著者
江藤 裕之 岸 利江子 岩崎 朗子 坂本 ちより 頭川 典子 青木 三恵子 久保田 智恵 杉浦 絹子 八尋 道子
出版者
長野県看護大学
雑誌
長野県看護大学紀要 (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.31-39, 2002-03-31
被引用文献数
1

医療職者間の専門用語や隠語には外国語からの借用語,造語が多いことはよく知られる.特に,ドイツ語起源の隠語が使われることが多く,会話内容の秘密保持という点に一役買っている.しかし,頻繁に使われる隠語であっても,中には借用した語の原形をとどめていないものも多く,また,その起源がドイツ語であるとの認識がなされていない語も多く存在する.本稿では,日本における医療職者間で使われるドイツ語隠語研究の第一段階として,いくつかの隠語を取り上げ,それがどのような起源を持ち,またいかなる形で今日の日本の病院内で使われているのかを概観し,医療職者間ドイツ語隠語の特徴を造語法という点からまとめてみた.情報開示が問題になる今日の医療・看護の現場で,第三者には理解不能な語がどのような形で扱われ,また今後どのように扱われるべきなのか.このような問題意識を踏まえ,今後の研究の出発点としたい.
著者
坂本(平敷) 尚子
出版者
日本演劇学会
雑誌
演劇学論集 日本演劇学会紀要 (ISSN:13482815)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.5-23, 2008 (Released:2018-01-12)

The house of man (Jinrui-kan, 1976) is a play written by an Okinawan author, CHINEN Seishin (1941-). The house of man is founded on historical facts of modern Okinawa; Osaka Exposition case (1903), a prohibition of using native Okinawan language (1879-), and the experience of ground war (1944-1945), etc. We find many tales and historical episodes in this play, there are even tragic. Additionally, the play is written in three kinds of languages; standard Japanese, Okinawan-Japanese called Uchina-Yamato-guchi that is spoken in modern Okinawa, and native Okinawan (Ryukyuan). It is sufficiently sensitive to Okinawa's dilemma.This paper illustrates characteristics of the play, and points out its critical opinions on discrimination and resistless people of Okinawa. Although the play could be interpreted as a tragedy, it may contain a good deal of humor, and appeal to the readers (or audience) all the more on account of it. The House of Man has been partly revised two times. The first revised edition (1978) gave a vivid representation of Okinawa of the day. And the second (2003) describes its recognition of separation of politics and the people of Okinawa. Anyway, CHINEN laughs away Okinawa's fears, and raises a question about passive obedience of Okinawa.
著者
鈴木 秀樹 坂本 拓 塩野 真弓 長坂 和茂 佐藤 りん 西川 真樹子 八木澤 ちひろ 古森 千尋 天野 絵里子
出版者
京都大学図書館機構APC ワーキンググループ
巻号頁・発行日
pp.1-50, 2016-02

本学では、多額の経費を支払い多くの電子ジャーナルを読むことができる環境を整えているが、購読費として支払う経費に加え、近年は、論文をオープンアクセスにするための費用(「オープンアクセス費」)を著者が出版社に支払い、誰もが無料で読むことができる電子ジャーナルもしくは論文として公開するケースが増加している。このことにより、従来からの購読費は上昇を続け、さらに、オープンアクセス費の増加により、総額として大学が研究活動のために係る費用が急増しているという課題が顕在化している。(詳細は、資料1「オ ープンアクセス費の定義」を参照) 本ワーキンググループでは、昨年度に引き続き、以下のとおり本学教員によるオープンアクセス費の支出やオープンアクセス費を巡る状況を調査した。
著者
伊藤 浩明 森下 雅史 山田 緑 大島 美穂子 坂本 龍雄 田中 昭
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.65-68, 2005-03-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

ヤマイモは, 仮性アレルゲンを含む食品として知られているが, 一般臨床でIgE抗体測定ができなかったために, ヤマイモアレルギーに関する報告は少ない. 本稿では, ヤマイモ摂取により即時型アレルギー反応を認め, ユニキャップによりIgE抗体が陽性であった乳幼児7例を報告した. ヤマイモアレルギーの症例は, 顔全体から全身に及ぶ紅斑・蕁麻疹又は浮腫を認め, 2例で呼吸器症状 (咳嗽・喘鳴), 1例で消化器症状 (嘔吐・下痢) を認めた. 患児は, ヤマイモを含むかりんとうや焼いたヤマイモなど, 加熱された加工品にも反応した. 一方, IgE抗体陰性者7例で認められた誘発症状は口周囲の紅斑に限定されており, 仮性アレルゲンによるものと思われた. 以上より, ヤマイモ特異IgE抗体測定は, 真のアレルギーと仮性アレルゲンによる反応との鑑別に有用であると考えられた.
著者
張 小鋼 玉田 敦子 坂本 貴志 伊東 貴之 川島 慶子 長尾 伸一 橋本 周子 逸見 竜生 隠岐 さや香 小関 武史 染谷 智幸
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本年度は18世紀の東アジアの様相を多面的な視点から検討し、その相互比較を行うことを中心とした。そのため韓国18世紀学会に所属する研究者および中国人民大学清史研究所と密接に連絡しつつ国内での研究を進めた。2019年度は二つの学会が下記の通り開催された。前期は国際18世紀学会がイギリスのエジンバラ大学で開催された。そこで、日・韓・中共同セッションの企画・実施によって、18世紀の東アジア諸国の文化、政治、科学、風俗の展開を具体的に検討し、相互比較するとともに、三か国の研究者間の交流を深めつつ、国際的な観点から研究を進めた。その結果。朝鮮王朝、清朝、江戸時代の文化、風俗、政治、学問、文芸の多様な様態と、それらの諸国の18世紀における「社交性」の展開が、それぞれの歴史的文脈の中で明らかとなった。これに参加した研究者によって三国を結ぶ研究ネットワークを構築する方向性を確立した。後期は日本18世紀学会が中部大学で開催された。国際18世紀学会での討議を踏まえて、「ユーラシア近世史」の構想を発展させるべく、西洋、イスラム圏などの思想史的研究を行って、一定の見通しをたてるとともに、今後の研究ネットワークを構築していく作業を行った。秋以後は国際学会で得た成果をもとに、代表者、分担者がそれぞれの担当分野での研究を進め、次年度の国際会議(中国あるいは日本)に向けた準備を行った。またこの過程で、主に中国での18世紀研究とのネットワーク構築が進み、北京と上海という二つの拠点を中心に、韓国、日本との交流を進めることとなった。
著者
楢原 義之 金沢 秀典 福田 健 張本 滉智 松下 洋子 城所 秀子 片倉 玲樹 厚川 正則 中塚 雄久 坂本 長逸
出版者
日本門脈圧亢進症学会
雑誌
日本門脈圧亢進症学会雑誌 (ISSN:13448447)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.227-233, 2009-11-30 (Released:2012-12-28)
参考文献数
26

2004年から2009年までに当科に入院したのべ929例の肝硬変患者のうち,入院時あるいは入院中にクレアチニンが1.5 mg/dl以上を呈した腎障害合併肝硬変患者142例を対象とし,International Ascites Clubの診断基準に基づく1型肝腎症候群症例の実態について検討した.対象中急性腎障害を106例に認め,27例が1型肝腎症候群であった.1型肝腎症候群の平均Child-Pugh scoreは12.4点,総ビリルビン平均値は15.1 mg/dl,クレアチニン平均値は3.22 mg/dlであった.誘因は感染症16例,腹水穿刺5例が多く,その他6例であった.治療としてアルブミン投与21例,terlipressin投与11例,ドパミン投与11例,ノルアドレナリン投与1例,血液濾過透析施行1例などが行われた.Terlipressin以外の通常治療を行った16例中15例は死亡し,平均生存期間は12日であった.1型肝腎症候群は急性腎障害合併肝硬変例の25%にみられ,重度な肝不全を基盤としており,通常治療では予後は極めて不良であった.
著者
坂本 峰至 赤木 洋勝
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.185-190, 2005-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
25
被引用文献数
2 2

水銀はその物理的, 化学的性質に由来する優れた有用な特性を有することから, 古くから人類によって繁用されてきた金属である。しかしながら, 一方で水銀は生物に対して強い毒性を持つために, 水銀の各種化合物による中毒も古くから知られている。水銀およびその化合物は, 主に金属水銀 (Hg0) , 無機水銀 (Hg2+) , メチル水銀 (CH3-Hg+) の形態で存在し, その化学形態により生体内動態や毒性が異なる。特に, メチル水銀は自然界で無機水銀から生成され, 環境中に広く分布する神経毒物である。水俣病の原因物質としてよく知られるように, メチル水銀は生物濃縮性が高く, 主として魚介類の摂取を介して人体へ取り込まれ, 中枢神経, 特に胎児への影響が強く現れる。本論文は, 水銀およびその化合物, 特に, メチル水銀の生体内動態と毒性および最近のメチル水銀研究についての知見を概説する。
著者
川添 航 坂本 優紀 喜馬 佳也乃 佐藤 壮太 渡辺 隼矢 松井 圭介
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.47-62, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
20

本研究は茨城県大洗町におけるコンテンツ・ツーリズムの展開に注目し,ツーリズム形態の転換に伴う観光空間への影響,及びその変容の解明を目的とした。大洗町は観光施設を数多く有する県内でも有数の海浜観光地であり,2012年以降はアニメ「ガールズ&パンツァー」の舞台として新たな観光現象が生じている地域である。大洗町においては,当初は店舗・組織におけるアニメファンへの対応はまちまちであったが,多くの訪問客が訪れるにつれて,商工会の主導により積極的にコンテンツを地域の資源として取り入れ,多くのアニメファンを来訪者として呼び込むことに成功した。宿泊業においては,アニメ放映以前までは夏季の家族連れや団体客が宿泊者の中心であったが,放映以降は夏季以外の1人客の割合が大きく増加するなど変化が生じた。コンテンツ・ツーリズムの導入によるホスト・ゲスト間の関係性の変化は新たな観光者を呼ぶ契機となったことが明らかとなった。
著者
川添 航 坂本 優紀 喜馬 佳也乃 佐藤 壮太 松井 圭介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2018年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.000228, 2018 (Released:2018-06-27)

1.はじめに近年,アニメーションや映画,漫画などを資源とした観光現象であるコンテンツ・ツーリズムの隆盛が指摘されている.本研究は,コンテンツ・ツーリズムの成立による来訪者の変容に伴い,観光現象や観光地における施設や関連団体,行政などの各アクターにどのような変化が生じたかという点に着目する.研究対象地域とした茨城県大洗町は県中央部に位置しており,大洗サンビーチ海水浴場やアクアワールド茨城県大洗水族館などを有する県内でも有数の海浜観光地である(第1 図).また2012 年以降はアニメ「ガールズ&パンツァー」の舞台として商店街を中心に町内に多くのファンが訪れるなど,新たな観光現象が生じている地域でもある(石坂ほか 2016).本研究においては,大洗におけるコンテンツ・ツーリズムの成立が各アクターにどのように影響したかについて整理し,観光地域がどのように変化してきたか考察することを目的とする.2.対象地域調査対象地域である大洗町は,江戸時代より多くの人々が潮湯治に訪れる観光地であった.その観光地としての機能は明治期以降も存続しており,戦前期においてすでに海水浴場が開設されるなど, 豊かな自然環境を活かした海浜観光地として栄えてきた.戦後・高度経済成長期以降も当地域における観光業は,各観光施設の整備や常磐道,北関東道,鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の開通などを通じ強化されていった.しかし,2011 年に発生した東日本大震災は当地にも大きな被害をもたらし,基幹産業である観光業や漁業,住民の生活にも深刻な影響を与えた.大洗町における観光収入は震災以前の4 割程度まで落ち込む事になり,商工会などを中心に地域住民による観光業の立て直しが模索されることになった.3.大洗町における観光空間の変容2012 年放映のアニメ「ガールズ&パンツァー」の舞台として地域が取り上げられたことにより,大洗町には多くのファンが観光者として訪れるようになった.当初は各アクターにおける対応はまちまちであったが,多くの訪問客が訪れるにつれて様々な方策がとられている.大洗町商工会は当初からキャラクターパネルの設置や町内でのスタンプラリーの実施など,積極的にコンテンツを地域の資源として取り入れれ,商店街などに多くのファンを来訪者として呼び込むことに成功した.また,海楽フェスタや大洗あんこう祭りなどそれまで町内で行われていたイベントにおいてもコンテンツが取り入れられるようになり,同様に多くの来訪者が訪れるようになった.これらコンテンツを取り入れたことにより,以前は観光地として認識されていなかった商店街や大洗鹿島線大洗駅などにも多くの観光者が訪問するようになった.宿泊業においても,アニメ放映以前までは家族連れや団体客が宿泊者の中心であったが,放映以降は1人客の割合が大きく増加するなどの変化が生じた.
著者
小林 宏行 武田 博明 渡辺 秀裕 太田見 宏 酒寄 享 齋藤 玲 中山 一朗 富沢 麿須美 佐藤 清 平賀 洋明 大道 光秀 武部 和夫 村上 誠一 増田 光男 今村 憲市 中畑 久 斉藤 三代子 遅野井 健 田村 昌士 小西 一樹 小原 一雄 千葉 太郎 青山 洋二 斯波 明子 渡辺 彰 新妻 一直 滝沢 茂夫 中井 祐之 本田 芳宏 勝 正孝 大石 明 中村 守男 金子 光太郎 坂内 通宏 青崎 登 島田 馨 後藤 元 後藤 美江子 佐野 靖之 宮本 康文 荒井 康男 菊池 典雄 酒井 紀 柴 孝也 吉田 正樹 堀 誠治 嶋田 甚五郎 斎藤 篤 中田 紘一郎 中谷 龍王 坪井 永保 成井 浩司 中森 祥隆 稲川 裕子 清水 喜八郎 戸塚 恭一 柴田 雄介 菊池 賢 長谷川 裕美 森 健 磯沼 弘 高橋 まゆみ 江部 司 稲垣 正義 国井 乙彦 宮司 厚子 大谷津 功 斧 康雄 宮下 琢 西谷 肇 徳村 保昌 杉山 肇 山口 守道 青木 ますみ 芳賀 敏昭 宮下 英夫 池田 康夫 木崎 昌弘 内田 博 森 茂久 小林 芳夫 工藤 宏一郎 堀内 正 庄司 俊輔 可部 順三郎 宍戸 春美 永井 英明 佐藤 紘二 倉島 篤行 三宅 修司 川上 健司 林 孝二 松本 文夫 今井 健郎 桜井 磐 吉川 晃司 高橋 孝行 森田 雅之 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 宏 高橋 健一 大久保 隆男 池田 大忠 金子 保 荒川 正昭 和田 光一 瀬賀 弘行 吉川 博子 塚田 弘樹 川島 崇 岩田 文英 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 宇野 勝次 八木 元広 武田 元 泉 三郎 佐藤 篤彦 千田 金吾 須田 隆文 田村 亨治 吉富 淳 八木 健 武内 俊彦 山田 保夫 中村 敦 山本 俊信 山本 和英 花木 英和 山本 俊幸 松浦 徹 山腰 雅弘 鈴木 幹三 下方 薫 一山 智 斎藤 英彦 酒井 秀造 野村 史郎 千田 一嘉 岩原 毅 南 博信 山本 雅史 斉藤 博 矢守 貞昭 柴垣 友久 西脇 敬祐 中西 和夫 成田 亘啓 三笠 桂一 澤木 政好 古西 満 前田 光一 浜田 薫 武内 章治 坂本 正洋 辻本 正之 国松 幹和 久世 文幸 川合 満 三木 文雄 生野 善康 村田 哲人 坂元 一夫 蛭間 正人 大谷 眞一郎 原 泰志 中山 浩二 田中 聡彦 花谷 彰久 矢野 三郎 中川 勝 副島 林造 沖本 二郎 守屋 修 二木 芳人 松島 敏春 木村 丹 小橋 吉博 安達 倫文 田辺 潤 田野 吉彦 原 宏起 山木戸 道郎 長谷川 健司 小倉 剛 朝田 完二 並川 修 西岡 真輔 吾妻 雅彦 前田 美規重 白神 実 仁保 喜之 澤江 義郎 岡田 薫 高木 宏治 下野 信行 三角 博康 江口 克彦 大泉 耕太郎 徳永 尚登 市川 洋一郎 矢野 敬文 原 耕平 河野 茂 古賀 宏延 賀来 満夫 朝野 和典 伊藤 直美 渡辺 講一 松本 慶蔵 隆杉 正和 田口 幹雄 大石 和徳 高橋 淳 渡辺 浩 大森 明美 渡辺 貴和雄 永武 毅 田中 宏史 山内 壮一郎 那須 勝 後藤 陽一郎 山崎 透 永井 寛之 生田 真澄 時松 一成 一宮 朋来 平井 一弘 河野 宏 田代 隆良 志摩 清 岳中 耐夫 斎藤 厚 普久原 造 伊良部 勇栄 稲留 潤 草野 展周 古堅 興子 仲宗根 勇 平良 真幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.333-351, 1995-07-31
被引用文献数
2

新規キノロン系経口合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の内科領域感染症に対する臨床的有用性を全国62施設の共同研究により検討した。対象疾患は呼吸器感染症を中心とし, 投与方法は原則として1回100~300mgを1日1~2回投与することとした。<BR>総投与症例525例のうち509例を臨床効果判定の解析対象とした。全症例に対する有効率は443/509 (87.0%) であり, そのうち呼吸器感染症432/496 (87.1%), 尿路感染症11/13 (84.6%) であった。呼吸器感染症における有効率を疾患別にみると, 咽喉頭炎・咽頭炎19/22 (86.4%), 扁桃炎17/18 (94.4%), 急性気管支炎53/58 (91.4%), 肺炎104/119 (87.4%), マイコプラズマ肺炎17/19 (89.5%), 異型肺炎5/5, 慢性気管支炎117/133 (88.0%), 気管支拡張症48/63 (76.2%), びまん性汎細気管支炎17/19 (89.5%) および慢性呼吸器疾患の二次感染35/40 (87.5%) であった。<BR>呼吸器感染症における細菌学的効果は233例で判定され, その消失率は単独菌感染では154/197 (78.2%), 複数菌感染では22/36 (61.1%) であった。また, 単独菌感染における消失率はグラム陽性菌48/53 (90.6%), グラム陰性菌105/142 (73.9%) であり, グラム陽性菌に対する細菌学的効果の方が優れていた。呼吸器感染症の起炎菌のうちMICが測定された115株におけるGPFXのMIC<SUB>80</SUB>は0.39μg/mlで, 一方対照薬 (97株) としたnornoxacin (NFLX), onoxacin (OFLX), enoxacin (ENX) およびcipronoxacin (CPFX) はそれぞれ6.25, 1.56, 6.25および0.78μg/mlであった。<BR>副作用は519例中26例 (5.0%, 発現件数38件) にみられ, その症状の内訳は, 消化器系18件, 精神神経系13件, 過敏症3件, その他4件であった。<BR>臨床検査値異常は, 490例中49例 (10.0%, 発現件数61件) にみられ, その主たる項目は, 好酸球の増多とトランスアミナーゼの上昇であった。いずれの症状, 変動とも重篤なものはなかった。<BR>臨床効果と副作用, 臨床検査値異常の安全性を総合的に勘案した有用性については, 呼吸器感染症での有用率422/497 (84.9%), 尿路感染症で10/13 (76.9%) であり, 全体では432/510 (84.7%) であった。<BR>以上の成績より, GPFXは呼吸器感染症を中心とする内科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
著者
坂本 昭夫
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2007-03

制度:新 ; 文部省報告番号:乙2078号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2007/3/1 ; 早大学位記番号:新4444
著者
喜馬 佳也乃 佐藤 壮太 渡辺 隼矢 川添 航 坂本 優紀 卯田 卓矢 石坂 愛 羽田 司 松井 圭介
雑誌
筑波大学人文地理学研究 = Tsukuba studies in human geography
巻号頁・発行日
vol.38, pp.45-58, 2018-04

本研究には平成28年度科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究:課題番号16K13297)の一部を利用した.
著者
坂本 穆彦 逸見 正彦 田﨑 和洋 橋本 優子
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.528-531, 2014 (Released:2015-01-30)
参考文献数
19

2011 年 3 月に発生した東日本大震災による東京電力 (株) 福島第一原子力発電所の事故後, 放射性ヨード (I-131) をふくむ種々の放射性物質が環境中に放出された. この中でもチェルノブイリ原発事故によるデータを参考にすると, 放射性ヨードによる小児甲状腺癌の誘発が危惧された. そのため, 政府ならびに県は福島県立医科大学を拠点とする福島県県民健康管理調査事業の柱の一つに甲状腺検査を設定した. すなわち, 原発事故発生時に 18 歳以下であった全県内居住者約 36 万人をその対象としてスクリーニングのための甲状腺超音波検査をスタートさせた. このうち, 精密検査が要請された場合には, 甲状腺穿刺吸引細胞診が行われる. 2014 年 3 月までに 1 巡目の検査が先行調査として行われ, その後は 5 年ごとの本格調査に移行する. 現在は先行調査が進行中であるが, すでに 75 人が細胞診にて悪性ないし悪性の疑いと判定された. このうち手術をうけた 34 名中 33 名に乳頭癌が見出された. これらの乳頭癌が放射線誘発癌か否かは現段階では判断は困難であり, 今後の推移の中で考察される. 本稿では原発事故に対してとりくまれている健康管理調査の中で甲状腺細胞診が果たしている役割について紹介する.
著者
高木 雅之 橋本 康太 坂本 千晶 池内 克馬 十樂 眞帆
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.353-360, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
13

地域在住高齢者6名に,作業の記録と対話を中心とした介護予防教室を実施した.その結果,参加者全員の高齢者向け生きがい感スケールと社会活動に関連する過ごし方満足度尺度の得点が向上した.また握力と30-seconds chair-stand testにおいても向上傾向がみられた.参加者の一人は,畑仕事,吊るし柿づくり,墓参りなど,多様な作業経験について記録・対話した.そして本事例は作業の計画や目標を持つ重要性に気づき,作業遂行が高まったと感じていた.これらのことから,作業についての記録と対話は,作業に対する気づきを促し,作業遂行を高め,生きがいや社会活動満足度,運動機能を向上させる可能性がある.
著者
坂本 卓也
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.59, no.294, pp.131-148, 2020 (Released:2021-01-24)

The author will clarify the engine operation and its specifications of Hakki-Maru of Kaga clan that was the steamship introduced to Japan at the end of the Tokugawa period. Hakki-Maru was propelled by sails and a steam engine on Japanʼs coastline. The engine operation was relatively smooth under the calm weather, but some steam leaks of the boiler occurred mainly at the stormy weather. Though the boiler of Hakki-Maru was designed to generate steam pressures of 60 psi., the steam pressure was frequently less than 1/4 of the maximum working pressure. The repair of the engine required the help of a Shogunate engineer with a lot of operating experience. Hakki-Maru built in the United Kingdom and was equipped with a compound engine. Also it is highly probable that a combination of cylindrical boiler and surface condenser was equipped. These were developed to improve the efficiency of the engine but had been just put into practical use. The frequent breakdowns at Hakki-Maru were due to the installation of the latest equipment that required careful operation and maintenance. The steamship sold to Japan at the end of the Tokugawa period included not only old ones but also new one equipped with some cutting-edge technology. Since the steamship itself was the means of transportation, the latest technology onboard could quickly spread to the distant locations.
著者
坂本 圭 辻野 博之 中野 英之 浦川 昇吾 山中 吾郎
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.175-188, 2018-09-15 (Released:2018-09-05)
参考文献数
15

著者らの海洋大循環モデル「気象研究所共用海洋モデル(MRI.COM)」は,開発が始まってから20 年近くが経過し,気象研究所と気象庁の様々な部門で利用されるようになるとともに,ソースコードの大規模化・複雑化が進んだ。このような状況の下でも,バグの混入や意図しない影響を抑えながらモデルを効率的に開発するため,現代的なソフトウェア開発で用いられるツールと手法を取り入れ,開発管理体制を一新した。まず,ソースコードの開発履歴(バージョン)を管理する「Git(ギット)」を導入した。このツールにより,複数の開発者が複数の課題に同時に取り組む並行開発が可能になった。また,プロジェクト管理システム「Redmine(レッドマイン)」を導入し,開発状況を開発者全員で共有した。このシステムによってデータベースに逐一記録された開発過程が,他の開発者や次世代の開発者にとって財産となることが期待される。これらのツールを用い,さらに開発手順を明確にすることで,開発チーム内の情報共有と相互チェックを日常的に行う開発体制に移行することが可能となったことは,コード品質の向上に大きく寄与している。現在,気象庁では,MRI.COMだけでなく,気象研究所と気象庁で開発しているほぼ全てのモデルをGit(またはSVN)とRedmineで一元的に管理するシステムを構築しており,モデルの開発管理及び共有化が大きく前進している。