著者
高田 礼人
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

ウイルス感染症の対策として、ワクチン接種による予防が最も一般的であり効果が期待される。ワクチンは生ワクチンと不活化ワクチンに分類されるが、生ワクチンは安全性の問題、不活化ワクチンは免疫原性の弱さの問題が、それぞれ短所として挙げられ、双方の短所を克服した安全で効果的なワクチンの開発は困難である。特に、生ワクチンは短期間で作出することが不可能であるため、発生頻度が増している新興感染症に対して迅速に対応するためには、不活化ワクチンの効率的な開発および接種法の改良が求められる。本研究では、ウイルス感染に広く認められる抗体依存性感染増強現象(ADE)に着目した。この現象は、ウイルスが抗体を利用してマクロファージや樹状細胞等の抗原提示細胞に効率よく感染するためのメカニズムであると考えられている。本研究では、この抗体の特性を利用して抗原提示細胞に目的の不活化ワクチン抗原を効率よく取り込ませるための手法を開発し、液性免疫および細胞性免疫の両方を誘導する安全なアジュバントとしての抗体の可能性を探る。不活化ウイルス抗原として、ショ糖密度勾配遠心によって精製したエボラウイルスのウイルス様粒子をウイルス表面糖蛋白質に特異的なADE抗体、中和抗体およびどちらの活性も示さないモノクローナル抗体とそれぞれ混合し、マウスの皮下または腹腔内接種して、経時的に血清中の抗体応答を解析し、異なる性質を持つこれらの抗体の間に差が認められるか否かを解析したが、明らかな差は認められなかった。
著者
朱 心茹 高田 裕美 影浦 峡
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.3_51-3_60, 2020-01-31 (Released:2020-02-25)
参考文献数
91

本研究では、発達性ディスレクシア等の学習障害に由来する読み書き困難にも配慮した書体として開発されたUD デジタル教科書体の新しい付属欧文書体が読みに与える影響を明らかにすることを目的に、読みやすさの客観的指標に関する実証実験と主観的指標に関する調査を行った。発達性ディスレクシアを持つ読者16名と発達性ディスレクシアを持たない読者19 名が研究に参加した。実証実験と調査の結果、発達性ディスレクシアを持つ読者にとってUD デジタル教科書体の新しい付属欧文書体が他の教科書体付属欧文書体及び一般的に使用されている欧文書体と比較してより読みやすいことが明らかになった。また、書体は読みやすさの客観的指標と主観的指標の双方に一定の影響を与えることが明らかになった。これらの結果から、発達性ディスレクシアに特化した書体の有用性が示された。
著者
牟 安峰 平 明日香 松尾 恵太郎 高田 穣
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.547-553, 2021 (Released:2021-07-03)
参考文献数
11

細胞バンクに保存されていた日本人再生不良性貧血患者サンプルのエクソーム解析を発端に,新たな遺伝性骨髄不全症候群が同定された。本疾患は,もともと姉妹染色分体交換(SCE)が高頻度に認められることから新規疾患として認識されていたが,次世代シーケンサーという新技術開発によって原因遺伝子同定がなされたものである。ADH5とALDH2の2つのアルデヒド代謝酵素の同時欠損により,骨髄における血球分化に伴う内因性ホルムアルデヒドが分解されずDNA修復不能なレベルのゲノム損傷を引き起こし,骨髄不全とMDS白血病発症に至ると考えられる。本稿では,この疾患の存在が広く認知されるよう,日本の血液分野の臨床家にむけて,この疾患発見にいたる経緯と現在判明している特徴,その病態を概説する。
著者
武田 篤 鈴木 徹 藤井 慶博 高田屋 陽子
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、複合的場面緘黙児の実態を把握するとともに、学校での支援体制や学級での具体的な支援方略を構築することを目的とした。平成30年度は、複合的場面緘黙児に関する質問紙調査を実施した。A市の小学校(41校)・幼稚園(6園)・こども園(11園)の58校園を対象に質問紙調査を実施した。調査内容は、1)場面緘黙児の有無、該当児童がいた場合、2)場面緘黙の状態と3)自閉症スペクトラム傾向、4)学級内での具体的な支援、とした(2)以降の質問内容については、場面緘黙児のいるクラス担任に回答を依頼した)。なお、本調査を実施するにあたり、依頼文書において「得られた回答は決められた手順に従って得点化すること」、「児童や回答した教員に関するプライバシーは守られること」の2点を明記した。回答のあった51校園に在籍する幼児児童数は、14939名(男児7592名、女児7357名)であった。そのうち、場面緘黙児が「有」と回答したのは13校園(小学校9校、幼稚園2園、こども園2園)で、在籍数は20名(0.13%)であった。男女の内訳は、男児8名(0.11%)、女児12名(0.16%)であった。これらの結果は先行研究を支持するものであった。本調査は、質問紙の内容を決定するまでかなりの時間を要した(年度末に実施した)。そのため、2)以降の調査データ(場面緘黙と自閉症スペクトラム障害との関連)の解析は次年度に行う予定である。
著者
高田 賢蔵
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.40-46, 2012-01-30 (Released:2012-04-27)
参考文献数
2
被引用文献数
1

我々の体内では微生物などの外来抗原に低濃度で繰り返し暴露されることにより、これら外来抗原に対する結合活性の高い抗体産生リンパ球が選択的に増幅する親和性成熟が常に起こっている。従って、ヒト血液リンパ球は高活性抗体ソースとして優れている。イーベックではヒト血液リンパ球にEBウイルスを感染させることによりその増殖、抗体産生を誘導し、そこから目的とする抗体産生リンパ球を分離し抗体を作製する独自の技術を開発した。本稿では、イーベックの抗体技術と製薬企業とのライセンス経験について紹介する。
著者
岩川 治 高田 長武
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.357-363, 1963-11-25

この研究は, 車両, とくに運材用トラックの荷台上での位置と, そこに生ずる振動加速度の変化との関係を調べたものである。調査はつぎの方法で行なわれた。1.測定路線 : Fig.1,Table 1で述べる林道の2路線2.測定車両 : Table 2で述べる4台のトラック3.使用計器 : 小型振動加速度計および電接時計4.計器の位置 : Fig.3に見られる(1)〜(6)の6ヵ所が選ばれた5.測定条件 : 走行速度一定(20 km/h), タイヤ圧(車両ごとに)一定, 空車走行以上により, 測定の結果つぎのことがわかった。(1)水平, 上下の振動加速度の値, g_H, g_Vは位置No.1の点で最も小さく, その位置から遠く離れるほど大きくなる。(2)その場合g_Hよりもg_Vの値の増大が著しい。(3)この関係は, 車両種が変わっても傾向的に同じである。以上から荷台上に積荷される荷物(木材)は偏心荷重になるものほど, それを支持するバネ, 車両各部の構造に対し大きな衝撃荷重として作用するものと考えられる。この衝撃荷重は, 静荷重の増大とともに, トラックの損耗を理解する上で重要である。なお, この試験の一部は, マッカラー奨学資金の援助によりなされたものである。
著者
横井 勝彦 竹内 真人 小野塚 知二 倉松 中 高田 馨里 松永 友有 福士 純 永岑 三千輝 田嶋 信雄 鈴木 淳 西牟田 祐二 奈倉 文二 須藤 功 西川 純子 山下 雄司 千田 武志
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、総合的歴史研究を通じて軍縮と軍備管理を阻む近現代世界の本質的構造を解明することにある。第二次大戦以降、武器取引は急速に拡大し複雑化したが、その構造はすでに第一次大戦以前に形成されていた。その点を明らかにするために、われわれの研究プロジェクトでは武器移転という事象を、経済史・国際関係史・帝国史・軍事史などの多角的な視点から分析した。分析概念として武器移転を歴史研究の分野に適用したのは、わが国でも本研究プロジェクトが初めてである。
著者
堀井 洋 林 正治 堀井 美里 上田 啓未 山地 一禎 高田 良宏
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.217-220, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

古文書や科学実験機器など所謂”博物資料”に関しては,将来に向けた保存・継承 とともに広く社会における活用や普及が求められている.発表者らは,これまで 明治・大正期の科学実験機器資料や教育掛図資料に関する博物資料情報をリポジトリ公開し,それらに対してデジタルオブジェクト識別子(DOI: Digital Object Identifier)を付与する試みを実施してきた.本発表では,その概要を紹介するとともに,社会における活用など今後の展望について述べる.
著者
柴田 和祈 高田 眞吾
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.647-658, 2013-02-15

Webアプリケーションの高速化の一技術としてプリフェッチがある.プリフェッチとは,Webページをサーバ側からクライアント側へと先取りすることによって,ページ遷移にかかる時間を短縮する機能である.プリフェッチには様々な手法がある.従来の手法はWebページの遷移が固定である静的なWebアプリケーションにのみ対応しており,ユーザの入力によって遷移先のWebページが変化する動的なWebアプリケーションには対応していない.しかし,現在,静的なページのみで構成されているWebアプリケーションはごく少数であり,動的なWebアプリケーションのためのプリフェッチ手法はない.その最大の原因は,ユーザのクリック先は予測できても,ユーザがフォームなどにおいて入力する内容まで予測することができないからである.本研究では動的なWebアプリケーション(PHPアプリケーション)のためのプリフェッチ機構を提案する.提案機構の基本コンセプトは,Webページを静的なコンテンツと動的なコンテンツに分離することである.分離後,静的コンテンツはリンクプリフェッチを用いてあらかじめ取得し,動的コンテンツはAjaxを用いて後から補完することで,動的なWebアプリケーションにおけるプリフェッチを可能にする.
著者
小助川 貞次 月本 雅幸 高田 智和 渡辺 さゆり 呉 美寧 朴 鎭浩 WHITMAN John ALBERIZZI Valerio luigi
出版者
富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

漢文訓読は日本以外の漢字文化圏でもそれぞれの言語で行われていた言語活動であるが、一般社会における認識は極めて低く、また漢文訓読に関する学術用語の国際的共有も進んでいない。本研究では国内外の研究者と連携・協力しながら「国際的共有知財としての漢文訓読」というテーマのもとで問題解決を試み、「漢文訓読用語集」(日本語・韓国語・英語・イタリア語)の公表(共著)と「東アジア漢文訓読史概説」の大学教育での実験を行った。
著者
矢野 俊彦 高田 容司 平野 雅親 中山 勇
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.253-263, 1994
被引用文献数
1

地下街に棲息するゴキブリ類の棲み分けとその薬剤感受性について, 飲食店街24店舗と食料品街12店舗を対象に10年間の推移を調査した。その結果, 優占種はチャバネゴキブリとトビイロゴキブリであり, 若干のクロゴキブリが混在していた。飲食店街における優占2種の平均捕獲率はほぼ拮抗していたが, チャバネゴキブリが洋食店・喫茶店で優占種であったのに対し, トビイロゴキブリは和食店・酒房・寿司屋で優占種となっていた。店舗間に仕切りがなく各店舗内の温度が共通である食料品街においても同様の棲み分けが認められた。この棲み分けは10年間にわたりほとんど変化がなかったが, 両種ともその棲息密度はやや減少の傾向にあった。棲み分けの要因の一つとして, 両種の食物嗜好性の違いが関与していると考えられた。チャバネゴキブリ成虫に対する薬剤感受性は, 供試した3薬剤(フェニトロチオン, ピレトリン, d-transペルメトリン)のいずれに対しても10年の間に徐々にLD_<50>値が上昇する傾向にあったが, その変化幅はさほど大きくなく, 抵抗性比としては低レベルにあった。一方, トビイロゴキブリに対する薬剤感受性は, フェニトロチオンにおいては10年間にわたりほとんど変化なかったが, ピレスロイド系2剤の場合はLD_<50>値の上昇傾向が認められ, とくにd-transペルメトリンでは中程度と目される感受性低下が観察された。この地下街では, 1968年以降有機リン剤(フェニトロチオン等)とピレスロイド剤(ペルメトリン等)の交互施用が行われてきている。この防除プログラムは, チャバネゴキブリに対しては密度抑制と薬剤抵抗性発達の抑制の両面から有効な防除技術の一つと考えられたが, トビイロゴキブリに対しては, さらにモニタリングを続け, 動向を注視していく必要があると考えられた。
著者
高田 智和 田島 孝治 米田 純子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.73, pp.1-8, 2008-07-18
被引用文献数
2

景観の中にあらわれる文字は、日常の文字生活を研究する上で考察の対象となりうるものである。本発表は、景観の文字・表記を、文字・表記研究の素材として扱う場合の可能性と問題点について検討する。また、景観文字を記録するためのツール開発の現状について報告する。The landscape character is an object to study on the ordinary use of Japanese character. We discuss the effectiveness and the problem about the linguistic and notational landscape survey, and we also explain the developing system based on GPS for the purpose of landscape survey.
著者
谷本 道哉 高田 佑輔 栗原 俊之 村出 真一朗 柳谷 登志雄 形本 静夫
出版者
近畿大学生物理工学部
雑誌
Memoirs of the Faculty of Biology-Oriented Science and Technology of Kinki University (ISSN:13427202)
巻号頁・発行日
no.26, pp.63-78, 2010-09

背景: 自転車サイクリング運動はレクリエーションスポーツとして広く行われている. 自転車運動は天候や交通状況の都合などから,実際のロード走行の代わりに室内でエルゴメータ等を用いて行われることも多い. しかし, ロード走行とエルゴメータのペダリング動作の違いは明確にされていない. 目的: 自転車のロード走行とエルゴメータの動作および筋活動の相違点を検証することを目的とした .使用する自転車の形状, 負荷等の条件を統一するため, 本研究ではロード走行とエルゴメータを模したものとして, 前後方向以外の自転車の動きが固定されず動作の自由度の高いフリーローラーと後輪車軸をローラーの土台に固定する固定ローラーを用いて同一の自転車ペダリング動作の比較を行った. 方法: 順天堂大学自転車競技部に所属する選手7名を用いてフリーローラーと固定ローラーでのペダリング運動を60rpm および 90rpmで行い, 下肢の関節角度変位および筋放電量を測定した. 結果: 60rpm, 90rpmともに下肢3関節の関節動作は全般的にフリーローラーにおいて固定ローラーよりも関節稼働量が小さい様子が観察された. 2試技間で有意差が見られたのは60rpmにおける股関節, 膝関節, 90rpmにおける膝関節, 足関節であった. 下肢筋群のべダリング動作中の1サイクル中の筋放電量の平均値およびピーク値は, 60, 90rpmのいずれの回転数, いずれの筋においても2試技間に有意な差は見られなかった. 結論: フリーローラーと固定ローラーではペダリング動作の下肢の関節動作形態は異なる. しかし筋放電量には相違は見られない. (英文) Background: Many people enjoy cycling as a competitive or recreational sport. Sometimes bicycle exercises are performed on bicycle ergometers indoors instead of outdoor road cycling, because of bad weather or traffic. However, the difference of movement between road cycling and cycling with a bicycle ergometer is not investigated sufficiently. Purpose: The purpose of this study is to elicit the difference of movement between road cycling and cycling with a bicycle ergometer by researching kinematics and electromyography data during bicycle exercise. We compared the kinematics and muscle activity of bicycle exercise on a free bicycle roller and on a fixed bicycle roller (bicycle trainer with a fixed rear wheel axis) as a comparison of road cycling and cycling with a bicycle ergometer. Method: Seven cyclists affiliated with the cycling club of Juntendo University performed bicycle exercises on a free bicycle roller and on a fixed bicycle roller by 60 and 90 rpm, and lower limb kinematics and electromyography data were measured. Result: Widths of lower limb joint movement were larger on the fixed bicycle roller than on the free bicycle roller both in 60rpm and 90rpm. Widths of hip joint and knee joint movements were significantly larger in 60rpm. Widths of knee joint and ankle joint movements were significantly larger in 90rpm. However, there was no significant difference in the electromyographic amplitude between the two methods in neither of the lower limb muscles and in neither of the rpms. Conclusion: The kinematics of lower limbs in bicycle exercise with a free bicycle roller was different from that with a fixed bicycle roller. However, there were no such differences between the two methods in the electromyography data of lower limbs.
著者
門田 暁人 高田 義広 鳥居 宏次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.644-652, 1997-07-25
被引用文献数
34

ソフトウェアの保守, 再利用などのためには, 解析や理解の容易なプログラムを作成しておくことが重要である. ところが, 完成したプログラムを多数のユーザに配布する場合には, システムの安全性の確保や知的財産権の保護などのために, 内部の解析が困難なプログラムの作成が要求される場合がある. そのような場合には, 解析が容易なように作成したプログラムを, 解析が困難になるように変換する方式が有用であると考えられる. このようなプログラムの等価変換を, プログラムの難読化と呼ぶ. 本論文では, ループを含むプログラムを自動的に難読化する2通りの方法を提案し, それぞれの方法の有効性を評価するための実験について報告する. 実験の結果, 極めて小規模なプログラムに対しても, 提案する方法が有効であることがわかった.
著者
新垣 紀子 北端 美紀 松岡 裕人 高田 敏弘 折戸 朗子 加藤 ゆうこ 都築 幸恵 大和田 龍夫
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.15-28, 2014-03-01 (Released:2015-02-02)
参考文献数
26

How should we save our personal memories? Many people keep diaries and take pictures for that purpose. In this study, we kept things of personal significance in a time capsule for 9 years and examined whether personal memories could be saved in a time capsule and how they might possibly change over time. We held a workshop in 2003 when participants put something that they had possessed which had personal significance at that time of their life. They were interviewed to explain what kinds of significance these possessions had for them, and these interview sessions were recorded. Nine years after the initial workshop, the participants came together again. Before the time capsule was opened, they were asked to recall what they had put in the time capsule and to describe in what ways their possession in the time capsule had been significant to them. By comparing the contents of the participants’ responses between 2003 and 2012, it was found that a great deal of the contents have been changed from 2003 to 2012. Implications were discussed as regards to the significance of objects themselves and the narratives that go with the objects in preserving personal memories.
著者
北條 芳隆 後藤 明 関口 和寛 細井 浩志 瀬川 拓郎 吉田 二美 辻田 淳一郎 高田 裕行 石村 智 田中 禎昭
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

考古学に天文学的手法を導入する研究領域を考古天文考と呼ぶが、この手法を日本列島の考古資料・文献史料の分析と解釈に適用すれば、従来の認知論的考察や景観史的把握には飛躍的な進展が期待される。この目的を達成するために、本研究では考古学・文献史学・天文学の各専門分野を横断させた研究体制を構築する。その上で天体現象と関わる歴史的諸事象に対する統合的分析法の構築を目指す。琉球列島を含む日本列島各地に遺された遺跡や各地の民俗例、海洋航海民の天体運行利用法の実態を解明する。こうした検討作業を基礎に、本研究は天体運行や天文現象に対する人類の認知特性とその日本列島的な特性を追求するものである。