著者
田口 紀子 吉川 一義 増田 真 永盛 克也 稲垣 直樹 井上 櫻子 小黒 昌文 和田 章男 松澤 和宏 和田 章男 松澤 和宏 加藤 靖恵 三野 博司 水野 尚 和田 光昌
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

毎年数回研究分担者による最新の研究成果発表の機会を持ち、異なった作家の生成研究の前提条件や方法論に関する共通の理解を得た上で、班員による自由な意見交換を行い、方法論においていくつかの公約数を抽出した。その成果を基盤として、平成19年12月7日から9日に京都の関西日仏学館で、国際シンポジウム"Comment nait une oeuvre litteraire? -Brouillons, contextes culturels, evolutions thematiques-"を開催した。また最終年度には、本共同研究の知見を核として、生成研究をテーマとした日本語の学術書の編纂を企画、準備した。
著者
加藤 雄二
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の課題は、アメリカの作家と作品とおもに日本におけるそれら受容史を、歴史的経緯と現代における文学の理論的理解を考慮に入れながら議論することであった。初年度平成15年度にはアメリカ作家ハーマン・メルヴィルと日本における受容史に焦点をあて、日本の第二次世界大戦前後の文学的風土がきわめてつよくロマン主義を思考しており、反ロマン主義的な側面を強く持つメルヴィルの作品とは相容れない本来的な齟齬をきたしていた様を描写した。次年度には、メルヴィルについての研究でその重要性があきらかになった1970年代以降の日本でのアメリカ文学の受容に焦点をあて、作家村上春樹によるアメリカ作家スコット・フィッツジェラルドの影響の源としての利用が、日本におけるアメリカ文学受容の理論的に重要な側面を代表していることを示そうとつとめた。16年度の後半には、アメリカの現在のアメリカ文学研究のありかたをよりよく知ろうとつとめると同時に、日本の戦後のコンテクストにおいて最も重要であると思われるアメリカ作家ウィリアム・フォークナーの受容と研究を、日本の文学の展開と並行するかたちで議論しようとつとめた。これらの研究によって、戦後開始された日本におけるアメリカ文学研究の問題点がいくぶんか明確になり、今後の研究に資することが可能となっただろう。
著者
加藤 徹 倉島 栄一
出版者
宮城県農業短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、地球温暖化が積雪地河川の融雪流出へ及ぼす影響の予測を試みたものである。研究対象流域としては、東北地方の名取川水系大倉ダム流域(宮城県)と北陸地方の小矢部川水系刀利ダム流域(富山県)である。地球温暖化が融雪流出へ及ぼす影響をみるため、気温上昇による両ダムにおける月別総流出高、月別融雪流出高、月別融雪水依存度、旬別総流出高、旬別融雪流出高、流域の積雪水量および消雪日等の変化によって検討した。なお、地球温暖化シナリオとしては、気温上昇に伴う降水量増加を考慮したものをシナリオI、気温上昇を全く見込まないものをシナリオIIと設定した。その結果の概要は、下記のとおりである。"(1)"気温上昇に伴い、降水のうち降雪となる割合が小さくなり、積雪水量が小さくなる。また、融雪時期や流域の消雪日も早まる。そのため、融雪流出の早期化と減少化が顕著となる。"(2)"月別総流出高、月別融雪流出高、月別融雪水依存度、旬別総流出高、旬別融雪流出等はいずれも融雪最盛期の4月、5月には減少し、逆に3月、2月にやや増加して平滑化される。"(3)"気温上昇に伴う降水量増加を見込んでいるシナリオIよりも降水量増加を見込まないシナリオIIの総流出高、融雪流出高等が大きく減少する。"(4)"大倉ダムと刀利ダムとの比較では、気温上昇に伴う総流出高、融雪流出高の減少割合には大きな差異が認められないが、流出高そのものの減少は刀利ダムの方が大きく、大倉ダムの2〜3倍となる。"(5)"以上のように、地球温暖化は、積雪地河川の融雪流出へ大きな影響を及ぼすことが予測される。
著者
岡室 博之 港 徹雄 三井 逸友 安田 武彦 高橋 美樹 堀 潔 原田 信行 本庄 裕司 福川 信也 土屋 隆一郎 加藤 雅俊 濱田 康行 村上 義昭 鈴木 正明 柴山 清彦 島田 弘 池内 健太 西村 淳一
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

2007年1月以降の新設法人企業に対して、2008年11月以来4回の継続アンケート調査を実施し、特に研究開発型の新規開業企業の創業者の属性や資金調達・雇用、研究開発への取り組みと技術成果・経営成果等について独自のデータセットを構築した。それに基づいて、新規開業企業の研究開発に対する創業者の人的資本の効果(資金調達、技術連携、イノベーション成果)を計量的に分析した。さらに、政府統計の匿名個票データを入手して自営開業について統計的分析を行い、アンケート調査に基づく分析を補完した。また、知的クラスターに関するアンケート調査と訪問調査を実施し、クラスター政策と新規開業・イノベーションの関連等を考察・分析し、国際比較を交えて関連政策の評価を行った。
著者
加藤 万里子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本年度は光星の光度曲線の理論を確立した。まず可視光や赤外線など長波長では、光球のすぐ外のプラズマから放出される自由-自由遷移により放射を私のoptically thide wind理論を用いて計算した。横軸を対数でとりと、白色矮星の重さや波長によらいない普遍則があることがわかった。ただしx線や紫外線の光度曲線は光球からの異体輪射でわれによく近似できる。この普遍則は折れ曲がりのをあらわすパラメタ1つで体系化できる。この理論をいくつかほ新星の光度曲線と詳しく合わせることにより、精密に連星にパラメタを決定することができることを示した。これまでの研究の総まとめとも言える。また、2006年2月にへびつかい度RS星が20年ぶりに爆発した。今回は日本の観測グループを組織して緻密なy光度曲線を得ることに成功した。これはガス円盤の存在をはっきり示している。そこで白色矮星に照らされたガス円盤と伴星を含むモデルを計算し、光度曲線を合わせることにより、この星がI_a型超新星への迄すじの王期に位置することを示した。また今回はじめて軟X線の光度曲線が得られたのでそのモデル計算も行った。軟x線が長く続くことは、白色矮星の上にヘリウム層がつもっていることそ示していることがわかった。つまりこの星はIa型超新星の親天体である。さらに昨年にひきつづき、超エディユトン光度の理論研究をすすめることができた。観測データのそろった5つの古典新星につき、吸収係数の減少を考慮した光度曲線モデルを計算し、新星のピークを再現することに成功した
著者
本間 正明 加藤 崇雄 米田 二良 石井 直紀
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

当該補助金の下での研究成果はいずれもHermitian曲線に関わるものである.Fをq^2元体とし,これを固定する.ただし,qは素数Pの幕である.F上の射影平面内で非斉次方程式y^q+y=x^<q+1>で定義された(あるいは,それにF上射影同値となる)曲線をHermitian曲線とよぶ.この曲線は望みうる最大個数のF有理点を持ち,またF上の自己同型群も大きく,正標数体上で特有な曲線の性質を調べようとするとき,まず手がけるべきものである.本研究の前段階として,われわれはこの曲線上の2点符号の最小距離をすべて決定したが,本研究ではそれら2点符号の第2Hamming最小距離の決定を試み,それらを完全に決定した.最小重みの決定に比べ,さらに精緻な議論が必要であり綿密な確認を行ったのち,論文として公表する予定である.またRermitian曲線の精密な考察の副産物として,Hermitian曲線の射影に関するGalois群(モノドロミー群)についての結果も得られた.その結果は次の通り.(1)Fの代数閉包上の射影平面内の点が,Eermitian曲線に対するGalois点である必要十分条件はその点がF有理点であること.また,そのGalois群は曲線上の点についてはq=p^eとするとき,Z/pZのe個の直和であり,曲線外の点についてはZ/(q+1)Zである.(2)Galois点ではない点を中心としたとき,その射影から得られる体の拡大のGalois閉包までのGalois群は曲線外の点についてはq元体上の射影直線の1次変換群,曲線上の点については虹元体上のアフィン直線の1次変換群となる.また繁雑な計算を要するが,Galois閉包に対応する曲線の種数も決定できた.
著者
菱田 雅晴 毛里 和子 天児 慧 加藤 弘之 唐 亮 高原 明生 小嶋 華津子 朱 建榮 趙 宏偉 諏訪 一幸 阿古 智子 南 裕子 中岡 まり 加茂 具樹 中居 良文 呉 茂松 白 智立 鄭 永年 景 躍進 趙 秀梅
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

1978年末以来の中国の改革が"私利"を核とした社会システム全体の転型であることに呼応して、中国共産党自身にも"私化"傾向が著しく、組織としての私人性に加えての"私利性"は"領導核心作用"なるレトリックの正統性に深刻な影を落としている。最終的には、この党組織は、内外の環境変化から危機的様相を強め、存続そのものが危殆に瀕しているかの如く見えるものの、これら変化を所与の好機として、この世界最大の政党にして最大規模の利害集団はその存在基盤を再鋳造し、新たな存在根拠を強固なものとしつつあるものとの暫定的結論を得た。
著者
村上 覚 加藤 智恵美 稲葉 善太郎 中村 新市
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.132-136, 2007-09-01
被引用文献数
3 7

早咲きザクラである'カワヅザクラ'の自発休眠覚醒期と休眠解除に必要な低温要求量を調査した. 2003年度と2004年度のそれぞれ10月20日, 11月5日, 11月26日, 12月5日, 12月26日に河津町田中に植栽されている'カワヅザクラ'から切り枝し, 最低気温15℃の温室内に搬入して水挿しした. 花芽の開花率は10月下旬から12月上旬まで, 葉芽の展葉率は, 10月下旬から12月下旬まで, 温室への搬入が遅くなるほど上昇した. 開花率については11月5日処理と11月26日処理の間で明らかな差がみられ, 展葉率については11月5日処理と12月5日処理との間で明らかな差がみられた. このことから, 花芽の自発休眠は12月上旬には既に覚醒しており, 葉芽についてはそれ以降であることが明らかになった. また, 自発休眠覚醒に影響を及ぼす気温は他のサクラと比較して高いことが示唆され, これらのことが早咲きの一因と推察された.
著者
加藤 陽一郎 五十嵐 紀子 平澤 明 辻本 豪三 小林 槇雄
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.485-485, 1995-06-25

第6回東京女子医科大学遺伝医学研究会 1994年11月26日(土) 中央校舎4階講義室(400号室)
著者
加藤 信哉
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.743-752, 2009

図書館で購読する電子ジャーナルなどの電子情報資源が増加するにつれてライセンス契約は図書館と出版社の双方にとって大きな問題となっている。NISO (National Information Standards Organization) のSERU(Shared E-Resources Understanding)は著作権法と購入発注書に依拠することにより,ライセンス契約を結ぶ代わりに出版社と図書館の共通理解に基づいて電子ジャーナルの利用を行う代替手段である。本稿では,SERUの背景,成立の経緯,概要および現状について紹介する。<br>
著者
秋元 英一 須藤 功 村山 祐三 地主 敏樹 加藤 一誠 佐藤 千登勢 山本 明代 久田 由佳子 原口 弥生 橋川 健竜 篠原 総一 篠原 総一
出版者
帝京平成大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ニュー・エコノミーと呼ばれる情報技術革命とグローバリゼーションを基盤とした経済システムのパターンは1990年代以降のアメリカに典型的に見られたが、それの進展の内的メカニズムと労働、金融、テクノロジーを含む経済的、歴史的諸側面を解明し、国際シンポジウムを開催し、内外研究者の交流を図ると同時に、その成果を千葉大学公共センターの英文ジャーナルに全面的に公表した。
著者
加藤 守通 井ノ口 淳三 相馬 伸一 大田 光一 下司 裕子
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の目的は、コメニウス中期の思想を代表する主著『光の道』に焦点を当て、彼の教育思想の多義的・重層的性格を明らかにすることであった。成果は以下の通りである。(1)教育思想史のみならず科学史における基本文献である『光の道』の本邦初訳を完成した。(2) コメニウスと新プラトン主義およびルネサンス思想との関連を明らかにした.(3)コメニウス教育思想が学校教育を超えた生涯学習論へと展開していく過程を明らかにした。(4)『光の道』啓蒙思想との関連を明らかにした。(5) オランダ、チェコなどでの調査や発表を通じてUwe Voigt教授をはじめとした世界的なコメニウス研究者との連係を確立した。
著者
加藤 浩三
出版者
上智大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

平成12年度は、昨年度に収集した阪神淡路大震災および米国ノースリッジ地震に関する資料を分析し、その分析から得られる論点を整理し、そしてその論点を米国での現地調査で確認することに重点が置かれた。日本で収集された資料から得られた論点は、日本の危機管理の特徴は、その管理を司る組織形態が、集中的か分散的かという点ではなく、国家と社会との間で危機意識を共有する政策形成過程が、欠如しているということである。通常、日本の危機管理は、情報管理、指示系統が分散し、中央集中型の組織形態をとっていないため、特にその初動体制に問題が多いといわれてきた。官邸に設置された首相のリーダーシップを発揮するための危機管理室は、その点を考慮されたものである。しかしながら、中央管理的な危機管理のお手本とされた米国の意志決定システムは、日本でいわれるほど連邦政府による集中管理ではなく、実際には、連邦レベルの危機管理は、州レベル、郡レベルの管理体制と共生している。したがって、危機発生時のリーダーシップは、州知事、郡保安官、市長、そしてかれらの意志決定に日頃から深く関与している非政府組織らによって、発揮されている。連邦レベルの危機管理は、国家安全保障に係わる問題を除き、地方政府の要請なくしては発動されないのが基本である。本研究の焦点である地震災害では、連邦緊急事態管理庁(FEMA)は、危機管理の主役ではなく、被災地域救済、復興に必要な物資・経費を見計らう少数の専門家集団であった。日本の危機管理が、米国のそれと決定的に異なるのは、国家と社会との間の危機意識を共有する度合いである。日本の場合は、自然災害について、中央・地方政府と社会集団との間で、危機意識を共有していることは希で、災害ヴォランティアの人々も、平常時には、国家と社会との仲介者とはなっていない。日本経済成功の要因として指摘されてきた、国家と社会との間の緊密なネットワークは、少なくとも災害管理の問題では、ほとんど存在しない。
著者
加藤 隼也 川端 亮 伊藤 潔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.384, pp.19-24, 2009-01-12

ドメインと複数のドメインに共通なオントロジの構成法を,コンポーネントの観点とタスクの観点から考察し,オントロジの再利用可能な記述法と記述したオントロジの再利用方法を検討する.オントロジの記述の例として仕事の受託について記述した.タスクオントロジを格文法とコミットメントネットワークに沿って記述し,タスクオントロジからコンポーネントオントロジを抽出しコンポーネント同士の関係を記述する.この記述法と再利用法を,Excel VBAで実装した.
著者
加藤 真由美 大木 佐智子 谷 里佐 三宅 茜巳 佐藤 正明 後藤 忠彦
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.26, pp.386-389, 2010-08-21

これまでの歴史・観光資料の書籍とくに,教科書は,主として印刷メディアで構成されてきた.しかし,最近の電子教科書・書籍は印刷物の二次利用としてデジタル化が進められ,さらに,最初から電子書籍を目的とした,映像・印刷物・関連資料を用いたマルチメディアの構成についての研究開発が進もうとしている.そこで,今回,奈良時代からの背景をもとに,手向山八幡宮(奈良県)の上司氏による現物(現地)での説明と関連資料を用いたデジタル・アーカイブを構成し,今後の電子書籍の方向性について検討を行った.
著者
山口 三重子 島津 望 下妻 晃二郎 矢部 正浩 福島 智子 加藤 恒夫
出版者
県立広島大学
雑誌
広島県立保健福祉大学誌人間と科学 (ISSN:13463217)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.77-85, 2005-03

本研究の目的は,自宅で最期を迎えたいと希望するがん患者の在宅緩和ケアを行うために作られた,プライマリケアチーム(開業医・訪問看護師・開業薬剤師など)と緩和ケア専門チーム(緩和を専門とする医師・看護師・MSWなど)の連携がスムーズに行われるための課題を明らかにすることである。分析対象は,在宅緩和ケアに参加した医療職者の事例検討会(学習会)において録音したテープ,診療録,看護記録である。テープは逐語録にし,分析にはワトソンの理論を参考に内容分析法で行った。その結果,在宅緩和ケアにおける連携をスムーズにするために必要な因子として,連携前の準備,緩和ケアに特有のケアや薬剤の理解,両チームの役割分担,の3つの要因が抽出された。今後の検討課題として,連携のアウトカム評価,コーディネーター(リーダー)の役割と職種,より多職種を含めた組織化などが挙げられた。
著者
丸井 淳己 加藤 幹生 松尾 豊 安田 雪
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

今や主要なウェブサービスの一つとなったSNSには非常に大規模な人間関係が構成され,社会的な重要性が増し続けている.我々はmixiのリンク構造とアクセスログを調査し,基礎的な性質を示すと共に年代による人間関係の違いを明らかにした.次にリンクのクラスタリングを行い5種類の人間関係に分類した.さらに5種類の共起具合をNetwork motifを用いて計算し,情報の流れるパスの局所的な性質を明らかにした.
著者
加藤 久典
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

昨年度の研究において、転写因子ATF-4およびボスファターゼPP1cのノックダウンがアミノ酸情報伝達を減弱させることを見いだした。本年度はこれらのさらに上流に位置する伝達経路の関与を明確にする目的で、mTOR経路の上流因子として最近見いだされたhvps34と、これを調節することが示唆されているp150に着目した。ノックダウン効率の検討では、HEK293細胞において、hvps34のmRNAレベルは約30%に、タンパク質レベルは約40%に減少した。一方HepG2においても同程度のノックダウン効率を得ることができた。何れの細胞株においても、p150のmRNAは約30%に減少した。アミノ酸によるmTORの下流にあるp70S6キナーゼのリン酸化はhvps34とp150の何れのノックダウンよっても大きく減弱した。これらのことから、各細胞におけるアミノ酸シグナルの認識にvps34が関わっていることを明らかにし、認識機構の全貌解明に本実験系が有効であることが示された。一方、前年のDNAマイクロアレイによる解析で、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)の遺伝子をアミノ酸欠乏に対する高応答遺伝子として見いだしたが、この遺伝子の上流域に既知のアミノ酸応答配列に類似した配列が存在することがわかった。この領域を含むレポーターベクターを作成し、転写因子ATF-3やATF-4と共発現させたところ、この領域がこれら因子によって強力な制御を受けていることが示された。このことから、PEPCKはこれまで用いてきたIGFBP-1同様にアミノ酸情報伝達を解析する上での有用なツールとして利用できることがわかった。