著者
千葉 友樹 高橋 幹雄 黒木 友裕 和田 一樹 天野 健太郎 桑山 絹子
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 令和元年度大会(札幌)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.37-40, 2019 (Released:2020-10-31)

暑熱環境下で頸部を冷却する実験での生理量測定結果と、頸部を冷却しない実験での生理量測定結果とを比較し、更に人体モデルを用いた解析による検討を行った。実験では、頸部を冷却しない条件に対し、頸部を冷却した条件において、皮膚温度が相対的に低くなり、発汗量が少ない傾向が表れ、血圧が有意に高くなった。更に、人体熱モデルと循環系モデルにより計算を行った結果、上記のような傾向を定性的に再現することができた。
著者
高橋 康介
出版者
立命館大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2022-06-16

棋士は脳内に将棋盤をイメージし操作する(以降「脳内盤」と呼ぶ)。熟達した棋士の脳内盤の在り方は多様であり、将棋に関する法則と物語が内在化されている。本研究では棋士の中にある熟達した脳内盤の表象と多様性を明らかにし、その多様性を生み出す背景要因を探る。まず脳内盤メトリクスを作成し、オンライン調査により棋士の脳内盤の表象と多様性を定量的かつ体系的に解明する(研究1)。続いて棋士のイメージ化に関連する認知特性の個人差を認知心理学実験により検討する(研究2)。さらにインタビュー調査により棋士それぞれの固有の脳内盤が育まれた熟達化過程、来歴、経験を探る(研究3)。
著者
高橋 伸夫
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.21-32, 1992 (Released:2022-07-15)
被引用文献数
5

組織行動上の問題点として指摘されることのある命令,指示の「やり過ごし」の現象がどういった意味をもち,どういった条件,要因のもとで発生するのかをゴミ箱モデルを使って理論的に考察するとともに,実際の調査データを用いて,こうした理論的予想が正しいものかどうかを検討する.さらに調査から明らかになってきた日本企業におけるやり過ごしの実態とその果たしている機能についても考察する.
著者
玉澤 佳純 玉澤 かほる 高橋 正美 國島 広之
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.222-227, 2011 (Released:2011-10-05)
参考文献数
27
被引用文献数
2

血液・体液曝露の内,眼への曝露は,感染のリスクからは針刺し事例に匹敵することから,眼および眼周辺部への曝露に着目して,医科と歯科の統合後の当大学病院の2年半における,曝露者の職種,曝露物,曝露時の場所について検索した.   その結果,統合後の当大学病院では,血液・体液曝露事例は,全部で67件発生していた.そのうち,眼および眼周辺部への曝露事例は41件発生したが,職種では,看護師19名,医師9名,医学生4名,助産師3名,歯科医師2名,臨床工学技士2名の順であった.曝露物では,血液14件,体液7件,喀痰4件,注射液2件等であった.曝露場所では,手術室14件,一般病室10件,ICU4件,救急部3件,人工透析室3件,分娩室2件,採血室2件,歯科外来2件等であった.特に出産関係でまとめると,6件と多かった.また,曝露事例の総数は67件であったが,その内,眼および眼周辺部への曝露事例は41件であり,全体の61.2%を占めていた.当大学病院の調査結果から,手術室での眼および眼周辺部への曝露が最も多かったことから,手術室のスタッフはゴーグルの着用が必須であることが判明した.
著者
濱野 貴通 高橋 俊行 中島 翠 佐野 仁美 須藤 章 福島 直樹 西川 秀司 武内 利直
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第37回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.158, 2009 (Released:2009-10-21)

好酸球性胃腸炎は,消化管壁への著明な好酸球浸潤による消化器症状を認め,末梢血好酸球が増加する稀な疾患である。 今回,抗アレルギー剤の投与にて治療しえた小児好酸球性腸炎の1例を経験した。 症例は5歳女児。半年前からの繰り返す水様性下痢を主訴に当科を受診した。検査所見にて著明な好酸球増加(WBC 18800 /μl, Eos 54 %),鉄欠乏性貧血,低蛋白血症,便潜血陽性を認め,好酸球性胃腸炎の疑いで入院となった。 入院後,IgE RASTにて卵白,リンゴが陽性であり食事制限を行なったが,症状の改善はなく,検査所見にてWBC 21200 /μl(Eos 76 %) と増悪傾向を認めた。消化管内視鏡検査にて十二指腸球部の粘膜に発赤があり,病理像にて著明な好酸球の浸潤を認めた。 好酸球性胃腸炎と診断し,トシル酸スプラタスト投与を開始したところ,水様性下痢は消失し,7日後にはWBC 11800/μl(Eos 33.0 %)と改善傾向を認め,外来経過観察とした。 経過観察中,再びWBC 13300 /μl(Eos 42.0 %)と上昇傾向を認め,クロモグリク酸ナトリウム投与を追加した。投与2ヶ月後,WBC 5600 /μl(Eos 6.0%)となり,鉄欠乏性貧血,低蛋白血症状も改善した。投与4ヶ月後,便潜血陰性となった。 抗アレルギー剤の投与によって本疾患を治療しえたことは意義があると考え,報告する。
著者
安保 秀範 大澤 高浩 葛 平蘭 高橋 章 山岸 勝俊 櫻澤 裕紀
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00257, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
26

近年,人工衛星SARデータの活用については社会インフラ設備の維持管理などへの研究が進んでいるものの,恒久散乱点が得られやすいロックフィルダムにおいても,PSInSAR解析による恒久散乱点の変位の計測精度が十分に検証されているとは言い難い.本論文では,既に安定期にあるもののここ数年でも年間最大1cm程度変位しており,外部変形量を連続計測しているロックフィルダムを対象に,Sentinel-1 SARデータを活用したPSInSAR解析を実施し,測量値と解析結果を比較することにより,人工衛星SARデータから把握できる変位の精度を検証するとともに,ロックフィルダムの保守管理への適用性について考察した.ロックフィルダム外部変形の測量値と解析結果の比較により,PSInSAR解析によりmmオーダーの高い精度で計測できることが検証され,保守管理に人工衛星SARデータが活用できる可能性があることを示した.
著者
高橋 文子
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.255-266, 2011-03-20 (Released:2017-06-12)

茨城県近代美術館が所蔵するモネ筆「ポール=ドモアの洞窟」に関して,光と影を補色対比としてとらえる印象派の考え方・方法を理解する教材化を試みた。同作品の色面構成を分析して,光と影とが補色対比として表現されていることを確認した。そして,それを中学生に理解させる授業を構想した。日本色研の93色の色紙から補色関係にある色彩を選択し,コラージュを制作させる活動,そして光の当たっている部分と陰や影の部分の色面を意識して描く色鉛筆画を描かせる活動を,先の理解を容易にする手だてとして提案した。実際に授業実践し,教材解釈及び色紙による色彩の選択とコラージュ・印象派風色鉛筆画制作活動が有効であることを実証した。
著者
日浦 美智代 一ノ瀬 孝恵 柴 静子 高橋 美与子 高田 宏 三根 和浪
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 = The Annals of educational research (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.44, pp.75-84, 2015

昨年度は,附属福山高等学校において,明治期に輸出されたキモノの実物観察を通して日本の衣装文化を理解する学習プログラムを開発した。生徒は,実物衣装の観察と布の厚み測定を通して輸出用キモノの特徴を明確に理解し,また明治の絹物商人のものづくりの精神に対して感動を得た。本研究の目的は,横浜の絹物商椎野正兵衛や京都の飯田高島屋の活動を取り上げて,キモノについてより多角的に探究させるとともに,1904年に開催されたセントルイス万国博覧会でキモノが大量に販売されたことがアメリカでのブームを引き起こしたことを理解させる学習を開発することであった。さらには,この学習を通してキモノ文化のちからを再発見し,未来へと継承して行く意識と態度を育成することを目的とした。開発したプログラムを附属高等学校において実践し,学習効果を検証した。アンケート等から,生徒は,明治期に輸出された刺繍のキモノが欧米を魅了した背景に椎野庄兵衛たちの優れたものづくりの心と技があったことを理解するとともに,キモノの文化を継承し発展させるためには歴史的理解を踏まえてグローバルな視点から考えなければならないことを認識した,という効果が確認された。Last year, we developed a home economics program for teaching Japanese kimono culture through the observation of kimonos exported during the Meiji era. The Attached Fukuyama High School students learned kimono characteristics from the thickness of the cloth. In this study a new learning program about the activities of silk dress dealers, S. Shobey in Yokohama and Iida Takashimaya in Kyoto, was developed for the Attached High School clothing education. In the lessons, students learned that kimonos were sold in large quantities at the St. Louis World Exposition held in the United States in 1904. From questionnaires, it was recognized that the students understood the heart and the manufacturing skill of S. Shobey and Takashimaya in the embroidery of exported kimonos. The new learning program helped students to understand the value of kimonos from a global perspective, based on historical understanding and had a thought to succeed to kimono culture in the future.
著者
高橋 暁子 根本 淳子 竹岡 篤永 市川 尚 鈴木 克明
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.249-258, 2023-06-20 (Released:2023-07-14)
参考文献数
17

本研究では,Instructional Design(ID)の専門家の養成を目指した「大学版上級ID 専門家養成講座」のワークショップを題材に,修了者の継続的な参加が修了者自身にどのような意義があるのかを明らかにしようとした.参加者アンケートから,前年修了者がファシリテータとしてワークショップに参加したことで,参加者は有用なアドバイスを得られたと感じていることが示唆された.また,前年修了者に対するフォーカスグループインタビューでは,ワークショップへの継続参加がリフレクションの機会になっていることなどが示唆された.一方で,継続参加の効果についてさらなる分析が必要であることが確認された.
著者
森田 婦美子 山本 純子 高橋 弘枝
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.149-154, 2012 (Released:2017-05-10)
被引用文献数
2

口腔ケアは歯科疾患の予防を目的にしたものから,嚥下,構音,審美など広義の口腔ケアの目的が重視されるようになってきた。今回,口腔ケアとして,口腔へのブラシ刺激が,脳血流にどのように影響するのか前頭前野における脳血流の測定をおこなった。すべての研究協力者において上顎硬口蓋のブラッシング時,oxyHbの脳血流量が多く観察された。次いで舌,上顎中側切歯根部の順であった。目視解析においては,左眼窩前頭前野や頭頂葉の前運動領野からのoxyHb血流量増加を認めた。上顎硬口蓋への刺激は舌,上顎中側切歯根部に比較して優位に血流量が増加しており,これらのことから,日常のケアにブラシ刺激を取り入れることで,脳の活性が期待できると考える。
著者
長久 功 花北 順哉 高橋 敏行 南 学 北浜 義博 尾上 信二 紀 武志 伊藤 圭介
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.133-137, 2009-02-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

Cervical anginaは,何らかの頚椎近傍の病変に由来する狭心症様発作性前胸部痛と定義されている.今回われわれは,非特異的前胸部痛に対して頚椎手術で症状が改善した症例を経験したので,前胸部痛の発生機序と臨床症状の特徴,治療方法について報告する.症例は72歳女性,不安定性を伴った頚椎症性脊髄症で,経過観察中に前胸部痛が出現したが,心疾患由来のものが否定された.後方アプローチによる治療を行った結果,前胸部痛が改善した.前胸部痛の直接的原因は,C3-4間での不安定性に伴ってC3-7間で髄内への圧迫が増強し,頚椎症性脊髄症を引き起こしたためと考えた.頚椎症の症状を伴い前胸部痛が誘発される場合は,cervical anginaを念頭に置いた頚椎,頚髄の検査が重要である.
著者
高橋 正樹
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.103, no.5, pp.447-463, 1994-10-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
55
被引用文献数
2 2
著者
清成 透子 高橋 泰城
出版者
青山学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

テストステロン(T)は一般に社会的支配性を促進すると考えられているが、Tと経済ゲーム実験における意思決定の関係は研究により一貫していない。本研究では、日常的に社会的地位格差のある集団(大学体育会ラグビー部)を対象に唾液中のT値と最後通牒取引ゲーム(UG)における意思決定との関係を一連の実験にて検討した。その結果、TはUGにおいて学年(社会的地位)の高い参加者の間では支配的な行動を促進することが明らかになったが、学年の低い参加者に関しては結果が安定しなかったため、今後のさらなる検討が必要である。
著者
真口 宏介 潟沼 朗生 高橋 邦幸
出版者
一般社団法人 日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.101-110, 2018-04-25 (Released:2018-05-26)
参考文献数
50
被引用文献数
2 1

IPMNには腺腫,腺癌,浸潤癌があり,治療方針が重要である.2017年にIPMN国際診療ガイドラインが改訂され,分枝型のhigh-risk stigmataとworrisome featuresの因子について変更がみられているほか,精査としてのEUSの「結節(mural nodule:MN)の大きさ5mm以上」が明記された.初回診断時にはUS,CT,MRCPを行い,他疾患との鑑別を行う必要がある.EUSはMNの正確な評価と併存膵癌を見逃さないことから行うべきと考える.手術適応例に対しては,膵管内進展範囲の評価にERCP,IDUSが必要であり,POPSが適応となる場合もある.経過観察にはIPMNの進展の評価と併存膵癌の出現に留意する必要がある.現状では,併存膵癌の監視の観点から嚢胞径に関わらずCT,MRCP,EUSを組み合わせた6カ月毎のfollow-upが妥当と考える.
著者
秋吉 史博 高橋 仁美 菅原 慶勇 佐竹 將宏 塩谷 隆信
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.47-52, 2001-03-31 (Released:2018-09-25)
参考文献数
19
被引用文献数
16

呼気筋強化に関する臨床研究は非常に少ない。本研究の目的は呼気筋強化の呼吸筋力に及ぼす影響を健常人において検討することである。健康な短大生36名(男性11名,女性25名 ; 平均年齢 ± SD ; 21.3 ± 2.8)を対象にした。11名はSouffleTMを用い,最大呼気口腔内圧が60cmH2O以下の4名は呼気筋強化用Threshold-EMTTMを用い1日15分間2回で2週間呼気筋強化を行った。11名は吸気筋強化用Threshold-IMTTMを用い1日15分間2回で2週間吸気筋強化を行った。10名は呼吸筋強化を行わないコントロール群とした。呼気筋強化群および吸気筋強化群では最大圧の30%をそれぞれ負荷圧とした。結果は,(1)Souffleを用いた呼気筋強化群では呼気最大口腔内圧は33%,吸気最大口腔内圧は32%それぞれ有意に増加した。Thresholdを用いた呼気筋強化群では呼気最大口腔内圧は44%,吸気最大口腔内圧は35%それぞれ有意に増加した。(2)Thresholdを用いた吸気筋強化群では吸気最大口腔内圧は46%有意に増加したが呼気最大口腔内圧には有意な変化はみられなかった。(3)コントロール群では呼気・吸気最大口腔内圧のいずれにも有意な変化はみられなかった。以上の結果は,呼気筋強化が呼気筋力のみならず吸気筋力を増加させ,呼気筋強化が呼吸リハビリテーションにおいて呼吸筋強化の種目として有用である可能性を示唆している。