著者
高野 修治 佐藤 浩一郎 松岡 由幸
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.123, 2013 (Released:2013-06-20)

本研究では,新しい人工物の創出手法として提案されている多空間デザイン法(Mメソッド)を用いて,プロのデザイナにビークルデザインをテーマとした事例適用を行った.Mメソッドは,デザインに用いる要素を整理する枠組みである多空間デザインモデルの視点に基づき,発想法と分析法を組み合わせるデザイン法である.この事例適用の結果を通じてMメソッドの有用性が確認された.
著者
大桃 敏行 秋田 喜代美 村上 祐介 勝野 正章 牧野 篤 藤村 宣之 本田 由紀 浅井 幸子 北村 友人 小玉 重夫 恒吉 僚子 小国 喜弘 李 正連 植阪 友理 市川 伸一 福留 東土 新藤 浩伸 齋藤 兆史 藤江 康彦 両角 亜希子 高橋 史子 星野 崇宏 伊藤 秀樹 山本 清 吉良 直 星野 崇宏 伊藤 秀樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日本を含めて多くの国で多様化や競争、成果に対するアカウンタビリティを重視するガバナンス改革が行われてきた。また同時に、単なる知識や技能の習得からそれらを活用する力や課題解決力、コミュニケーション能力などの育成に向けた教育の質の転換の必要性に関する議論が展開されてきた。本研究の目的はガバナンス改革と教育の質保証との関係を検討しようとするものであり、成果志向の改革では、広い能力概念に基づく教育において評価がどこまでまたどのように用いられるのかが重要な課題となってきていることなどを示した。
著者
中辻 七朗 伊藤 浩史 伊原 久裕
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.3_21-3_30, 2017-11-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
21

本研究は,タイプフェイスについて,専門家と非専門家の類似性判断の差異を実験的に検証した。刺激として用いたのは,セリフ書体およびサンセリフ書体である。実験手法としては,各書体が記載されているカードを各書体の形態の類似度に応じて2次元空間に配置するカード配置法を用いて,空間上の刺激間の距離から各書体の形態の類似度を計測した。専門家と非専門家の空間配置について,配置図間の類似性を評価する跡相関係数を算出したところ,5%水準で有意差が認められ,専門家と非専門家の類似性判断に差異があった。次に,取得された類似度と各書体の文字の太さの相関関係を調べた。サンセリフ書体については,専門家の判断は中程度の相関を示したのに対して,非専門家の判断は強い相関を示したことから,非専門家によるサンセリフ書体の類似性判断は,字体の太さに大きく影響されることがわかった。
著者
水上 雅晴 小幡 敏行 鶴成 久章 名和 敏光 末永 高康 武田 時昌 石井 行雄 近藤 浩之 高田 宗平
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

平成29年度も年号資料の調査と考察を継続するかたわら、研究組織の構成メンバーは、国内外での学会に積極的に参加し、研究報告を行った。特筆すべきは、国立歴史民俗博物館において、三つの大きな行事を実行したことである。それは特集展示「年号と朝廷」、歴博フォーラム「年号と日本文化」、国際シンポジウム「年号と東アジアの思想と文化」である。特集展示を実施するためには、展示物の選定、展示パネル、解説シートや広報用ポスターの作成など多岐にわたる準備が必要であったが、研究組織として十分な協力体制を築くことができたので、研究成果を社会に還元する上で大きな意味を持つ事業を成功させることができた。研究報告がなされた歴博フォーラムと国際シンポジウムにも多くの参加者が集まり、研究成果を可視化し共有する面で大きな進展が見られた。同じく二十名を超える研究者からの報告がなされた国際シンポジウムは、報告者の中から第二回目を実施してほしいと声が挙がってきたばかりか、参加者として会場にいた出版社の編集者から論文集出版に関する相談がなされたほどの盛況であった。そこで、当初の計画には無かったが、次年度にも年号に関する学術会議を開催することに加え、論文集の出版準備も進めることを決めた。これまで三年間準備を進めてきた年号資料の影印出版事業が『日本漢学珍稀文献集成(年号之部)』(上海社会科学出版社)全5冊、5千頁が本年度内に出版されたことで、研究計画を構成する大きな柱の一つが完成した。収録した資料に対する解題を日中二カ国語で記したので、国際的な学術成果の発信も行うことができた。
著者
佐藤 浩 小野 功 小林 重信
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.734-744, 1997-09-01
被引用文献数
211

When Genetic Algorithms (GAs) are applied to optimization problems, characteristic preserving in designing coding/crossover and diversity maintaining in designing generation alternation are important. Generation alternation models are independent of problems, while coding/crossover depends on problems. We discuss generation alternation models in this paper. Simple GA is one of the well-known generation alternation models, however it has two problems. One is early convergence in the first stage of search and the other is evolutionary stagnation in the last stage of it. Many improvements and new models have been presented to overcome the above problems. In this paper, we propose a new generation alternation model called minimal generation gap (MGG) which has all advantages of conventional models. As generation alternation models use only information of fitness, alternation of generations can be regarded as a transformation of fitness distributions. We propose a new method of assessing generation alternation models. We measure the ability of avoiding the early convergence and suppressing the evolutionary stagnation by the dynamics of the best value and variance of fitness distributions. From the results of some experiments, we found that MGG is the most desirable model which can avoid the early convergence and suppress the evolutionary stagnation. We also show the efficiency of MGG by applying it to benchmarks in different two domains: function optimization and traveling salesman problems. In the both domains, MGG showed higher performance than the other conventional models especially under small population size.
著者
松田 岳士 近藤 伸彦 重田 勝介 渡辺 雄貴 加藤 浩
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は,教学IR情報を用いた学生支援を目的として,大学生活を通じて学生が直面する具体的かつ真正性のある意志決定場面(初年次の科目選択・リメディアル科目の受講・所属研究室決定・留学)に注目し,判断に必要な情報を直接学生に提供するシステム,Decision Support with IR(以下DSIR)を開発・評価するものである.平成29年度は,四場面のうち,初年次の科目選択(およびリメディアル科目の受講)を支援するシステムを,履修授業推薦システムとして開発し,実際に研究代表者本務校のシラバスデータを用いて動作を確認した.平成29年度は,システム内のデータ処理アルゴリズム,特に学生のSDLRSと科目自体のデータのマッチング方法,表示されるデータが増えることによるインターフェースの工夫,システム管理者が修得できるユーザの操作データなど,設計にあたって考慮すべき案件が多数あり,代表者・分担者の間で担当研究分野を細かく割り振って,前年度を上回るペースで打ち合わせを重ねながら研究プロジェクトを進めた.設計協議の中で,パイロット版の形成的評価において学生から指摘された,表示される用語の意味が理解しにくい点や,単位の取りやすい科目推薦システムになってしまうのではないかという懸念を払しょくするため,用語の説明文を表示できる仕組みや,学生が獲得したい能力に基づいた推薦機能などを新たに追加した.また,研究成果としてまとまった知見は,システム完成を待たず,随時発表した.
著者
長縄 弘親 熊沢 紀之 斉藤 浩 柳瀬 信之 三田村 久吉 永野 哲志 鹿嶋 薫 福田 達也 吉田 善行 田中 俊一
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.227-234, 2011 (Released:2011-11-30)
参考文献数
7
被引用文献数
4 6

We tried the decontamination of surface soils for three types of agricultural land at Nagadoro district of Iitate-mura (village) in Fukushima Prefecture, which is highly contaminated by deposits of radionuclides from the plume released from the Fukushima Daiichi nuclear power plant. The decontamination method consisted of the peeling of surface soils solidified using a polyion complex, which was formed from a salt solution of polycations and polyanions. Two types of polyion complex solution were applied to an upland field in a plastic greenhouse, a pasture, and a paddy field. The decontamination efficiency of the surface soils reached 90%, and dust release was effectively suppressed during the removal of surface soils.
著者
望月 俊男 藤谷 哲 一色 裕里 中原 淳 山内 祐平 久松 慎一 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.15-27, 2004
被引用文献数
12

本研究では,CSCLにおける協調学習に参加している学習者の発言データをもとに,学習者自身や教師がその学習コミュニティのコミュニケーション活動を評価するための方法を提案した.その方法とは,電子掲示板の議論内容と個々の学習者との関係を,コレスポンデンス分析を用いて可視化することである.この方法を用いて,実際に異文化間CSCL実践の一部のデータを分析し,可視化した議論データについて,日本人学習者・外国人学習者の約半数,および日本人教師1名にインタビューを行い,評価情報としての妥当性と適用可能性を検討した.その結果,可視化されたマップによって,コミュニティの話題の分担や,学習者一人一人の知識共同体への関わりの状態が示され,自分や他者の興味関心に対する内省や気づきを促進し,学習者間の議論を活性化する可能性が示された.また,教師にとっては教育プログラム期間中の討論の評価やモデレーションに有効である可能性が示された.
著者
葛岡 英明 加藤 浩 鈴木 栄幸 久保田 善彦 山下 淳
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

平成22年度はまず、柏崎中学校において授業を実施した。生徒を、提案システムを利用した実験群と、提案システムからCG映像を削除した統制群に分け、それぞれの群にプレテストとポストテストを実施した。その結果、地球の自転の理解に関して、実験群の点数の上昇が、統制群の点数の上昇よりも有意に高い傾向があることがわかった。しかし、学習の様子を観察した結果、システムには、俯瞰視点(学習者がタンジブル地球儀を見る視点)と地上視点(地上から空を見上げた状況をCGによって合成した映像)を結びつけることが困難であるという問題点があるという知見を得た。そこで、俯瞰視点と地上視点を結びつける補助として、天球映像を提示することを考案した。これは、半球をスクリーンとして利用し、上部からプロジェクタで太陽の動きを投影する装置である。この装置の有効性を確認するために、被験者を、装置を利用した実験群と利用しない統制群の2群に分けて比較実験をおこなった。プレテストとポストテストによって評価をおこなったが、提案した装置の有効性を示すことはできなかった。被験者の感想や実験の様子を観察した結果、天球映像をあまり参照しない学習者が多いことがわかった。この問題を改善するためには、学習課題や学習のためのインストラクションを見直して、それぞれの装置の機能や目的を意識して学習できるようにする必要がある。また、学習の様子をより詳細に分析し、天文学習において何が問題となっているのかということに対する理解を深める必要がある。
著者
金田 亮 高橋 俊広 滝口 正康 土方 元治 伊藤 浩志
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2017年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.35-36, 2017-03-01 (Released:2017-09-01)

高密度ポリエチレン(HDPE)は,汎用の半結晶性プラスチックであるが,赤外線システムの集光レンズ用の材料としても使用されている。射出成形によって生産されているが,赤外線透過率が低いため一部のシステムに使用が限定されている。本研究では,流動性の異なるHDPEを用いた薄肉射出成形を行い,白色状態を維持して高い赤外線透過率を得ることが可能な成形条件の実験的検討を行った。
著者
梅原 久範 岡崎 和一 川 茂幸 高橋 裕樹 後藤 浩 松井 祥子 石坂 信和 赤水 尚史 佐藤 康晴 川野 充弘 厚生労働省難治性疾患等政策研究事業IgG4関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究班 IgG4関連疾患包括診断基準改訂ワーキンググループ
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.962-969, 2021-05-10 (Released:2022-05-10)
参考文献数
31
被引用文献数
3

IgG4関連疾患(IgG4-related disease:IgG4-RD)は,Mikulicz病,自己免疫疾患,間質性腎炎,前立腺炎,後腹膜線維症等多彩な疾患を含む病態で,今世紀に本邦から発信された興味深い疾患である.厚生労働省のIgG4関連疾患研究班は,2011年に世界で初めての診断基準であるIgG4関連疾患包括診断基準を発表した.これにより,この新疾患は広く世界に受け入れられ,世界中から多くの報告がなされた.しかし,実臨床においては,生検組織が得られない組織があること,血清IgG4(immunoglobulin G4)値や組織中IgG4陽性細胞数のカットオフ値に対する感度・特異度等の問題が生じてきた.そのため,厚生労働省IgG4関連疾患研究班は,IgG4関連疾患包括診断基準2011を改訂した,2020年 改訂 IgG4関連疾患包括診断基準を提唱する.改訂基準は,1)臨床的・放射線学的診断,2)血清学的診断,3)病理学的診断の3項目からなる.さらに,改訂された病理学的診断基準は,従来の2項目に加え,花筵様線維化と閉塞性静脈炎を含めた3項目から構成される.
著者
堀川 将幸 藤村 諒 佐藤 浩一郎 寺内 文雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.4_45-4_54, 2022-03-31 (Released:2022-04-26)
参考文献数
16

本稿では,精神的充足に向けたデザインを行うための指針を導出することを目指し,習慣化に関する主体的行動を対象とした精神価値の成長要因を明らかにしている。具体的には,まず,ハマるに至るきっかけから定着化するまでの習慣化に関する主体的行動を調査し,その経験価値の変化の特徴を分析し,これらの結果に基づいた経験価値変化モデルを提案している。次に,習慣化,定着化に至った主体的行動の事例を対象として,評価グリッド法とクラスター分析を実行した。その結果から,習慣化に関する主体的行動における精神価値の成長に起因する4つの心理状態「高揚感」「平穏感」「好奇心」「向上心」が,価値実感期,価値成長期,価値定着期の3期において変化し,定着化するプロセスを示している。また,各状態の具体的な成長要因として,価値実感期での感動体験や潤沢な体験,価値成長期での共同体験や上達体験,価値定着期では日常化体験や到達体験を導いている。さらに,これらの成長プロセスの変遷を考察することで指針構築の一助とした。
著者
伊藤 浩介
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.104-109, 2020-09-30 (Released:2020-11-18)
参考文献数
21

How should we define synesthesia? After more than a century of research, scientists have still not reached an agreement on what synesthesia is (and is not). The author’s opinion of this condition is that the disagreement on the definition of synesthesia is essentially a disagreement on determining what sensations are normal and what are unnormal. All different versions of the definition of synesthesia state, either explicitly or implicitly, that synesthesia is an extraordinary sensation, which is caused by the activation of a second sensory or cognitive pathway that is not normally activated by the inducing stimulus. In other words, the boundary between synesthesia and non-synesthesia depends on what sensations are considered normal, and this can only be judged subjectively. In so far as we consider synesthesia as an unnormal/extraordinary phenomenon, it is illogical to hope that there could be some objective criteria to distinguish synesthesia from non-synesthesia. The remedy is to assume continuity between synesthetic and non-synesthetic experiences.
著者
中村 美香 近藤 浩子 岩永 喜久子 今井 裕子 杉田 歩美 須川 美枝子 永井 弥生
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.279-288, 2016-11-01 (Released:2017-01-18)
参考文献数
35
被引用文献数
5 6

【目 的】 看護職がインシデント・アクシデントを繰り返し起こす要因を明らかにする. 【方 法】 インシデント・アクシデントに関する先行研究の質問項目を参考にして, 質問紙を作成した. 急性期病院1施設の看護職689名に対して, 無記名自記式質問紙調査を実施した. 対象者を6か月間のインシデント・アクシデントの頻度によって3群 (0回, 1~2回, 3回以上) に分け, インシデント・アクシデントに関連する質問の項目平均得点を比較した. 【結 果】 有効回答は461名 (有効回答率92.9%) であった. 「不安・緊張」, 「混乱」, 「抑うつ」, 「従順な性格特性」, 「判断力の不足」, 「連携不足」, 「過酷な勤務状況」, 「業務多忙」の8項目の項目平均得点は, インシデント・アクシデントが3回以上の群が有意に高かった (p<0.05~0.001). 【結 語】 看護職のインシデント・アクシデントの頻度は, これらの8項目と関連していた. よって, これらの項目はインシデント・アクシデントのリスクを把握するスクリーニング項目として活用可能であることが示唆された.
著者
一藤 浩隆
出版者
日本アニメーション学会
雑誌
アニメーション研究 (ISSN:1347300X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.77-87, 2023-01-31 (Released:2023-02-11)
参考文献数
47

映像作品の計量的研究であるシネメトリクスでは、ショットの平均持続時間に注目したものが存在するが、この分野の発展のためには別の指標も必要である。本論はその指標を提案し、検証することを目的とするものである。ここではショットサイズに注目し、それに対する既存の研究を整理して新たな指標を提案する。対象として、書籍として出版されているため執筆者の特定が容易であり、指標を採集しやすい絵コンテを採用することとし、手塚治虫の作品に対してこの指標を適用した。手塚は、テレビアニメーションを開始する際に必要であった経費削減のため、ショットサイズに独自の傾向があると指摘されている。それを対照的な経歴を持つ宮崎駿の絵コンテと比較することによって、指標の検証を行うことができると考えた。統計的な検証の結果、手塚と宮崎のショットサイズには有意の違いが認められ、ショットサイズは指標として有効であることが示された。
著者
水野 友香子 上林 翔大 安田 美樹 増田 望穂 安堂 有希子 佐藤 浩 田口 奈緒 廣瀬 雅哉
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.176-180, 2022 (Released:2022-05-10)
参考文献数
8

死戦期帝王切開術(PMCD)は心肺停止(CPA)妊婦の蘇生を助ける手段であり,CPA後速やかなPMCDの施行が母体予後を改善すると考えられている.計画的硬膜外麻酔下無痛分娩中にCPAとなり当院へ搬送されPMCDを施行し,母児とも救命し得たので報告する.症例は34歳の初産婦,妊娠経過は順調であった.既往歴,アレルギー歴に特記すべき事項はなかった.妊娠39週2日に計画無痛分娩のため硬膜外麻酔下で分娩中にCPAとなり,心拍再開と心停止を繰り返しながら当院へ搬送されPMCDを施行した.子宮筋層縫合後も創部からの出血が持続したためガーゼパッキングとVacuum packing closure法を行い集中治療室に入室したが出血が持続し子宮腟上部切断術を行った.母体は分娩後22カ月の時点で,高次脳機能障害として短期記憶障害を残すが,その他の知的運動機能は正常である.児は,重症新生児仮死で出生し低体温療法を施行されたが,重度低酸素性虚血性脳症による重症心身障害のため人工換気継続中である.今回の経験を今後に生かせるよう,診療チーム間で検討を繰り返し,プロトコールの作成を行ったので紹介する.