著者
久保 亨 森内 浩幸 西村 秀一 森田 公一
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

肺炎は現在本邦での死因の第3位であり増加傾向にある。肺炎の治療において起因病原体の迅速な確定診断と薬剤耐性の有無の検索は非常に重要である。我々は、簡便で迅速な遺伝子増幅検査法であるリアルタイムPCR法を用いた結核およびその他の肺炎の簡易迅速確定診断・薬剤耐性判定システムの構築を行い、実臨床における有用性を示し、その地域医療への応用を行っている。この系を用いれば、より迅速に低コストで肺炎の鑑別診断と薬剤耐性の有無の推定が可能となり、地域の高齢化・医療過疎化の中でのより効率的な結核・呼吸器疾患コントロール対策モデル作りに繋がると考えられる。
著者
大西 三朗 西原 利治
出版者
高知医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

自己免疫疾患発症の頻度には性差が存在すること、胸腺摘除動物がしばしば自己免疫疾患類似の病態を示すことなどより、その発症に性ホルモンと胸腺の関与が示唆されてきた。しかし、どのホルモンがどのような機序で、どの胸腺細胞集団の成熟や免疫応答を修飾しているかについての知見は乏しかった。ようやく近時、卵巣摘除動物を用いた検討により、免疫応答に大きな変動をもたらす性ホルモンがエストロゲンであることが明らかになった。この事実はエストロゲンが蓄増する第二次性徴の発現以後に発症が増加することや、環境ホルモンが免疫系に作用して自己免疫疾患発症のリスクを高めているとの、提唱に合致する所見である。従来この領域の研究では、卵巣摘除動物やエストロゲンレセプター欠損動物が用いられてきた。しかし、卵巣摘除ではその機能廃絶があまりに多方面に影響を及ぼすため分子機構の解明には使用できなかった。また、エストロゲンレセプターは二種類存在し、その主体内分布も組織特異性が強く、エストロゲン欠落時の免疫系の変化を検討することしかできなかった。そこで、我々はエストロゲン合成酵素であるアロマターゼ欠損動物(ArKO)を作成(J Clin Invest 105:1619-1625,2000)し、内因性のエストロゲンが欠落した状態・生理的濃度内のエストロゲンを外因性に投与した場合・大量のエストロゲンを投与した場合について、詳細にその作用を解析した。今回の研究は生理的濃度内のエストロゲンが、どのような細胞集団にどのような機序で作用して免疫系を修飾するか、その機構を個々の細胞レベル、分子レベルで解明したもので、その解明により家族歴のある発症後間もない症例でのimmunomodulationをより容易とすることができ、臨床に耐える治療法の開発につながると考えている。
著者
七條 和子 中島 正洋 高辻 俊宏
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

原爆被爆者について放射性物質が体内に取り込まれたという証拠はない。放射性物質の経口摂取や吸入は発がんリスクの増加に深く関わっている。1945年死亡した長崎原爆被爆者の保存試料に長崎原子爆弾の原料プルトニウムが存在し、70年経った今もなお被爆者の細胞からアルファ放射線を出し続けている画像を撮影した。原爆被爆者の肺、肝臓、骨等のパラフィン標本からは239、240Pu特有のアルファ飛跡パターンが得られ、内部被曝の放射線量は対照群に比べ高く、被爆時の遮蔽と死亡日に関与していた。我々の結果は原子爆弾による内部被曝の科学的証拠を世界に提示し、被爆者の内部被曝の影響を病理学的に研究するひとつの橋頭保となる。
著者
石川 卓 黒崎 将広 鈴木 一人 石井 由梨佳 彦谷 貴子 ワックスマン マシュー 徳地 秀士 彦谷 貴子 リー トマス 那須 仁 クー ジュリアン アダムス マイケル スクーヴィル ライアン
出版者
防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、国際法規範がはたして日米同盟の実施運用そしてさらなる強化を支える「共通言語」ないし「共通のロジック」たり得るのかを検討することを目的としたものである。日米豪の専門家集団による3年にわたる検討と意見交換の結果、両国ともに日米同盟の柱となる国際法上の武力行使と自衛権の概念および枠組みを極めて重要なものとして位置づけつつも、国際法および国内法上の武力の意味、ならびに自衛権行使の発動条件および当該行使にかかる行政府(首相・大統領)と立法府(国会・議会)の権限関係といった様々なレベルで大きな違いが存在することが明らかとなった。
著者
千田 有紀 中西 祐子
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究プロジェクトでは、デートDVへの取り組み、とくにキャンパスでどのように取り組んでいるのかを調査することによって、日米の取り組みと暴力観を比較することが目的としていた。調査の結果、(1)アメリカのキャンパスの取り組みの中心を占めるのが学生寮であること、(2)これは学生寮があるという必要に迫られているからでもあるが、またさまざまな取り組みを浸透させやすくもしていること、(3)ただ啓蒙をおこなうのではなく、学生とセンターやNPOを結ぶ「リーダー」を育成し、学生の主体性を作り出すことが必要であること、(40プログラムは具体的であり、ただ一方的に「加害者」を批判したり、「被害者」の心がけを求めたりするものではなく、大部分の「傍観者」を暴力防止に巻き込んでいくのかに焦点があてられていること、(5)たんに暴力を防止するだけではなく、「正しい男性性」などの定義を変容させ、暴力を取り巻くメディア環境を含め、文化に多くの注意を払っていること、などが明らかになった。
著者
吉良 潤一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

多発性硬化症(MS)は不特定のウイルス感染を契機に疾患感受性のある固体で髄鞘抗原を標的とした自己免疫機序により発病するとされる。この疾患感受性を規定するものとして、HLAクラスII抗原がある。コーカシア系白人のMSはHLA-DRB1^*1501と最も強い相関を示すが、日本人のMSでは特定のHLAとの有意な相関は証明されていなかった。私どもは日本人MS患者90名を臨床症候からみた主病巣が視神経と脊髄に限られるアジア型MS44名と、大脳・小脳などそれ以外の中枢神経系にも病巣を認める西洋型MS46名に大別して、HLAを検索した。日本人でも西洋型MSはHLA-DRB1^*1501と有意な相関があった。一方、アジア型MSはHLA-DPB1´^*0501とのみ有意な相関(88.6%対63.0%、補正後P値=0.03、relative risk=4.6)を示した。アジア型MSは西洋型MSに比し、(1)発症年齢が高い、(2)女性に多い、(3)高度の視神経・脊髄障害を呈する、(4)脳MRI上の病巣が極めて少ない、(5)脊髄MRIでの異常検出頻度が高い、(6)髄液で高度の細胞、蛋白増加などの特徴を示した。したがって。アジア型MSは西洋型MSとは免疫遺伝学的な背景も臨床像も著しく異なることから、独立した一疾患単位と考える。もし他人種でも視神経脊髄型MSとHLA-DPB1^*0501との有意な相関が証明されたならば、この病型はDPB1^*0501関連視神経脊髄炎と呼ぶのが妥当と考える。さらに、MS患者63名を含む各種神経疾患患者250名と健常成人40名について血清全IgE値、アレルゲン特異的IgE値、ヘルパーT細胞内IFNγ/IL-4比(これが高いほどTh1優位)を測定した。その結果、アジア型MS血清全IgE値、アレルゲン特異的IgE陽性率が有意に低い一方、IFNγ/IL-4は有意に高く、ヘルパーT細胞の中でもIFNγを主として産生するTh1細胞優位と考えられた。以上より、アジア型MSは何らかの感染性因子をトリガーとして引き起こされるHLA-DPB1^*0501分子拘束性のTh1 diseaseがその本態あると考える。
著者
安井 正佐也 木山 博資 水村 和枝 時實 恭平 校條 由紀 吉村 崇志
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,異なるストレスを負荷した二つのモデル動物(慢性疲労症候群CFSモデル,線維筋痛症FMモデル)の病的疼痛について研究を行った.その結果,いずれのモデルにおいても機械的アロディニアや筋性痛覚過敏が誘発することを実証した.さらに末梢組織に炎症等は認めないが,いずれのモデルにも,腰髄後角でミクログリアの活性化を認めた.このミクログリア活性化を薬剤(ミノサイクリン)で抑制すると,有意に機械的アロディニアおよび筋性痛覚過敏を抑制した.この事から,ストレス負荷によって生じる異常な疼痛の発症に,ミクログリアが大きく関与していることが示唆された.
著者
藤井 亮吏 古屋 康則 棗田 孝晴 田原 大輔
出版者
岐阜県水産研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

無秩序な移植・放流による遺伝的な撹乱の危険性を、イメージしやすく説明するため、カジカ大卵型を対象に、個体群ごとの産卵期の違いを明らかにすることを目的に、産卵実験および河川調査を行った。その結果、環境が異なる河川の個体群は、同じ水温であっても、それぞれ異なる時期に産卵を開始することが明らかとなった。また、産卵開始は最低水温や特定の水温に上昇した時などといった、水温変化の目立ったタイミングとは無関係であると考えられた。これより、カジカ大卵型の産卵開始は、その時の水温ではなく光周期などの他の要因によって、生息環境にあわせて繁殖に最適な時期になるよう決定づけられていると考えられた。
著者
川崎 剛志 仁木 夏実
出版者
就実大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

平安時代中期から鎌倉時代後期にかけて、山伏の修験から日本仏教の一道として修験道が成立する過程で、その正統性を支えるのに最も大きな役割を果たしたのが、史実とかけ離れた、現代の視点からすれば荒唐無稽とも映る、修験の起源と歴史を綴った縁起の類であった。本研究では、平安時代後期から鎌倉時代初期に現れたその主要な縁起『大峯縁起』『箕面寺縁起』『諸山縁起』『大菩提山等縁起』の成立と受容について精査し、その結果に基づいて、上記の偽史が修験道の正統性を創出し、さらに三国伝来の日本仏教の正統の系譜を更新した事実を解明する。
著者
田島 公 山口 英男 尾上 陽介 遠藤 基郎 末柄 豊 石上 英一 藤井 譲治 金田 章裕 西山 良平 坂上 康俊 西本 昌弘 本郷 真紹 加藤 友康 武内 孝善 田良島 哲 渡辺 晃宏 石川 徹也 石川 徹也 山口 和夫 藤原 重雄 稲田 奈津子 遠藤 珠紀 三角 洋一 月本 雅幸 吉川 真司 小倉 慈司 綾村 宏 杉橋 隆夫 桃崎 有一郎 島谷 弘幸 猪熊 兼樹 馬場 基
出版者
東京大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2007

禁裏(天皇家)や主要公家文庫収蔵史料のデジタル画像約100万件、東山御文庫本・伏見宮家本の1画像毎の内容目録約20万件を作成し、編纂所閲覧室での公開準備を進めた。木簡人名データベースと漢籍の受容を網羅した古代対外交流史年表を公開した。『禁裏・公家文庫研究』3・4、研究報告書4冊等を刊行し、禁裏・主要公家文庫の家分け蔵書目録を公開した。「陽明文庫講座」「岩瀬文庫特別連続講座」等市民向け公開講座を約百回開催し講演内容の一部を一般向けの本として刊行した
著者
吉田 春夫 アンジェイ マチエフスキー マリア プシビルスカ
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

全エネルギーが負の時のケプラー運動の軌道は,初期値によらず周期軌道(楕円軌道)になる.この軌道が常に周期軌道になるという性質は,考える系が最大数の独立な第一積分を持つこと,つまり系の超可積分性の帰結である.本研究ではポテンシャル場での質点の運動がこのような超可積分性を持つための必要条件を,具体的なアルゴリズムの形で初めて与えた.本結果は科学研究費補助金によって可能となったポーランドの研究協力者との共同研究によって得られた.
著者
片渕 竜也 井頭 政之 古林 徹 尾川 浩一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ホウ素中性子補足療法におけるオンライン線量評価システムとしてピンホールカメラを開発する。本研究では、実証試験を行うためのピンホールカメラシステムを構築した。加速器中性子源からの中性子ビームを用いて実験を行った。中性子ビームを水ファントムに照射し、中性子ホウ素の核反応で発生するガンマ線を検出した。中性子ホウ素反応率の空間分布を再構成するための測定を行った。十分な空間分解能で反応率空間分布を得ることができた。
著者
林嵜 和彦 児島 明 山ノ内 裕子 中島 葉子 山本 晃輔
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、日系ブラジル人のトランスマイグラントとしての側面に着目しながら、日本で教育を受けた経験のあるブラジル人青年のライフストーリを収集し、進路状況、文化的志向やアイデンティティ、被教育経験をあきらかにしようとした。そして、日本におけるブラジル人学校や、そのほかの日本の学校の機能、支援の在り方等を考察している。その結果、おおくの若者が、日本での被教育経験や生活経験をうまく活用しながら、ブラジルにおいて再チャレンジをはたす姿が見出された。また文化的な貢献として刷新された日本の文化や習慣が旧来の日系社会文化と混成される様子も観察された。
著者
佐藤 達哉 望月 昭 滝野 功 松見 淳子 下山 晴彦 小林 亮 松原 洋子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

平成19年度は最終年度にあたるため、これまでのまとめを行った。日本心理学会第71回大会においてワークショップ「欧米諸国における臨床心理学資格の実際とその歴史」(2007年9月18日)を開催し、その記録を『ヒューマンサービスリサーチ』NO 10「心理学の歴史に学ぶ」として刊行した。このワークショップは欧米における臨床心理学関連の資格について英仏独米の現地調査に基づいた結果をもとに議論したものであり、企画趣旨は以下の通りである。「資格は学問と社会をつなぐメディア(媒介)の一つである。日本の臨床心理学関連資格のあり方を相対化して考えるためには歴史研究と比較研究が必要である。このワークショップでは企画者が日本の臨床心理学史を簡単に紹介した後、欧米のいくつかの国を例にとって臨床心理学の資格の内容や成立の過程や訓練のカリキュラムについて検討していく。イギリスについて下山が、ドイツについて小林が、フランスについて滝野が、それぞれの国における現地調査をふまえて報告を行う。これらの報告を受け松見が、アメリカの資格の状況もふまえて、文化的視点に配慮し討論を行う。各国の歴史的文化的な背景が資格制度の成立にどのように影響しているのか、資格付与機関のあり方は社会によって異なっているのか、費用は誰が負担するのか、資格は社会に対してどのような機能を持っているのか、などについて差異と共通点を考えていく」。公刊した論文の執筆者とタイトルは下記の通り。小林亮「ドイツにおける心理療法士-資格制度とその活動状況」下山晴彦「イギリスの臨床心理学の歴史-日本との比較を通して」滝野功久「独自な主張をするフランス臨床心理学の歩み」松見淳子「欧米諸国における臨床心理学資格の実際とその歴史」。
著者
福山 豊
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

小学校教員養成課程の理科実験のために,小中学校での理科教材の中から,授業と一緒に実験できる教材の開発を行った。また実際に,小学校課程の2年生に,小中学校の理科教材の中から,光と電気磁気の分野に関して,現象の意外性とリアリティを感じることのできる演示実験と実験工作などを織り込み,135分授業の5回の授業と実験の融合による実験授業を,1年間5つの学生グループに行ってみた。具体的な内容は,身の回りの物理現象として光の教材をとりあげ,直進,反射,屈折現象の実験教材を開発検討した。全反射を利用した光ファイバーによる光通信やグラスファイバーなど医療技術などの現代の社会に利用されているものの理解や,夕焼けや朝焼け,青い空,蜃気楼,虹,逃げ水などの自然現象などの理解,カメラ,メガネ,望遠鏡,顕微鏡などのレンズを使った光学機械の理解のために有用な実験教材の開発を行った。また,今日の電気に依存している我々の社会を理解するため,簡単なモーターや発電機,めんカップスピーカー,マイクロホンなど実験工作を織り混ぜた授業と実験の融合による実験授業を行った。また,中学校教員養成課程のための物理実験についても,電磁気の原理を実感をもって理解するための実験開発を行った。今回の研究から,初等・中等学校の教師になる学生への物理実験は,従来行われている科学者かエンジニヤを育成するための定量的測定を主とした実験をやらせるよりも,まず科学の基本法則を使って身の回りや自然の現象を納得させる実験を十分にやらせるほうが学生に物理の興味を持続させるために効果が上がることがわかった。
著者
山中 茂樹 北原 糸子 田並 尚恵 森 康俊
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、今後30年以内に発生するだろうといわれる首都直下地震において発生する膨大な避難者たちの行動を予測するとともに、その対応策を考えるのが目的であった。ところが、2011年3月11日、東日本大震災が発生。加えて東京電力福島第1原発の事故で福島県民を中心に多くの強制避難・自主避難が生じた。そこで、同時進行している事象の実態把握と解析も進めた。3年間の成果として、住民票を移さずに避難した人達の在留登録制度の新設や避難元自治体と避難先自治体が避難住民の名簿を共有する避難者台帳の整備、広域避難者の支援に充てるファンドの創設など多くの政策・制度を提案した。
著者
幸福 輝
出版者
独立行政法人国立美術館国立西洋美術館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

欧米の版画室での実地調査に基づき、レンブラントがどのような作品において、どのような目的で和紙を使用したのかを明らかにした。また、17世紀から20世紀までのレンブラント版画関連文献で、レンブラントの和紙作品がどのような評価を受けてきたのかを明らかにした。
著者
石田 毅 直井 誠 陳 友晴 奈良 禎太
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

地球温暖化の速効的対策であるCO2(二酸化炭素)地中貯留では,大量のCO2を地下深部に圧入するが, CO2は地下深部ではさらさらとして粘度が小さい超臨界状態となるため周辺地層に与える影響を検討して必要がある.本研究では,現場の岩盤に超臨界CO2の圧入しその際の微小な破壊音であるAEを測定した.その結果,超臨界CO2は水の圧入に比べてAEの震源が広く分布するが,圧入位置での亀裂造成後時間が経過すると亀裂閉合によると思われるAEが観測された.このようなAEは岩盤の破壊ではなくガス抜けよるものと思われ,例えAEの震源分布が広がっても周辺地層に安定性に与える影響は小さいと思われた.
著者
熊谷 晋一郎 向谷地 生良 加藤 正晴 石原 孝二
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-06-28

当事者研究には、他の研究と同様、新しい知識を「発見」するための方法という側面と、生きやすさをもたらす「回復」の側面がある。まず発見については、自閉スペクトラム症のメカニズムに関して当事者研究の中で提案された「情報のまとめあげ困難説」を、他分野の専門家と協力しながら理論的に精緻化した。またその仮説を、発声制御、顔認知、パーソナルスペース、ボディイメージ、聴覚過敏や慢性疼痛などに適用して検証実験を行った。次に回復については、横断調査、追跡調査によって効果検証を行うとともに、当事者研究の方法をプロトコール化し、当事者主導型の臨床研究による介入研究を行った。