著者
坂本 育生 樋口 晶彦 日高 正康
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

2010年、坂本は国連機関、国際海事機構(International Maritime Office)」を訪問し、海事英語の貴重な資料を収集した。その後エジンバラ大学での夏季研修を受講し、ESPの最新英語教育教授法研修を受けた。2013年3月までに3本の学術論文を発表し現在4本目の論文を作成中である。大学生へのmotivation促進効果は、海事英語授業と国際英検(G-TELP)によりその効果が実証された。現在坂本は、新英語教材をほぼ完成させ、英語教材大手出版社「南雲堂」と出版契約を結び最終原稿推敲過程にある。
著者
日高 健一郎 石崎 武志 井上 浩一 川西 宏幸 高根 沢均 田村 幸雄 原 隆 堀 賀貴 水嶋 英治 吉田 昭仁
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-04-01

中近東と北アフリカにおいて、ユスティニアヌス1世期(6世紀)の主要な教会堂建築を対象として基礎研究、考古学調査、工学、保存科学、遺産公開の5領域で研究を行う。リビアのトクラ遺跡では「西教会堂」の発掘で、アプシスが出土、ヨルダンのジェラシュ遺跡では「三連教会堂」の詳細実測を終え、アトリウムの一部発掘を実施し、先行建築を確認した。対象国の政情不安と騒乱で一部研究が未完となったが、研究期間後半ではハギア・ソフィア大聖堂(トルコ、イスタンブール)を主対象として、上部構造の形状と微動を計測し、劣化の主因となる壁体への水分浸透を解析した。構造と保存科学の視点から、同大聖堂の保存と公開への基本指針を得た。
著者
日高 真子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.19-28, 2010
被引用文献数
2

国内の学術研究団体から主に日本語で発行される約50誌の学術雑誌の著作権の取り扱いについて文献およびインタビューによる調査を行った。文献調査によれば,論文をはじめとするコンテンツの著作権は学会に帰属する場合が多く,著作権規定の中では複製権や公衆送信権,翻訳権・翻案権といった著作権法上の権利や,利用許諾,著作者の著作物利用,著作者の責任に関する規定が重要視されていた。文献調査とインタビュー調査の結果をもとに著作権の取り扱いに関する方向性を検討し,著作権が学会に帰属する場合と著作者に帰属する場合について,著作権規定の日本語のひな型を作成した。このひな型は,利用許諾を広範に認める緩やかな規定をベースとしており,インターネット上で公開し,普及活動を行っている。また,このひな型を利用して,『情報管理』誌の投稿規定を見直し,著作権規定を新たに追加した。
著者
日高 恵喜 青木 光広 村木 孝行 泉水 朝貴 藤井 岬 鈴木 大輔 辰巳 治之 宮本 重範
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.325-330, 2008-12-20

【目的】本研究の目的は,未固定遺体8股を用いて腸骨大腿靭帯の上部線維束と下部線維束を選択的に伸張することができる股関節肢位を明らかにすることである。【方法】変位計測センサーを各線維束の中央部に設置し,伸び率を測定した。また3次元動作解析装置を用いて股関節角度の測定を行った。靭帯を伸張させた際に緩みがなくなったときの変位の値を開始距離(L0)として計測を行った。上部線維束は6肢位,下部線維束は7肢位で伸び率を測定した。【結果】上部線維束の伸び率は内転20°+最大外旋,最大外旋,内転10°+最大外旋の順に大きく,最大伸展の伸び率より有意に大きな値を示した。下部線維束の伸び率は最大伸展,外旋20°+最大伸展の順に大きく,最大外転の伸び率より有意に大きな値を示した。【考察】上部線維束では最大外旋,内転位の最大外旋,下部線維束では最大伸展,外旋位の最大伸展が腸骨大腿靭帯のストレッチング肢位として有用であると考えられた。本研究結果は腸骨大腿靭帯の解剖学的走行に基づいた伸張肢位と一致した。
著者
小島 正秋 外山 信男 藤井 昇 橋爪 昭人 三浦 道雄 日高 敏郎 玉井 理 駒形 和男
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1341-1345, 1987

8回にわたる高農めぐりも今回で終りを迎えます.前回の千葉高等園芸の場合と同じく,座談会に出席の先生は,高農から新制大学の創立時に入学され,母校に教鞭をとっておられる方々がほとんどでありました.<br> 和気あいあいに想い出がそのまま高農から宮崎大学農学部への歴史を追うことになりました.司会の駒形先生もにれが最後の御気持からか,大変リラックスされて,従来とはやや異なる内容となりました.<br> 座談会のために奔走してくださった宮崎大学の三浦道雄先生をはじめ御協力いただいた先生方に心から御礼申し上げます.(編集部)
著者
岩城 裕之 友定 賢治 日高 貢一郎 今村 かほる
出版者
呉工業高等専門学校
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

1 医療現場での方言をめぐる問題に地域差がみられること各地でのアンケートや臨地調査によって、方言を巡る問題に地域差があることが明らかとなった。具体的には、富山の場合、県内のごく狭い範囲で、体調を表す重要な語について使用・不使用があったり、意味が異なる場合が存在することが分かった。一方、青森では多くの語が難解であり、医療場面で想定されるすべての語彙、表現の記述が必要となることが明らかとなった。2 方言データベースの作成と公開青森、広島、富山、飛騨のデータを収録した方言データベースを作成、公開した。いわゆる聞き取りにくい方言について、検索する際に想定されるいくつかの入力パターンを調査し、いずれのパターンでも適切な候補を表示できるようなシステムを構築した。方言研究者であれば一定のルールの中で記述するが、医療関係者などの非方言研究者は、必ずしもそうではないことに配慮したためである。結果的に、使いやすい方言辞書を追求することとなった。また、現地で収録した音声を加工し、データベースの多くの語や一部の文例について、クリックすることで音声を聞くことができるようになった。揺れのある入カパターンから適切な候補を見つけ出すことのできる方言辞書やデータベースは、ほとんど前例がなく、ユニークな成果であると思われる。3 コミュニケーションマニュアルの作成青森県津軽において、いくつかの定型的問診場面を取り上げ、方言による対話例を作成した。しかし、共通語の問診と異なり、いわゆる日常の挨拶や雑談をはさむことが「方言的」であったため、マニュアルにはなじまないと考えられ、今後も研究を重ねていく必要があると思われる。
著者
内田 雄三 野川 辰彦 山下 三千年 橋本 茂廣 藤井 良介 畦倉 薫 橋本 芳徳 石川 喜久 小武 康徳 猪野 睦征 日高 重幸 北里 精司 大江 久圀 柴田 興彦 石井 俊世 下山 孝俊 三浦 敏夫 調 亟治 辻 泰邦 関根 一郎
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.12, no.12, pp.891-900, 1979-12-01
被引用文献数
7

癌浸潤が肉眼的に胃, 十二指腸の両側におよんでいるとみなされた79例について, 臨床的ならびに病理組織学的に検索し, 切除度および術後再発を左右する因子について検討した. 臨床的十二指腸壁に癌浸潤が確認された症例は79例中35例 (44.3%) で, その発生側はほとんどの症例で明らかでないが, 胃癌の十二指腸浸潤と考えるよりは, その進展の態度ならびに臨床的意義から, 胃・十二指腸境界部癌の概念で把握するのが妥当と思われる症例が6例みられた, この概念に該当する症例は肉眼的に Borrmann1, 2, 3型である. 十二指腸壁内先進部は m および sm にあり, リンパ管内蔓延が問題となる. 転移では(8), (12) および (13) 節が第一群リンパ節としての意義を有する.
著者
野田 尚史 小林 隆 尾崎 喜光 日高 水穂 岸江 信介 西尾 純二 高山 善行 森山 由紀子 金澤 裕之 藤原 浩史 高山 善行 森野 崇 森山 由紀子 前田 広幸 三宅 和子 小柳 智一 福田 嘉一郎 青木 博史 米田 達郎 半沢 康 木村 義之
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

現代日本語文法, 音韻論, 古典語, 方言, 社会言語学などの各分野から, 述べ19名の研究者の参加し, 古典語など, ほぼ未開拓であった領域を含む対人配慮表現の研究の方法論を次々と開拓することができた。とりわけプロジェクトの集大成である, 社会言語科学会における10周年記念シンポジウムの研究発表では高い評価を得た。その内容が書籍として出版されることが決定している。
著者
中村 伸枝 武田 淳子 伊庭 久江 林 有香 遠藤 巴子 日高 倫子 兼松 百合子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.67-73, 2003-03

本報告では,看護職が養護教諭と連携して,小学校3年生の1クラス31名(男子17名,女子14名)に対し,万歩計を用いた身体活動に焦点をあてた「学童とその親の生活習慣改善プログラム」を作成・実施した内容を報告する.プログラムでは,クラス全体に対するものと従来養護教諭により行われてきた個別指導を合わせて実施した.また,歩数が増えるほどキャラクターが成長する万歩計と,1年間通して使用できる「生活とけんこうを考えよう」と題したファイルを作成して各人に配布し,教材として利用した.1年間の実施の中で,万歩計の歩数が増えキャラクターが成長していくのを楽しむ学童は多く,運動に関することを生活目標にあげ,がんばったとした学童が多かった.1学期と3学期の肥満度は,男子では有意な増加(p<0.05)が認められたが,女子は有意差はなく学期毎にわずかに低下していた.1学期と3学期の間で肥満度が5%以上増加していた学童は,万歩計を用いた身体活動が有意に少ない傾向がみられた(p<0.05).また,自由研究で「万歩計による1日の運動量調べ・食事調べ」を行った中等度肥満の女子では,運動だけでなく食事についての理解も深められていた.従って,万歩計を用いて運動に焦点を当てたプログラムは,小学校3年生に対し効果が期待できると考えられた.看護職と養護教諭が連携して活動していくことで,学童とその親に対する活動を深めることができたと考えられる.
著者
長嶋 俊介 野田 伸一 日高 哲志 河合 渓
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

前年度チューク環礁での予備調査に続き、本予算で2度の現地調査を行った。特に小島嶼における環境変動に絞った調査で、チューク環礁本島のウエノ島の他、ピス島、ロマヌム島、ファラパゲス島で、海岸部陸域、海域、環境衛生、社会変動、社会不安、生産基盤と文化・社会の持続可能性問題について調査を行った。社会面では、グローバリゼーションの与える変動は主島のみでなく、属島部でも顕著で、グアム・ハワイ・米国本土への出稼ぎ・送金、また金銭経済的消費習慣の村落経済への浸透が食生活面に及びつつある。今後の情報化・電化・耐久消費財浸透の始動以前の2006年段階の諸事実を、現地で補足しておけたことは意義深い。またかかる社会変動に関わる不安感も、文化・ライフスタイル面で観測されたが、島のアイデンティティ面にまでは及んでいない。生産面での、持続可能性に関わる危機意識は強く、人口過剰意識・自然環境危機意識もみられた。後者では、台風、海進、異常高温に関して強い経験に裏打ちされた危機意識であり、その近年における諸事実を確認した。海進でのタロパッチ被害(未回復)箇所、海岸部浸食箇所、磯焼け被害等について精査し、その現状捕捉も行った。例えば、温暖化に伴い珊瑚礁の白化した場所は各所に観察され、温暖域に棲息する貝類(シャコガイ類やカサガイ類)も多く分布しており、何らかの影響が起こっていると考えられる。エルニーニョ被害時の高温・磯焼け、ラニーニャ被害時の海進、異常台風時の塩害は、甚大且つ加速化しつつある。それら事実のさらなる、体系的・総合的・現地との協働による記録化体制の確立は急務である。現地での危機管理対応や、関係機関共同での研究体制の確立、センサゾーン確立に向けての話し合いを、グアム大学ミクロネシア地域研究センタースタッフなどとグアム大学で行うと共に、鹿児島大学で韓国海洋研究院(チューク環礁に調査研究所を保有する)、グアム大学上述スタッフ及び気候専門家、南太平洋大学漁村海岸域資源管理専門家と共に、今後の体制確立について話し合い、その上で国際シンポジウム、Climate Changes and Globalization-Environment and People's Life in the Pacific Islands-を、一般にも公開にして行った。その成果は、南太平洋海域調査研究報告No.48(総頁78)として英文で刊行し、現地関係者並びに関係機関に配布した。
著者
日高 三郎 大石 明子
出版者
福岡医療短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

4種類の日常的な食事献立の試験管内石灰化への影響につきpH低落法を用いて研究した。主食のごはんは石灰化を促進させたが、食パン(トースト)は抑制した。献立1~3のじゃがいもなど2~3の料理と食材、さらに洋食的な献立4のバターなど2~3の料理と食材は石灰化を促進した。しかし、促進効果は口腔内では唾液の影響で発揮されないと考えられるので、われわれの日常的食事は歯石形成に抑制的であることが示唆される。
著者
日高 健 小野 征一郎 鳥居 享司 山本 尚俊 中原 尚知 北野 慎一
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

マグロ養殖業は、オーストラリア、メキシコ、地中海諸国、日本において行われており、現在では総生産量は約4万トンに達し、重要な産業となっている。クロマグロ養殖業は天然資源に原魚を依存したCapture-based aquacultureであり、天然資源との関わりが強い。さらに、長い価値連鎖のため、経済主体間の関係のあり方が養殖経営に与える影響が大きい。そこで、主要生産国における養殖管理制度と主要業者の経営管理を比較分析し、持続的なマグロ養殖管理のための要件抽出を目的として研究を行った。漁業資源管理では、オーストラリアが最も緻密な管理を行っており、養殖業者は各自のITQと自国EEZ内での原魚採捕によって優位性を持つ。これに次いで、スペインではマグロ漁業資源管理の強化が進んでいる。メキシコと日本では漁業資源管理の対象となっていない。価値連鎖における経済主体間関係を軸としたビジネスシステムをみると、スペインは生販統合型、オーストラリアは原魚供給確保型、メキシコの二事例は生販統合型と原魚供給確保型、日本は生販統合型である。これらの中では、メキシコ1のシステムが高いパフォーマンスを示しており、メキシコ2がこれに次ぐ。メキシコが有するビジネスシステムの優位性は、経済主体間の連携の強さに基づくものである。生産コストの低さに加え、生販統合による市場情報に応じた生産と出荷の体制は、日本市場における競争優位を確実にする。ただし、高い天然資源の豊度と緩い漁業資源管理に支えられたものであり、脆弱である。つまり,供給の不確実性に対応するためには、確実な資源管理制度を基盤に、原魚供給確保型と生販統合型の双方の性格を具備したビジネスシステムが必要である。原魚採捕者、養殖業者、流通業者の三者の戦略的提携関係をいかにして構築するか、それを政府がいかに支えるかが持続的な養殖マグロ産業を構築するための要件となる。
著者
日高 圭一郎
出版者
九州産業大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、福岡県福岡市において開催される「博多どんたく」及び「博多祇園山笠」を紹介した観光パンフレット(以下、観光情報媒体)を収集し、分析対象とした。収集した観光情報媒体から、「博多どんたく」及び「博多祇園山笠」を被写体とした観光写真を抽出し、それぞれについて写真枚数、写真面積、写真中における「祭り」部分の面積、「祭り」の前景・背景に撮影されている景観要素別の面積を計測した。前年度に実施した福岡県北九州市の4っの「祭り」の同様の計測結果とあわせて、計測結果の分析を実施した。その結果、各祭りとも写真中における「祭り」部分の面積は、70%前後であることがわかった。また、昨年度、北九州市の分析結果とほぽ同様の傾向が、福岡市における「祭り」においても見られることがわかった。つまり、第一に市街地の風景を前景・背景とする場合が少なく、観光情報媒体の製作者又は情報提供者は、市街地の風景は祭りの前景・背景としてふさわしくないと判断していること、第二に祭りの開催空間の景観整備が観光対象としての祭りの魅力向上に寄与する可能性があることが、北九州市の固有の特徴ではなく、「祭り」を被写体とした観光画像情報の一般性的特徴であることがわかった。以上の研究と並行し、「祭り」が多く行われる場所である神社の立地的特徴についても調査研究を実施した。具体的には明治期の観光画像情報として位置づけられる「名所図録図会」に掲載された名所といわれた神社の立地点について分析を行った。分析の結果、微地形の観点から、名所といわれた神社の立地点は3タイプ(微高地、平地、山頂)に分けられることなどが明らかになった。
著者
佐藤 稔 日高 水穂
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要. 人文科学・社会科学 (ISSN:1348527X)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.9-17, 1999-03

This is a preliminary report of the language change among the people in Ogata village in Akita prefecture.Ogata village was created by land reclamation in 1966 as a national project, and its residents were from all overJapan (About half are from Akita prefecture, and the other half are from other areas of Japan. ) Since the people of the second generation are now in the leading roles of the community, the community has developedtheir own variety of Japanese. In this short article, we present an outline of the community and report the resultsof the preliminary survey.
著者
日高 道雄 伊藤 彰英 山城 秀之 酒井 一彦 中村 崇 磯村 尚子 波利井 佐紀 新里 宙也 井口 亮
出版者
琉球大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、様々な生活史特性を持つサンゴのストレス応答を、特に初期生活史に焦点を当てて調べた。褐虫藻の存在がプラヌラ幼生のストレス感受性を高めること、褐虫藻のタイプによりサンゴ幼群体のストレス応答が異なること、ストレス特異的に反応して発現が変化する遺伝子があることを発見した。さらに群体型や遺伝子型などの違いによるサンゴのストレス応答の違い、各種ストレスによる群体死亡要因や新規加入の変動などを解析し、野外の群集モニタリング結果と関連づけた。
著者
宮坂 正英 久留島 浩 青山 宏夫 日高 薫 小林 淳一 松井 洋子
出版者
長崎純心大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、ヨーロッパ各地の博物館、大学、図書館ならびに末裔宅に所蔵されるシーボルト関係文書並びにシーボルトが日本滞在中に収集した日本産業・生活文化資料を横断的に調査・研究し、シーボルトがヨーロッパでどのような構想をもとに日本を紹介しようと試みたのか、その一端を復元的に研究しようする試みであった。今回の調査でミュンヘン国立民族学博物館にシーボルトが死の直前まで行っていた日本展示の構成を具体的に示す目録が発見され、これをもとに展示品を抽出した。その結果、シーボルトの日本紹介は従来の美術・工芸を中心とした日本紹介と異なり、日本の産業とその産業に従事する日本人の生活文化の紹介に主眼が置かれていることが分かった。このことから、シーボルトが意図した日本紹介は、独自の発想にる異民族およびその文化の理解の方法に基づいて行われていることが分かり、今後シーボルトの民族学的な思想を解明する手がかりを得ることができた。また、本研究を通じて、ヨーロッパ各地の関係諸機関に分散して所蔵されているシーボルト関係資料を横断的に調査・研究する方法が必要不可欠であることが認識された。このためには、画像付きデジタル・データベースの共有化が最適であるため、最初の試みとして、ミュンヘン国立民族学博物館所蔵のシーボルト・コレクションおよびシーボルトの末裔フォン・ブランデンシュタイン家所蔵のシーボルト関係文書の画像付きデジタル・データベースの構築を開始した。
著者
日高 優
出版者
東京大学大学院総合文化研究科附属アメリカ太平洋地域研究センター
雑誌
アメリカ太平洋研究 (ISSN:13462989)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.147-162, 2002-03

This paper aims to analyze the street as a topos in contemporary American photography. Historians of photography claim that contemporary American photography originated with the work of William Klein and Robert Frank, photographers who viewed American culture from an alien, critical perspective. In contrast, more recent photographers, who learned from these two pioneers how to use their cameras for more personal purposes, represent the street as a place to encounter people and to frame them extemporaneously. In this paper I will consider a representative of the new generation, Garry Winogrand, as a street photographer. As with his contemporaries, Winogrand never plans his photos in advance. After reading Winogrand's photographs from the perspective of photographic technique and content, I will discuss the meaning of his photographs both from his point of view and from that of the viewer. Photographs of streets become conduits not only of the photographer's but also of the viewer's memory. The memory of the photographer and the viewer passes back and forth through the medium of the image. Through visual stereotypes of experience, the memory of the photographer and of the viewer penetrates the photograph and is released into the image. Likewise, in the opposite direction, the image works upon their memories. Through the two-way circuit of the image and the viewer, images of the street reappear as a common topos of memory. The topos of street comes into being only through the photographic event.
著者
日高 優
出版者
群馬県立女子大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

本研究の二年目に当たる平成19年度は、研究計画に基づき、前年度の基礎的作業によって取り上げるべき事例として選定された各々の内容を、「パフォーマティヴィティ」概念を手掛かりにして調査、分析した。本研究の目的は「デモクラシーの価値を動態的に生成してくるつねに可変的な価値として分析する」というものであり、「パフォーマティヴィティ」概念はこの目的にとって根幹にある概念であった。デモクラシーの価値とポジティヴに、あるいはネガティヴに切り結ぶ事例として取り上げたのは、冷戦構造下アメリカ文化が世界に急速に波及していった50年代の<ファミリー・オヴ・マン>展、60年代の公民権運動やヴェトナム戦争などにおける写真実践、ポピュラーカルチャーの浸透を背景にした70年代のニューカラー・フォトグラフィのインパクトなどである。<観者>-<メディア>-<写真行為者>というデモクラシーの意味・価値生成連関においてこうした事例を分析することが目指され、おこなうことができた。(具体的な成果は、現在青弓社からの刊行のために執筆中の著書にて公表予定される)。ワシントンD.C.の議会図書館やナショナル・ギャラリー・オブ・アートのアーカイヴ、ボストン美術館図書館に直接赴き、本研究の一次資料の調査、収集をおこなった。西部開拓期の初期写真から60年代のカウンターカルチャーの下に撮影されたゲイリー・ウィノグランドのポートフォリオなどの一資料、研究論文など文献調査をおこなうことができた。特に、デモクラシーと写真という観点からの文献資料、トラウマという観点を導入した展覧会カタログや文献などを収集したことは、新しい視角へと本研究テーマを広げて探るのに有効であった。