- 著者
-
安藤 英由樹
- 出版者
- 大阪大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2018-04-01
人間が思考の道具として利用している独り言や内言に着目し、それを人工的に作り出すことで、主体感や関与感、情報の理解・判断の精度を向上させる。内言・独り言で使用される自分声は、外部で聞こえる声と異なり、頭部内の骨導音であるため、予め外部で記録した音声を変換して骨導音を作成し、それを適切なタイミングで提示することで、あたかも自分の意思として自然に行動を促すことを実現することを目的とする。さらに,ELSIの観点に基づいて問題のない範囲を規定において、無意識的な誘導技術は悪意のある誘導手法へと容易に転用できることが予想されるため、どのような条件において利用すべきかについて検討を行う。初年度に引き続き,内言として刺激を行うための音声を生成について検討を進めた.その結果,発生された音声から,頭の中で響く自分声へと変換するためのフィルタ手法として,従来手法では不十分であった,骨と空気の伝導モデルを再構築し簡便に擬似内言を生成する方法を実現した.具体的には,骨と空気の伝導音を別々に測定し、両方の音の比に重みを付け,それらを合成して,実験協力者に聞かせ,この重みの比率を変化させることで,実験協力者がもっともらしく,自分の頭の中で聞こえる声と感じられるパラメタの抽出し実装する方法が実現できた.さらに,当該手法で音声情報の提示を行ったときと,単なる録音された音声情報の提示を行った場合とでは,前者のほうが精神的な作業負荷を増加させることなく,かつ意思決定などの情報処理にバイアスをかけることができるという実験を行い,その効果を確認した.