assisted data acquisition and analysis)などの日本の教育現場への導入について検討し,その有効性を,複数の高校および小学校の授業場面で試行により検証した。小学校から大学にわたる広いスペクトルにわたる教員がこれらの試行を見学しその内容について討議に参加した。さらに,京都・和歌山地域で物理教育研究を続けているアドバンシング物理研究会メンバーや,認知心理学をベースにした教育学の研究を推進している東京大学大学院の市川伸一教授を講演会(2007年12月に開催)に招聘して交流した。現実の教育現場での状況は多様な側面を持っており,著作や講演による紹介だけではうかがいきれないところが多々ある。そこで,研究グループの中から2名が2007年10月に米国出張を行い,メリーランド大学のRedish教授およびディケンソン・カレッジのLaws教授を訪問して,物理教育の世界的な指導者である彼らが開発し実施している物理授業を複数日にわたって実地に見学し、その調査結果を2008年春物理学会春季講演会等で発表した。
著者
新田 啓子
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

当該研究の最終年にあたる平成17年度は、これまで研究してきた1920年代の芸術作品に関する研究をまとめる傍ら、現代大衆文化において価値転覆的な表象を担ってきた新たなパッシングのモデル(黒人文化にとどまらないもの)を広く分析し、業績にまとめた。ここで主となった調査対象は、従来知られるパッシングの常套を反転する行為,すなわち、白人歌手が黒人になりすましてデビューする、異性愛芸術家が同性愛者になりすますことにより己の創作に価値を付与するといった、米国では1980年代初頭より顕著になった攪乱的パッシングの文化的背景である。具体的には、192,30年代の舞台芸術および映画産業におけるパッシング的演目の取り締まりを問題にしたが、これらは明治学院大学言語文化研究所における講演、東京大学・表象文化論学会におけるシンポジウムで公表された。同時に、アジア人男性のジェンダーと合衆国の軍事文化を含意したパッシング表象の分析も行った。これらは『言語文化』、『F-GENSジャーナル』、お茶の水女子大学COEシンポジウム、アメリカ比較文学会にて発表された。なお、主に20世紀ハリウッド映画を素材とした以上の研究実績の他、以下3点の個別的研究を行った。すなわち、異性装とセクシュアリティについての理論的考察(『現代思想』)、ある米国女性大衆歌手の演技についての考察(『ユリイカ』)、モダニズム作家・アーネスト・ヘミングウェイのジェンダー・人種表象(『ヘミングウェイ研究』)についての考察である。こうして、文献資料のみならず図象や聴覚資料をも紹介しつつ、大衆文化の想像力にも広く影響を与えたと思われるパッシングの政治学を描くことで、本研究はひとまず終了された。これはまた、1920年代に始まる黒人文化が結晶化した一つの問題系が、現代の表現文化にいかに受け継がれてきたか、その道筋を検証する作業にもなった。
著者
藏田 伸雄 新田 孝彦 杉山 滋郎 松王 政浩 石原 孝二 伊勢田 哲治 黒田 光太郎 調 麻佐志 金光 秀和
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

リスク管理については熟議民主主義的な社会的意思決定の枠組みが必要である。またリスク-費用便益分析の「科学的合理性」とは別の「社会的合理性」があり、参加型の意思決定がそれを確保する手段となる。またリスク評価や社会的なリスクの軽減のために専門家(特に技術職)の果たす役割は大きいが、非専門家にも意思決定への「参加義務」があると考えられる。
著者
新田 和宏
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学生物理工学部紀要 = Memoirs of the School of Biology-Oriented Science and Technology of Kinki University (ISSN:13427202)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.33-46, 2008-03

政治の世界において、政治の言葉というもののしめる重みが増している。政権担当者や政治指導者から発せられる政治の言葉が大きい意味をもつようになった。とりわけ、5年5ヶ月に及んだ小泉政権と連動するかたちで顕在化した「新しい政治(new politics)」の一つの側面として、「ワンフレーズ・ポリティクス」とも言われる、政治的フレーズを駆使するアイディアの政治の重要性を指摘することができる。本稿は、そのような「新しい政治」としてのアイディアの政治について着目し、その省察を試みる。これまで、政治学は、「政治は何によって決定されるのか?」という問いにこだわってきた。政治的フレーズを用いるアイディアの政治について検討することは、こうした政治学の問いに対して、一定程度の返答を提示することにもなるであろう。本稿は、アイディアの政治に関連する諸概念の定義を踏まえ、小泉政治が問題提起したというべき、「不利益政治」とアイディアの政治、テレポリティクスと「劇場型政治」、インターネット・ポリティクスと「新しい右翼」、並びにアイディアの政治の政治的学習、というアイディアの政治に関する諸論点について検討を行う。こうして、本稿は、政治的フレーズを駆使するアイディアの政治が、一体、どこまで政治を決定することができるか、この点についても確定したいと思う。
著者
末野 紀子 新田 ゆき
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.134-138, 1978-06-30
被引用文献数
3

1.生豚ひき肉に6種の香辛料を添加し,7日間冷蔵して脂肪の酸化度を測定した結果,ジンジャー,セージ,ローズマリー,クローブはよく酸化を抑え,ブラックペッパーは弱い効果を示し,ガーリックは酸化を促進した。同じ試料についてpHとトリメチルアミン量をも測定して防腐効果を調べたが,数値の上では若千の効果を示したが,官能的には効果は感じられなかった。2.生豚ひき肉に5種の香辛料を添加し,6か月冷凍貯蔵した場合,対照は6か月で脂肪の酸化曲線がかなり上昇したが,ローズマリー,セージ,ナツメグ,パプリカはよく酸化を抑え,ホワイトペッパーは弱い効果を示した。pHはいずれの試料も同じ値を示した。3.ひき肉に12種の香辛料およびソルビン酸,ソルビン酸カリ,ポリリン酸塩を添加し,加熱後3週間冷蔵して脂肪の酸化度を測定した結果,無添加試料では保存中酸化が急激に進んだが,香辛料添加試料はいずれも酸化が抑えられ,特にクローブ,セージ,ローズマリー,ジンジャー,オールスパイス,オレガノ,メース,タイムの効果が大きかった。ポリリン酸塩は若干の効果があり,ソルビン酸とその塩には酸化防止効果はなかった。これらの試料の一部についてトリメチルアミン量を測定した結果,ガーリック,ジンジャー,ローズマリー,クロ一ブ添加試料でいくらか生成量が少なかったが,防腐効果と言える程はっきりした差ではなかった。ソルビン酸は最も大きな効果を示し,ポリリン酸塩もいくらか効果があった。本研究の概要は第29回家政学会総会(1977)で発表した。
著者
新田 増
出版者
京都外国語大学
雑誌
研究論叢 (ISSN:03899152)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.139-154, 2007

旧ナバラ王国〈スペイン北部〉の中東部一地域の要求に応じ,国王が一連の特権の授与を認める1465年10月5日付けのナバラ王国国王勅令文書が,現在,ナバラ王立総合古文書館に保管されている。本稿は羊皮紙手書きの同勅令の古文書版を作成し,その使用言語であるナバラ固有のロマンス語と同方言のカステーリャ語化の進行状況を考察する。全4部から構成されている:第1部は古文書版の作成と書記法の解明,第2,第3部は言語研究,音声・音韻論及び形態・統語論,第4部は語彙研究である。今回発行される第3部は,形態・統語論にあたるが,その1として名詞・形容詞について究明する。
著者
新田 増
出版者
京都外国語大学
雑誌
研究論叢 (ISSN:03899152)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.37-65, 2006

ナバラ王国(スペイン北部)の中東部一地域の要求に応じ,国王が一連の特権の授与を認める1465年10月5日付けのナバラ王国国王勅令文書がナバラ王立総合古文書館に保管されている。本稿は同羊皮紙手書きの同勅令の古文書版を作成し,その使用言語であるナバラ固有のロマンス語と同方言のカスティーリャ語化の進行状態を考察する。全4部から構成されている。第1部は古文書版の作成と書記法の解明,第2,第3部は言語研究,音声・音韻論及び形態・統語論,第4部は語彙研究である。
著者
新田 英雄
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,非均一な強電磁場内の相対論的電子(陽電子)による放射とγ線による対生成現象を中心として,臨界電場中の真空の安定性に関係する諸問題を理論的に考究したものである。まず,相対論的イオンによる束縛状態対生成の理論を構築した。結晶軸に平行に入射した相対論的イオンの静止系では,結晶場は周期的パルス状のコヒーレント仮想光子となりいわば「仮想X線レーザー光」とみなせることに注目した。その静止系電場は,臨界電場以上の値に相当する。そのため,電子が結晶場内を進行する相対論的イオンの内殻軌道に電子が生成される束縛状態対生成が生じる可能性がある。これは,強電場QEDの検証として重要なだけでなく,エキゾティック原子や反水素の生成に応用できる。本研究ではこの対生成過程を,陽電子の終状態に平面波,電子の終状態に相対論的水素様波動関数を用いた計算を行った。得られた結果を,近未来型X線レーザーを仮定したMullerらの理論と比較したところ,イオンを同条件で入射した場合十分現実的な膜厚の結晶で同等以上の対生成確率が得られることが分かった。次に相対論的な電子が,結晶の軸ポテンシャルが形成する電場(10^<12>V/cm程度)に入射するという条件で,誘導型の対生成を波束を用いて研究した。これは,電子の進行方向における静止系から見れば,Kleinパラドックスと等価な状況となる。本研究では,Kleinパラドックス型対生成の基礎を調べるために,相対論的な波束の運動を数値的に計算した。また,電子波束の運動の基礎研究としてNelsonの確率過程量子化法を用いた波束の計算を行った。
著者
新田 恒雄 桂田 浩一 入部 百合絵 入部 百合絵
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

ビッグデータ中の音声ドキュメントから任意のキーワードを,実時間で検索する技術を開発した。研究実施にあたっては,(1)未知語を含む音声を高精度に音素列へ変換する技術,(2)曖昧性を含む音素列からキーワードを高速に検索する技術の二つに焦点をあてた。(1)では,双対空間で音素特徴を効率よく抽出すると共に,多層パーセプトロンで調音素性を抽出し,音素を高精度に識別する方式を開発した。(2)では,接尾辞配列に基づき反復深化探索を行う方式をベースに,調音素性間の距離計算を用いた連続DP,およびキーワード分割アルゴリズムを実装することで,検索精度,検索速度,記憶容量の三つの課題を同時に克服できることを示した。