著者
阿部 純一郎
出版者
椙山女学園大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究の成果は、以下の通りである。第1に、1930-40年代の日本の観光政策に関する行政文書、観光関連団体の機関誌を収集・分析し、ヒトラー政権下のドイツの観光事業(政策・法律・組織体制など)との比較検討を通して日本の観光事業体制の特質を明らかにした。第2に、占領期日本の国境管理政策、特にインバウンド観光に関する政策展開について、GHQ/SCAP文書、運輸省の行政文書、国会議事録、新聞・雑誌などを用いて整理した。第3に、日本人の海外渡航に関するGHQ/SCAPの政策と極東委員会(FarEasternCommission:FEC)の審議内容について資料収集を行ない、日本の国際社会復帰をめぐる米国、ソ連、アジア太平洋諸国間の対立点の詳細を明らかにした。これらの成果の一部は、日本社会学会や関東社会学会などで報告した後、学会誌で発表した。
著者
松本 伊智朗 湯澤 直美 関 あゆみ 蓑輪 明子 永野 咲 加藤 弘通 長瀬 正子 丸山 里美 大谷 和大 岩田 美香 大澤 亜里 鳥山 まどか 佐々木 宏 杉田 真衣 山野 良一 田中 智子 上山 浩次郎 藤原 千沙 吉中 季子 福間 麻紀 大澤 真平 藤原 里佐 川田 学 谷口 由希子 中澤 香織 伊部 恭子 山内 太郎 新藤 こずえ 小西 祐馬 加藤 佳代
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、子どもの貧困の現代的特質を明らかにすると同時に、政策的介入と支援のあり方を検討することである。そのために、大規模な子ども・家族を対象とした生活調査(3万人対象)を北海道で行った。あわせて、女性の貧困に関する理論的検討、社会的養護経験者に対する調査を行った。それらを通して、経済的問題、時間の確保、追加的ケアへの対応、ジェンダー平等の重要性、子どもの活動と経験、社会的ケアと社会保障制度の問題について検討を行った。
著者
塚口 裕康 野間 喜彦 桑島 正道 土井 俊夫 中屋 豊 水野 昭
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

背景 近年のヒトゲノム解析の飛躍的な進歩により、家族性ネフローゼの疾患遺伝子が相次いでクローニングされた。その中でもネフリンとポドシンは共に糸球体ポドサイト細胞間隙に形成されるスリット膜に存在し、濾過膜の構造・機能の保持に働いている。ネフリンは免疫グロブリンスーパーファミリーに属する接着因子で、スリット膜の主要構成分子である。一方ポドシンはカベオリン様のヘアピンループ膜貫通構造を持つ、新規糸球体蛋白であるがその機能は不明である。目的 ポドシンは欠損するとネフローゼや糸球体硬化症発症を引き起こすことが、マウスやヒトで示されており、蛋白尿性腎疾患の発症機序を解明する重要な分子である。ポドシンはストマチンファミリーの属するタンパクであるが、病態解明の第一段階としてまずその細胞や組織レベルでの分子動態を明らかにする。方法 正常ラットとネフローゼモデルであるPAN腎症ラットの糸球体ポドサイト超微細構造下におけるタンパク局在を免疫電顕金染色法にて検討した。同時に、マウスL細胞やイヌ尿細管由来の上皮細胞MDCK細胞にポドシンを発現させ細胞接着装置形成に伴うタンパク動態を検討した。結果 PAN腎症ラットで形成される細胞接着装置にポドシンの集積を確認し、ポドシンが足突起形態の維持に重要であることがわかった(新潟大学・腎研構造病理学・山本格、矢尾板永信博士との共同研究)。培養細胞においても、ポドシンの細胞接着面への集積を認め、生体内のタンパク動態と一致した。考察 ポドシンの局在を解析するのに必要な、動物モデルの確立と培養細胞系の樹立を行った。これらの実験系は新しいポドシン結合タンパクの特性解析に役立ち、新規ネフローゼ遺伝子同定に向けた今後の研究発展に貢献する。
著者
有田 玲子 川島 素子 伊藤 正孝 井上 佐智子 伊藤 正孝 井上 佐智子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

マイボーム腺機能不全(MGD)はドライアイの主因であり、患者数が多いにもかかわらず有効な治療法が確立されていない。我々は、活性型ビタミンD3がMGDの治療薬になるかどうかを研究の目的とした。動物実験において、活性型ビタミンD3の眼瞼塗布治療が眼球や眼周囲組織、全身臓器における副作用を起こさないこと、MGD動物モデルでMGDの改善を誘導することが明らかとなった。また、臨床応用を行い、MGD患者におけるMGDの病変の改善をきたすことを証明した。活性型ビタミンD3はMGDの治療法となりうることが明らかとなった。
著者
森 智夫
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

木材を腐朽する真菌の一種である白色腐朽菌類は、木材腐朽時に栄養源を加え、低酸素条件におくと木材からエタノールを産生することが知られている。幾つかの白色腐朽菌の木材からのエタノール産生特性を調査したところ、Phanerochaete sordidaのみが栄養源無添加時に木材から再現よくエタノールを産生した。この菌の発酵特性を詳細に調査したところ、高糖濃度条件下では、呼吸代謝系の余剰ピルビン酸をエタノール発酵に利用可能な事、糖取込を向上させると発酵量が増加する事を明らかにした。また本菌は、木材腐朽時に低酸素ストレスに対する短期の応答機構としてエタノール発酵機構を利用しているようであった。
著者
丹生谷 博 笠原 賢洋
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

タバコモザイクウイルス(TMV)抵抗性遺伝子(N)はウイルス感染により過敏感応答を伴う細胞死を誘導して,宿主細胞内にウイルスを閉じ込めて感染拡大を防ぐ働きがある。我々は,N遺伝子の機能解明を目指して,N類似遺伝子のcDNAを多数単離して解析を行った結果,N類似cDNAには配列上の類縁関係から4つのグループ(A〜D)が存在することが分かった。これらのうち,N遺伝子と相同性の高い2つのN類似cDNA(NL-C26,NL-B69)を代表的クローンとして選定し,それらの全長cDNAを単離した。これらの全塩基配列を決定した結果,NL-C26とNL-B69はN遺伝子と同様のTIR-NBS-LRRクラスに属し,N遺伝子とアミノ酸レベルでそれぞれ78,73%の相同性を示した。次に,NL-C26,NL-B69の機能ドメイン(TIR, NBS, LRR)をN遺伝子の対応するドメインと置換したキメラcDNAを作製し,アグロインフィルトレーション法によりウイルス複製酵素のヘリカーゼドメインp50と共にN. tabacum cv. Samsuinnの葉で発現させた。その結果,NL-C26のTIR, NL-B69のTIR, NL-B69のNBSのいずれかを使用したキメラは明確なHRを誘導したが,NL-C26やNL-B69のLRRを使用したキメラ等はHRを誘導しなかった。以上より,NL-C26のTIR, NL-B69のTIRとNBSにはN遺伝子の機能にとって重要なアミノ酸が保存されていること,また,HR誘導にとってN遺伝子のLRRはN類似遺伝子のドメインには代えられないことが判明した。タバコから機能性ドメインを有するN類似遺伝子の発見は画期的であり,N遺伝子のcDNAを導入した一過性発現でHRを誘導できる系の確立は今後の機能解析に非常に有用である。
著者
岡田 吉美 中島 捷久 渋田 博 野本 明男 石浜 明 四方 英四郎
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1984

クローン化されたタバコモザイクウイルスcDNAから感染性RNAを転写する実験系が確立された。この系を用いて130Kタンパクの停止コドンとその近辺に変異が導入された結果、130Kタンパクと180Kタンパクが複製酵素であることが確かめられた。ホップわい化ウイロイド,キュウリペールフルーツウイロイドおよびブドウウイロイドの病原性と分子構造の解析を行ない、これら3種類のウイロイドは塩基配列が若干異なるが病原性は同じであることが明らかにされた。インフルエンザのRNAポリメラーゼはキャップRNA切断,プライマー依存性RNA合成,ポリA付加,誤転写修復機能などの多機能をもっていることが発見された。また血球凝集素遺伝子に部位突然変異法によって多数の変異を導入し、その抗原構造の解析とシアル酸結合部位の解析を行った。HVJの全遺伝子構造を解明すると共に、そのmRNAの合成機構と非構造Cタンパク質の機能について解析した。パラインフルエンザ3型ウイルスの病原性に関与する遺伝子についても変異株の比較で解析を行った。ポリオウイルスの感染性のcDNAクローンを利用し、各種人工変異ウイルスを作製した。それらの複製効率および神経毒性発現を含む生物学的諸性質を調べた結果、ゲノム各領域間の相互作用がウイルスの複製および遺伝情報発現に重要であることが示唆された。バクテリオファージGAおよびSPの全遺伝子構造を決定するとともに、QB,SPの活性のあるRNA複製酵素遺伝子クローンを作製した。またGA→MS2の抗原変化に関与するコートタンパク質のアミノ酸を同定した。リンゴさび果ウイロイドの全塩基配列を決定した。その配列は今までに構造が明らかにされているどのウイロイドとも類縁関係はなく、新しい種類のウイロイドであることが明らかにされた。
著者
土屋 周平 黒田 健介 加藤 伸一郎 本田 雅規 渋谷 恭之
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

インプラント治療においてオッセオインテグレーションは必須の現象であるにもかかわらず、その分子メカニズムは明らかにされていない。一方、オッセオインテグレーションを獲得したチタンと骨の界面にある糖鎖はチタン上の石灰化や生体適合性などに影響を与え、オッセオインテグレーション獲得に重要な役割を果たしていると考えられる。本研究の目的は、チタンと骨のPGs層に含まれる糖鎖がオッセオインテグレーションにおける機能を分子生物学的手法で明らかにすることである。その結果、糖鎖を利用した分子マーカーを同定することにより、チタン製インプラント治療の検査項目の開発や成功率の高いインプラント製品の開発を最終目的とする。
著者
児玉 臨麟 岡本 明 福島 正義 興地 隆史
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は,エナメル亀裂の発生頻度や臨床症状にっいて調査を行った.その結果として:1.亀裂検出率は年齢増加と共に上昇傾向を示し50代以後では100%の被験歯に亀裂が認めた.2.10~30代の被験者では,修復歯は非修復歯と比較して亀裂検出率が高い傾向を示した.3.加齢に伴って亀裂の着色により肉眼で容易に確認可能できる亀裂の割合が増加した.4.冷刺激による誘発痛は,20-60代の被験者において亀裂歯の13-16.7%に認められた.5.噛み合わせ指導、う蝕予防、口腔衛生指導、低稠度樹脂性材料による亀裂の封鎖などは、亀裂の予防対策あるいは早期治療方法として有効である。
著者
石井 明 東 大輔 竹之内 和樹
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

地面効果翼機は、地面又は水面等の上を滑空する輸送機器である。航空機が上空を飛行する場合は、翼の両端から翼端渦と呼ばれる大きな渦が発生し、これが抵抗となってエネルギーロスに繋がっている。この翼端渦を減少させるため、ウィングレットという翼端を折り曲げた翼も出現しているが、地面効果翼機は大きな燃費改善が可能である。
著者
折原 貴道
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

地中にきのこを形成する「地下生菌」は,胞子を風散布する一般的な地上性きのこ類とは異なり,陸棲小動物にきのこを摂食されることで胞子を散布すると考えられてきた.そのため,海洋島への分散は困難であると考えられるが,実際には海洋島においても複数種の地下生菌が見つかっている.本研究では,海洋島に分布を広げている地下生菌がどのようなメカニズムで分散しているのかを,複数遺伝子領域による系統解析や集団遺伝学的解析,さらに野外での無性胞子の探索などの方法により明らかにしてゆくことを主な目的とする.令和元年度の研究実績の概要は以下の通りである.・海洋島-日本本土間,および大陸島-本土間での地下生菌の分散パターンの比較を目的とした,各地での地下生菌子実体サンプリング・得られた標本からのDNA複数領域シーケンスの取得と分子系統解析,および一部の種についての培養法の検討・次世代シーケンサーを用いた集団遺伝学的解析過去に殆ど地下生菌調査の為されていないトカラ列島をはじめとする南西諸島や,伊豆諸島などの島嶼域での子実体サンプリングを実施し,それにより有益な分子データが得られた.また,本土における比較用サンプルも多く追加することができた.次世代シーケンサーを用いた集団遺伝学的解析についても,共同研究者の協力のもと,これまでの複数DNA領域の分子系統解析結果と同傾向の結果が得られ,現在この結果のブラッシュアップを図っている段階である.また,2019年5月には,本研究の研究成果を一部含む一連の研究に対し,一般社団法人日本菌学会より奨励賞を授与され,本研究成果を含む受賞講演を行った.その他,島嶼域での調査で得られたデータをもとに,国際会議において発表を行った.また,日本本土および伊豆諸島で得られた一部の希少種についての新所見を論文として出版した.
著者
和久 大介
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

研究計画当初に予定していた10個体のニホンカワウソ標本の解析を実施した。その結果、複数個体から目的のミトコンドリアゲノム配列を決定した。このように、本研究実施により新たなデータを得られた。また、当研究計画期間中に日本国内において生きたカワウソが見つかり、その糞からもミトコンドリアゲノム配列を得ることができた。さらに、本研究計画の進行中に全ゲノムによる解析を目指し、ユーラシアカワウソ・コツメカワウソ・ビロードカワウソからドラフトゲノム配列のもととなるデータを得た。これらの結果は今後国際誌に投稿予定である。
著者
丑田 公規
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近年発見したクラゲ由来ムチンは、構造が判明したシンプルなムチンの稀少例で、これを用いて構成したモデル粘液系の中で起きる物理化学作用をいくつか取り上げ、構造と動的挙動の関係を調べた。金属イオンとの相互作用を重点的に調査し、モルフォロジー変化、化学反応による吸着現象のダイナミクスを明らかにした。特にサンゴ粘液による珊瑚柱形成時のバイオミネラリゼーションをクラゲ粘液成分によって人工的に再現することに成功した。
著者
居郷 哲央
出版者
岡山県警察本部刑事部
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2019

リシンはトウゴマの種子から容易に精製可能なタンパク質性の毒素であり、バイオテロに用いられる可能性が最も高い毒素と言われている。リシンを合成するメッセンジャーRNA(mRNA)を指標とする逆転写リアルタイムPCR法によりリシンを識別する方法を開発するために、1)PCRプライマーの設計、2)RNA抽出・精製法の検討、3)増幅産物及び反応特異性の確認を行った。その結果、リシンRNAを識別するために適したRNA抽出・精製法を明らかにすることができ、設計したプライマーを用いることで、リシンmRNAを識別することが可能と考えられた。
著者
守屋 正彦 藤田 志朗 程塚 敏明 勝木 言一郎 井川 義次 水野 裕史 木村 浩 山澤 学 小出 真理子 秋山 学 柴田 良貴 沖松 健次郎 入口 敦士 大久保 範子 菅野 智明 渡邉 晃 伊藤 たまき 中村 玲
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

調査期間中に進めてきた東アジアに展開する儒教美術の表象の研究は最終年度で、釈奠における孔子表象の研究を中心としたものに考察対象を絞り、国際会議を行った。国際会議は筑波大学国際会議室を会場に、2018年1月26日に開催し、杜正勝(台湾中央研究院院士)、陳芳妹(台湾大学教授)、James McMullen(Oxford大学名誉教授)、關信子(美術史家)による発表を受けて、これまでの研究成果を研究代表者、分担者が行い、その成果報告は『「釈奠-東アジアの孔子祭典を考える」報告論文集』(2018年3月31日)として刊行し、東アジアにおける儒教美術研究の横断的な研究基盤形成への端緒を開いた。
著者
副田 賢二 松村 良 原 卓史 天野 知幸 和泉 司 五島 慶一 三浦 卓 杉山 欣也
出版者
防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

戦前期『サンデー毎日』を中心とした週刊誌メディアと文学との関わり、及びその誌面レイアウトや視覚表象の構造を扱う本研究は三年目となり、大阪市立大学所蔵『サンデー毎日』の調査、分析、データ化を進めた。その研究実績は、主に学術研究誌への論文掲載及び学会・研究会での研究発表で発表した。2019年度は、7月に第3回科研費研究成果中間発表会を大阪市内で実施した。同時に日本出版学会関西部会に参加し、雑誌メディアにおける挿絵やレイアウトの研究において、同学会との交流を実現した。なお、2020年3月に京都教育大学で第4回科研費研究成果報告会(一般公開形式)の開催を予定していたが、新型コロナ感染流行のため延期となった。また、大阪市立大学や国立国会図書館、大宅文庫等で調査した戦前期『サンデー毎日』をめぐる資料やデータベースについては冊子形式の資料集として刊行して実績報告書とする予定であったが、3月以降図書館等での調査が不可能になったため、現在研究期間延長申請を提出し、受理されている。延長期間は1年間だが、新型コロナ問題が改善された場合は、2020年8月までに本研究の研究活動及び資料集の出版(成果報告)を完了しようと考えている。そこで刊行する成果報告には、データ化した戦前期『サンデー毎日』の全表紙のデータベース(創刊から占領期まで)、『サンデー毎日』創刊記念号等の特集号の資料紹介、分析、1920年代の文壇ゴシップ記事の分析等、これまでの研究成果を掲載する予定である。また、まず大正期を対象として『サンデー毎日』の視覚表象を分析して目録を作成、データベース化する調査を現在複数メンバーで進めている。その調査、研究成果は、新たに獲得した「1920~1950年代の週刊誌メディアにおける文学テクストと視覚表象の総合的研究」(基盤研究(C) 課題番号:20K00361)にて公刊する研究書に掲載予定である。
著者
市村 高男 松田 直則
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

土佐国幡多荘は、16世紀末から約1世紀の間、京都下りの公家一条氏が支配していた。本研究では、一条氏が幡多へ下向した理由、そこでの役割を考えるため、文献史学と考古学の両面から基礎資料の収集と検討を進めた。今回、幡多地域出土の遺物については、あまり報告書に収録できなかったが、中世城郭跡を中心とした一条氏・幡多地域の考古学的考察の中で活用している。文書・記録などの文献史料については可能な限り報告書に収録し、研究者が共有できるようにした。これらの史料や遺跡・遺物の調査・検討を通じて、次のようなことが明らかになった。(1)一条氏は土佐に在住したまま公卿に列した希有な存在であり、恒常的に京都の公家社会と交流する一方、16世紀前半から地域の領主や地侍を家臣団に編成し、支配領域の拡大を試みるなど戦国大名化への動きを見せた。(2)一条氏は本願寺や堺の商人と結んで大船を建造し、遠隔地交易への強い関心を示していた。この事実は、一条氏の贈答品に南方の産物が多く見られること、幡多地域から多量の貿易陶磁器が出土すること、一条氏が加久見氏(海賊)と婚姻関係を結んでいたことなどと合わせて、同氏が対外交易に関与していたことを暗示する。一条氏が京都から幡多に下向し、そのままこの土地に住み着いた理由もこの辺にあると考えられる。(3)一条氏は戦国前半期から幡多地域に多くの城郭を築いているが、その技術がやがて長宗我部氏に継承・発展されるなど、想像以上に土佐の社会や文化に大きな影響を与えていた。以上のように、一条氏や幡多地域の役割は正しく評価されるべきであり、土佐国を越えた視点で見直していく必要がある。
著者
木村 亮介
出版者
琉球大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、琉球列島におけるヒトの移動史を解明するために、大規模な現代人ゲノムデータの集団遺伝学解析を行うとともに、宮古島における無土器時代およびグスク時代の古人骨ゲノム解析を行う。また、琉球列島集団と日本本土を含む周辺集団との関係だけでなく、琉球列島内の各集団の関係についても詳細に明らかにする。さらに、頭蓋顔面形態における集団間の違いを明らかにする。琉球列島集団と本土日本集団の間における頭蓋顔面形態の違いを明らかにするだけでなく、琉球列島内の集団間における差異についても、特に宮古島集団に焦点を当てて詳細に解明する。
著者
宮本 圭造 伊海 孝充 高橋 悠介 石井 倫子 山中 玲子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

能楽を伝える最古の家系である金春家の伝来文書は、その過半が明治維新後に流出し、主要な部分は現在法政大学能楽研究所に般若窟文庫として所蔵されている。一方、金春家にも今なお多くの文書が残されているが、これについては従来、十分な調査が行われてこなかった。本研究は、その金春家蔵の古文書の悉皆調査を行ったもので、四年間にわたる調査の結果、金春家には16世紀から20世紀にいたる1664点の文書が現存することを明らかにするとともに、大和地方の神事能や17世紀の江戸の勧進能の記録、明治期の金春家の動向を伝える貴重な資料を発見するなど、多くの成果を得た。
著者
伏田 享平
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

過去に実施された開発プロセスの再利用による開発プロセス記述の支援を目指して研究を実施し,下記の成果を得た.(1)開発プロセスの品質を定量的に表す尺度として,作業の並列性,複雑性に着目したプロセスメトリクスを考案した.(2)(1)で考案したプロセスメトリクスを,実際の開発プロジェクトのデータを対象に抽出し,計測可能であることを確認した.(3)プロセスメトリクスとプログラムの複雑度メトリクスを利用して,実際のソフトウェア開発プロジェクトを対象に定量的なプロセスの品質評価を実施した.その結果,プロセスメトリクスを用いて作業が複雑となるプロセスを特定することが可能となった.