著者
竹下 治範 藪田 有沙 北 早織 若林 知子 猪野 彩 原田 祐希 中川 素子 中川 道昭 波多江 崇 濵口 常男
出版者
一般社団法人 日本薬局学会
雑誌
薬局薬学 (ISSN:18843077)
巻号頁・発行日
pp.nt.2019-0002, (Released:2020-01-30)
参考文献数
16

要 旨:PTP 包装から錠剤を押し出す際,高齢者や手指の不自由な患者に対して押し出しやすい方法を提案することは重要な課題である.今回,PTP 包装からの錠剤の押し出し方法について客観的な評価とともに,人を対象とした官能評価試験で検討した.調剤薬局に来局し,同意を得た患者64 名を対象に,PTP 包装からの錠剤の押し出し方法についての官能評価試験を実施した.その結果,『指の腹』が押し出しやすいと回答した人が18 名(28%),『爪』と回答した人が46 名(72%)であった.データ解析の結果,男性に比べて女性で,さらに年齢が増すにつれPTP 包装から錠剤を取り出す際は,爪の方が押し出しやすいという傾向が明らかとなった.高齢化社会を迎える本邦において,高齢患者への服薬支援の一環として,PTP 包装からの錠剤の押し出しやすい方法の提案についても薬剤師が積極的に関与すべきだと考える.
著者
勝俣 昌也 芦原 茜 石田 藍子 小林 裕之
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.17-28, 2015-03-05 (Released:2015-06-30)
参考文献数
16
被引用文献数
2 5

玄米でトウモロコシの全量を代替できるか確認すること,玄米とカンショを併給するときの配合割合を検討することを目的として,3つの肥育試験を実施した。実験1では,トウモロコシ(75%配合)の全量を玄米で代替して肥育後期豚に給与したが,日増体量,飼料摂取量,飼料効率ともに影響はなかった。実験2では,玄米の配合割合を3水準(30,52.5,75%)設定し,玄米とカンショの併給が肥育後期豚の飼養成績と肉質におよぼす影響について検討した。日増体量,飼料摂取量に飼料の影響はなかった。飼料効率には飼料が影響する傾向があり(P<0.10),玄米30%配合区が低かったが,ほかの試験区のあいだに差はなかった。1頭あたりの玄米の給与量を増やすために,実験3では肥育前期から玄米(52.5%配合)を給与し,肥育後期は玄米(52.5%配合)とカンショ(22.5%配合)を併給した。肥育前期(30kg∼70kg)と全期間(30∼120kg)をとおしての飼料摂取量は,玄米·カンショ併給区が高く(P<0.05),全期間をとおしての飼料効率は玄米·カンショ併給区で低かった(P<0.05)。しかし,肥育後期には飼料の影響はなかった。実験1,2,3をつうじて,玄米を給与すると皮下脂肪内層の飽和脂肪酸と1価不飽和脂肪酸の割合が高く,多価不飽和脂肪酸の割合が低くなった。とくに,オレイン酸の割合の上昇とリノール酸の割合の低下は,再現性が高かった。実験2では,皮下脂肪内層の融点が玄米の給与で高くなったが,実験1と3では変化しなかった。胸最長筋のドリップロスやせん断力価には,玄米あるいは玄米とカンショの併給の影響はなかった。これらの結果から,トウモロコシの全量を玄米で代替して肥育後期豚に給与しても飼養成績と肉質に問題はなく,玄米とカンショを肥育後期豚に併給するときの配合割合は,それぞれ50%程度と20∼25%程度がよいと結論した。
著者
平 修 常山 幸一 川崎 安都紗 小野 鮎子 前川 昭 伊藤 崇志 宮崎 照雄 城本 淳 小林 春輝 大森 肇 片野 肇 村上 茂
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.27-29, 2017 (Released:2019-11-11)

イメージング質量分析(MS)により、マウス筋肉 組織中の「どこ」にタウリンが局在するのかを視覚 的に解析した。本報ではラット脚部より採取した、 ヒラメ筋、腓腹筋、足底筋の凍結切片を用いて、タ ウリンと分岐鎖アミノ酸である、バリン、ロイシン、 イソロイシン、リジンの局在を解析した。
著者
小松 真一 工藤 慎太郎 村瀬 政信 坂崎 友香 林 省吾 太田 慶一 浅本 憲 中野 隆
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3P3017, 2009 (Released:2009-04-25)

【【目的】Fabellaとは,大腿骨外側顆の後面において腓腹筋外側頭腱の内部に位置する1cm前後の種子骨であり,15%~35%前後の発現頻度で認められる.Fabellaは大腿骨外側顆との間にfabello-femoral関節を構成するとされ,Weinerらは,fabella部の鋭い疼痛,限局性圧痛,膝伸展時痛を有する症例を同関節の変性であると考え,fabella症候群として報告している. 一方,fabellaの関節面は,関節軟骨を欠き結合組織線維に覆われている場合が多いとする報告もある.このような例では,結合組織の変性や炎症,周囲の滑膜および関節包の炎症が認められるという.また,fabellaのみでなく種子骨一般の組織学的構造に関する検討は少ない.そこで今回,fabellaの周辺を局所解剖学的に観察するとともに,fabellaの組織学的構造の観察を行い, fabella症候群および総腓骨神経麻痺との関連について検討した.【方法】愛知医科大学医学部において『解剖学セミナー』に供された実習用遺体44体を使用した.膝窩部から下腿後面を剥皮後,皮下組織を除去して総腓骨神経を剖出した.腓腹筋外側頭の起始部を切離してfabellaを剖出し,総腓骨神経との位置関係を観察した後,fabellaを摘出した.Fabellaは脱灰してパラフィン包埋後,前額面と矢状面の薄切切片(5&#13211;)を作成し,ヘマトキシリン‐エオジン, マッソン・トリクロームおよびトルイジンブルー染色を行って観察した.なお,解剖の実施にあたっては,愛知医科大学解剖学講座教授の指導の下に行った.【結果】Fabellaは44体88側中16体30側(36.4%)において確認できた.その全例において,総腓骨神経がfabellaの表層を走行し,fabella部より遠位で深腓骨神経,浅腓骨神経,外側腓腹皮神経に分岐していた.Fabellaは,頂点を表層に向けた三角円錐形を呈していた.組織学的には,fabellaの辺縁部は関節面を含め線維芽細胞を含む膠原線維で被覆されていた.内部の組織学的構造は,髄腔を有する骨組織からなる例と,硝子軟骨組織からなる例が見られた. 【考察】Fabellaの関節面は関節軟骨を欠き,結合組織によって周辺の関節包や腱に癒合していた.また,fabellaはfabella-腓骨靭帯などの後外側支持機構によって支持されるため,可動性に乏しいことが示唆された.さらに,内部の組織学的構造から,fabellaは軟骨組織が機械的刺激によって骨組織に置換されて形成されると考えられた.このようなfabellaの組織学的構造やその個体差が, fabella症候群や総腓骨神経麻痺の発症に影響することが示唆された. Fabellaの表層を総腓骨神経が走行することから,総腓骨神経麻痺の症状の有無を考慮することが,fabella症候群の診断に有用であると示唆された.換言すれば,腓骨頭直下における総腓骨神経麻痺との鑑別が必要であると考えられる.
著者
梁 振林 松田 皎 三宮 信夫
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.853-860, 1992
被引用文献数
5 2

Matuda-Sannomiya's fish behavior model has been improved mainly on the basis of the experiment for rose bitterling <i>Rhodeus ocellatus ocellatus</i>. The model was reexamined for the behavior of Japanese dace <i>Tribolodon hakonensis</i> in a water tank experiment. The behavior of Japanese dace in a 1.7m equilateral octagonal water tank was recorded on video using 4 TV cameras which covered the whole area of the tank. On the basis of these time series data, the parameters included in the model were determined by the method of the least squares algo-rithm. However, some physical contradictions were observed in the parameters. This paper presents a modified model for describing the behavior of Japanese dace. In the new model, the interactive force between the fish and the attractive force of the wall were modified. The parameters in this model were suited, and the whiteness test of the residual was passed. The simulation by the modified model showed close agreement with the swimming behavior of Japanese dace.
著者
西下 智 簗瀬 康 田中 浩基 草野 拳 中尾 彩佳 市橋 則明 長谷川 聡 中村 雅俊 梅垣 雄心 小林 拓也 山内 大士 梅原 潤 荒木 浩二郎 藤田 康介
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】肩関節は自由度が高く運動範囲が広いが,関節面が小さいため回旋筋腱板(腱板)の担う役割は重要である。肩関節周囲炎,投球障害肩などに発生する腱板機能不全では棘上筋,棘下筋の柔軟性低下が問題となることが多く,日常生活に影響を及ぼすこともある。柔軟性向上にはストレッチング(ストレッチ)が効果的だが,特定の筋の効果的なストレッチについての研究は少ない。棘下筋に関してはストレッチの即時効果を検証する介入研究が行われているが,棘上筋ではほとんど見当たらない。棘上筋の効果的なストレッチは,複数の書籍では解剖学や運動学の知見をもとに,胸郭背面での内転(水平外転)位や伸展位での内旋位などが推奨されているが定量的な検証がなされていないため,統一した見解は得られていないのが現状である。棘上筋のストレッチ肢位を定量的に検証したのはMurakiらのみであるが,これは新鮮遺体を用いた研究であり,臨床応用を考えると生体での検証が必要である。これまで生体における特定の筋のストレッチ方法を確立できなかった理由の一つに,特定の筋の伸張の程度を定量的に評価する方法が無かったことが挙げられる。近年開発された超音波診断装置のせん断波エラストグラフィー機能を用いることで,計測した筋の伸張の程度の指標となる弾性率を求める事が可能になった。我々はこれまでに様々な肢位での最大内旋位の弾性率を比較する事により「より大きな伸展角度での水平外転・内旋もしくは,最大伸展位での内旋」が棘上筋の効果的なストレッチ方法であると報告(第49回日本理学療法学術大会)したが,最大内旋を加える必要性については未検証であった。そこで今回我々は,効果的な棘上筋のストレッチ方法に最大内旋が必要かどうかを明らかにすることを目的とした。【方法】対象者は健常成人男性20名(平均年齢23.8±3.1歳)とし,対象筋は非利き手側の棘上筋とした。棘上筋の弾性率の計測は超音波診断装置(SuperSonic Imagine社製)のせん断波エラストグラフィー機能を用い,棘上筋の筋腹に設定した関心領域の弾性率を求めた。計測誤差を最小化できるように,計測箇所を肩甲棘中央の位置で統一し,2回の計測の平均値を算出した。弾性率は伸張の程度を表す指標で,弾性率の変化が高値を示すほど筋が伸張されていることを意味する。計測肢位は,上腕の方向条件5種と回旋条件2種を組み合わせた計10肢位とした。方向条件は下垂位(Rest),胸郭背面での最大水平外転位(20Hab),45°挙上での最大水平外転位(45Hab),最大水平外転位(90Hab),最大伸展位(Ext)の5条件,回旋条件は中間位(N)と最大内旋位(IR)の2条件とした。統計学的検定は各肢位の棘上筋の弾性率について,方向条件と回旋条件を二要因とする反復測定二元配置分散分析を行った。なお統計学的有意水準は5%とした。【結果】全10肢位のそれぞれの弾性率(平均±標準偏差,単位:kPa)はRestNが8.9±3.1,RestIRが7.3±2.5,20HabNが11.9±5.3,20HabIRが10.9±4.3,45HabNが27.1±11.0,45HabIRが28.0±13.8,90HabNが22.6±7.8,90HabIRが27.3±10.8,ExtNが31.0±7.2,ExtIRが31.8±8.4であった。統計学的には方向条件にのみ主効果を認め,回旋条件の主効果,交互作用は認めず,中間位と最大内旋位に有意な違いがなかった。方向条件のみの事後検定ではRestに対して20Hab,45Hab,90Hab,Extの弾性率が有意に高値を示し,更に20Habに対して45Hab,90Hab,Extの弾性率が有意に高値を示した。【考察】棘上筋のストレッチ方法はこれまでの報告同様,Restに比べ20Hab,45Hab,90Hab,Extが有意に高値を示した事,また,20Habに比べ45Hab,90Hab,Extが有意に高値を示した事から,伸展角度が大きい条件ほどより効果的なストレッチ方法であることが再確認できた。しかし,回旋条件の主効果も交互作用も認めなかったことから最大内旋を加えることでの相乗効果は期待できない事が明らかとなった。この結果は新鮮遺体での先行研究が推奨する最大伸展位での水平外転位を支持するものであった。このことから書籍などで推奨されていた胸郭背面での水平外転位のストレッチについては水平外転や内旋よりも伸展を強調すべきであることが明らかとなった。【理学療法学研究としての意義】本研究では弾性率という指標を用いる事で,生体の肩関節において効果的な棘上筋のストレッチ方法が検証できた。その肢位はより大きな伸展角度での水平外転もしくは最大伸展位であったが,最大内旋を加えることによる相乗効果は期待できないことが明らかとなった。
著者
古林 万木夫 松下 裕昭 真岸 範浩
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.9, pp.647-651, 2009 (Released:2016-02-10)
参考文献数
22
被引用文献数
1

日本における醤油の消費量の減少に歯止めをかけるため,醤油の機能性(魅力)をPRすることも一方策と考えられる。日本の国民の約3人に1人が何らかのアレルギーに発症しているといわれるほど,アレルギーは国民病として社会問題化している。そこで,副作用の心配のない,食品由来の抗アレルギー剤の開発が望まれている。さらに,成人女性の約10%は鉄欠乏性貧血であり,約40%は貧血予備軍といわれ,栄養上大きな問題となっている。今回は特にヒト臨床試験において,醤油に約1%含まれる醤油多糖類(SPS)に抗アレルギー作用と免疫調節機能,および鉄吸収促進効果のあることを解説いただいた。
著者
野田 雅博 松田 俊二 小林 正夫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.74, no.8, pp.664-669, 2000-08-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
11
被引用文献数
2 3

陽イオン界面活性剤系, 両性界面活性剤系, ビグアナイド系, アルデヒド系およびハロゲン系の計5種の消毒剤の殺ウイルス効果を, DNAウイルスのヒトヘルペスウイルス, ヒトアデノウイルス, ブタパルボウイルスの3種およびRNAウイルスのウシラブドウイルス, ヒト免疫不全ウイルス, ポリオウイルスの3種を用い, 血清蛋白質の非混在および混在の条件下で検討した. アルデヒド系およびハロゲン系の消毒剤はすべてのウイルスに対して有効であったが, 陽イオン界面活性剤系, 両性界面活性剤系, ビグアナイド系消毒剤はエンベロープを有するウイルスに対してのみ有効であった. 血清蛋白質の混在は, 陽イオン界面活性剤系, 両性界面活性剤系消毒剤の殺ウイルス効果に強く影響した.
著者
中村 翔 小林 一希 颯田 季央 工藤 慎太郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0152, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】外側広筋(VL)は膝関節の主要な伸展筋であり,さらに内側広筋と共同して膝蓋骨の安定性に寄与している。しかし,臨床で遭遇するVLの過緊張は内側広筋とのアンバランスを引き起こし,膝蓋骨の正常な運動を阻害する。そして膝蓋大腿関節症といった膝周囲の疼痛を引き起こす原因となるため,膝蓋大腿関節の機能改善のためには,VLに対する治療が重要となる。我々は先行研究において超音波画像診断装置を用いて膝関節屈曲運動時のVLの動態を観察した結果,膝屈曲運動時にVLは後内側に変位することを報告した(中村2015)。そしてEly test陽性例に対して,VLの動態を考慮した運動療法を行った結果,VLの動態の改善や筋硬度の減少といった結果が得られたことを報告した(中村2015)。しかし,我々が考案した運動療法と従来から行われているストレッチングの効果について比較をしていない。そこで今回は両介入における即時効果の比較検討をしたので報告する。【方法】対象はEly testが陽性であった成人男性20名40肢とした。対象を無作為にVLの動態を考慮した運動療法を行う群(MT群)とストレッチングを施行する群(ST群)の2群に振り分けた。MT群は膝関節自動屈曲運動に伴い,VLを徒手的に後内側に誘導する運動療法を行った。回数は10回を1セットとし,3セット行った。ST群は他動的に最終域まで膝関節を屈曲するストレッチングを行った。回数は30秒を1セットとし,3セット行った。測定項目は膝関節屈曲運動時のVL変位量(VL変位量)と筋硬度を介入前後に測定した。VL変位量は超音波画像診断装置を用いて,Bモード,リニアプローブにて,膝関節自動屈曲運動時のVLの動態を撮影した。そして,得られた動画を静止画に分割し,膝関節伸展位と屈曲90度の画像を抜き出し,VLの移動した距離をImage-Jを使用して測定した。筋硬度は背臥位,膝伸展位で筋硬度計を用いて,大腿中央外側にて測定した。統計学的処理にはR2.8.1を使用し,介入前後の比較にはWilcoxonの符号付順位検定を行い,群間の比較にはMann-Whitney検定を行った。いずれも有意水準は5%未満とした。【結果】介入前の両群間の各変数に有意差は認めなかった。介入前のVL変位量は,MT群8.3mm(7.5-9.7),ST群8.7mm(8.1-10.2),介入後はMT群12.5mm(11.7-13.5),ST群11.9mm(11.1-13.4)であり,両群とも介入前後で有意差を認めた(p<0.05)。介入前の筋硬度は,MT群1.5N(1.5-1.6),ST群1.5N(1.4-1.5),介入後はMT群1.4N(1.4-1.5),ST群1.5N(1.4-1.5)であり,両群とも介入前後で有意差を認めた(p<0.05)。介入後の両群間の比較では,VL変位量,筋硬度ともに有意差を認めた(p<0.05)。【結論】筋の動態を考慮した運動療法はストレッチングと比較して,膝関節屈曲運動時の筋の動態および筋硬度が改善したことより,本法は短軸方向への筋の柔軟性改善に有効な手段であることが明らかとなった。
著者
小林 雅彦 水野 泰之 森 大祐 馬谷 直樹
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.513-517, 2016

肩甲下筋腱(SSc)断裂の診断は困難なことが多い.我々はSSc断裂の診断精度を上げるため,MRI 上SScと肩甲骨(Sc)間に生じるT2 highの間隙である&ldquo;Gap sign(GS)&rdquo;に注目した.本研究の目的は,前向き研究によりGSのSSc断裂に対する診断精度について検討することである.<BR> 2014年にARCRを施行した42肩(平均年齢63.2&plusmn;10.2(SD)歳)を対象とした.単純MRI のoblique-saggital像において,scapular-Y viewから外側10mmにおいて,SScとSCの間に生じるT2強調像での高輝度領域をGSと定義した.術前にGS陽性か陰性か判定し,手術時にSSc断裂の有無を診断し,GSの精度を検定した.<BR> GS陽性24肩・GS陰性18肩で,SSc断裂ありが23肩,なしが19肩.感度91.7%・特異度94.4%・PPV 95.6%・NPV 89.5%であった.<BR> GSはSSc断裂を予測する優れた方法といえる.
著者
林田 治男 ハヤシダ ハルオ Haruo HAYASHIDA
雑誌
大阪産業大学経済論集
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.89-105, 2004-06-30

At the beginning of Meiji Era, many foreign employees came to Japan in order to support her modernization. They contributed to the various fields, such as the construction of capitalistic society, the reinforcement of military power, and digestion of technological knowledge. Among them I am interesting in the railway engineers, for the transportation is a necessary condition for the development, the railway was the frontier industry of the contemporary economy, and it had a large ripple effect. The Imperial Government contracted to Horatio Nelson Lay of Britain in 1869. She canceled the contract next year because of his dishonest actions, and at the same time she ordered the Oriental Bank Corporation to clear the trouble between Lay and to succeed the contractual relations. Therefore the Japanese railways was constructed by British civil engineers and navvies using the British materials, was managed by British mechanical engineers and operators. Thus owing to the advice and suggestion of British engineers Japanese railways began to service. In order to study the motivation of hired British engineers it is necessary to investigate their careers. After their materials are acquired, it is possible to examine their skills and rewards, and induce their ethos overcoming a lot of heavy conditions in Japan. Last summer I visited the National Archives and the Institution of Civil Engineers in UK in order to inquire the memoirs of the Proceedings, the Candidate Circulars, and the members list of ICE and so on. After come back to Japan, I have been trying to support them by using the Japanese primary materials. Now I decide to publish this summarizing note which shows their careers, hoping to help this theme develop.
著者
名野 隆夫 菊地 修一 岩津 勝彦 西部 栄次 鈴木 琢也 佐々木 義智 伊藤 和男 小林 春夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.98, no.352, pp.79-86, 1998-10-23
参考文献数
11

本論文はBSIM3v3SPICEモデルによる、高耐圧MOSデバイスのモデル技術について報告する。標準のSPICEモデルは高耐圧MOSデバイスの電圧依存を持つR_d、R_sに対して高精度なモデルを提供しておらず、電圧-電流特性のシミュレーションと実測値との間に大きな差異を生じる。我々はオリジナルBSIM3v3のパラメータの一部に対して本来とは異なる物理的な意味合いを設定しR_d、R_sの電圧依存を表現する技法を考案した。本技法により得たパラメータによる、高耐圧MOSデバイスの電圧-電流特性のシミュレーションと実測値とは非常に良く一致する。提案モデル技法と高耐圧MOSデバイスの動作原理との関係についても検討を行った。
著者
牧野 博明 戸田 雅裕 小林 英俊 森本 兼曩
出版者
日本観光研究学会
雑誌
観光研究 (ISSN:13420208)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.9-18, 2008-03-31 (Released:2017-04-01)

The purpose of this study is to measure and to analyze the effect of the stress relief which is caused by traveling through the experiment by the easy measurement method. We analyzed stress marker which are obtained from saliva. We collected saliva from the participants, women, on a short-term trip, three times a day, and five days total including a day before the trip and a day after the trip. As a result, it was assured that the effect of the stress relief is caused by travel and suggested the possibility of the disease prevention and the health promotion of the travel. In addition, the effectiveness of the group analysis based on subject's mental health status was confirmed, and there is possibility to propose the travel type according to the characteristics of subjects.
著者
小林 育斗 阿江 通良 加藤 謙一
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.158_2, 2017

<p> 本研究では、小学生の投動作をクラスター分析によって類型化するとともに、標準動作モデルを用いた投動作の練習を実施し、その効果を投動作の類型別に検討して、指導のための知見を得ることを目的とした。投動作の類型化では、6年生女子40名のソフトボール投げを3次元動作分析し、投球腕の関節角度などについて標準動作モデルからの動作逸脱度の指標(zスコア)を求め、これを変数としてクラスター分析を行った。投動作の練習では、6年生女子15名に対し、投動作の標準動作モデルの提示や画像遅延表示システムを用いた小学生自身の動作の観察を含む投練習を計4回(各40分)行わせた。練習期間の前後において投動作を3次元動作分析した。投練習によって、女子全体では投距離とボール初速度は有意に増加した。標準動作モデルからの逸脱が大きい類型では、体幹の側屈や前方回転が改善され、肩関節まわりの力学的仕事が増大し、投距離とボール初速度が増加した。このことから、本研究で用いた方法(目標とすべき動作との比較や修正)は、特に標準動作モデルからの逸脱が大きい小学生に投動作の改善と投能力の向上をもたらすと言える。</p>
著者
小林 麻衣子
出版者
日本イギリス哲学会
雑誌
イギリス哲学研究 (ISSN:03877450)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.23-38, 2002

<p>The political thought of James VI has always been associated witn the divine right of kingship. However, the theory of divine kingship is merely one feature of his thought. James primarily developed his ideas under the influence of political realism that he encounterea in his youth. He then incorporated various elements of religious reformers' views and Renaissance humanism into his thought for the purpose of constructing strong kingship, which could not be threatened by any other entity. <br>In this paper, I examine the historical context that influenced the development of James' thought and the characteristics of his thought—the obedience theory, Renaissance humanism, and political realism.</p>
著者
山本 勇麓 熊丸 尚宏 林 康久 木村 繁和 深水 清
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.1168-1174, 1970-09-05 (Released:2010-05-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

溶媒抽出に基づくクロム(VI)の新しい吸光光度法を開発した.適量のトリス(1, 10-フェナントロリン)鉄(II)キレート陽イオンが水相に存在するとクロム(VI)が選択的にニトロベンゼンに抽出されることを見いだした. pH 3~4の範囲で金属キレート濃度をクロム(VI)の50倍過剰に保てば一定の抽出が得られた.水相中に存在していたクロム(VI)濃度が62.5μg/25 ml以下の範囲で,抽出相のλmax(516mμ)の吸光度とクロム濃度との間には直線性が成立した.抽出種は微酸性におけるクロム酸イオンの平衡定数から考えて[Fe(phen)32+]・[HCrO4-]2と推定された.抽出相の呈色強度は24時間の放置でもほとんど一定であった. 2.08μg/mlクロムの11試料についての標準偏差は,平均吸光度0.4001に対して0.52%であった.多量の鉄(III)はかなりの負誤差を与えるので,メチルイソブチルケトン-iso酢酸アミル混合溶媒による抽出で鉄(III)を除去する方法を検討した.クロム(III)の酸化には過酸化水素水を用いた.純鉄をマトリックスとしたクロム(III)から得た検量線はやや低いクロムの回収率を示すが,この方法を鉄鋼中のクロムの分析に応用してよい結果を得た.
著者
林 眞理
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

転座や欠失など種々の染色体構造異常の中でも、染色体融合は最も危険な異常の一つである。染色体融合がどのように染色体の異常を引き起こすかについては、様々なモデルが提唱されている。しかし、どの程度の種類と数の染色体融合が、どの程度の時間を経てどのような異常を引き起こすのかについては、よく分かっていない。そこで本研究計画では、1つの姉妹染色体分体の融合を可視化できる細胞系を構築し、細胞の運命を継時的に解析することを目的とした。前年度までに姉妹染色体分体融合を可視化できる細胞システム(Sister chromatid Fusion Visualization system: FuVis)の構築に成功し、FuVisを用いたライブセルイメージング観察によって姉妹染色体分体融合の運命を追跡した。その結果、1つの姉妹染色体分体融合によって、微小核という染色体異常が生じていることが示唆された。しかしながら、CRISPR/Cas9による染色体の切断、DNA修復、mCitrineの発現の効果など、複数のパラメータの中で、本当に姉妹染色分体こそが、微小核の形成に影響を与えているのかを解析する必要があった。そこで本年度は、動画から得られたデータをさらに詳細に解析するため、京都大学白眉センターの加賀谷白眉との共同研究を開始した。これまでの解析から、階層ベイズモデルを構築し動画データをあてはめることによって、細胞の個性、染色体切断、姉妹染色分体融合、時間経過による蓄積効果など種々のパラメータの中から、姉妹染色体分体融合こそが微小核の形成に寄与していることを突き止めた。本研究成果はbioRxivにアップロードし、論文投稿段階にある。
著者
竹ノ内 敏一 田中 博志 若林 信一
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.818-822, 2003 (Released:2004-11-19)
参考文献数
6
被引用文献数
8 8

Electrolyzed alkaline water, obtained by the electrolysis of a dilute NaCl solution in a cathode compartment shows high pH (alkalinity), low ORP (Oxidation Reduction Potential), and moderate reducibility and oil-emulsification. By utilizing the characteristics of the alkalinity and the oil-emulsification of the electrolyzed alkaline water, metals and lead frames stamped with oil were washed and cleaned, then the cleanness of metals and lead frames for electronic products was evaluated. The surface analysis and quantitative data on remaining residual oils and ionic contamination, AES (Auger Electron Spectroscopy) analysis on metals, and wire-bond pull strength on the lead frames which were washed and cleaned by the electrolyzed alkaline water, showed the same level of cleanness compared to that of the conventional cleaning method by chemicals.