著者
田中 裕 安梅 勅江 酒井 初恵 宮崎 勝宣 庄司 ときえ
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.23-32, 2005-09-30 (Released:2017-09-15)

長時間におよぶ乳児保育利用児の5年後の発達に影響を与えている要因について、育児環境、保護者の育児意識、子どもの属性、子どもの社会適応、子どもの要因、保育時間等の関連を明らかにした。全国認可保育園71園において保護者と園児の担当保育専門職に質問紙調査を実施し、追跡可能であった30名を有効回答とした。その結果、5年後の子どもの発達への関連要因として、家族で一緒に食事をする機会が乏しい場合には「粗大運動」「対人技術」「理解」領域で、また育児支援者がいない場合には「粗大運動」「コミュニケーション」領域で、さらに育児に対する自信がない場合、保育園に適応していない場合には「微細運動」領域で、きょうだいがいない場合には「対人技術」領域で、有意にリスクが高くなっていた。「乳児保育の時間の長さ」はいずれの発達領域でも有意に関連しないことが示された。
著者
木本 雄吾 宮崎 英治 土屋 佑太 後藤 亜希 行松 和輝
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.205-211, 2021-06-05 (Released:2021-06-05)
参考文献数
15

超低高度域(高度300 km以下)で運用される宇宙機の課題の一つとして原子状酸素(Atomic Oxygen : AO)の存在がある.AOは高層大気中の酸素分子が太陽からの紫外線により分解され,酸素原子となったものであり,高度が低いほど高濃度である.AOは衛星構体最表面に用いられる高分子材料を浸食する.そのため超低高度域の開拓には,AO量及びその影響の把握がミッションの成立性の観点で重要である.超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS : Super Low Altitude Test Satellite)のミッション機器として,AOモニタ(Atomic oxygen Monitor : AMO)が搭載された.AMOの目的は,SLATSが運用される軌道のAO環境の計測及びAOによる材料劣化の確認である.AMOはSLATSの打上げに合わせ電源投入,運用され,計画したミッションを達成した.
著者
宮崎 剛 Takeshi Miyazaki
出版者
武庫川女子大学
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
no.6, pp.39-51, 2011-03

子どもたちの学ぶ意欲が低下し,学びへの動機づけが弱体化している今日,学びの面白さを伝える教師の力量をいかに充実させるか,ということがますます重要になってきている。算数・数学教育という領域でこの問題を捉え返すとき,次のような数学的経験を積むことの必要性が浮き彫りになる。それは,扱っている題材が仮に子どもを対象とした単純なものであったとしても,それをより高い立場から掘り下げ,再構成し,その多面性や他の様々な題材との関連などを実感する経験である。本研究ノートは,分数の大小比較および負数の乗法という初等教育レベルの題材を取り上げ,それらをいかに数学的に拡げ,深めることがなし得るかを示し,上記の目的に資する一つの試みである。
著者
竹本 正明 浅賀 知也 金 崇豪 宮崎 真奈美 中野 貴明 広海 亮 稲村 宏紀 山本 晃永 伊藤 敏孝
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.516-520, 2017-06-30 (Released:2017-06-30)
参考文献数
7

背景:現在日本では高齢者が増加しており,高齢者の救急搬送数そして高齢者施設からの救急搬送数も年々増加している。目的:高齢者施設からの救急搬送例を検証し,その傾向と問題点を検討した。方法:2014年1月から2015年12月までの24カ月間に高齢者施設から当院救急外来に救急車で搬送された患者を対象として後ろ向きの研究を行った。結果:症例は715例。平均年齢は85.3歳であった。中等症以上の症例は67.0%であった。搬送元としては特別養護老人ホーム,介護老人保健施設,介護付き有料老人ホームが多かった。搬送理由としては心肺停止49件,内因性591件,外因性75件であった。内因性疾患の中等症以上の割合は69.5%であり,外因性では中等症以上が26.7%であった。考察:明らかに緊急度が低い症例も散見され,とくに外傷では念のための受診を目的とした救急要請も多いと考えられた。不要な救急要請を減らすためにも各高齢者施設ではかかりつけ医との連携を深め,患者の緊急性の要否を判断ができる状況をつくる必要があると考えた。
著者
宮崎 秀夫 花田 信弘 中山 浩太郎 十亀 輝 重岡 利幸 児島 正明 松田 修司 竹原 直道
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会雑誌 (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.1137-1142, 1986

鹿児島県長島高校生(15∿18歳), 181名を対象に, CPITN (WHO)を用いた歯周疾患の疫学調査を行なった.その結果, 長島高校生の9割弱が歯肉出血(Code 1)以上の歯周疾患の症状を呈しており, 歯石沈着(Code 2)以上の所見が認められる者の比率でみると, 北九州の高校生より, 20% (女)∿40%(男)高かった.また, 歯周疾患の処置の必要性に関しては, 長島高校生の約90%が口腔清掃指導を必要としており, 80%以上が除石を必要としていた.しかしながら, 複雑な治療を要する者は1名もいなかった.以上の所見より, 集団歯科保健指導や管理が行なわれやすいこの時期(高校生)までに, 歯周疾患に関する徹底した指導, 教育と, スクリーニングの必要性が示唆された.
著者
矢萩 一樹 宮崎 浩一
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.46, no.SIG10(TOM12), pp.158-171, 2005-06-15

オプションの市場価格が理論価格より割高である場合には,オプションを売却してデルタヘッジを行えば理論上は確実に収益があがるはずであるが,実際には損失が発生することがある.本研究では,そのメカニズムを解明するために,デルタヘッジの効率性に着目したシミュレーションモデルを提案した後,実データに基づいて本モデルを利用した検証を行う.デルタヘッジを行う際に使用するデルタの算出には,実現したボラティリティ,各時点のインプライド・ボラティリティ,GARCH ボラティリティの3 種類を用いることで,これらのボラティリティがデルタヘッジに与える効率性の違いを比較した.また,分析をより現実的なものとするため,デルタヘッジにおける株式の売買コストを考慮したうえで,ヘッジ頻度を変えた分析からデルタヘッジの効率性とヘッジコストとのトレードオフを確認した.実験結果から,各時点のインプライド・ボラティリティおよびGARCH ボラティリティを直接利用するだけでは,デルタヘッジの効率性はきわめて低いことが分かった.ただし,現実のボラティリティをある程度正しく予測することができたならば,取引回数を10 回程度以上行うことで理論どおりに収益をあげることができるのが確認できた.また,ヘッジコストとヘッジの効率性に関するトレードオフは存在し,ヘッジ間隔が長くなるにつれて売買コストが低下する影響が強く現れる結果となった.
著者
宮崎 泉
出版者
京都大學大學院文學研究科・文學部
雑誌
京都大學文學部研究紀要 = Memoirs of the Faculty of Letters, Kyoto University (ISSN:04529774)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.1-126, 2007-03-31

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
都築 基弘 平野 正美 井野 晶夫 長谷川 明生 宮崎 仁 小島 博嗣 丸山 文夫 岡本 昌隆 松井 俊和 江崎 幸治
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.296-302, 2000

1984年8月から1998年1月までに受診した高齢者(60歳以上)AML全83例の特質を明らかにするために同時期に受診した若・壮年者(15&sim;59歳)114例と臨床像および検査所見の比較検討を行った。高齢者AMLは,白血病細胞側の特徴としてはMDS先行AMLが多く,<i>de novo</i> AMLのFAB分類ではM3が少なく,M0, M1の多い傾向がみられた。染色体検査では予後不良とされる5番,7番染色体の異常が多くみられ,予後良好な15;17転座,8;21転座,16逆位は少なかった。また白血病芽球のミエロペルオキシダーゼ陽性率50%未満の症例が多くみられた。宿主側の特徴としては,検査所見では末梢血芽球比率,総蛋白低値,フィブリノーゲン,クレアチニン高値を示した。performance status 3および4の症例が約40%を占めており,診断時肝障害,心疾患,明らかな感染巣を有する症例が多くみられた。高齢者AMLは若・壮年者に比し多くの予後不良因子をもつ集団であることが示された。
著者
益子 貴史 徳田 恵一 宮崎 昇 小林 隆夫
出版者
Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-2, 情報・システム. 2, パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J83-D2, no.7, pp.1600-1609, 2000-07-20

隠れマルコフモデル(HMM)に基づいてピッチパターンとスペクトル系列を同時にモデル化及び生成する手法について述べる.ピッチパターンは,連続値をとる有声区間と値をもたない無声区間の時系列として表現されるため,通常のHMMではモデル化することができない.そこで本論文では,多空間上の確率分布に基づくHMM(multi-space probability distribution HMM: MSD-HMM)を適用し,ピッチパラメータとスペクトルパラメータを結合した特徴パラメータを用いてピッチとスペクトルを統一的にモデル化する手法を提案する.また,MSD-HMMにおける決定木に基づくコンテクストクラスタリング手法を導出し,ピッチやスペクトルの変動要因を考慮したモデルの構築手法について述べる.更に,ゆう度最大化基準に基づくパラメータ生成手法を用いることにより,実音声を近似したピッチパターン及びスペクトル系列を生成できることを示す.
著者
上田 京子 山田 耕路 塚谷 忠之 村山 加奈子 倉田 有希江 竹田 絵理 大塚 崇文 高井 美佳 宮崎 義之 立花 宏文
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.242-249, 2015
被引用文献数
2

本研究ではブロッコリー全草を6つの部位に分け,各部位の栄養成分および細胞機能への影響を明らかにすることを目的として,ビタミンC,<i>S</i>-メチルメチオニン,総ポリフェノール,乳がん細胞増殖抑制および免疫調節機能について,ブロッコリーの各部位の比較検討を行った.<BR>花蕾 : ビタミンC並びに<i>S</i>-メチルメチオニンを多く含有し,ヒスタミン放出抑制能が高かった.<BR>茎,主軸下部 : 可食部以外である茎,主軸下部は,ビタミンC,<i>S</i>-メチルメチオニン,ポリフェノールはほぼ同等量含まれていた.また,花蕾と比較すると抗体産生増強能を有していた.<BR>葉軸 : 茎,主軸下部と同等のビタミンC,<i>S</i>-メチルメチオニン,ポリフェノールを含んでいた.ヒスタミン放出抑制,IgA産生の増強,IgE産生低下の傾向を示した.<BR>葉 : ビタミンCは花蕾の18%,<i>S</i>-メチルメチオニンは花蕾の29%であったが,ポリフェノール量は花蕾の3.1倍含んでおり,ヒスタミン放出抑制,ロイコトリエン放出抑制,IgE産生抑制の傾向が見られ,花蕾と比較すると抗アレルギー素材としての特徴を有していた.<BR>根 : ビタミンCは花蕾の12%,<i>S</i>-メチルメチオニンは花蕾の25%,ポリフェノールは花蕾の83%含まれており,特にMCF-7のがん細胞増殖抑制能を有していた.<BR>以上のように,ブロッコリーの部位別に栄養,機能が分布していることを明らかにした.その他の部位は可食部である花蕾と栄養·機能の特徴が異なっており,これまでに利用されてきた部位には存在しない生理活性物質が未利用部位に存在する可能性がある.
著者
宮崎 大介 向井 孝彰 前田 有希 村上 進 宮崎 剛
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

インテグラルイメージング方式による3次元像表示と半球凹面鏡による空中像表示、回転ミラーの全周囲走査の組み合わせによる、全周囲から観察可能な空中3次元像形成技術の研究を行った。表示像には、光学系の収差による像の歪みや、光放射方向の不適切さによる像の欠けなどの問題があった。そこで、光学系中にスクリーンを配置して投影像を撮影し、光学シミュレーションと比較して、像形成の特性を解析した。また、凹面鏡の形状を計測し、光学シミュレーションに測定結果を適用することで、精度の高い光学系の設計を行った。試作システムにより全周囲から観察可能な3次元空中像の形成を行い、提案手法の有効性を確認することができた。
著者
江木 盛時 小倉 裕司 矢田部 智昭 安宅 一晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 黒田 泰弘 小谷 穣治 志馬 伸朗 谷口 巧 鶴田 良介 土井 研人 土井 松幸 中田 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升田 好樹 松嶋 麻子 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.27S0001, 2020 (Released:2021-02-25)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
亀長 洋子 飯田 巳貴 西村 道也 宮崎 和夫 黒田 祐我 櫻井 康人 堀井 優 佐藤 健太郎 高田 良太 澤井 一彰 齋藤 寛海
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

多文化が交錯する世界である中近世の地中海世界を、東洋史・西洋史の共同研究として再考した。中近世のグローバリゼーションのなかで、アラブ、マグリブ、トルコのイスラーム諸勢力、ビザンツ、西洋カトリック諸勢力、ユダヤ教徒などが地中海世界の各地で政治、経済、宗教、社会の様々な面において対峙する様相を各研究者は個人研究として進め、その成果を海外研究者の協力も得つつ互いに共有した。それにより研究者たちは西洋史・東洋史のいずれにも偏らない視野を育くみ、一国史観を超えた歴史叙述を充実させた。その成果を含んだ研究報告書を作成し多くの研究者に配布し、また共同研究の成果を公開シンポジウムの形で広く人々に公開した。
著者
高川 健一 宮崎 孝正 五福 明夫
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.372, 2008

原子炉施設情報公開ライブラリーに公開された情報を、原子力安全システム研究所が考案した原因分類により、複数の「一般大衆」と「専門家」の分析者による分類結果のばらつきを評価したところ、両者ともばらつきが見られたが、そのばらつきの傾向に類似性の有るものと無いものに区分できた。
著者
飯田 悠佳子 宮崎 真 関口 浩文 上田 有吾 鳥居 俊 内田 直
出版者
日本発育発達学会
雑誌
発育発達研究 (ISSN:13408682)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.45, pp.45_1-45_10, 2010 (Released:2011-01-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1

The aim of this study was to investigate the relationships between cognitive functions and daily physical activities in primary school children. Subjects were 153 pupils (Age 6-12 years old), and visual Go/Nogo task for cognitive functions and parents questionnaire for daily physical activities were used.As results, male children exhibited negative correlation between duration of exercise and information processing time, and positive correlation between duration of exercise and the number of false response. Female children exhibited positive correlation between time of indoor play and number of false response. All these correlations were statistically significant. Further in females, those who spent longer time in playing video games exhibited statistically shorter reaction time.These findings suggested that the cognitive functions evaluated from visual Go/Nogo task were related to daily physical activities, especially the exercise and the indoor play. Further these factors and relationships could be different between males and females in preadolescent children.
著者
梅野 貴恵 宮崎 文子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Japanese Lournal of Maternal Health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.327-335, 2008-07-01
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究では母乳育児を継続している10名の女性の,分娩直後から産後12ヵ月までの血中ホルモン濃度の推移を検討した。血中ホルモンとしては,エストラジオール,プロラクチン,LH,FSHに着目し,産後2日目,産後1ヵ月,3ヵ月,6ヵ月,9カ月,12ヵ月目の合計6回測定した。10名の女性のうち,4名はそれぞれ産後6ヵ月目,8ヵ月目,10ヵ月目,12ヵ月目に月経が再開した。月経が再開した対象者を「月経再開群」,産後12ヵ月までに月経の再開がなかった6名を「月経なし群」とした。血中エストラジオールは,両群ともに産後1ヵ月には減少するが,「月経再開群」は産後3ヵ月から上昇傾向を示した。「月経なし群」は産後12ヵ月まで低値を維持したままであった。母乳育児中の女性のプロラクチンは,産後12ヵ月まで徐々に減少傾向を示すが,1日の授乳回数の影響をうけ,授乳回数の減少とともにプロラクチンの低下が進行し月経が再開する。
著者
中川 幹子 江崎 かおり 宮崎 寛子 手嶋 泰士 油布 邦夫 高橋 尚彦 犀川 哲典
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.292-299, 2012 (Released:2015-07-16)
参考文献数
21
被引用文献数
3

早期再分極に見られる心電図所見の特徴は,J点の上昇およびJ波(QRS終末部に見られるノッチもしくはスラー)の存在である.J点上昇とJ波では出現頻度や出現誘導が異なっており,臨床的意義は同一ではないと考えられる.すなわち,健常若年男性に見られるJ点上昇はV2~V4誘導で高率に認められるのに対し,J波は主に下壁誘導とV4~V6誘導に出現する.われわれの検討では,J波は男性の12.0%,女性の9.3%に認められ,若年群と高齢群にピークを有する2峰性パターンを示した.ホルター心電図を用いた検討によると,健常人においてもJ波は夜間に増高する日内変動を示し,心拍数や自律神経活動に影響を受けることが示された.加算平均心電図を用いた検討では,J波はQRS内部に含まれていた.また,心エコー図上,左室内に心室中隔から乳頭筋に付着する偽腱索をもつ症例では,J波の合併率が有意に高く,これらの心室内構造物がJ波や不整脈の発生と関連がある可能性が示唆された.