著者
長谷川 功
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.184-189, 2018-09-25 (Released:2018-10-11)
参考文献数
8

現代の神経科学は,『脳の特定の解剖学的区分に限局する細胞の性質がその脳区分に宿る機能を表す』とする機能局在論のパラダイムのもと,目覚ましい発展を遂げてきた.しかし,複雑系としての脳の動作原理を説明するのに,機能局在論に基づく細胞活動記録や脳機能マッピングのアプローチだけでは限界があることは否めない.筆者は,視覚認知の基盤をなす大脳の巨視的ネットワークにおける信号の流れや分散的・同期的な神経表現の解明を目指している.本稿では,脳の表面に柔軟な電極を張り巡らせるメッシュ型皮質脳波(ECoG)の技術を活かして,皮質に分散した視覚カテゴリー認知に関わる微細機能構築の非線形的・動的な性質を明らかにすることにより,機能局在論と全体論の発展的統合を目指そうとする最近の試みについて紹介する.
著者
Chowdappa Rekha 長谷川 信美 後藤 正和 小薗 正治 藤代 剛 高橋 俊浩 高木 正博 野上 寛五郎 園田 立信
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.149-156, 2005
参考文献数
21
被引用文献数
2

幼齢ヒノキ造林地(YF区, 2003年6-9月)および野草地(NG区, 2003年10・11月)に放牧された黒毛和種雌牛の行動とルーメン内性状の特性を明らかにするために、24時間行動観察とGPSによる移動距離測定を各月1回, ルーメン液採取を各区2回行った。採食行動時間は平均537.7±109.8分/日で、Miscanthus sinensis採食割合と正(r=0.436, p<0.05)、Pleioblastus simonii採食割合と負(r=-0.676, p<0.001)の有意な相関を示した.M. sinensis採食割合は、P. simoniiおよびその他の植物採食割合と負(p<0.001)、横臥姿勢割合と正(p<0.05)の相関を示した。放牧期間中の移動距離は5001-6879mであった。ルーメン液中総VFA濃度に大きな変動はみられなかったが、個々の脂肪酸割合には牧区と時期によって変動に違いがみられた。NH_<3^->N濃度はYF区がNG区よりも高かった.総プロトゾア数/mlはYFで放牧初期2.0×10^6から放牧後期3.0×10^5に減少し、NGでは変化は示さず1.0×10^6で、両区ともEntodinium割合が最も高くかった。総バクテリア数/mlは1.4×10^7-8.2×10^8で、cocci (+)とcocco (-)の割合が高かった。この研究において、牛は幼齢造林地と野草地放牧に、行動を変化させ多様な植物を選択することで適応する能力があることが示された。
著者
吉川 泰弘 長谷川 寿一 赤見 理恵 落合 知美 倉島 治 斎藤 成也 数藤 由美子 高見 一利
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.20, pp.vi, 2004

「大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)」は、その前身である「チンパンジー研究利用に関するフィージビリティースタディ(ナショナルバイオリソースプロジェクトの一環)」が培ってきた大型類人猿由来の研究リソース配分ネットワークとその理念を引き継ぎ、動物園などの飼育施設や研究者とのネットワークの拡大、大型類人猿死亡時のリソース分配をおこなってきた。本集会では、GAINがおこなってきた調査(研究リソースのニーズ調査、国内飼育下大型類人猿の飼育状況調査など)の結果や、リソース配分の具体例などについて報告したい。またGAINをとりまく様々な立場(資源の利用者側、飼育施設側など)からの話題提供も予定している。そのうえで、大型類人猿研究の現状と将来展望、資源配布を中心とする研究支援システムの問題点やこれからの展開について検討したい。
著者
有吉 慶介 松澤 暢 矢部 康男 加藤 尚之 日野 亮太 長谷川 昭 金田 義行
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
no.13, pp.17-33, 2011

&nbsp;&nbsp;同じプレート境界面上にある複数の断層セグメントが連動して地震が発生した場合,一般にはスケーリング則に従うと考えられている.しかし,スマトラ島沖地震のような超巨大地震となると,走行方向に長い形状となり,アスペクト比一定の前提条件が破綻するため,活断層調査などからは諸説に分かれているのが現状である.そこで本稿では,摩擦構成則に基づく地震サイクルの数値シミュレーション結果について,単独地震と連動型地震のすべり量を比較するという新たな観点から,特徴を見出すことにした.その結果分かったことは以下の通りである.断層セグメント間の距離と破壊遅れの時間差が共に短い場合には,地震時すべりが断層サイズに比例して大きくなるが,プレスリップは単独地震とほぼ変わらない.一方,断層セグメント間の距離と破壊遅れの時間差が共に長い場合には,地震時すべりは数割程度しか増幅しないため,マグニチュードに換算するとほぼ変わらないが,プレスリップは単独地震に比べて数倍程度増幅することが分かった.これらの知見を活かして,スマトラ島地震でみられた短期的・長期的の連動型地震を考察し,東北地方太平洋沖地震に伴う長期的な時間遅れを伴う連動型地震の可能性について調べた.その結果,東北地方太平洋沖地震の周辺で後続する大規模地震の発生可能性を判断・予測するためには,三陸はるか沖地震・十勝沖地震の震源域や,太平洋沖でのフィリピン海プレート北限に沿った房総半島沖において,海底観測をする必要があることを指摘した.
著者
小林 義雄 中村 民雄 長谷川 弘
出版者
Japanese Academy of Budo
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.24-33, 1993

In this historical study on the formation of modern kendo, we explore the system of techniques and its technical contents for shinai uchikomi geiko kendo practice, which is different from the performance of forms and styles called kata or kumitachi. We focus, among others, on master Chiba Shusaku, who constructed the practicing method and perfected the techniques into &ldquo;68 winning techniques&rdquo;. Further, we explore the thoughts behind and technical contents of the master's techniques, and compare the differences in techniques of &ldquo;68 techniques&rdquo; and what is considered to be its prototype, kumitachi of Onoha Ittoryu.<br>In Ono School, most of the strokes are made to respond to the opponent's strokes, while &ldquo;68 winning techniques&rdquo; are primarily offensive, aiming at blowing or thrusting the opponent as quickly as possible to score men, tsuki, kote, or do. Thus, in both of the schools there are only three common techniques:<br>1. Hitotsugachi and Kiriotoshitsuki, which are to cut down opponent's stroke and to thrust;<br>2. Suriage and Suriagemen, which are to knock away opponent's sword and to blow opponent on the head;<br>3. Tsubawari and Nukizuki, which are to duck opponent's blow by stepping back and to thrust the opponent after pulling your sword.<br>Further, there are only seven techniques which are partially common:<br>1. Chishou and Chishoumen, which are to put the point of the sword in opponent's arms who his trying to blow you on the head;<br>2. Chishou and Chishouzuki, which are the same as above;<br>3. Kobushi-no-harai and Kirikaeshimen, which are to blow opponent's head quicker than opponent's blowing you on the head;<br>4. Uragiri and Sasoihikigote, which are to invite opponent's strike on your forearm;<br>5. Aiha and Makiotoshimen, which are to twist down opponent's stroke and to blow opponent's head;<br>6. Aiha and Makiotoshizuki, which are to twist down, rightward or leftward, opponent's stroke;<br>7. Hariaiba and Harimen, which are to strike opponent's sword hard.<br>From this it is clear that &ldquo;68 winning techniques&rdquo; were unique in its system of techniques and its technical contents, which were very different from Kumitachi of Onoha Ittoryu.
著者
長田 恭子 長谷川 雅美
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-11, 2013
参考文献数
18

本研究は,自殺企団後のうつ病者を対象として,自殺に至るまでと自殺企図後の感情および状況を明らかにすることを目的とした.うつ病あるいは双極性障害で自殺未遂が原因で入院となった11名を対象にナラテイヴ・アプローチを活用した非構造化面接を行い,質的帰納的に分析した.その結果,自殺前の感情および状況として【常在する自殺念慮】【強い孤独感】【長年にわたる家族への我慢】【価値のない自分】【生への絶望感】【自殺の衝動】の6カテゴリー,自殺後の感情および状況として【死への執着】【自殺の肯定】【医療者への隠された本音】【抑うつ状態の持続】【家族からの疎外感】【先がみえない不安】【自殺念慮の緩和】【再生への意欲の芽生え】の8カテゴリーが抽出された.参加者は,自殺未遂後も【死への執着】や【自殺の肯定】を抱えており,自殺前からの不変的環境下において,容易に自殺念慮が高まる可能性があることが明らかになった.自殺未遂者に対する多職種による包括的支援の必要性が示唆された.
著者
加藤 博之 長谷川 利夫
出版者
川崎市立看護短期大学
雑誌
川崎市立看護短期大学紀要 (ISSN:13421921)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-14, 2020-03

「精神保健福祉資料」(以下、630調査と表記する)によると精神科病院における身体拘束実施者数は2018年度630調査において全国で11,362人に上り、630調査で身体拘束実施者数の調査を開始した2003年度と比べ約2.2倍に増えている。身体拘束実施の状況および身体拘束実施に関連する要因を明らかにするため630調査の各年度の都道府県別データ等を用いて分析を行った。その結果、身体拘束実施率には地域差が存在した。有意に高い都道府県、有意に低い都道府県が存在し、2017年度・2018年度でほぼ同様の傾向が見られた。最高と最低の開きは、2017年度11.6倍、2018年度は20.5倍にも上った。この身体拘束実施率の都道府県による違い、「東高西低」ともとれる現象はなぜ生じるのか、その要因を明らかにすることが、身体拘束の縮減につながる可能性があることが考えられた。患者の年齢は75歳以上が身体拘束実施率が有意に高かった。診断名では「F7 精神遅滞(知的障害)」「F0 症状性を含む器質性精神障害」の身体拘束実施率が有意に高く、診断名の細項目では「精神遅滞(知的障害)」「アルツハイマー病型認知症」「血管性認知症」などで有意に高かった。精神科病院における、75歳以上の患者、認知症患者や精神遅滞(知的障害)患者に対して身体拘束に代わる対応方法を見つけていく必要性は高いと考えられた。
著者
松井 遼太 長谷川 麻美 竹川 佳成 平田 圭二 柳沢 豊
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.789-797, 2020-04-15

本稿では,ピアノ演奏時の悪癖アノテーション機能を持つ,ピアノ教師向け悪癖発見支援システムの構築について述べる. ピアノ演奏者にとって正しい指使いを身につけることは,高度な演奏技術を修得するうえで必須となる. 指使いは身体や運動に依存するため,個人の体格や弾き方に影響されやすい.そのため,演奏者が誤った指使いを身につけた場合,指使いは悪癖として定着しやすく,定着後に修正することが難しい.したがってピアノ教師は,生徒の指使いに関する悪癖を発見し,指導する. しかし,生徒に悪癖があっても上手に演奏できている場合もあり,教師が一聴しただけでは悪癖の発見が難しい.一方,悪癖を視覚的に判断する手段も存在するが,演奏時の手指の動きは素早いため,教師は実時間で単方向から見ただけでは生徒の悪癖を見逃してしまう. そこで,提案システムは生徒の演奏を3視点から撮影した映像それぞれをコマ送り再生できる機能,打鍵間隔や打鍵の強さを可視化する機能を持つ.これにより,教師は単に映像を見るよりも効率良く生徒の悪癖を発見できる.また,提案システムは深層学習を用いた悪癖アノテーション機能により,演奏中に悪癖がある箇所を推定し,教師の見逃しを防止できる. 一般的な動画再生機能を持つツールを使用した従来手法群と,提案システムを使用した提案手法群を比較した評価実験の結果,提案手法群が悪癖発見に役立つことが示唆された.
著者
長谷川 正安
出版者
日本法社会学会
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1964, no.16, pp.19-30,142, 1964

The writer points out three difficulties particular in studying of constitutional cases; first, in fact finding, because it should not be confined to relevant alleged wrongful conducts but be extended to its social and historical background within the constitutional process; next, in the necessity for analysis into judge's ideological prejudice, which represents their own views of social and political life in our community and which plays key role in counter-balancing the intervention into human rights on prevailing political power; finally, in establishing solid principle of stare decisis declared by the Supreme Court due to the relatively small number of its precedents with their conceptual ambiguity.<br>As to the purpose of studying constitutional cases, scholars are required to make minute analysis into the judicial decision-making relating to the constitution in the whole context of constitutional process. The theory based upon such an analysis is expected to be useful for the scholars who are forced to take a definite attitude either for or against the decision, as their practical means to influence the future decisions in realizing their constitutional goals and ideas.
著者
長谷川 典子
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学 (ISSN:13495178)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.15-30, 2005

当研究は2003年12月から約10ヶ月間に亘って行われた質問紙調査の結果を基に韓国ドラマ「冬のソナタ」の視聴行動と視聴者の韓国人に対する態度変容の関係について質的・量的に分析を試みたものである。分析結果から、参加者たちの韓国人に対するイメージは概ねドラマ視聴により好転し、彼らの韓国人に対する関心も高まっていることが明らかになった。偏相関分析の結果、主演俳優に好感を抱いたり、感情移入しドラマ視聴をすることと韓国(人)に関心を持つことの間に何らかの関連性があることが示唆された。また、重回帰分析の結果から、「韓国(人)に対する関心」「『冬のソナタ』への好感」「主人公への感情移入」などは韓国人のイメージの変化に比較的強い関連があるということが明らかになった。自由記述回答に対する内容分析の結果から、回答者たちは韓国の人々の倫理観、人間関係のあり方、ものの考え方などの様々な価値観、すなわち隣国の深層文化の一端を見、文化に対する理解をも深めた者が多く存在したことが判明し、日本での韓国ドラマの放映は、両国間の異文化コミュニケーションの観点からは望ましい結果を生んでいることが窺えた。
著者
長谷川 毅 西脇 宏樹 矢嶋 宣幸 大田 えりか 野間 久史
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

質の高い「チーム医療」の実現には、「多職種連携教育」が重要である。「根拠に基づいた医療」を実践するために「臨床研究リテラシー」は全ての医療者に必須の能力として求められている。「臨床研究リテラシー」の習得のためには、知識の学習だけでなく実際にデータを用いて臨床研究を実践することが非常に効果的であるが、データの入手、整備や構築が困難なことが少なくない。本研究は「多職種連携教育」の一環として情報通信技術を活用した「臨床研究リテラシー」修得のための実践研究である。「系統的レビュー」英文原著臨床研究論文出版活動を継続的に支援し、「臨床研究リテラシー」の普及と次世代の指導的人材育成を行う。
著者
長谷川 淳一
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.106, no.1, pp.147-169, 2013-04

I. はじめにII. 東京温泉III. 三原橋地下街IV. むすび研究ノート
著者
江木 盛時 黒田 泰弘 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 小谷 穣治 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 志馬 伸朗 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 谷口 巧 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 鶴田 良介 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 土井 研人 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 土井 松幸 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 中田 孝明 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 中根 正樹 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 藤島 清太郎 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 小倉 裕司 細川 直登 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 升田 好樹 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 松嶋 麻子 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 矢田部 智昭 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 安宅 一晃 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井上 茂亮 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 射場 敏明 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 垣花 泰之 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 川崎 達也 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 久志本 成樹 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, 2020
被引用文献数
2

<p>日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。</p>
著者
篠田 昌宏 竹村 裕介 蛭川 和也 高岡 千恵 長谷川 康 尾原 秀明 北郷 実 阿部 雄太 八木 洋 松原 健太郎 山田 洋平 堀 周太郎 田中 真之 中野 容 板野 理 黒田 達夫 北川 雄光
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.101-108, 2021-02-01

わが国の肝移植は,かつてない大きな変革を遂げている.2019年,脳死肝移植は全移植数の1/5を数えるようになった.Allocation制度も大きく改変され,model for end-stage liver disease(MELD)制などが実臨床に大きな影響を与えている.ドナー情報を得られる機会が増加し,高MELDなど重症患者の増加も見込まれる中,脳死肝移植ナショナルデータ解析のプロジェクトもすすんでいる.さらに,働き方改革,互助制度,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)など新たな移植のスタイルが成り立とうとしている.
著者
八巻 ゆみこ 富澤 早苗 増渕 珠子 上條 恭子 中島 崇行 吉川 聡一 長谷川 恵美 小鍛 治好恵 渡邊 趣衣 橋本 常生 大塚 健治
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.33-36, 2021-02-25 (Released:2021-03-04)
参考文献数
12
被引用文献数
2

ライムのLC-MS/MSを用いた191成分の残留農薬を対象とした一斉分析法を開発し,妥当性評価を行った.試料から農薬をアセトニトリルで抽出し,無水硫酸マグネシウム,炭酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを加え塩析・脱水処理を行った.遠心分離を行い,上層を分取しアセトニトリルで定容した.続いて一定量をC18/GC/PSA固相カラムに負荷して精製を行い,LC-MS/MSにて測定した.従来の農産物対象の検査方法ではライムからの回収率が低かったチアベンダゾールについても回収率が向上した.厚生労働省の妥当性評価ガイドラインに従い2濃度で実施した妥当性評価では191成分中175成分がガイドラインの基準を満たした.また,都内で流通しているライム19試料についても実態調査を行い,18試料から残留農薬を検出した.本法はライムを対象とした残留農薬一斉分析に有用な分析法であると考えられる.
著者
坪根 恵 長谷川 彩子 秋山 満昭 森 達哉
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT) (ISSN:21888671)
巻号頁・発行日
vol.2021-SPT-41, no.43, pp.1-8, 2021-02-22

学校教育におけるタブレット端末や PC 利用の普及に伴い,児童がパスワードを利用する機会は増加している.その一方で,国内では,パスワード教育に関する統一した指針がなく,小中学校で用いている教材や,教材内に記載されている項目やレベルは様々である.本研究は,国内で発行されている児童向けセキュリティ教材の実態調査を実施する.具体的には,教科書及び地方行政機関が独自に発行しているパスワード啓発資料を調査し,特にパスワード・プラクティスに関連する内容分析を行なった.調査の結果,(1) 教科書は出版社によって取り上げている項目は大きく異なり,パスワード・プラクティスをそもそも取り上げていない教科書もあれば,2021 年現在では既に推奨されていないプラクティスを未だ更新していない教科書も確認できた.(2) 児童向けパスワード啓発資料を作成している都道府県はわずか 7 県であり,各資料が取り上げている項目にも差がみられた.これらの結果は,教育機関が採用する教材によって内容に大きな差があること,およびその差が児童が得るセキュリティ知識の差につながることを示唆する.