著者
村田 千代栄 鈴木 佳代 筒井 秀代 原岡 智子 近藤 克則
出版者
独立行政法人国立長寿医療研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

一般高齢者のヘルスリテラシー関連要因の探索のために質問紙調査と面接調査を併用した混合研究法を用いた。教育程度や年齢、健康状態に関わらず「診療場面でわからないことを質問できない」ほど、必要な治療を中断しており、治療方針について「医師の説明を聞いたうえで医師と患者が相談して決める」(パートナーシップ型)で中断がもっとも少ない一方、質問できない理由として「忙しそう」「次の人が待っている」「質問しても無視された」「嫌な顔をされた」などの意見がきかれ、良好な治療関係には、ヘルスリテラシー向上に加え、医師との良好なコミュニケーションが重要であり、医師・患者双方への働きかけが必要と思われた。
著者
鈴木 毅彦
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.1-25, 2000
被引用文献数
15 14

飛騨山脈南西部の貝塩給源火道から噴出した貝塩上宝テフラ (KMT) は,大規模火砕流堆積物と中部~東北南部を覆った降下テフラからなる大規模テフラである.本稿ではその特性・分布・年代を示し,噴出前後に形成された地形面の編年・古地理について論じた.KMTの認定においては,黒雲母・石英・高ウラン濃度ジルコンの存在,火山ガラス・チタン磁鉄鉱の化学組成を指標とした.従来の放射年代値と房総半島上総層群中での層位から,KMTは海洋酸素同位体ステージ (MIS) 17.3~15.2に降下し,その年代は0.58~0.69Maの間と判断された. KMTは関東の狭山面・阿須山面・喜連川丘陵上位面,松本盆地の梨ノ木礫層堆積面形成後まもなく降下した.これら地形面はMIS17~16に形成されたと推定され,当時は扇状地面を広く発達させる地形形成環境があったとみられる.また, KMT噴出時,飛騨山脈中軸部がすでにかなりの高度を有していた可能性を指摘し,阿武隈山地に発達する小起伏面群の形成年代の上限を示した.
著者
遠藤 康夫 加倉井 和久 山田 和芳 笠谷 光男 神木 正史 小松原 武美 鈴木 孝 高木 滋
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1989

高温超伝導を示す銅酸化物及びこれらの物質と同じ結晶構造を示す同型異物質の主として磁性を中心に物性と結晶構造の相関を研究した。1.銅酸化物では超伝導発現と銅イオンの持つスピンの二次元的な反強磁性磁気相関との因果関係を徹底して調らべた。最も大事な收穫はキャリアーが正孔である場合は酸素サイドに広がったキャリアーのスピンの影響で磁気相関が滋常に大きく変化し、反強磁性的な磁気相関も壊されるのに対し、電子的キャリアーの場合では反強磁気性相関が残ることが実験的に証明された。これは電子相関と磁性との密接な関係を論ずる基礎となる。2.キャリアーの濃度が増えると、磁気相関距離が短くなり、電子相関の強さとキャリアー濃度及び反強磁性相互作用の間の対応がついた。3.超伝導発現と磁気相関の関係については、全く同じ結晶を使って、酸化の度合いを制御して超伝導転移を変化させることに成功し、その結果として反強磁性相関及びスピンの揺らぎが超伝導の発現と密接にからんでいることを見つけた。4.同形のNi酸化物で、酸化度の違いによって微妙に反強磁性構造が変化することを見つけた。この時は結晶構造も微妙に変化することも見つけている。その他にもUを含むアクチナイド化合物の電子相関の強い物質について、超伝導反強磁性電子相関の3つの因果関係を含む関係を含む研究に着手した。この研究には、1K以下の極低温で中性子散乱が必要なために希釈冷凍機の調整を行なって、測定実験が可能なところにこぎつけた。
著者
上野 雄己 鈴木 平 清水 安夫
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.20-34, 2014
被引用文献数
1

This study aimed to develop a psychological resilience model for university athletes (PRMUA). University athletes (<i>N</i>=377; 188 men and 189 women, Mean age=19.70 years, <i>SD</i>=1.20) participated in the study. They completed a questionnaire comprising of socio-demographic questions and questions on resilience, resilience efficacy, stressors, stress response, and self-esteem. Structural equation modeling was used to examine the hypothetical mediation model of PRMUA, which indicated that fit indices of the model satisfied statistical requirements (GFI=.99, AGFI=.94, CFI=.99, RMSEA=.08, AIC=48.32, BCC=48.93). Moreover, each path of PRMUA had a significant influence on each variable. Findings of this study partially supported our hypotheses regarding PRMUA. Further research is needed to clarify the nature of resilience. Moreover, longitudinal research is needed to develop practical uses for the model, such as increasing and predicting the resilience of athletic club members.
著者
小関 俊祐 巣山 晴菜 兼子 唯 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.35-44, 2014

Effects of interpersonal rejection sensitivity and automatic thoughts relating to social phobia, trait anxiety, and depression, in university students in a teacher education course were investigated to determine if these effects differed between pre- and post-practicum students. We administered questionnaires to first year students (<i>n</i>=84; 37 boys and 47 girls) with no practicum experience (no practicum group) and to fourth year students (<i>n</i>=82; 51 boys and 31 girls) with a practicum experience (practicum group). The results showed that in the no practicum group, "Dependence on Evaluation by Others" and "Negative Expectations for the Future" significantly affected interpersonal rejection sensitivity and automatic thoughts related to social phobia, whereas "Negative Expectation for the Future" had a significant effect on these variables in the practicum group. In addition, "Negative Thoughts about the Self" significantly affected trait anxiety. Furthermore, "Fear of Relationship Failure" and "Unassertive Interpersonal Behavior significantly affected the "Fear of Hurting Others" in the no practicum group, whereas there was a significant effect of "Fear of Criticism by Others" on these variables in the practicum group. In both groups, there was a significant effect of "Negative Expectation for the Future" on depression, whereas in the no practicum group, there was a significant effect of "Positive Automatic Thoughts" on depression.
著者
池添 泰弘 茂木 邦雄 鈴木 隆史 廣田 憲之 植竹 宏往 渋谷 正徳 中川 準 北沢 宏一
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:18804004)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.1557-1560, 1999-04-15

We succeeded in making water levitate in air, using not an extreme by strong magnet such as a Bitter-type hybrid matnet, but a compact superconducting magnet. The levitated water ball had a spherical shape and levitated stably for over a day. We named this phenomenon "magneto-Archimedes levitation," because, to achieve it, we used gravitational and magnetic buoyancy forces in the presence of pressurized oxygen gas. In additon, our method enables paramagnetic substances to levitate in air, which has been considered to be impossible owing to the Maxwell relation, divB=0. We also succeeded in making paramagnetic aqueous copper sulfate levitate in air. To the best of our knowledge, this is the first demonstration of stable levitation of paramagnetic substances in the atmosphere.
著者
任 之家 堀田 良和 鈴木 智 野波 健蔵 安田 憲太 平林 大輔 古屋 光啓
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第50回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.92, 2007 (Released:2008-12-11)

QTWは科学観測等での利用を目的として開発中の無人航空機で、プロペラ付翼のティルト角を変更することにより、ヘリコプタモードからエアプレンモードへと連続的に飛行することが可能である。ヘリコプタモードの姿勢ダイナミクスをシステム同定手法により分析し、LQIコントローラを設計した。また、任意のティルト角でのマニュアル飛行を可能にする装置(PFCS)と自律制御器を組み合わせ、オペレータ支援用自律制御システムを設計し、有効性を検討した。
著者
倉根 一郎 高崎 智彦 松谷 隆治 鈴木 隆二
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

デングウイルス感染症は世界で最も重要な蚊媒介性ウイルス感染症である。デングウイルス感染におけるデング出血熱の発症機序の解明のため、マーモセットを用いてデングウイルス感染モデルの確立を行った。マーモセットは感染後高いウイルス血症を示し、また抗体反応、臨床的所見、血液学および生化学的検査所見もヒデング熱患者と同様の変化が見られた。また、マーモセットにおけるT細胞免疫応答の詳細な解析のため、サイトカインや細胞マーカー解析のツールを確立した。
著者
榎本 麗子 菊谷 武 鈴木 章 稲葉 繁
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.95-101, 2007 (Released:2007-03-03)
参考文献数
28
被引用文献数
4 6

目的 食べる機能の障害は栄養状態や身体機能に影響を及ぼすことから,生命予後にまで影響を与えるとされている.中でも,認知機能の低下した高齢者は,先行期を中心とした食べる機能の障害が多く認められると考えられる.今後,認知機能の低下した高齢者の増加が予想される中で,摂食・嚥下機能の先行期障害と生命予後との関係を明らかにすることは重要であると考え,本研究を行った.方法 対象は,某介護老人福祉施設に入居する98名(平均年齢86.3±5.9歳)である.これらのうち,施設内および入院先で入院時より1週以内に死亡した者を「死亡」とし,死亡日時と死因の調査を行った.また予後因子として以下の11因子を調査した.1)基礎疾患,2)日常生活動作(以下ADLと略す),3)先行期障害,4)嚥下機能,5)食事介助,6)6カ月間の体重減少率,7)Body Mass Index(以下BMIと略す),8)Mini Nutritional Assessment(以下MNAと略す),9)咬合状態,10)年齢,11)性別.これら11因子を,Kaplan-Meier生存曲線の理論にもとづき,各因子の陽性者と陰性者における生存日数の有意差をLog-rank法にて検討した.次に非線形多変量解析法であるCOXの比例ハザードモデルを用いて回帰分析を行い,寄与率の高い因子を抽出した.結果 ADL(p<0.05),先行期障害(p<0.01),嚥下機能(p<0.01),食事介助(p<0.05),BMI(p<0.01),MNA(p<0.05)の6因子においてリスクの有無により生存日数に有意差が認められた.またハザードモデルによる解析では先行期障害,嚥下機能,BMIの3因子がハザード比も高く,生命予後の短縮に関与していることが示された(先行期障害:ハザード比2.85, 95%信頼区間1.04∼7.83,嚥下機能:ハザード比2.90, 95%信頼区間1.06∼7.91, BMI:ハザード比2.54, 95%信頼区間1.00∼6.44).結論 本研究の結果から,先行期障害,嚥下機能,BMIはいずれも比例ハザード比も高く,生命予後の短縮に強く関与していることが示唆された.
著者
鈴木 郁郎
出版者
東京工科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

脳組織モデルのin vitro再構成技術として、PDMSマイクロチャンバにより細胞体位置を制御し、コラーゲン繊維配向技術により神経突起の方向を制御した3次元培養技術を開発した。構築した3次元脳組織モデルは、生体組織と同等の細胞密度および活動電位の伝播スピードを有し、顕著な薬剤応答を示すことがわかった。また、カーボンナノチューブ微小平面多電極アレイを開発し、マウス線条体脳スライスよりドーパミンのリアルタイム検出に成功した。開発した脳組織モデルの3次元培養技術および神経伝達のリアルタイム計測技術は、創薬スクリーニングにおける評価系としての応用が期待できる。
著者
岸本 宏子 羽石 英里 ERICKSON Donna エリクソン ドナ 細川 久美子 鈴木 とも恵 河原 英紀 竹本 浩典 榊原 健一 藤村 靖 新美 成二 本多 清志 中巻 寛子 長木 誠司 八尋 久仁代
出版者
昭和音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

音楽学の学際的な研究の試みとしてとりあげた「ソプラノの声の特性」の研究は、音声学、音響学、物理学、医学、声楽演奏、声楽指導、音楽学、音楽療法等の関係分野それぞれに、有益な収穫をもたらした。しかしそれにも増す成果は、研究の進行と共に個々の分野内の研究成果の枠を超えて、「学際的研究」としての総合的な研究への興味が高まって来た。そして、新たな研究代表者の下、本研究の成果を礎とした新たな研究へと発展的に継承されることである(基盤研究C25370117「歌唱時の身体感覚の解明:MRIによる発声器官の可視化と音響分析を中心とした試み」)。
著者
鈴木 敦夫 長谷川 利治 伏見 正則 尾崎 俊治 澤木 勝茂 佐々木 美裕 鈴木 敦夫
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究の成果は3つテーマに関して得られた。具体的には,Iインフラストラクチャーの最適運用・設計に関する研究,その中に,I-1高速道路の最適運用に関する研究,I-2救急車の最適運用に関する研究,I-3ハブ空港の最適配置の研究,I-4配置の数学モデルに関する研究,I-5その他最適化手法の応用,派生研究として,IIセンサーネットワークに関する研究,IIIファイナンス工学に関する研究にまとめられる。IIは,都市内のインフラストラクチャーの維持管理にワイアレスセンサーを用いることができる可能性から研究を進めた。IIIは,都市の開発プロジェクトをリアルオプションと呼ばれるファイナンス工学の応用手法をもちいることで定量的に評価できる可能性から研究を進めた。Iでは,高速道路の交通量データの分析,災害時避難経路問題の解法、救急車の配置問題の解法の提案、競争化でのハブ空港の配置問題,都市内の商業施設の競争的な配置の問題の解法の提案を行った。災害時に地下街や大学キャンパスから避難する方法をシミュレーションの手法を用いて分析を行った。IIでは,都市内の配置問題から派生して,センサーネットワーク関連の配置問題に取り組んで成果を挙げた。センサーネットワークの問題は,例えば,都市のインフラのひとつである橋梁の保守などにも用いることができる。橋梁の要所にセンサーを配置し,亀裂などの崩壊の兆しを事前に感知して警報を発することなど広く応用が期待される。ここでは,効率的なセンサーの配置について研究を行った。IIIでは,金融商品の分析、特に転換社債のゲーム論的な分析を行った。今後は都市内のプロジェクトを金融派生商品として評価する金融手法の基礎となる研究成果である。
著者
鈴木 彌生子 國分 敦子 絵面 智宏 中山 和美
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-10, 2013-01-15 (Released:2013-02-28)
参考文献数
30
被引用文献数
2 2 3

本研究では,三陸産(45検体)·鳴門産(64検体)·中国(54検体)·韓国(46検体)において産地の明確な湯通し塩蔵ワカメを浜単位で入手し,炭素·窒素·酸素安定同位体比を用いて,産地判別の可能性を検証した.鳴門産については,炭素·窒素同位体比ともに,個体内変動·季節変動·地域変動が小さく,全般的に値が安定した傾向が見られた.また,鳴門産の窒素同位体比は10.7±1.1‰(平均値±標準偏差)となり,三陸産(1.4±1.9‰)·韓国産(0.5±1.6‰)·中国産(3.0±2.5‰)よりも有意に高い傾向が得られた.一部中国産については,炭素同位体比が低く,窒素同位体比が高くなる傾向が得られた.酸素同位体比は,韓国産が比較的高い値を示したが,日本·中国·韓国の平均値の差は2.1‰となり,地域差は小さかった.炭素·窒素同位体比の結果を用いて,鳴門産とその他(三陸·中国·韓国)の2群について判別分析を行った結果,判別関数を構築した試料について,正答率を計算すると,鳴門産は98.4% (64点中),その他産は99.4% (145点中)となった.交差検証法を用いて判別関数の精度を検証した結果,96.8%の鳴門産が正しく分類された.年変動といった検証が必要であるが,炭素·窒素同位体比によって,鳴門産を判別できる可能性が高いと考えられる.
著者
鈴木 敦夫 李 明哲 佐々木 美裕 鵜飼 孝盛 大山 達雄 三浦 英俊 栗田 治 田口 東 稲川 敬介 小市 俊悟 古田 壮宏 鳥海 重喜 藤原 祥裕 高松 瑞代 田中 健一 腰塚 武志 石崎 文雄 伏見 正則 腰塚 武志
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

都市内の災害時の人の流動に関する総合的な研究として,本研究ではテーマを3つ設定した.1)交通ネットワークシステムの頑健性と効率性の評価:道路,鉄道,航空網それぞれについて,GISデータ,時刻表,交通量データを用いて頑健性と効率性の評価を行った.2)緊急時の都市内・都市間流動に関するモデル:過大な交通量が流れているときの鉄道の遅延を記述する数理モデルを開発した.また,都市内で早急な避難が必要なほどの重大な事故が発生したときの都市内経路の解析について研究を進展させている.3)コンパクトな都市空間の設計原理:鉄道網の発達が平面を時間的に縮小させる効果について数理的に分析した.