著者
牛田 美鈴 小早川 義貴 新納 教男 越崎 雅行 山森 祐治 佐々木 晃 松原 康博
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.7, pp.361-366, 2009-07-15 (Released:2009-09-04)
参考文献数
4
被引用文献数
2 1

56歳の男性が卓球中に突然心肺停止となりバイスタンダーCPR(cardiopulmonary resuscitation)を施行され,救急要請された。救急隊到着時automated external defibrillator(AED)の波形にてventricular fibrillation(VF)と思われたが除細動適応外と判断された。 4 回目の解析で除細動適応と判定されて除細動が施行され,自己心拍が再開した。入院後順調に経過し後遺症なく社会復帰に至った。冠動脈造影にて右冠動脈に99%狭窄を認めVFの原因と思われた。各社のAED解析ソフトはAHA(American Heart Association),AAMI(Association for the Advancement of Medical Instrumentations)の基準を満たすように作成されているが,いずれも感度は100%ではない。AEDの特異度を高くするためには感度がある程度犠牲となることはやむを得ず,除細動適応波形であるにもかかわらずAED解析の結果適応外と判断される症例が存在することをメディカルコントロール協議会を通じて救急隊員に周知する必要がある。その際,ショック不適応と判断されても絶え間ない胸骨圧迫を行い,解析を繰り返すことが重要であることを強調すべきである。
著者
安田 大典 久保 高明 益満 美寿 岩下 佳弘 渡邊 智 石澤 太市 綱川 光男 谷野 伸吾 飯山 準一
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.341-352, 2015-10-27 (Released:2015-11-12)
参考文献数
28
被引用文献数
1

目的:本研究の目的は、大学生の入浴スタイルの違いが、睡眠と作業効率に及ぼす影響を検討すること。さらに、保温増強が作業効率に及ぼす影響を検討することである。方法:対象は、普段シャワー浴のみの健常学生18名とした(19.6±0.7歳、平均年齢±SD)。41°Cの浴槽に肩まで浸漬し10分間入浴する群(保温無群:BB)と、入浴後に保温シートと寝袋にて身体を被覆し30分間保温する群(保温群:BBW)について、各々を2週間で実施するcrossover研究を行った。なおWash-out(シャワー浴)期間は2週間とし、平成24年11月〜12月の6週間実施した。測定した項目は、起床時の起床時睡眠感(Oguri-Shirakawa-Azumi sleep inventory MA version; OSA-MA)、主観的入浴効果(Visual Analog Scale; VAS)、作業効率検査(パデューペグボードのアセンブリー課題)の3項目について測定を実施した。起床時の主観的評価は6週間毎朝記載してもらった。作業効率検査は2週間ごとに4回行った。結果:OSA-MAのBBおよびBBWは、シャワー浴と比較して有意差はなかった。VASの結果は、BBおよびBBWは、シャワー浴と比較して、熟睡感、身体疲労感、身体の軽快感が有意に高値を示した。パデューペグボードテストは、BBおよびBBWはシャワー浴に比べて有意に高値を示した。考察:シャワー浴からバスタブ浴へ入浴スタイルを変えることで睡眠の質が良好となり疲労回復がなされ、その結果、パデューペグボードの作業効率が向上したと考えられる。
著者
柳原 尚之 前橋 健二 阿久澤 さゆり 穂坂 賢 小泉 幸道
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.132-140, 2021-06-05 (Released:2021-06-17)
参考文献数
37

江戸期の料理本33冊から酢料理を抽出し,江戸期の酢の使われ方について調査した。江戸時代を通して酢の総出現数は1,371回であり,醤油の出現数をやや上回っていた。江戸時代前期では,酢の出現数は醤油の1.5倍であったことから,酢は醤油が広まる以前は最も多く使われる調味料であったことが推察された。出現回数が最も多かった酢料理は魚のなますで,全酢料理の43.9%を占めていた。合わせ酢の種類が多く,香辛料,食材,または調味料との合わせ酢が122種類確認され,そのうち61種類は香辛料や食材と合わせた酢味噌であった。酢を用いた加熱調理法として最も多く出現していたのが「すいり」であり,主に煮物で行われていた。これには酢を加えてから煮る場合と,煮た後に酢を加える2種類の方法があった。その他の加熱調理法として,少量の酢を加えて加熱する方法や生魚に熱い酢をかける方法も見られた。現代の日本料理ではほとんど行われない,酢の加熱調理への使用は,江戸期では一般的なものであったと考えられた。
著者
後藤 俊介
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.872-877, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
19

プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)は,さまざまな上部消化管疾患の治療成績の大幅な向上に寄与した薬剤であり,現在,臨床現場で広く使用されている.ただ近年,プロトンポンプ阻害薬と腎機能低下の関連が報告されており,本稿では,それらについて概説する.プロトンポンプ阻害薬は,稀に急性間質性腎炎を起こす可能性があることが報告されている.また,大規模な観察研究において,腎機能低下との関連の可能性も指摘されている.ただし,そのリスクがプロトンポンプ阻害薬の有するベネフィットを上回るものかどうかは定かではなく,漫然と使用している場合には,必要性を見直す必要があると考えられる.
著者
益山 未奈子
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.45-55, 2018 (Released:2019-03-11)
参考文献数
38

本稿の目的は,日本の保育士不足に対する賃金の影響を,近年の保育を取り巻く日本の政策動向や保育士の賃金に関する欧米の研究成果を踏まえて検討することである。近年,日本では,幼保一体化が進められており,保育士資格と幼稚園教諭免許の相互互換的性質が強まっている。分析結果から,保育士と幼稚園教諭の間に賃金格差があり,幼保一体化により保育人材が幼稚園に流れる可能性を指摘した。さらに,保育士の有資格者の学歴は,過去30年で大幅に上昇しているが,他の専門職種と比較すると賃金水準は低いことも明らかとなった。現在,保育士の処遇改善が進められているが,他職種との賃金格差や資格取得にかかる機会費用を十分に考慮して議論を進める必要がある。保育師の相対的な賃金の低さが保育の質に及ぼす影響についての研究蓄積も今後の課題である。
著者
伊藤 美武 佐藤 秩子 田内 久
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.382-387, 2000-05-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

実験的に寿命延長効果が明らかとなっている食餌制限ラットを用い, 特にラットの主要な加齢にともなう病変に対する食餌制限の利的効果を異なる臓器で比較し, その作用点を病変の発現様相から検討した. ドンリュウ系雄ラット145匹を自由摂取群と制限食群 (給餌量を自由摂取群摂餌量の60%に制限) の2群に分け, タンパク源として植物性タンパクのみを含有する飼料を3週齢より給餌した. 検索対象は定期屠殺 (6, 12, 24, 29, 33カ月齢) および実験経過途中に死亡または切迫屠殺したラットとし, 下垂体, 心臓, 腎臓, 骨格筋 (咬筋, 前脛骨筋) に観察された肉眼的, 組織学的病変の発現様相を検討した. その結果, 以下の点が明らかとなった. 1) 食餌制限によって加齢にともなう疾病の発生 (下垂体腫瘍, 慢性腎症, 骨格筋 (前脛骨筋) 変性症) が抑制または遅延する. 2) 病変の発現様相に対する食餌制限の影響は病変または臓器の種類によって異なる. 3) 下垂体腫瘍と慢性腎症の発生抑制あるいは遅延はラットの寿命延長の要因の1つである. 4) 心筋症はラットの寿命を短縮する要因ではない. 5) 骨格筋の老性萎縮には筋変性症の発生に加え筋肉の生理的機能 (運動能) が関与する.
著者
山口 陽子 田中 博之
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.131-135, 2017-09-20 (Released:2017-09-29)
参考文献数
8

目的:救急救命士らが意識レベルをJapan Coma Scaleで1(以下,JCS-1)と判定する際,何を根拠にJCS-1と判断しているのか,を調査する.方法:2011年7月1日以降25ヶ月間に救急車で当院へ搬送され,救急救命士らが現場で意識レベルをJCS-1と判定し,かつ当院搬入後,確認のための質問に対する回答が得られた症例を対象として調べた.結果:対象となった105例を調査すると,救急救命士らが意識レベルをJCS-1と判定した根拠として,「ボーッと,あるいはボンヤリしていた」が61.0%,「反応が鈍い」あるいは「返答が遅かった」が47.6%で挙げられていた.結論:救急救命士らは上述の「印象」によってJCS-1と判定していた.このような印象は「今ひとつハッキリしない」状態を捉えるには有用と考えられる.ただし,救急救命士らはJCS-2あるいは-3に該当するかもしれない症例をJCS-1と判定している可能性があり,見当識あるいは見当識障害を正しく認識できていないと考えられた.
著者
Masaatsu MIYAUCHI Chizuko HIRAI Hideaki NAKAJIMA
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.257-263, 2013 (Released:2013-09-24)
参考文献数
21
被引用文献数
33 39

Although the importance of solar radiation for vitamin D3 synthesis in the human body is well known, the solar exposure time required to prevent vitamin D deficiency has not been determined in Japan. This study attempted to identify the time of solar exposure required for vitamin D3 synthesis in the body by season, time of day, and geographic location (Sapporo, Tsukuba, and Naha) using both numerical simulations and observations. According to the numerical simulation for Tsukuba at noon in July under a cloudless sky, 3.5 min of solar exposure are required to produce 5.5 μg vitamin D3 per 600 cm2 skin corresponding to the area of a face and the back of a pair of hands without ingestion from foods. In contrast, it took 76.4 min to produce the same quantity of vitamin D3 at Sapporo in December, at noon under a cloudless sky. The necessary exposure time varied considerably with the time of the day. For Tsukuba at noon in December, 22.4 min were required, but 106.0 min were required at 09:00 and 271.3 min were required at 15:00 for the same meteorological conditions. Naha receives high levels of ultraviolet radiation allowing vitamin D3 synthesis almost throughout the year.
著者
熊谷 佐紀 小野 史典 福田 廣
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.87.14070, (Released:2016-09-10)
参考文献数
17

In this study, we examined the difference in the processing of one’s own name and other people’s names using a mental rotation task. In Experiment 1, the observer’s own name and other common names were presented visually. In Experiment 2, the observer’s name and the names of people who were familiar to the observer were presented. The observer saw the name and judged whether it was mirror-reversed or not. The results show that reaction times and error rates were shorter, when the observer processed his/her own name compared to when processing others names. These findings might be due to peculiarities and familiarity of one’s own name.
著者
宮川 優一
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.52-54, 2018-04-10 (Released:2018-05-18)
参考文献数
13
著者
本間 昭信
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.802-816, 2000-11-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

本研究は,従来,実験室的な空間に限定して考えられることの多かった視覚障害者の空間認知を,日常的な生活空間において考察した.被験者は主に社会福祉法人京.ライトハウスに所属する視覚障害者であり,対象地域は被験者の歩行訓練が行われる東西1,000m,南北600mほどの地区である.視覚障害者の認知距離と認知地点の布置(認知座標)について,全盲者・弱視者・晴眼者を比較考察した. その結果,ルート型の知識を問う認知距離実験,サーヴェイ型の知識を問う認知座標実験のいずれにおいても,視覚障害者の認知地図の歪みは,晴眼者よりも大きいことがわかった.しかし,この歪みの特性には,視覚障害者の障害の度合いのみならず,視覚利用の経験や,.障害の履歴による差がみられた.
著者
周 燕飛
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.119-134, 2019-05-24 (Released:2019-06-05)
参考文献数
28
被引用文献数
3 4

本研究は,母親による児童虐待の発生要因について,子育て世帯に対する大規模調査データを用いて分析を行った。その結果,児童虐待が発生する背景には,母親の病理的要因のみならず,経済環境と社会環境も影響していることが分かった。具体的には,母親が健康不良,うつ傾向,DV被害者といった病理的特徴を持つ場合や,貧困など経済状況の厳しい場合,周囲から十分な育児支援を得られない場合に,虐待確率が高い。いずれの種別の児童虐待についても,健康不良,メンタルヘルスの問題,未成年期の虐待経験など,母親自身の病理的要因の影響が確認される。一方,経済環境と社会環境の影響は,虐待の種別により若干の違いが見られる。「身体的虐待」は,貧困家庭というよりも,多子家庭で生じやすい。「育児放棄」は,低出生体重児のいる家庭やひとり親家庭で発生する確率が比較的高い。
著者
浅井 智久 丹野 義彦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.247-261, 2010 (Released:2010-11-05)
参考文献数
115
被引用文献数
3 4

Auditory hallucinations (AH), a psychopathological phenomenon where a person hears non-existent voices, commonly occur in schizophrenia. Recent cognitive and neuroscience studies suggest that AH may be the misattribution of one's own inner speech. Self-monitoring through neural feedback mechanisms allows individuals to distinguish between their own and others' actions, including speech. AH maybe the results of an individual's inability to discriminate between their own speech and that of others. The present paper tries to integrate the three theories (behavioral, brain, and model approaches) proposed to explain the self-monitoring hypothesis of AH. In addition, we investigate the lateralization of self-other representation in the brain, as suggested by recent studies, and discuss future research directions.
著者
松成 修 鍋田 祐介 山村 亮太 柴田 智隆
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.254-259, 2021 (Released:2022-03-30)
参考文献数
12

症例は93歳男性.重症熱中症による痙攣後のTodd麻痺のため経口摂取が困難であり,経鼻経管栄養を実施していた.偽痛風の診断にて投与開始したロキソプロフェンナトリウムと,同じタイミングで投与されたミヤBM®の投与開始後に腹痛を訴え,CT検査・レントゲン画像にて門脈気腫をともなう胃粘膜気腫を認めた.気腫性胃炎と診断したが,安静と抗菌薬投与による保存的加療によって胃全摘出を免れることができた.内視鏡検査により採取した胃粘膜の培養検査にてClostridium butyricum(以下,C. butyricumと略)が分離同定され,気腫性胃炎の起因菌と考えられた.カテーテルを用いた栄養管理にてC. butyricumによる気腫性胃炎が発症したと考えられた.整腸剤として投与されるミヤBM®の投与が人体に悪影響を及ぼすことがあることはあまり知られていない.気腫性胃炎も治療法が確立していない稀な病態であり,適切な対応が必要である.
著者
齋藤 駿太 京極 真
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.452-459, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
31

本調査では,Occupational Engagement(以下,OE)の国内外の研究を系統的に概観し,ギャップの特定を通じて,国内におけるOE研究の発展の方向性の検討を行った.方法は,スコーピングレビューで実施し,国外19編,国内3編が採用された.共通点として,①OEは個人の肯定的な主観的経験であること,②OEの評価ツールの不足が挙がり,相違点として,①国内外のOEの研究方略の違い,②国内外のOEに関する知識量の差が挙がった.以上より,国内のOE研究の方向性として,①質的研究を通じた国内のクライエントのOEと健康と幸福との関連性や,OEの認識を検証すること,②OEの評価ツールの開発の検討が課題に挙がった.
著者
早坂 信哉 原岡 智子 尾島 俊之
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.112-118, 2016 (Released:2016-07-04)
参考文献数
20
被引用文献数
2

【背景・目的】介護保険によって入浴サービスが提供されているが,現在,高齢者にとって安全な入浴が可能か否かの具体的な判断基準・指針がなく,介護現場の入浴担当者は判断に困難を感じている.特に入浴前の体調確認は主に血圧測定,体温測定によって実施されていることから,本研究は,入浴前の血圧や体温と,入浴に関連した体調不良や事故の発生との関連について明らかにすることを目的とした.【方法】1.研究デザイン:症例対照研究(前向き調査による症例登録方式).2.調査対象:訪問入浴事業所として登録がある2,330か所の全事業所.3.調査方法:症例は入浴に関連した体調不良・事故の症例(以下,異常例と言う).対照は各事業所2例無作為抽出.調査期間は2012年6月~2013年5月までの1年間.4.解析方法:年齢,性別,障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度),要介護度,modified Rankin Scale,意識レベル,認知症高齢者の日常生活自立度,入浴前の血圧,入浴前の体温を単純比較した.その後,ロジスティック回帰分析を用いて,すべての体調不良・事故発生及び発熱,血圧上昇・低下を除いた体調不良・事故発生を目的変数に,その他の測定項目を説明変数とした単変量・多変量解析を実施した.【結果】異常例596件,対照1,511件を解析した.単純比較では異常例で体温が高かった.発熱,血圧上昇・低下を除いた体調不良・事故発生での多変量解析では,収縮期血圧は160~179mmHgでオッズ比(95%信頼区間)3.63(1.39-9.50),拡張期血圧は100~109mmHgで同14.71(1.31-165.77),体温は37.5~37.9℃で同16.47(3.30-82.40),38.0℃以上で同6.57(1.40-30.81)と有意な関連があった.【結論】高齢者における160/100mmHg以上の血圧,37.5℃以上の体温は入浴関連の体調不良・事故の危険因子である可能性がある.