著者
三木 文雄 小林 宏行 杉原 徳彦 武田 博明 中里 義則 杉浦 宏詩 酒寄 享 坂川 英一郎 大崎 能伸 長内 忍 井手 宏 西垣 豊 辻 忠克 松本 博之 山崎 泰宏 藤田 結花 中尾 祥子 高橋 政明 豊嶋 恵理 山口 修二 志田 晃 小田島 奈央 吉川 隆志 青木 健志 小笹 真理子 遅野井 健 朴 明俊 井上 洋西 櫻井 滋 伊藤 晴方 毛利 孝 高橋 進 井上 千恵子 樋口 清一 渡辺 彰 菊地 暢 池田 英樹 中井 祐之 本田 芳宏 庄司 総 新妻 一直 鈴木 康稔 青木 信樹 和田 光一 桑原 克弘 狩野 哲次 柴田 和彦 中田 紘一郎 成井 浩司 佐野 靖之 大友 守 鈴木 直仁 小山 優 柴 孝也 岡田 和久 佐治 正勝 阿久津 寿江 中森 祥隆 蝶名林 直彦 松岡 緑郎 永井 英明 鈴木 幸男 竹下 啓 嶋田 甚五郎 石田 一雄 中川 武正 柴本 昌昭 中村 俊夫 駒瀬 裕子 新井 基央 島田 敏樹 中澤 靖 小田切 繁樹 綿貫 祐司 西平 隆一 平居 義裕 工藤 誠 鈴木 周雄 吉池 保博 池田 大忠 鈴木 基好 西川 正憲 高橋 健一 池原 邦彦 中村 雅夫 冬木 俊春 高木 重人 柳瀬 賢次 土手 邦夫 山本 和英 山腰 雅宏 山本 雅史 伊藤 源士 鳥 浩一郎 渡邊 篤 高橋 孝輔 澤 祥幸 吉田 勉 浅本 仁 上田 良弘 伊達 佳子 東田 有智 原口 龍太 長坂 行雄 家田 泰浩 保田 昇平 加藤 元一 小牟田 清 谷尾 吉郎 岡野 一弘 竹中 雅彦 桝野 富弥 西井 一雅 成田 亘啓 三笠 桂一 古西 満 前田 光一 竹澤 祐一 森 啓 甲斐 吉郎 杉村 裕子 種田 和清 井上 哲郎 加藤 晃史 松島 敏春 二木 芳人 吉井 耕一郎 沖本 二郎 中村 淳一 米山 浩英 小橋 吉博 城戸 優光 吉井 千春 澤江 義郎 二宮 清 田尾 義昭 宮崎 正之 高木 宏治 吉田 稔 渡辺 憲太朗 大泉 耕太郎 渡邊 尚 光武 良幸 竹田 圭介 川口 信三 光井 敬 西本 光伸 川原 正士 古賀 英之 中原 伸 高本 正祇 原田 泰子 北原 義也 加治木 章 永田 忍彦 河野 茂 朝野 和典 前崎 繁文 柳原 克紀 宮崎 義継 泉川 欣一 道津 安正 順山 尚史 石野 徹 川村 純生 田中 光 飯田 桂子 荒木 潤 渡辺 正実 永武 毅 秋山 盛登司 高橋 淳 隆杉 正和 真崎 宏則 田中 宏史 川上 健司 宇都宮 嘉明 土橋 佳子 星野 和彦 麻生 憲史 池田 秀樹 鬼塚 正三郎 小林 忍 渡辺 浩 那須 勝 時松 一成 山崎 透 河野 宏 安藤 俊二 玄同 淑子 三重野 龍彦 甲原 芳範 斎藤 厚 健山 正男 大山 泰一 副島 林造 中島 光好
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.526-556, 2005-09-25

注射用セフェム系抗菌薬cefozopran (CZOP) の下気道感染症に対する早期治療効果を評価するため, ceftazidime (CAZ) を対照薬とした比較試験を市販後臨床試験として実施した。CZOPとCAZはともに1回1g (力価), 1日2回点滴静注により7日間投与し, 以下の結果を得た。<BR>1. 総登録症例412例中最大の解析対象集団376例の臨床効果は, 判定不能3例を除くとCZOP群92.0%(173/188), CAZ群91.4%(169/185) の有効率で, 両側90%, 95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。細菌性肺炎と慢性気道感染症に層別した有効率は, それぞれCZOP群90.9%(120/132), 94.6%(53/56), CAZ群93.3%(126/135), 86.0%(43/50) で, 両側90%, 95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。<BR>2. 原因菌が判明し, その消長を追跡し得た210例での細菌学的効果は, CZOP群89.5%(94/105), CAZ群90.5%(95/105) の菌消失率 (菌消失+菌交代) で, 両群間に有意な差はみられなかった。個々の菌別の菌消失率は, CZOP群91.1%(113/124), CAZ群90.8%(108/119) で両群問に有意な差はみられなかったが, 最も高頻度に分離された<I>Streptococcus pneumoniae</I>の消失率はCZOP群100%(42/42), CAZ群89.5%(34/38) で, CZOP群がCAZ群に比し有意に優れ (P=0.047), 投与5日後においてもCZOP群がCAZ群に比し有意に高い菌消失寧を示した (P=0.049)。<BR>3. 投薬終了時に, CZOP群では52,4%(99/189), CAZ群では50.3% (94/187) の症例において治療日的が達成され, 抗菌薬の追加投与は不必要であった。治療Il的遠成度に関して両薬剤間に有意な差は認められなかった。<BR>4. 随伴症状の発現率はCZOP群3.9%(8/206), CAZ群5.0%(10/202) で両棊剤間に有意な差はなかった。臨床検査値異常変動として, CAZ群に好酸球増多がCZOP絆より多数認められたが, 臨床検査値異常出現率としては, CZOP群31.6% (65/206), CAZ群32.2% (65/202) で, 両群間に有意な差は認められなかった。<BR>以上の成績から, CZOPは臨床効果においてCAZと比較して非劣性であることが検祉された。また<I>S. pneumoniae</I>による下気道感染症に対するCZOPの早期治療効果が確認された。
著者
小林 宏行 武田 博明 渡辺 秀裕 太田見 宏 酒寄 享 齋藤 玲 中山 一朗 富沢 麿須美 佐藤 清 平賀 洋明 大道 光秀 武部 和夫 村上 誠一 増田 光男 今村 憲市 中畑 久 斉藤 三代子 遅野井 健 田村 昌士 小西 一樹 小原 一雄 千葉 太郎 青山 洋二 斯波 明子 渡辺 彰 新妻 一直 滝沢 茂夫 中井 祐之 本田 芳宏 勝 正孝 大石 明 中村 守男 金子 光太郎 坂内 通宏 青崎 登 島田 馨 後藤 元 後藤 美江子 佐野 靖之 宮本 康文 荒井 康男 菊池 典雄 酒井 紀 柴 孝也 吉田 正樹 堀 誠治 嶋田 甚五郎 斎藤 篤 中田 紘一郎 中谷 龍王 坪井 永保 成井 浩司 中森 祥隆 稲川 裕子 清水 喜八郎 戸塚 恭一 柴田 雄介 菊池 賢 長谷川 裕美 森 健 磯沼 弘 高橋 まゆみ 江部 司 稲垣 正義 国井 乙彦 宮司 厚子 大谷津 功 斧 康雄 宮下 琢 西谷 肇 徳村 保昌 杉山 肇 山口 守道 青木 ますみ 芳賀 敏昭 宮下 英夫 池田 康夫 木崎 昌弘 内田 博 森 茂久 小林 芳夫 工藤 宏一郎 堀内 正 庄司 俊輔 可部 順三郎 宍戸 春美 永井 英明 佐藤 紘二 倉島 篤行 三宅 修司 川上 健司 林 孝二 松本 文夫 今井 健郎 桜井 磐 吉川 晃司 高橋 孝行 森田 雅之 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 宏 高橋 健一 大久保 隆男 池田 大忠 金子 保 荒川 正昭 和田 光一 瀬賀 弘行 吉川 博子 塚田 弘樹 川島 崇 岩田 文英 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 宇野 勝次 八木 元広 武田 元 泉 三郎 佐藤 篤彦 千田 金吾 須田 隆文 田村 亨治 吉富 淳 八木 健 武内 俊彦 山田 保夫 中村 敦 山本 俊信 山本 和英 花木 英和 山本 俊幸 松浦 徹 山腰 雅弘 鈴木 幹三 下方 薫 一山 智 斎藤 英彦 酒井 秀造 野村 史郎 千田 一嘉 岩原 毅 南 博信 山本 雅史 斉藤 博 矢守 貞昭 柴垣 友久 西脇 敬祐 中西 和夫 成田 亘啓 三笠 桂一 澤木 政好 古西 満 前田 光一 浜田 薫 武内 章治 坂本 正洋 辻本 正之 国松 幹和 久世 文幸 川合 満 三木 文雄 生野 善康 村田 哲人 坂元 一夫 蛭間 正人 大谷 眞一郎 原 泰志 中山 浩二 田中 聡彦 花谷 彰久 矢野 三郎 中川 勝 副島 林造 沖本 二郎 守屋 修 二木 芳人 松島 敏春 木村 丹 小橋 吉博 安達 倫文 田辺 潤 田野 吉彦 原 宏起 山木戸 道郎 長谷川 健司 小倉 剛 朝田 完二 並川 修 西岡 真輔 吾妻 雅彦 前田 美規重 白神 実 仁保 喜之 澤江 義郎 岡田 薫 高木 宏治 下野 信行 三角 博康 江口 克彦 大泉 耕太郎 徳永 尚登 市川 洋一郎 矢野 敬文 原 耕平 河野 茂 古賀 宏延 賀来 満夫 朝野 和典 伊藤 直美 渡辺 講一 松本 慶蔵 隆杉 正和 田口 幹雄 大石 和徳 高橋 淳 渡辺 浩 大森 明美 渡辺 貴和雄 永武 毅 田中 宏史 山内 壮一郎 那須 勝 後藤 陽一郎 山崎 透 永井 寛之 生田 真澄 時松 一成 一宮 朋来 平井 一弘 河野 宏 田代 隆良 志摩 清 岳中 耐夫 斎藤 厚 普久原 造 伊良部 勇栄 稲留 潤 草野 展周 古堅 興子 仲宗根 勇 平良 真幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.333-351, 1995-07-31
被引用文献数
2

新規キノロン系経口合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の内科領域感染症に対する臨床的有用性を全国62施設の共同研究により検討した。対象疾患は呼吸器感染症を中心とし, 投与方法は原則として1回100~300mgを1日1~2回投与することとした。<BR>総投与症例525例のうち509例を臨床効果判定の解析対象とした。全症例に対する有効率は443/509 (87.0%) であり, そのうち呼吸器感染症432/496 (87.1%), 尿路感染症11/13 (84.6%) であった。呼吸器感染症における有効率を疾患別にみると, 咽喉頭炎・咽頭炎19/22 (86.4%), 扁桃炎17/18 (94.4%), 急性気管支炎53/58 (91.4%), 肺炎104/119 (87.4%), マイコプラズマ肺炎17/19 (89.5%), 異型肺炎5/5, 慢性気管支炎117/133 (88.0%), 気管支拡張症48/63 (76.2%), びまん性汎細気管支炎17/19 (89.5%) および慢性呼吸器疾患の二次感染35/40 (87.5%) であった。<BR>呼吸器感染症における細菌学的効果は233例で判定され, その消失率は単独菌感染では154/197 (78.2%), 複数菌感染では22/36 (61.1%) であった。また, 単独菌感染における消失率はグラム陽性菌48/53 (90.6%), グラム陰性菌105/142 (73.9%) であり, グラム陽性菌に対する細菌学的効果の方が優れていた。呼吸器感染症の起炎菌のうちMICが測定された115株におけるGPFXのMIC<SUB>80</SUB>は0.39μg/mlで, 一方対照薬 (97株) としたnornoxacin (NFLX), onoxacin (OFLX), enoxacin (ENX) およびcipronoxacin (CPFX) はそれぞれ6.25, 1.56, 6.25および0.78μg/mlであった。<BR>副作用は519例中26例 (5.0%, 発現件数38件) にみられ, その症状の内訳は, 消化器系18件, 精神神経系13件, 過敏症3件, その他4件であった。<BR>臨床検査値異常は, 490例中49例 (10.0%, 発現件数61件) にみられ, その主たる項目は, 好酸球の増多とトランスアミナーゼの上昇であった。いずれの症状, 変動とも重篤なものはなかった。<BR>臨床効果と副作用, 臨床検査値異常の安全性を総合的に勘案した有用性については, 呼吸器感染症での有用率422/497 (84.9%), 尿路感染症で10/13 (76.9%) であり, 全体では432/510 (84.7%) であった。<BR>以上の成績より, GPFXは呼吸器感染症を中心とする内科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
著者
河合 敏 佃 守 持松 いづみ 陰里 ゆうみ 古川 滋 大石 公直 中川 千尋 古川 政樹
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.609-614, 1999-12-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

We discussed five cases of open injuries to the larynx with sharp instruments in suicide attempts.In these cases, (1) laryngoplasty was performed early. (2) Tracheostomy was done at the lower part of the injury to keep the airway open. (3) The wound was observed carefully. And (4) The mucosa of the larynx was sutured firmly so as not to yield a raw surface with a synthetic monofilament, whether absorptive or not. Sometimes, the suture filament penetrated in the lumen of the larynx without any problem.The prognosis for the larynx in these cases was generally good. The risk of permanent laryngeal palsy was supposed to be little.However, all the patients might have psychiatric disease, i. e. schizophrenia or depression. We must consider their psychiatric background.
著者
中川 裕美 横田 晋大 中西 大輔
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.153-163, 2015-03-20 (Released:2015-06-07)
参考文献数
48
被引用文献数
4

In this study, we tested the theoretical validity of both Social Identity Theory (SIT) and the Bounded Generalized Reciprocity Hypothesis (BGR) for explaining in-group cooperation in real social groups. While most previous investigation on real social groups has found support for SIT, confirmatory evidence for BGR remains limited. We conducted a vignette experiment in which reciprocity was manipulated by controlling knowledge of group membership. The participants were 117 undergraduate students who were baseball fans. To control expectation of reciprocity in the experiment, we asked participants to imagine scenarios where they helped others who wore either the same baseball team T-shirts as they did or plain T-shirts. Consistent with BGR, participants tend to cooperate with in-group members when both they and their partner knew that they might be supporters of the same team. On the other hand, participants showed in-group cooperation even when only they knew their partner’s group membership. This finding coincided with SIT. These results thus further verified the theoretical validity of both SIT and BGR in real social groups.
著者
杉山 泰平 中川 秀敏
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.325-361, 2019 (Released:2019-09-25)
参考文献数
16

概要. Additional Tier1 債券(AT1 債)は,強制元本削減トリガー条項が付されたデフォルト可能性のある債券である.本論文では,完全情報および不完全情報下において,財務トリガーやPONV トリガーと呼ばれる元本削減トリガーを考慮できるように改良した構造型のAT1 債プライシングモデルを提案する.そして,日欧の実際のAT1 債の市場価格データを用いた実証分析を通じて,提案するモデルの有用性を検討する.
著者
山中 伸弥 青井 貴之 中川 誠人 高橋 和利 沖田 圭介 吉田 善紀 渡辺 亮 山本 拓也 KNUT Woltjen 小柳 三千代
出版者
京都大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2007

4つの転写因子を体細胞に導入することで多分化能を持ったiPS細胞が樹立できる。c-Mycを含めた4因子を用いた場合にキメラマウスで腫瘍化が高頻度で認められ、レトロウイルス由来のc-Mycが原因の一つであることが分かった。樹立条件などを検討しMycを用いずにiPS細胞を作ることに成功したが、性質の点で不十分であった。c-Mycの代替因子の探索を行いL-Mycを同定した。L-Myc iPS細胞は腫瘍化リスクもほとんど認められず、性質の点でも十分であった。レトロウイルスを用いずにプラスミドを用いることでもiPS細胞の樹立に成功した。このことにより体細胞への初期化因子の挿入が起こらずより安全な作製方法の確立に成功した。神経細胞への分化誘導とそれらの移植実験により安全性を検討する方法の確立も行った。また、肝細胞、血液細胞、心筋細胞への分化誘導系も確立した。iPS細胞の性状解析をディープシークエンサーなどを用いて詳細に解析する技術の導入も完了し、網羅的な遺伝子発現、メチル化解析、スプライシング解析なども行った。
著者
中川 敦寛・冨永 悌二 大谷 清伸 富田 博秋 久志本 成樹 Rocco Armonda
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.441-446, 2016-12-15 (Released:2016-12-15)
参考文献数
25

爆風損傷は爆発に伴い発生する爆風に暴露され生じる.一般の臨床医が経験する外傷機転に加えて,衝撃波を伴う圧損傷が複合的に生体に影響を及ぼし,損傷が発生する.イラク戦争,アフガニスタン紛争以降,爆風損傷が著しく増加し,軽症例における高次脳機能障害,心的外傷後ストレス障害の頻度が高い可能性が示唆されたことから,新しい疾患概念として認識されるようになった.眼,耳,肺,消化管,心臓血管系の損傷も特徴的であるが,受傷早期に顕在化しないことがあり注意が必要である.外傷初期診療ガイドラインに沿った対応を行うとともに,損傷時の状況の把握を含めて衝撃波を伴う圧損傷のリスク階層化と病態を考慮した治療を行う. テロや産業事故による爆風損傷は遠い存在ではなく,わが国においても救急に携わる医療従事者,関係者も病態と診断・治療に関する一定の知識を持っていることが望ましい.
著者
中川 栄二
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.9-14, 2016 (Released:2016-12-06)
参考文献数
15

【要旨】発達障害とは、先天的な様々な要因によって乳児期から幼時期にかけてその特性が現れ始める発達遅延であり、主な発達障害には、知的障害(ID)、自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などがある。発達障害ではてんかんの併存や脳波異常を認める割合は高く、抗てんかん薬の治療効果が報告されている。自験例220例での検討では、脳波異常76%、てんかん併存40%、睡眠障害を34%に認めた。脳波異常は、入眠時に前頭部優位の高振幅鋭波や徐波、高振幅律動性速波がASDで55%、ADHDでは64%と高頻度に認められた。脳波異常を認めるASDでは、抗てんかん薬内服で生活の質の改善が75.5 %で認められ、脳波異常を認めるADHDでは、抗てんかん薬内服で生活の質の改善が70.5%で認められた。発達障害と脳波異常の関連については、特に前頭葉の抑制系機能の未熟性や機能低下が認知機能や抑制機構に影響を与えていると考えられ、てんかんを伴うとさらに抑制機能が低下することが示唆された。
著者
河内 明宏 渡辺 泱 中川 修一 三好 邦雄
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.1811-1820, 1993-10-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
16
被引用文献数
7 7

一般の小学生と幼稚園児2,033名を対象として, 正常児および夜尿児の膀胱容量, 夜間尿量と夜尿を含む夜間の排尿行動を, 質問紙法により調査した. 正常児の朝, 昼の膀胱容量と夜間尿量は, 年齢との間で直線回帰式にて表せる, 有意な相関関係を示した. また体の成長との関係においては, 身長, 体重および体表面積の3者の内で, 体重との間で最も良い相関関係を示した. 夜間尿意覚醒時の膀胱容量と朝, 昼の膀胱容量を比較すると, 朝の膀胱容量が夜間の膀胱容量に近い値を示し, 夜尿を論じる際の膀胱容量は朝起床時の膀胱容量を重視すべきであると思われた. 夜尿児の朝の膀胱容量は, 正常児と比較して, 6歳までは小さいが, 7歳以上では逆に大きいと考えられた. 正常児の間でも10~15%に夜間多尿であると思われる児童が存在し, これらは覚醒機能が正常で, 夜間尿意覚醒するために夜尿とならないと考えられた. 夜尿児の頻度は全体で14%であり, 9歳までは男が多かったが, 10歳以上ではほぼ同じ頻度であった. 過去に夜尿があった児童の調査結果より, 夜尿の平均自然消失年齢は7.3歳であり, このことより8歳以降持続する夜尿は積極的治療の対象になると考えられた.
著者
西条 旨子 俵 健二 本多 隆文 中川 秀昭
出版者
金沢医科大学
雑誌
金沢医科大学雑誌 (ISSN:03855759)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.475-478, 2005-12

近年,一般環境中カドミウム(Cd)の低濃度長期暴露が早産や胎児発達に影響を及ぼす可能性を示唆する研究や,母乳を介した出生児へのCd暴露負荷の可能性も報告され,中高年だけでなく,妊産婦や乳児のCd暴露を減らす公衆衛生学的な対策が必要と考えられている。本総説においては,まず,妊娠・出産への影響を,次に,胎児への経胎盤移行による発育への影響を,最後に,潜在的な健康影響をもたらす母乳の汚染について,これまでの研究報告に我々の得た知見を加えて概説し,Cdの生殖毒性・次世代影響研究の今後の課題を明らかにした。
著者
川井 北斗 中川 里沙子 高相 真鈴 中西 智之 高 淳澔 一杉 正仁
出版者
一般社団法人 日本交通科学学会
雑誌
日本交通科学学会誌 (ISSN:21883874)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.27-32, 2019 (Released:2020-09-30)
参考文献数
12

自動車の衝突事故以外の死亡例として、一酸化炭素(CO)中毒、熱中症、溺水などが報告されている。しかし、これらに対しては具体的な分析に乏しく、効果的な予防策が構築されていない。今回、自動車内で不慮のCO中毒により死亡した剖検2事例、およびわが国における同様事例を調査し、予防策について検討した。剖検例は、1例が雪による排気管の閉塞、もう1例は自動車衝突後の排気管破損放置が原因でCO中毒死を遂げていた。一方、わが国の報告例は、自動車内における不慮のCO中毒者は39人であり、うち14人は死亡していた。発生原因については、死亡例は本剖検例のような車両の整備不良が42.9%、雪による排気管の閉塞が21.4%であり、生存例は雪による排気管の閉塞が92.0%であり、車両の整備不良が8.0%であった。CO中毒予防策について、まず、死亡例においては、車両の整備不良による一酸化炭素中毒になる危険性について広く啓発するとともに、排気管の損傷等を確認すべく、点検・整備を受ける必要がある。次に、生存例においては発生原因の92.0%が雪による排気管の閉塞であり、約半数は乳幼児が犠牲になっているという特徴があった。対策として、積雪時には必ず排気管のテールパイプ周囲の雪を除雪してエンジンをかける必要がある。また、自動車に関するCO中毒事例の登録制度の構築によって、全事例の詳細な分析が望まれる。さらに、自動車内のCO濃度を測定して警報を発するシステムの導入といった車両の安全対策も望まれる。
著者
辻 恵子 小黒 道子 土江田 奈留美 中川 有加 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1_7-1_15, 2006 (Released:2008-04-25)
参考文献数
37

目 的エビデンスレベルの高い論文を探索し,批判的に吟味する過程を通じて会陰切開の適用を再考することである。方 法臨床上の疑問を明確化するためのEBNの方法論を用いて,「会陰切開・術」,「会陰裂傷」,「会陰部痛」,「新生児」のキーワードを設定し,エビデンスレベルの高い論文およびガイドラインを探索した。RCTのシステマティック・レビューである2つの論文に着目し,批判的吟味を行った。同時に,会陰裂傷を最小限にする助産ケアの知見について検討した。結 果批判的吟味を行った結果,2つのシステマティック・レビューにおける研究の問いは明確に定義されており,妥当性を確保するための必要項目を満たすものであった。これらのシステマティック・レビューから「慣例的な会陰切開の実施は,制限的な会陰切開に比べ,“会陰(後方)の損傷”のリスクを増大させる。また,“創部治癒過程”における合併症のリスクおよび退院時の“会陰疼痛”のリスクを増大させる。“尿失禁”および“性交疼痛”のリスクを軽減させるというエビデンスはなく,“新生児の健康上の問題”が生じるリスクを減少させるというエビデンスは存在しない」との結果が導かれた。また,これまでの助産ケアの知見を検討した結果,会陰マッサージ,会陰保護,分娩体位の工夫などで会陰裂傷を最小限にする可能性が確認された。結 論女性に優しい助産ケアとして,助産師は,会陰裂傷を最小限に防ぐケアの可能性を追求すると共に,エビデンスに基づいた情報を適切な方法で伝え,女性自身が必要なケアを選択できるよう,女性とのパートナーシップを構築していくことが求められる。
著者
中川 裕志
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.710-718, 2018-01-01 (Released:2018-01-01)
参考文献数
9

日本では改正個人情報保護法が2015年に成立し2017年5月に施行された。データ主体の同意なしに流通できる匿名加工情報が導入されたが,どのような匿名化処理を施すべきか検討が続いている。EUでは全体の統一的なパーソナルデータ保護規則「一般データ保護規則」が成立し,2018年からの施行に向け,これに適合するプライバシー保護の方策が模索されている。本稿では,プライバシー保護技術を保護対象となる個人が,(1)質問者である場合に (a)質問者が誰であるか,および (b)質問内容自体,を検索エンジン側から秘匿する方法,(2)データベースに個人データが格納されているデータ主体の個人に関して識別を防ぐ場合に分けて,代表的なプライバシー保護技術を概観する。
著者
小松 輝久 中川 尚子
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.694-697, 2008-09-05
参考文献数
14

熱流や外場によって駆動された非平衡定常状態における系の微視的状態の定常分布について,最近,我々が得た結果を紹介する.得られた表式は,平衡系におけるボルツマン因子の非平衡定常状態への拡張と見ることができる.線形応答領域をはみ出した非平衡度の2次まで正しく評価した結果は,過剰エントロピー生成の軌道群平均によって表現される.この表式では,従来取扱いが難しかった定常流の効果,すなわち時間無限大で発散する定常的なエントロピー生成の寄与は相殺し,エントロピー生成の過剰分が基本的な役割を演じる.我々は,この分布表現の発見を切り口として,非平衡物理学に新しい展開ができるのではないかと期待している.
著者
長谷川 健 中川 光弘
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.2, pp.53-72, 2007 (Released:2007-06-20)
参考文献数
47
被引用文献数
9 12

北海道東部,阿寒カルデラ周縁の火砕堆積物を調査し,その層序・年代を明らかにした.対比にあたっては本質物の岩石学的特徴も活用した.阿寒カルデラ起源の火砕堆積物は,古土壌などの介在によって,少なくとも40の噴火ユニットに区分できる.さらにこれらは,層序が連続し,かつ岩石学的特徴が類似する17の噴火グループにまとめられる(上位からAk1~17).Ak1~17の間には,阿寒火山以外に給源を持つ複数の火砕物が挟在する.Ak2とAk3の間には東燐の屈斜路カルデラから噴出した古梅溶結凝灰岩(0.34 Ma)が,Ak14の中には北海道中央部起源である十勝火砕流(1.3-1.46 Ma)の遠方相が堆積する.このことから,阿寒カルデラは前期更新世から活動を開始し100万年以上にわたって火砕噴火を頻発していたことが分かった.この期間,阿寒火山では,噴火グループごとに異なるマグマ系が活動していた.
著者
杉村 宗典 貝谷 和昭 吉谷 和泰 高橋 清香 柴田 正慶 橋本 武昌 吉田 秀人 花澤 康司 泉 知里 中川 義久
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.11-18, 2012 (Released:2015-06-18)
参考文献数
9

症例は45歳,男性.平成20年,エプスタイン奇形に伴うB型WPW症候群に対してアブレーションを施行し,治療に成功した.以後,心電図にデルタ波を認めなかったが,アデノシン三リン酸(ATP)投与にて停止する左脚ブロック型の頻拍が再発し,平成21年5月再治療となった.電気生理学的検査(EPS)において370msec未満の連結期で心房期外刺激を加えると,His束電位の消失とともに頻拍時と一致する左脚ブロック型QRS波形が再現性をもって出現した.そこで三尖弁輪自由壁に多電極カテーテルを留置したところ,電気生理学的三尖弁輪10時方向において,心房波(A波)と心室波(V波)の間に先鋭な電位を認めた.マハイム線維の存在を疑い,この電位(M電位)について検討すべく再度心房プログラム刺激を行い,AH時間とAM時間を比較した.両者の減衰伝導特性は極めて近似しており,かつAM時間はAH時間より常に一定時間の延長を示し,HV時間は不変(45msec)であった.房室結節の不応期の時点でもM電位は記録され,長いAV時間の後に左脚ブロック型QRS波が追従した.誘発された持続性頻拍の逆行性心房最早期興奮部位はHis束記録部であり,電気生理学的検討により本頻拍は右側自由壁房室間に存在するマハイム線維を順行し,房室結節を逆行旋回路とする反方向性房室回帰性頻拍(antidromic AVRT)と診断した.マハイム電位を指標に通電し,頻拍の根治が得られた.マハイム線維の伝導時間が房室結節の伝導時間より常に長く,減衰性が房室結節とほぼ同等であるため,期外刺激にても連続的な心室早期興奮の顕在化がみられないまれな1例を経験したので報告する.
著者
後藤 雄二 Ralf Seidl 中川 格
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.675-684, 2022-10-05 (Released:2022-10-05)
参考文献数
33

陽子は高エネルギーにおいて量子色力学(QCD)に基づきクォークとグルーオンから構成されると理解されているが,陽子のスピン量子数1/ 2をその構成要素から説明することは長年の課題である.陽子のもう一つの量子数である電荷+1は3つの価クォーク電荷の総和でうまく説明できるため,陽子のスピンも同様に価クォークのスピンが担うと思われた.実際に高エネルギー偏極レプトン散乱実験でクォーク・スピンの寄与を測定してみたところ,現在までにその寄与はせいぜい30%程度であることが判明している.これは「陽子スピンのパズル(謎)」と呼ばれ,高エネルギーQCD分野における未解決問題の一つである.では残りの70%はどこから来ているのだろうか? ここで浮上してきたのが,グルーオンのスピンである.陽子はクォークとグルーオンで構成されているから,クォーク・スピンで説明がつかない分はグルーオン・スピンの寄与で補われるのだろうと予想された.クォーク・スピンの寄与の特定に華々しい実績を残してきた高エネルギー偏極レプトン散乱実験だが,レプトンが散乱される際に交換される仮想光子は,陽子内のグルーオンと直接相互作用をしないため既存のレプトン散乱実験ではグルーオンに対する感度は余り高くない.そこで米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)では,世界で唯一の高エネルギー偏極陽子–陽子衝突型加速器を用いてグルーオン・スピンの寄与の測定に挑んだ.2001年から10年以上に及ぶ実験で,ようやくグルーオン・スピンの寄与はゼロではなく,おおよそクォーク・スピンの寄与ぐらいである証拠を掴んだ.まだその精度は十分と言えるほど高くないが,クォークとグルーオンのスピンの寄与を足し合わせても,陽子のスピン全てを説明することはできない可能性が出てきた.陽子の構成要素はクォークとグルーオン以外にないのだから,それらのスピンの寄与を足し合わせて陽子スピンにならなければおかしいのではないか? 何か見落としはないか?クォークとグルーオンは陽子という閉じられた空間内で運動をしているので,それらの軌道角運動量も陽子スピンに寄与できる.つまり陽子スピンには,クォークとグルーオンのスピンの寄与とそれらの軌道角運動量の和で与えられる「スピン和則」が成り立つ.軌道角運動量の測定を目的とした実験も既に多く存在するが,測定した観測量と軌道角運動量を関連付けるのは一筋縄ではいかないため,現時点では軌道角運動量の寄与はあまりよくわかっていない.しかし近年実験手法もより洗練され,理論の発展も著しく,軌道角運動量を特定する土台が急速に整備されつつある.陽子スピン1/ 2を構成要素から説明する研究は,陽子スピンに寄与しうるそれぞれの成分を一つ一つ高精度で測定し,最終的にスピン和則が満たされることを確かめるのがゴールである.そのためにはクォークとグルーオンのスピン,及び軌道角運動量の寄与をそれぞれ精密に測定しなければならない.スピンパズルは偏極陽子–陽子衝突実験で解決まであと一歩のところまで追い詰めた.この追求のバトンは,2030年頃にBNLで実験開始が予定されている世界初の電子–イオン衝突型加速器に引き継がれる.
著者
中川 和明 中山 準之助
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.36-70, 2022-08-01 (Released:2022-09-20)

沖縄の本土復帰50年に合わせてNHK放送文化研究所は、米軍基地や日米安全保障体制、沖縄の経済などについて人々がどのように考えているか把握するため、沖縄県と全国を対象に世論調査を実施した。復帰に対する評価や沖縄と米軍基地の関係などのテーマごとに結果を報告する。「沖縄の本土復帰の評価」▼本土復帰を『よかった』と評価している人は沖縄では8割超、全国で9割超。▼国の振興策について沖縄では『役に立った』が約8割を占めるも、国の施策全般については沖縄の意向を『踏まえていない』が6割に上る。「沖縄と米軍基地」▼復帰後も残る米軍基地について沖縄では「やむを得ない」(51%)「必要だ」(11%)と「肯定的」に思っている人が5割を占めるが、在日米軍専用施設の約7割が沖縄に集中していることについては8割超が『おかしいと思う』と答えた。「基地と沖縄の経済」▼沖縄の経済は米軍基地がなくても成り立つと思っている人が沖縄では5割以上を占め、7割以上が基地は自分の暮らしや仕事に『役立っていない』と答えた。「沖縄戦の継承」▼沖縄戦の歴史について、『知りたいと思う』人は沖縄で約9割、全国でも約8割。『継承されていない』と思う人は沖縄で5割超、全国では7割超。「沖縄の現状と今後」▼沖縄の現状については『満足している』(51%)と『満足していない』(48%)が5割で拮抗。▼これからの沖縄の課題では「貧困や格差の解消」が8割近くを占めた。