著者
後藤 顕一 松原 静郎 松原 憲治 猿田 祐嗣 高橋 三男 松浦 拓也 木下 博義 寺谷 敞介 堀 哲夫
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

学習ツールである「相互評価表」とこれを用いる学習活動を開発した。「相互評価表」を活用する学習活動とは,評価規準が示された「相互評価表」を用いながら自己評価・他者評価を行い,この行った評価について自由記述によるコメントを残していく方法である。学習前後の比較コメントを分析したところ,科学的リテラシーの「能力」のうち,①科学的な疑問を認識すること,②現象を科学的に説明すること,について意識をした記述ができるようになることがわかった。自己の学習を振り返ることでその意義を自覚し,実感を持って自己の伸張を感じつつ,主体的な学びを醸成することが期待できると示唆された。
著者
篠原 修 垣内 恵美子 阿部 大輔 西村 幸夫 鳥海 基樹 西村 幸夫 鳥海 基樹 クサビエ グレフソルボンヌ ナタリー ベルトラン
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

わが国では往々にして対立しがちな景観保全と経済的発展をいかに持続的に両立させていくかという視点から、わが国の都市部の事例として金沢市を、地方都市の事例として近江八幡市を、そしてフランスの都市部の事例としてナンシー市を、地方都市の事例としてフランス・アヌシー地方を取り上げ、両国における自治体レベルの景観行政の到達点と実施上の問題を整理するとともに、両者の比較検討によるわが国への政策的インプリケーションの導出を試みた。
著者
熊谷 吉治
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

談話における新情報の導入様態や、文の構造と発音の構造の関係に着目し、同一タスクによって収集された音声言語資料の分析を通して、日本語と英語の類似点や相違点を明らかにした。新情報の担う文法関係は日英語とも類似した傾向が見られたが、新情報を伴う名詞句の構造や導入のされ方は、日英語で違いが見られることがわかった。文法構造と音調構造の関係は、両言語の語順の違いに着目しながら分析と調査を展開・継続している。
著者
水谷 五郎 宮内 良広 佐野 陽之 KHUAT Hien
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

MgO(210)ファセット面上にPtを斜め蒸着し、線幅2nm間隔7nmのPtナノワイヤ列の製作に成功した。このワイヤ列のSHGは、7nmの線幅のPtナノワイヤよりも強度が数10倍強く、その原因としてワイヤ内電子の量子閉じ込め効果を推測した。MgO(210)ファセット面上にPdを斜め蒸着した膜の透過電顕像はナノワイヤの長さの方向に長いモアレ構造を示した。またステップ構造を持つTiO2上にAuを蒸着した膜の製作に成功した。現在これらの試料のSHG応答を計測している。またクロム薄膜に加工したナノホール列のSHG応答、Siステップ表面上のHのSFG応答から表面上のミクロ構造を担った重要な情報を得た。
著者
園田 信成 尾辻 豊 岡崎 昌博
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

血管内超音波ガイドにて経皮的冠動脈ステント留置術を行った連続423症例中血液透析症例は25例で、計15例が対象となった。第1世代薬剤溶出性ステント群(D1)が7例、第2世代薬剤溶出性ステント群(D2)が8例で、慢性期ステント内再狭窄は各1例に認めた。慢性期新生内膜増殖は同等で、線維性成分が主体であった(D1:54%,D2:55%)。ステント周囲プラークはD1で9%増加し、D2で2%減少し、増加した組織は脂質が主体であった。以上より、透析患者に対する治療成績はD1とD2で同等であったが、慢性期の血管反応はD1に比べて、D2で良好である可能性が示唆された。炎症マーカーは今後症例を増やし検討を行う。
著者
野田 尚昭 陳 克恭 田島 清司
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ヒトの歯の形状が複雑であることを考慮して, 介在物角部に生じる特異応力場の強さを有限要素法で精度良く解析する方法を検討し, ヒトの歯に生じたくさび状欠損修復後の咬合による影響を考察した.
著者
兵頭 和人
出版者
神奈川工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

様々な分野の知識を融合させてシステムの構築を行う組み込み技術者を育成する教育課程においては体験型実習科目や創成科目が非常に重要である。また、創成科目の効果を高めるためには、座学において実際の機器を用いた体験型演習を行い、創成科目と座学との連携を深める必要がある。体験型演習を実施するための多様な演習用機材を短期間に構築するための再構成可能な計測・制御システム教材の開発を行った。開発した教材は、無線LAN搭載小型Linuxボードと再構成可能な多目的I/O ボードから構成されており、同一のハードウェアで様々な科目に対応する教材を短期間に構築することを可能とした。
著者
包 躍
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

粗なレンチキュラーレンズの焦点面多層化により超深い奥行感を提供することを目的として下記項目を実施①当初予定のプリズムと静止画で実験を行い、深い3D映像提示の可能性を確認②プロジェクタで動画式を構築、ディストーション問題を確認③LCDとマジックミラーでディストーションを改善、モアレ問題を確認④従来の裸眼3D表示にも使えるモアレ軽減法を提案⑤薄型化のため半透明LCDを用いた方式を提案⑦実環境に対応するため、自由視点3D撮影法を提案⑧深さ評価でHMDを検討した結果、バーチャルTVを実空間中に自由な深さに固定する方法を考案⑨結論、粗なレンチキュラーレンズの焦点面多層化は3D映像を深くすることができる。
著者
刈間 文俊 若林 正丈 村田 雄二郎 クリスティーン ラマール 生越 直樹 伊藤 徳也 代田 智明 瀬地山 角 高橋 満 古田 元夫 若林 正丈 黒住 真 代田 智明 深川 由紀子 生越 直樹 クリスティーン ラマール 高見澤 磨 楊 凱栄 谷垣 真理子 伊藤 徳也 瀬地山 角 田原 史起 有田 伸 岩月 純一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

中国では、漢字が、簡略化や教育によって、血肉化され、作家達も、前近代的なものを凝視し続けた.戦前の日中関係では、日本の漢学者と漢字紙が大きな役割を果たした.戦後韓国は、漢字を駆逐する一方、伝統的な同姓不婚制度を再構築させ、台湾は、漢字を簡略化せず、80 年代以降には、多文化主義的な社会統合理念を形成した.それに対して、中国大陸では今や、漢字文化からも消費文化からも疎遠な農村が、自律と国家による制御の間で揺れ動いている.本研究は以上を実証的に解明した.
著者
錦織 慎治
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究では,従来の歩行ロボットシステムでは致命的な問題である「転倒」の概念を排除した脚配置をもつ自律歩行ロボットシステムを対象としている.車輪移動型では探査困難であった月・惑星の不整地領域においても,脚移動型がもつメリットを最大限に生かすことができる.通常の脚配置と異なる特殊な形状としたことによって,従来型の歩行に代わる全く新しい移動形態の可能性がある.具体的には,従来のロボットでは姿勢角の大きな変動は転倒を誘発するために忌避されてきたのだが,これを胴体の移動に積極的に利用できる.こうした新たな移動形態として,昨年度に引き続き,動的な胴体回転を伴う移動形態について検討した.昨年度は,ロボットと土壌の間に生じる動的な効果を利用することで,ロボットの登坂能力が向上できる可能性があることを理論的に指摘していたが,本年度はこれを計算機シミュレーションにより実証し,月・惑星探査ローバに求められる不整地踏破性能の向上に役立つことを示した.この研究成果について「11th International Symposium on Artificial Intelligence,Robotics and Automation in Space(i-SAIRAS2012)」にて発表を行った.また,歩行ロボットシステムの自律化において,制御アルゴリズムの簡略化は,その信頼性を向上させるうえで極めて重要となる.そこで,転倒後も円滑な移動継続を可能とするために,転倒待機のための姿勢制御手法を提案した.この成果とこれまでに得られた成果をまとめて「第56回宇宙科学技術連合講演会」にて発表し,国内外の惑星探査ロボット研究者の方々に対して,本研究で扱ったシステムが,月・惑星の不整地探査ミッションにおいて,大きな利用価値があることを示した.その一方でこのシステムを月・惑星環境下で自律化するにあたっての課題を明らかにし,自律化の足場を固めた.
著者
鈴木 久美 小松 浩子 林 直子 片岡 弥恵子 樺澤 三奈子 大坂 和可子 大畑 美里 池口 佳子 大林 薫
出版者
兵庫医療大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、乳がん検診受診率の向上をめざし、同意の得られた成人女性33人を対象に乳房セルフケア促進プログラムを実施し、妥当性を評価した。その結果、介入前に比べ介入後1年で、40歳以上の定期的マンモグラフィ受診者は26.1%から60.9%(p=0.008)、30歳以上の定期的自己検診実施者は21.2%から57.6%(p=0.004)と有意に改善した。また、85%以上の参加者は、プログラムに対して満足かつ有用と回答した。以上の結果から本プログラムは妥当であると考えられた。
著者
熊本 博之
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

辺野古では、既存の米軍基地に由来する軍用地料の故に、区の意思決定権が旧住民に偏在していることから、普天間代替施設の受け入れを拒絶できずにいる。東洋町では、周辺に核施設をもたなかったことによる核への不安と、外部からの支援者が県内世論の喚起につとめていたことが、核廃施設の拒絶を可能にした。両事例の比較の結果、行為レベルにおける手続き的正義の実現がNIMBY施設を拒絶する上で重要であることが明らかになった。
著者
住谷 芳幸
出版者
岐阜女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

『蒙求』に関する清原宣賢の注釈を記した『蒙求』欄外の書入れ、『蒙求聴塵』、『蒙求抄』について、相互の引用関係を調査した。その結果、『蒙求』欄外の書入れ、『蒙求聴塵』は、数度にわたり書入れられていること、『蒙求抄』については、行間の書入れを本文に取り込むことで新たな本文が作成されていることを確認した。このように清原宣賢の『蒙求』についての著述は、「増殖するテキスト」とでも呼ぶべきものであったと言えよう。
著者
千田 亮吉 塚原 康博 畑農 鋭矢 山田 知明 加藤 久和 溜川 健一 福田 慎
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

人々が将来を見据えて意思決定をするとき、財政拡大による景気刺激効果は大きくならない。それは、人々が財政拡大によってもたらされる将来の税負担を予想するからである。しかし、財政政策が地域の労働生産性を引き上げる効果を持つと、その地域では将来にわたってより多くの所得が期待され、人が流入する。したがって、人の移動を通して地域の経済が活性化する可能性が生まれ、財政政策の効果は労働移動を考慮しない場合に比べて大きなものとなる。
著者
青木 義次 大佛 俊泰
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

我々は自分の頭の中に描いたある種の概念図形を利用して,実際には見ることのできない巨大な都市空間を理解している。本研究では,都市の基本骨格となるような環状の鉄道路線について,その地理的イメージを計量的に抽出し,どのような概念図形を用いて理解しているのかについて検討した。まず,イメージマップを用いた山手線に関する過去の研究をもとに,同じ環状構造を有する大阪環状線について同様の分析を行った。その結果,大阪環状線はほぼ円に近い円環状の形態として,また,内部を縦断する御堂筋線は直線に近い形態として,非常に単純化した概念図形のもとに理解されていることが判明した。さらに,居住歴の長い人ほどイメージ変形は小さいと予想されたが,イメージ変形の程度と居住歴との間には相関性は認められなかった。以上のような地理的イメージ形成に重要な概念図形は,文化的な枠組みを背景として形成されることから,文化の異なる場所では概念図形自身が異なっていたり,イメージ変形のメカニズムが異なっているという可能性がある。そこで,このことを比較検証するため,大韓民国ソウル特別市の環状線(2号線)について,韓国人と日本人(何れもソウル市に在住の人)に同様のイメージマップを用いた調査分析を試みた。その結果,山手線・大阪環状線についての調査結果と同様に,環状線である2号線を横長の楕円状の形状として,実際の形態を非常に単純化して理解していることがわかった。すなわち,図式による理解構造には,文化的枠組みの違いや,(ソウル市内での)居住暦の差異に依存した傾向は見いだすことができなかった。以上の結果を総合すると,本研究で調査分析した環状の鉄道路線に限って言えば,文化的な枠組みにはそれ程影響されない幾何図形のような普遍的なものが模式図として用いられていると言える。
著者
川村 満紀 谷川 伸 五十嵐 心一 鳥居 和之
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究は、融雪・融氷剤(塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム)のコンクリートの化学的劣化におよぼす影響およびそのメカニズムを解明するものである。融雪・融氷剤(塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム)による影響を想定された各種温度および濃度条件の下で綿密に調べることにより、融雪・融氷剤によるコンクリート構造物の化学的劣化に対しての防止対策について具体的な指針を確立することを目的とした。研究計画は、(1)融雪・融氷剤によるコンクリートの化学的劣化メカニズムの解明、(2)融雪・融氷剤によるコンクリート構造物の化学的劣化に対しての防止対策の確立、とに大別できる。(1)に関しては、濃度および温度を変化させた塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム溶液に各種配合のセメントモルタル供試体を浸漬し、浸漬材令に伴う強度の低下および膨張量の変化などを調べることにより、高濃度の塩化カルシウム溶液においてのみ化学的劣化現象が発生することを明らかにした。また、高濃度の塩化カルシウム溶液による劣化現象がコンクリート中の水酸化カルシウムの溶解とそれに伴う複塩(CaO・CaCl_2・15H_2O)の生成によるものであることを明らかにした。(2)に関しては、各種鉱物質混和材(フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフューム)の使用したコンクリートの塩化カルシウム腐食に対する抵抗性を検討するとともに、融雪・融氷剤のコンクリート内部への浸透防ぐ目的で使用される各種表面塗布材の遮塩性およびその化学的劣化現象に対する効果について明らかにした。以上の研究成果をふまえて、融雪・融氷剤によるコンクリートの化学的劣化のメカニズムについて解明するとともに、このような劣化現象の防止対策について具体的な提案を行った。
著者
家田 章正
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

地球の昼間電離圏における、高度積分した電気伝導度の、太陽天頂角(SZA)依存性を調べた。電気伝導度は電子密度に依存している。しかし、過去の研究においては、伝導度のSZA依存性が、Chapman理論による電離層最大電子密度で表現できるか否か不明であった。本研究では、観測された電気伝導度を理解するためには、Chapman電離層を修正すれば良いことを見出した。さらに、SZAが大きくなるほど、つまり夜に近づくほど、ホール層が薄くなる効果を指摘し、この効果を、Chapman理論における最大電子生成高度により表現し、電気伝導度比の近似式を作成した。
著者
角 幸博 石本 正明
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は北海道および樺太を対象として、棟札や戦前期の新聞、職員録等を資料として、建築技術者・建築家・建設業者・建築系職人の人名および経歴や関与建築物の関連情報を統合したデータベース作成を目的としたものであり、2326件の情報を集約することができた。その内訳は、営繕技術者873件、民間技術者・建築家173件、建設業1014件、その他266件(建築関連団体役員を含む)である。
著者
坂本 瑞樹 徳永 和俊
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

水素透過粒子束の実時間測定システムを製作し、厚さ0.1mmのタングステン試料に重水素プラズマを照射して、試料表面状態の変化に起因していると考えられる水素透過フラックスの減少を観測した。また、厚さ0.1mmのタングステン基板に約280nmのイットリウム薄膜と約20nmのパラジウム薄膜を蒸着させた試料を作成し、試料表面への水素導入に対して光反射率が可逆的に変化することを示した。水素透過フラックスシステムとの組み合わせにより実時間の動的リテンション計測が可能となることを示すことができた。さらに、結晶粒の延びの方向が表面に対して垂直のタングステン試料の重水素吸蔵量は、平行の試料よりも重水素吸蔵量が2~10倍高いことを明らかにした。これは結晶粒界を通した実効的拡散係数の違いに起因していると考えられる。
著者
向井 理恵
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、フラボノイドを用いてユビキチンリガーゼの発現抑制を通じて廃用性筋萎縮を予防することを目的とした。研究計画では、フラボノイドのなかでもケルセチンを中心に研究を進めるとした。ケルセチンを摂取させることによりユビキチンリガーゼの発現を抑制するかは明らかにできなかったものの、筋萎縮にともなう酸化ストレスを抑制することが分かった。筋萎縮を抑制した場合でも骨格筋成長に関わる体液性因子であるIGF-1の量に変化は無かったことから、この効果は骨格筋に直接影響した結果によると考えられた。骨格筋の分解と合成との分岐点であるAktのリン酸化については、ケルセチンによってリン酸化が向上した。この結果は、骨格筋の分解よりも合成の経路が活性化されていることを意味する。このように、食事性ケルセチンは、骨格筋での酸化ストレスを抑制し、骨格筋の分解を予防しうることが明らかとなった。さらに、効果の高いフラボノイドとしてプレニルナリンゲニンを見出した。ユビキチンリガーゼの発現を抑制した。ユビキチンリガーゼの発現抑制には、PI3K-Akt経路が関与する可能性を明らかにし、学術論文として発表した。食品成分としての効果を考えるうえで重要な生体利用性についても検討したところ、血中への吸収は少ないものの、標的組織である骨格筋へ蓄積することがわかった。本研究の計画では、筋萎縮した場合にフラボノイドの蓄積性が変わるのではないかと予測を立てたが、その点については、正常な筋肉と萎縮のかかった筋肉との間に差は無かった。本研究の成果は、フラボノイドが廃用性筋萎縮を予防するメカニズムとして、PI3K-Akt経路の活性化を見出した。抗酸化フラボノイドは、骨格筋内の酸化ストレスを減弱することも明らかにした。これらの成果が得られたのでフラボノイド含有食品の臨床試験を進めており、研究の発展につなげることができた。