著者
竹村 一夫
出版者
樟蔭女子短期大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

喫煙行動に関する資料・文献の収集および整理,データベース化について,前年度から継続して行った。収集した資料・文献の書名や出版年などをデータベース化し,一部については目次もデータ化した。目次については,今後もデータ化の作業を進め,内容の要約についてもデータ化の予定である。また,雑誌・マンガ雑誌からの画像データベースについて,画像の説明がキーワード程度では有用でないため,より詳しいコメントを付け加えた。テレビドラマ等の映像に関しては,編集にかなりの時間を要したため,データベース化は当初の予定通りにはいかず,分析には至らなかった。この点は,今後の課題である。これらの作業と平行して,大学生に対する聞き取り調査を実施した。その結果,単純に判断することは出来ないが,例えば,喫煙に関して,男性の場合は,直接的には友人の影響や周囲の大人,特に父親・兄の影響が大きかったといった回答がえられた。女性の場合も男性とそれほど異なるわけではないが,友人の影響が男性よりもより強く,喫煙について自分の意志で選択したことを強調するケースは,男性よりも多く見受けられた。メディアの影響については,特に意識されているわけではないが,映画やテレビドラマ等でタバコが小道具として有効に使われていることについて,多くの学生が理解しており,男性性の強調や自立した強い女性のシンボルとして使われていること,マンガのストーリー中に出てくるタバコ・喫煙行動については,特定のイメージの男女を登場させるときには必ず出てくるなど,一定のパターン化された使われ方がされていることについて,指摘した学生もいた。このように,喫煙イメージの形成および伝達に関して,親子や友人などの人間関係が大きな影響力をもっているだけではなく,特にステレオタイプ化されたイメージについては,メディアが一定の役割を果たしていることが指摘できる。
著者
山根 啓輔
出版者
山口大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

ハイドライド気相成長法を用いて、高効率発光素子材料として期待される非極性{10-11}面、{11-22}および{20-21}面 GaN 基板の作製を行った。基板の作製には我々の独自技術であるサファイア加工基板上結晶成長技術を用いた。{10-11}面 GaNでは厚膜化に伴い、欠陥密度が急激に減少することが明らかになった。サファイア加工基板上と従来サファイア基板上において、厚膜成長した際の自発分離機構を明らかにした。最終的には発光ダイオードを試作し、我々が作製した GaN 基板がデバイスレベルで利用可能であることを示した。
著者
藤田 比左子 吉谷 須磨子 樋之津 淳子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,看護職及び看護部門による感染予防対策(スタンダードプレコーションの主要項目)の実践の現状を明らかにし,スタンダードプレコーションの普及に向けたガイドライン作成を検討することを目的とした。全国の医療施設のうちの一般病院を対象とした質問紙調査を実施し,以下の結果を得た。1)方法第1段階調査は,500施設(2006年3月1日〜3月27日),第2段階調査では,2400施設(2006年9月15日〜10月15日)を対象とし,自由回答欄を一部含む選択回答肢から構成される自記式質問紙を用いた郵送調査を実施した。調査項目は,第1段階調査の質問紙は,感染予防対策に関する実践内容,施設の属性とし,第2段階調査の質問紙は,第1段階調査にて使用したものに準じ,一部を改訂したものを使用した。最終解析対象は,第1段階調査では281施設,第2段階調査では,998施設であった。2)結果感染対策委員会を構成する看護師数は,病院規模に関わらず,関東から近畿地方にかけて少なく,九州・沖縄地方が有意に多かった。感染予防対策マニュアルへの記載項目では,白衣・カーディガンの着用に関する記載がなく(約90%),手袋の使用方法に関して記載があるとした施設は,70%に満たなかった。特に,全患者に手袋の使用を規定している項目は,排便と蓄尿バッグの取り扱い時(排泄)が約90%,創処置・採血時は約70%程度であった。重要視されている感染対策項目は,手洗いが最も多かった(791施設,79.3%)が,その教育は入職時の新人教育にとどまっていた(839施設,83.9%)。3)考察感染予防対策に必要な体制の整備・感染対策マニュアルの具体的な内容の充実と機能性の向上・感染予防に関する継続的な教育推進活動が重要な中核として示唆され,今後はこれらの内容を明確に示すガイドラインの構築が必要である。
著者
神山 裕美
出版者
山梨県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

チルドレンセンターは、地域における子どもと家族支援のサービスハブであり、多機関連携の拠点ともなっていた。チルドレンセンターは直接支援としてマイクロ・メゾシステムに働きかけるとともに、エクソシステムとして地方自治体の支援システムに組み込まれていた。これらは実践結果に基づき地方・中央政府による継続的な評価により法律や制度の改善につながるマクロレベルへの循環が見られた。多機関連携によるコミュニティソーシャルワークが機能するには、地域基盤のジェネリックソーシャルワークが向上し、地方自治体レベルでの支援システムとが、車の両輪のようにうまくかみ合って機能することで、より効果的な支援につながると考える。
著者
松井 剛
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、北米市場おける日本産マンガ出版の分析を通じて、グローバル・マーケティングが直面する文化障壁について考察した。北米で出版された日本産マンガの出版データベースと業界関係者へのインタビューなどによれば、大衆的な文化製品の輸出する際には、進出先市場で共有されている文化規範と、輸出される文化製品に対応する進出先の文化製品に関するステレオタイプという2つの障壁に直面することが明らかになった。
著者
森尾 吉成
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

次の5つの研究テーマについて得られた結果を報告する.1.一定時間追跡した動物体の移動軌跡から作業者を特定する方法画像中の作業者の移動軌跡を一定時間追跡し,移動距離が大きい動物体は作業者と見なすシステムを開発した.2.日向および日陰に左右されない作業者の動き検出方法圃場の同一箇所にレンズ絞りを最適化した日向専用カメラと日陰専用カメラを1台ずつ設置することにより,日向および日陰領域が同一画像内に存在する状況においても安定して作業者を追跡できるシステムを開発した.3.複数台のカメラを用いて作業者の位置を検出する方法圃場内を移動する作業者の絶対位置を検出するシステムとして,圃場2隅に1台ずつ設置した合計2台のカメラを用いて,カメラの光軸と作業者がなす角度から作業者の絶対位置を検出する方法を提案した.実験では,15m四方の圃場に対して30cmの解像度まで位置を検出できる結果を得た.4.パン・チルト・ズーム機能を有したカメラを利用して圃場内の位置に関係なく作業者を追尾する方法パン・チルト・ズームカメラを使って屋内作業工程を監視する視覚センサを開発した.コンテナの積み上げや搬出作業においてコンテナの段数をリアルタイムで認識し,音声や映像を用いて段数を作業者に伝達するシステムを開発した.実験ではリアルタイムで安定して動作することが確認できたため,屋外での利用に向けて研究をさらに発展させていく.5.カメラ設置高さに制約される作業者追跡限界領域の検討15m四方の圃場に対して,焦点距離が3.5mmのレンズを取り付けたカメラを地上高約1.5mの高さに設置した場合に1画素が約30cm相当となる領域が存在したことから,カメラの設置高さをできるだけ高くし,十分な画像分解能が得られるよう複数カメラの組み合わせ方法を提案した.
著者
竹ノ谷 文子 塩田 清二 影山 晴秋 鈴木 勉
出版者
星薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

抗肥満ペプチドは摂食やエネルギー代謝亢進があるが、このペプチドと運動を活用して肥満動物に抗肥満作用を活用した報告はない。本研究では、抗肥満ペプチドの点鼻投与法を動物実験で確立した。さらに抗肥満ペプチド点鼻投与と走行運動により、摂食抑制とエネルギー代謝亢進作用を詳細に検討した結果、摂食量や体重減少を得られた。この抗肥満ペプチドと運動療法をヒトへ臨床応用すれば、画期的な抗肥満療法の開発ができると示唆される。
著者
山下 博樹 藤井 正 伊藤 悟 香川 貴志
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成16〜17年度の2年間における本研究課題では、リバブル・シティとしての評価が高いカナダ・バンクーバーとオーストラリア・メルボルンにおける公共交通網を基軸とした都市圈整備に関する現地調査を実施し、わが国における都市圈整備の方向性を検討することを目的とした。その研究成果の概要は、次の通りである。1.バンクーバー都市圈では、1970年代からの取り組みをベースにしたGVRDによる"Livable RegionStrategic Plan"を基に、公共交通網の再整備と結びついたコンパタトで高密度な街づくりが郊外タウンセンターで実践され、利便性の高い日常生活拠点として整備されている。2.メルボルン都市圈では、1990年代から取り組んできた市街地拡教化防止のための土地利用規制に加えて、2002年に第定されだMelbourne 2030"による持続可能な都市圈整備の取り組みがスタートし、郊外のディストリクト・センターを中心に公共交通でもアクセズ可能で、多様な機能集積による利便性の高い中心地形成が進められている。3.これらの両都市圈での詳細な土地利用調査や公共交通網整備の状況などから、21世紀の持続可能な都市整備方針としてのリバブル・シティの特性の一端を明らかにすることができた。4.わが国でのリバブル・シティ形成の可能性は、東京、大阪など公共交通網の発達した大都市部では高い実現性を有するが、反面、過密な人口密度などによる弊害をどのように緩和するか等の新たな課題が生じる。地方都市部では、低い人口密度とモータリゼーションにより、持続可能な市街地整備の必要性が一層高まっているが、その状況はむしろ悪化しつつある。高齢化の進展などに対応したバリアフリー化などの視点からの再整備が有効であると考えられる。
著者
細川 周平
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

南米移民が開始して既に1世紀以上が経過し、現在では日本語社会は縮小の一歩をたどっている。本研究は日本語活動の重要な拠点である文芸サークルの現在をブラジルとアルゼンチンで観察することを目標とし、数度にわたるフィールドワークを行ってきた。ブラジルではサンパウロとトメアスー(パラ州、アマゾン川流域)のほぼ最後の短詩サークルの句会と接触し、定型詩にこめられた自然描写や郷愁を確認した。アルゼンチンでは唯一の日本語新聞で長く働き、70年代より文芸に携わってきた崎原朝一氏とインタビューし、郊外の日系移民資料館を訪問し、文芸雑誌の所蔵を確認した。
著者
饗庭 伸 伊藤 史子 真鍋 陸太郎
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

一般市街地における景観形成を支援するための、市民参加型景観形成データベースを開発した。市民だれもがスマートフォンから投稿し、それを相互に評価することが出来るシステムである。スマートフォンとパーソナルコンピューターの二つのインターフェイスから利用できるシステムを開発し、3回の社会実験を行ってその使い方を検証した。また、集まったデータを建築設計に活かすための分析、応用手法の検討を行った。
著者
稲葉 雅幸 水内 郁夫 岡田 慧 吉海 智晃 花井 亮 山崎 公俊 稲邑 哲也 五十棲 隆勝
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2004

本研究は, 等身大ヒューマノイドプラットフォームに対して, 視聴覚・全身触覚・動的全身反応行動などの高位の情報処理技術を搭載した知能ロボットカーネルを統合し, 人からの多様な働きかけに対して対応するための行動を実現するために必要な機能とシステム構成を明らかにした.
著者
瀬戸 直彦
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

フランス中世(オック語)の抒情詩における写本テクスト学(複数の写本により伝えられるヴァリアントを本文校訂のさいにいかに扱うべきか,そしてそれが解釈にどう関わるのか)と,そのさいの電子データベースの応用について,マルカブリュのテクストを中心に考察を加えた。成果として2012 年6 月の第10 回オック語オック文学研究国際学会において,マルカブリュの2 作品のテクスト校訂と解釈につき発表をおこない,フォルケ・ド・マルセイユの校訂につき,従来の校訂における問題点と「イタリア学派」に属するスキラチョーティ氏による校訂の新しい方法論を確認して,2013 年3 月に同志社大学における「ロマニスト研究会」の発表でまとめてみた。
著者
橋本 公雄 丸野 俊一 徳永 幹雄 西村 秀樹 山本 教人 中島 俊介 杉山 佳生 藤永 博
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、運動・スポーツで経験されるドラマチックな体験が、青少年の生きる力にどのような影響を及ぼしているのかについて、質的および量的側面から検討することを目的とした。ここでは、ドラマチック体験を「練習や試合を通して体験した心に残るよい出来事や悪い出来事を含むエピソード」と定義し、試合場面における、たとえば逆転勝利などの劇的な瞬間だけでなく、普段の練習の過程でもみられる様々なエピソードも含めて捉えることとした。また、生きる力は、ライフスキルの概念と類似しているため、量的側面の分析では、スポーツドラマチック体験の学校生活におけるライフスキルに及ぼす影響を分析した。質的研究は、大学生(一般学生と体育部学生)を対象に、自由記述およびインタビューによって、どのような場面でドラマチックな体験が生じているのか、またその体験が心理、社会、身体、および生活上にどのような影響をもたらしたかを分析した。その結果、ドラマチック体験として、成功体験、失敗体験、試合体験、出会い体験、克服体験、課題遂行体験、役割遂行体験などが抽出され、心理的(自信や意欲)、身体的(技能向上)、社会的(協力や他者への思い)、人生・生活観(将来の見通しや人生観)にポジティブな影響を及ぼし、ドラマチック体験が生きる力に寄与していることが明らかにされた。また、ドラマチック体験尺度(Inventory of Dramatic Experience for Sport : IDES)の開発を試み、「努力の積み重ねへの気づき」「技術向上への気づき」「対人トラブルによる自己反省」の3因子、13項目からなる尺度を作成した。ドラマチック体験(独立変数)と学校生活スキル(従属変数)との関連では、時間的展望、QOL,自己効力感を媒介変数とする共分散構造分析を行い、モデルの検証をした。さらに、本研究では運動・スポーツ活動ばかりではなく、自然体験なども生きる力には関連するものと思われ、グリーンツーリズムや野外キャンプにおけるコミュニケーションに関しての考察を行った。
著者
今西 裕一郎 伊藤 鉄也 野本 忠司 江戸 英雄 相田 満 海野 圭介 加藤 洋介 斎藤 達哉 田坂 憲二 田村 隆 中村 一夫 村上 征勝 横井 孝 上野 英子 吉野 諒三 後藤 康文 坂本 信道
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究課題は、『源氏物語』における写本の単語表記という問題から、さらに大きな日本語日本文化の表記の問題を浮かび上がらせることとなった。当初の平仮名や漢字表記の違いというミクロの視点が、テキストにおける漢字表記の増加現象、またその逆の、漢字主体テキストの平仮名テキスト化という現象へと展開する過程で、テキストにおける漢字使用の変貌も「表記情報学」のテーマとなることが明らかになった。「文字の表記」は「文化の表記」「思想の表記」へとつながっている。「何が書かれているか」という始発点から「如何に書かれているか」に至る「表記情報学」は、今後も持続させるべき「如何に」の研究なのである。
著者
村田 昌巳
出版者
サレジオ工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

1926(大正15)年に宣教師団を率いて来日したサレジオ会イタリア人神父ヴィンチェンツォ・チマッティは、布教のために日本語の学習に励んだ。しかしながら、非効率的な学習環境により、その高い志にもかかわらず日本語の習得は高い水準には達しなかった。当然ながら個人的な能力の問題もあろうが、時期的には、外国人の視点からの日本語研究も日本国内で行われ、また、イタリア国内でも当時日本語教育が行われていた事実もあることから、学習に必要な情報及び教材の欠如・不足がその主たる要因であると結論づけた。
著者
土肥 健純 松本 洋一郎 中村 耕三 久田 俊明 佐久間 一郎 波多 伸彦 中島 勧
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

(背景と目的)整形外科手術においては従来,皮膚および筋肉組織を切開した上で骨を切断していた.本研究では収束超音波を用いて皮膚に切開を加えず,非侵襲的に骨を切断するシステムの基礎研究を目的とする.(方法)システム開発の基礎的研究として,実際に豚の骨に収束超音波を照射する実験システムを構築した.脱気水を張った水槽内に豚骨を固定し,PZT素子を用いたトランスデューサから波形,振動周波数,素子印加電圧等の照射条件を変えながら骨表面が焦点になるように垂直に照射し,焦点部分に起こる変化を観察した.Finite Difference Time Domain Methodを用いたシミュレーションソフトウェアを開発した.豚骨表面におけるエネルギについて,シミュレーションで得られた値と開発したシステムによる実験値とを比較した.PZT素子の共振周波数に奇数倍の周波数を持つ正弦波を足し合わせた波である矩形波を入力波形として用い高音圧化を図った.また,トランスデューサを5個とし,各焦点を重ね合わせることでも音圧の上昇を図った.(結果と考察)焦点エネルギのシミュレーション値と実験値に関して約90%の一致率を得た.また,PZT素子に関してはトランスデューサ開口部が同じであれば曲率が大きいほど焦点音圧が高くなるという解析結果を得た.矩形波入力の場合の焦点音圧は正弦波入力の場合の3倍であり,2個のトランスデューサから豚の肩甲骨に照射したところ,直径1mm,深さ0.5mmの切削痕が得られた.5個のトランスデューサへの入力電力を各30W(合計150W)とし,音圧を測定したところ,1個のトランスデューサに30Wの電力を入力した場合に比べて1.65倍の音圧を得た.インピーダンスマッチングの改善により一層の高音圧化が可能であると考えられる.(結論)収束超音波による非侵襲骨切断のための装置を開発し,曲率の大きなPZT素子からなるトランスデューサを複数用い矩形波を入力することにより効果的な骨切断が可能であることが示された.
著者
香月 浩之
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

有機半導体薄膜を用いたキャビティポラリトンの作成と、その量子状態を外部から制御することを目標に、状態制御技術の開発を行った。ミラーに有機半導体薄膜を蒸着し、上からミラーをかぶせてキャビティを作成した。角度依存反射・蛍光スペクトルの解析から最大300meV程度の真空ラビ分裂エネルギーが得られ、強結合状態の生成を確認した。また、二次元平面内の量子状態をコヒーレント制御する手法開発のために、空間位相変調素子を利用した振幅位相制御の手法開発を行った。対象として固体パラ水素を選択し、二次元平面内での量子状態分布を制御できることが確認され、更にその状態を画像の強度分布として一括して取り込むことに成功した。
著者
柳 久雄 山下 兼一 冨田 知志
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

DBR 共振器やフォトニック結晶を組み込んだ面発光型有機レーザーを作製し、色素ドープポリマーやπ共役系ポリマー薄膜が示す誘導共鳴ラマン散乱を共振器モードにカップリングさせることにより、光励起下において高利得のラマンレーザー発振を実現した。また、電流励起有機レーザーへの展開を目的として、液晶性π共役ポリマーを用いてアンビポーラ特性を有する電界効果型発光トランジスタを作製し、交流ゲート電圧駆動下において、電界発光を得ることに成功した。
著者
萩原 滋 相良 順子 有馬 明恵 国広 陽子 上瀬 由美子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

外国人や外国文化の表象を主題として、テレビのステレオタイピング過程を検討するために、異なるジャンルのテレビ番組を対象とした内容分析とそれに関連した質問紙調査を組み合わせた3種類の実証研究を実施した。第1に、1998年10月から2002年3月までゴールデンアワーに放送された『ここがヘンだよ日本人』というバラエティ番組における外国人出演者の言動と討議トピックスの詳細な分析を行った。そして、この番組において最も頻繁に登場し、顕現性の高い4つの外国文化のうち、日本人に馴染みの深いアメリカ、中国、韓国に比べると、馴染みの薄いアフリカに関して視聴者の社会認識が最も強く影響を受けることが明らかにされた。第2に、2002年5月23日から7月5日にかけて日韓共催のFIFAワールドカップに関するテレビ報道を対象とした内容分析を行い、この期間の報道量という点では、共催国の韓国に関して最も多くの報道がなされていたことが確かめられた。また大会前後に実施された質問紙調査を通じて、各国の人々の中では韓国人のイメージが最も大きな変化を示し、大会期間を通じて「自己主張が強い」「気性が激しい」など韓国人の感情的イメージが強化されたことが明らかにされた。第3に、2003年6月の第1週に東京の民放5局で放送されたテレビCMを分析した結果、やはり西洋イメージが広範に使用されていることが確認されると共に、最近では英語のテキストをキャッチフレーズとして使用する顕著な傾向が出現していることが示された。
著者
加藤 禎行
出版者
山口県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

平成18年度は本研究計画の最終年度に該当しており、研究課題に関する書誌調査・文献収集・資料解釈などの作業に継続的に従事しつつ、新声社出版物の書誌データベースを作成した。ここでは書誌データを、書名・著者名・判型・製本・構成・目次細目・奥付データ・出版広告情報等の項目に、簡易に分類し、書誌情報を一覧する環境を整えた。最終年度においても、残存未確認出版物が若干残ったが、研究計画終了後においても継続的に情報を充実させていきたい。そして、佐藤儀助が森山吐虹に新声社を売却し、さらに森山吐虹が新声社の出版活動を停止させた後、旧新声社出版物紙型によって他の出版業者から出版された異本についても、判明した情報をまとめた。これらの出版業者は、文学同志会・人文社・上田屋書店・精華堂書店・渡辺書店・文禄堂書店ほかで、実に多岐に亘っている。また、『創作苦心談』『花吹雪』を昭和一〇年代に朝日書房が刊行した事例があり、新声社異本の問題は、さらなる未発見の書物について継続的に探索することが不可欠である。上記のような研究活動のために、国内旅費、謝金、物品費(コンピュータ関係消耗品、雑誌購入費、複写費など)、その他(図書相互貸借送料など)を支出した。なお、平成18年度中の成果公表ではないが、平成19年度刊行予定の国文学研究資料館編・リプリント日本近代文学において、新声社出版物である、小島烏水『扇頭小景』・正岡芸陽『嗚呼売淫国』・田山花袋『ふる郷』の解題を担当し、それを公表する予定があることも申し添えておきたい。