著者
篠原 明子 有賀 悦子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.331-334, 2008 (Released:2008-10-24)
参考文献数
11

【目的】今回, 門脈高度狭窄症例において経口投与されたオピオイドにより予測を超えた傾眠を呈し, 投与経路変更にて改善した1例を経験したので報告する. 【症例】下部胆管がんの術後局所再発およびリンパ節転移により門脈高度狭窄をきたした60歳代女性に, 外科で経口オキシコドン徐放錠剤10mg/日が投与され, 傾眠が出現したため当科に診察依頼があった. 生体利用率は低いが分割投与が可能な散剤を用いて, 経口モルヒネ徐放剤10mg/日に切り替え, さらに投与量を5mg/日に減量したが, 傾眠は持続した. これをフェンタニル貼付剤2.5mg半面貼付に変更したところ, 症状が改善した. 【結論】門脈血流低下症例では, 初回通過効果を受けないために経口オピオイド製剤の血中濃度が上昇する可能性があり, 投与時に十分な観察が必要である. また, 経口から経皮へのオピオイド投与経路変更が血中濃度上昇に伴う副作用の改善に有用である可能性が示唆された. Palliat Care Res 2008; 3(2): 331-334
著者
山本 普康 馬場 勘次 柿本 純忠 石原 明 吾郷 康人 新留 照英 稲葉 光延
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.388-394, 1993-03-01
被引用文献数
1

A demand of quality improvement for flatness and edge-drop has been recently increasing in cold rolling of steel strip. The accurate control systems of strip shape and edge-drop have been developed for the new tandem cold rolling mill in Yawata Works, which has 5 stands of 6 Hi-UC・WR shift mill. The control system of strip shape consists of the initial set-up for roll benders, intermediate roll shifts of all stands, a feedback control for roll benders and roll levelling of No.5 stand by using signals of the shape meter which is installed at the exit of No.5 stand. The control system of edge-drop consists of the initial set-up for work roll shifts of No.1∿4 stands and the feedforward control for work roll shifts of No.1∿4 stands by using signals of the crown meter which is installed at the entry of No.1 stand. Application of these control systems to the new tandem cold mill shows the good controllability of flatness and edge-drop in cold rolling of steel strip. The strip flatness is within ±0.7% of inclination in an overall length of strip, and the accuracy of edge-drop is 1.2μm in average and within ±3μm in an overall length of strip.
著者
藤原 奨 酒井 大輔 岩原 明弘 戸井 武司
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
環境工学総合シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2003, no.13, pp.71-72, 2003-06-24

These days, household affairs such as night time vacuum cleaning and machine-washing have become commonplace because of dense residential areas and diversified living styles, resulting in the increasing necessity for low-noise electrical household appliances. Specifically, noise reduction for a compact-size electrical vacuum cleaner is difficult because it incorporates a high-speed motor in it. Catalog specifications itself cannot provide purchasers with real sensation of noise. Accordingly, they result in confirming the actual noise when they use it at home. Human also discriminates noises in terms of sound quality. Our experiment confirmed that the improvement in sound quality of noises radiated from the vacuum cleaner considerably contributes to the psychological noise reduction. Based on the results, we have installed a specially designed acoustic filter, a Helmholz resonator, into a vacuum cleaner, which is capable of absorbing harmonic high-level noise components involved in the motor rotation, thus alleviating users' sense of discomfort against the noises from the vacuum cleaner.
著者
松浦 正孝 山室 信一 浜 由樹子 土屋 光芳 中島 岳志 高橋 正樹 宮城 大蔵 WOLFF David 大庭 三枝 吉澤 誠一郎 姜 東局 大賀 哲 酒井 哲哉 後藤 乾一 都丸 潤子 関根 政美 矢口 祐人 高原 明生 遠藤 乾 松本 佐保
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、アジア各地における多様なアジア主義のビジョンと構造を解明し相互比較すると共に、アジア主義ネットワークの生成過程を解明した。方法としては、国内外から選ばれた各地域の専門研究者と各事例を議論することで、アジア主義に共通の構造と地域それぞれに固有の特徴とを明らかにした。そうすることで、各地域におけるアジア主義を相対化して民族中心的なバイアスから解放し、アジアにおける共同体の可能性と条件、各民族・国家の共生の可能性を探ろうとした。
著者
荏原 明則
巻号頁・発行日
1979

筑波大学法学博士学位論文・昭和55年3月25日授与(甲第51号)
著者
木滑 孝一 千原 明 栗田 雄三 原 義雄 広野 達彦 汐崎 公太 鈴木 正武 角田 弘
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.133-134, 1974-06-25

17才男子.4ケ月前より咳噺喀疾,血疾,発熱,胸痛あり来院.R324万,Hb9.6g/dl.Ht23%.血沈1時間6mm,胸部X線では右上肺野に境界鮮明,均一な円形陰影を認め,気管支造影で腫瘍は右上幹内腔へ突出し,右B_1が閉塞中断していた.内視鏡では右上幹はBlutcoagulaに破れた腫瘍により完全に閉塞されており,その下に黄白色の腫瘍実質も認められた.生検を行ったが悪性所見は否定されたが組織型は不明であった.肺良性腫瘍と診断し49年1月7日右上葉切除を行った.腫瘍は8×6×7cm,薄い被膜に破れ,割面は黄白色,比較的軟い.組織学的に平滑筋腫と診断された.リンパ節転移(一)本症例は文献上19例目にあたると思われる.
著者
五十嵐 暁郎 高原 明生 太田 宏 我部 政明 古関 彰一 佐々木 寛 余 照彦 郭 洋春
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本年度は、昨年度までの研究を継続するとともに、最終年度にあたり研究の集約と研究書および研究雑誌への論文掲載、また研究集会などにおける報告を主目的とした。各メンバーが執筆した論文については下記のリストを参照されたい。共同研究の成果は立教大学の平和・コミュニティ研究機構が出版している叢書、計3巻での執筆である。各巻の主題は、「コミュニティと平和」「移動するアジア」「ローカル・コミュニティにおける平和政策」であり、2007年度前半の刊行にむけて順調に進捗している。また、シュラーズと五十嵐は、環境問題と女性の政治参加について国会や全国の自治体の女性議員にインタビューを重ねてきた。その成果は日英両語で刊行する予定である。これらの研究にも表れているように、本研究ではグローバリゼーションの影響下における包括的安全保障の諸問題、その理論と実践を研究対象とするとともに、実践の主体として「市民」を想定しているが特徴である。すなわち、ローカルからリージョナル、グローバルの各レベルのコミュニティにおける包括的安全保障の諸問題に取り組むのは、コスモポリタンな価値観を共有し、それらを実現しようとする人々であり、NGOや自治体であるという観点からこの研究を行なってきた。市民の立場からする包括的安全保障の理論構築と実践の分析が、本研究に一貫した視点であった。
著者
菱田 雅晴 毛里 和子 天児 慧 加藤 弘之 唐 亮 高原 明生 小嶋 華津子 朱 建榮 趙 宏偉 諏訪 一幸 阿古 智子 南 裕子 中岡 まり 加茂 具樹 中居 良文 呉 茂松 白 智立 鄭 永年 景 躍進 趙 秀梅
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

1978年末以来の中国の改革が"私利"を核とした社会システム全体の転型であることに呼応して、中国共産党自身にも"私化"傾向が著しく、組織としての私人性に加えての"私利性"は"領導核心作用"なるレトリックの正統性に深刻な影を落としている。最終的には、この党組織は、内外の環境変化から危機的様相を強め、存続そのものが危殆に瀕しているかの如く見えるものの、これら変化を所与の好機として、この世界最大の政党にして最大規模の利害集団はその存在基盤を再鋳造し、新たな存在根拠を強固なものとしつつあるものとの暫定的結論を得た。
著者
大羽 和子 山本 淳子 舟橋 由美 小原 明子 石井 現相 梅村 芳樹
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.102-108, 1999-05-20
被引用文献数
3

1)キタアカリ(VC高含有品種)および男爵薯の生育に伴って,塊茎の重量,デンプン価,ビタミンC(VC)量が増大し,7月下旬に最大になり以後減少した。2)ジャガイモ(7品種)塊茎を冷却(4℃)貯蔵するとVC量も(GLDHase活性も1ヶ月後に顕著に減少し,1〜2ヶ月の間は変が少なく,2〜3ヶ月後に再び減少した。3ヶ月後のVC量が著しく減少する時期および貯蔵2ヶ月以降のVC含量の低い時期に高くなった。3)収穫直後に塊茎を4℃に移すとその2〜3日後にVC量およびGLDHase活性が増大し,以後減少した。4)ジャガイモ塊茎を15℃に貯蔵した方が,4℃に貯蔵した場合よりもVC量の減少が小さく,GLDHase活性は低く保たれた。
著者
荘厳 舜哉 山本 登志哉 亀島 信也 河合 優年 竹内 伸宜 坂元 章 藤永 保 上原 明子
出版者
大阪学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

全部で6つの大きな課題が,4つの研究集団の手によっておこなわれた。最初の3つは研究代表者を中心としたグループの,条件統制観察研究,乳児保育所の自然観察研究,それに河北と上海における感情意識構造の質問紙研究である。それぞれの結果は報告書にまとめられているが,全体を通じて,日本の母親や保育者が受け身姿勢であるのに対して,中国の母親や保育者の,指導をすることに対する強い姿勢が描き出された。坂元のグループは,最近日本でも話題になっている青少年の暴力犯罪に関する調査研究をおこなった。結果は多岐にわたるが,日中両国共,青少年犯罪の原因は家族内コミュニケーション不足といった後天的要因が作り出しているという見解において共通であった。日本ではメディアによる悪影響が問題にされるが,実際にはそれは青少年犯罪の本質ではないということも明らかにされた。山本のグループは,子どもが小遣いをどのように使うかということに視点を当て,日本民族,吉林省延辺に居住する朝鮮族,同じく延辺に居住する漢民族,上海市の漢民族とい4集団の比較研究をおこなった。その結果,民族間というよりも,居住地域において小遣いの使い方に違いが認められた。また,小遣いの使途に関する親子間の認識のずれは,これも当然のことながら,年代が上昇するにつれて拡大する。しかしながら,小遣いで購入する物品の価値判断については文化・地域において違いが認められなかった。河合のグループは,内モンゴル自治区の満州族を対象として,据え付けカメラを固定して日常を撮影するという手法,及び日記の分析を通じて,民族に特異的な養育観の研究をおこなった。幼稚園教育自体においては日中間に大きな違いはないが,集団の中での役割や行動規範の獲得において,中国側に強い強制力が働いていることが明らかになった。
著者
榎本 啓 杉原 明 塩川 茂樹 笹瀬 巌
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11

複数の端末が1つの基地局へ単一チャネルを利用してバケットを送信するランダムアクセス方式が注目されている。その中で、抑止波検知多重接続(ISMA)方式は、基地局がチャネルが空いている時はIdle Signal、使用中はBusy signalを放送し、送信したいパケットを持つ端末は基地局からの信号を検知し、Idle Signalを受信した時のみパケットを送信するので、衝突の確率が低く効率の良い方式として注目されている。ところで、無線通信においても、将来のマルチメディア化へ対応するため、異なる品質を要求する多種のトラヒックを処理するための優先権機能を付加することが望まれている。しかし、従来のシステムでは全てのパケットを平等に扱っており、優先権を付加するためにはプロトコルの大幅な変更が必要となる。本研究では、基地局が複数のIdle Signalを時間差をつけて送信することにより、優先権を有するトラヒックに対応できるISMAの方式を提案し、スループット・遅延特性を評価する。そして、Idle Signalの時間差を調整することにより、優先度を調節することができることを示す。
著者
垂水 公男 萩原 明人 森本 兼曩
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.269-276, 1993-07-20
被引用文献数
9 4

都市部の企業に勤務する21〜60歳のホワイトカラー(男子)を対象に,労働に起因する精神心理的負担と血圧との関連性についての横断調査を行った.高血圧を招来しうる可能性がある疾患を有するものを除外した570名について検討した.このうち,健康診断時の血圧値の変動が大きい109名を除いた461名を対象に,血圧区分を目的変数(正常血圧群: 386名,高血圧群: 75名)に,従来から指摘されている血圧変動要因である年齢,肥満,飲酒,喫煙,運動習慣,客観的な労働負担要因として労働時間,通勤時間,年次有給休暇取得,家族との同居,また主観的な労働負担要因としてKarasekのjob strainの10変数を説明変数とするロジスティック回帰分析を行った.その結果,job strainは,従来からの血圧の変動要因や客観的な労働負担要因を調整した上で,統計的に有意なodds比を示した.しかし,その関連性は,job strainが低い場合に高血圧の頻度が高くなる方向で関連していた.その理由として,高血圧の家族歴に代表される個人特性が介在していることが推測された.一般的な理解とは逆に,Theorellは,高血圧の家族歴を有するものでは,外界の刺激に対する反応性が低い傾向があることを指摘しており,こうした個人特性が今回の結果にも関連していると考えられた.労働に起因する精神心理的負担は,最近問題になっている作業関連疾患の概念とも関連して重要であり,さらにこうした個人特性や客観的な労働負担を勘案した追跡調査によってその影響が検討される必要がある.
著者
金子 正幸 葭原 明弘 伊藤 加代子 高野 尚子 藤山 友紀 宮崎 秀夫
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.26-33, 2009-01-30
被引用文献数
6

平成18年度より,地域支援事業の一環として口腔機能向上事業が実施されている.本調査の目的は,口腔機能向上事業が高齢者の口腔の健康維持・増進に与える効果を検討し,今後の事業展開のための指針を得ることである.対象者は65歳以上の高齢者で,基本健康診査を受診し,厚生労働省が示す特定高齢者の選定に用いる基本チェックリストの「半年前に比べて固い物が食べにくくなりましたか」「お茶や汁物等でむせることがありますか」「口の渇きが気になりますか」の3項目すべてに該当する55名である.対象者に対して,口腔衛生指導や集団訓練としての機能的口腔ケアからなる口腔機能向上事業を,4回または6回コースとして3ヵ月間実施した.口腔衛生状態,口腔機能およびQOLについて事業前後の評価を行った.その結果,反復唾液嚥下テスト(RSST)積算時間は,1回目:事前7.5±5.6秒,事後5.6±3.1秒,2回目:事前16.2±9.7秒,事後12.4±6.9秒,3回目:事前25.7±14.7秒,事後19.4±10.9秒と改善がみられ,2回目,3回目について,その差は統計学的に有意であった(p<0.01).口腔機能についてはその他のすべての項目について,統計学的に有意な改善がみられた.本調査より,新潟市における口腔機能向上事業は,高齢者の摂食・嚥下機能をはじめとした口腔機能の維持・増進に有効であることが認められた.
著者
安藤 雄一 葭原 明弘 清田 義和 宮崎 秀夫
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.263-274, 2001-07-30
被引用文献数
10

本調査は,地域に在住する成人における歯の喪失の発生率とリスク要因について評価することを目的としている。調査対象は新潟県I町における成人歯科健診受診者で,分析対象はベースライン調査(1997年)を受診した有歯顎者724名のうち,3年後に行われた追跡調査を受診した269(男性128,女性141)名である。ベースライン時の平均年齢は60.6歳(SD = 12.8)であった。歯の喪失の有無に関して,個人単位および歯単位で分析し,ベースライン時における口腔診査と質問紙調査との関連についてロジスティック回帰分析を行った。調査期間中に喪失した歯はベースライン時に口腔内に存在していた歯の4.9%で,喪失が認められた対象者は48%,一人平均年間喪失歯数は0.33本であった。歯の喪失リスクに関するロジスティック回帰分析の結果,個人単位の分析では,現在歯数が10〜27歯・未処置う蝕を保有・口腔の自覚症状がある・過去1年以内に歯科医院を受診・歯間清掃具を使用していない人たちは,歯を喪失しやすいことが示された。一方,歯単位の分析では,智歯,未処置歯,クラウン(単冠)装着歯,ブリッジ支白歯,動揺歯,鈎歯が喪失しやすいことが確認された。
著者
菅原 明喜 草間 薫 西村 敏 西山 實 茂呂 周 工藤 逸郎 高木 章三 CHOW Laurence C.
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.691-698, 1993-11-25
被引用文献数
7

Calcium Phosphate Cement(CPC)は, 生体内環境下で短時間のうちに硬化しHydroxyapatite(HPp)に転化することから, 極めて良好な生体親和性を示すことが知られている.このような特性から, CPCは根管充〓, 象牙質知覚過敏症, 歯の再石灰化, 齲蝕抵抗性の向上等様々な分野に応用が可能であり, 臨床にも応用されるようになってきている.本実験はCPCの骨補〓への応用の可能性について動物実験を行い, 特に組織反応と骨伝導性の観点から検討を行った.成犬の下顎骨に形成したポケットにCPCとApaceram(HPp系顆粒)を〓入した際の病理組織変化は以下に示すとおりである.術後2週間では, CPCとApaceramともに隣接組織の炎症の反応は見られなかった.また, 両者とも密な線維性結合組織でポケット上部が覆われていた.術後2ヵ月では, CPCを〓入したポケットは完全に骨膜と骨組織によって覆われており, HApとなっているCPCの〓入物自体が, 部分的に新生骨によって置き換わっている像が認められた.Apaceramのポケットは, 密な線維性結合組織で覆われているものの, 顆粒が〓入時と同じように固定しているものは見られず, 特にポケットが浅い症例では顆粒が移動してしまい結合組織のみが残存しているものも見られた.術後6ヵ月においては, CPCのポケットは骨膜と厚い皮質骨によって完全に覆われ, CPC自体がほとんど骨によって置き換えられているのが認められた.Apaceramにおいては, ポケットが骨膜と骨組織によって被覆されてはいるが, その状態は完全ではなく顆粒の移動により骨組織の見られない所もあった.2ヵ月の所見と同様に, 深いポケットにおいてもApaceramの顆粒の消失および移動が見られ, 新生した組織によってポケット内に十分に固定されているようには見えなかった.以上のことより, CPCは臨床的に種々のタイプの骨補〓に十分に応用し得るものであると判断された.
著者
桑原 明史 須田 武保 飯合 恒夫 畠山 勝義
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.21-26, 2009-01-01
被引用文献数
1 1

新潟県における大腸内視鏡検査関連の偶発症の実態を明らかにするため,アンケート調査を用いた検討を行った.対象は2000∼2004年に新潟大腸肛門病研究会の13幹事施設で行われた大腸内視鏡検査症例である.検査総数は,85,507件(観察のみ40,149件: 処置あり45,358件)であった.偶発症の発生頻度は,全体で198件,0.23%に認められ,処置あり群で8倍高くなっていた(観察のみ0.05%,処置あり群0.39%).偶発症の内訳は出血80.3%と穿孔13.6%が多く,発生頻度は出血0.19%,穿孔0.03%であった.出血の原因手技はEMRが76.7%で,治療はクリッピングが66%に行われていた.穿孔例の部位は96.3%が左側結腸であり,59.3%が観察行為のみで起きていた.穿孔に対する処置は85.2%で緊急手術が施行されていた.偶発症での死亡例は0.002%であり,いずれも穿孔例であった.<br>
著者
山本 啓三 宮島 佐介 山本 洋 大月 俊也 藤原 明広
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.86-91, 2007-03-15

我々はすでに高額所得のランキングがベキ乗を示すモデルを提案し,実際の高額所得分布をよく表現していることをシミュレーションにより確かめている.本報告ではそのモデルの拡張として,各競争における投資額に異なる競争ルールを導入しシミュレーションすることにより,所得の分布に異なるベキ乗指数を示す分布が得られた.また,マスタ方程式を解くことにより,上記ルールのベキ乗指数を解析的に導出した.A model for power-law problem in high-income distribution is proposed by changing competition rules, such that allocate different amounts of resources to winners and losers in economic competitions from our original model, which induces different power-law exponents. We have obtained the above power-law exponents analytically by solving the master equation.