著者
岡 あゆみ 栗原 一貴
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.199-207, 2021-08-23

音はその性質上,肉眼で捉えたり触れたりすることが出来ないため,定量的に観測したり,直感的に操作を加えたりすることが難しい.そこで,聴覚と他の感覚を同期させることにより,音の扱いやすさを向上させることを検討する.近年,VRヘッドセットの普及により3D空間での表現が身近になったが,VRでの可視化手法とインタラクションの先行研究は限定的である.本研究ではVR内で見て触れながら音を調整することのできる,滝の形状をしたビジュアライザ「SoundDrop」を提案し,インタラクションについての妥当性と効果を調査する.
著者
阿南 あゆみ 山口 雅子
出版者
The University of Occupational and Environmental Health, Japan
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.183-195, 2007-06-01 (Released:2017-04-11)

我が子の障害を受容する過程には, 子供の障害の内容や親の要因, さらに社会的要因など様々な因子が複雑に絡み合い, その受容過程は決して単純なものではない. 障害受容に関連する様々な要因の中で, 子供の障害の種類と程度は親の受容過程にもっとも大きな影響をおよぼすと考えられるが, 先行研究では様々な疾患を「障害」という一つの枠組みに捉えたものが多い. また子供と親が今後障害と共に生きて行く言わば出発点となる障害告知は, 障害の種類により時期や内容が異なり, 我が子の障害受容過程に多大な影響をおよぼすと考えられる. さらに母親と父親の受容過程は異なると考えられるが, 先行研究の多くは「母親」を対象としており, 「父親」を対象としたものが少ない. 今後の研究課題として障害の種類と程度を勘案した詳細な分析や告知の在り方に関する研究の集積が必要である. また母親だけではなく父親の受容過程やその家族・社会に関する研究を行う必要がある.
著者
重信 あゆみ
出版者
Osaka Prefecture University (大阪府立大学)
巻号頁・発行日
2020-03-31

学位記番号:論人第49号, 指導教員:大形 徹
著者
植村 玄輝 吉川 孝 八重樫 徹 竹島 あゆみ 鈴木 崇志
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、現象学の創始者エトムント・フッサール(Edmund Husserl)が1922年から1923年にかけて日本の雑誌『改造』に寄稿した5編の論文(うち2編は当時未刊)、通称「『改造』論文」について、フッサールの思想の発展・同時代の現象学的な社会哲学の系譜・より広範な社会哲学史の系譜という三つの文脈に位置づけ、現象学的な社会哲学の可能性についてひとつの見通しを与えることを目指すものである。
著者
井野 千代徳 芦谷 道子 南 豊彦 浜野 巨志 中川 のぶ子 多田 直樹 小野 あゆみ 山下 敏夫
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.194-200, 2003-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1

昨今うつ病の増加が指摘されている。特に軽症うつ病の増加が注目されている。軽症うつ病とは身体症状が強いことに特徴があるが、その身体症状の中に耳鼻科医にとってなじみ深いものが多い。そこで、耳鼻咽喉科とうつ病との関係を調べた。対象とした疾患は耳鼻科医が一般外来でしばしば遭遇する疾患の中でその発症に心因性要素が関与するとされる疾患ないし症状のうち突発性難聴、低音障害型感音難聴、めまい、耳鳴、Bell麻痺、顎関節症、口内異常感症を対象とした。方法はSDSを用いた。結果、306人中56人がうつ病の範囲に入った。検査期間の4カ月に少なくても56人のうつ病患者が耳鼻科を受診したことになる。疾患別では口内異常感症が最もSDS値が高く、50例中23人46%がうつ病と判定された。他疾患がすべて18%未満であることより驚異的に高い数値と思われた。これからさらにうつ病の増加が指摘されている。耳鼻科医も積極的に対応すべきと考えている。
著者
浅田 あゆみ 鈴木 杏 河本 実季 大嶋 廉之 宮永 佳代 長澤 一樹
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【目的】炎症性腸疾患(IBD)患者はうつ病の有病率が高いが、それは腸管における炎症に起因すると考えられているものの、その詳細は不明である。そこで本研究では、unpredictable chronic mild stress(UCMS)などに対して低感受性のマウスに対してIBDを発症させたときのそのストレス感受性の変化について、うつ様行動の誘発、海馬での炎症関連因子の発現変動を指標として検討した。【方法】IBDは、C57BL/6JCrl系雄性マウス(7週齢)に対し1w/v% デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)水溶液を10日間自由飲水させることにより発症させ、その評価は糞便の状態と体重変化に基づいたdisease activity index (DAI) 並びに大腸における炎症性サイトカインの発現により行った。このDSS負荷終了後、マウスに対してUCMS(拘束、強制水泳、明暗サイクルの変動など)を21日間負荷し、そのうつ様所見は強制水泳試験などにより評価した。大腸及び海馬における炎症性サイトカインなどの発現量はreal-time PCRにより解析した。【結果・考察】DSSを摂取させたマウスにおいて、DAI並びに大腸でのIL-1β及びTNF-αの発現の増大を示すIBDの誘発が確認されたが、うつ様所見は認められなかった。これらIBDを発症したマウスに対するUCMSの負荷は、無処置マウスに対するその負荷の場合とは異なり、強制水泳試験において無動時間が延長し、海馬でのIL-1β及びTNF-α発現が増大傾向にあったことから、うつ様所見の誘発が認められた。このうつ様所見を示したマウスのDAIは、DSS負荷直後より低下していたものの対照群と比較して有意に高く、また大腸での炎症性サイトカインの発現量は増大傾向にあった。以上のことから、大腸における炎症の発症がマウスのUCMSに対する感受性を高め、うつ様行動を誘発することが示された。
著者
緒方 あゆみ Ayumi Ogata
出版者
同志社大学大学院総合政策科学会
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.151-161, 2004-02

わが国の精神保健福祉施策は、1995年に制定された「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(以下、「精神保健福祉法」と略称する)以降、自治体レベルで積極的に展開されてきたが、長年の精神障害(者)への偏見や差別等から、他の障害者施策に比べると遅れているのが現状である。特に、精神障害者の社会復帰支援(自立生活支援および就労支援)に関する施策の遅れは深刻であり、地域住民への啓発活動をさらに推進するとともに、地域生活支援センター、授産施設、グループホーム等の社会復帰関連施設の整備が急務である。問題は、精神障害者が地域の中で安心して社会生活を営めるようになるためには、地域精神科医療と地域精神保健福祉に関する支援や施策をどのように実施し発展させるかにある。そこで本稿では、障害者福祉に関する施策の歴史が長く、精神医療においても先進国であるイギリスの取り組みを検討したい。イギリスの精神障害者施策は、病院での入院中心のケアからコミュニティケアへと移行したが、その経緯と現状については批判もあるものの、世界的にも高く評価されており、わが国の精神保健福祉施策を検討するにあたって、イギリスの動向を知ることは必要であると考える。また、イギリスの現行法である「精神保健法」(The Mental Health Act 1983)は、強制入院手続に関する規定等に関してわが国の精神保健福祉法と類似しており、また、2003年7月に国会で可決・成立したばかりの「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下、「心神喪失者等医療観察法」と略称する)は、主としてイギリスの制度を参考にして提案されたものである。本稿では、イギリスの精神保健法の概要の紹介に加え、同法を含む法律からみた精神医療史、医療制度等を中心に検討する。研究ノート
著者
松本 伊智朗 湯澤 直美 関 あゆみ 蓑輪 明子 永野 咲 加藤 弘通 長瀬 正子 丸山 里美 大谷 和大 岩田 美香 大澤 亜里 鳥山 まどか 佐々木 宏 杉田 真衣 山野 良一 田中 智子 上山 浩次郎 藤原 千沙 吉中 季子 福間 麻紀 大澤 真平 藤原 里佐 川田 学 谷口 由希子 中澤 香織 伊部 恭子 山内 太郎 新藤 こずえ 小西 祐馬 加藤 佳代
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、子どもの貧困の現代的特質を明らかにすると同時に、政策的介入と支援のあり方を検討することである。そのために、大規模な子ども・家族を対象とした生活調査(3万人対象)を北海道で行った。あわせて、女性の貧困に関する理論的検討、社会的養護経験者に対する調査を行った。それらを通して、経済的問題、時間の確保、追加的ケアへの対応、ジェンダー平等の重要性、子どもの活動と経験、社会的ケアと社会保障制度の問題について検討を行った。
著者
北村 咲子 武智 健一 安平 あゆみ 藤岡 志帆 浪口 孝治 萬家 俊博
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.743-747, 2017-11-15 (Released:2018-01-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(RALRP)では,気腹と急峻な頭低位を要するため術中に眼圧が上昇する.このため,緑内障患者に対するRALRP適応の可否には議論がある.当院では緑内障患者でも,眼科医の術前診察により初期緑内障と診断されればRALRPを適応している.今回5例の緑内障併存RALRP症例に対し,麻酔中の眼圧を測定したところ非緑内障患者と術中の眼圧変化に差はなく,術後明らかな視機能障害を認めなかった.緑内障併存患者のRALRP症例の周術期管理に関し報告する.
著者
隈本 あゆみ 石山 隆通 下田 隆 青木 幹太
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

 2012 年 4 月、協同組合大川家具工業会(以下 工業会)の 設立 50 周年の記念事業として、「わたしの部屋つくり」をテー マに工業会加盟企業と九州産業大学芸術学部デザイン学科の連 携活動が始まった。初年度にあたる 2012 年に、既存の大川家 具の傾向として「女性消費者にとって魅力的な家具が少ない」 という問題点を指摘し、女性消費者を想定して家具の外観や寸 法、機能を再検討した「女子家具」という考え方を提案した。 提案に基づいて試作された女子家具は展示会で公開し、その際、 多くの消費者から一定の評価を得たことで、それまで大川があ まり重視していなかった「女性向け」というカテゴリーの存在 が認知され、2013 年以降の連携活動では「女性目線」による 家具開発を継続、研究している。本研究は 2014 年に日本デザ イン学会第5支部主催の研究発表会で報告した「女性目線によ るカフェスタイルの家具提案」以降の進捗を踏まえ、カフェス タイル家具の具体化について報告する。 
著者
竹口 あゆみ 冨士谷 盛興 長塚 由香 八谷 文貴 井上 和穂 岸本 崇史 林 建佑 掘江 卓 千田 彰
出版者
日本レーザー歯学会
雑誌
日本レーザー歯学会誌 (ISSN:09177450)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2+3, pp.23-30, 2017-12-01 (Released:2018-02-15)
参考文献数
28

With the ultimate aim of newly developing an optimal dentin bonding system to Er:YAG-lased dentin, the adhesion-promoting effects of priming with hydrophilic monomers on the bonding performance of the resin-modified glass-ionomer adhesive system (RMGI) to laser-affected dentin were investigated. It was revealed that priming with 4-MET and HEMA following acid-conditioning with 10% citric acid+2% ferric chloride solution might be very effective for improving the bond strength of RMGI to Er:YAG-lased dentin.This work was supported by JSPS KAKENHI Grant Number JP15K11138.
著者
石井 僚 村山 航 福住 紀明 石川 信一 大谷 和大 榊 美知子 鈴木 高志 田中 あゆみ
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.90, no.5, pp.493-502, 2019
被引用文献数
2

<p>The study described here developed a short surrogate index for the children's socioeconomic status (SES) using house possessions and investigated its validity. In Study 1, 192 pairs of parents and their middle school-aged children participated in a questionnaire survey. Based on the results, three items regarding possessions at home were selected for the short surrogate index out of the 17 items used in the Programme for International Student Assessment. Furthermore, the short surrogate index for the children's SES was related to family income, parents' academic background, and hierarchy consciousness. In addition, it was found to have good test-retest reliability, thereby demonstrating its validity. To confirm that the item selection and validity in Study 1 did not involve sampling error, Study 2 investigated the reproducibility of validity with a different sample. One hundred ninetyfive pairs of parents and their middle school-based children responded to the questionnaire, and the results redemonstrated the index's validity. Studies in different disciplines using the short surrogate index can be conducted because SES can be both the main and confounding variable.</p>
著者
関村 利朗 松原 あゆみ 蘇 智慧
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.46-52, 2017

<p>アフリカ産のアゲハチョウ: オスジロアゲハ(<i>Papilio dardanus</i>),フォルカスミドリアゲハ(<i>Papilio phorcas</i>),ルリアゲハ(<i>Papilio nireus</i>),アフリカオナシアゲハ(<i>Papilio demodocus</i>)と日本に生息するアゲハチョウ科のチョウとの分子系統関係を,ミトコンドリアDNAの <i>ND5</i>,<i>COI</i> と<i>COII</i> 遺伝子領域の塩基配列を使って分析し,検討した. アゲハチョウ属(<i>Papilio</i>)の分子系統樹を作成するにあたっては,本研究で得られた10種のチョウの塩基配列データの他に20種類の<i>ND5</i>,<i>COI</i> と<i>COII</i> 遺伝子データを米国国立生物工学情報センター(NCBI)から取得して利用した.特に,本研究ではアフリカと東・南アジア(日本を含む)地域に生息するチョウのベーツ擬態の起源に注目した.本研究で得られた主な結果は以下の通りである.(1)オスジロアゲハ(<i>P. dardanus</i>)とフォルカスミドリアゲハ(<i>P. phorcas</i>)は,姉妹関係を示したが,日本に生息するアゲハチョウ属のチョウと分子系統的類縁関係を持たない.(2) ルリアゲハ(<i>P. nireus</i>)は,マダガスカルに生息するオリバズスルリアゲハ(<i>P. oribazus</i>)そしてエピフォルバスルリアゲハ(<i>P. epiphorbas</i>)と姉妹関係を示した.しかし,日本産のアゲハチョウ類とは類縁関係を示さなかった.(3) アフリカオナシアゲハ(<i>P. demodocus</i>)は,アジアの東部および南部地域に広く生息するオナシアゲハ(<i>P. demoleus</i>)と姉妹関係を示した.これは,この2種のチョウが近縁であり共通祖先由来であることを示唆している.この結果は<i>COI</i>,<i>COII </i>と<i> EF-1α </i>遺伝子を用いた Zakharov <i>et al</i>.(2004)のものと一致する.(4)クロアゲハ(<i>P. protenor</i>)とオナガアゲハ(<i>P. macilentus</i>)に観察される雌雄両性擬態はシロオビアゲハ(<i>P. polytes</i>)とナガサキアゲハ(<i>P. memnon</i>)に見られる雌限定の擬態と緊密な関係があることが示唆された.(5)<i>P. glaucus</i>(clade J)と<i> P. clytia</i>(clade K)の姉妹関係は強く支持された.最後に,アフリカと東・南アジア(日本を含む)に生息する蝶に見られる雌限定擬態について,分子系統学的議論だけでなく他の視点(例えば,最近発見された目的遺伝子)からも議論した.</p>
著者
内田 あゆみ 陶 慧 荻原 淳 赤尾 真 熊谷 日登美 松藤 寛 竹永 章生 櫻井 英敏
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.639-646, 2009-12-15
参考文献数
16
被引用文献数
3

ジャンボリーキ鱗片から得られた泡粉末と比較のために鱗片末およびクルクミンを用いてGaINにより誘発される急性肝障害およびEtOHによって惹起される慢性肝障害モデルラットに対する影響を調べた.また同時に,推定関与成分として生鱗片からサポニンの単離・同定を試みた.その結果,ジャンボリーキの泡粉末および鱗片末は,GaIN,およびEtOHのラットへの投与実験において急性肝障害時の機能低下を抑制すること,またアルコール吸収を抑制することにより慢性肝障害を予防することを明らかにした.そして,その関与成分として既知のステロイドサポニンである(25R)-spirost-5-ene-2&alpha;,3&beta;-diol-3-<I>O</I>-{<I>O</I>-&beta;-D-glucopyranosyl-(1→2)-<I>O</I>-[&beta;-D-xylopyranosyl-(1→3)]-<I>O</I>-&beta;-D-glucopyranosyl-(1→4)-&beta;-D-galactopyranoside},(C<SUB>50</SUB>H<SUB>80</SUB>O<SUB>23</SUB>,MW : 1048),カラタビオサイドAの存在を提示した.
著者
多田 直樹 南 豊彦 中川 のぶ子 浜野 巨志 小野 あゆみ 井野 千代徳 金子 明弘 山下 敏夫
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.18-23, 2004-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
22
被引用文献数
1

顎関節症にはさまざまな全身症状の合併が認められ、中でも耳閉塞感をはじめとする耳症状の合併は古くから報告されているが、その成因に関してはいまだに明確ではない。今回われわれは顎関節症患者76名を対象として、まず耳閉塞感を訴えた患者の割合を算出し耳閉塞感の有無それぞれの中で顎関節症のI型からIV型まで分類した。次に耳閉塞感を伴う顎関節症患者に対して耳管機能検査を施行した。その結果耳閉塞感を訴えた症例が44名 (57.9%) で、耳閉塞感を訴えなかった症例は32名 (42.1%) であった。また耳閉塞感のあった症例での顎関節症の分類はIII型が最も多く、I型、IV型はわずかであった。一方耳閉塞感のなかった症例は耳閉塞感のあった症例と比較してIII型がわずかで1型が大きな割合を占めていた。耳管機能検査は耳閉塞感を伴う顎関節症患者44名中37名に施行した。その結果37名中23名 (65%) が開放パターン、1名 (3%) が狭窄パターン、13名 (32%) が正常パタ-ンであった。今回の検討結果から顎関節症に伴う耳閉塞感の原因は耳管開放症によるものと思われた。
著者
中西 希 伊澤 雅子 寺西 あゆみ 土肥 昭夫
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.39-46, 2010-05-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
29
被引用文献数
1

1997年から2008年に交通事故に遭遇したツシマヤマネコ42個体(オス21個体、メス21個体)について、歯の萌出・交換状態と体サイズ及びセメント質年輪を用いて年齢査定を行い、交通事故と年齢の関係について分析した。また、栄養状態についても検討を試みた。交通事故遭遇個体の年齢は0歳から9歳であった。全体の70%以上が0歳で、2〜4歳の個体は確認されず、残り30%近くは5〜9歳の個体であった。交通事故の遭遇時期は、5〜9歳のオスでは2〜6月と9月であったのに対し、0歳のオスでは9月から1月に集中していた。0歳メスは11月に集中していた。0歳個体の事故が秋季から冬季に集中していたことから、春に生まれた仔が分散する時期に、新たな生息環境への習熟や経験が浅く、車への警戒が薄いため、事故に遭遇しやすいこと、また、分散の長距離移動の際に道路を横断する機会が増えることが要因と考えられた。栄養状態に問題のない亜成獣や定住個体が交通事故で死亡することは、個体群維持に負の影響を及ぼすと考えられた。