著者
野口 岳 ウン クアンイー 上田 尚之 乗添 凌太郎 島田 敬士
出版者
一般社団法人 大学ICT推進協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.22-28, 2023-11-27 (Released:2023-11-27)
参考文献数
6

九州大学では学生たちが中心となりボトムアップ型で学生支援・教育支援を行う体制としてquickQが組織されている.quickQでは,コロナ禍の様々な課題に対してチャットボットの開発・運用を通じて解決に貢献してきた.2021年までに3つのチャットボットを開発・運用してきたが,3つを別々のアカウントで運用を続けることに様々なデメリットが存在することがわかった.2022年4月に各チャットボットを「ワンストップ」という考え方に基づいて統合した.結果,2022年3月から2023年6月末時点で33614回の問い合わせをチャットボットによる自動応答を用いて解決した.ワンストップをベースとしたチャットボットの開発・運用について,設計と開発環境の紹介をしたうえで2023年7月までのデータを元にした運用状況を報告し,直近の持続的な取り組みを紹介する.
著者
玉田 正男 瀬古 典明 笠井 昇 清水 隆夫
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.358-363, 2006-12-25 (Released:2010-01-21)
参考文献数
12
被引用文献数
51 54

Uranium cost in the annual collection of 1, 200t-U from seawater was evaluated by using the recovery system of braid type adsorbents synthesized by radiation-induced graft polymerization. The total cost was calculated by summating those in the processes of adsorbent production, uranium recovery, and elution and purification. When the adsorbent performance increased from 2g-U/kg-adsorbent (ad) to 6g-U/kg-ad, the cost of each process decreased in the same way. The increment of adsorbent durability of 6 times to 60 times reduced the process cost of adsorbent production especially. In the current state of 2g-U/kg-ad and 6 times usage of adsorbent, the uranium from seawater cost 90, 000yen/kg-U. The uranium cost becomes 25, 000yen/kg-U in the promising performance of 4g-U/kg-ad and 18 times usage of adsorbent.
著者
Taishi Okuno Masaki Izumo Noriko Shiokawa Shingo Kuwata Yuki Ishibashi Yukio Sato Masashi Koga Kazuaki Okuyama Norio Suzuki Keisuke Kida Yasuhiro Tanabe Yoshihiro J. Akashi
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
pp.CJ-23-0503, (Released:2023-11-25)
参考文献数
14

Background: The MitraClip G4 system is a new iteration of the transcatheter edge-to-edge repair system. We assessed the impact of the G4 system on routine practice and outcomes in secondary mitral regurgitation (2°MR).Methods and Results: Consecutive patients with 2°MR treated with either the MitraClip G2 (n=89) or G4 (n=63) system between 2018 and 2021 were included. Baseline characteristics, procedures, and outcomes were compared. Inverse probability of treatment weighting and Cox regression were used to adjust for baseline differences. Baseline characteristics were similar, except for a lower surgical risk in the G4 group (Society of Thoracic Surgeons Predicted Risk of Mortality ≥8: 38.1% vs. 56.2%; P=0.03). In the G4 group, more patients had short (≤2 mm) coaptation length (83.7% vs. 54.0%; P<0.001) and fewer clips were used (17.5% vs. 36.0%; P=0.02). Acceptable MR reduction was observed in nearly all patients, with no difference between the G4 and G2 groups (100% vs. 97.8%, respectively; P=0.51). The G4 group had fewer patients with high transmitral gradients (>5mmHg; 3.3% vs. 13.6%; P=0.03). At 1 year, there was no significant difference between groups in the composite endpoint (death or heart failure rehospitalization) after baseline adjustment (10.5% vs. 20.2%; hazard ratio 0.39; 95% confidence interval 0.11–1.32; P=0.13).Conclusions: The G4 system achieved comparable device outcomes to the early-generation G2, despite treating more challenging 2°MR with fewer clips.
著者
山田 健太 青田 雅輝 並木 亮 横山 源太朗
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2H1OS3a01, 2023 (Released:2023-07-10)

政治資金収支報告書は、政治団体によって提出され、政治資金規正法により公表が義務付けられています。しかし、これらの報告書は多くが手書き文字を含む紙媒体であり、機械判読に適さず、オープンデータの定義を満たしません。そのため、これらのデータをデータベース化することで透明性が向上し、市民による政治的な意思決定への参加が促進されると考えられます。本研究では、政治資金収支報告書の「(その2)収支の状況」に限定し、光学式文字認識(OCR)技術を用いてデータの抽出と整備を行いました。具体的には、2019年に提出された政治資金収支報告書に対し、収支の状況ページからデータを抽出し、データセットを構築しました。また、作成したデータセットを元に分析例を示しました。本研究は、政治資金データベースの作成に向けた第一歩であり、今後も政治資金報告書の形式やデータの改善に取り組むことが求められます。政治資金データベースの構築は、より透明で民主的な社会を実現するための重要な一歩であると考えられます。
著者
工藤 遥 田村 俊明
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.152, 2014 (Released:2014-07-04)

架空の存在でありながら世界中の神話に登場し、現代においてもファンタジーには欠かせない存在であり続けている竜・龍・ドラゴン。人間は彼らに対してなぜこれほどにまで興味を抱いてきたのか。そして、人間は彼らに何を投影しているのか。ここでは歴史を通して様々な姿に描かれてきた竜を追い、現代における竜のキャラクター性に目を向けることで、人間と竜との関わり、またその背後に潜む人間の自然に対する意識の変化を考察する。
著者
中村 道子
出版者
一般社団法人 日本微量元素学会
雑誌
Biomedical Research on Trace Elements (ISSN:0916717X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.12-18, 2005 (Released:2006-07-05)
参考文献数
31
被引用文献数
2

The trace elements play important roles in the human brain. The knowledge on the trace elements and neuropsychiatric disorders were comprehensively reviewed. These include iron, zinc, copper, iodine, lithium, aluminum, manganese, lead and mercury. Some metals have toxic actions on nerve cells and neurobehavioral functioning. The toxic actions could be expressed either as developmental effects or as an increased risk of neurodegenerative diseases in old age. Redox metals, which were iron, copper, and zinc in the brain, play many important roles in maintenance of cellular function.
著者
吉田 忠義 乾 迪雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.1327-1332, 1980-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

くも膜下出血(SAH)に心室細動の合併した例を報告した.患者は51才の女性で, 1978年2月6日激しい頭痛,悪心,嘔吐とおよそ1分間の意識消失があり,某院に入院した.腰椎穿刺の結果SAHが疑われた.入院8日目に痙〓を伴う意識消失発作が出現し,その後1日3~4回同様の発作が続いたため,当科に転院した.意識は清明,軽度の項部硬直(+).腱反射に異常なく,病的反射も認めなかつた.運動麻痺や知覚障害もなかつた.軽度のうつ血乳頭を認めた.髄液は黄色調であつた.心電図は著明なQTc延長と巨大陰性T波を示した. CT scanは側脳室の軽度拡大を示した. four vessel studyで,右内頚動脈-後交通動脈の分岐部に嚢状動脈瘤と右内頚動脈終末部から中大脳動脈の3分岐部までに亘り,著明な動脈痙〓を認めた. 2月18日痙〓を伴う意識消失発作が起こつた.心電図は心室細動を示した.直ちに心マッサージ,酸素吸入,直流除細動, lidocaine, phenytoin, diazepamが投与され,心室細動は治療された. 4月5日脳外科で動脈瘤に対しclippingが行なわれた.術後経過よく, 5月13日に退院した. 5月12日の心電図ではまだQTの延長があつた. SAHの死因として,直接の脳病変によるものだけでなく,本例の如く同時に併発した心室細動による場合も示唆された.心電図上QTの延長している場合,心室細動が併発し易くなることを文献的に考案し, lidocaineなどの抗不整脈薬の使用が有用であると論じた.
著者
中島 美里 森 将輝 板口 典弘
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
pp.42.6, (Released:2023-12-06)
参考文献数
27

The present study aimed to investigate whether the laws of isochrony and homothety hold for Japanese characters by measuring handwriting movements using a liquid crystal display tablet. The law of isochrony means that handwriting time is constant regardless of handwriting size. The law of homothety means that the time required for each character is consistent regardless of the overall time required during continuous handwriting. The twenty-two participants made three shapes, four hiragana characters (Japanese phonetic alphabets),and four kanji characters (Chinese characters) on a tablet at various sizes and speeds. Total handwriting time was longer when character size increased for all character types. This result suggests that the law of isochrony does not hold for Japanese character types. When the characters were written sequentially, the partial handwriting time ratio was indefinite and, varied by character. This result suggests that the law of homothety might not hold for some characters. In summary, this study suggests that the spatiotemporal dynamics of handwriting in Japanese differ by character.
著者
竹内 正樹 佐々木 健司
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.293-299, 2008-10-25 (Released:2008-11-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

頭頸部領域の手術では,露出部である顔面に切開を加えることも多いため,術後瘢痕を目立たなくする整容的な配慮が必要となる。切開線設定は,(1)皺線(Kraissl線)に沿わせること,(2)毛髪線や外鼻,耳介,口唇など輪郭線のある部位では,その境界線に一致させることが原則である。皮膚縫合に際しては,両方の創縁から均等に真皮を引き寄せて創縁の緊張をとる真皮縫合と縫合糸痕を残さない配慮をした皮膚表面縫合を行う。切開から縫合までの過程では,常に皮膚を愛護的に扱う操作を心がける。抜糸後はテープによる減張固定と遮光を行い,変化する瘢痕の経過観察を怠らないことが重要である。
著者
若林 茂 里内 美津子 植田 由香 大隈 一裕
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.557-562_1, 1992-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
13
被引用文献数
10 15

馬鈴薯デンプンを加熱, 酵素処理して調製した水溶性食物繊維 (一般名: 難消化性デキストリン, 商品名: パインファイバーC, 以下PF-C) について機能性食品素材として開発を進めるに当たり急性毒性及び変異原性試験を実施した. さらにラットを用いて便通に及ぼす影響を検討した. (1) マウスを用いた急性毒性試験においてPF-C摂取による死亡例は最大投与可能量の20g/kgにおいても見られなかった. (2) 細菌を用いた変異原性試験において, PF-Cは代謝活性化の有無に関わらず復帰変異コロニー数を増加させなかった. (3) ラットを用いた単回投与試験においてPF-Cのふん便への排泄率は約36%であった. (4) PF-C連続投与により盲腸重量は増加し, さらに盲腸内容物のpHの低下が観察された. また, PF-Cは14.29g/kg wt. (1g/70g wt.) において下痢を誘起しなかった. (5) PF-Cの連続投与により食餌の消化管通過時間は非投与群に比して有意に短縮された.
著者
佐藤 滋
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.226-247, 2007 (Released:2022-07-15)
参考文献数
46

1976年に起きたIMF危機は,イギリスの経済史・政治史に決定的な痕跡を残したできごととして注目されてきた。それは,この時期に大幅な財政支出削減や通貨目標値の導入が決定されたことで,このできごとが戦後イギリスにおける財政金融政策上の一大転換点とみなされてきたからである。それゆえ,IMF危機につづく時期を「ケインズ主義」の失敗が決定づけられ,「マネタリズム」の論理が浸透ないし全面化し始めた時期であると捉える先行研究が散見される。しかし,IMF危機が何らかの転機であったと認めたとしても,それはマネタリズムに基づくものであったとはいえない。本稿では,この時期に形成された政策体系の実態とはいったいいかなるものであったのかを原史料の考証から明らかにし,IMF危機の歴史的意義を明らかにしたい。
著者
寺井 岳三 植田 秀雄 行岡 秀和
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.275-279, 2005 (Released:2005-11-25)
参考文献数
10

放屁の有無の測定は,腸管運動の機能の評価において重要である.とくに手術後の患者では,腸管の動きが抑制されるため,放屁の出現は,腸管の運動が回復したことを正確に示し,経口摂取開始の指標となる.放屁を客観的に評価する放屁モニターの,指標として用いることができるガスは,大気中にほとんど含まれず,放屁中に必ず存在する事が必要条件であり,炭酸ガス(CO2)と水素(H2)が適する.CO2は呼気に5%含まれるため,部屋の換気や部屋にいる人数により大気中のCO2は変動するが,H2は,呼気中に含まれる濃度がCO2に比べるとはるかに少ないため,測定に影響が少ない.H2を指標とした小型で,簡便な放屁モニターを試作し,CO2アナライザーと比較した結果,信頼性が高く,CO2アナライザーより優れていた.今後,H2を指標とした放屁モニターの臨床での実用化が期待される.