1 0 0 0 OA 理事功程

著者
田中不二麿 著
出版者
文部省
巻号頁・発行日
vol.巻1,2 合衆国, 1875
著者
井口 洋夫 直江 俊一 田中 桂一 城田 靖彦 中原 弘雄 三谷 忠興 丸山 有成 高塚 和夫 加藤 重樹 大峰 巌 中村 宏樹 諸熊 至治
出版者
岡崎国立共同研究機構
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

1. 分子計算化学に関する討論会に参加ならびに調査、共同研究計画打ち合せ(諸熊、中村、大峰、加藤、高塚)今回の日程は、9月19ー21日は第23回英国量子理論会議に出席して若手の理論化学研究者と交流を深めた後、週末をはさんで、日本側5人、英国側12人出席の小さな合同シンポジウムで、質の高い情報交換と交流打ち合せを2日間行うというもので、いずれも会場、宿舎ともオックスフォ-ド大の古いカレッジの1つであるJesus Collegeが使われた。日英シンポジウムでは、シミュレ-ション、電子状態、動力学の各分野とも現役のトップクラスと新進気鋭をそろえ、英国側の並々ならぬ意気込みがうかがわれた。また、交流を一層巾広くするため、英国側の講演者には比較的なじみのすくなかった若手が起用され、フレッシュなプレゼンテ-ションと高いレベルの討論が行われた。この分野におけるこの数年間の研究協力の成果をふるまえ、今回のシンポジウムは終始きわめてなごやかな雰囲気で行われた。特に、日英とも新しい世代のコンタクトが広がったことは今後の協力の発展の上に意味が大きいと思われる。2. 物質化学に関する日英討論会に参加、並びに大学・研究所訪問の調査、共同研究計画打ち合せ(丸山、三谷、中原、城田)「特異な物性をもつ有機分子性固体及び金属配位化合物」という主題に関する日英討論会が、1991年3月17ー20日の間英国バ-スにおいて開催された。日本側5名、英国側10名の招待者及びオブザ-バ-が参加し、5つにわけられたそれぞれのセッションで日本人1名、英国人2名の講演があり、活発な質疑応答が行われた。“高分子"のセッションでは光機能性ポリマ-の光電変換素子特性、高分子液晶などが報告され、“LB膜"では、膜構造の新しい評価法や機能性について議論がなされた。“分子性結晶"では導電性金属錯体及びその超伝導特性と電子構造との関連が考察された。午後のポスタ-セッションでは、多数の報告がなされ盛会であった。最終日の“フタロシアニン及び薄膜"では薄膜の構造と機能に関する最近の研究が紹介され、さらに新しいフタロシアニンの合成例も報告された。“混合原子価錯体"では、一次元遷移金属錯体のソリトン、ポ-ラロン状態及びそれに関連した光誘起構造相転移の可能性など最新の話題が紹介された。全体的な印象として、英国の現状はそれ程新奇な展開は認められないが独得な執拗さをもって新しい問題にとり組んでいる姿勢が印象に残った。3. 不安定分子の高分解分光法による研究(田中)1)速度変調法による分子イオンの赤外ダイオ-ドレ-ザ-分光本法は高電圧交流電場を用い放電によりイオンを生成すると同時に荷電子の併進速度に変調を加え選択的にイオン種を検出する方法である。赤外ダイオ-ドレ-ザ-分光法に速度変調を組合せ、H_2O^+,PO^+,CS_2^+イオンの検出を行い充分な経験と成果が得られた。2)金属カルボニル分子の超音速分子噴流中における赤外吸収分光法Ni(CO)_4,Cr(Co)_6,やV(Co)_6などの金属カルボニル化合物は比較的高い蒸気圧を持ち、レ-ザ-光照射による光分解反応との関連により興味が持たれている。これらの金属カル化合物をArガス中に気化させ超音速自由噴流として真空中に噴射し、赤外ダイオ-ドレ-ザ-分光法により主にCO伸縮領域の振動回転遷移を観測した。4. 軟X線分光に関する研究・調査(直江)800〜4000eVのsoft XーRay領域でのビ-ムポ-トの状況、特に調整技術及び測定法について、UVSORの二結晶分光器との比較を含め調査し、さらに半導体試料について測定を行った。上記エネルギ-領域でも特に800〜1500eVの領域は、照射損傷のため分光結晶としてベリルという天然の鉱物を使用する方法が唯一のものとなってきている。第一結晶の水冷や各種薄膜フィルタ-の複合使用によって約1年程度の結晶寿命を実現している。また90%透過の薄膜を10モニタ-として使用し、放射光ビ-ムの変動に対応している点は注目される。試料槽はタ-ボポンプのみの排気により10^<-7>〜10^<-8>torrの真空度とし、測定の迅速化に努めている。しかし、今回の一連の単結晶試料の測定によって試料槽内での表面処理が重要であり、測定の迅速化だけが視点ではないことが判明した。
著者
田中 孝夫 荻田 太 田巻 弘之 浜岡 隆文
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

【目的】本研究は、一流競泳選手を対象とし、泳成績と生理的、力学的指標との関係からパフォーマンスの規定要因を解明し、さらに年間トレーニングにおける各指標の変化と泳成績の変化との関連性や、技術要因の数値化を試み、国際競技力向上に資するための実践的資料を得ることを目的とした。【方法】被検者は、オリンピック、アジア大会、ユニバーシアードなどの国際大会出場選手を含むインカレ3連覇中のチームに属する女子競泳選手であった。本研究では、生理的指標として最大酸素摂取量、最大血中乳酸濃度、OBLAが、力学的指標として抵抗-泳速関係、抵抗係数・指数、最大推進パワー、および推進効率が計測され、各距離種目の泳成績との関係、縦断的変化が検討された。力学的指標の測定は、本学で開発されたMAD(Measurement of Active Drag)システムを用いて行われた。【結果及び考察】一流選手における各距離種目の泳成績と、生理的および力学的指標との関係を検討した結果、体力の代表指標とされてきた最大酸素摂取量とは必ずしも相関はなく、短距離種目ではより大きな機械的パワー発揮と無酸素性エネルギー供給能力、さらにはそれを生み出すための大きな筋量(体格)が、長距離種目では低い乳酸蓄積と、抵抗係数を小さくする泳技術が重要な要因であることが示唆された。また、縦断的に同一選手の測定を行い、そのときの泳記録の変化との関係を検討した結果、記録の向上は最大努力泳時の抵抗の低下のみと有意な相関が得られ、エリート選手における記録の更新は、体力要因の維持向上はもちろんであるが、特に抵抗を軽減させるような泳技術の改善に起因していたことが示唆された。また、一流選手における規定要因については、年間のトレーニングを通じて有意差が出るほど顕著な変化が得られないこと、さらに本被検者における推進効率は73.2±8.3%であり、これまで報告されている値よりも高く、非常に優れた技術を有していることも明らかとなった。
著者
田口 信教 田中 孝夫 荻田 太
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

【目的】本研究は、昨年度の成果をもとに、低圧環境下を用いて一流選手にスプリントトレーニングを施し、エネルギー供給能力、泳パフォーマンスに対する有効性について検討することを目的とした。【方法】被検者は、年齢20±2歳、身長165.6±1.7cm、体重57.7±5.1kgの全日本学生選手権3連覇中の水泳部に所属する選手であり(女子4名、男子2名)、うち3名はリレーにおける日本記録保持者、1名はヨーロッパサーキットグランプリ出場、その他も全日本選手権、全日本学生に出場する選手であった。トレーニングは加減圧調整可能流水プールを用い、1日1回、週5回の頻度で4週間、海抜4000m相当の低圧環境下において行われた。トレーニング内容は、5秒の運動を10秒の休憩を挟み5回繰り返す間欠的運動とし、これを20分の休憩をはさんで2セット行った。強度は、常圧環境下において10秒程度で疲労困憊に至る強度とした。トレーニング効果は、常圧環境下における最大酸素摂取量、最大酸素借、最大推進パワー、50m、100m自由形泳記録の変化によって評価した。【結果および考察】4週間のトレーニング後、最大酸素摂取量に有意な変化は見られなかったが、最大酸素借は27%増加(前:2.85±3.57、後:3.57±1.56l)、さらに最大推進パワーも18%増加(前:90.1±45.2、後:106.4±40.4W)し、いずれの有意であった(P<0.01)。さらに泳記録についても50m(前:27.33±1.64、後:26.78±1.46秒)、100m(前:59.40±3.22、後:58.15±2.94秒)ともに有意に向上した(P<0.01)。以上の結果より、低圧環境下におけるスプリントトレーニングは、エリート選手に対してもエネルギー供給能力および泳成績の向上に有効であることが示唆された。
著者
緒形 康 嘉指 信雄 田中 康二 樋口 大祐 濱田 麻矢
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

具体的内容 3年間の研究成果をまとめた学術論文集の執筆を中心とした活動を行い、緒形康編『一九三〇年代と接触空間-ディアスポラの思想と文学』双文社出版、2008年3月を出版した。意義 一九一四年から四五年における神戸の文化研究を進める中で、仁川、釜山、ソウル(韓国)や青島、上海、広州、台北(中国・台湾地域)等と神戸が有したネットワークが、複数文化の共生の技法を生み出す上で重要であることが明らかになった。本書は、そうした東アジア海港都市のネットワークが大きな社会的・文化的な役割を担った一九三〇年代を取り上げ、総力戦・戦時動員体制・ファシズムといった様々な位置付けがなされてきたこの時代を新しい視点から再考した点に学術的意義がある。重要性 一九三〇年代における亡命やディアスポラは、既存の国家や共同体からの離脱という形だけではなく、共同体内部の再編、あるいは個人の内面における転向や共同幻想の再編という形でも出現した。その先に現れるのは、様々な背景を持つ異文化間の「接触空間」(contact zone)である。本研究の重要性は、異文化の対立と衝突を超えて共生し合い、領有化された新たな接触空間の可能性を、亡命とディアスポラという政治的・文化的背景の中に探ろうとしたことである。
著者
田中 規夫 湯谷 賢太郎
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は(1)ヒメガマとマコモの刈取り後の生長特性の比較と、(2)ダメージを受けたヨシとオギの競合優位性の変化の解明、の2点に大きく分けられる。ヒメガマの地上器官に対する水面上時期別刈取りを2003年5,7,8月に,マコモの7月刈取りを2003年に実施した。刈取りの影響は刈り取った後の葉の再成長特性,地上部・地下部バイオマス,芽の特性,地上部・地下部中のTNC含有率の動態により,両種の戦略の相違を把握した。2003年7月刈取りの影響を同年12月における地下茎量で調査したところ,ヒメガマは刈取らない場合より約30%減少したのに対し,マコモはほとんど減少しなかった。ヒメガマは茎の根元に形成される芽の構成率を拡大に関連する芽に比して大きく減少させたのに対し,逆にマコモは増加した。刈り取られたシュートを急激に再成長させるヒメガマとは対照的に,マコモは一次シュートの再成長に加え,その場の占有を高める二次シュートを多数成長させ地下茎量を維持している。生長モデルの応用に関連して、ダメージを受けたヨシとオギの優位性の変化を解析した.オギ・ヨシともに折れる規模の洪水を導入した場合,洪水導入間隔1年であれば両種とも群落の維持が危うくなる.洪水導入間隔が2〜5年程度であれば,混成群落が続く可能性があり,洪水間隔が大きくなると,オギの優位性が回復しヨシはオギに駆逐される可能性がある.そして自然再生を図る上で洪水導入を検討するのであれば,洪水間隔2〜5年が適当であり,ヨシのみが折れる規模の洪水導入は避けるべきであるといえる.
著者
笠原 清志 白石 典義 木下 康仁 田中 重好 唐 燕霞 門奈 直樹 中村 良二
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

今まで、中国に進出した日系企業では、比較的安定した労使関係が維持されていたが、反日デモ以降当局が厳しい締め付けをしているにもかかわらず、広州、大連といった地域では、大規模な労働紛争やストライキが発生している。2005年10月から翌月にかけて、中国に進出した日系企業の労使関係に関する調査を実施した。調査対象は従業員二百人以上、日本側の出資比率51%以上の日系企業829社(住所変更その他による返送23社を含む)で、有効回答は213社であった。これによると、日系企業の22.1%がストを経験し、主に「賃金や賞与問題」(74.5%)、「雇用問題」(17%)が原因だった。ストの長さは半日以内が34%、一日が38%と比較的短期間で解決している。この間、ストの際に、工会は問題解決に「大変協力的であった」(12.8%)、「協力的であった」(27.7%)と、日系企業の責任者は、工会活動を一般的には高く評価していることがうかがえる。中国では、工会とは関係ないところで突発的にサボタージュやストが発生するという特徴があり、その解決に工会が経営側と一緒に対処しようとする傾向にある。今回の調査でも、工会主席の83%は上・中級の管理者が兼務しており、そもそも一般の労働者の利害が十分に反映されるメカニズムにはなっていない。一定数の党員がいる組織では、外資系企業でも党支部や委員会の設立が党や政府の方針になっている。党支部や委員会は経営には全く関与しないのが建前だが、行政との交渉や企業内でトラブルが生じれば、党書記は公式、非公式を問わず何らかの形で関与する。今後、社会主義市場経済の下で独自の中国的労使関係を確立していくには、欧米型の対決型労使関係モデルよりも、日本的な協調型労使関係モデルが参考になるであろう。すなわち、日本の労使関係で確立してきた「事前協議の徹底」、「雇用維持の努力」、そして「成果の公正な配分」といった慣行やシステムが、工会の労組化に大きく貢献すると思われる。
著者
田中 寛
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学日本語研究教育センター紀要 (ISSN:0915440X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.41-62, 1998-03-31

「テモ」構文はこれまで「ノニ」との比較もふ<めて多岐に考察されてきたが, 意志性とのかかわりで出現する「テデモ」などの周辺的な形式についての意味特徴は明らかにされていない.本稿では「テデモ」, 「ナイマデモ」, 「テマデ」の用法をとりあげ, それらの関連性について考察した.まず「テデモ」では, 手段行為を最大許容範囲として, 他の想定しうる複数の条件から唯一行為を取り立てる構成において, 「テモ」の譲歩, 逆接条件とはちがった局面をあらわしている.「ナイマデモ」は「テデモ」の前接否定の形態として, 「ナイニシテモ」と等しく最大許容範囲の打ち消し表現となっている.「ナイマデモ」と隣接する「マデモナク」, ならびに文末の限定表現「マデダ」の用法との関係においても考察した.さらに, 「テマデ」の用法をみると, 「テデモ」と一部重なりを見せながら, 主としての主文における否定をみちび<形式としてあらわれる傾向がある.このように, 「テデモ」形式の否定形式は前件においては, 「ナイマデモ〜スル」の形式に, 後件においては「テマデ(モ)〜ナイ」の形式にという相互に連続した特徴がみとめられる.またこれらの形式には「デモ」「マデ(モ)」という取り立て助詞がともない, 話し手の意志性をコントロールする機能を有している.以上の比較考察から, これらの形式が「テミモ」構文のもつ譲歩, 逆条件文という特徴から, 意志的な行為手段をみちびく注釈的な機能へと連続していることを明らかにした.
著者
梅原 頼子 福永 峰子 山田 芳子 田中 治夫
出版者
鈴鹿大学短期大学部
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.83-91, 1998

本学の生活学科女子学生(18〜19歳)1,815名を対象に過去6年間にわたる食生活の実態を調査し,次のような結果を得た。1)居住形態では,自宅外通学生が増えてきている。2)対象者の身体的特徴では,平均身長は6年間同一の傾向がみられるが,平均体重は年々増え,肥満傾向となっている。3)健康に対する自己評価は,約半数が元気でないと訴えており,その自覚症状としては疲れやすい,朝から体がだるい.睡眠が十分とれないと答えた者が多い。4)栄養素等摂取量は,食塩を除きその他の栄養素はどの年度も充足されず,特に鉄,カルシウムは最も低い値であった。5)PFCエネルギー比については,脂肪エネルギー比率は年々増加傾向を示している。6)食品群別摂取量は,穀類および肉類以外は目安量に対し大幅に不足している。また,年次推移では油脂類,牛乳・乳製品,野菜類,調理加工食品は増加傾向を示し,一方,穀類,果実類,肉類は減少している。
著者
後藤 浩介 西沢 健 田中 一雄 松岡 智之
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.6-9, 1998-03-30

阪神淡路大震災以降、防災への意識が一気に高まり、各家庭や自治体などで防災資材や食料の備蓄、準備が進められている。しかし、個人的なサバイバルのための食料や、避難所生活で必要となる仮設トイレなどに比べて、震災発生から避難所生活に至るまでに発生する災害に対する準備例えば倒壊家屋からの救出、二次災害防止、消火活動などに関わる資材にまでは、なかなか進んでいないのが現状である。一方、現状の防災用品の備蓄場所については、小学校や公民館、市役所など公的な施設に集中的に管理されているか、街区公園の防災倉庫、自治会役員宅などに収納されている場合が多い。ところが、家屋の倒壊や火災についてはいつ、どこで発生するか分からないという点で1箇所に集中して配備するより、災害時の早急な対応のためには分散して収納、配置することが望まれている。また、公園等に設置されている防災倉庫については、ベニヤ板による手作りの倉庫や家庭用の既製品が流用されていることも多く、倒壊、火災などで利用出来なくなる恐れも指摘されている。その他、景観的には狭い公園の敷地に唐突に置かれていたり、日常の利用がないために公園のスペースを狭くしているなどの問題も発生している。本プロジェクトは、上記のような防災用品の備蓄および防災倉庫の現状を背景として、二次災害を防止するための救助用資機材を分散して準備すること、及びそのために日常的な利用価値をあげて分散配置を促すことを目的としてベンチの基礎部分を収納スペースとした防災対応の新しいストリートファニチュアの開発である。
著者
青山 吉隆 中川 大 松中 亮治 柄谷 友香 田中 啓一
出版者
広島工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

近年においては従来の大量消費型ライフスタイルから,都市における生活の質「都市アメニティ」を重視したライフスタイルへの転換期を迎えている。この「都市アメニティ」は,人々の生活の豊かさと環境保全の共生を図っていくうえで重要な概念となっている。そこで,本研究では,都市アメニティの維持・拡大と環境が共生した都市社会システムを構築するための施策体系を明らかにする。具体的には,まず「都市アメニティ」の概念を体系化・計量化する。また,都市アメニティの利害関係者の構成を明らかにすると共に,受益と負担に対する施策の提示と目標に向けた実現可能性についての合意形成を目指した。本研究の成果をまとめると以下の通りである。1.都市アメニティを,「ある空間に存在する多種多様な都市の要素の量・質・配置に対して、ある都市活動を行うに際して大多数の人々が主観的に感じる共通の価値」と定義し,空間アメニティ・アメニティ機能・アメニティ要素といった階層構造として提示した。2.京都市北部における学校・緑地・神社仏閣・墓地の4つのアメニティ要素を対象に,その影響範囲を明らかにした。さらに,京都市都心部において,面的集積を保持した京町家の近隣外部効果は土地資産価値を高める傾向があること,京町家の影響範囲よりも中高層建築物のほうがより広範囲な学区レベルに及んだこと,中高層建築物の集積が土地資産価値を低める傾向にあること,以上3点を明らかにした。3.京町家まちなみ保全の活動に対して,周囲の協力の割合が高いほど,個別地域住民の協力選択確率が高まること,調査対象とした元学区19のうち,16の地域では潜在的な保全可能性を担保していること,これを担保していない3つの元学区に対しては,社会的相互作用の視点から,保全可能性を確保するための方策案を各元学区の特性に応じて提示した。
著者
田中 宏明 藤井 滋穂 越川 博元 高田 秀重 鈴木 穣 山下 尚之 小森 行也
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

新たな汚染物質として、生活で広く使われている医薬品や化粧品などの日常用品(Pharmaceutical & Personal Care Product,PPCP)が潜在的な環境問題となり始めている。これらの多くは、難分解で、やや極性があるPersistent Polar Pollutant(P3)で、排水処理では取りにくいことが予想される。PPCPが水環境へ流出する状況を把握するため、広範囲な生活排水などを収集する下水道をターゲットに汚染実態と下水道での削減状況を捉えるとともに、バイオアッセイによる毒性データから初期リスク評価を行った。また回分実験によって活性汚泥での分解除去性を検討した。SPE-LC/MS/MS法を用いて47のPPCPを分析した。下水処理場での調査を行った結果、流入水中から多くの医薬品類が検出され、検出濃度のオーダーは10ng/L〜10μg/Lのオーダーであった。カフェイン(10μg/L)、アセトアミノフェン(8.4μg/L)、ベザフィブラート(2.7μg/L)、テオフィリン(2.0μg/L)、クラリスロマイシン(1.4μg/L)、スルピリド(1.1μg/L)などが流入水から高濃度で検出された。生物処理による除去率は-30〜100%であり、物質によって除去率が大きく異なった。オゾン処理により二次処理水中に残留した医薬品の約80%が除去されたが、ジソピラミドやケトプロフェンはオゾン処理によっても約60%程度しか除去されず、オゾン処理後も100ng/L以上の濃度で残留していた。また、生物処理によるリスク削減効果としては二次処理により流入水中で1以上あったハザード比が1以下に削減され,オゾン処理によって0.1以下まで削減された。通常の活性汚泥と不活化処理した活性汚泥による除去速度定数との差を見かけ上の生分解速度定数と定義し、生分解性を評価した。特に抗菌剤以外の医薬品は活性汚泥による除去に生分解が寄与していることが示唆され、抗菌剤以外の医薬品は実際の処理揚での除去率と見かけ上の生分解速度定数に正の相関がみられた。
著者
岩本 正和 黒田 泰重 尾中 篤 小松 隆之 犬丸 啓 引地 史郎 岡本 昌樹 山本 孝 石谷 暖郎 板谷 篤司 田中 敏弘
出版者
東京工業大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2005

本研究では「ナノ空間でのみ発現する新機能の開拓」を目標に研究を実施した。研究期間中に、規則性ナノ空間物質を触媒とすると、ニッケル担持体上でエチレンやエタノールが選択的にプロピレンに転換できること、銅イオン交換体あるいはチタンイオン交換体上で固体特有の不斉合成反応を実現できること等を明らかにした。また、細孔内へのアゾベンゼンの担持により細孔径を可変化できること等も究明し、未知の機能の発見や新機能の創成を達成した。
著者
木南 英紀 横沢 英良 鈴木 紘一 田中 啓二 中西 重忠 水野 義邦
出版者
順天堂大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

特定領域研究「蛋白質分解-新しいモディファイアー蛋白質による制御-」(平成12年度〜平成16年度)が終了したので、その成果をとりまとめ、研究成果報告書を文部科学省に提出した。本研究のテーマとした細胞内の主要な蛋白分解システムであるユビキチン・プロテアソームシステム研究とオートファゴソーム・リソソームシステム研究は、研究期間の5年間に大きな進展が見られた。ユビキチン・プロテアソームシステム研究では、このシステムが広く生物・生命現象に関わることが定説となった時点で、一昨年ユビキチンの基質蛋白質への結合反応の発見についてノーベル化学賞が贈られた。本特定領域研究で得られた成果は、その後のこの領域の生物医学的研究の発展に、極めて大きな貢献をした。また、日本発信の研究であるオートファジー研究では、本特定領域研究チームの研究成果は世界最先端を行っており、平成17年度においても世界に注目される成果が出されている。研究成果報告書の提出に加えて、この特定領域研究で得られた研究成果を社会の方々に広く知っていただき、より理解を深めていただくという趣旨で公開講座を平成17年12月24日に順天堂大学有山記念講堂で行った。「いきいきとした細胞、そして健康を保ために」というタイトルで、副題を「タンパク質分解の重要性」とし、5人の演者から世界トップレベルの研究内容をわかりやすく、面白く話していただいた。最後に5人の演者が登壇し、パネルディスカッションを行ったが、150人ぐらいの出席者の中から、次々と質問が出され、討論時間の30分はあっという間に終わった。細胞の中で蛋白質がつくられた後なぜ壊されなければならないか、蛋白質の分解が健康維持や病気の原因・進行にどう関与しているのかという疑問に対する科学的な説明は、かなり理解していただいたように思えた。蛋白質分解の研究領域が益々発展することを祈念する。
著者
高梨 弘毅 大谷 義近 大野 裕三 小野 輝男 田中 雅明 前川 禎通
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本特定領域では、スピン流の生成と消滅、そしてそれらを通して生じる物理的信号の変換制御に関わる学理を確立し、新規なデバイス応用への可能性を探索することを目的としている。総括班は、本領域全体のコーディネータ的役割を果たし、同時に内部評価を行う。本年度は、本特定領域の最終成果報告会として国際ワークショップ「5th International Workshop on Spin Currents」を2011年7月25日(月)~28日(木)の日程で仙台国際センターにおいて開催した。最近のスピン流研究において注目される議題として、(1)スピンホール効果やスピンゼーベック効果に代表される純粋スピン流現象、(2)スピン注入磁化反転や自励発振、電流誘起磁壁駆動などのスピントランスファー現象、(3)非磁性体、特に半導体へのスピン注入、(4)磁化の電気的あるいは光学的制御、(5)スピン流の創出と制御のための材料探索・プロセス・評価の5項目について、それぞれの分野において世界最先端の成果を上げている研究者を組織委員会で選出し、口頭発表をお願いした。それ以外にも、特定領域研究で得られた成果が、ポスター講演において数多く報告され、4日間にわたって活発な議論が展開された。また、各計画研究代表者および公募研究代表者から、領域設定期間中の成果に関するデータを収集した。そのデータを元にして、原著論文、解説、著書、国際会議発表、国内会議発表、報道(新聞、TV等)、受賞、特許、その他(若手育成など)、の9項目について成果のとりまとめを行った。