著者
中村 誠 NAKAMURA Makoto
出版者
名古屋大学国語国文学会
雑誌
名古屋大学国語国文学 (ISSN:04694767)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.43-58, 2020-11-10

資料性に関しては、一部検討の余地は残るものの、近世後期の富士登山を知る好個の資料であること、近代的登山者像が現れていることを示した。文芸性については、叙景の特色、事実を描くことを越えた虚構性の問題等について論じた。また、従来登山記としてのみ読まれてきたとして、紀行全体の構造を通して読むことの必要性を指摘した。そしてそのことによって、登山記とは異なる紀行の相貌が現れることを示した。
著者
中村 努
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p><b>Ⅰ.はじめに</b></p><p> 本発表では,COVID-19の感染拡大に伴って,地域包括ケアシステムにかかわるアクターの行動がどのように変化したのか,今後の感染防止策を踏まえて,地域包括ケアシステムにいかなる対応が求められるのか検証する。従来,地域包括ケアシステムは,地域内外の資源のネットワークに基づいて形成されてきたが,このことは地域によってシステムの形態にバリエーションを生ずることとなった。この地域差がCOVID-19の脆弱性や対策のあり方を決定付ける,いわば要因となって,地域包括ケアシステムにいかなる地域差を新たに生ずるのか考察する。</p><p></p><p><b>Ⅱ.COVID-19感染症対策にみる国別の合理性のバランス</b></p><p> COVID-19の感染拡大の時期において,各国政府が採用した3つの合理性のバランスは図のように整理できる。欧米では,感染者の急拡大を受けて,都市封鎖や厳しい外出規制を敷くようになった国が多くみられる。ただし,スウェーデンは厳しい外出規制を敷かずに,集団免疫の獲得という例外的な措置を採用し続けた。ブラジルも同様に経済活動の維持を基本とした戦略を採用している。一方,中国や韓国,台湾では,ICTによる行動監視という医学的合理性の追求が早期の感染収束に貢献したといわれる。ただ,こうした政策の違いが感染拡大の防止の成否を分けたとは必ずしも言えない。この分類はあくまで感染拡大時の政府の対応を大別したに過ぎず,福祉国家論の枠組みでは差異の要因を説明しきれない。それぞれの政策は,国や地域によって異なる歴史的文脈において,固有の政治,制度,文化,経済の各要素が相互に関連しあうプロセスの帰結とみなせる。今後はウイルスと国内外のアクターとの関係の変化を,長期にわたるプロセスにおいて解釈していく必要がある。</p><p></p><p><b>Ⅲ.地域格差の拡大の可能性</b></p><p> 日本政府が採用した政策は,医学的合理性と経済的合理性を両立させるため,都市封鎖を伴わない比較的緩やかな外出規制にとどまった。しかし,社会的合理性の視点の欠如によって,高齢世帯や障がい者,ひとり親世帯,生活困窮世帯などへの従来の支援が損なわれる可能性がある。彼らはリテラシーの欠如や通信環境の整備にかかる費用負担の大きさから,デジタル格差の被害者にもなりやすい。こうした支援の欠如をカバーする,ソーシャル・キャピタルもまた乏しく,特に人口密度の低い中山間地域において,平常時においても孤立する傾向にあると推察される。他方で,人口密度の高い都市部においても,平常時から長期の自宅待機による虚弱化や孤立が予想され,コミュニティ機能の希薄な地域では必要な支援が行き届かない可能性が高い。以上の地理的条件は,自然災害の発生時に,支援格差としてより先鋭化して現れると考えられる。</p><p></p><p> 医療・介護事業者は非感染患者の外出控えや感染患者への対応を背景に,利益の確保に苦慮している。再び感染症が拡大すれば,閉鎖や倒産による医療・介護崩壊の懸念がある。その空白地域を埋める最後の砦として,子ども食堂や小規模多機能拠点の役割期待がある。しかし,運営者の多くは,COVID-19の感染リスクの懸念と,支援継続の意志との間で揺れ動きながら,十分な支援を実施できていなかった。こうした草の根ともいえる活動団体の運営者とその潜在的利用者もまた,ウィズコロナ政策の被害者といえる。結果として,支援の地域差を伴った地域包括ケアシステムの空間的変容が生じているものと考えられる。</p>
著者
羽原 俊祐 小山田 哲也 我満 俊文 中村 大樹
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.433-439, 2016-03-31 (Released:2016-03-31)
参考文献数
7
被引用文献数
3

NaCl等の凍結防止剤の使用に伴いコンクリートのスケーリング劣化が激しくなっており、この現象をソルトスケーリングという。ここではスケーリング劣化現象を解明するため、ASTM C 672法と整合性がある本研究室で開発した小片試験方法を使用し、ソルトスケーリングに及ぼす冷却最低温度(0~-40℃)及び凍結防止剤の濃度の影響(0.01-10%)を把握した。さらにモルタルの配合の影響を把握するため、砂セメント比(S/C=0-3)及び水セメント比(W/C=0.25-0.7)をかえてソルトスケーリングを評価した。ソルトスケーリングは真水では起こらず、幅広い凍結防止剤の濃度(0.1-10%)で生じる。凍結する最低温度の影響は少なく、-7℃以下の温度で生じる。砂セメント比は著しく小さい場合、水セメント比も0.35以下で抑制効果があるが、それ以上では水セメント比の影響は少なく、砂セメント比が1以下の範囲では抑制されるが、それ以上では影響は少ない。
著者
村上貴彦 清貴幸 中村太戯留 田丸恵理子 上林憲行
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.619-620, 2012-03-06

現在,講義の録画・公開する大学は多いが,受講した学生の復習にはほとんど活用されていないのが現状である.理由としては,ビデオのインデックスが無いため,その講義動画を使いづらいことが挙げられる.そこで本研究では,デジタルペンを用いることで,ノートに"書く"という行為を行った"時刻"を記録し,ノートの記述と講義動画を同期させることで,記述時刻を用いた動画の頭出しができるツールを構築した.評価として,学生に使用してもらい,復習行為の実験を行った.結果,手作業に比べて動画の頭出しに要する時間が削減できた.このことから,提案のツールによって講義動画を復習に活用できる可能性が示唆された.
著者
中村 雄二郎
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1967, no.17, pp.115-139, 1967-03-31 (Released:2009-07-23)
参考文献数
23
著者
金子 正大 南川 哲寛 谷口 英史 山田 恭弘 中村 潤 沖原 宏治 中内 博夫
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.107, no.1, pp.44-47, 2016-01-15 (Released:2017-01-27)
参考文献数
10

精巣鞘膜悪性中皮腫の一例を報告する.93歳,男性.主訴は有痛性の右陰嚢腫大.石綿暴露歴なし.超音波検査およびMRI検査にて右陰嚢水腫の診断.陰嚢水穿刺細胞診にて,中皮細胞を認めるも異型性に乏しく明らかな悪性所見を認めず,classIIIaであった.右陰嚢水腫根治術を施行したところ,切除標本の組織診断にて上皮型の精巣鞘膜悪性中皮腫を認め,追加治療としてdartos筋膜を全周性に付けて右高位精巣摘除術を施行した.術後6カ月時点で再発を認めない.精巣鞘膜悪性中皮腫は稀な疾患で,術前の正診率は低い.急速増大する血性の陰嚢水腫や精巣固有鞘膜から生じた腫瘤を認めた際は悪性中皮腫の可能性を考慮すべきである.予後不良の疾患であり,二期的手術となっても高位精巣摘除術を行う必要がある.
著者
布施 孝久 永井 肇 大原 茂幹 福島 庸行 福岡 秀和 高木 卓爾 伴野 辰雄 中村 隆昭
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.29, no.10, pp.933-937, 1989 (Released:2006-09-05)
参考文献数
22
被引用文献数
9 9

A 39-year-old male experienced unilateral right hearing loss and tinnitus for 7 years and was hospitalized after he suddenly developed severe headache, vertigo, and right facial paralysis. Computed tomography (CT) showed a round, high-density area in the right cerebellopontine angle. Magnetic resonance (MR) imaging demonstrated a crescent-shaped region of high signal intensity, representing hemorrhage, in the superior aspect of the tumor, surrounded by edema. The right internal auditory canal was enlarged. Four-vessel angiography disclosed neither an aneurysm nor an arteriovenous malformation. A right suboccipital craniectomy revealed an encapsulated mass 3 cm in diameter in the right cerebellopontine angle. The tumor was totally removed. Histological examination revealed a typical neurinoma composed of Antoni type A and B cells. After undergoing anastomosis of the right hypoglossal and facial nerves, the patient was discharged in good condition. In this case MR imaging demonstrated intratumoral hemorrhage (which is rare in cases of acoustic neurinoma) and the surrounding tissue more clearly than did CT scanning.
著者
中村 高康 吉川 徹 三輪 哲 渡邊 勉 数土 直紀 小林 大祐 白波瀬 佐和子 有田 伸 平沢 和司 荒牧 草平 中澤 渉 吉田 崇 古田 和久 藤原 翔 多喜 弘文 日下田 岳史 須藤 康介 小川 和孝 野田 鈴子 元濱 奈穂子 胡中 孟徳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、社会階層の調査研究の視点と学校調査の研究の視点を融合し、従来の社会階層調査では検討できなかった教育・学校変数をふんだんに取り込んだ「教育・社会階層・社会移動全国調査(ESSM2013)を実施した。60.3%という高い回収率が得られたことにより良質の教育・社会階層データを得ることができた。これにより、これまで学校調査で部分的にしか確認されなかった教育体験の社会階層に対する効果や、社会階層が教育体験に及ぼす影響について、全国レベルのデータで検証を行なうことができた。
著者
山本 尚史 中村 学 中崎 秀徳 吉田 昂広 杉ノ原 春花 美崎 定也 加藤 敦夫
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.39, 2010

【目的】 当法人は2008年より高校アメリカンフットボール(アメフト)部のメディカルサポートを行っている。高校のアメフト選手は技術、知識、身体機能の未熟さから傷害発生の危険性は高い。今回、高校アメフト選手の身体特性と傷害発生との関連を明らかにすることを目的に、メディカルチェックとアンケートを実施した。【方法】 2009年度秋季公式戦前のA高校2・3年生アメフト部員(平均年齢±標準偏差:16.9±0.7歳、身長172.3±6.3cm、体重78.7±16.2kg)40名を対象に調査した。事前に顧問・監督・選手に本調査の趣旨を十分に説明し同意を得た。メディカルチェックは柔軟性「指床間距離(FFD)、踵殿間距離(HBD)、下肢伸展挙上(SLR)、股関節内旋(HIP IR)、全身関節弛緩性(GJL)」、瞬発力「プロアジリティテスト(PAT)、立ち幅跳び(SBJ)」を実施した。SLRとHIP IRは4段階で簡易的に測定した。アンケートは受傷部位(上肢、下肢、頸部・体幹)について自己記入させた。統計解析は柔軟性と瞬発力の計7項目を変数としてクラスター分析を行い、3群(A群、B群、C群)に分類した後、3群間において7項目で一元配置分散分析またはKruskal-Wallis検定(有意水準5%未満)を行った。さらに3群間の身体部位別受傷人数をまとめた。【結果】 分類された3群はA群11名、B群10名、C群18名となった。FFDはB群が有意に長く、HBDはC群が有意に長かった。SLRはB群がA群およびC群と比較して有意に大きく、HIP IRはC群がA群およびB群と比較して有意に小さかった。GJLは各群間に有意差を認めた。PATはB群がC群より有意に速く、SBJはC群が有意に短かった。身体部位別の受傷者数は上肢:A群5名、B群4名、C群6名、下肢:A群6名、B群3名、C群6名、頸部・体幹:A群1名、B群2名、C群5名であった。【考察】 FFD、SLRが乏しく瞬発力が良好な群(A群)、柔軟性、瞬発力ともに良好な群(B群)、柔軟性、瞬発力ともに乏しい群(C群)に分類された。A群はハムストリングス、背筋群の柔軟性の乏しさが傷害発生と関連していると考えられる。C群では頸部・体幹の傷害発生が多く、柔軟性と瞬発力との関連が強いことが予想される。B群では他群と比較し傷害発生は少ないが、コリジョンスポーツの特性を軽視できない結果となった。しかしA群、C群のような特徴的な身体特性が傷害発生と関連することが明らかとなり、今後の理学療法介入の手がかりになると考えられる。【まとめ】 身体特性をグループ化して理学療法介入を効率よく行うことは傷害予防に繋がると考える。今回の調査の限界は短期間であること、対象者数が少ないことが挙げられ、今後も引き続き調査が必要である。
著者
中村 ちよ
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.p45-69, 1978-03

Andersen wird wegen seiner phantasievollen Darstellung von Mensch und Natur nicht nur von den Kindern aller Lander geliebt und geschatzt, sondern auch von den Erwachsenen durch sein tiefes Miterleben menschlicher Gefuhle hoch bewertet. Andersen nahm den Stoff fur seine Werke von verschiedenen Seiten. Die vorliegende Arbeit versucht die Behandlungsweise des Stoffes in einzelnen Werken entstehungsgeschichtlich nachzuprufen und damit das Wesen seiner Dichtkunst konkret klarzumachen und zu wurdigen. Hauptsachlich werden zwei wichtige Werke behandelt, eins aus seiner sehr fruhen, eins aus seiner spateren Schaffensperiode. Eine weitere Erforschung auch anderer Werke, soweit sie dokumentarisch belegbar sind, durfte sich sehr aufschluβreich erweisen. Diese Methode gegenseitiger Erhellung von Stoff und Form sollte sich auch auf die Werke Perraults erfolgreich anwenden lassen. So tritt zum Beispiel das Charakteristische dieses Marchendichters durch die Gegenuberstellung seiner Werke mit dem ≪Pentamerone≫ Basiles deutlich hervor. Die Charakterzuge und Eigenarten der Marchenwelt zeigen stets uber ihren Schopfer hinaus das geistige Klima des Volkes auf-die Marchendichter offenbaren meiner Meinung nach durch Stimmung und Gefuhle die Eigenart ihrer Nation-obwohl ich in dieser Arbeit nur kurz darauf eingegangen bin, indem ich auf das Gemut bei Andersen und den Witz und die Anmut bei Perrault hingewiesen habe. ≪Die Geschichte von einer Mutter≫ gehort zu den reprasentativen Werken aus Andersens Reifezeit. Der mutterliche Schmerz uber den Verlust des Kindes wird hier lyrisch dargestellt. In dieser Zeitperiode wird Andersen sich seiner eigenen schopferischen Kraft deutlicher bewuβt, wahrend er in seiner fruheren Zeit mehr oder minder dabei bleibt, fremde Erzahlungen oder Volksgeschichten nachzudichten. Zwar hat sich Andersen beim Konzipieren und Formen dieses Werkes stark an den ≪Himmlischen Garten≫ Herders angelehnt, sodaβ man sagen kann, daβ das Gelingen dieses beruhmten Werkes ohne Begegnung mit dieser Legendeundenkbar gewesen ware. Doch scheint mir ≪Die Geschichte von einer Mutter≫ typisch fur Andersen selbst zu sein, auch wenn er in stofflicher Hinsicht sehr stark beeinfluβt wurde. Dieses Werk zeigt, daβ er ein Dichter mit Herz ist. Zu dem anderen Werk, ≪Des Kaisers neue Kleider≫ ist zu erwahnen, daβ es, wie der Dichter selbst zugibt, eine spanische Herkunft hat. Es lohnt sich jedoch zu versuchen festzustellen, wie Andersen sich durch den Stoff durchgekampft und seine eigene dichterische Welt geschaffen hat. Auch der Literarhistoriker Georg Brandes hat in seinem Essay ≪Hans Christian Andersen≫ (1869) bereits deutlich auf diesen Zusammenhang hingewiesen. Und zwar ist die Quelle ≪El Conde Lucanor≫ von Don Juan Manuel, einem Dichtersoldaten am spanischen Hof im 14. Jahrhundert. Dieses Werk erschien zuerst 1575 und dann wieder 1642. Danach geriet es etwa 200 Jahre in Vergessenheit. Wie der Dichter zu diesem Stoff gekommen ist, ist mir jedoch erst durch die neuesten Eichendorff-Forschungen bekannt geworden (Eichendorff-Kommentar, 1971).
著者
建元 喜寿 中村 徹
出版者
日本野外教育学会
雑誌
野外教育研究 (ISSN:13439634)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.13-19, 1998 (Released:2010-10-21)
参考文献数
23
被引用文献数
5

In some skiing areas, the use of ammonium sulfate especially for preparing the snow for ski racing is popular. Although many people are afraid of its effect on natural environment, until now few have beenresearched about this problem because only the people who are concerned with skiing know the fact.We, therefore, studied the actual situation of using ammonium sulfate in skiing areas. The main foundingswere as follows.1. The reason for using chemicals in skiing areas are mainly1.1 to prevent the melting of snow or to prepare the snow for racing, 1.2 to melt the ice on the road, 1.3 to make artificial snow, 1.4 to accelerate the growth of plants during the summer.2. For the same purpose, the use of ammonium sulfates become common after the 1970's instead of salt.The reason were salt damaged the vegetation on skiing areas and ammonium sulfates hardens the snow at a verylow cost.3. The amount of ammonium sulfate used in skiing areas is more than the amount of fertilizer nitrogen used insome agricultural land where water pollution has been observed.4. Ammonium sulfate which is used especially for preparing the snow for racing, affects the vegetation inskiing areas.The result suggest that the amount of ammonium sulfate used in skiing areas should be reduced and researchshould be continued to find an alternative way which is more safe to the environment.
著者
鈴木 勝昭 武井 教使 土屋 賢治 宮地 泰士 中村 和彦 岩田 泰秀 竹林 淳和 吉原 雄二郎 須田 史朗 尾内 康臣 辻井 正次
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、自閉症の病態において脳内コリン系の果たす役割を明らかにすることにある。自閉症者脳内のアセチルコリンエステラーゼ活性を陽電子断層法(PET)により計測したところ、顔認知に重要な紡錘状回において有意に低下していた。さらに、この低下は社会性の障害の重症度と逆相関していた。すなわち、紡錘状回におけるコリン系の障害が強いほど、社会性の障害が強いという相関関係が示唆された。この結果は、自閉症のコリン系の障害は発達の早期に既に起こっており、顔認知の障害がもたらされ、もって社会性の障害の基盤となっていることを示唆している。そこで、認知の障害を注視点分布によって検出し、早期診断に役立てるために、乳幼児でもストレスなく注視点を測定可能な機器の開発を産学連携で行い、現在も継続中である。